2016-03-18

もじこ塾の指導方針

いろんなことをお待たせしている皆様、申し訳ありません。

もじこ塾の開講が数日後に迫っています。
その前に「もじこ塾の指導方針」を述べておきたいと思ってきました。

ところで、さる日曜日、村上加代子先生にお声がけ頂き、
「読み書き困難を抱える中・高・浪人生の英語指導で気付いたこと」
と題してお話させていただきました。
身分不相応な場であることは重々承知でしたが、
生徒が私の背中を押している!!と自らを叱咤激励して前へ。
終わってみれば、出来はともかく、この時期に話しておいて本当によかったです。

このときの発表内容が「もじこ塾の指導方針」と言えるものなので、
少々粗いですが、その時のパワポから抜粋して少し手を加え
取り急ぎの「指導方針」といたします。読みにくくて申し訳ありません。

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もじこ塾が考えるに・・・

◆ディスレクシアの大学受験生が苦労すること
行動面に問題がないことを前提に
1.単語が覚えられない(特に抽象的なもの、形容詞・副詞)
2.前置詞など、小さな単語を間違える
3.スペルミスが多い
4.小さな読み間違いからくる大幅減点
5.論理が飛躍している
6.時間内に解き終わらない
7.字がきたない
8.調子の波が人一倍大きい

以上を踏まえ、
もじこ塾はディスレクシア英語指導において以下を重視します・・・

0. モチベーションに働きかけること。 全体像・将来像を常に意識した言葉がけ
→ディスレクシアはモチベーションがとにかく重要な人種。
「なぜ英語を勉強するのか?
「これが読めるようになったらどんな自分になれるか?
を何かと意識させる。

そこから逆算すれば、
ある時期には誤字をさらっと流すなど、
省いてよい指導とおさえるべき指導が見えてくる。

ほめることも非常に大事。ほめることで頑張れるスパイラルに入る。
このスパイラルの第一歩は、教師のポジティブな働きかけから始まる。


1.多感覚式であること
→年齢が上がるほど、英語学習は受身的になりがちですが、
ディスレクシアにとっては、多感覚は最後まで、とても重要。
新しい学習事項は「聞く」→「言う」→「読む」→「書く」の順で。


2.「大」から「小」へ常に俯瞰させることを意識する
→ディスレクシアは、次のステップに進んだときに、前の内容が腑に落ちる人種。
「ある程度できたら、どんどん次に進む」が良い。

また、字より語、語より文、文より文章がありがたい。
なので、フォニックスもスピーディーに一周するのがよさそう。


3.主体的な演習を中心に
→「自分が主体的に参加している」という実感が必要。
×ただ聞くだけの講義
×全体像を示さないまま丸暗記をさせる
×書く宿題を課し、真っ赤にして返す
×「いいから黙ってやれ」
◎解く様子を目の前で確認する
11で議論してから書かせる
※もじこ塾では、特に高校生とは、議論を重視します。 


4.すべてのルールを明示すること(でも抽象的になりすぎず)
→1つは、フォニックスが有効だということ。
英語の文字をどう読むかを明示することが、ディスレクシアには不可欠。

→もう一つは、「構文」をしっかり教えるということ。
伊藤和夫を頂点する予備校の英語教育が、得意としてきたことです。

ディスレクシアは、文法・構文の知識を使って単語や音韻の意味を思い出すので
構文・文法知識をしっかりさせることが重要。
それに、文法は単語と比べて、ディスレクシアには覚えやすい。

#これが中1から有効なのだと分かったのが、
#もじこ塾の開講に踏み切った直接のきっかけです。


5.教える側が、英語の体系(文法、歴史)を意識する
◎例外の存在にさらっと触れることで、体系を意識させる
◎意味が通る程度の間違いは許容して、先に進む
◎英語の歴史的知識
(ギリシャ・ラテン語由来の綴り、大母音推移、接尾辞・接頭辞の意味)
早い時期からトリビア的に教える
◎論理展開、テンプレートとなる表現を教える


6.正しい音韻認識は最後にできればOKとする。リズムを重視する
→中1であってもそう。さりげなく直して先に進む。
(ただし、この部分の正確さが、正しいスペリングに直接影響する)
→ディスレクシアは音韻の障害であり、英語の音に関するそれ以外の単位は大丈夫。


7.エピソード記憶を活用する
→物語、ごろあわせなど。
可能なら、雑談もうまく使って単語暗記などにつなげる。  


8.読字ができれば読解はたやすい
→「bdが区別できない子に、もっと難しいことができるはずがない」
と思ってはいけない。
読字を強化する場面と、読解力をほめる場面の両方を入れる。


9. 地道な反復あるのみ
→反復練習には、教師が必要なだけ付き合う。
音読にしても書くにしても、教師が横で見ているくらいが効果的。


10.音声をできる限り活用する
→付属音声があれば必ず使う。
暗記は、スマホに録音した自分の音読を反復再生する、など。


11.逐語訳を要求しすぎない
→大学受験までは、英単語/英文の映像が浮かんでいるようならOKとする。
正確すぎる和訳を要求しない。


12.安心して間違えられる授業に
→特性へのさりげない言及と共感
(その際、ディスレクシアという言葉は特に使わない)
笑いのある授業に。


13.学習方略を自分で言語化させる
→「自分の学習方法を自分で見つける」感覚が大事。


14. 通常とは異なる成長曲線を描く
→調子の波が激しい一方、急にものすごくできるようになることも。
教師が待つ度量が大切。

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もじこ塾春期講習は、キャンセルは出ず、数日後にスタートします。
お申し込み下さった方には、お目にかかれるのを楽しみにしています。

受付終了後にお問い合わせ下さった方々、今回は申し訳ありません。
今後のことは未定です。
決まり次第(4月以降)、ここで発表しますので、またのぞきにいらして下さい。

13日の発表の場についても報告したいし、告知したいことも…
近日中に書きます!

6 件のコメント:

  1. mojikosannomotooshiego2018年7月13日 13:19

    もじこさんのブログに行きついてびっくりしました。私にとっては「もじこさん」ではなく、「もじこ先生」です。先生の御指導により、私は英語に苦手意識がなくなりました。ディスレクシアの方も、もじこ先生だったら指導を受けたがると思います。これからももじこ先生が活躍される様子を、ちらりちらりと覗かせていただきます。

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    1. 某予備校のもと生徒さんでしょうか?おほめにあずかり,痛み入ります。ここまで来てくださり,ありがとうございます!

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    2. mojikosennseinomotooshiego2018年7月18日 21:48

      はい!!あの時は大変お世話になりました。先生のおかげで私は今、やりたい仕事をやることができています。板書の速さ(あの頃は文字はまだ崩壊していませんでした)、みかん時計、そしてあのテンション・・・・
      もじこ塾でもあの頃の先生の姿でいてくれたら嬉しいです。discourse makerの教えは今でも論文を読むときに大変助かっています。
      私はまだ誰かの助けになることなどできませんが、もじこ先生のように誰かの力になれるように、日々精進致します。もじこ先生、応援してます!!

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    3. 2週間もコメントに気づけずごめんなさい!
      朝日に掲載されてから,実はわたくし落ち込んでいたようで…紙面では意識高い系四技能塾と並んで掲載されまして。並べて読むと「もじこ塾の生徒も,もしディスレクシアじゃないなら,みんなこっちに行きたかったんだろうな」と思うと無性に悲しく…
      そんななか,懐かしいも嬉しいコメントを頂けて,とて~も慰められました( ;∀;)
      当時とは比べものにならないほど,私の授業力はディスレクシアの生徒たちによって鍛えられたと思ってたのですが,意外とあの頃も捨てたものじゃなかったかもですね。若い私は毎回の授業で全部出し尽くしてて,必死でした(笑)。
      ご縁に感謝です。お互い,それぞれの場所で頑張りましょうね。

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  2. 子どもが「もじこ塾」で大変お世話になっております。
    先生のおかげで、苦手な英語、低飛行ながらも、学校では平均点辺りをうろうろできています。
    先生のお力がなければ、早々に子は、英語を投げ出していたことでしょう。
    先日、子どもとは別の学校(中高一貫校の進学校)に在籍しているママ達と食事した際、「もじ子塾」の話になりました。
    「普通の子は通えないのでしょう? ディスレクシアの子だけ、すばらしい先生に1対1で、その値段で教えてもらって、くやしい!」と言われてしまいました。
    もじこ塾に通いたい子たち、通わせたい保護者は、大勢いらっしゃいます!

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    1. こちらこそ,いつももじこ塾の授業運営にご理解ご協力を頂き,またコメントまで頂きありがとうございます。「かまちょ」な発言をしてしまい申し訳ありませんでした。
      もじこ塾の生徒が英語を読むのが嫌い(苦笑)なことは百も承知なのですが,苦手をおして無理やり授業するという状況が、思いのほか悲しくなったようです。このことを某生徒に言ったら「でも僕は××を勉強するために嫌いな英語もやるって決めたんですよ」と逆に慰められました(T T)だからもう復活します。ありがとうございます。

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