2014-01-31

Do-IT Japan成果報告会/URAWSS(ディスレクシア検査)を試してみました

中邑賢龍先生率いるDo-IT Japanのディスレクシアプログラムの成果報告会、当事者の保護者も参加可能ということでしたので、行ってきました。
iPadなどのICT機器をディスレクシア指導にどう生かすかについての事例発表会です。
(マイクロソフトが協賛なので、正確にはiPadではなくSurfaceを使っているようです)

その前に。
2週間ほど前、LD児へのiPadの使い方について、ご質問を頂いていました。
届いていないことを案じ、お返事を以下にコピーします。
届いていたらごめんなさい…。
私自身は、iPadの使い方を、今の時点では次のように考えています。


☆  ☆  ☆


結論から申しますと、現状では学校でiPadを使わせるのは、研究校以外ではかなり困難だろうと思います
(こんな結論で申し訳ありません)
・タブレットを学校の授業に取り入れるには、教師(または大人)の誘導が不可欠
・だが現場の教師は、学習障害向けのタブレットの使用方法はもちろん、学習障害についても知識がない場合がほとんどである
・また、高学年になれば、周囲の目もあるし、子供自身も周囲と違うものを使うことに抵抗が出てくる
・・・あたりがその理由です。
もちろん、これらをすべてクリアできれば、問題はないのでしょうが。。


家庭学習用にいくつかアプリはあります。
ブログに書いたものでは:

村上先生は神戸でこうしたアプリも使って指導をする塾をされています。)


実はうちでは、現在ではiPadの学習アプリは使っていません。
漢字カードや視写のほうが効果があがっているのが、その理由です。
iPadは、社会の勉強で何か出てきたときに、画像検索や動画検索して実物の絵を見せるのに使っています。
ディスレクシアだと、映像や画像があると、記憶に非常によく定着するようです。


今週末に、東大先端研で、ディスレクシア児へのICT(→タブレット)使用プロジェクトの成果報告会があります
すでに満席ですが、時々キャンセルが出るようなので、うまく行けば申し込めるかもしれません
(私もキャンセルの隙をねらって今日申し込みました)
めぼしい情報があったら、ブログで報告したいと思います。


☆  ☆  ☆

というわけで、
当日1週間前にキャンセルが出た隙に申し込んで、行ってきました。

当日は数百人のホールが超満員!
全国の特別支援学校から教員が集結しているようです。
肢体障害の子もいます。大変な熱気です。
書籍を物色しているうちに会場が満席になってしまい、
サテライト会場で映像で発表を視聴しました。


そして、結論はやはり、くつがえりませんでした。
iPadは教師力(教材準備力、授業構成力)が、より一層問われるツールである。
本気で導入するには、教える側の強力なイニシアチブが必要である。
授業(要は指導要領)を超える・変えるくらいの勢いで臨まなければならない。

現状では、普通学級にLD児が単にiPadを持ち込んでも、現実的な解決策にはならない。

教師や親は、「毎日こつこつ」といった基本訓練に辛抱強く付き合う度量が必要だ。
(ディスレクシアならなおのこと)


・・・という、やや厳しい結論に至りました。

ディスレクシアに関する発表はこちら。

午前10時00分 「ディスレクシア プログラム」 実践研究事例紹介
奈良県 生駒市立生駒小学校  高橋 順治(発表資料
鳥取県 大山町立名和小学校  内田 利幸(発表資料
島根県 安来市立赤江小学校  井上 賞子(発表資料

この発表の中に出てくる、ディスレクシア検査ツールを買ってみました。
朝日新聞13/06/01の回で紹介した河野俊寛先生らが、作成した検査です。




読み書きが困難な子どもを理解するツールとしてご利用ください。
 ・学習に影響しやすい読み書き速度を評価。
 ・個別でも集団でも実施可能。

・評価のための時間は約40分。
・アルテク(デジタルカメラやスマートフォンなどの身の回りにあるテクノロジー)を使った支援を示唆してくれる。





普通の視写、非語文の視写、黙読と+内容の○×問題、の3題構成です。

あ~非語文は全然書けないんだろうな~、
普通の子の半分くらいのスピードしか出ないんだろうな・・・
と思いながら、さっそく試してみました。

すると、驚くべきことに、
すべての項目でA評価(ディスレクシアでない)が出ました(! ̄д ̄)
非語文のほうが普通の視写よりもたくさん書けましたし、
黙読は全部読め、質問も全問正解してしまいました。(! ̄д ̄)
意表をつく結果です。

「なんだかこの1ヵ月で、読むのがずいぶん早くなったような?」
と伝えると、「最近マンガをいっぱい読んでるからね。ってブログに書いといて」と言われましたorz。


彼がこのテストに取り組む様子は、明らかにゲーム感覚です。
非語文のテストは普通の視写のテストで感触をつかんだので、
ゲームで敵を倒す感覚でガンガン書いてます。

彼が一番できなかったのは、「ページを開けたら、手を膝の上において、先生に教えて下さい」という指示です。
膝を思いっきり上げてみたり下げてみたりして、真面目な「手を膝の上に置く」をなかなかやってくれません。


どうやら彼は、ディスレクシア的な成長を、着々と遂げているようです。
読むのも書くのも相変わらず大変なことですが、読みの「正攻法」(1文字1文字、きちんと読む)でない技術によって独自の読み戦略を編み出しつつあり、それによって一見読めているように見える状態になりつつあります。
本人は、読めているとさえ思っているかもしれません。
だってこの検査の問題を解ける程度には読めているわけですから。。

(何をもって「読めている」と言えるのかは、なかなか難しい問題です。
これについては改めます)


普通学級で、知的に遅れがないディスレクシアなら、
高学年になる頃にはこんな感じになるのは、珍しくないように思います。
なんだか初めて、私が予備校で知るディスレクシアの生徒たちと、つながった気がしました・・・。

☆  ☆  ☆

中邑先生は、ちょっとしたコメントにも、困っている子をどうにかしたい、後進も育てたい、できることからどんどん社会を変えたい、という意欲がびしびし感じられる、謙虚でパワフルな方でした。
自分の特別講演の時間を削って事例発表の紹介にあてるあたりには、現場の先生を励ましたいという思いを感じました。

「モバイル技術を自分の一部にすることで、こういうところ(東大)にだって入れるようになるべき。
もうそろそろ、学校にツールを入れるべきか否かというレベルではなく、教育はどうあるべきかという能力観の議論が学校で行われるべきなのに、まったく行われていない」

というのはまったくその通りです。

残念ながら、そんな議論が公立小の普通学級の教育現場で起きるのは、もう少し先になると思います。少なくとも来年度はないでしょう。
でも、うちの子が親になったときには、ディスレクシア教育が日本でも確立しているといいな・・・いや、確立させようじゃないの(笑)などと考えました。




2014-01-18

ジョリーフォニックスその4・例外を使って規則を定着させる

ジョリーフォニックスの進捗です。

8月末から始めたジョリーフォニックス、基本の42の音は、12月中旬に終わりました。

覚えが悪いので、途中から少しペースを落とし、
フラッシュカードを使った反復学習で定着を重視していたのですが、

「v」まで来たあたりで「ちょっと見ていい?」と
自分でトーキングペンを持って先をどんどん聞き始め、
そこから先の12音は、文字通り一気に進んでしまいました。

(そんな感じなので、後半の定着はいまいちです。)

一通り終わったので、「Jolly Phonics Extra」に入っている本に進むことにしました。


  





←Jolly Phonics Extra。
一通りそろったセット。



赤(レベル1)だけで12冊あります。
なんと1冊目の1文目から仮定法!
しかしネイティブ感覚では、仮定法とか節とかSVOの概念はないわけで。
子もまったく抵抗なく読んでいます。意味も言えばわかります。

注意書きにはこうあります。
「これらの読本は、Jolly Phonics Extraを使って読み書きを学んだ子供のために作られています。
赤(レベル1)、黄(レベル2)、緑(レベル3)の3レベルがあります。
全レベルを通じて語彙が入念にコントロールされており、かつ次第に難しくなっていきます。
子供の読解力向上に合わせて、文章量も増えていきます。
赤のレベルでは、ほとんどの単語は規則通りに綴られており、基本的な文字-音の知識とブレンディングの技術を使えば読むことができます。
トーキングペンで本文をタッチすれば、音声を聞くことができます。
また、ページ中の「?」マークをタッチすると、文章の理解度をはかる質問を聞くことができます。解答に相当する箇所をタッチして答えます。」

green frogの発音はrを定着させたおかげで、かなり正確にできます。
このあたりはフォニックスの成果がすぐに出ます。

>ほとんどの単語は規則通りに綴られており

と言うものの、Theからして、いきなり例外です(泣)。

でも、子は意外と、例外の存在にくじけません。
「これまでやってきた読み方は70%には当てはまるけど、30%には当てはまらないよ。」
と伝えても、「30%も当てはまらないなら意味ないよね」とは言いません。


☆  ☆  ☆


理由のひとつとして、ディスレクシアだと、
フォニックスのルールが分かっていても読むのは大変
というのもありそうです。

上の1文を読むのにも、1語ずつ、ゆ~っくり読んでいきます。
ブレンディングも一発ではすべてはできません(できるものも次第に増えてきましたが)。
1週間毎日同じものをくり返し読んでも、完全にすらすらとはいきません。

そもそも、theを解読するのが、大変なことです。
上の右ページでは、Thenもtheもつっかかり、
intoも規則通りでないので詰まり、
そのあとに出てくるtheも、4語前に出てきたばかりなのに読めません。
傍からみたら記憶喪失かというくらい、辛い作業です。


子はなぜかバランスボールの上に座るのが
非常に得意です。
この上に座ってびよんびよんはねながら
リズムに乗って文を言ってもらいました。
また、ディスレクシアらしく聞き間違いか言い間違いが多くて
He lands with a loud sploshのlandsとloudが入れ替わったりします。


(これについては、
バランスボールに乗ってリズムを取りながら
20回とか30回言ってもらうと
He lands with a loud sploshをまるごと覚えてしまいました。。

一度長期記憶に入ったことがらは、非常に強固です。

これだと字を読むことにならないので、
バランスボールを使った覚え方は別の時に使おうと思います。)


☆  ☆  ☆


読むのは大変なことですが、それでもディスレクシア的には、
フラッシュカードよりも、本を読むほうが、俄然やる気が出るようです。
「これ話が続いてるんじゃん。意味言ってあげるよ。
『ビッグリーンフログはダックの様子をじっと見ていました』でしょ?」
(はずれ~)

このように、ディスレクシアは文脈依存型です。
絵や前のページの内容から、全力で内容を推測しに行きます。

私は今のところ、これを止めるつもりはありません。
こうやってディスレクシアの子というのは、
文脈推測力で文字解読力の弱さを補うものだと思うので。
意味と音を結びつけるのが先、文字を読むのは後、
(書くのはさらに後)という順番でいってみようと思います。


☆  ☆  ☆


それより何より、子が例外の存在にくじけないのは
「ディスレクシアは例外から学ぶ」というのが大きいようです。

ディスレクシア的には、theという例外読みの存在は、
規則的な読み方を記憶・想起するきっかけになっています。
例外の存在によって、規則性が定着しているようです(!)

一方、theについては、
「theは英語で一番よく出てくる単語でね。ものの名前の前につくんだよ。
実は難しい言葉でね、ママの生徒さんが一番苦労するのはtheなんだよ」と言うと納得して、
それからは比較的すんなりtheが読めるようになりました。
(まだ完璧ではありませんが。)

例外については、英語の全体像における位置づけを示すのが有用かもしれません。



☆  ☆  ☆


ディスレクシアの場合、「ルールを完璧に定着させてから次に進む」だと、
つまり「ルールが完璧に定着しないうちは先に進んではならない」と厳格にやりすぎると
かえって定着を阻害するのかもしれません。

多少定着が悪くても、あえて先に進み、
英語の例外を含めた全体像を見せていったほうが、実は定着がよいのではないか?

というのが現時点での私の推測です。



完全にルールが定着しないうちに先に進むと、やがては
スペルミスが異常に多くなったり、読み間違いが多くなったり・・・
といった、私が予備校で見て来た生徒たちのようになるのかもしれません。

でもディスレクシアな彼らは、
「細かいミスは多いけど深く読める、
しかも、どんな文章に対しても自分の意見を持っている」という
大きな長所も持っています。

字面だけ正確に読めるよりも、文脈を深く把握するほうが、見ようによっては有意義な読み方ではないか?

字面が正確に読めないと、途中、入試などでは苦労すると思うのですが、
ディスレクシアである以上、文脈と例外を活用した読み能力の習得に賭けてみたいと、
今は思っています。


続き

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関連記事
ジョリーフォニックスを試してみる・その1
ジョリーフォニックスその2・「音→動作→文字」の回路をつくる
口で言えればアルファベットも書ける?!


2014-01-17

ディスレクシアは例外から学ぶ

The Dyslexic AdvantageのEide博士夫妻のブログの記事を訳しました。原文は→こちら
隠れディスレクシア「ディスレクシアの利点」で当ブログではおなじみ(?!)の著者です。

たいへん示唆に富む話だと思います!


例外から学ぶ
  =内側側頭葉に由来
     =エピソード記憶に関係
        =ディスレクシアが強い分野である

ディスレクシアは・・・
・規則を疑い、壊す人たちである
・「例→規則性」という順番の学習方法が適している
(×「規則→例」ではなく)。
・規則性だけではなく例外を示すことで、規則性が腑に落ちる
・規則性を疑わなければならない場面で力を発揮する

 -------------------
ディスレクシアは例外から学ぶ
(原題:脳の例外から学ぶ)
ある人たちに明らかに見られる学習スタイルがある。
そのキーワードはどうやら「例外から学ぶ」らしい。

幼い頃から規則を疑い、前提に反論するように見える子たちがいる。
「こういうふうに考えなさい」と教え込もうとすると、即座に「ていうか…」と返してくるような子たちだ。

例外から学ぶ学習方式は、新奇性あるいは帰納的学習法と相性が良いようだ。
まず具体例にたくさん触れ、そこから規則性に至る方法。まず規則を教えるのとは対照的)
というのも、「例外を発見する」ということは、規則を問い直し、自分の持っている既存の分類をシャッフルし直す必要に迫られることを意味するからだ。

例外から学ぶ学習者は、説明のつかない事実や信じられないような話からモチベーションを大いにかき立てられる。
すでに知られていること、すでに達成されていること、可能とされていることといった「限界」を、打ち破る話にモチベーションを感じるのだ。


テキサスの研究者によると、例外学習法は内側側頭葉から始まる脳内過程に由来する。
内側側頭葉が興味深いのは、エピソード記憶(個人的に経験した出来事や情景の記憶)が存在するのもこの部分だからだ。

丸暗記よりエピソード記憶が優位な学習者----ディスレクシアの多くはこれだ----は、実際に手を動かして学んだり、例外から学んだり、単純な原理に対し理屈で反論したりといった方法を好む。


例外学習法には弱みもある。
一目瞭然の規則を疑ってしまったり(選択式の設問を深読みしすぎるなど)、ペーパーテストで悲惨な点数をとる(自分にとって意味がわからない間は悲惨な点数を取り続け、腑に落ちてようやく合格点が取れるのだ)。
こういう子たちは、規則性があると納得できるまで観察できる必要があると同時に、規則と例外を区別する程度に、例外にも十分触れなければならない。


例外的思考法の強みは、既存の枠を打ち破らなければならないときに発揮される。
パラダイムの転換が必要な時、問題に対しこれまでにない視点が必要な時は、こうした「規則を壊す人=ルールを破る人」は俄然、力を発揮するのだ。


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規則を疑い、例外が大好き。これはまさにうちの子のことです。
例えば、本人に言わせると彼のサッカースタイル(笑)は
「おれは頭脳派なの。相手にわざと反則取らせたり。反則すれすれを狙ったり」(このあとどういう動きをするかの説明が延々と続く)
このように、どうやって規則の裏をかくかばっかり考えてます。


実は・・・規則の裏をかくのは、私もそうせずにいられません(汗)
「いいから黙って決まった方法に従ってください」と言われる場所にいると
突拍子もない行動に出たくなったり、激しく眠くなったり気分が悪くなったり、
「バカモード」(→突拍子もない行動をとらないよう意識レベルを下げた状態)に入り、
その結果ものを落としたり、段差を踏み外してケガをしたり、ろれつが回らなくなったり・・・といった展開になるのです。
大型ショッピングセンター、テーマパーク、各種式典、PTAの会合(笑)などに行くと、こういう感じになります。
決まったやり方に押し込められるのが、たとえその方が一般には楽だったとしても、脳が受け付けないのです。


ちょっと話がずれたかもしれません。
私の「規則の裏をかくのが好き」は周囲との軋轢を生みがちですが、
私の知るディスレクシアの人たちを思い浮かべるに、彼ら彼女らの規則の破り方には社会との対立はありません。
もっとさりげなく、いつの間にかすり抜けてます。

また、
「規則だけでなく例外を教えることで、ディスレクシアは初めて腑に落ちる」
「ディスレクシアは、簡単すぎる問題でも疑うので、テストの易しい設問でかえってつまづく」
あたりは、さまざまなディスレクシア的学習法に広げられる気がします。
それについてはエントリーを分けることにします・・・

2014-01-11

どんな学校にもディスレクシアの子はいる


「この学校にはディスレクシアの子はいないので、
対応の仕方が分からないんですよね…
もしはっきりディスレクシアだと分かっているなら、専用の学校に行ったほうがいいかも」。

善意でこう言われたら、どう返すべきなのでしょう?


>この学校にはディスレクシアの子はいない

どんな学校にもディスレクシアの子はいます!
気づかれていなかったり、または本人も気づいていなかったり、
怠け者扱いされていたり、または本人が自分を怠け者と思っていたり、
カバーする方法を本人が身につけたので表面化していないだけです。

予備校で見る限り、ディスレクシアの子はあらゆる高校にいます。
いわゆる御三家・新御三家にすらいます(大変な努力の賜物です)
小中高一貫にも、国立大附属にも、都立高の進学指導重点校にもいます。
中堅校にもいます。
おそらくは底辺校にも実技系の高校にもいます。

なお、文科省の調査では6.5%がディスレクシアだと言われています。
欧米では、10人に1人がディスレクシアだと言われています。


>対応の仕方が分からない

→これは2014年現在、ディスレクシアに熱心な教師でも、手探り状態です。
ディスレクシアに適した教え方は、まだ体系化されていないのが現状です。

でも、そこで教える側が「できません」と言うのは待ってと思うのです。

私の今年度の授業経験から言えるのは、
1)生徒によって分かりやすい教わり方は違う
2)どんな生徒も分かりたがっている
3)「キミは必ずここまで来れる」というポジティブな伴走者になる
・・・この3点を念頭におくと、授業は確実に変わる、ということです。

本気を出していないように見える、
ノートがきたない、
一斉授業では伝わらない、
読んだり解いたりするのが異常に遅い、
授業では分かっているような反応をするが、テストでは出来ない……
こういう生徒は、生徒が悪いのではなくて、教え方が悪いと心得るべきです。

ディスレクシアに適した教え方がすぐには分からなくても、
1)2)3)を念頭に置くだけで、生徒がまったく違って見えてきます。
こちらがポジティブに働きかけると、生徒もポジティブに反応してきます。
そこからいろんなことが変わり始めます。


>専用の学校に行ったほうがいい

→残念ながら、日本にはディスレクシア専用の学校はありません。。

でも本当の所、字の苦手さの部分でちょこっと下駄をはかせてもらえれば、
それだけでも本人としてはかなりありがたいのです。

それに、ディスレクシアの子は必ずやクラスに活気を与えてくれるでしょう。
独創的な意見を言うので、クラス討論ではなくてはならない存在です。


・・・ということを、「ディスレクシアの子はこの学校にはいません」と信じている人にそのまま伝えることは難しいですよね。
そもそも「読字障害」という言葉が誤解を招きますね。
はぁ。

2014-01-06

学校の先生にディスレクシア対応をどうお願いするか、のヒント

あけましておめでとうございます。
去年の今頃はほそぼそとやっていたこのブログですが、
数多くのご縁があり、当時の1ヵ月のアクセス数を年末では1日で得るようになりました。
有益な意見や情報を下さった全ての方々に、この場をお借りしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
しかし私の目標である
「ディスレクシアの能力が正当に評価されるための社会変革」
の実現には、しなければならないことがたくさんあります(本気です)。
本年もますます、ディスレクシア教育の考察と実践を深めてまいります。
昨年同様、たくさんのご意見ご指摘をお待ちしています。
どうぞよろしくお願いいたします。


学校の先生にディスレクシア対応をどうお願いするかのヒントとなる本を見つけました。


『どうして声が出ないの?マンガでわかる場面緘黙』



緘黙(かんもく)とは、特定の場所(学校など)だと緊張して話せなくなってしまう症状のことです。
ディスレクシアと緘黙は、"病気"としては、おそらくまったく無関係です。

でも!
この本に書かれている「学校への対処の仕方」は目からうろこです!
以下にまとめてみます。


#実は、ディスレクシアと緘黙には、共通点がけっこうあります。

・脳に原因があり、親のしつけが原因でない
・クラスメイトから誤解されやすい
・「ことばの学級」が近くにあれば有効だが、
  知的に遅れはないため、基本的には通常学級が適している
・子どもを変えようとする前に「子どもの周りが変わる」ことが大切
など・・・

~~~~


(p40)子供の周りの環境の不安を取り除くことが大切。
そこで特に不安の大きな場所である学校への理解と支援のお願いの仕方:

-担任に個人面談の希望を伝える
-子供の特性や状態、学校の取り組み、学校で望まれる対応や支援を、A4一枚に簡潔にまとめる
-簡単な資料を用意
-担任の先生に上2つを渡す
(面談時間は長くならないよう注意)
(最初に渡す資料は必要最小限に。興味を持ってもらえたら追加する)
-管理職との面談希望を担任を通して伝え、校内の全教職員の理解をお願いする
(学年主任や特別支援教育コーディネーターがそろうと理想的)
-可能なら夫婦スーツ姿で面談に臨み、親の真剣さをアピール
#上に書かれたことをほぼ全く実行していない私。頑張ります(-_-)


- 先生方はとても多忙なので、実際にできそうなことを具体的にお願いする。
少しでもこちらのお願いに応えてくれたら、感謝の気持ちも必ず伝える。
#「お願いもスモールステップで」!!目から鱗でした。


-保護者仲間のうち親しい人、これから協力してほしい人には、資料を見せて詳しく説明。
- 保護者会で伝えるときは、「緘黙」(→「ディスレクシア」に置換可能かと)という言葉を使わずに説明するとよい。
# ママ友対応はなかなか微妙です。。
うちは保護者会でのカミングアウトは子に拒否されたのでしてませんが、
子に内緒で、力になってくれそうな何人かの親しいママ友には話しました。
すると、こちらがびっくりするほど共感してもらえたり、
「実はうちも・・・」と悩みを打ち明けられたり。
なんと校長先生への直談判をセッティングしてくれたり ( ̄д ̄)。
ママ友パワーは奥が深いです。



そのほか、「話す」を「読む/書く」に置き換えると、
ディスレクシア対応にそのままあてはまることがたくさん書いてあります。
置き換えて書いてみますと:

・家族が、読めない/書けないことを責めていませんか?
・家庭で安心して過ごせるようにしていますか?
・子供の得意分野や小さな前進に目を向けていますか?
・「あなたが大好き」「あなたの味方だよ」ということが、子供に伝わっていますか?
・担任の先生に理解と支援をお願いしていますか?
・学校の先生すべてに管理職を通して共通理解をお願いしていますか?
・クラス理解を進めていますか?
・学校は、比較的協力してくださっていますか?
・連絡帳などを通して、先生と密に連絡をとっていますか?
・先生に実際にできそうなことを具体的にお願いしていますか?
・先生の対応に感謝の気持ちを伝えていますか?
→これらが全部Yesなら、スモールステップで読み書きの取り組みへ

ディスレクシアの子を持つ親が集まるともっぱら
「学校の先生がいかに分かってくれないか」という話になるのですが、
これを読んで、まだまだ私などは策が足りないな。と思ってしまいました。
あさってから3学期、まずは先生に感謝のお手紙を書いてみようと思います。
「板書を無理に取らなくてもいいよ」と言って下さったこと、
本人はとてもうれしかったと言っています。
ありがとうございます。」と・・・・