2013-10-28

ジョリーフォニックスその2・「音→動作→文字」の回路をつくる

「ジョリーフォニックスを試してみる・その1」の続きです。

ジョリーフォニックスは、8月末から始め、週1~2回行っています。
2ヵ月で14の音を教えました。


ここまでのところ、子はかなり積極的に取り組んでくれています。

もっと速いペースで進めたいのですが、
漢字カードもあるし他の勉強もあるので、
現時点ではこれが精一杯です。

家庭教師やそろばんと同じように、曜日と時間を決めてやっています。
「木曜の5時半からはLet's Study Englishだよね」というふうに。
(それ以外にも毎日、何かと単語や表現は言わせています。)


現時点では、
○音を聞いて、対応する文字を選ぶ
○文字を見て、対応する音を言う
ことができます。
×音を聞いて、対応する文字を書く
ことはできません。

タッチペンで、tから始まる語にタッチすると、単語を読み上げてくれます。
(tennis racketとか)
左下にはaction(音と関連づける動作)があります。
tの場合は、「テニスの試合を見ているときのように、首を左右に振りながら、tと言う」
この動作をしたり、大きく空書きしたりしながら、音と文字を覚えます。

文字の音を覚えたら、短い単語を読んでもらいます。
まだ瞬時には読めません。
「c(正解)・・・えーと・・・u(正解)、t(正解)、(c、u、t、合わせて?)・・・cut(正解)くらいのペースです。
子音+母音+子音が言いやすいですが、少しずつそうでないものも入れていきます。
子音+子音は、ノンネイティブのディスレクシアが初見で読むのは、かなり難しいです。
言ってあげても、音を真似するのに苦労しています。

「rocket」という音を聞かせて、作らせてみました。
こちらが作ったものを読み上げてもらうより、かなり難しいです。
本人によると「これを書く?ムリムリ」。

bとdはやっぱり難関。これだけは消しゴム版画で彫ってみました。
この直後に彼は親指をちょっと切りました(;゚△゚)
しかし、そのことがdのループの向きの定着にちょっと役立ちました。


気づいた点を3つほど・・・

1.
フォニックスと言うからには、
それなりに正しい英語の発音を定着させるべきだろうと思うのですが、
子は、a(antのa)とu(umbrellaのu)、rとlなどの区別にかなり苦労しています。
特にrとlは「聞いても違いが分からない」と言います。

rとlが正しく言える臨界期(9~10歳とも言われます)を過ぎてしまったからなのか、
それともディスレクシアだからなのか・・・はよくわかりません。
個人的には、後者のように見えます。
日本語に引きずられてはいないものの、聞き分けにくいように見えます。

(もともと、日本語でも聞き間違い・言い間違いがかなり多いです。)

これが「音韻認識が不足している」ということなのかもしれません?

2.
まぎらわしい文字が増えてくると、やはり思い出すのが大変になります。
bとd、rとl、oとu、nとmがごっちゃになるので、
定着をはかるためにも、ペースを落としました。


3.
音と文字の間に「動作」を入れて覚えるのが、
ジョリーフォニックスの大きな特徴です。
そして、ディスレクシア的には、この「動作」こそが、
非常に重要な「想起のカギ」になっているようです。

文字を見ても「なんだっけ・・・」というときに、
動作を示してあげると「ああ!」とすぐに思い出したり、
文字を見て「それはこれだから・・・」と動作をしてから、音を思い出したり、
音を聞いて、動作をしてから、文字を選んだりしています。



http://www.amara.org/ja/videos/jcOCL1aVIIi5/info/today-tonight-jolly-phonics-at-osullivans-beach-school/


山下先生のブログで紹介されていたTV特集に、字幕をつけてみました。
ジョリーフォニックスをオーストラリアの学力不振校に導入したところ、特にディスレクシアの子に目覚ましい効果をあげた!という話です。

1:00-03あたりで、ディスレクシアの男の子が
「綴りを思い出せないときは、音を思い出すと、動作を思い出すことができる
(そうして綴りを思い出せる)」
と言っています。
この点が、ノンネイティブの子でもまったく同じなので、びっくりしました。
ディスレクシアには、この「音→動作→文字」という回路が、
まずは必要みたいです。

#それにしても、この動画に登場するディスレクシアの子供たちの、
分かる喜びでぴっかぴかに輝いている様子(特に5:09-)は感動的です!!


続き
口で言えればアルファベットも書ける?!






6 件のコメント:

  1. 再びこんにちは!
    夫の母国語はドイツ語なので発音の規則を覚えれば、不規則な綴りの多い英語よりずっと楽に読めるとは思うのですが苦しんできたようです。長いスペルの単語に接するときシラブルごとに読むなど、音の単位を使った覚え方をしてきたのだなと私は感じています。
    「音→動作→文字」の回路作り、私はあきらめかけていた夫の日本語勉強に役立てられるのではないかなと思いました。一度彼に机上でひらがな練習をさせていたのですがなかなか覚えられませんでした。多忙を理由にそれ以後途絶えていたのですが、時々覚えているひらがな見つけてはそのひらがなに対してどんなイメージを自分で想像していたかを言葉で教えてくれました。当時は聞いていて面白い発想だなとは思ったのですが、その発想がなければ覚えるのが難しかったのだなともじこさんのブログを読んで納得しました。
    日本人で何人か日本語教師をしている人を知っていますが、時々彼女らが「ひらがなさえよく覚えられない人がいて授業進度を妨げて困る」というような愚痴を言っていたことが思い出されます。日本に関心があって日本語のコースを取る人が最初のひらがなで躓くのは「怠け」ではないほかの理由があるのではないかと思います。特に成人向けのコースはひらがなに時間をとることはしませんし、オールラウンドに語学の才能がある人に焦点が当てられてしまいますしね。夫のようにカミングアウトしていないとか、もじこさんの言う隠れディスクレシアの日本語学習者も沢山いるのだろうと改めて思いました。今まで夫が日本語コースを受講することはなかったのですが、このことを考えると私が工夫するよりないなと思いました。
    もじこさんのお子さんは、最初のひらがなやカタカナをどう克服したのですか?

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  2. これまた実に考えさせられる話を、ありがとうございます。
    「ひらがなのイメージ」!ご本人的にはそうするしかなかったのかもしれませんが、とても詩的です!
    意外と、ひらがなカタカナ全100字のすべてにイメージや動作をくっつければ、覚えられたりして・・・?

    うちの子は、かなを完全克服したわけではありません。
    読めますが、たくさんひらがなが並ぶと、逐次読みになります。
    また、「しています」を「します」と読むなど、語尾を中心に推測で読んでるな?と思うことが多いです。
    書くほうはもっとひどくて、書き取りならまあ書けますが、作文になると漢字は書かないしひらがなは微妙に間違っています。

    日本語ディスレクシアには、かなが苦手なタイプと、漢字が苦手なタイプがいて、前者のほうがアルファベットの導入には苦労すると聞いたことがあります。
    漢字は表意文字なので、絵として覚えられればある程度克服できますが、かなは表音文字なのでそうはいかないとか何とか・・・

    「ひらがなさえよく覚えられない人」(泣)
    せっかく日本に関心を持ってくれたのに、こういう人を追い払うような日本語教育であってはいけないですよね!

    私の知り合いに、日本語はつらいがアルファベットは読めるというディスレクシアの人がいます(母語は日本語です)。
    なかには、外国語ネイティブで、こういうタイプの人もいるかもしれませんね。

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  3. 「推測読み」のことは夫からも聞いたことがあります。ドイツの古典(近現代?)を授業で音読している時のこと、クラスメートにクスクス笑われたそうです。彼は当時劇などで主役をするほど「音読」はできたのですが、古典は現代では使われないような表現があり、特に文末を自分が話しやすい、若しくは適していると思うように読んでいたそうです。これにはオチがあって、クラスメートにはすぐに勝手読みを見抜かれたようですが、肝心の教師はなぜか生徒たちがクスクス笑うのかわかってなかったのですって。きっとそれだけ朗々と読んでいたのでしょうね。そういったことの一つ一つが私には新鮮な驚きです。

    彼に本をもうちょっと読んでもらいたくて、短編の現代推理小説から一緒に本を読み始めたのですが、今のところ文末を推測読みしている気配はありません。行飛ばしと単語の読み違えが極たまにある程度で、読みはある程度克服しているのかなという印象を受けます。

    彼に、ひらがなの文字全てにイメージをつけるやり方で再学習しようと提案したらとても乗り気になって、早速、あ行とか行のイメージ作りをしています。これについては今後ご報告しますね。

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  4. 興味深い話をありがとうございます!

    教授もディスレクシアだったりして?!

    これは私の憶測ですが、
    ディスレクシアだと、大人になると推測読みが非常にうまくなるのであって、右脳で読むというディスレクシアの特性は終生変わらないのではないかと。
    それはそうとして、なかにはすごく深く読めるようになるディスレクシアの人もいるようです。

    ひらがなのイメージ作り、ぜひ報告して下さい!

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  5. 家庭教師で指導している中2の女の子。listenなど、比較的早い段階で学習し、基本中の基本だと思われる単語も記憶の底の底から手繰り寄せている感じです。非常に内気なお子さんで、しぐさと一緒に発音させる、という方法を本人が「幼稚だ。」と受け取るのではないかと危惧し、まだ試してはいません。
    指導していて気になるのは、お母様のすべてを把握したがる態度です。その割には、何らかの学習障害かもしれないという可能性は全く受け入れず、他人かつこの分野で素人の私はこれ以上口をはさめません。
    みなさんご指摘のように、リスニング力はとても優れていて、ここを強化すれば、とも思いつつ、学校で評価の対象は今もって、昔ながらの書く英語であることを思うと、点数が伸び悩み自尊心、自身も傷つき続ける、という意味で、本当のサポートってなんだろうと、自問自答を繰り返しています。。

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    1. こんにちは。
      そういうお子さんにジョリーはすごく効果があると思います。
      でも中2女子というのは、本当に難しい年齢のようですね。
      子供っぽいことはイヤ、親の言うことは聞きたくない、友人関係が何より重要…
      そんななかで家庭教師というのは、うまく行けば親とも学校と違う立ち位置の人として独自の信頼関係を築けると思います、が、「親が学習障害を受け入れない」となると、ものすごくハードルが上がりますよね。
      「生徒の発達障害をその親にどう伝えるか」は本当に難しい問題です。発達障害の研究会でも、その話になると話が止まってしまいます。

      一つ希望があると思うのは、高校生になれば、本人さえその気なら、親の強力な反対があっても働きかけようがあるということです。
      中学の英語学習が傷つく体験でも、高校で持ち直せれば、英語学習が良い体験として上書きされる。。。と思うしかないですよね。

      細かい話に移りますが、
      幼稚と思われそうなら、まずはアクション抜き、絵本も使わず、フラッシュカードを使ってジョリーの教授法を試すだけでも、それなりに効果はあります(先日、大人相手に試して成功しました)。
      覚えにくそうにしているときに「振りをつけると覚えやすいよ」とささっとアクションをプラスする、
      すごく内気なら、最初は3分くらいだけ、ちょこっとジョリーで字を教えて、
      この方法なら覚えられることを実感してもらえたら、少しずつ増やしていく・・・
      これでどうでしょう?

      家庭教師の立場でそこまで親身に考えていらっしゃるとは(T T)。
      願わくば、そこまで思ってもらえているということを、生徒さんが感じてくれることを祈ります。

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