ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2017-09-06

もじこ塾だより(3)、by笠野紺さん/秋の予定


BBカードはもじこ塾に欠かせない存在に。
これを導入して、はじめてdoとisが区別できるようになった子も


BBカードについて、詳しくはこちら。昨年行った難波先生特別セミナーのまとめです:
もじこ塾特別セミナー「出来るが先、知るは後、B.B.メソッド」

もじこ塾では、BBカードを使って、神経衰弱、スピード、じじ抜きをしています。
#七並べをしたら、一部の生徒が戦略的すぎて英語の勉強にならず、崩壊しました(苦笑)。
#大富豪もよさそうな気がするのですが、生徒がルールを知らないと言います。


BBカードは、文法事項の定着をはかるために使っており、生徒にもそのことを明言しています:
・毎回きちんとテーマを決めて宣言する。
 例:「今日は、have to/don't have toがテーマです」
・神経衰弱の場合、誰かがとったら、それ以外の生徒達は、例文にhave to/don't have toを加えて順に言う。
・ときどき、中2でも中3でも、単なる疑問文や否定文への言い換えも混ぜる。ディスレクシア的に一番苦手な部分なので。

これは本来の使い方より、少しだけ勉強っぽいのではないかと思います。

読めない・書けない・小さな単語がなかなか区別できない子たちなので、いつの間にか例文を覚えてスラスラ・・・という感じではないです。
それでも神経衰弱にめちゃくちゃ燃えるなか、英語にものすごく拒否反応がある子にも文法を教えられる、自分で文を作る力を鍛えられるという点で、これはすばらしい教材です。

上のマンガにもあるとおり、BBカードで神経衰弱をすると、生徒一人ひとりの記憶戦略も垣間見えます。
数字を使って覚える子、絵で覚える子、なんとなく例文を覚えている子、札の位置を正確に記憶できる子…

上のマンガには書かれていないこと、それはなんといっても、紺さんの助手としてのディスレクシア的な気配りです。
勝負に異常にこだわって切り替えられなかった子を、助手の紺さんは辛抱強くなだめてくれました。ありがとう紺さん。

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★もじこともじこ塾の、秋の予定★

・現在、中2講座@南新宿の新規募集を行っています→

・10月8日
LD学会@宇都宮の自主シンポジウムの話題提供者として発表します!
こちらの記事をベースにした話を依頼されています。頑張ります。

・10月21~22日
アジア太平洋ディスレクシア・フェスティバル@東京の裏方を務めます。
こちらは発表だけでなく、展示もなかなか興味深い内容です。
トマティスのブースで骨導ヘッドホンの体験、山下先生によるジョリーフォニックスの授業、などなど。
ディスレクシア(英語)教育に興味のある方にとっては、とてもお得な2日間になることうけあいです。お申し込みはこちら→

・11月7日~12日
アトランタで行われるIDA(International Dyslexia Association)の年次総会に行ってきます!
以前書いた左右盲の記事で著書を紹介したStanislas Dehaene(スタニスラス・ドゥアンヌ)コレージュ・ド・フランス教授がNew Data on how Literacy Transforms the Brain(識字能力はいかに脳を変えるか)という90分間の講演を行うので、聞きに行ってきます。
これを聞かないと一生後悔する気がするので…往復40時間。もちろん自腹です。応援よろしくお願いいたします(?!)。
※この場をお借りしての業務連絡、申し訳ありません。この期間中のもじこ塾の授業は、受験生を優先して補講を行います。詳細は改めてご連絡いたします。