コスモ君合格体験記の最終回です。
多くの反響を頂き、ありがとうございます。順次お返事いたします。
ディスレクシア英語指導に生かしていきます。
ディスレクシア英語指導に生かしていきます。
~ ~ ~
①「情報が転回する」
コスモが直接ここに合格体験記を書いてくれることはありません。
思いを文章にするのが非常に困難なタイプのディスレクシアなのです。
一応話を振ってみたところ、頭を押さえて
「情報が転回する…」と言っていました。
「テンカイって何?」とつい聞いてしまいました。
「頭の中に言葉の断片がぐるぐるしてて、順序よく並べることができない」
という意味のようです。
「頭の中に言葉の断片がぐるぐるしてて、順序よく並べることができない」
という意味のようです。
字がまずまず書けるようになったディスレクシアにとっての
次の課題は「文章を書く」ことだと、つくづく感じます。
(うちの子も、卒業文集ではとても苦労しました)
誤字脱字もですが、脳内映像を線形的な言語に構成するのが課題のようです。
(うちの子も、卒業文集ではとても苦労しました)
誤字脱字もですが、脳内映像を線形的な言語に構成するのが課題のようです。
「脳に内視鏡のようなものをさして、頭の中にあるものを壁に写し出したい」
的なことも言っています。
的なことも言っています。
ただ、文章を書くことは非ディスレクシアも意識的に学ぶ技術なので
ディスレクシアでも訓練によってある程度は書けるようになる気がします。
(文章を書くことを仕事にしているディスレクシアもけっこう多いです。
ストーリーテリングが得意なタイプのディスレクシアです)
人にもよるのでしょうが、短期的なディスレクシア作文対策としては
・マインドマップ
・断章を付箋に書いて並べ替える
・聞き書き(指導者がディスレクシアの子に質問を投げかけ、話し合いながら論点を整理する。それをもとに作文内容をふくらませていく)、
・添削を受けては書き直す
・・・あたりが有効だろうと推測しています。
長期的には、読み聞かせや読書といったインプットが大事だろうと思います。
「自分がディスレクシアでも日本語の読み書きには困難を感じないのは、幼い頃に読み聞かせをたくさんしてもらったから」という意見も頂きました。
「自分がディスレクシアでも日本語の読み書きには困難を感じないのは、幼い頃に読み聞かせをたくさんしてもらったから」という意見も頂きました。
ついでに、書くことに関連して、
大学に入っても、定期試験さらには履歴書で直筆が要求されるので
大学に入っても、定期試験さらには履歴書で直筆が要求されるので
高校時代ほどでないにせよ、手で字を書くことは意識して続けたほうがいいようです。
②「考えずに感じようよ!(怒)」
「文章を書くのが苦手」の話をしていた時に出た衝撃発言。
音楽を鑑賞し、その感想を書かされるのは、ほんとにムカつく。
感じるだけでいいじゃないか、
なぜわざわざ言葉にして書かなければならないのかと。
ヨガ教室で毎回言われる「考えるのをお休みして、ただ感じて下さい」
哲学者ヴィトゲンシュタインの有名な言葉
「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」
と重なります。
「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」
と重なります。
一方、いかにムカついたのかを熱く語ったコスモ君を見ていると、
とっかかりがあれば、どば~っと言葉が続くようにも見えます。
その力を作文対策に生かせないだろうか…とも思います。
③「最低限の定理しか覚えない」
数学や物理の定理は、最低限のもの(例:加法定理)だけ覚え、
そこから導き出せる定理は覚えることをあえて放棄して、
いちいち導き出しているそうです。
いちいち導き出しているそうです。
だから解くのにものすごく時間がかかってしまいますが、
ある意味、原理をより深く理解しているとも言えます。
どれが最低限かは、個別塾の講師が教えてくれたようです。
微に入り細を穿って説明してくれましたが、途中からついていけず(笑)
④「落ち込んどるわ(怒)」
次の発言により炎上しないといいのですが…と前置きした上で、
私の観察するところでは、
一部のディスレクシアの人が過集中したり疲れたりした時の様子は、
人を小バカにしているように見える場合がある気がします。
一部のディスレクシアの人が過集中したり疲れたりした時の様子は、
人を小バカにしているように見える場合がある気がします。
疲れると怒っているように見えたり(←うちの子)
ぽろっと答えたことが、人を食ったような物言いと捉えられたり・・・
コスモ君とはこの話でかなり盛り上がりました。
「部活の先輩に『態度が悪い』と誤解されて人間関係が険悪になった、
結局分かってもらえたけど」
「親に『なんとか言ったらどうなの?!』と怒られても、
そんなときは「なんとか。」と返すしかない(爆)そうするとさらに怒られたり」
そこから達した結論は・・・
誰でもそうだと思うのですが、ディスレクシアの場合は特に
「愛されキャラ」になることがサバイバルの秘訣だろうと。
普段から「なんか憎めない、手伝ってあげたい」と思わせることで
疲れたときに「態度が悪い」と誤解されるのを避けられる気がします。
ところでコスモ君は自他共に認める「スーパーポジティブ」です。
ひょうひょうとして明るいと言いますか。
お母さんは「彼の明るさに救われた」と言っています(と本人も言っています)。
私も、「ここまで全敗で何と声をかけてあげよう…」と思って彼に会うと
全然落ち込んでいる様子がなく、ひょうひょうとしているので
「コスモと話していると、こっちが安心させられちゃうよ」と言ったこともあります。
その頃の心境を合格後にたずねると
私も、「ここまで全敗で何と声をかけてあげよう…」と思って彼に会うと
全然落ち込んでいる様子がなく、ひょうひょうとしているので
「コスモと話していると、こっちが安心させられちゃうよ」と言ったこともあります。
その頃の心境を合格後にたずねると
「『ま、何とかなるっしょ』と思う。色々考えてもしょうがないし」と言う一方、
「『ちったあ落ち込めよ』と言われて『落ちこんどるわ(怒)』と思う」
だそうです・・・
直観的に思うのですが、
私には彼のポジティブ思考は、彼が身につけた愛されキャラの一形態で
私には彼のポジティブ思考は、彼が身につけた愛されキャラの一形態で
その下には悲しさ切なさ、諦めをたくさん持っている気がします。
でも、それはがっちりしまい込んであって、そう簡単に表には出てきません。
ひょうひょうとした明るさは、さまざまな誤解を経て彼が編み出し
もはや無意識化している愛されキャラだというのは、言い過ぎでしょうか・・・
もはや無意識化している愛されキャラだというのは、言い過ぎでしょうか・・・
⑤「自分はセカオワの人と同じやつなんだ」
「高校での教師の無理解を正そうとは思わなかった?」と聞くと
「ど~でもいい。言おうと思ったこともない。『ま、いっか』って感じ。」
高校時代は、友達にも一切、
ADHDやディスレクシアについて言ったことはないそうです。
学校ではあえて言わないというのも一つの方法です。
でもそれが諦めから来ているなら、一日のけっこう長い時間を過ごす学校が
それなりに切ない場所になるのもまた事実です。。
コスモはこの点については、初冬のころに心境の変化があったようで
(薬の効果かもしれません)
学校ではあえて言わないというのも一つの方法です。
でもそれが諦めから来ているなら、一日のけっこう長い時間を過ごす学校が
それなりに切ない場所になるのもまた事実です。。
コスモはこの点については、初冬のころに心境の変化があったようで
(薬の効果かもしれません)
予備校でできた友人に言ってみたそうなのです。
その時の伝え方は
「自分はセカオワの人と同じやつなんだ」
「それっけがあるから。いろいろ忘れるし」
「最近こればっかり聴いてる」「聴いてみますか?」と言われて一緒にiPod Touchで聴いた曲。
「『99戦中99敗♪』の心境なわけ?(゚A゚;)」と聞くと「まあ」
「大学では、言う気になったら言うし、言う気にならなかったら言わない。
でも、サークルとかで親しくなった人には、言いたいかも」
大学生くらいになったら、大切に思う人には
自分の言葉でこの特性を言えたほうがいいと思います。
あるいは、この人には言いたいと思える相手こそが
自分にとって大切な人になるのかも…
自分の言葉でこの特性を言えたほうがいいと思います。
あるいは、この人には言いたいと思える相手こそが
自分にとって大切な人になるのかも…
⑥「僕って困ってるんですかね?」
「親は僕のことを心配しすぎる」という流れから出た衝撃発言。
(念のため…コスモのご両親は共通認識を持ち、精力的に動いていますが
過干渉ではないと思います)
「親は僕のことを心配しすぎる」という流れから出た衝撃発言。
(念のため…コスモのご両親は共通認識を持ち、精力的に動いていますが
過干渉ではないと思います)
これはいったい「親に子離れしてほしい」以外ではどういう意味なんだろう、
1)勉強以外では、この特性は有利である/何ら問題ない
2)人より苦労しているが、他人の苦労と比較できないので分からない/
苦労しすぎて苦労に鈍感になっている
3)何か違和感を感じるが、自分の中のもやもやにたどりつけない
・・・いろいろ考えてみましたが、実は全部なのかもしれません。
⑦「自分みたいな人に会ってみたい」
私が最も心を痛めたコスモ発言は
何かの折に「これは保存して孫に見せなよ(笑)」と言ったときに
「自分は結婚とか子供とかとは無理だと思う、
親と同じような生活が想像できない」(T T)
結婚子供の是非はともかくとして、そこまで自信を失ってしまったのか・・・
と悲しくなりました。
と悲しくなりました。
しかしその後、
「実は一度だけ『この人となら分かり合える』と思える女の子に
高校で遭遇した。
高校で遭遇した。
その子は周りから『不思議ちゃん』と言われてたけど、
話してみたら自分にとっては全然不思議ちゃんではなかった(笑)
もう一度会ってみたいけど、今はどこにいるのかな・・・」
と話してくれました。
「この地球上で自分は宇宙人だと思ってずっと過ごしてきたけれど
同じ星から来た宇宙人に初めて出会った」
という心象風景が目に浮かぶようでした。
その後、メールでご連絡を下さっていたディスレクシア受験生の方々の存在が
彼にとっては心の支えとなっていました。
ディスレクシアの人は、他のディスレクシアに会ってみたいようです。
その後、何かに発展するとか、そういう問題ではなく、
どちらかというと、自分を確認するために
ディスレクシアの人に会って話をしてみたいと思うみたいです。
同期あるいは同年代のディスレクシアの人が、
先輩後輩みたいな感じで会って話ができる機会があるといいんだな・・・と感じました。
⑧あいさつはやっぱり大事かも?!
これ以外にも、毎週多くのインスピレーションを与えてくれたコスモ君とは
さぞ感動の別れになるだろうと想像していましたが、
彼は「あっ電車が来た」と言って
ば~っと走って行ってしまいました・・・・・( ゜Д゜)ポカーン
ADHDのなせるわざですね。。。
「大学生になったら、あいさつができるといいね!」と伝えたいです(笑)
コスモのご両親は、大学の勉強についていけるか、かなり心配しておられます。
私が思うに、大学生活は
・自由度が増す分、自己管理が大変、
・テストが相変わらず直筆+時間制限付きである、
・卒論がある場合は文章を書くのに苦労する、
・授業担当教員の間で「この子はディスレクシアだから」といった情報が共有されるとは考えにくい
一方で、
・授業で各種ツールを使える(スマホで録音・撮影)
・レポートで取れる単位も多い(=キーボードが使える)
・興味のある科目の割合が増える
・大学の試験は、友人と助け合って乗り切るものである
・たまたま、彼の進学先には発達障害支援センター的なものがある
(「大学名+発達障害」で検索すると、あればヒットします)
・となれば、教員に上手に直談判すれば配慮してくれそう
・なりたい職業などが明確にある場合、モチベーションを持ちやすい
・ゼミや研究室では、教員と密接に関わるため、杓子定規な扱いを受けない可能性が高い
なので、これまでより苦労は減ると思うのですが・・・
まずは大好きな音楽を取り戻して、大学生活を楽しんでほしいです!
コスモのご両親は、大学の勉強についていけるか、かなり心配しておられます。
私が思うに、大学生活は
・自由度が増す分、自己管理が大変、
・テストが相変わらず直筆+時間制限付きである、
・卒論がある場合は文章を書くのに苦労する、
・授業担当教員の間で「この子はディスレクシアだから」といった情報が共有されるとは考えにくい
一方で、
・授業で各種ツールを使える(スマホで録音・撮影)
・レポートで取れる単位も多い(=キーボードが使える)
・興味のある科目の割合が増える
・大学の試験は、友人と助け合って乗り切るものである
・たまたま、彼の進学先には発達障害支援センター的なものがある
(「大学名+発達障害」で検索すると、あればヒットします)
・となれば、教員に上手に直談判すれば配慮してくれそう
・なりたい職業などが明確にある場合、モチベーションを持ちやすい
・ゼミや研究室では、教員と密接に関わるため、杓子定規な扱いを受けない可能性が高い
なので、これまでより苦労は減ると思うのですが・・・
まずは大好きな音楽を取り戻して、大学生活を楽しんでほしいです!