もうすぐ小学校にあがる、ディスレクシアと思しきお子さんに、
ひらがなやカタカナをどうやって教えたらよいか?というご質問を頂きました。
うちは、そのくらいの頃はディスレクシアというものを知らなかったので、
小学校入学前は
「周りの子より字がずいぶんつたないし、自分から読まないけど、保育園に預けっぱなしでろくに勉強を見なかったせいかな」と反省し
(→ディスレクシアは保育園か幼稚園かとは関係ありません!)
小1の頃は
「みんなきれいな字を書くな~、それにひきかえうちのやつは…」
と内心焦りはじめ、
と内心焦りはじめ、
小2の頃は
「そろそろ真面目にやらないと本当に書けなくなるよ!」
「ごはんはちゃんと書けてからね」
と罵倒しながら、夜遅くまで字の練習をさせていました。
と罵倒しながら、夜遅くまで字の練習をさせていました。
(→×長時間拘束はディスレクシアにはつらすぎます)
「10回書いて覚えられないなら20回、いや100回書きなさい」
(→×ディスレクシアには鉛筆による反復は一番無意味!)
「ママが2年生の頃はとっくに漢字が書けたのに、なんであんたは」
(→他人や親や兄弟と比べるのもナンセンス、
これについては、私のインナーチャイルド(笑)が「勉強だけが取り柄の昔の自分」を認めてほしがっていたためだと気づきました)
「さっき書けたのに今書けないなんて、ふざけてんの?!」
(→これこそがディスレクシアです)
ディスレクシアに言ってはいけない、あらゆる罵詈雑言を浴びせました。
本当にごめんね・・・
小3でディスレクシアというものを知ったときに、
「あんたはずっと真面目にやってたんだね?!」とびっくりして言ったら、
”はっ!”とした顔をされ、
それからわあ~と泣きながら「ぼくはいつだってまじめだったよ・・・」
と言われて、深く深く反省しました。
そういえば、最近書き取りしながら泣くことがなくなりました。
☆ ☆ ☆
前置きが非常に長くなりました。
もし、うちの子がいま小学校入学を目前に控えていたとしたら、カタカナをどう教えるだろうか?と考えてみました。
a)文字の形を言えるようにする。
漢字カードと同じ要領です。
フ、ノ、コ、からはじめて、「ア」は「フとノ」といった組み合わせで教えるような気がします。
文字の形が言えれば、何度も書き取りしなくても、定着できますので、
最後に1回、確認の意味で書いてもらえば、それでOKのはずです。
文字の形が言えれば、何度も書き取りしなくても、定着できますので、
最後に1回、確認の意味で書いてもらえば、それでOKのはずです。
b)大きく空書き、尻文字、母親の手のひらや背中に書いてもらう
体を使って、大きく字を書いてもらいます。
新聞紙に大きくマジックで書いたり、ホワイトボードを使うのも、大きく書けるので良いです。
ディスレクシアは筆のほうが上手に書けると、教えてくれた人もいました。
新聞紙に大きくマジックで書いたり、ホワイトボードを使うのも、大きく書けるので良いです。
ディスレクシアは筆のほうが上手に書けると、教えてくれた人もいました。
c)文字の形を作る。
左右が混乱する字は、粘土やブロックで文字の形をつくってみると思います。
たとえば、「キ」は3画目に思いっきり傾斜をつけて作り、
左手でビー玉を持ち、左上から傾斜に沿って転がし、右手で受け止めさせて
左上から右下への傾斜を覚えさせるのも一案です。
普通の子の何倍かの手間がかかりますが、こつこつと続けることです。
短い時間(15分とか)でも、毎日やったほうが定着します。
字の訓練は非常に疲れるので、週末はお休みにすること、
という話も聞いたことがあります。
たとえば、「キ」は3画目に思いっきり傾斜をつけて作り、
左手でビー玉を持ち、左上から傾斜に沿って転がし、右手で受け止めさせて
左上から右下への傾斜を覚えさせるのも一案です。
普通の子の何倍かの手間がかかりますが、こつこつと続けることです。
短い時間(15分とか)でも、毎日やったほうが定着します。
字の訓練は非常に疲れるので、週末はお休みにすること、
という話も聞いたことがあります。
ここまで書いたところで、『読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク』を見てみました。
著者の村井先生によると、
これから小学校にあがるディスレクシアの子にお勧めです。 |
・カタカナが覚えにくい子は、
ひらがなで書かれたことばをカタカナに変換する練習を
ひらがなで書かれたことばをカタカナに変換する練習を
・ななめ線の方向がわかりにくい場合は、マス目に数字を打ち、
方向を言語化して練習
やはり、「文字の形を言えるようにする」のがよさそうです。
☆ ☆ ☆
実は、うちの場合、いまでもカタカナは完璧というわけではありません。
むしろ、漢字のほうが定着しやすいようにさえ見えます。
「カタカナさえ満足に書けないなら、漢字はもっと大変に違いない」
という順番では、必ずしもないようです。
『読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク』から、いま書いてもらいました。 「バケツ」とかひどいもんです・・・ 「ヨ」が思い出せず、「日の1画目がないやつだよ」と教えてあげました。 |
いま振り返るに、うちの場合は、より複雑な漢字を覚えるなかで、
漢字の「部品」であるところのカタカナも、次第に覚えたように思います。
こんなところでもディスレクシアは「部分から全体へ」ではなく、
「全体から部分へ」らしいです。
☆ ☆ ☆
道村先生がご自身のブログに、カタカナから小学校低学年の漢字を、(ディスレクシアとおぼしき高校生に)指導している様子を、具体的に書いていらっしゃいます。
スモールステップの様子がわかります。
「全体から部分へ」らしいです。
→カタカナから
→1年漢字、その1
→1年漢字、その2
→2年漢字、その1
つまり、だいたいできたら次に進むほうが、前のことができるようになるようです。
まとめると、
1)形を言葉で言えるといいかも
2)体を使って書くとよい
3)完璧を求めず、だいたいできたら次に進む
4)毎日短い時間でもコツコツと取り組む
5)出来なくても決して責めない
教え方とは関係ありませんが、教える時期や年齢について…
返信削除ディスレクシアで6歳の場合、(平均と比較したら)文字習得能力に関して言えば2~4歳くらいではないかと思うのです。あんまり無理強いするとお子さんは辛いのではないでしょうか。
でも、これから文字能力もゆっくりと成長していきますので(ただし周りの子も成長していきますが)、その子のペースに合わせて、無理せず、勉強そのものに前向きになれるようにしてあげてほしいです…がんばってください…
ああ確かに!ディスレクシアなら、文字習得能力だけ何歳か遅れていることを忘れてはならないですね。
削除うちの子は、WISCによれば6年分遅れていることになってます。
カタカナ苦戦中の話。明日で修了予定(あくまでも私の希望)なのですが、うちの兄にいは思い出せないカタカナが幾つかあります。思い出す手順はひらがなを書く→カタカナに変換するるという作業を行っているようです。画数とかでなく、あまり使わない字は覚えていない。ハ行以下はかなり怪しいです。それでも、ある程度引き出せるような訓練だったので、コツコツやった効果かなぁと思います。一年生の弟くんがちょうど学校で習っていたところなのでみていると、ひらがなもカタカナも画数の少ないものから教えているのだけど、dyslexiaの子はあ行から音で教えた方が定着するようで、宇野先生のところでやり直しました。スラスラと書けるようにが目標でしたが、変換すればスラスラまで書けるようになりました。キープが大変だなぁ。。。
返信削除今日?明日?大雪のなかお疲れ様でした!
削除私は明日の発達性ディスレクシア研究会で宇野先生の講義を聞くため、今夜の夜行バスで大阪に行くつもりでいたのですが、この大雪で(泣)。まだ諦めきれず・・・
>dyslexiaの子はあ行から音で教えた方が定着するようで
→そうなんですね!「部品」となる字から教えたら覚えやすいかもと思ったのですが、そうでもないのですね。
きっと「あいうえお」の歌?を覚えているのが大きいんでしょうね。
うちは「ひらがなを書く→カタカナに変換」はしてませんが、マイナーな字はやっぱり思い出せなかったり書き間違いが多発してます。
読むのはたまに詰まりますが、できるようになりました。デュエマの効果が大きかったかも(笑)。
来週お目にかかれるのを楽しみにしています!
この雪の中、市川まで行ってきました。
返信削除宇野先生、いらっしゃったようなので、大阪へ行けたのかしら??
無事?カタカナは修了し、漢字へ進みました。今週から三週間かけて、兄にいにはどのようにしたら漢字を覚え易いかをテストしていくようです。
初回は普通に書いて覚える方法です。高学年で習う画数の少ない字を選び、一週間で15字程覚えます。
さあ、大変だ!幸い、休日や学校の漢字が終わっているので、集中出来るけど覚えられるかなぁ。
来週、こちらこそ楽しみにしています(*^_^*)
宇野先生、いらしてましたよ。それも前日のうちに大阪入りしたようです。すごいパワー!
削除その時の様子は次のエントリーに書きました。
そうそう、追加です。
返信削除何故カタカナをスラスラまで徹底するのか?と質問したら、漢字のパーツになるからと回答いただきました。
パーツから覚えた方が覚えやすい方もいるからだそうです。
それにしても、私が市川出たのが2時過ぎ。
凄い雪で快速は遅れ気味だったはず。
先生凄いなぁ。。
はじめまして。
返信削除小学3年になった息子がいます。コロナで休校中、親が自宅で教えております。
息子は、書くことが好きじゃなく、普段の字は汚くて読めず、でも書き初めならきれいな字は書けて(何文字かとばしたりする)、普段はすぐにカタカナが出てこない、出てきても形が微妙に違う(向き、はらい、ハネ、とめ、等)。存在しない新しい字を、知らずに書いたりもしてます。
でも、漢字を読むことには問題はなく、習ったことない漢字も読めてはいます(前後の文脈で推測してそう。)「部首」は、面白いらしく、詳しいです。ひらがなとカタカナと比べると、漢字はそこまで問題ありません。
手で書くことが大っ嫌いな子ですが、パソコン(キーボード)で書かせると、いっぱい書きます。パソコンなら、書くのが楽しいって。
3年生の担任に相談しようと思っていましたが、コロナで一度も会えず。どこかに相談するとしたら、どういうところがいいのでしょう。
昔の記事を読んで下さり、ありがとうございます。
削除いま思うことをつらつら書きます:
1)
漢字よりカタカナが苦手なら、覚えにくいカタカナについては漢字から取り出す形で教えるだろうと思います。
カタカナは歴史的に見て、漢字から取り出して作られたものですし、自然な流れだと思います。
加→カ、奈→ナ、女→メ など・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E4%BB%AE%E5%90%8D
2)
考えながら書く(作文など)ためにはキーボードを使ってもいいと思います。
特にコロナの影響でオンライン授業が導入されれば学校のIT化が進むはずなので、学校にも「作文の提出をパソコンにしてほしい」などとお願いしやすくなると思います。
3)
一方、純粋書字練習も、少なくとも義務教育期間中は続けたほうが絶対にいいです。ただひたすらお手本の文章を書き写すことで、書字の筋肉を鍛える練習です。指に書字用の筋肉がついていると、思考に粘り強さが生まれます。1日3分とかでもいいので、毎朝、易しめの名文を書き写すことをおすすめします。
もじこ塾では純粋書字練習として、筆記体を書いてもらっています。中1はもちろん、大学受験生にも書かせています。筆記体の効果は計り知れません。
4)
漢字にしてもカタカナにしても、読めることを優先すべきです。純粋書字練習を通じて書字用の筋肉がついたり、体幹ができてきたりすると、書字能力は向上します。
学校の先生は、いまは極限的に忙しくて、残念ながらディスレクシア対応の相談に乗るどころではないかもしれません。。。こつこつ家で読み書きの練習をすべきです。学校がないことに唯一良い点があるとしたら、疲れていないので読字練習や書字練習に負荷をかけられるという点です。
ご質問があったらまたどうぞ。
宣伝になりますが、先日から学習相談の受付を再開しました:
https://mojikojuku.blogspot.com/2017/09/blog-post.html