2013-06-27

朝日新聞13/05/14中邑賢龍教授「デコボコを愛せよ」、下村博文文科相ふたたび







中邑賢龍・東大先端研教授のインタビュー。
「診断が下っても、親も教師も何もできない」
「今あるテクノロジーを、その子に合ったように使う。勉強に使えるものは何でも使えばいい」
「学校が機器導入の壁になっている」
あたりは、昨日のEテレの番組での発言を詳しくしたものですね。
「日本の今の教育制度では、大学で素晴らしい研究ができる能力を秘めた子でも、学習面に少しでも苦手な部分があると高校までたどり着けていない」
・・・私が予備校で出会っているのは、
そんなふるいをもかいくぐった、
特別にタフで賢く、しかも幸運が重なった子たちなのかもしれません。

中邑教授が言っていることには全面賛成なのですが、昨日の番組も含めて思ったのは、「iPadを使って参加する”授業”そのものが旧態依然としていないか?」ということです。
きれいに板書してノートに写させるのは、プリントを作れなかった時代の名残であり、コピー機でいくらでもプリントが作れる時代には時間の無駄です。
プリントをうまく使えば、板書よりもはるかにテンポよく授業を進められます。
iPadが登場して黒板が手元にある状態になれば、さらに授業のあり方も変わるべきでしょう。

「国語から読み書きを、算数から計算を分離」は反対がものすごそうですが、本当にそうできたら学校現場はドラスティックに変わるでしょう。
現行の小学校低学年では国語は書き取りと音読、算数は計算がほとんどなので、教えている内容のほとんどが吹っ飛びます(笑)
読み書き計算を別教科にすることで、国語算数に残るのは議論、創作、他教科との融合的な内容、実生活への応用・・・になるはずで、独創性を伸ばす教育にかなりシフトするでしょう。

「学力」の定義が本当にいま問われていると思います。
このインターネット時代、仕事もプライベートも、さらには大学でも、入力・検索・共有・発信が前提で、その中でどう自分を打ち出していくかが問われているのに、学校と入試だけは手書き・暗記・知識独占が前提になっています。
インターネット社会で生きていくのに役立つ内容へと「学力」もシフトしていくべきです。
旧態依然とした内容を教えられるのは子供も「?」だし、子供が社会の役に立てない人に育ってしまったら親も困るのです。自分の年金だってあやういのに…。





☆  ☆  ☆


私のメンターが、下村文科相が学習障害・発達障害対策を進めていく決意であることを示す、さらなる証拠文書?をくれました。

下村大臣には、中邑教授を中教審委員などに登用してもらい、
上で話されているような初等中等教育の改革さらには入試改革をどんどんお願いしたいです。









2013-06-26

NHKハートネットTV「タブレットが学習障害児の未来を変える」

NHK Eテレで今日、「タブレットが学習障害児の未来を変える」という番組を放送していました。
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2013-06/19.html

あわてて手元にあったiPadでテレビを撮影しました。

非常に見応えのある番組でした!

スタジオのトークだけ動画をとりました。
井上智さん+中邑賢龍・東大先端研教授が登場。
お二人とも、一言一言がとても深かったです。








井上智さん:
「(タブレットを学習に使えることは)ほんとうらやましい。
自分の時代にあれば、自分も高校、大学に行けたのではないかと」

iPadやiPhoneなどのツールはメガネと同じ。体の一部
このたとえはよく見ますが、今日はじめて腑に落ちました。


中邑賢龍さん:

「Do-itのような活動に参加することで子供が自信を取り戻す。
それ以上に、社会が変化してきている
学習障害の子供たちがタブレットを使うことで学校が変わる。
さらには入試制度も少しずつ変わってきている。」

学習がマイルドに遅れている子に検査を受けてもらうのは難しい。
そういう子供にもタブレットを使ってもらうと、使いこなす過程で(検査しなくても)苦手がわかる。
それを引き続き使ってもらって苦手を補う」

「多様な学びが学校でもできることが必要。人間の能力の多様さを考え直す時期に来ている」





ディスレクシアの男の子。
iPadで化石の図鑑を作るようになってから、俄然化石に興味がわいた。
好きなことには非常に集中できる。
「将来は化石の研究者になりたい」
神山忠先生。
特別支援学校で教え、ご本人もディスレクシア。
iPhoneをメモ代わりにしたり、
電話を録音してボイスレコーダー代わりにしたり。
「iPhoneは障害特性を埋めるにとどまらず、世界・生活自体を広げるもの」
最初の男の子。教科書を読み上げてもらっている。
Do-IT Japanの人と定期的にSkype?で話をしている。


「勉強は楽しい」とも。
クラスで1人、iPadを使用している。
テレビで感想もちゃんと言えてえらい!

板書を撮影すればノートをとる苦労もなくなります。
#それだけでなく、「反転授業」もありかと。
#黒板をきっちりきれいに使い、それを生徒に写させるやり方を
#見直すべき時代に来ているのでは。



全校児童約180人全員がiPadを授業で使用する大分県の小学校。
どの生徒が何分間、どのアプリのどの機能を使用したかがすべてデータ化され、
児童の苦手を把握できる。




改めてご挨拶

筆者の名前を少し変えることにしました。
今日から「もじこ(文字子)」と名乗ることにします。
「文字は記号ではない!」というコメントが頭をぐるぐる回っているからです。
どうぞよろしくお願いします。

最近、自分はディスレクシア英語・国語教育の実践を
もっともっと頑張って行きたいという思いが強まっており、
本名出しもリアル仕事紹介もしたいのですが、
まだ子供が「学校の友達にもディスレクシアのことは言わない」
と言っているので
子供の様子を見ながら、もう少し先延ばしにします。

子供がディスレクシアだと気がついた時から、
これは彼の学業不振という個人的な問題ではない、
どんどんオープンにしていきたいという思いがありました。
すごく広がりの大きい問題だと、直観的に分かったからだと思います。

あらゆるソーシャルメディアを挫折したわたくしですが(笑)
自分が知ったことを整理しようとこのつたないブログを始めて、1年以上続けることができました。
最近は、ブログを通じてご縁が少しずつ広がってきたり、
自分がここに書いている以上の情報を、ブログを通じて得られるようになったりして
本当に感謝しています。
一人じゃないんだと励まされています。
でも、知れば知るほど、知らないこと、やるべきことが増えている状態です。

自分の子だけでなく、あらゆるディスレクシアの子、
さらにはディスレクシアでない子のためにも
その子その子に応じた分かり方で、
一人ひとり異なる読み方を教えるにはどうしたらよいのか、
これからも模索し実践していきます。



こんなところで恐縮ですが、
英語が苦手+字が汚い+スペルミスが多い難関大志望受験生には、
教えられるノウハウがそれなりにあると思います。
当方、大手・準大手予備校講師歴20年、著書・合格実績多数、中央線沿線。
ご興味のある方はコメント欄を使ってご連絡下さい。






2013-06-21

下村文科相、長男のディスレクシアを語る

下村文部科学大臣が、ご長男のディスレクシアについて語っています。

もしかして、陳情するチャンスなのでしょうか?!

・長男は筑波大附属小に入るも、3~4年のとき、漢字テストができないのを隠していることを知る
・「怠けている」と叱りながら勉強を教えた
黙って下を向き、ぽろぽろ涙をこぼしていました。私は愚かでした、本当に愚かな父親でした。長男の出していた無言のSOSに気づかなかったのです。後に、漢字書き取りの勉強で真っ黒になったノートを見つけた時、ああ、一所懸命頑張っていたのだなあと、長男に申し訳なくて私はひとり泣きました。

・長男は神経性大腸炎になり、専門家に相談して初めてディスレクシアだと知る
・11歳でイギリスの学校を見学に:

「だいじょうぶか、やっていけるか」と聞いたのです。その答えは「日本で学校に行きたいけれど、ボクの居場所がないんだよね」でした。ガーンと頭をひっぱたかれたようなショックでしたね。偉そうに、政治家として教育問題をライフワークとするなどと公言していた自分が恥ずかしく、情けなくなりました。どのような子供でも受け入れる「教育の多様性」について、本腰を入れて対応しなくてはいけないと、このとき痛感しました。

・ロンドン芸術大学に進学、舞台芸術・ファッションの世界に関心

以上の話は、2枚目の5段目から詳しく書かれています:








ご長男は、ロンドンを拠点とする日本画家だと自己紹介しています。
自由に挑戦している様子が伺えて、とても嬉しくなりました。
http://www.yuhi-shimomura.com/




もし、文部科学大臣に何かお願いができるなら、いまの私は

  • 日本の教育制度にディスレクシアの子の居場所を作ってほしい、具体的には
    • 義務教育の中で、教員が児童をディスレクシアと判断し、普通学級でフォローする仕組みを作ってほしい
    • 教員にディスレクシアについて知ってほしい
    • 高校・大学入試にディスレクシア枠を設けてほしい

・・・とお願いしたいです。


義務教育の普通学級でディスレクシア対応が進むことは、毎日の授業が丸暗記型教育から独創性重視型教育にシフトすることを意味します(ディスレクシアの子は右脳型の、とても独創的な人種だから)。

そのことは、ディスレクシアでない子の独創性も伸ばすことになり、結果として、いま日本の教育に最も必要と言われる、自主性や課題発見能力を持った子を育てることになるでしょう。

また、教室内に多様な才能を認めることは、社会の多様性やキャリアの多様性を認めることにもつながるはずです。レールに乗らなければ他の道はないというような息苦しさ、若者に多く見られるという同調圧力から子供たちを解放することでしょう。

教室に字がめちゃくちゃだけど独創的な子が1人か2人いて、その子の発言や成果物が先生にも同級生にも「面白いね」「こういう見方もあるんだね」と言ってもらえる・・・一日も早く日本中の小学校がそうなることを、切に願っています。


2013-06-20

視写をディスレクシア用に少し改良、安藤百福氏の字

5月に始めた視写は、毎週1回10分続けています。



子は、間違えながらもよく集中して取り組み、
終わったあとは「あ~~これ疲れる~~」と言っています。


改良点
フォントを、ディスレクシアの子が読みやすいものにした
・・・と思いましたが、今検索してみたところ、
丸ゴシック体よりも良いフォントがあるかも?
もう少し調べる必要がありそうです。

子は、ディスレクシアでよく言われる、
文字が踊って見える・色シートをかけると読みやすくなる・
字が突き刺すように感じる
ということはないらしいです(本人談)

1行の文字数は、ノートに合わせて18字。
本人にも、
「一番上の字が同じにならなかったら、ずれてるってことだから、
前に戻って抜けを探してね」と言ってあります。
(この抜けを探すのが子にはとても難しい・・・)

目標字数に合わせた分量を用意。
300字(5年生で標準的に書けるとされる字数、前記事参照)なので、300字強にしてあります。

・写している場所を見失ったら、誘導する
初回は完全に自力で書かせましたが、今回は誘導しました。
そのため、初回より3行ほど多く書けました。

本当は「そこじゃなくてここだよ」と、教えないほうがいいのかもしれません。
でも、どこを書いているのか見失うと集中が切れて、
視写の一番の目的である「ワーキングメモリの向上」ができなくなってしまうので、
目標字数が書けるようになるまでは誘導してみようと思います。






素材は、安藤百福さんの伝記を使用。
頑張ってリライトしました!
予備校の英語の教材はかなり自作してますが、国語は初めてかも。

子は学校でいま、国語の授業で「伝記を書く」という課題に取り組んでいて、
そのための安藤百福さんの素材がいくつか家にありました。
マンガ世界の偉人(朝日新聞出版)、「安藤百福伝」など)

「マンガ世界の偉人」の最後に2ページ分の、コンパクトにまとまった伝記が載っています。
これをベースにリライトしました。


安藤百福さんは今で言う中卒で、
10代のうちに事業を始めて成功するも、
憲兵隊の拷問を受けたり騙されて一文無しになったりと
何度も振り出しに戻り、
48歳で一念発起してチキンラーメンを開発した人です。

そんな、いわゆる学校秀才でないところを、子は気に入ったようでした。

でも、ディスレクシアの子が共感できるような視点で書かれた伝記はなかなかありません。
「学校ではできなかったのに成功した」という伝記は数多くても、
「学校に合わなかったので成功した」という伝記はなかなかないのです。
なので、「安藤百福伝」に載っていたエピソードをいくつか加え、
ディスレクシア的にポジティブな安藤百福伝にリライトしてみました。


何年か前(ディスレクシアを知らない頃)、
「私の履歴書」の安藤百福さんの回を読んでいたときは、
日本人にはない底抜けの楽天性としたたかさを感じながら、
「なんかその行動の動機が読めない・・・」とも思っていました。

でも今、改めて「安藤百福伝」を読むと、
「わたしには学問はない。あるのは実際の経験だけ」(p9)と言い切っていたり、
昔から面白いテーマがあると、我を忘れて没頭してしまうところがある(p22)とされたり、
奥さんが天ぷらを揚げているのを見てチキンラーメンの保存方法を思いついたり・・・
といったエピソードが、いかにも起業家タイプのディスレクシアのような気がしてしまいます。
希望的観測なのでしょうが。




どうでしょう・・・・・


13/06/25
匿名さんのコメントに触発されて、『安藤百福伝』からもう少し拝借しました。












































・平成4年、「キザシ」という表記があやしいと感じるのは細かすぎでしょうか・・・

・大企業のトップなのに自社の利益みたいな話は一切しないあたりに、次元の違いを感じます。
視点が宇宙レベルで壮大です。

・「時流無停 接点生力」の字からは、気を感じました。
四字熟語自体もたぶん台湾語でも日本語でもないと思います。
実に独創的です。

・絶筆となった「企業在人 成業在天」は、エジソンが言っていることにそっくりだと思いました。

・インスタントラーメンは、iPhoneと同様、
「登場以後は、それがない世界が想像できない」レベルの発明です。
普通の人とはまったく異なる視点をもっているのでしょう。

以上、安藤百福さんは、ディスレクシアの特徴はかなりお持ちだと思いますが、決定的証拠はない、が現時点での結論だと思います。

2013-06-15

ディスレクシアのチェックリスト(子供用、Davis式)

ディスレクシアのチェックリスト(子供用)の翻訳です。
原文はこちら
この本に出ているDavis式と呼ばれるものです。



全般
1.      頭の回転が速く、非常に知的で、こちらの言うことが分かっているが、学年並みのレベルで読む・書く・スペルすることができない。
2.      怠けている、バカ、不注意、幼い、「努力が足りない」「行動上の問題あり」と見なされている。
3.      IQは高いが、学校のテストの成績は悪いことがある。口頭では成績が良いが、ペーパーテストはできない。
4.      自分をバカだと思っている。自分に自信がない。弱みを創意工夫に富んだ戦略によって巧みに隠す。
5.      学校や読書について、かっとなったり、感情的になったりしやすい。
6.      以下のいずれかの才能が見られる:
芸術、演劇、音楽、スポーツ、ダンス、機械、ストーリーテリング(物語を作って語る)、営業・起業、戦略的思考、デザイン、建築、エンジニアリング
7.      しばしば、「心ここにあらず」に見えたり、ぼけ~っと考えごとにふけっている(白昼夢)ように見える。迷子になりやすいか、時間の感覚を失いやすい。
8.      注意力を維持することが難しい。過集中か、白昼夢を見ているように見える。
9.      実際に手を動かす、デモンストレーション、実験、観察、視覚的補助を通じて学ぶことを最も好む。
見る・読む・書く
10.    読んだり勉強したりしている最中に、目まい、頭痛、腹痛を訴える。
11.    文字、数字、単語、文字列、口頭での説明に混乱する。
12.    読み書きさせると、文字・数字・単語レベルで、同じところを繰り返す、勝手に加える、別のものに置き替わる、抜かしてしまう、入れ替わる、および鏡文字が見られる。
13.    読む・書く・書き写す最中に、存在しない動きが見えるまたは感じると言う。
14.    視覚に問題があるように見えるが、視力検査をしても問題は見つからない。
15.    非常に観察力が鋭いが、周辺視野や深さの認識が欠けている。
16.    何度も読み返しても意味があまり分からない。
17.    音素のままに書いてしまう。同じ語の綴りが毎回違う。
聴く・話す
18.    言われていないこと、他人には聞こえないことが聞こえる。すぐに気が散る、または音に過敏。
19.    考えを言葉にすることに困難を覚える。不完全な文で話す。ストレスを感じると詰まりながら話したり、どもったりする。話しているとき、長い語を言い間違えたり、フレーズ・言葉・言葉の一部が入れ替わったりする。
書く・運動能力
20.    書く・書き写すことが困難である。鉛筆の持ち方が変な場合がある。
21.    字が読めないくらい汚い。または同じ字でも時と場合によって書きぐせが違う。
22.    不器用、協調動作ができない、球技・チームスポーツが苦手。微細運動および/または粗大運動を必要とする作業に困難を覚える。
23.    乗り物酔いしやすい。
24.    弱い、または完全な両利き。
25.    右と左、上と下をしばしば間違える。
算数、時間管理
26.    今何時か言うこと、時間を管理すること、順を追った情報や作業を学習すること、時間を守ることが困難である。
27.    計算をする際に、指で数えるなどの戦略を用いる。
28.    数は言えるが、ものを数えたり、お金の計算が困難である。
29.    計算はできるが、文章題は苦手。途中の考え方を示すことができない。
記憶・認知
30.    経験したこと、行ったことのある場所、人の顔に関する長期記憶が非常に優れている。
31.    自分で経験していない情報、順を追った出来事の記憶が悪い。
32.    音や文字ではなく、イメージやフィーリングを使って主に考える(内的対話が少ない)。
行動、健康、発達、パーソナリティ
33.    整理整頓がまったくできない、または過剰にきちんとしている。
34.    クラスのピエロ、問題児であることがある。または静かすぎる。
35.    発達(話し始める、はいはいし始める、歩き始める、靴のひもを結ぶ)が異常に早かった、または異常に遅かった。
36.    耳の病気をしやすい。食べ物、添加物、化学物質に過敏である。
37.    非常に深く眠る、または非常に浅く眠る。
38.    適切な年齢を超えておねしょが見られる(見られた)。
39.    痛みへの耐性が異常に高いか、または異常に低い。
40.    正義感が強い、感情が豊か、完璧を求める。
41.    混乱したり、時間的プレッシャーを与えたり、感情的ストレスを与えたり、健康が優れなかったりすると、間違いや症状が激増する。

               

Davis式では「方向感覚の混乱(disorientation)」がディスレクシアの原因だとしているので、
読み書きの困難はもちろん、乗り物酔い、途中式が書けないなどもチェック項目になっています。
(ちなみに、うちの子はどちらも非常に激しいです)

2013-06-14

企業にはアスペルガー、ADHD、ディスレクシアが必要

英エコノミスト誌の記事(原題は「規格外の人を礼賛する」)を訳してみました。原文はこちら

欧米のディスレクシア観は、日本よりはるかにポジティブです。
現実逃避で思わず訳してみましたが、日本もこうなってほしい。。


・企業はいま、率先して発達障害・学習障害の人を採用している。

・Facebook創業者、サブプライム問題を予見したヘッジファンドマネージャーなど、
時代の先を見抜く人にアスペルガーが多く見られる

・現代のまっとうな企業には発達障害・学習障害の人が必要。

・一方、そうでない人も管理職として必要。

・管理職のほうが、発達障害・学習障害の人とうまくやっていく方法を学ぶ必要がある

・テクノロジー企業での社内結婚によって、発達障害の子が増えている(!)



「企業にはアスペルガー、ADHD、ディスレクシアの人間が必要である」


201262日、エコノミスト誌

1956年、ウィリアム・ホワイトはベストセラーとなった「The Organization Man(組織人)」のなかで、「企業は役員に『バランスのとれた』人物を置きたがるあまり、『天才を排除する戦い』を行っている」と指摘した。
現在、多くの企業がこれと正反対の主義を掲げて戦っている。ソフトウェア会社はコミュ障のギーク(技術者)を積極的に採用し、ヘッジファンドも偏屈な人間を金融分析の専門家として囲い込もうとする。ハリウッドはクリエイティブな人材を採用しようと血眼になって探している。そして政策立案者までもが、雇用を創出してくれる人材として規則を破っていく起業家に期待している。
学校とは違い、市場は「規格外」の人を求めているのだ。

企業の採用担当者は、優秀なプログラマーに必要な資質は、アスペルガーと診断される特徴とかなりの部分で重なっていることに気が付いている。マニアックな話題に取りつかれたように関心を持つこと、数字や規則性、機械に情熱を傾けること、反復作業を中毒的に好むこと、人間関係のサインに鈍感なこと、などである。
シリコンバレーには「インターネットは「スペクトラム上の人」(シリコンバレーでは「アスペルガー」をこう言う)によって、スペクトラム上の人のために発明された」という冗談もあるほどだ。ネット上では人と直接会うという「試練」を経ずに、コミュニケーションができる。

「ワイヤード」誌ではこれを「ギーク症候群」と名付けたことがある。ところで、過去10年間に設立されたネット企業と言えば、フェイスブック社草創期の投資家のひとり、ピーター・ティエルは「ニューヨーカー」誌に次のように語っている。「フェイスブック社の経営陣はアスペルガーっぽい」。
かつて同社に在籍していた黃易山は、創業者マーク・ザッカーバーグは「積極的なフィードバックを示さなかったり、こちらの話を聞いている風でなかったりした点で、アスペルガー気味だった」と書いている。
Craigslist創業者のクレイグ・ニューマークは、アスペルガー症候群の特徴一覧を見ると「気持ち悪いくらい身に覚えがある」と言う。

同様の傾向は金融業界の上層部にも見られる。かつてはプレッピー(アイビーリーグ出身、独特の言葉遣い・プレッピースタイル・サブカルチャーを特徴とする社会階層)が占めていたのが、いつしか数理分析の専門家たちが取って代わった。
マイケル・ルイス著「世紀の空売り」で一躍有名になったヘッジファンドマネジャーのマイケル・バーリは医学生時代、友達も少なく趣味で株式市場に関するブログを書いていた。このブログがあまりにファンドマネジャーの注目を集めるようになったため、医学の道から転身して自身のヘッジファンド、サイオン・キャピタルを設立。サブプライム市場がおかしいことにいち早く気づき、近いうちに大暴落すると見込んで賭けに打って出た。
「サブプライム危機のさなかに私が唯一信頼できた人物は」と著者ルイス氏はラジオ番組で語っている「アスペルガー症候群と慧眼を持ったこの男だった」。

起業家を見ても、発達障害者は驚くほど多い。キャスビジネススクールのジュリー・ロギンが起業家を対象に行った調査によると、35%がディスレクシアだと自己申告した(人口全体では10%、管理職では1%がディスレクシアだと言われる)。ディスレクシアの有名人には、フォード、GEIBM、イケアの創業者がいるほか、近年の成功者ではチャールズ・シュワブ(オンライン証券会社創業者)、リチャード・ブランソン(ヴァージングループ創業者)、ジョン・チェンバーズ(シスコ創業者、スティーブ・ジョブス(アップル創業者などもそうだ。
ディスレクシアに起業家が多い理由はいくつかあるだろうディスレクシアの人は早いうちから人に仕事を任せる方法を学ぶ(例えば、周りの人に宿題をやってもらうなど)。公的資格を必須条件とせず読み書きを必要としない活動に傾倒する、などだ。


ADDもまた、起業家によく見られる。ひとつのことに長く集中できない人は、社員としては最悪だが、新たなアイデアが泉のように湧き出てくる存在だ。研究によると、ADDの人は自分の会社を経営するようになる確率が、平均より6倍も高い。
格安航空会社JetBlue創設者のデイビッド・ニールマンはこう語る。
「わたしのADDの脳はほうっておけば自然に、物事をより良く行う方法を探そうとする。ADDは整理整頓ができない、時間を守れない、集中できないなど、山のように欠点があるが、同時に独創性と、あえてリスクを冒す能力がある」。
キンコーズ創設者で、以後も数多くの企業を立ち上げてきた起業家のポール・オルフィリアは、ADDとディスレクシアを併発している。
「わたしは非常に飽きっぽい。でも飽きっぽいことが大きなモチベーションになっている。すべての人がディスレクシアとADDになるべきだと思う」。

では、従来型の組織人間はどうすればよいのだろう?
組織人間は組織にとって相変わらず必要な存在であり続けるだろう。企業が異端の人を採用すれば、その分だけ、会社の基盤を固める分別あるマネジャーが必要となる。退屈だが組織にとって不可欠、そんな仕事をきちんと行う人も必要なのだ。顧客を(さらには議員を)喜ばせる人も必要だ。
こうした仕事は、異端でない人をバカにした印象を与えない人が適している。(Facebookの最高執行責任者シェリル・サンドバーグも、ザッカーバーグに代わってこの仕事をうまくこなしているようだ)。
起業したばかりの多くの企業が、創業者に代わってプロのマネージャーに入ってもらうだけで廃業を免れる。もちろん、マネージャーはギークとうまく仕事をやっていく術を身につけなければならない。


ギークの才能は遺伝子の中に

普通でない心の持ち主が集まることは、新たな問題を生み出している。
発達障害・学習障害の頭脳を必要とする会社に勤める人は、同じような人と結婚する傾向が強い。ケンブリッジ大学のサイモン・バロン=コーエンによると、アスペルガーの傾向がある男女が出会い結婚すると、その子供がアスペルガーさらには自閉症である可能性が高まるという。
テクノロジー企業が集積するオランダ・アイントホーフェン在住の子供は、同じ規模のオランダ国内の2都市に比べ、自閉症と診断される子供が24にのぼるとも言う。さらに同氏は、ケンブリッジ大学で数学、物理学、工学を専攻する学生は、英文学を専攻する学生よりも、親戚に自閉症の人がいる確率が高いことも指摘している。
すべてとは言わないまでも多くの企業は、重度の自閉症の人を採用することに慎重だ。
一方でデンマークのスペシャリスト・ピープル社のように、高い記憶力や反復への耐性を必要とするポジションに、自閉症の人を紹介する企業もある。


さらに広く見渡すと、組織人間に代わって非・組織人間が台頭していることは、パワーバランスが変わりつつある。
非・組織人間は「四角い釘」、学校では苦労するかもしれない。友達にからかわれたり、パーティーでは無視されるかもしれない。だが今の時代、真剣な企業は彼ら彼女らなしでは発展できないのだ。シリコンバレーに幅広い人脈を持つカイラン・マルホトラの言葉を借りれば「ギークであることはかっこいい」のである。

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インターネットは発達障害者によって、発達障害者のために発明され、
そして発達障害者の台頭を進める原動力となっている。というわけですね。


文中、「スティーブ・ジョブスはディスレクシア」とあります。
本当?!
マニュアルなし、直観的に操作できるiPhoneは、
ジョブスがディスレクシアだから現在の形になった
…という説には納得ですし、
彼の代名詞とも言えるアップル製品発表会で、
パワポの数字を読み間違えていたというエピソードも読んだことがある気がします。
あるいは、
ジョブスは最初から、本書に口は挟まない、それどころか、あらかじめ見せてもらう必要もないと宣言して私を驚かせた。
「これは君の本だ。僕は読みもしないよ」
(『スティーブ・ジョブス』上巻p3 はじめに 本書が生まれた経緯)
というエピソードだけでも、もしかして・・・?とは思うのですが、

破天荒で人との衝突をいとわないあたりは、
ディスレクシアというよりアスペルガーのような気もします。

2013-06-10

予備校での(ほぼ)反転授業



『アエラ』2013年5月27日号に、
「反転教育」というものに関する記事が出ていました。



たまたま、5月30日の日本経済新聞でも、
大和総研理事長で開成の理事長でもある武藤敏郎さんという方が、
反転教育について語っています。
「欧米の大学では『反転授業』という考え方が浸透してきた。すなわち知識を得る学習はインターネットを使ったeラーニングで行い、教室では徹底的に議論する。ソフトウェア時代を迎え、創造力や表現力を高めるという狙いだ」



・・・いやはや、これは驚きました。

アエラによると「反転教育」とは、
講義は家でネットで見てくる(予習)→教室では演習
というサイクルとのことですが、

これは、この9年間、私が予備校の教壇で少しずつ追求してきた授業スタイルに限りなく近いのです・・・!
自画自賛すぎるかもしれませんが、私の授業はほぼ反転しています(!)

しかも、ディスレクシアの子に対応していたら、そうなったのです(!!)





反転授業は、知識伝授の部分はネットで行うところに第一のポイントがあるようですが・・・

私の感覚では、日本の高校生レベルに反転授業を持ち込むなら、
この講義は相当作り込まれたものでなければなりません。
ただ漫然と授業での説明を映してはだめです。
その後の教室での演習を想定して、綿密に伏線を張ったものであること、
動画など、パソコンならではのテクノロジーを活用したものであること、
そして何より、デジタルネイティブに合わせて、コンパクトで短く、分かりやすい説明であることが肝心でしょう。

実はわたくし、もう何年も前ですが、自分の予備校の映像授業に出演したことがあります。
残念ながら、上の条件をひとつも満たしていない授業でした。

その時の苦い経験からも分かるのですが、
反転授業でのネット講義は、普通の講義をただカメラの前でやったものではなく、
思い切った発想の切り替えが必要です。
たとえば5分から10分でさくっとポイントを説明するような、ものすごく絞り込まれたもの。
こういった講義に特に適した(または適していない)教科や学年もあるでしょう。


ところで、
少なくとも受験英語なら、映像授業ではなくプリントだけでも、かなり反転に近いことはできます。

たとえば、ポイントを絞り込んだ1枚のプリントを作り、
それを読んでくることを予習にすれば、
「講義は家でネットで見てくる」にかなり近くなります。
(だから「ほぼ」反転なのですが、
これだと反転していないという反論もあるかもしれません。。)




反転教育のもう一つの、思うにより重要なポイントは、
教室は基本的に演習と議論の場だということです。
講師による一方的な板書+説明は、ほとんどありません。

私は現在、120分の授業の90分近くを演習(今の時期は和訳)にあてています。
教室ではひたすら手を動かしてもらいます。

予習として読んできてもらっているプリントの最後に確認問題がついているので、
その答えをごく軽く確認してから、演習に入ります。
5~6行の、構文が多少込み入った文章を10題ほど読み、
辞書を引きながら下線部訳を作ってもらいます。


演習プリントは、予習で確認した構文ポイントが完全に反映され、
しかも少しずつ難しくなるよう、相当作り込まれています。
(センターレベルから始まり、最終的には京大阪大など最難関レベルの文章までを1回で)
私はこの方式を、某数学の参考書の編集者に教えてもらったのですが、
学校教育では、これを「スモールステップ」というようです。

演習中は机間指導というのでしょうか、一人ひとりの答案を見て回りながら、
「どこがもやもやしている?」と助け船を出したり、
「なんでここはこう訳した?」と議論したり、
「ここまで考えたら、もう次にいっていいよ」と切り上げさせたりします。

もちろん、できていれば、大きい◎をつけてあげます。
どんなポーカーフェイスの子でも、ほめられると嬉しいはずなので。

ラスト20分くらいで演習を打ち切って解説開始。

この時点で、生徒の答案はほぼすべて赤入れされています。

解説は、講師がひたすら話し続けるのではなく、
時間の許す限り、◎の子を当てて、
「なんでそういう解釈・訳に至ったのか」を説明してもらいます。

最初は人前でうまく説明できないような子も、同じ志望校の人たちの前で滔々と説明する快感を知ってしまうと、だんだんのってきます(笑)。

高三で延長入れて140分、夜9時半まで、休憩時間なしで解き倒し、考え続けます。
予習で問題を解いてきて、ぶっ通しで講師が説明していたら、絶対に集中が持たないような時間です。





そして・・・
なぜ私がこのような授業方法にたどりついたのかを思い起こすと、
そこにはほぼ必ず、ディスレクシアの生徒がいたことに、今さらながら気がつくのです。

ディスレクシアでなくても、デジタルネイティブの最近の子は、
1時間も退屈な講義を聞き続けることができません。
受身の講義だと、5分10分もするとぼ~っとしてきます。

彼らが退屈しないように。。。と考えていろいろ工夫しているうちに、
講義の時間はどんどん減り、演習の時間がどんどん多くなっていきました。

そして、ディスレクシアの子の多くは、ものすごくオーラが強いのです。
こちらが話すことによく反応してくれますし、退屈だと如実につまらなそうな顔をします。
ほとんどテレパシーかというくらい、反応を伝えてくる子もいます。

彼ら彼女らの反応に応えようとしているうちに、
演習を多く、講義は演習を反映したものに、対話を多くして・・・
というスタイルになっていきました。

全体に言っても理解できないらしい子でも、
1対1だと簡単に理解してくれることにも、この頃気がつきました。

教室で話すことを作り込みすぎず、
自分をできるだけ空っぽにして、でも精神を研ぎ澄ませて
生徒の答案や発言を前にして出てくる自分の反応を大事にしようと思い始めました。

ディスレクシアの子は反応が非常にストレートなので
分かっているのかと思いきや、
答案を見てみるとぐちゃぐちゃ。
全部ひらがなだったり。
創作力が豊かすぎたり。
スペリングミスが多発していたり・・・
そこで、生徒の答案はすべて演習中に添削するようになりました。


そんなこんなで、ディスレクシアの生徒に導かれるように、私の授業はどんどん反転に近づいていきました。


そして、さらに気がつくのは、
ディスレクシアの子に導かれるように変化して行った授業スタイルは、
ディスレクシアでない子にとっても、非常に学習効果の高い授業スタイルだった、
ということです。


長くなったので今日はここまで・・・



NHK 目撃!日本列島「50歳、成長中!~読み書き困難と向き合って~」

6月15日(土)午前11時30分~11時54分
NHK
目撃!日本列島「50歳、成長中!~読み書き困難と向き合って~

http://www4.nhk.or.jp/mokugeki/x/2013-06-15/21/34848/


2月にNHKに登場した井上さんの特集とのこと。
これは楽しみです!


と同時に、
「こんな驚くべき人がいる」
で終わるのではなく、

独創性を評価するような教育制度・入試制度が
1年でも早く求められていること、

「上手に読み書きできて当然」という思い込みを
みんなが捨てるだけでも、
日本はずいぶん住みやすくなること、

今日から現場の教師が
「この子が字が汚いのは何か理由がある」
と気づいて叱るのをやめるだけで、
救われる小中学生がたくさんいること・・・

あたりにも、ぜひ切り込んでもらいたいです。




2013-06-05

レデックス社のメルマガ、こども脳機能バランサーfor iPad



こども脳機能バランサーfor iPad」というアプリを買ってみました。
発達障害・学習障害の発達指数を知る/向上させることができるとのこと。

4800円!アプリとしてはかなり高いです。

WISCに似た知能テスト(知能ゲーム)が10数種類入っています。
最初は2~3種類しか遊べず、ポイントを稼ぐと新しいゲームで遊べる趣向。
こういうのに子供は超食いつきます(笑)
直観的にさくさく操作できて、しかも集中力の訓練になりますね。

発達年齢10歳までを測るせいか、
実年齢10歳4ヵ月の子はすべてのゲームであっさりと
発達指数「10歳以上」 を出してしまいました。
15歳くらいまでのレベルに対応する日を心待ちにしています☆



もぐらたたきは私もやってみました。
ふだん使っていない視野で見ているのが自分でも分かります。


一般のゲームより、音が静かで心地よく、
絵が派手派手しくなく可愛いのが良いです。
キャラクターの色や形も学習障害・発達障害の子にとって
変な刺激にならないように配慮されている印象を持ちました。


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13/06/24追記
スタンプを貯めたら(=ステージをクリアしたら)、「さめがめ」が登場!
これは、私が大学生の時に心の底からはまった「まきがめ」ではありませんか!!
親子で俄然はまってます(笑)


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このアプリを開発しているレデックスという会社が出しているメルマガにたどりついて登録しました。
この内容が濃い!
ディスレクシアだけでなく、発達障害・特別支援・ツールのもろもろをカバーしています。
個人的には、

北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター教授の
田中康雄先生の講演(全5回)

がものすごくぐっときました。
以下、一部引用しながらリンクしておきます。
青太字の強調は引用者によるもの、☆灰色字は引用者の感想です。



理解しにくく誤解されやすい発達障害その1

☆とってもきれいにまとまったディスレクシアの定義がありました。
3.学習障害(読字障害、書字障害、算数障害)の特徴
  • 特徴  1)読み 2)書き 3)計算
  • 基盤
    「なぜできないのだろう」
    「どうやらこれがバカということらしい」
  • 親の苦労
    ・わからない相手への関わり方にジレンマ(なにが分からないかが分かり得ない)
  • ○対応
    ・疑似体験で関与する側の理解力のアップとわかることへの接近
    1)わかりやすい指導
    2)身体バランスの強化
    3)感情の表現と理解を促す
3-1.読字障害・特異的読字障害
  • 種類
    -錯読
  • 文字の順序の誤り(はしご→はごし)
  • 文字の省略(がっこう→がこう)
  • 文字の混同(はぐるま→はじまり)
    -視覚認知障害
  • とばし読み、繰り返し読み
    -語性失読
  • 一文字一文字は読めるが、語として読めない
    -特殊文字の読み間違い(聴覚認知障害)
  • 促音(さっき→さき)、拗音(きゃ、きゅ、など)の誤り

3-2.書字表出障害・特異的綴字(書字)能力障害
  • ひらがながもっとも障害されにくく、カタカナ、漢字、英字の順に難しくなる
  • よく見られる誤反応
    -き→さ く→へ い→こ ね→わ ぬ→め わ→れ
    -シ→ツ ン→ソ ヨ→ヲ
    -団→図 哀→京
  • 書字の障害は、協調運動障害で「書けない」ことや字形の拙劣さと区別する必要がある
  • 複雑図形の記憶の再生や模写における障害から視覚認知または視覚記憶過程の障害が認められている
  • ワープロを使う場合、ひらがなやカタカナの読み書きができていることが前提であり、漢字の音読と意味が理解できていることと、音声言語の発達が正常であることを前提とする



理解しにくく誤解されやすい発達障害 その2

☆「ライフステージごとに考慮すべきこと」として、年齢順にまとめていくなかで・・・
カ)小学3・4年生
・子ども同士の顔ぶれに注意して、いじめ、からかいを最小に食い止めるようにします。特に、休み時間に目配りをします。
キ)小学5・6年生
・孤立、孤独になっていないか、アンテナを張ります。
・大人が支援者です。信じられる大人を作ります。同級生は難しいです。
☆ほんとそうですね・・・子も4年の終わりくらいから中学受験組にバカだ字が汚いと言われ出し、ちょっとくじけそうになった時期がありました。
ク)中学生
・僕の問題は何なんだろう、と自問自答をする時期です。
・プライドと現実に衝突し、投げやりになったり、落ち込んだりします。
特に、二次的気分の変化に注意しなければなりません。
ケ)高校生
・支援者は親から別の大人に変化します。
☆これは予備校で心から実感することです。高校生は親でない人に自分の選択を肯定してもらいたがりますね。この頃までにうちの子も良い大人に出会えることを祈ります・・・

理解しにくく誤解されやすい発達障害 その3

・子どもに親切に、やさしく対応する
・今できていることを大切にする
・発達は常に結果。目的にしてはいけない
→プロセスをほめる!
・子どもの必死さを尊重する
(大事)叱られるのがいやなのではないのです。期待に添えないことが悔しくて、悲しいのです
−ちゃんと頑張ったねって、ほめてほしいのです
−僕(私)は役に立ちたいのです
(TT)


理解しにくく誤解されやすい発達障害 その4

・親が元気なら子どもも元気
・親をねぎらい、尊重し、親にも休息を
・親を支えよう
・子どもにも誇りある自己理解を勧めよう



2013-06-02

朝日新聞13/06/01

どうする 読み書き障害のサポート(下)


子供は日々変わるし、友達の目も日々変わりますよね、、、

うちの場合も、小3で担任に
「補助教員をつけるのも一案かと・・・」と面談で言われたのが
ディスレクシア発見の間接的なきっかけでしたが、
そのときは「自分だけ横にもう一人先生がいるなんて絶対やだ!!
そんなことになったら学校行かないから!!」
と泣いていやがりました。

特別なツールを使うことを許してもらうのも、
本人が望むならぜひそうすべきだと思いますが、
ツールより何よりありがたいのは、
本人に「特別に支援されている」と気づかれないくらいさりげなく
子のその時の状態に合わせた指導なのだろうと思います。
一流のホテルマンのような・・・?!



上に出てくる『読み書き障害のある子どもへのサポートQ&A』はこちら



著者紹介によると、石川県の特別支援学校の教員なのですね。


この本は、現時点でのディスレクシア児(小学生)への学校と家庭での支援方法が、
特別支援教育・教育技術・脳科学・支援ツール、の各方面から
とてもよくまとまっていると思います。
Q&A方式で各項目が短くまとまっていて読みやすいです。
学校の先生に渡して、ディスレクシアについて分かってもらうのに良さそうです。


1 読み書き障害に関する基礎知識
Q読み書き障害の具体的な状態を、成長段階ごとに教えて下さい。
Q大人になったら治るのですか?
Q文字の読み書きのメカニズムは、どのようなものですか?など
2読み書き障害の検査・評価
Q読み書きの能力は、どのようにして調べますか?
Q読み書き障害があるとわかった後は、まず何に着手すればよいでしょうか?など
3読み書き障害がある子どもへのサポート方法
Qサポートは「読めるようにする、書けるようにする」という方針でいいですか?
QiPadは支援には使えますか?
Q補助代替ツールを使って支援をしていたら、ますます読んだり書いたりできなくなるのではないでしょうか?など
4相談を受けてから支援までの具体的な事例


ディスレクシア教育はまだまだこれからの分野ですし、
すべてのディスレクシア児に魔法のように効く教育方法はないので、
どうしてもQと比べてAの切れ味が若干悪くなります。
そこがディスレクシア指導の難しさだし、誠実さの表れなのだな・・・と思いながら読みました。