2023-12-30

声が小さい生徒たち

これも2学期中に書いたまま、公開する勇気がなかなか出ませんでした。

しかし、冬休みの講座を行い、この問題は解決していないことが改めてわかりましたので、思い切って今年じゅうに、世に問う(?!)ことにします。

いまの中1~2、さらには高校生にもみられる、声の小さい生徒の問題です。

1) 声が小さい生徒の周りは、会話が減る

2)声が小さい生徒は、表情筋が弱い

3)声が小さい生徒は、音のワーキングメモリが弱い

という話です。



------------------

今日は、もじこ塾が対応に苦慮している問題について書きます。


これについて書くのは、勇気がいります。

なぜなら、マスクの着用が関わる問題だからです。


マスクについてはいろんな考え方があることは、重々承知しています。

以下は、特定のあり方を強制するものではありません。


と申した上で。

マスク生活が長引くことによる悪影響を、私は目の当たりにしている気がするのです。 


☆   ☆   ☆


マスクを外せない、つまり自分の顔をさらせない人がいるとは、すでに言われています。


それも、もちろん憂慮すべきことなのですが

最近、声がとても小さい生徒が増えています。

そのことが、本人にも、世代全体にも、想像以上の悪影響を与えつつあると感じるのです。


マスク生活4年目の今年は、全体的に例年よりフォニックスの定着が悪い印象があります。

小学校英語4年目なのに、むしろフォニックスの定着が悪いのです。

ブレンディングにも苦労がありますし、同音異綴りが入りにくいです。

(そして12月現在、定着が悪い生徒はほぼ例外なく、今もマスクをしています。)


声が小さな生徒とその周囲の生徒への悪影響を、3つあげてみます:




1)声が小さい生徒の周りは、会話が減る

声の小さい生徒は、ことばを発することにとても慎重です。

そのような生徒が一定割合存在すると、ディスレクシアは空気を読めますので、その場の雰囲気にあわせて慎重になります。

すると、クラス全体で思いっきり笑ったり話したりすることが、なくなります。

もじこ塾では、思いつくがままの自由な雑談を大事にしていますので、こうしたことがなくなるのは、ゆゆしき事態です。




2)声が小さい生徒は、表情筋が弱い

声が出ない生徒は、体に力が入らないようです。全身の筋力が弱いように見えます。


声を張らないようにと、マスク生活のあいだ意識し続けた結果、体がこわばっているようにも、力が入らないようにも見えます。

お腹から声を出せず、体を使っていない感じが強くです。体幹が弱く、腕もほっそりしています。

(大学生の助手たちが「自分が中1のときは、自分も周りももっと体格がよかったが、、」と言っています)


この筋力のなさが、読み能力に影響を与えているように感じます。

体幹が整うと読み能力は安定しますし、訓練の負荷にも耐えられるようになります。


表情筋も乏しいです・・・マスクで隠れているので、めったに見えませんが。

たまに見えると、つるりとした、表情のない顔をしているので、とても心配です。



英語はもともと、日本語より表情筋を使いますし、息を勢いよく出します。

声の小さな生徒が腹筋も表情筋も萎縮していることは英語、特にフォニックスを指導すると一発でわかります。


そして、ディスレクシア英語指導の前提となる考え方である


  • 発音できる音は聞き取れる。

  • ディスレクシアは、聞き取れた通りにスペルしてしまう。


からすると、発音できない音はスペルできないので、表情筋がないのはスペルできないことにつながります




3)声が小さい生徒は、音のワーキングメモリが弱い?!


そして何より、憂慮すべきことは、

声がとても小さい生徒は、他人が発したことばを、覚えていられないらしいのです。


「音のワーキングメモリが萎縮している」

という表現が浮かびました。

それも、去年よりも今年の方が、萎縮傾向が強まっているように見えます。

これは、真剣に対処しなければ、生徒とその世代全体に重大な影響を及ぼす危険があります。



一度、あまりにも声が出ない生徒を呼んで、話を聞いたことがあります。 


その生徒も、がっちりとマスクをしています。 

「r・ai・nって書いてあるよ。つなげてごらん」と後押しすると「ライン?ん?」と首をかしげています。マスクの中にとどまっているような、小さな小さな声です。


「フォニックスは難しい?」

と聞くと、蚊の鳴くような声で

「難しい。音を覚えていられない」。

(丁寧語を使えないのも、このような生徒の特徴です) 



音を覚えていられない・・・!

どうやら、「文字を見て音素を想起できない」のではなくて、「教師が言った音素を覚えていられない」らしいのです。 


これは衝撃でした。


この生徒は続けて、

「英語は難しいし、興味はない。 できるようになりたいと思わない」 

と言います。

「まあ、、英語は難しくて大変だよね。でも、フォニックスの練習を続けたら、いいことがいっぱいあるよ。あと、音の訓練も続けると、もっと覚えていられると思うよ」

(音韻認識の訓練のことを念頭に置いて言っています)


すると

「友達が言っていることも忘れちゃうし」と言うのです。

「友達の話を覚えていられないの? それは大変だよ。今から練習した方がいいよ。

フォニックスで音を覚えている訓練を続けたら、友達の話も覚えていられるかもよ」

と私が言うと、なんと

 「周りもみんなそうだから、そんなに困ってない」と、その生徒は言うのです。 


周りもみんなそう・・・!


クラスメイトも声が小さく、音の記憶が悪い。

 相手の話を覚えていられない。


そんな教室には、にぎやかなおしゃべりは、きっとないでしょう。 会話のキャッチボールが成立しているかあやしいものです。

互いにかみ合わない発言、拾ってもらえない会話の切れ端が、ただ空中に漂うだけ。そんな休み時間の様子が浮かびました。


この問題は私が思っているよりもずっと大きいのかもしれない、そう思った瞬間でした。 




それ以来、私は保護者に聞いたり、他の生徒にも尋ねてみるようになりました。


「学校のクラスに、すごく声の小さい生徒がいませんか?」


やはりというべきか、全員が「いる」と言うのです。 


高校生からは

「そういう子に『何言ってるかわかんないよ』って注意したら、先生に『そういうこと言わないで』って怒られた」

「そういう子がいると気を使うし、盛り上がらないからつまらない」

という発言がありました。


 声の小さい子は、周囲の学びにもじわじわと影響を与えているのです。 


でも、やはりそれ以上に、音のワーキングメモリーが著しく低いことが、声が小さい子自身の発達に重大な影響を与えていると思われます。


私はこれを、マスク生活の影響だと思っています。

人の口を見る機会がなかったこと、三密防止、ソーシャルディスタンス、そして給食時の黙食。

そういう生活が長かったため、ことばを交わす機会が少なくて、それで声の出し方がわからなくなっているのかもしれません。


生徒や保護者に「コロナ中、友達の家に行って遊ぶことはあった?」と聞くと、かなり多くの子が

「さすがに最初の1年はなかったよね」と言います。

 こういうことも影響を与えているのではないでしょうか。 


また、自粛期間中に「マスクをきちんとつけなさい!」と通りすがりの叱責されたのをきっかけに声が出なくなったり、マスクを外せなくなったりして、それがいまだに続いている…という声も聞きました。


この克服には時間がかかるでしょう。

もしかしたら一生残るかもしれない、と小学校の半分を共産圏で過ごした影響が今も消えない私は思います。小学校高学年の子は大人よりもずっと根底的な影響を、自粛生活から受けてしまったようです。


そして、ことがコミュ力の著しい低下ならば、上の世代があたたかく接して、時間をかけて克服をサポートすべきだと感じます。


これは個人の問題ではありません。

大人全体が意識して、割を食ってしまった世代に働きかけなければならない、そんな問題だと感じています。


~~~


最後に・・・

上のように申しておきながら、厳しいお願いになってしまうのですが、

次年度、もじこ塾への入塾をご検討の方は、マスクを外し、口元を見せて声を出せるよう、ご家庭であたたかく声かけをして、ご準備をお願いできれば幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。








2023-12-12

「いろんな少数者に気づくこと。それが誰かにとっての「信じてもらえる大人」になる第一歩」(高校で講演をしてきました)

※夏に書いたまま、ずっとアップし忘れていました・・・ 




高校の選択授業で、ディスレクシアについて講義をさせていただきました。

・読字能力はスペクトラムである、

・大学入試では「合理的配慮」を受けることができる、それでも大変だけど…

といった話をしました。


もじこ塾の卒業生を含む2名の大学生も登壇したことで、ディスレクシアがどんな学校でも無縁でないことが伝わったと思います。

長くなりますが、当日最後にもじこが話したことを、置いておきます。


☆  ☆  ☆


なぜこの仕事をしているのかと、時々聞かれます。

ディスレクシアの生徒に英語を教えるのは、かなり大変なことのはずだけど、何が原動力なんですかと。

もじこ塾の設立目的は「社会変革」です(本気です(笑))。その言わんとすることを、もう少し具体的に書いてみます・・・


純粋な探究心は、まずあると思います。ディスレクシアの仕組みにしても、対処法にしても、英語教授法にしても、まだまだわからないことが多くて、本当に探求しがいのあるテーマです。


でもそれ以上に、腑に落ちることが多いんです。

ディスレクシアの存在がわかり、ディスレクシアの生徒が置かれている苦しい状況がわかり、そして上の世代の成功事例を知ると、いろんなことが腑に落ちるようになります。


また、ひとつの少数者の存在を知っていると、他の少数者の存在をめぐる状況も、多少はわかるようになります。

私の場合はたまたまそれがディスレクシアだったということですが、世の中には他にもいろんな障害、いろんな少数者のあり方があります。

そのすべてを自分が経験することはできませんが、ディスレクシアのことを知っていれば、想像や理解がしやすくなります。


ディスレクシアは学校という制度の発達とともに「障害」として顕在化してきた存在です。文字の正確さやスピードで人を評価する「学校」という制度がなければ、そのようなくくりに入ることの決してなかった人たちです。

またディスレクシアは、自分でそうだとはなかなか気づけないものです。人は自分の感覚が他人と違うとはなかなか気づけないものです。

ということは、ディスレクシアは、学校の先生が気づいて、指摘してあげる必要があります。


私は、誰よりも学校の先生にこそ、ディスレクシアの存在を知ってほしいと思っています。


最初に紹介した通り、ディスレクシアには独創的な成功をおさめた人がたくさんいます。

一方で、アメリカでは受刑者の80%がなんらかの読み書き困難を抱えているとのデータもあります。

「この差をもたらすものは何だと思いますか?」と、今日の話の中で、みなさんに聞きました。

打ち込めるものがあること。人との出会い。そんな答えがあがりました。

その通りだと思います。


ここで私の答えを披露しておきます。


アメリカのディスレクシアの議論のなかで聞いたのですが、ディスレクシアの生徒が人生を順調に過ごすために必要なのは

to have one trusting adult.

たった一人でいい、自分を信じてくれる大人がいること。それが、ディスレクシアの生徒を救うと言うのです。

この言葉は私に刺さりました。

ベタですが、ならばその一人になってやろうじゃないのというのが、もじこ塾プロジェクトです。


私はかつて、大手予備校で英語を教えていました。そこでは「合格ラインに達していない人を相手に授業をする必要はありません」「切り捨てていいです」と言われていました。でも、そのような授業をすると、とてもわだかまりが残るんです。

今はtrusting adultになればいいので、ハッピーに授業ができています。


先ほども、大学生の当事者から、「今日の話によってみなさんはディスレクシアの存在を知ったのだから、大学生になって塾講師バイトでも始めたときに、生徒のなかにディスレクシアがいたら、気づいてあげてほしい」という話が出ました。

本当にその通りです。

ディスレクシアは知的レベルとは関係ないので、あらゆる学校にいます。何しろ16人に1人なのですから。

そのときに、ディスレクシアだと気づいてあげてほしいのです。


いろんな少数者の存在に気づくこと。

それが、皆さんが誰かのtrusting adultになることへの一歩であり、社会を変えることへの一歩である。

大げさでなく、そう思います。


2023-10-07

【動画】3分でわかる!英単語が読めるようになる方法 Part 1

フォニックスの最初の部分を教える動画を作りました。

もじこ塾のフォニックス講座の、さわりの部分です。


英語が読めない人のお役に立てればうれしいです!



2023-06-22

Ron君の受験体験記「いつ来るともわからないその日を夢見て」

Ron君は、もじこ塾で中2から浪人までの6年にもわたって、もじこ塾の集団クラスで英語を学んだ、集団組の第1世代です。
彼が、合格体験記を書いてくれました。

Ron君は、発言が基本的にあまのじゃく。
こちらが言ったことに対し、ひとひねりした切り返しをしてきます。明るく知的にとぼけるといいますか。。
(ただし、今回は彼にしては珍しく、素直な回答もあります。)

幼少期から漢詩や古典に親しむような、文化資本豊かな家庭に育ちました。勉強は好きです。中高はサッカー部。
ADHDというほどではありませんが、多動です。ひねった切り返しは、そんな多動とも関係がある気がします。
中高時代は、青年将校のようにりりしく制服を着こなしていました。
本人いわく聴覚過敏があり、物音に気をとられやすいとのこと。この手の生徒に多い、ふわっとしたソフトな声で話します。

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・新御三家レベルの一貫校卒

・某マーチで仮面浪人後、慶應義塾大学へ。東大を二度受験するも不合格

・中学時代に、ディスレクシアの診断あり

・合理的配慮は大学受験までは受けず。大学では中国語の授業のみ、配慮を検討中

・文系。志望学部は特になし。興味の幅が広く深いとも言えますし、ひとつに絞れない(←多動的)とも言える気がします。現在は、地政学、飛行機や船の設計、海外サッカー、気象予報士、世界遺産検定、魚を釣ってさばいて料理すること・・・などなどに興味あり。


それではどうぞ:

☆  ☆  ☆

お久しぶりです。RONです。一応受験が終わったので受験体験記を書くことと相成りました。

結果から言えば僕は慶應に通っていますが、私立の英語は重過ぎると考えて東大を想定した勉強がほとんどだったので、東大中心の話になると思われますがご容赦ください。

かなり長いですが、書くのも難儀だっただろうと慮って最後まで読んで頂けたら幸いです。


Q:もじこ塾をどうやって知ったか。入塾の決め手は?

そもそも僕は蒲田のMaru先生にフォニックスを習っており、もじこ塾を知ったのは、Maru先生に塾では受験英語はやらないからと言って紹介されたからです。

Ron君は、ジョリーフォニックスが日本に上陸してすぐくらいの時期に学んだ、日本シンセティック・フォニックス史初期の生徒のひとりです。

中学に入ってから読めなさに気づくまでのことは、こちら→

彼を6年のあいだ見続けた今、ディスレクシアとフォニックスに関して言えることは:

  • フォニックスを最初に正しく習うことは、ディスレクシアが英語を習得するには不可欠と言っていい。
  • ディスレクシアの生徒は、大学受験を前にしても、「自分はフォニックスを使っている」と実感している。
  • フォニックスは初見の単語を読むこと、スペリング、そしてリスニングを助ける。


Q:他の塾との兼ね合いは。英語はもじこ塾以外でも勉強したか?

僕は浪人した半年間駿台に通った以外は塾に行っておらず、英語は学校と、もじこ塾のみで済ませていました。

Ron君は最初の緊急事態宣言の頃以外、もじこ塾を皆勤しています。定期試験前後でも、欠かさず授業に出席してくれました。

多少わちゃわちゃしているものの、テンションも明るく穏やかで一定していました。ハードな遠足の後、どろどろに疲れているはずなのに授業に来たこともありましたし、クラスメートがぴりぴりしようが激高しようが、終始穏やかでひょうきんなノリを崩しませんでした。


Q:もじこ塾はどんなところと説明するか?

もじこ塾では、ディスレクシアなど生徒個人個人の特性に合わせて教え方を変えたりするので、授業形式もかなり自由で、英語力が向上しやすいと思います。

また、生徒間の交流も盛んで、授業を一緒に受ける友達だけでなく、先輩からも助言を受けやすい環境でした。

ありがとう、これからはRon君が助言を与える立場になるのですね。


Q:ディスレクシア的に、英語の勉強において特に大変だったことは?

ディスレクシア的に英語の勉強において特に大変なことは、僕個人の私見ですが英単語が覚えにくいこと、そして文章を読むスピードが遅いことです。

まず、英単語の話ですが、これは特に英語を習いたてのときに顕著であると思われます。英語を習い始めた直後に英単語を覚えようとすると、一つの単語につきスペルと意味と発音との三つを覚える必要があり、僕の場合はスペルと発音を関連付けることができなかったので、とても覚えきれず、テストがある日はいつも最終下校時刻まで学校に残って間違えた一単語に対して50回ないし100回ずつ書き連ねる補習課題(!!!)をこなしておりました。50回書いても覚えられない単語も多くありましたので翌日の追試にも引っ掛かり、たいてい課題に追われておりました。

そこで僕は約一年かけてフォニックスを固め、特殊な綴りをする単語を除けば発音を聞いたらそのまま綴りを書けるようにしました。

ディスレクシアにとってのフォニックスの意味を語ってくれています。特にの部分が。

ディスレクシアはスペルを覚えるのが苦手です。よほど頑張らないと、聞いた通りにしか書けません。なので「発音を聞いたらそのまま綴りを書けるようにする」の精度を高める作戦が効果的なのです。これが、フォニックスのしようとしていることです


ついで根幹となる単語をその語源から覚えて脳に印象付け、派生語は類推するというかたちで覚える総量を減らす作戦に出ました。

さらに鉄壁(鉄緑会が出している単語帳のことです)を愛用することで、普通の受験生よりは単語量は少ないはずですが、東大の問題に解答できるくらいの単語量を身につけました。



僕は音を使うと覚えやすいようでしたので、鉄壁のCDを買い一年ほど毎日三章ずつ1.3倍速くらいで聞いて発音をしておりました。

Ron君には高3の夏から本格的にシャドーイングを自習するようになり、これが効いたようです。この後に出てくる「急に読めるようになった」を支えたのだと思います。

・・・以上、さらっと言っていますが、英単語を覚えることに費やした努力の量は、並大抵のものではありませんでした。



次に英文を読むスピードについてですが、ディスレクシアの人は普通の人に比べてはるかに遅いようです。

僕は国語のテストで時間に困ったことはほぼないですし、半年ほど駿台のEX東大文系演習コースにいたのですが、その中でも日本語を読むのは早い方でした。

もじこ塾の生徒にはこのように、「日本語を読むのはむしろ速い」と語る生徒が多いです。どうやら、日本語(特に漢字)は、読むときに頭のなかで音にしないで読めるからのようです。

しかし、英文を読むスピードには中学一年生のころから悩まされ、定期テストの英文を時間内に読み終えることは高校二年生になるまでありませんでした

3の夏に東大オープンを受けた時には、半分も読み終わりませんでした。

東大の問題にすべて目を通せるようになったのは、早稲田大学法学部の入試翌日、つまり216日でした。先生に言われるままに大量の英文を読んでいたら、いつの間にかスピードが上がっていたようです。

つまり、二度目の東大入試の1週間前です。。

【追記。本人から「一度目の東大入試の1週間前です」との指摘がありました。】

進学校で読めなさを抱えながらも、このように英語の勉強を続けられたのは、特性理解があったからだと思います。「言われるがままに大量に読む」といっても、本当にがむしゃらに読んではいけません。何をミスしたか、何がうまくいったかを確認しながらの作業が重要です。


Q:逆に、ディスレクシア的に、大学入試や受験勉強において有利に働いた点はあるか?

ディスレクシアが原因かどうか分かりませんが、僕はなぜか世界史と地理が得意だったので、社会に回す時間を数学に充てることができました。

というのも、世界史と地理に関しては先生が一度言及したり、自分で見たりすればたいてい覚えられたからです。

Ron君は地理がずば抜けて得意です。私には、ディスレクシア的な得意さだと感じられます。歴史と地理、さらには地学にまで、さまざまなストーリーやトリビアや因果関係がからみあった壮大な知識体系を、着々と拡張しています。「一度知識がつながり始めると、どんどんつながっていく」とも言っています。



世界史の用語は、書いて確認していました


ディスレクシアを持つ人は得意科目はとびぬけてできる傾向があるようなので、社会は主要教科ではありませんでしたが、主要科目の数学等が得意な人は受験に有利なはずです。


Q:在籍校は特性持ちに寛容でしたか?

在籍校が特性持ちに寛容だったかどうかは分かりませんが、努力をしていれば温かい目で見られ、放課後は部活があると言えば、追試の時間を昼休みに融通するなどはしてもらえました。

Ron君らしい、あまのじゃくな発言ですね( ´_ゝ`)

「学校の東大クラスの誰よりも、勉強量は多かったと自負している」と、しんみりと本音を語ったこともありました。

努力しっぱなしの6年間でした。


Q:自分がディスレクシアだと知ってどう思ったか? 現在はそのことをどう捉えているか?

僕が自身にディスレクシアの可能性があると知ったとき、幸か不幸かその場にディスレクシアの代表例としてレオナルド・ダ・ヴィンチやアインシュタインのポスターが貼ってあったので、ショックを受けるどころか、むしろうれしく思いました。

現在では、ディスレクシアの人はたしかに定型の人に比べると不得手な分野も多いですが、それこそアインシュタインなどのように自分の得意分野においては圧倒的な能力を示すことができ、その得意分野を生かすことができるような環境にいることができれば、そこらの人より輝けるのではないかと思っています。


Q:中学のとき(入塾時)の英語力について語ってください。/もじこ塾に来て,英語は読めるようになりましたか?(正直,どのくらい英語ができますか。)

入塾時、つまり中学二年生のときの英語力は、英文を作るときは名詞や動詞等を並べるのに手いっぱいで、冠詞や三単現のSなどを考える余裕もないほどでした。 

最終的に英語力は一般的な東大受験生レベルになりました。

Ron君がもじこ塾に来たときは、「英検3級に合格したら、もうもじこ塾では面倒を見れないので卒業ね」と申していましたが、結局は二度の東大受験まで見届ける展開に。

いっぱいいっぱいだった中2時代から、東大受験まで戦えるようになるとは。。(T T)

「英語(だけ)ディスレクシア」の成長過程を見せてもらいました。


Q:もじこ塾に通っている生徒に、激励のことばを。

僕の経験では、学力とはいくら努力してもすぐには結果は出ず、ある日急に上がるものでした。

特に特性持ちの人に関しては、八割がた電気回路を完成させても電気が通らないように、完全に理解するまでその分野の成績は上がらないので、普通の人よりも時間がかかるようです。

しかし、できるようになったら最後急速に伸びるので、いつ来るともわからないその日を夢見て頑張って欲しいです。

ちなみに僕は本気で受験数学を勉強し始めてから、その伸びを実感するまで一年半以上要しました。

英語に関しては数えることが難しいので、割愛します。

あまのじゃくですね(笑)。
割愛されちゃったので補足しますと、
浪人の【→現役の】2月中旬に伸びを実感するまでには、フォニックスの定着(中学時代すべて)、構文把握(高2)、その後の圧倒的な多読(高3~浪人)、シャドーイング(高3~浪人)、鉄壁(高1~浪人)という長い長い下積み時代があったというわけですね。

現在は、大学の課題でペーパーバックを読んだりしているようなので、英語力は維持orのびているようです。一方、びっくりするような読み間違いを生徒の前ですることもあり(Ron君のことなので、生徒の気を楽にするために、わざとしているのかもしれませんが)、一般基準からみたらもう十分に英語が出来る人の域に達していても、読みの苦労はずっと続いているらしいと知る瞬間があります。

それはそうと、比喩で語るあたりが、すでにディスレクシアですね。


Q:将来の夢を1行でどうぞ。

僕の夢は、自分の能力を理解してもらえる職場で、自分の才能を生かして自由にやりたいように働くことです。

★  ★  ★

いまは気象予報士になるための勉強と、海釣りに熱中しているRon君。
「努力が実を結ぶとは限らないが、後悔しないように腹をくくって努力するしかない」だったら明るくいきましょう、というのが彼のスタンス。
もじこ塾の新人助手として、中1から高2さらには浪人生まで至る、非常に幅広い学年の生徒たちにとって、良き先輩となってくれています。


Ron君とともに、もじこ塾のコミュニティは成長を続けます!


2023-05-19

NHK Eテレ「ハートネットTV 学習障害」にもじこ塾の助手が登場!


NHK Eテレ「ハートネットTV 学習障害」にもじこ塾の助手が登場しました!



「ディスレクシアとはこういうものです」と人に説明するのに最適な番組です!

NHK Eテレ「ハートネットTV」学習障害
[再放送]

NHK for Schoolでも視聴できます:

前編①(もじこ塾関係者が、対談に臨みました)→
前編②(文字の歴史、ICTの活用で授業についていけるようになった小学生)→
後編①(対談の続き)→
後編②(UDデジタル教科書体開発者、高田さん登場)→



この番組の取材に、もじこ塾は全面協力。

18歳以上の生徒と助手、総勢14名が取材を受け、助手と卒業生の3人が対談の収録に臨みました。

対談はたいへん面白いものに。ディスレクシアあるあるがいっぱいです。文字でも読めます→

対談出演者について詳しく知りたい方はこちら:
柳沢くん→ さえちゃん→ うしさん→




ディスレクシアが、いい意味で普通の人たちである一方、社会生活や勉強で人知れず悩みを抱えていることも、上手に伝わっていると思います。

なお、柳沢くんとさえちゃんによると、
みなさん対人能力が抜群に高いので、すぐに意気投合し、終始和やかな雰囲気で進んだそうです。台本なし、司会なしで3時間、会話のキャッチボールを続けたとのこと。
さすがディスレクシアです。

★  ★  ★

番組は、
  • ディスレクシアとは何か
  • 当事者の感覚や困りごと
  • 「学習障害は文字重視の社会によって作られた」
  • ツールの効果:「タブレットで、学校生活は大幅に楽になる」
  • 配慮の効果:「一人ひとりにあわせて学び方(配慮)を変えることで、(以下同)」
  • 「とはいえ、全ディスレクシアに一律に効く方法はない」

・・・を、わかりやすく説明しています。

インタビューも、スタジオトークにも、刺さる言葉がたくさんありました。


ディスレクシアの読み困難の理由
ディスレクシアの読み困難の仕組み


以下、スタジオトークより




(https://twitter.com/nhk_heartより)



…一方、開発や制作を行う側は、ディスレクシアが「大幅に楽になる」のを実現するために、膨大な工夫と労力を注いでいます。

プロとは、この工夫と労力をまったくいとわない人のことを言うのでしょうね。


(高田さんの近著『奇跡のフォント』はディスレクシア界隈の新たな必読書。知識もパワーももらえます!)

★  ★  ★

今回の番組ディレクターさんは実は、もじこの予備校講師時代の教え子でした。
ディスレクシアの番組を作るにあたり、私のことを思い出してくれました。

受験生の頃から語学力がものすごく高く、かつ細やかな気配りや弱者へのまなざしを持つ彼女。
謙虚で物静かで、学究肌ですらあります。

彼女ははじめ、「ディスレクシアの人に会ってみたいです」と、もじこ塾に来ました。
(NHKの方々は、カメラを回さない取材を、それはそれは長時間行います)

「ディスレクシアって、嗅覚で会話するような感じでしょうか?
(それはつまり?)かりに嗅覚に情報が乗っているとして、周りはそれを使って会話しているのに、自分だけわからない。
ディスレクシアもそういう感じでしょうか…?」

この比喩を聞いた生徒や助手たちは「この人はわかってくれる」と心を開き、結果として、18歳以上の生徒と助手、総勢14名が取材を受けました。
取材は連日、夜遅くに及びました。

話を聞いてもらった人たちは「あ~いろいろ話せて楽しかった~」と興奮気味でした。
たいへん聞き上手なディレクターさんです。

取材を通じて彼女がたどりついたのが「ディスレクシアは多彩である」

ほんとそうです!
私もディスレクシアを知ったときは、最初に会った5人ほどの生徒は「かぶりなし」というほど、全員が違いました。なかには、当時は違うと思っていましたが、後になって「あの人もそうだったかも…」と思うケースも。。

「ひとりに密着しようと思っていましたが、対談のほうがよさそう」と言って帰っていきました。

そうして形になったこの番組。
「放送直前まで『あれでよかったのか、何か足りないものはないか』と悩みます」とのことでしたが、なかなかどうして!
ディスレクシアの定義から、当事者感覚、ツールと配慮、注意点に至るまで、必要な情報をバランス良くまとめています。
くり返しますが、ディスレクシアとは何かを人に説明するのに最適な番組です。

何より、明るくさらっとディスレクシアを説明していて、「あなたの周りにもきっといる」「工夫次第でハッピーに生きられる」「その工夫の様子は非ディスレクシアにも力を与える」という雰囲気に満ちているのが、すごくよいです。

☆  ☆  ☆

個人的な感想になりますが、
非ディスレクシアの元教え子が、もじこ塾を訪ねてきてくれて、一緒に仕事ができたことが、しみじみ嬉しくて(T T)。

もじこ塾を作るにあたり、予備校講師としての過去は置いてきたつもりだったので…

ディスレクシア英語教育で身を立てるには、いちから出直すくらいでないと無理だろう、
ここまでけっこう頑張ってきたけど、そんな実績を笠に着るようでは、この道は到底務まらないだろう…

かっこよく言えばそんなことを思って、全部置いてきたつもりでしたが、
ここへきて昔の生徒(と言ってもみなさん、社会人として立派に活躍しておられます)から、紹介や連絡を頂くことが増えてきました。

非ディスレクシアの方と一緒に仕事ができ、ディスレクシアが広まっていくことが、本当にうれしいです。

もじこ塾の設立目的は社会変革です( ̄ー ̄)
でも、ひとりで進めているうちは、ゲリラ戦なんですよね。
高田さんしかり、ディレクターさんしかり、心ある組織人のアンテナに引っかかることで、ゲリラも社会変革の流れに加われるのかも・・・と感じます。

ディスレクシアの存在が広まってほしい、特に教育現場の人に知っていてもらいたいというのが、取材と対談に参加した人、さらにはもじこ塾関係者全員の願いです。
よろしくお願いします!


2023-03-15

3/22(火祝)、受験報告会を行います!

今年も、受験報告会を行います!


 

お申し込みはこちらから→


共通テスト、そして東大入試へ。
英文読み上げと時間延長の合理的配慮を受け、東大の一般入試に挑んだ受験生が、
読み訓練と配慮入試を語り尽くします!


今年の受験報告会は、もじこ塾で英語の読み訓練を5年間受け、合理的配慮を申請して東京大学の一般入試に挑んだ生徒が、配慮入試と読み訓練について語り尽くします!!
本人の意向により、アーカイブ配信は行いません。当日視聴のみとなります。
ふるってご参加ください。
※模試の成績、WISCの成績などを公開する意向のようです。


●登壇者プロフィール

中学受験を経て御三家レベルの中高に入学するも、英語があまりにも出来ず、不登校気味に。その後、もじこ塾に通うようになり、読み訓練を開始。高校卒業後から配慮申請のための準備を進め、1浪で大学に合格。

共通テスト、早稲田大学、東京大学に、配慮入試で臨む。


●当日話す内容

自己紹介(WISCなど)

どうやって勉強してきたか

読み訓練の様子

配慮を獲得するために行ったこと

支援を受ける身として思うこと

次の入試で配慮申請を行う人へ



●もじこ塾より

この生徒は、ディスレクシアと協調運動障害があります。超進学校に入るも、英語が読めないことから大変な苦労を経て卒業しました。高校では配慮は受けていません。

高3時に本格的な検査を受けて自分のディスレクシアの重篤さを知ったのをきっかけに、配慮入試の道を模索するようになりました。

大手予備校ともじこ塾で勉強を続けて、大学受験に挑みました。


入試前の配慮の打ち合わせには、もじこ塾も支援者として同席しました。このとき、入試実施者は合理的配慮について公に語ることを許されていない以上、今回の経験を記録し伝えるにはこちらが語るしかないことを悟りました。


今回の経験が、似たような配慮を必要としている人たちに届くことを願い、この受験報告会を行います。

関心のある方のご参加を、お待ちしています。

お申し込みはこちらから→

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昨年の受験報告会は、生徒2人がAO入試を語り尽くしました。
あわせてどうぞ!→

合格体験記(HSくん)

受験報告会で話す生徒の、合格体験記です。

詳しい話を聞きたい方は、ぜひ受験報告会へ→

1浪、中高一貫卒

◎早大先進理工学部 (時間延長)

×東大理II (時間延長、英語読み上げ)

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Q:もじこ塾をどうやって知ったか。入塾の決め手は?

カテキョのサーチ能力、親の判断。

在籍中学のOBである家庭教師さんが検索して、ここを見つけたようです。まだ設立2年目のことでしたか。。


Q:他の塾との兼ね合いは。英語はもじこ塾以外でも勉強したか?

予備校とガンガン併用。時間は無かった。

英語は駿台(高1、3)、河合塾(浪)。

結局タイムパフォーマンスが絶望でしかないのは事実。仕方ない。

予備校には、「英語はかまってくれるな、専用の塾に行っているから」と伝えてあったようです。先方もそれに納得していました。


Q:入塾を考えている人へ、もじこ塾はどんなところと説明するか?

(保護者へ)一般論として、子供達は年上の子の行動(や行事)を見て成長していきます。定型の子は学校で先輩を見るだけで十分です。もじこ塾に入塾できる子たちには、それで十分でしょうか?

もじこ塾で、先輩が多かれ少なかれ障害に向き合いつつ社会に出ていくのを見るのは、とても有意義ではないでしょうか。

(後輩へ)英語だけの補習塾。英語以外は頑張ろうぜ。中受なり何かしら突破できたならそれなりだよ。がんば。

7年目を迎えたもじこ塾の最大の資産は、先輩の存在です。ここでは、たくさんのディスレクシアの大学生や大人に出会うことができます。


Q:もじこ塾で勉強したり話したりしたなかで、特に印象に残っていることは?

先生が一番すごい。なんで日替わりで読める単語が変化する学習者と向き合えるんですか・・・

本人は諦めて向き合いますけど。

いやいや、生徒のほうがどう考えてもえらいですよ。彼にはリスペクトしかないです。


Q:ディスレクシア的に、英語の勉強において特に大変だったことは?

何もかも大変。勉強じゃなくて訓練でしかない。


Q:ディスレクシア的に、大学入試や受験勉強において特に注意するべきことはあるか?

一般、一般+配慮、AO推薦の選択はよく考えるべき。

僕と同じように、難関校に迷い込んだなら頑張ってみるのがいいと思う。


Q:逆に、ディスレクシア的に、大学入試や受験勉強において有利に働いた点はあるか?

皆無。逆に、自分の中で相対的にマシな側面も、絶対的には天才ではないことは自覚しよう。

いや、彼は予測能力が超絶に高かったです。「A」と「C」と書いてあったら、間には「B」と書いてあるだろう・・・という種類の予測の精度が、普通では考えられないほど的確でした。これはディスレクシアのシミュレーション能力の高さだと私は思っています。


Q:自分がディスレクシアだと知ってどう思ったか? 現在はそのことをどう捉えているか?

英語できないもんなあ・・・

今もあんまり気にしてない。成績悪くても卒業できたし・・・(入試で死ぬほど意識することになるのはまた別件だと思う)


Q:もじこ塾に来て,英語は読めるようになりましたか?(正直,どのくらい英語ができますか。)

伸びた。英検準1受けるとか言える。

彼はシャドーイングをやって初めて、英語が少しは読めるようになりました。

この話はきっと、受験報告会で詳しくできることでしょう。


Q:中学のとき(入塾時)の英語力について語ってください。

A is a apple←ローマ字と一緒だからOK!

B is a bear←ベーあ?ベー?あー、「ベータ(β)」かな?許す

C is a crown←シーだよ?くって読むわけないじゃん。馬鹿?


Q:もじこ塾に通っている生徒に、激励のことばを。

え、僕は卒業まで一度もこれ読んでないよ?

とりあえず、このメッセージを受け取ってるだけ僕よりラッキーだから、もう1日ぐらいは頑張ってね。

できたらk日目とk+1日目も頑張って欲しいな。

気になったら数学的帰納法の優しい説明をググってみよう。

先取り勉強はすごく役に立つよ。

「淡々と、先のことを深く考えずに、目の前の課題を頑張りましょう」ということですかね。もじこ流に翻訳すると。


Q:将来の夢を1行でどうぞ。

多分何かを頑張ってる。ほどほどを加減するのが得意になってるといいな。


追加
Q:在籍校は、特性持ちに寛容でしたか。
寛容でした。

Q:勝因は何だと思いますか?
配慮獲得
配慮はよく分からないと思うなら、とりあえず獲得しましょう。
最寄りのスクールカウンセラーへどうぞ。
気持ちの整理は入学後で。

高校では配慮を受けていません。1浪決定後、動き始めました。
彼もまた、もじこ塾の他の例にもれず、保護者の助けを一切借りずに、自力で配慮申請を行いました。これがなかなかに大変で、かつだからこそ、本人に適した配慮を受けることにもつながりました。詳しくは受験報告会で・・・

最後に追加して書いときます。
Q:もじこ塾への要望は?
綺麗な雑居ビルの1階分使えるぐらいまで拡大して欲しい。
中受で上位食い込んだのにコレでドロップアウトしちゃいそうな子を救い続けてほしい。
拡大してもアットホームな雰囲気だけど、ガチな時にはしっかり伴走してくれる。そんな空間であってほしい。
・・・ありがとう、この塾はHS君と育てたようなものですよ。
これからもがんばります。

2023-02-03

もじこ塾は6周年を迎えました!

祝・6周年!



中高生対象の塾にとって6周年というのは、特別な区切りの数字です。

中1の最初から来ている生徒が大学を受験するまでの期間が、ちょうど(?)6年なのです。

実際、今年のもじこ塾には、中1の最初から通い続けて、いま大学受験に臨んでいる生徒たちがいます。

当人たちは入試の真っ最中につき、6年間を振り返る心境では全然ないのですが、私は勝手に感無量(泣)。

中1の最初の頃、あんなに読めなかった生徒は、こういう過程を経て、大学入試を戦うところまで来るのですね!(注:個人差があります)

当人たちには笑われそうですが、この教室で、ディスレクシアの生徒たちと受験シーズンを迎えられることを、幸せに思います。

☆   ☆   ☆

もじこ塾の大学受験生たちは、先輩である助手たちとともに、コミュニティを形成しています。

生徒たちは、何気ない話をしたり、教材を融通し合ったり、漢字の間違いや計算ミスを笑い飛ばしたり・・・困難は一人ひとり違い、志望校も上から下までいるのですが、いい距離感でお互いを気にかけています。

心を病んでいる生徒もいます。そういう仲間にも、生徒たちはほんとに優しい。ディスレクシアな生徒たちのつかず離れずな距離の取り方には、いつも驚かされます。

何より・・・読み能力というものは、地頭とも人格とも無関係であること、

そして、努力は結果に必ずしも直結しないけれども、努力しなければ結果は決して来ないことを、誰よりもよくわかっています。

本当によくできた生徒たちです。

☆  ☆  ☆

6年を経て、6学年分の層もできつつあります。

まず何より、助手の層が厚くなりました。彼ら彼女らの存在は後輩たちにとって、何よりも励みになっています。

一部は配慮入試のパイオニアでもあります。おかげで、もじこ塾には合理的配慮入試のノウハウも蓄積してきました。入試が一段落したら披露したいです。

ディスレクシア関連研究に関心のある方や、教員志望などの学生からのアプローチも増えてきました。「こういうことに関心を持つ人がいるんだ」という気づきは、生徒たちの自己理解に良い影響を与えます。

助手は進路相談にも乗ります。「ディスレクシア的に授業についていけるか(むしろいける)」など、ほかでは得られないアドバイスが飛び交っています。

そして、高校生と中学生…たとえば大学受験生と中1が話をすることで、大学受験生も中1も、お互いに励まされたり気づきを得たりしています。

このコミュニティこそが、もじこ塾の最大の財産です。

☆  ☆  ☆

この教室にいると、ディスレクシアは悪いものでない気がしてきます(これまた生徒には笑われそうですが)。苦労が多いことは事実ですが、その分生徒たちは、思いやりと洞察力のある若者に育ちます。

もじこ塾はこの空間を7年目も、大切に育てていきます。

もちろん、ディスレクシア英語研究もますます続けていきます!発信も授業の合間にですが、頑張ります。

新学期に、新しい生徒さんと出会えるのを、楽しみにしています。