天才たちは学校がきらいだった
1994年出版、原著In the Mind's Eyeは1991年出版。 ディスレクシア(「失読症」)に関する、かなり早い時期の本のようです。
「失読症の人にとっては、易しいことが難しく、難しいことが易しい」「失読症の人は遅咲き」など、印象的なフレーズはいくつもありますが、なかでも1925年にオートンという人が行った失読と学習障害の定義がとても面白かったです。以下(ほぼ)引用↓
「オートンの観察」
- 視力も視覚も正常だが、読む能力が低い
- どもり
- 両手利き
- 一族に左利きが多い
- 話せるようになるのが遅い
- 不器用(だが手先の器用さが高度に要求される分野で成功する)
- 読み方を学ぶ時には障害はないのに極めて綴り方が下手
- 失読症から体験する緊張や失敗から、感情面の問題が生じる
- 一族に同じ症状の人が何人もみられる
「より一般的に確認されている特性」
- 朗読・音読が難しい
- 句読点の決まりを覚えられない
- 文字を書くことが極めて困難
- やることが極めて乱雑
- 時間感覚に乏しい、段取りができない
- 計算能力が低い。九九や「数学的な事実」が覚えられない
- 過度の白昼夢、もしくは極めて活発な想像力。
- 左右、方向感覚の混乱。
- 口頭で複雑な指示を実行できない。
- 振る舞いや外見の成熟が遅い。
- 外国語を学んだり、話したりするのは極めて難しい。
- 丸暗記がひどく下手。
「確度の低い兆候」
- 周りに気を取られやすい、集中力がない。活動過多、運動過剰。
- 衝動的
- 固執する(次の行動に移ることができない)
- 無定見
- 短気
- 口数が多すぎる
- 程良い反応を示せない(例えば異常なほど大声で笑う)
- 母国語が流暢に話せない
- 社会的な未成熟
「その他の特性」
- 大きな閉鎖空間で方向感覚を見失う
- 音が区別できない
- 主要なものと背景が区別できない
- 聴覚の遅れ(聞き取りと理解が遅れる)
- 手で触れることを避ける(触覚に障害があるか、感受性が高い)
- 視覚的、聴覚的な順序がよく分からない
- 比喩、抽象が分からない
- 短期、長期記憶に障害がある(名前や数字を要求されて記憶から呼び起こすのが困難)
- 要求された時に話したり、質問に答えたりすることができない
「肉体的・職業的特徴」
- 特に大きな頭
- 若白髪
- 近親者に数学者、芸術家、彫刻家、俳優、音楽家がいる
- 顕著な美貌
「学習障害に伴う、一般的にはプラスに働く特性」
- 空間的、力学的才能。右脳的技能
- 組み立て玩具、模型、クラフトワークを好む
- デッサンが上手(しかし文字はうまく書けない)
- 「音楽的な耳」が特にいい
- 心の中でイメージを視覚化して、操作する能力が特に高い(高いデッサン能力と結びついている時もあるし、そうでない時もある。他の人々が視覚的な用語で考えないものでも視覚的な比喩で表す傾向もある)