ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2012-07-20

ディスレクシアはIQと無関係


Dyslexia Isn't a Matter of IQ, Brain Imaging Study Shows(fMRIにより、ディスレクシアはIQの問題ではないことが明らかに)

の翻訳です。




・ディスレクシア=「IQが高い」ではない。

・逆に、ディスレクシア=「IQが低い」でもない。

・アメリカのディスレクシア教育は、「賢いディスレクシアの子が本来の力を発揮できるように」という趣旨になっているが、IQが低い子にも同じ教育方法が役に立つ。

2011928、Science Daily

アメリカでは子供の510%がディスレクシアと診断されている。これまでは、「賢くて話し言葉の能力が高いが、読みに苦労しているような子」がディスレクシアだとされてきた。つまりIQの高さと読みの点数の低さがミスマッチを起こしているような子である。だがあまり賢くない子の場合、読みの問題は知的能力全般の限界に起因させられていた。

このようなディスレクシアの理解が、脳画像を使った新たな研究により、いま問い直しを迫られている。「読むことが苦手な子供は、言語に含まれる音の処理に脳が困難を感じており、このこととIQの高さ低さは関係ないことを私たちは発見した」と、MITの神経科学者、John D.E. Gabrieli等は言う。「読みの困難は他の認知能力とは無関係である」。

この研究結果はPsychological Science誌に近く発表される。読みが苦手な生徒に対する教師のサポート方法を変える可能性がある。

研究は717歳の生徒131人を対象に行われた。簡単なリーディングの試験とIQテストによって、「通常の読み能力と通常のIQのグループ」「低い読み能力と通常のIQのグループ」「低い読み能力と低いIQのグループ」3つのグループに131人を分けた。2つの単語を見せ、韻を踏んでいると思うかどうか訊ねた。このとき、2つの音の類似性はスペリングからは分からないような単語を用いた。fMRIを使い、音と文字をつなぐのに重要な役割を持つ脳の6つの部位の活動を観察した。

その結果、読み能力が低い2つのグループは、IQの高いグループも低いグループも、通常の読み能力のグループと比べて、観察部位の脳の活動が大幅に低いことが示された。しかし、「低い読み能力と通常のIQのグループ」と「低い読み能力と低いIQのグループ」の脳には違いがなかった。「この結果から、脳全体の認知能力が高くても低くても、読みに限定された問題については同じであることが示唆される」(Gabrieli氏)

この研究結果は、読みが苦手な人の診断と教育の両方に重要な影響を与える可能性がある。近日発表予定の精神医学の診断のバイブル、DSM-V(「精神障害の診断と統計の手引き」第V版)用に提案されているディスレクシアの定義の改定は「[IQと読み能力の間の]「深刻な差」の除去に関する神経生物学的証拠が現在のところ欠けている。われわれの研究はこうした面での証拠を提供する初めてのものとなるだろう」(共同研究者Fumiko Hoeft氏)

現在、教育関係者はディスレクシアの中でも賢い子供を対象に、読みと言語に焦点を当てた介入を提供することが多い。つまり、賢いディスレクシアの子の読み能力を本来期待されるレベルにまで引き上げることが目的とされることが多い。反面、その介入方法は「賢さ」が足りない子には無意味だと見なされることが少なくないようだ。読みが苦手な子の脳の中では(IQに関わらず)同じことが起きていると教師が理解すれば、読みが苦手な子なら誰に対しても、同じ介入方法が有益だと分かるだろう。字が読めないと多くを学ぶことは難しいため、これは多くの子にとって朗報と言える。


2012-07-19

東大志望でディスレクシアのR君の覚え書き


東大理II志望・浪人生R君と話したことの覚え書き。
本人には自覚がありませんが、彼は「隠れディスレクシア」だと私はにらんでいます。
集中するときはものすごく集中し、飲み込みも早く、物事を俯瞰もできるのですが、
集中力が切れたり、緊張したり混乱したりすると、びっくりするようなポカミスをします。
今年の東大の試験では、英語は混乱して読めなかった模様。
数学では、答案用紙をさかさまに使っていたことに、回収する時点で初めて気がついたとのこと。

「あなたはディスレクシアだと思う」とは言わずに、集中力をコントロールするための訓練に誘導中です。
彼なら、集中力さえコントロールできれば、実力を100%発揮でき、そうすれば東大だって余裕だろう・・・と考えています。

英語については、構文理解に基づいて読める(たまに地雷を踏む)、要約やパラグラフ整序のように内容を大きくつかむものが得意、英作文のスペルミス・漢字の誤字が多い、今は読解に苦手意識があります(イディオムの知識不足が主因)
知識も実力もモチベーションも十分、集中している時としていない時の差が激しい、スペルミスで大幅に引かれてもったいない、という印象の生徒です。

☆  ☆  ☆


(模試の結果を出しながら)謝らないといけません、、
(第1回駿台全国模試、東大理IIはB判定、英国は偏差値50台、理系科目は60台中盤、数学と化学でほぼ0点の大問が1つずつある。英語は英作文がほぼ満点、読解の大問1つが平均点近い。)
(この読解問題は何を間違えたの?)
適当に読んだら間違った。
集中力がなくなると、「『2つの要素を指摘せよ』と書いてあるんだから、まあこれとこれだろう」的な読み方になり、大きく外してしまう。国語もそう。

(毎日の生活は?)
朝は6時起き。リスニングを聞きながら1時間かけて通学。
8時台には駿台お茶の水の自習室に入り、1時間英語を読む。
授業は一つも切っていない。
帰りはセンター数学を電車の中で解き、近くの図書館で夕食まで理系科目の勉強。
夕食後は家で軽く勉強して寝る。
毎日できるだけ全科目に触れる、英語は毎日、国語はたまにやらない日がある。
予習復習は完全に追いついている、きついけど。
自分には集中力が足りない。(!)


物理は浪人決定後の1ヶ月に勉強したら、あっという間に分かるようになった。なんでこんなことがわからなかったんだろうというくらい。高1~高2でまったく授業を聞いていなかったので。


今年のセンター英語は196点だった、でもリスニングは疲れてしまって半分しかとれなかった。
センターはトータルで9割近くとれていたので、リスニングがとれていれば東大後期に出願できた。

もうすぐセンター模試がある。
朝9時から夜8時まで続くので、集中力が続くか不安。
全科目を1日に押し込まれると集中力が続かない。
集中力がなくなると、とんでもないケアレスミスをする。


数学は、確率が苦手で、微積と空間図形が好き。
計算のケアレスは非常に多い。
答えが出ると「つじつまもあっているし、これでいいだろう」という気になってしまう。
この前の模試でも、はじめに2とルート2を間違えてしまい、完答したのに40点中1点しかもらえなかった。考え方は正しかったんだけど。

文系科目(英国)と理系科目(数物化)の頭の切り替えがうまくいかなくて失敗することがある。
文→理の切り替えは◎◎模試の時、理→文の切り替えは××模試の時に失敗した。

駿台の英語のテキストは過去問が中心。もう去年の時点で全部やってしまったので覚えている(でもスペルミスする)


(空間図形を頭の中で回すことはできるか?)
東大の過去問で正八面体の問題があったが、正八面体を頭のなかで回すことも止めることもできる。止めないと式が書けないので止めたけど。でもその問題は比の計算で間違えた。

(字よりも図のほうが自分にあってる?)図のほうが好き。
(ここで「いちごのショートケーキ」をやってみる。
上からも下からも横からも、ケーキはばっちり見える。
視点を頭の後ろに固定する。
「英作を書くときや読解問題を読み始める前には、まずここに視点を固定してから読んでごらん、そうすると集中力が続くから疲れにくくなるよ」)

これは前に先生が現役の時に言っていた「みかん」と同じですね?
(顔の前にみかんを手に持っているところを想像して、それを頭の線に沿って後ろに投げて、ちょうど頭の反対側にみかんが来るように想像する。その場所に目があるつもりで読む。速読本に書いてあったことの応用)
「みかん」はパラグラフ補充のときにやっていて、うまくいっている。


☆ ☆ ☆

「いちごのショートケーキ」が終わった時のR君は、心ここにあらずみたいな、どこを見ているかよくわからない感じでした。
「ここからケーキが見える?」と聞いたとき、普通に目を開いて左手を見ながら
「上からってことですか?見えます見えます」と言ったのに度肝を抜かれました。
もののたとえではなく、本当に上からショートケーキが見えているんだなと。


2012-07-13

100点!

 

1学期の漢字総復習テストで100点取りました!(T_T)
あらかじめ問題を知らされていたとは言え、、、がんばりました!

Davis式に出ていた「ケーキ」が効果をあげている気がします。



1)
 子に、利き手でない方の手のひらを上に向けてもらう。親は、子の手のひらを軽く支える。

親「ここにいちごのショートケーキが乗っているところを想像してごらん」

親「いちごのショートケーキが乗っているのが見える?」

子「見える」


2)
子の、利き手の人差し指で、子自身の目を指さしてもらう。親が手首を軽く持って、子の手を目元に誘導する。


親「今、ここからいちごのショートケーキを見ているね」

子「見てる」


3) 
親(子の利き手の人差し指の先をさわりながら)「あなたの目は今ここにある」


子「うん」

4)
 親「じゃあ今から目を動かすよ」指さした形のままの子の手を軽く持ち、ケーキの真上に持って行く。

親「ここからケーキが見える?」

子「うーんと・・・・見える」
上からケーキが見えるらしいです。


5) 
次に、子の手をケーキの真下に持って行く。

親「じゃあ、ここからケーキが見える?」

子「うーん・・・見えるっちゃあ見える」


6)
横から、ななめから、上から下から、いろんなところに子の手を動かして、「ここからケーキが見える?」と聞く。ディスレクシアならきっと「見える」と言います。


7)
 親「ケーキは今よく見えているね。じゃあ、この目を頭の後ろに持って行くよ」

集中して読むときに目があると意識する場所と言えばいいのでしょうか
後頭部の後ろ、正中線上の空中に、そっと利き手を誘導する。

親「ここからケーキが見える?」

子「見える」

8) 親「漢字が思い浮かばなくなったら、ここに目を持ってくるんだよ」

子「わかった」

これを3回くらいやったら、次からはケーキを想像して、視点を動かして、最後に後頭部の後ろに目を持って行くのを、自分でできるようになりました。

ディスレクシアの子は対象物をいろんな角度から眺めることができるし、またつい眺めてしまうので、それを利用して視点をいっとき止めることを学ぶ、という趣旨らしいです。


このテスト中も1回、「ケーキ」をやったそうです。


2012-07-09

1学期の漢字、練習中


金曜に、1学期の漢字の全復習テストがあるので、頑張って総復習中です。


漢字総復習テストはこの子にとってものすごく気が重いものですが、

漢字テストごときで性格が曲がることなく、明るくハッピーに育てば、

そのこと自体が、後に続く似たような子にとって、

あるいは、「レールに乗らないといけない」とプレッシャーをかけられている子にとって、

プラスに働くかもしれない・・・

などと壮大なことを考えています。

2012-07-05

読み書きが苦手な子どもへの<つまずき>支援ワーク




























あまりに頭が疲れたときは、最後の5分はひらがなの練習をします。

「読み書きが苦手な子どもへの<つまづき>支援ワーク」を使っています。

この本は、最初に「ひらがな単語聴写テスト」があり、どういう種類の間違いが多いか分析できます。
・清音「あ」など
・濁音「が」など
・半濁音「ぱ」など
・撥音「ん」
・拗長音「しゅう」など
・拗音「しょ」など
・長音「どう」など
・促音「っ」
・拗促音「ちょっ」)

なぜそういう間違いが起こるかまで踏み込んでいて、
(音韻認識が弱いから「っ」が苦手、時間感覚が弱いので長音が苦手など)
とても役に立ちます。

ちなみに子は、濁音・半濁音が思い出しづらく、長音の代わりに撥音を書いてしまいました。



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2013-08-23
『読み書きが苦手な子どもへの<つまずき>支援ワーク』ふたたび



「画」の字

1学期の漢字の復習中。

「画」がさかさまに!