2014-05-04

正高信男教授のディスレクシア用デジタル絵本

正高 信男教授(京都大学霊長類研究所)によって、ディスレクシア用のデジタル絵本が開発されたとの記事が出ていました。


2014年5月3日・日本経済新聞より
この方、たしかサル研究の人じゃなかったっけ・・・?と思いましたが、
どうやらサル研究から人間の言語獲得、さらには言語の不獲得(ディスレクシアを含む発達障害全般)に関心が移っていたようです。
けっこう面白く読んだように記憶してますが、
もう10年前の本なんですね。


アプリ的には、デイジーに似ていると言えそうですね。

一点、あえて言うなら、
4歳の頃は、たいていの子は(ディスレクシアか否かを問わず)読み聞かせが好きなので、
読みの練習をわざわざさせようとは思わないことでしょうか・・・


正高教授の数年前の講演→「人間にとって障害とは何か」 
も見つけました。
印象的だった言葉をピックアップしてみます。

<発達障害が「増えた」原因>
現代日本はコミュニケーションが非常に重視され、しかもその点で画一化が進んでおり、ちょっとでも違っているとはじかれる。
昔は、人付き合いが苦手といっても全然構わなかった。人付き合いがないような職業(第一次産業)を選べば良かった。
だが今は、人口の4%しか第一次産業に従事していない。こうした政治の失敗が発達障害の「増加」に荷担している。

<発達障害が「目立つ」のは中学と大学>
発達障害で一番困るのは中学生。不登校や引きこもりのかなりの部分は発達障害が引き金になっている。
しかし、その根本原因は小学校時代にある。
小学校の頃の勉強のつまづきや友達ができないことへの対処に遅れると、二次障害として中学で問題が生じる。
だが、二次障害にテコ入れするのは非常に難しい。

中学と並んで発達障害の対処が迫られるのは大学。
なぜなら大学の実績は就職ではかられるが、発達障害があると就職が大変だから。

<京大はアスペルガーだらけ>
大学にも発達障害はいるが、京都大学だとアスペルガー傾向の人はたくさんいるがLDは少ない。逆に偏差値が低い大学だとLDは多い。 
国立大学でいうと、富山大学が一番発達障害の方に対する支援をきちんとやっていらっしゃって、コミュニケーションに困難と障害を覚える学生のための支援センターというのをつくっています。富山大学の方に会った時に、「京都大学はそういうことを試みとしてされていないのですか」と聞かれたのですが、「ああ、全然していません」と。その理由は簡単で、教員のほとんどがコミュニケーションに困難と障害を覚えるのですと。 

<「障害」は文化や社会のあり方によって決まる>
24 歳の時、アマゾンでフィールドワークをして1年間暮らしていたが、アマゾンだとアスペルガーで会話が苦手でも何も困らない。ガイドはディスレクシアだったが、猟をして暮らしているので困らない。だが、アマゾンで方向音痴だったら生きていけない。 
日本は逆で、方向音痴は問題ないが、コミュニケーションができなかったら大変。
つまり障害とは、その文化・社会的な状況と文脈によって、それが問題になるかどうかが規定される。

4 件のコメント:

  1. はじめまして。ティアニーといいます。主人も息子もディスレクシアで、その経験をもとに細々と、発達障害の子供たちの塾をしています。偶然にここにたどりつきました。私たちの場合は主人がアメリカ人ということで、アメリカの指導方法などをつかいながら、学習指導しています。日本でのこのような細かいことはあまり知りませんでした。これから度々お邪魔しようと思います。よろしくお願いします。

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    1. ティアニーさん、はじめまして!こちらこそよろしくお願いいたします。
      塾は日本で、それともアメリカで開いていらっしゃるのでしょうか・・・?日本の発達障害、特にディスレクシアへの理解はまだ始まったばかりと痛感しながら、試行錯誤の日々です。ぜひぜひいろいろ教えて下さい!

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  2. 正高先生の講演まとめ,最後2段がキョーレツに頷けました。そうだったのね…。もっと早く知りたかったです。

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    1. こんにちは。3件のコメントありがとうございます。まとめてのお礼で失礼いたします。

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