「中1ショック」(中学に入り、アルファベットが超絶に覚えられなくて、はじめてディスレクシアが発覚すること)について、両手に余る数の方から、非公開でコメントを頂いています。
ほとんどの方が、まさに「中1ショック」に気付いて、検索してこちらにたどりついた、ディスレクシアの子をお持ちのお母さんです。
「小学校のときに何かがおかしいと気付いていたが、学校にとりあってもらえなかった」という声も多く、この問題の切実さを感じています。
私の経験から言うと、
ディスレクシアの子にも、よほど重度でない限り、英語を教えることはできます。
でも、学校の一斉授業では無理です。
文字を最後に教える、別のアプローチが必要です。
普通の子よりも何倍もの反復が必要なので、学ぶ側も教える側も覚悟が必要です。
当ブログでは、ジョリーフォニックスという方法を使って、ディスレクシアの子に英語の字を教えている途中です。
ジョリーフォニックスについて詳しくは、ジョリーフォニックス公式トレーナー、山下桂世子先生のブログが参考になると思います。
キーワードは:
1. 個別指導
1対1がディスレクシア文字指導の鉄則です。誰とも比べないことも大事。
2. 短時間を毎日
アルファベットを入れるためのセッションは、1回約20分程度が限界か。
3. 多感覚
学習者が、2つ以上の感覚を使うようにする。
文字を追ってもらいながら音声を聞く。
言いながら体でリズムを取る、言いながら書く、など。
4. 書く練習は最後
文字を見て、発音できるようにするのが先。
これを徹底してから鉛筆を持ち、字の練習をする。
ちなみに、うちはまず42の音を覚え、ジョリー付属の読み物を4~5冊読んでから、ようやく鉛筆を持ち、字を書き始めたところです。
いくつか質問を受けましたので、答えられる範囲でお答えします。
Q. お母さんでも教えられますか?
A. これについては、ロナルド・デイビス氏の言葉を借ります。
「子どもを心から案じている人なら、ディスレクシア教育は可能である」
具体的な方法については、山下先生のブログの記事が参考になります:
「お家でジョリーフォニックスを教えているお母さん」
ジョリーフォニックスの基本的な考え方については、こちらに書きました:
ジョリーフォニックスを試してみる・その1
また、当ブログのジョリーの進捗はこちらでまとめて見ることができます。
Q. 自分は英語は苦手だが、ジョリーフォニックスを教えられるか?
ジョリーは英語の字の読み方を教える、英語のはじめの一歩なので、
英語がぺらぺらでなくても大丈夫です。
上の山下先生のブログの記事にもある通り、親も教え方を勉強してから(しながら)臨むとよいと思います。
Q. 自分は発音が悪いが、ジョリーフォニックスを教えられるか?
峯松先生と話して、また自分の翻訳者としての経験から思うことは、
「これからの世界は、さまざまな英語が流通する時代である。
日本から出たことのない人が無理にアメリカ風味の英語を目標とするのはおかしい。
堂々と、日本語風味の英語を話していくべきだ」
です。
まるでネイティブかのような英語の発音である必要はないのです。
これからの時代は、インド人はインド英語、シンガポール人はシンガポール英語でがんがん話してくる、その人たちと、日本英語でわたりあっていく時代です。
とはいえ・・・これは、「カタカナ英語で開き直ってよし」という意味とも少し違います。
日本語の訛りはあるけれど、一つ一つの音が英語として分かるようにちゃんと区別されている
(例えば、長いiと短いiがただ単に長さの違いでなく、ちゃんと違う音である)ということです。
その部分さえ理解していれば、「悪い」発音でも、フォニックスは教えられると信じます。
あと、ジョリーは「トーキングペン」がついています。
字をタッチすれば読み上げてくれる(しかも、トーキングペン一本でジョリーの全教材を読み上げてくれる)という優れものです。
これを使えば発音のハードルはきっとクリアできます。
Q. ジョリーフォニックスを子供に教えたいが、何を買えばよいか?
セットを買うのが結局安くつきそうな気がします。
中央右寄りにRのページが開いて置かれている本とフラッシュカードを、最初に使います。
慣れてきたら、ワークブック(字を書く練習ができる)、読み物(赤・黄・緑の本)に進みます。
最後に・・・
アメリカの特別支援教育では、夏休みは「summer slide(夏のすべり台)」、せっかく積み上げてきた学習内容を、夏の間にきれいさっぱり忘れてしまう、魔の時期だと位置づけられています。
それくらい、ディスレクシア教育では、毎日コツコツが大事だということでしょう。
ディスレクシアの子にとっては、長期休暇こそ、字の習得にぜひとも活用したい時期です。
お互い頑張りましょう!!
まとめありがとうございます。
返信削除ディスレクシアや書字の障害についてはなかなか学校に理解してもらえません。同様の状況であるこどもが少なからずいるからです。
気づかれた保護者の方々,あなたが気づけたのですから,お子さんは幸せです。両手に余るほどの仲間がいるのですから,気持ちを強く持って夏休みを活用しましょう!
もんきちママさん
返信削除ほんとにおっしゃる通りです。そして本当は両手に余るどころじゃない数の仲間がいると思っています(ディスレクシアは人口の10%近くいるらしいので)。仲間としてこれからも情報交換させて下さい!
2回ご連絡を下さった九州の匿名さま。
心痛むエピソードをお知らせ下さりありがとうございます。。
ディスレクシアの子は空気は抜群に読めるので、自分の状況を痛切に理解してしまうんですよね。うちの子に「僕はこのままずっとバカなの?」と涙ながらに訴えられた事を思い出しました。
お子さんもまだ中1でディスレクシアかもと分かったのですから、まだまだ挽回のチャンスはあります。お互い試行錯誤でずが頑張りましょう!