おかげさまで子は中学生になり、先週は入学式と保護者会がありました。
子は制服も生徒手帳もない、とことん自由な学校に入りました。
入学式の時、「この学校は、日本が戦争に向かっていく時代、
教えられたことだけきちんとできる人を育てる学校が中心だった頃に、
自分の頭で考える子供を育てたいとの思いから出来た学校です」
との話がありました。
単なるのびのびではない、筋金入りの(?!)自由です。
保護者会で学年主任の先生から「自由」について説明がありました。
ディスレクシア・ジャーニー的に心に響く内容だったので、紹介します:
この学校の「自由」とは、自分らしくそこに存在するということ。
自分らしく在るなかで出てきた考えを、自分で信頼できるということ。
自分の考えを自分で信頼するには、
他者にありのままの自分を受け入れてもらう経験が不可欠。
なぜなら、人間とは他者とともに生きるものだから。
教室には、さまざまな個性や考え方を持つ子がいる。
そんな異質な子たちが、互いに信頼しあうなかで、
議論しながら導いた知識は、一生忘れられないものになる。
そんな「異質の協働」が目標である。
(ノД`)ここでなら自己肯定感が育まれると思いたいです。
しかし!!!!
英語の教科書は、最初から字が読めることが前提かというくらい、
例外読みの単語がバンバン出てきます(校内自作の教科書です)
やはりそうきましたか・・・
~ ~ ~
前置きが長くなりましたが、
小5の夏休み終わりにジョリーフォニックスを始めてから
英語学習がどこまで進んだか、書いておきます。
長いですが、どなたかの参考になれば幸いです。
先に結論を申しますと、
「実質1年強、ジョリーで英語の文字-音対応を勉強して、
中学英語の最初の1ヶ月分の貯金ができた」
小6の夏休みから1月末までは国語と算数に集中していました。
なので以下は、小5の2・3学期、小6の1学期、小6の3月の学習成果です。
受験がなかったらもうちょっと貯金ができたと思うのですが、仕方がないですね、、
☆ ☆ ☆
・ ジョリーのかなめである、基本の42の音文字対応は、
小5の2学期で、ひととおり終わらせることができました。
(非ディスレクシアならもっと早いと思います。まあこんなものでしょう)
使ったものは、エクストラの本★とペン、フラッシュカード、ホワイトボードです。
うちは使ってませんが、iPhone用アプリ★も役に立つと思います。
音と文字の対応を教えたこと(シンセティック・フォニックス)は、
ディスレクシアにとって非常に、非常~に効果があると断言できます。
「他の方法では入らなかったものがこれなら入った」というのもそうですし、
今後も困難が続く英語学習を、少し進めやすくする土台ができました。
そんななかでもジョリーは、相当ディスレクシア・フレンドリーである
ことも実感してます。
例えば、ジョリーの特徴のひとつであるアクション。
今は、読み間違えたりしたとき「この音だよ」と伝えたい時に使います。
字を示すよりも、ディスレクシア的には分かりやすいです。
ダイグラフ(2文字で1音)を早くに教えるのも、良いことだと感じます。
ただし、子音はOKですが、母音は半分程度しか定着していません。
ジョリー学習中は、それなりに正しい発音にもこだわりました※。
さる方から指摘を受けてのことでしたが、そうしてよかったと思います。
ここがいいかげんだと、あとあと似た音の字を混同する気がします。
(※「まるでネイティブ」ではなく、aとu、lとrなどが弁別される程度に)
~ ~ ~
・小5の3学期は、
二重母音の定着がいまいちなのを承知の上で、赤い本に進みました。
この時点で、まだ書く練習はほぼ全くしていません。
赤い本は、読めたというより、暗記したという感じかも・・・
英語のリズムと単語が入ったかな、という感じです。
あと、theやinto、beやweなどのtricky wordsは、このときに多少覚えました。
今見ると、この本はフォニックスのルール通りの単語をできるだけ使うようにしているので、かなりディスレクシア・フレンドリーだと思いますが、当時は「普段英語で生活していない子が、いきなりこの本に進むのは、ちょっとハードルが高いかな・・・」と思ったりもしました。
後に書くBBカードを先にはさんでも、いいかもしれません。
この頃は、自分の手で字を書いてもらう代わりに、フラッシュカードや字のマグネットでスペルしてもらう練習を、よくやりました。
・小6になったら、週1回程度、文字を書いてもらいました。
文字を書くのは、それまでの学習よりも、段違いに苦しい作業です。
1回10分がせいぜいです。
絵を見て英単語を言う、音を聞いて絵を選ぶことはできますが、
音を聞いて字を書かせる(ディクテーション)は、かなり大変でした。
これは今でもそうです。
ブレンディング、セグメンティングとも、この時点ではまだまだでした。
・夏休みには、行の中に字を書くことにも挑戦しました。
1行書くたびに、ぐったりしていました。
~ ~ ~
・小6の2月下旬、半年ぶりに英語を再開。
ブランクにもかかわらず、ジョリーの音文字対応は忘れていませんでした。
ディスレクシアは、prosody(語やフレーズのリズム)は分かるが
phoneme(音素)の認識が弱いとの指摘がありました→★
ならば語のフレーズやリズムから音韻認識に攻め込んでみようと思い、
村上加代子先生のブログで紹介されていたBBカード→★に取り組みました。
BBカード |
BBカードは、「Betty Botter bought some butter」のような、
特定の音がたくさん入った(上の場合はb)
リズミカルな暗誦用フレーズ、64枚から構成されています。
これを1日1枚暗記することにしました。
このカードは、子供に合わせてさまざまな使い方ができます。
ジョリーのBook 1の次のステップ(赤い本に行く前か同時に)お勧めです。
うちの場合、このカードは、英語のリズムを体得することと、
基本的なブレンディングができるようになることを、目標にしました。
うちの進め方は・・・
0)これまで覚えたフレーズの復習。フラッシュカードのようにカードを使う。
1) 新しいカードに進む。
初見で、カードに書かれたいくつかの単語(フォニックスの規則通りのもの)をこちらが指し、読んでもらう。
2)フレーズ全体を読む。
できれば自力で初見で読ませたいのですが、できないので、
こちらが読み上げるのを、まねしてもらいます。
この段階で、意味も教えます。
1回目は、リズムは大変良いですが、細部はぼんやりしか言えません。
(上のフレーズなら、「べったべったべったべった」。)
それを、バランスボールで跳ねたり、ラップ調の動きを加えたり、
「せっせっせ~のよいよいよい」の動きに合わせたり、
早口遅口、芝居がかった口調をとりまぜたり、(全部大まじめです)
50~70回くらい言って、細部をだんだん詰めていきます。
3)完全に暗誦できたら、その日はおしまい。
たいていは、途中休憩を入れて10分言い続ければ細部まで言えるようになり、
一晩寝れば完全に定着します。
日常会話の流れのなかで、時々抜き打ちテストします(笑)。
BBカードは、フォニックスのルール通りの単語が中心であるのに加え、
フレーズがリズム良く作られているのが、ディスレクシアに優しいです。
絵札やCDもあるので、上の方法以外のいろんな使い方ができそうです。
「英語のフレーズはすべてが拍に乗っている」というのは
昨年の冬、山下先生のJolly Musicのセミナーで学んだことでした。
たしかに、すべての英語のフレーズは拍に乗っています!
theやaは拍の前の16分音符のようなリズムで言わないと、通じません。
こうした英語のリズムは、
日本の英語教育が通じる英語のために欠いているミッシングリンクだと思います。
でも、ディスレクシア的には、ミッシングリンクだからという以上に、
リズムを使ってはじめてフレーズが暗記できるから・・・という、
切実な理由があります。
また、「全体から細部へ」のアプローチを好むディスレクシアにとっては、
学校で文法が出てくる前にある程度のフレーズが入っていれば、
細かい文法を理解する助けになるのでは・・・という目論見があります。
この予想が当たっているかどうかは、今後見ていきたいです。
リズムを意識しながら、半分弱ほどのカードを覚えたところで、
中学入学になりました。
~ ~ ~
すると、小3以来教えていないはずのアルファベットを、大文字で書きました!
ジョリーを始めてからは、教えに従いアルファベット順は封印していましたし、
大文字もまだ教えていなかったのですが。。
(ただし、アルファベットの歌は小3でyoutubeを見て耳で覚えました)
小文字の i が出てこない |
「どこで覚えたの?」と聞くと「ゲーム、キーボード、セカオワでいつの間に」。
この子に限って、字の分野で「いつの間に」があるとは・・・(T T)
子は、妖怪ウォッチのコードを書き換えることに一時はまっていて、
改造コードを書きたい一心でキーボードとアルファベットを覚えたようです。
よく分からないですが、妖怪ウォッチとセカオワにお礼が言いたいです(笑)
小3でローマ字が出てきた時は、L・M・Nがどうしても覚えられず、
そこから先が崩壊していました。
それを思うと、アルファベットが書けるようになるまで1年以上かかった
といっても過言ではありません。
もう一つ、大きく進歩したのが、ブレンディングです。
1ヶ月前はいまいちでしたが、教科書を使って試したところ、
1音節でフォニックスのルール通りの語なら、言うことも書くこともできます。
ジョリーを土台にして、BBカードで練習したのが、よかったようです。
例外的なもの、3音節以上になると、あやしいです。
少し書くと、胸をかきむしってもだえ苦しんでます。
あと、bとdは7割以上の確率で、いまも間違えます。
~ ~ ~
ここまでで分かった、ディスレクシア的英語学習の第一歩の軌跡:
・ ディスレクシアが英語の音-文字対応を習得するのは、
非ディスレクシアよりはるかに時間がかかる(10倍は見ていいかと)
・ でも、スモールステップで、毎日短時間のポジティブな反復を続ければ、
ディスレクシアでも読めるようになる
・ 好きなことができると、それを読みたいというモチベーションで習得できる
・ 意外なところを短期間でクリアしたり、逆に足踏みしたりする
おそらくここから先は、学校のテキストの予習と反復・反復・反復・反復・・・
になるだろうと思います。
いよいよ中1ショックを迎え撃つ時がやってまいりました!!