2013-11-12

ポール・マッカートニー「僕は楽譜が読めない」

祝・ポールマッカートニー来日!
実はわたくし、父(→ディスレクシア)がビートルズの武道館コンサートに行っているようなビートルズマニアの家に育ちました(笑)
I am the Walrusの歌詞に由来すると言われる名前をもらい、
10代の頃はポールマッカートニーの歌で英語を覚えました。
東京公演も父と行ってきます!

そんなポールマッカートニーが来日後のインタビューで、
自分は楽譜が読めない」と言っていたそうです。
(追記:動画を見つけました。こちらの記事に置いておきます)

ポールマッカートニーはディスレクシアかも?と考えて検証してみました。
個人的には、ポールマッカートニーはディスレクシアで間違いないと思ってますが!

☆   ☆   ☆

ポールは楽譜が読めない件については、ずいぶん前から認めています。




ナレーション
1965年には5万5000人を前にアリーナで演奏するロックコンサートを発明したレノン=マッカートニー。彼らは独学であり、誰からも教わらない、天賦の才を持っていたのです。

ポール   …歌うってどういうことか概念としては何も持ってなくて、
       ただ単に歌うことが大好きだった。これまた平凡な答えで(笑)。
       医学的根拠を言えたらいいのだけど…
司会者   (笑いながらさえぎって)
       じゃあ…ビージーズのファルセットはできますか。
ポール   Yaa~♪(ファルセットで歌って)いいえ。
司会者  それに、譜面が読めないんですって?
ポール  ええ(I don't know)。何か問題でも?
司会者  でも驚きですよ。
ポール  みんなの前でこんな告白をしなきゃいけないなんて(笑)…
司会者  史上最も成功したソングライターなのに、楽譜が読めない…
ポール  だって、二人の間では問題なかった、
            ジョンと僕で何をしているか把握している限りは…
      つまり、コードが分かっている限りは。
      二人でメロディを覚えていた。
      だから楽譜を読む必要も、書きとめておく必要も無かった。


と言っています。

同じことが、Paul McCartney: Many Years from Now(p37)にも書いてあります。

「歌詞は書いておき、必要があればコードは書き留めておいたけど、それもあまり構いはしなかった。ただ実際的な目的から、非常に早い時期に二人の間で確立したルールがあった。それは、次の日になったら忘れてしまうような歌は大したことがないということ。作った自分たちが覚えていられなかったら、一般の人たちが覚えていられるはずがないと。
このルールにはこだわった。何年もたって、フィリップスのカセットレコーダーが登場するまではずっと…あれは曲作りに革命を起こした、だって吹き込めばいいだけだから。悪い曲も残ってしまう。
最初のルールが良かったのは、記憶に残るものを書かなければならなかったからで、どちらかが覚えている曲だけが残る。お互いがお互いのテープレコーダーのようなものだった。……
二人とも曲作りをすごく楽しんだ。最終的に二人があれほど強力になったのは、途上の時期にたくさんの曲を作ったからだと思う」




☆   ☆   ☆

英文で検索すると、
ポールはディスレクシア専用の学校の生徒から取材を受けた
という記事がありました。
妻リンダを乳がんで亡くしてから初めて答えた取材らしいです。

BBCの記事の翻訳です。原文は→こちら

ディスレクシア児の学校が新聞賞を受賞


ディスレクシア用の学校の生徒たちが、通常の学校制度のライバルを差し置いて学校新聞賞を受賞した。
ノーザンバーランドのナニーカーク・スクールという、全生徒がディスレクシアの学校の学校新聞が賞を獲得した。この学校新聞には、サー・ポール・マッカートニーやブレア首相へのインタビューを掲載した号がある。
同校の生徒の多くは重度の読み困難がある。このことは、記事の下書きと推敲に多大な労力を必要としたことを意味する。生徒達はワープロのスペルチェック機能とディスレクシア専用の辞書を使ってこれを行った。 
校長のサイモン・ダルビーは、新聞というディスレクシアにとって大きな困難を伴う識字分野のコンテストにおいて、生徒たちが賞を獲得したことをたたえた。 
生徒の多くは読み書き能力で通常より数年遅れている。だからこそ今回の受賞はより一層素晴らしいことだも指摘した。 
この公募大会はニューカッスルのThe Journal紙が主催し、100校以上が参加した。

マッカートニーへのインタビュー
ナニーカーク・スクールの学校新聞はその内容に加え、音声バージョン付きというプレゼンテーションが称賛された。 
サー・ポール・マッカートニーとのインタビューには、ビートルズ結成のいきさつなどが含まれている。 
「僕は学校では余り勉強熱心ではなかった。授業はあまり楽しくなかった。音楽に熱中していたからね。最初の曲は14歳の時に作った。」 
「ジョン・レノンには、リバプールの野外パーティーで出会った。別のバンドで演奏していた彼を見て、そのスタイルが気に入った。話しかけたところ、バンドに入らないかと言われたんだ」



ポール・マッカートニーは抽象画も描くそうです。
後ろの絵は本人画。

この学校、イギリス北部の田園地帯にある、
全校生徒50人ほどの全寮制フリースクール(小中高)で、
生徒は全員ディスレクシアだそうです。
色々うらやましい環境ですがそれはさておき、
なぜこんな小さな学校の学校新聞の取材に、ポールマッカートニーは答えたのだろう・・・?
逆に、普通の学校の取材なら、きっと受けなかったに違いありません。


☆   ☆   ☆


ポール様の曲の素晴らしさについて、ここで延々と語るのは野暮というものです。
ディスレクシア的だなと思う性質だけ、挙げてみます・・・

・ いろんな楽器を弾きこなす。しかも独学で。(ちなみに左利き)
・ ビートルズ時代だけでなく今も、曲が泉のように湧いてくるらしい。
・ 誰の真似もしない。売れなくてもへこまない。独自の存在として50年も第一線で活動。
・ 基本的に、とっても楽天的(だから、底が浅いと誤解されたことも)
・ 目の前に情景が浮かぶような歌詞(ディスレクシア文学の特徴)
・ すべてをあまりに軽々とこなすので見過ごされがちだが、歌唱の表現力もすごい。
曲によって声や発音をかなり自在に変える。南部なまりで歌ったり。
  (要するに音楽の耳が非常~に良い)

・ ひょうきんでお茶目。カメラの前でおどけてみせる。
・ 空気を読むのが抜群にうまい。聴衆の前でも臨機応変な対応が可能。
・ 権威主義でない
・抽象画を描く画家でもある。
・ リンダ(写真家)との間の3人の子供はデザイナー、写真家、ミュージシャンに
・ 年を取るほどに年齢を超越していく。特に発想がまったく老けない。
・今回のツアーで分かる通り、生粋のエンターテイナー!



ジョン・レノンがディスレクシアという説は、ネットでもずいぶん見ることができます。
個人的には、アスペルガーではないかと思っていますが。

一方、ポール・マッカートニーが自身のディスレクシアを認めたという話は出てきません。

でもでも、レノン-マッカートニーがディスレクシア(とアスペルガー)のコンビだったとすれば、ビートルズの独創性は、実に腑に落ちます!

続き:
ポールマッカートニーが楽譜が読めないのは(きっと)ディスレクシアだから


8 件のコメント:

  1. 夫も楽譜が読めないと言う一人です。クラリネットを子どもの頃数年間習っていましたが、その間ずっと楽譜を読むふりして耳と教師の指使いを見てメロディーを空覚えしていたらしいです。夫の実家でちいさなクリスマスコンサートをしたときに、覚えていたメロディーはかなり正確に弾けていました。でも、オーケストラに入るには楽譜が読めないと難しいし、習う先生もディスクレシアについて知らないと教えられないですよね。彼の場合はやっぱりこのクラリネットの先生と相性が合わずやめたそうです。
    私見ですが、夫は読むことより聞くことに注意力が向くのではないかと思います。だから聴力もかなりいい。これは動物の感覚がわかる一つの根拠なのかも。例えば古いデスクランプから発する小さな雑音が不快で集中力が阻まれるといいます。外国語はライティングは苦手でもオーラル・コミュニケーションは上手です。私とは全く逆なんですよね。
    音に注意力があると、ミュージカルや映画、音楽を視聴するときに、音と場面が創り出す面白さを理解できているようで、ポケーットただ見ているより私よりすごくいい刺激を受けているみたいです。

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  2. またまた考えさせるご指摘、ありがとうございます。

    うちの子、ご主人にかなり似てます(笑)
    楽譜は読めません(さっき問いただしたら認めました)
    でも歌を聴けばすぐに覚えることができ、機嫌良く歌っています。
    普通の人より歌うことに抵抗がないです。
    と同時に、嫌いな音に対する嫌悪感も激しくて、、うちにある特定の皿とフォークのかちあう音が嫌い(許容範囲内だと思うのですが)で、ケンカになったこともあります。

    でも学校では聞き間違いが多く、いろいろやらかしてるようですが。

    言葉を聞くのは難しい時があるけど、音楽や音は通常以上に感覚が鋭いということかもと、考えたりもしています。。。
    あるいは、中庭さんの言うように、見るより聞くことに意識が向いているのかもしれないですね。


    クラリネットのエピソード、とってもディスレクシア的です!ご主人、苦労なさったんですね。
    楽譜の読めない(きっとディスレクシアな)人って、けっこう埋もれてるんですね。
    この記事のコメント欄でちょっと語り合いました。当時はディスレクシアと音楽のつながりって、思いも寄りませんでしたが、けっこうあることなんですね。
    http://ondyslexia.blogspot.jp/2013/06/davis.html

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  3. リンクのコメント欄読みました。そうですよね、ディスクレシアがもっと自然に語られるといいですよね。英語圏のアメリカやイギリスはギフテッドというクラスがあるなど、受け入れ態勢が整い始めているようですね。私にはまだ子どもがいないので詳しくないのですが、ここではそんなクラスの存在を聞きません。

    もじこさんのブログを読むと、今まで知らなかったものの、ドラえもんなり、ビートルズなり、ディスレクシア的なものには日常生活でずっと触れ合ってきたんだなって思います。

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    1. >ディスレクシア的なもの
      それどころか、20世紀アメリカの主要な発明・・・電球・電話・自動車・飛行機は全部ディスレクシアの人が作った(エジソン、ベル、フォード、ライト兄弟)んですよね。
      スヌーピーの作者やディズニーもディスレクシアだったらしいですし。。

      日本にはディスレクシアの子専門の学校はないと思います。
      ただ日本の学歴信仰から考えると、個人的にはディスレクシア専門学校を作るよりも、東大や京大がディスレクシアの独創性に着目してディスレクシア枠を作るほうが効果的な気がします。ディスレクシア性をアピールすることで東大京大に入れるとなれば、日本の教育はあっという間に変わるはずです。

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  4. 通りすがりで、コメントすみません。
    小室哲哉さんも、オーラの泉という番組で
    楽譜が読めないと言ってましたね。

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    1. 情報ありがとうございます。
      検索してみるとたしかにそのようですね!
      ネット情報ですが、桑田佳祐も楽譜が読めないらしいですね。
      日本を代表するヒットメーカーが、楽譜が読めないという事実・・・

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  5. 私は、ディスレクシアだと、最近きずきました。今は音大を卒業し、演奏家です(センター試験なしで受験)楽譜だけは読めます。歌詞付きの歌の伴奏をピアノで弾くととたんに、指が動かなくなりました。そしてこのサイトに辿り着きました。ドレミできこえているので、違う言葉(歌詞)が聞こえると混乱します。他の楽器と一緒に演奏するのはなんの問題もありません。なぜならドレミ(音名)で処理できるからです。でももしかしたら、楽譜を読んでないのかもしれません。勝手に指がそこにいくという言い方のほうがただしいかもしれません。 誰か私の脳を調べて欲しいくらいです。ちなみに、ピアノでの歌い弾きもできません。

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    1. はじめまして。コメントありがとうございます。

      このブログにもこれまで何人か、同じことをおっしゃる方がいました
      (歌詞に注目すると曲が入ってこないディスレクシア)

      ポール・マッカートニーは話す延長のように歌っているように見えますが、その真逆の人もいるんですね。

      素人考えですが、楽譜が読めなくても、というか、読めないからこそ、他の楽器と呼吸を合わせたり、あるいは曲の全体的な流れに乗るのが、匿名さんは上手なのではないでしょうか?

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