2015-10-22

LD学会にて:道村式漢字カードの長所、ジョリーの浸透度

福岡で行われたLD学会に、道村式漢字カードの売り子として行ってきました。

道村先生のパワフルさには、私の中のがん患者の常識が覆されました!
漢字カード普及活動が薬になっているとお見受けしました。
とはいえ、まだ治療継続中の身の上。どうかお大事に、、

今回、売り込みを繰り返すなかで、
道村式漢字カードの長所を改めてまとめることができた気がします:

道村式漢字カードのポイントは、

1)書かずに、部品(パーツ)を唱えて覚える
(道村先生流に言うと「書くことからあの子達を解放してあげて!」)

2)部品の単位が細かすぎず大きすぎず、ほどよくまとまっている
(同じく、道村流に言うと「たてたてよこよこだと線構成になるからね!
それじゃあ1日たつと忘れちゃう!」
「よろこぶは十・豆・口!これだけ!!」)

3)部品が初登場の時には事細かに説明し、次からは部品に名前をつける
(『「イ・なべぶた・たて・三」、次からは「ふるとり」!!』)
(『3年生までにほとんどの部品は出てきちゃうのよ、
4年からは部品の組み合わせでずっと楽になる!』)

ディスレクシア的には、
「部品を唱えることで、
うじゃ~っとしたかたまりだった漢字が分解・整理され、
おのずと正しい書き順で入っていく」と言えます。
このあたり、ジョリーとすごく共通点があります。

4)初出時に、音訓をセットで覚える。
かつ、道村式漢字カードには、同音異義語は一つもない。
(「音と訓を別々に教えるのは光村図書の重大な欠点!」)

ディスレクシア的には、
「道村式漢字カードは、(1)目で漢字を見ながら、
(2)教える側が音訓を読んでは、(3)生徒が部品を言うのを繰り返すことで、
漢字の(1)ビジュアル・(2)音訓・(3)書き方を覚える、多感覚式の教材です」

あと2つ、使い方において盲点になりがちな点を:

a)テンポ良く、ほめながら使う
押し売りかというくらい(笑)熱く語って人を引き込み、最終的には笑わせる、
そんな道村先生の話術に接していると、
道村式漢字カードを教える際は、教師がリードして生徒をひっぱる、
終始快活なテンポ、できたら力一杯ほめる、
毎日ちょっとずつ楽しく取り組んでぱっとやめる、
といった教師力も不可欠だと、改めて思いました。
道村式漢字カードはすばらしい教材ですが、
×だらだら教える、×懲罰と組み合わせる、×ほめない
ようでは、効果は半減してしまいます。

「漢字を見て絵として覚えられるディスレクシアよりも、
耳からのインプットが得意なタイプに向いているかも」
との指摘も受けました。その通りだと思います。
そして、耳が得意なタイプは、テンポ良い教え方がより一層重要です。

b)しつこいですが、「書かせない」
道村式漢字カードは、「部品を唱えて漢字を覚える」という教材です。
ここを勘違いして、カードを見ながら何度も書き取りをしている人もいるかも。
それでは、道村式の意味がまったくありません!

~ ~ ~

LD学会には、宮崎大学や熊本大学などから、教育学部の学生さんたちが友達同士で、リクルートスーツで来ていました。
何人か、道村式カードに非常に関心を持ってくれた学生もいました。(財布のひもが固いようで、残念ながら買ってはくれなかったのですが(^^;))
先生の卵たちが、学生時代からすでにディスレクシアの知識も関心もあるというのは、大変心強かったですし、そのなかから道村式漢字カードの精神を受け継ぐ人が出てきてほしいな…と思いました。

☆  ☆  ☆

道村式漢字カードの売り子と同時に、ジョリーのチラシも配ってきました↓


お申し込みは以下(外部サイトに飛びます)
名古屋→ 大阪→
東京は今週末です→

発表は2つだけ行ってきました。
そのうちのひとつ、ディスレクシア英語教育に関する発表では、
「ディスレクシアにはフォニックスが不可欠」と当然のように語られ、
4人中2人が、ジョリーとおぼしき教材の画像を示していたのでびっくり!

他の方から「別の発表ではアナリティック・フォニックスを使っているようだった」との報告もありましたが、
…ともかく、ジョリーを含むフォニックスは、少しずつではありますが着実に日本の学校英語に浸透しつつあるようです。
2年前、初めてLD学会に行ったときは→ディスレクシア英語教育についての発表はほぼ皆無でがっかりしましたが、ずいぶん進歩しつつあるようです。

ただ、日本の中学校でフォニックスをやるとしても、
現状では割けるのはせいぜい2~3時間[実質1時間半]とも言っていました。
ディスレクシアにはその10倍は必要ですが、
おそらく、そのような形に教科書が改訂される望みは薄い気がします。
ディスレクシアとしては、
小学生のうちからから少しずつアルファベットの先取りをしておくか、
中1の夏休みに覚悟を決めて集中特訓が必要になることでしょう…

ジョリーについては、会場でお話した方々から
「ジョリー単独では、ディスレクシアになかなか難しいものがある、
うちはジョリーは非常に効果的だったが、その前に音声教材(ディズニーなど)
をたくさん聞かせており、その下地があったのが大きかった気がする」
とのご指摘を受けました。
そうなのかもしれません。これについてはもう少し意見を集めたいです。

あと、発表では、フォニックスの"次"の話は出ませんでした。

~ ~ ~

もう一つ聞いた、都内最難関私大の発達障害学生支援センターの発表では、
これまで相談に訪れた学生のうちディスレクシアは2人だけ、
しかも2人とも本国で診断を受けた留学生、とのことでした(゜Д゜)
私が直接知っているだけでも、その大学にはディスレクシアの学生がこの人を含めて→5人は入学したのに。。
ディスレクシアだと自分でも分かっていないのでしょうが…

☆  ☆  ☆

福岡では、ここで知り合った九州のサザエさん(と呼ばせて頂きます(笑))と、
新潟からお越しの方と、いろいろお話しすることができました。
お二人ともお子さんのために、ものすごく献身的に動いておられます。
九州のサザエさんはお子さんの中1ショック発覚後、
一日も欠かさず5教科の勉強につきあい、
定期試験前は1日10時間は勉強をみているとのこと。
おかげで、平均点を上回る成績をあげているそうです。
「ワタシ、今が一番勉強してますよ~」とけらけら笑っておられましたが、
頭が下がります・・・

非ディスレクシアな下2人のお子さんに、上の子の手のかかりっぷりをどう納得させるかが難しい、とのことでした。
「夜9時には下の娘と添い寝する、そこは彼女のための時間」とも。
うちは一人っ子ゆえに当ブログでは触れる機会のない「上の子/下の子問題」、
きっといろいろありますよね。

~ ~ ~

身銭を切ってLD学会に参加されているお二人とは
「LD学会の発表はどうして残念か」(失礼!)についても話し合いました。
例外も多々あると思いますが、
「ここには『バカなLDの子に、次のテストでいかにしてまともな点数を取らせるか』という視点しかない」
学校の先生の集まりだから仕方がないのかもしれませんが、
字以外の面では何ら問題のない子たちという考え方はもちろん、
子供の学習や成長を長期的に考える視点がほとんどありません。
隠れディスレクシアもほとんど知られていません。
何かと検査やアセスメントを作りたがるのも、ちょっと気になります。
学校制度を疑う方向にも、基本的には行かないようです。

とはいえ、来年もLD学会にはつい行ってしまうことでしょう。
ジョリーはLD学会に物販のブースを出すべきです!