残暑お見舞い申し上げます。
お盆期間中、みなさまいかがお過ごしですか。
この2週間、ディスレクシア浪人生の個別指導を毎日続けておりました。
前半にお越し下さった皆様、学習相談にみえられた方、
コメントを下さった方、メールでご質問を下さった方、
いろいろとご連絡が遅れておりまして、申し訳ありません。
順次お答えしていく予定ですが、ここから先、受験シーズンまでは、
もじこは受験生対応が最優先になりますことを、なにとぞご了承下さいm(_ _)m
明日から、もじこ塾夏期講習の後半が始まります。
みなさまとお目にかかれるのを、楽しみにしております。
ここまでの感想を、何点か書いておきます:
☆ ☆ ☆
◆
ディスレクシアな中1を教える難しさ。
ジョリーフォニックスを教えるだけで、かなり楽になる生徒もいますが
フォニックスもあまり覚えられない、覚えたとしても語や文に生かせない、
フレーズも聴き取れない、、、そんな中1の子も何人か来てくれました。
こうした子にとって英語の勉強はとても大変そうで、難しい指導になりました。
きっと、こうした生徒を「音韻認識が非常に弱い」と言うのですね。
おそらく、英語学習には、膨大な時間と手間がかかるだろうと思います。
私が数学に、他の全教科を足した以上の勉強時間を捧げても、
偏差値40台から脱しなかったように。。
こういう子が、「なんで英語をやらないといけないわけ?」と思っている場合、
4日間で教えられることは、残念ながら、かなり少ないです・・・
ただ、そんな子でも、文法の説明にはわりと理解を示すのが印象的でした。
また、逆に言うと、
「フォニックスを教えれば、そのあとが(自分比で)楽になる生徒」とは、
・フレーズを聞くだけで、ざっくりと口真似ができる、
・読字より書字に困難がある(=書くのは大変だが、読むのはまあまあできる)
だと感じました。
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どんな動機であれ、英語に対してやる気があることは、
英語ができるようになるためには、とてもとても大切です。
やる気問題に関しては、もじこ塾に来る中2以上は全員クリアしているので
「中一で英語が超絶に苦手で、なぜ英語をやらなきゃいけないのか分からない子に、どう接したらいい?」
と、彼ら彼女らの意見を聞きました。すると・・・
・親がまだ「転ばぬ先の杖」になろうとしている。∑( ̄0 ̄;(浪人生)
・「どんなに頑張ってもできないこと」ってある。(ノД`)(浪人生)
・あの頃はすべてに反抗していたので、親の言うことなんか聞かなかった(高1)
・一回、英語から少し離れて、ここにあるお菓子でも食べながら話をしたら(高1)
・自分も中1のときはそう思っていた。(何か伝えるとしたら?)「高校生になったらもっと苦労するから頑張るべき」(高1)
・やりたくないなら、しょうがないですよね(中学生)
・自分も「なんで英語やらなきゃいけないのか」と思います(このあと延々議論して納得)(中学生)
・演技不足。それくらい隠せと言いたい( ̄0 ̄(この子とも、このあと延々議論)(中学生)
中1の親御さんのみなさま。
ディスレクシア英語学習はとても大変なので、
本人にやる気がなさそうなら、まだその時が来ていないのだと思います。
親子の温度差を解消するべきです。
「馬を水辺に連れてくることはできても、水を飲ませることはできない」
といみじくも言ったお母様もいました。本当にその通りだと思います。。
~~~
◆検定教科書に沿って教わると、構文をほぼまったく学ばないらしい。
そのことが、ディスレクシア的には、困難をより一層大きくしている。
ここで言う「構文」とは
「英文を読むために必要な
英語のセンテンスの構造に関する知識」という意味です。
英検の大問1やセンター大問2のような、文法4択問題を解く能力とは異なります。
もう少し詳しく言えば
「
語順によって意味が決まる英文というものの、ルールを体系化したもの」です。
駿台の伊藤和夫が完成させたもので、予備校に行けば必ず教わります
(私も教えてます)
構文がわかると、初めて読む文章でも、
辞書さえあれば、根拠をもって読み解くことができます。
構文がわからないと、
英文読解は「
単語の羅列を念力でつなげる」作業になってしまいます。
現在、検定教科書では、文法用語をほぼまったく使っていないようです。
そのこと自体はいいのですが
(文法用語をほとんど使わなくても構文は教えられます)
しかし、中学の最初から「単語の羅列を念力でつなげる」ような指導をされては、
英語が使えるようになるはずがありません。
今回、fromを「出身」という意味だと思い込んでいた高1、
isを「です」という意味だと思い込んでいた中学生がいました∑( ̄0 ̄;
I am from Japan.を、
「私・です・出身・日本」に置き換えて、念力でつなぐ読み方は
このレベルならまだしも、もう少し文が複雑になったら必ず破綻します。
「単語の羅列を念力でつなげる」指導は、
ディスレクシアにとってはとりわけ不利です。
なぜなら、単語が覚えられない人種なのですから(苦笑)。
一方、ディスレクシアにとっては、文法は比較的理解しやすい分野です。
ですから、中1の段階から文法を明快に教えてあげることで、
単語暗記の負担を減らすことができると考えられます。
☆ ☆ ☆
◆設問があれば、戦略を立てられるので、
ディスレクシア的には、読みはだいぶ楽になる。
もじこ塾に来る高校生は、例外なく、
夏休みの宿題と称して薄いドリルを持って来ています。
読解や文法問題集*を丸投げされて、「夏休み中に解いてきなさい、休み明けにテストをするから」というのが、日本の高校生の夏の英語体験らしいです。ちょっと悲しい(- -;)
(*4択や書き換え問題がたくさん並んでいるもの。これができても構文は残念ながらわかるとは限りません)
それはさておき、
漠然と英文を読むのでなく、設問を解くことが目標となれば、
ディスレクシア的には「設問さえ解ければいいのですね?!」と、
明確な戦略を立てることが可能になります。
こうなると、ディスレクシア的にも、突破口が見えてきます。
具体的には、
設問文に含まれるキーワードを本文中に探し、
その前後だけを、正確に構文を取りながらじ~っくり読む、
そうすると設問が解ける
というものなのですが、
ディスレクシアだと、こんな虫食い的な読み方でも、
間に書いてあることもだいたいあたるのが不思議なところです。
☆ ☆ ☆
◆目がつらいディスレクシアと、耳がつらいディスレクシアがいる。
「目がつらいディスレクシア」の最も極端なケースは、
「マス目のついた紙に字を書かれると、マス目のほうが目立って読みにくい」
と言った生徒でした。
この生徒は、ペンやチョークの色によっても、見え方に差があると言いました。
一方、今回、トマティスリスニングセンターで紹介された
骨導ヘッドセットを試してもらっているのですが、
何人かの子には、かなりの効果があるように感じています。
これを付けて読むと、自分の声がよく聞こえます。
そして、自分の声を聞いて修正していくのは、
語学学習において正しい発音に至るための近道なのだそうです。
実際、これを付けて読むと、読み間違いが減る子がけっこういます。
最も劇的に効果があるのは、普段から聞こえが悪いことを自覚している子
(片耳が難聴の子や、常に耳が詰まっている感じがすると言う子は、
ひっくり返るような衝撃を受けていました。
「初めて自分の声がクリアに聞こえた!」と)
ですが、そうでもない子でも、読み間違いが減るケースが何人かあります。
一方、イヤホンの感触が嫌だという子、
自分の声がよく聞こえることが嫌だという子、もいました。
この効果については、もう少し試して、またここで報告します。
では、もじこ塾夏期講習の後半が始まります!