ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。
ラベル 実践-書き取り の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 実践-書き取り の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016-06-02

道村静江先生が初めて、保護者向けセミナーを行いました。

道村式漢字カードの使い方を、考案者の道村静江先生自らが解説する
セミナーを行いました。
全国を飛び回って普及活動を続ける先生ですが、
保護者向けに話をするのは、意外にも初めてとのこと。

ひとたび口を開いたら、道村節の圧倒的な勢いが会場を覆い尽くす!!!!
予想通り、ものすごい気迫とパワーに満ちた道村先生でした。

皆様の感想もそのことを物語っています。ありがとうございます:
◆とてもエネルギッシュな道村先生のお話に引き込まれました。学校の内部のこと(現場のこと)をよく知っていらっしゃる先生だからこその具体的な注意ポイントを教えていただき、今ひとつ使いこなせていなかったカードの効果的な使い方がよくわかりました!
最低限の努力は必要で、その部分は徹底的にやらせる覚悟が必要というお話は、強く沁みました。親は覚悟とユーモアが必要ですね!
◆カードを購入しましたが、ついつい今やっている宿題と連動させてカードをやっていたらなかなか進まず、今は休止していました。
やはり2、3年生を徹底してやろうと、私が楽しんでやろうと心に決めました。というか覚悟を決めました。
先生のパワフルかつ楽しい説明に、まず私がグイグイひきこまれました。いいきっかけをありがとうございました。
「この子の親であること」「この子を社会に(この子なりの)一人前にして出すこと」の覚悟を先生から目覚めさせられたような気がします。
◆漢字カードの使い方のポイントがよく分かりました。勉強嫌いで、今までカードを使うのを嫌がって使えていませんでしたが、先生のように、テンポよく元気に楽しくできれば、本人のやる気が出るのではないかと思いました。
親の私が楽しくやってあげようと思います。 
◆…日々の学習に追われ、復習が出来ずにいましたが、改めて、戻ることの大切さ、現在小3でこのメソッドに出会えたことが、とても幸運だったと思いました。

まとめると、
「最低限これだけは」を見極めて、それだけは徹底的に習得。
教える側が心から漢字に興味を持つ。
2~3年の漢字(の部品・部首)を覚えれば、その後はその組み合わせで覚えられる。

以下、当日の道村先生のお話です。

☆ ☆ ☆

道村式漢字カードは、盲学校の子に漢字の字形と音訓読みを面白く印象づける方法として、たどりついたもの。
このカードを使うと、ほとんどの子が楽に覚えられるが、なかにはカードを見て何度も書いて覚えている子がいるらしい。
その使い方は間違っている。書いて覚えるのではない。
これから話す方法には根拠がある。その方法で進めてほしい。

~ ~ ~


1年生の40の基本漢字は書けるように。
最終的には、漢字を書けるようになるのが目標。でも書く練習は最小限にしたい、というのがこのカードの立場。

1年生の基本漢字40字(日、田など)。ここはしっかり書けるように。

また、11の部首・部品(気の外側、六の上など)も。
道村式カードでは、これらは初出の時は、非常に細かく丁寧に教える。
※目の見えない子が漢字を分かるようにするのが目標なので、
それはそれは懇切丁寧です。[詳しくはカードで]
※ディスレクシア的には、あわせて「体を大きく使う」と良いと思います。
(飛び上がるような巨大な空書き、新聞紙に書くなど)
唱えるのに加え、体を使うという多感覚式です。
ひとやね(金の上)は「屋根なんだからもれちゃだめ」などと言えば、子供は面白がってくっつけるようになる。腑に落ちる教え方を。
※先生は、小学生がみたら絶対に笑いそうな身振り手振りを交え、
体全体を使って漢字を教えていきます。先生が率先して多感覚(笑)
「笑わせながら関心を引く」「体全体を使って語る」 。カードに書かれていないですが、教え方の大事なポイントです。
※これもカードには書かれていませんが、先生は1つの漢字を教えるのに、部首の由来や語源も、すごく生き生きと説明します。ストーリー性抜群です。それらは『視覚障害者の漢字学習』という本にまとめてあるとのこと。漢字辞典なども参考になると思います。
皆様からお寄せ頂いた話を総合すると、道村式漢字カードに書かれていること(部品を唱える)だけでは覚えられない場合、こうした由来をストーリーとしてたくさん語るのが、どうやら効果があるようです。

「青の上」(最初の4画)も、「あおのうえ」という部品にすることで、
一度「青」が書けるようになれば、子供は「何本だっけ?」と迷わなくなる。
これをさらに「よこ・たて・よこ・よこ」と分解すると線構成になってしまう。
「既出の部品を活用して、新出の漢字を楽に覚える」これも道村式漢字カードの大きなポイントです。
~ ~ ~

ひらがなとカタカナを同時に教える
教科書では、小1の1学期はひらがなの練習。9月から漢字の練習が始まる。
カタカナの練習も、夏休み明けから。この時期は学習意欲が低下しているので、インプットが悪い。
その結果、6年生になっても、カタカナが読めるが書けない子がいる。

カタカナの多くは、漢字の部品になっているので、きちんと覚えたい。
そこで、ひらがなとカタカナを同時に教えるべき。
「ソ」「ハ」を正しく教えれば、漢字でもこれらの部品が出てきたときに、向きを迷わなくなる。
カタカナの足し算で、上の学年の字も書ける。
※理想はそうですが、、ディスレクシアにとって、カタカナはとても覚えづらいように見えます。たぶん、アルファベットと同じで、ディスレクシア的には単位が小さすぎかつ字面が単純すぎるのだと思います。カタカナというもの存在は早くから教えつつ、完全に書けなくても、左右が反転しても、かまわず漢字に進み、漢字(大)の一部としてカタカナ(小)を教えるうちに、だんだん定着するのではないかと、個人的には推測しています。

2~3年の漢字では、頑張って覚えることと、そうでもないことを区別するべき
2~3年で、漢字の重要な部品の多くが登場する。
例えば「ふるとり」。初出のときに丁寧に教える。そうすれば後が楽になる。

すべての漢字を完璧に正しく、格好もよく、というのは欲張りすぎ。書き順、とめはね、線の長さのバランス、そんなことまで初出で要求されたら、特に書くのが苦手な子供はいやになってしまう。
例えば、「竹」の6画目のハネは、初出の時にはあまりハネていなくてもよしとする。それは第2ステージでのこと。
「食」の3画目のテンが垂直か斜めかは、書体の違いであり、これは間違いとは見なさないと文科省も言っている。学校の先生は教科書体しか許さないけど(※以下参照)
書き順も後回しでいい。でも「口」の書き順は、徹底させたほうがいいけど。
・・・といったふうに、細かいところについては、子供が書く時の特徴を見ながら、どうしても直してほしいところだけを直すようにする。

「文化庁はいま、・・・手書きの漢字が正しいかまちがっているかは、ゆるやかに判断してほしいといいます」
※「書き順は後回しでいい」と先生は背中を押して下さいますが、
道村式カードの長所は、カードに書かれている通りに言えれば
書き順も整うところだと、私は感じてます。
「集」を右下から書くようなことが、なくなります。

親が率先して楽しむこと!!
家で子供と漢字学習をするとき、お母さんが『やりなさい』と言うだけ、あるいは『面倒くさい』という姿勢を示していては、子供は覚えない。お母さんが率先して楽しむこと。
漢字辞典でも引き、『へえ~、家の下はぶたなんだ!』。子供そっちのけで『そうなんだ~』と言うくらいに。
このくらいの年の子はお母さんが大好きなので、寄ってくるはず。
まずお母さんが漢字に興味を持つこと。自分が感動したことだけを子供に聞かせればいい。
※「教える側が率先して楽しむ、時には演技を交えるくらいのつもりで」。これも道村式カードの教え方の重要ポイント。腑に落ちた人が多かったようです。

学校との兼ね合い。2~3年の部品をしっかり覚えること。
学校では4年以降、漢字を1字ずつしっかり教える時間はない。
普通級の先生は、クラスに35人もいたら、気になる子がいても対応できない。
部首名とその意味は、家庭でしっかり教えるべき。親が時間をとってつきあうことが必要。
学校には「しばらく、家でしっかり復習しますので、見逃して下さい」と言う。

漢字は、2~3年生に主な「部品」(漢字にいっぱい使われているが名前がないパーツ)のほとんどが出尽くし、高学年になるとその組み合わせがほとんどになる。
だから、2~3年生の漢字をしっかり覚えることが大事。
高学年で漢字が書けずに苦しんでいる場合は、2~3年生の漢字の復習に戻るのがよい。復習には1年もかからない、数ヵ月で終わることが多いし、2~3年の復習が終われば本来の学年に戻ってよい。
戻るのは、部首・部品の名前を覚えるのが目的。

その際、学校には、宿題の量を加減してもらうよう頼むのが理想だが・・・
現在、学校では「平等」の名の下に、同じ宿題の量が全員に課されている。普通の子なら15分ほどで終わるが、ディスレクシアの子は何時間もかかってしまう。これが平等ですか?と言いたいところだが、親も先生もそこまで踏み込む勇気がないのが現状。
個にあった支援とは、「大丈夫か」と声かけすることではなく、こういうことなのだが。
※ここで、「衣のした」(3画目以降)、「長いの下」の(6画目以降)の
部品の唱え方を練習したのですが、、
一同、道村先生に「おそい!」「声が小さい!」
「もっとリズムよく!」「はっきり!」と叱られました(笑)
九九をやや早口言葉で言うくらいの、かなりのハイペースです。
教える側がテンポよく、楽しげに唱えることがポイント。
「ああ、ここが出来てなかったかも」と思った人は多かったに違いありません。
~ ~ ~

⑥音と訓を1つずつ、セットで覚える
読みが苦手な子は、音読みを苦手とすることが多い。
特に、光村図書の教科書(最大手)では、音読みと訓読みをバラバラに教える。
学校では、何年も先になって登場した音読みをわざわざ教えることはしない。
これが音読みの苦手な子をつくる原因のひとつになっている。

漢字はほぼ必ず音読みがある。しかもカ行とサ行が多い。音読みが中国語に由来していることと関係があるのだろう。
1つの音と訓を覚えることが大事。
そこで、道村式カードでは「漢字のタイトル」と題し、音と訓を1つずつ同時に提示している。
この音読みは、『NTTデータベース・日本語の語彙特性』をもとにしている。1万人が聞いたら6000人以上が分かる、親密度の高い語彙だけを使用。しかも、視覚障害者のために、同音異義語はほぼ全く含まれていない。(※すごい!!)

「確ニンのニン、みと_める」が「漢字のタイトル」
私も教材を自作するのでわかりますが、センスの良い例文って、本当に難しいです。
生徒にわかる表現、明るく前向きな内容、応用が利きやすいこと、
また、ポイントの理解を邪魔しない内容であることが必要ですが
そんなセンスの良い例文を載せた辞書や問題集は少ないです。
「漢字のタイトル」の音読みに選ばれた単語のセンスの良さが、
私は道村式漢字カード最大の長所だと思っています。


2つ以上の音は後回しでいい。
同音異義の漢字を覚えるのは第2ステージ。カードに書いてあるが、ディスレクシアならここは不要。


唱えるとは、自分のことばで言うこと。
カードのおもて面を見ながら、リズムよく唱えることが大事。
例えば「修」を見て、字を目に焼き付けながら、「にんべん・たて・のぶん・さんづくり」と唱える。
3回言わせる。そのときに、頭の中にイメージが浮かんでいるはず。
それから初めて書く。
1つの漢字につき1日1回が、書く限界だと思います。
※経験上、唱えるのは意外と大変なことです。ディスレクシアな子が、言うより書くほうが楽なので書こうとするほどに∑( ̄0 ̄
書こうとするのをあえて止めて、「言えれば書けるんだから」と言い聞かせて、唱えさせることもありました。 それがよかったと思います。
~ ~ ~

自立に必要な最低限のことは、絶対に身につけなければ
発達障害を持つ子の親が「うちの子はあれがダメ、これがダメ」「うちの子にあった方法を探してほしい」と学校に言うのをよく聞く。今は子供が拒絶すれば、その子にあった方法をさまざまな方法のなかから選べる時代でもある。
しかし、これを視覚障害児の置かれた状況と比べた場合・・・視覚障害があったら、泣こうがわめこうが、覚えるべきことは絶対に覚えなければならない。
全盲の子、弱視の子は、普通の子よりもできることはずっと少ない、すべて同じようにできるようにはならない。全盲でかつ発達障害を持つ子もいた。入る言葉は少ない。それでも自立に必要な最低限のことは、絶対に身につけなければならない。
最低限がどこかは、本人を見ている親と教師が決めること。見極めが大事。
「最低限ここだけは」を半年間続ける。続けさせるのは親の責任。先生は1年で担当を離れてしまうもの。生徒の将来は親が責任を持つべき。
最低限を、手を変え品を変え、頑張らせると、いずれ芽が出てくる。

※会場が静まりかえった、渾身のメッセージ。漢字が読めることが日本で生きていくために必要不可欠というのは、本当に切実な事実です。英語とはまったく重さが違います。「自立するために漢字は必要、だからがんばろう」という大きな展望を、教える側が見せる必要があるということです。目の前の漢字テストをクリアするために必要なのではなく。
教える側が、あきらめず、怒らず、「絶対に入れてみせる」という気迫を持って伴走するんだというメッセージを、私は受け取りました。
~ ~ ~

そのほか、質疑応答を走り書きしたメモから・・・

●校長先生にいきなり文句を言うのは×。うるさい親と思われたらおしまい(会場から苦笑が)。先生と親がなんとかうまく手をとりあいながら、同じ目線で進むのが理想。

●中学生以降の漢字学習で、どこまで戻るかは、本人のプライドがある(ので難しい…)。小3までは素直。4年以降、漢字の習得率が低下するのは、全国的な傾向。

●技術の進展により、いずれ書くことが必要のない時代が来る。どれだけのことを妥協するか。一方、これだけはということは頑張ることも大事。

●字が苦手な子も、できれば、できるようになりたいと思っている。そういう子には部首名を教える。その気にさせてあげることが重要。

●社会で自立させることを考えると、指示待ち人間に育てるのは×。「これ(漢字)ができるようになりたい」と思わせることが大切。

☆ ☆ ☆

当日の朝、うちの実験台(道村式漢字カードで5~6年の漢字を習得。
現在は読みにはほとんど支障はないが、漢検5級に落ち続けてます^^;)
に聞いたところ
(道村式漢字カードは)「俺には合ってたよ。」
(どこがよかった?)「よくわかんね。使いやすい、かな。」
(これが合わないと言う人には何と?)「これは"愛のムチ"」
とのことでした。
愛のムチ!!
実は道村先生自身からも、終了後この言葉が出たので、びっくりしました。

次回は録画して、その気迫と語り口を他の方にもお見せしたいと、先生と話しました。
道村先生、ありがとうございました!

道村式漢字カードのお求めはこちら→ 

2015-12-28

漢検5級合格まであと38点/教師のエンパシー

いろんなお返事が遅れておりまして申し訳ありません。
年の瀬、みなさまいかがお過ごしですか。

子は2学期の成績もさんざんでした。特にノート提出が酷評されています。
どうやら、学校にディスレクシアのことを訴えるべき時が来たようです。
台本作りに時間をとられそうな冬休みです。

☆  ☆  ☆

10月に受験した漢検5級(小6相当)の結果が返ってきました。
家庭教師君とゆるく対策してきましたが、力及ばずでした・・・

「合格まであと38点です」

大問別正解率はこんな感じ:

「読み」だけは満点なのですが、「書き」が…

やはり苦手は「書き取り」と、
1つの漢字に複数の読み方がある」ことを問う問題(音と訓)
同じ読み方をする複数の漢字」(同じ読みの漢字)です。

こうした問題が苦手なのは、英語での苦労の仕方を考えると想定範囲内です。
英語でも、同じ綴りに複数の読み方がある点には、激しく混乱しています。

語彙力を問う問題(「四字熟語」「対義語・類義語」)の正答率も低いです。
本人は「自分は語彙力がある」と言っていますが( ̄0 ̄。
これは、文脈のない状態で語彙だけを取り出されても答えられないのと、
読書をしないせいで、抽象語の語彙力が年齢並みより少し低いのでしょう。

~ ~ ~

小学校時代から、進歩(?)した部分もあります。
中1の漢字約100個を、4回×2ずつ書くという冬休みの宿題:


時間があるときは、横で道村式漢字カードの方法で部品を言ってやるのですが、
たいていは、一人で手本を見て書いています(→進歩!)
そんなことも、小学校の頃はできませんでした…。

たくさん書けば疲れるのも相変わらずですが、
小学校の頃より持久力がつきました。これも進歩でしょう。

何より、「どのみち覚えられないけど、宿題だから割り切って書く」
という妥協が、できるようになりました(苦笑)


小3の頃の字。「反対」がいつのまにか「反村」になる
☆  ☆  ☆

小学校のディスレクシア漢字学習について、入ってきた情報を書いておきます。

漢字九九
当ブログ一押しの道村式漢字カードでは(でも)覚えられない子がいると
かねてから情報が寄せられていました。
どうやら、ストーリーを使うと記憶しやすい子というのがいて
そのような子たちには、道村式では対処しきれないようです
(道村先生ご本人は、ストーリーのストックを大量に持っていて、
それを道村式カードに口頭で加えていくようなのですが)

漢字一つひとつ成り立ちをストーリー仕立てにした教材としては
「漢字九九」というものがあるようです。
アマゾンでは旧版がユーズドで売られており、
現在は別支援の漢字教材」という名前で学研のサイトで販売しているようです。

漢字を覚えるのにストーリーが必要というお子さんには、効果があるとのこと。
1~6年までそろっています。
お値段がちょっと張りますが・・・


「読み書きが苦手な子どもへの〈漢字〉支援ワーク」
iPad用アプリが出たようです→
小1~3のディスレクシアには、きっと役に立ちます


☆  ☆  ☆

最近、日本ディスレクシア協会の研究会に出ています
(当ブログの左下にリンクがあります。漢字九九は、この研究会で聞きました)
そこで、通級指導の先生による、心打たれる事例報告を聞きました。

ディスレクシアの男子小学生に、多感覚式で漢字を入れるということで、
竹ひごで漢字を作ったり(しなり具合と折れ具合がちょうど良いとのこと)、
料理好きなので、特に覚えられない漢字はクッキーにして焼いたとのこと。
ものすごく時間も手間もかかりますが、定着率も意欲も上がったそうです。

いい話(T T)~。とはいえ、これは
「ディスレクシアは漢字をクッキーにすると良い」という話ではない
と思ってます。

この発表を聞いているだけでも、この先生からは
「それがだめならこれはどうだ?」という〈引き出しを多くする努力〉、
「一緒にこの大変な山を登っていこう」という〈寄り添おうとする努力〉が
ひしひしと感じられました。
力のある教師が、歩けない生徒のところまで下りて、
あらゆる装備と励ましを使って、一緒に一歩ずつ山を登って行くような。
こういう姿勢を「エンパシー」と言うのでしょう。
クッキーの話は、エンパシーのあるディスレクシア指導の事例だと思います。

この子どもは大きくなったら料理人になりたいそうなのですが、
5年もしたら、クッキーで作った漢字の多くを忘れてしまうかもしれない。
料理人になる頃には、「焼型」も「衛生」も「冷蔵庫」も書けなくなっているかもしれません。

でもきっと、「小学校の頃、自分のためにここまでしてくれた先生がいた」
という記憶が彼の中にずっと残って、
彼の料理修業の道を支えるような気がします。
こういう記憶は、成長期の人にとって、とても大事なものだと思います。

そういう記憶と比べたら、「冷蔵庫」という字を正確に書くなんて小さなこと…
という姿勢が、書き取りを課す教師の側には欲しいものです。

一方、この子どもに対しては、
「漢字はディスレクシアにとって終わりがない山道だけど、
その山道があったからエンパシーのある大人に出会えて、ほんとによかったね」
などと、逆説的なことを考えたりしました。

エンパシーのある教師。これが私の2016年のテーマのようです。

2015-10-22

LD学会にて:道村式漢字カードの長所、ジョリーの浸透度

福岡で行われたLD学会に、道村式漢字カードの売り子として行ってきました。

道村先生のパワフルさには、私の中のがん患者の常識が覆されました!
漢字カード普及活動が薬になっているとお見受けしました。
とはいえ、まだ治療継続中の身の上。どうかお大事に、、

今回、売り込みを繰り返すなかで、
道村式漢字カードの長所を改めてまとめることができた気がします:

道村式漢字カードのポイントは、

1)書かずに、部品(パーツ)を唱えて覚える
(道村先生流に言うと「書くことからあの子達を解放してあげて!」)

2)部品の単位が細かすぎず大きすぎず、ほどよくまとまっている
(同じく、道村流に言うと「たてたてよこよこだと線構成になるからね!
それじゃあ1日たつと忘れちゃう!」
「よろこぶは十・豆・口!これだけ!!」)

3)部品が初登場の時には事細かに説明し、次からは部品に名前をつける
(『「イ・なべぶた・たて・三」、次からは「ふるとり」!!』)
(『3年生までにほとんどの部品は出てきちゃうのよ、
4年からは部品の組み合わせでずっと楽になる!』)

ディスレクシア的には、
「部品を唱えることで、
うじゃ~っとしたかたまりだった漢字が分解・整理され、
おのずと正しい書き順で入っていく」と言えます。
このあたり、ジョリーとすごく共通点があります。

4)初出時に、音訓をセットで覚える。
かつ、道村式漢字カードには、同音異義語は一つもない。
(「音と訓を別々に教えるのは光村図書の重大な欠点!」)

ディスレクシア的には、
「道村式漢字カードは、(1)目で漢字を見ながら、
(2)教える側が音訓を読んでは、(3)生徒が部品を言うのを繰り返すことで、
漢字の(1)ビジュアル・(2)音訓・(3)書き方を覚える、多感覚式の教材です」

あと2つ、使い方において盲点になりがちな点を:

a)テンポ良く、ほめながら使う
押し売りかというくらい(笑)熱く語って人を引き込み、最終的には笑わせる、
そんな道村先生の話術に接していると、
道村式漢字カードを教える際は、教師がリードして生徒をひっぱる、
終始快活なテンポ、できたら力一杯ほめる、
毎日ちょっとずつ楽しく取り組んでぱっとやめる、
といった教師力も不可欠だと、改めて思いました。
道村式漢字カードはすばらしい教材ですが、
×だらだら教える、×懲罰と組み合わせる、×ほめない
ようでは、効果は半減してしまいます。

「漢字を見て絵として覚えられるディスレクシアよりも、
耳からのインプットが得意なタイプに向いているかも」
との指摘も受けました。その通りだと思います。
そして、耳が得意なタイプは、テンポ良い教え方がより一層重要です。

b)しつこいですが、「書かせない」
道村式漢字カードは、「部品を唱えて漢字を覚える」という教材です。
ここを勘違いして、カードを見ながら何度も書き取りをしている人もいるかも。
それでは、道村式の意味がまったくありません!

~ ~ ~

LD学会には、宮崎大学や熊本大学などから、教育学部の学生さんたちが友達同士で、リクルートスーツで来ていました。
何人か、道村式カードに非常に関心を持ってくれた学生もいました。(財布のひもが固いようで、残念ながら買ってはくれなかったのですが(^^;))
先生の卵たちが、学生時代からすでにディスレクシアの知識も関心もあるというのは、大変心強かったですし、そのなかから道村式漢字カードの精神を受け継ぐ人が出てきてほしいな…と思いました。

☆  ☆  ☆

道村式漢字カードの売り子と同時に、ジョリーのチラシも配ってきました↓


お申し込みは以下(外部サイトに飛びます)
名古屋→ 大阪→
東京は今週末です→

発表は2つだけ行ってきました。
そのうちのひとつ、ディスレクシア英語教育に関する発表では、
「ディスレクシアにはフォニックスが不可欠」と当然のように語られ、
4人中2人が、ジョリーとおぼしき教材の画像を示していたのでびっくり!

他の方から「別の発表ではアナリティック・フォニックスを使っているようだった」との報告もありましたが、
…ともかく、ジョリーを含むフォニックスは、少しずつではありますが着実に日本の学校英語に浸透しつつあるようです。
2年前、初めてLD学会に行ったときは→ディスレクシア英語教育についての発表はほぼ皆無でがっかりしましたが、ずいぶん進歩しつつあるようです。

ただ、日本の中学校でフォニックスをやるとしても、
現状では割けるのはせいぜい2~3時間[実質1時間半]とも言っていました。
ディスレクシアにはその10倍は必要ですが、
おそらく、そのような形に教科書が改訂される望みは薄い気がします。
ディスレクシアとしては、
小学生のうちからから少しずつアルファベットの先取りをしておくか、
中1の夏休みに覚悟を決めて集中特訓が必要になることでしょう…

ジョリーについては、会場でお話した方々から
「ジョリー単独では、ディスレクシアになかなか難しいものがある、
うちはジョリーは非常に効果的だったが、その前に音声教材(ディズニーなど)
をたくさん聞かせており、その下地があったのが大きかった気がする」
とのご指摘を受けました。
そうなのかもしれません。これについてはもう少し意見を集めたいです。

あと、発表では、フォニックスの"次"の話は出ませんでした。

~ ~ ~

もう一つ聞いた、都内最難関私大の発達障害学生支援センターの発表では、
これまで相談に訪れた学生のうちディスレクシアは2人だけ、
しかも2人とも本国で診断を受けた留学生、とのことでした(゜Д゜)
私が直接知っているだけでも、その大学にはディスレクシアの学生がこの人を含めて→5人は入学したのに。。
ディスレクシアだと自分でも分かっていないのでしょうが…

☆  ☆  ☆

福岡では、ここで知り合った九州のサザエさん(と呼ばせて頂きます(笑))と、
新潟からお越しの方と、いろいろお話しすることができました。
お二人ともお子さんのために、ものすごく献身的に動いておられます。
九州のサザエさんはお子さんの中1ショック発覚後、
一日も欠かさず5教科の勉強につきあい、
定期試験前は1日10時間は勉強をみているとのこと。
おかげで、平均点を上回る成績をあげているそうです。
「ワタシ、今が一番勉強してますよ~」とけらけら笑っておられましたが、
頭が下がります・・・

非ディスレクシアな下2人のお子さんに、上の子の手のかかりっぷりをどう納得させるかが難しい、とのことでした。
「夜9時には下の娘と添い寝する、そこは彼女のための時間」とも。
うちは一人っ子ゆえに当ブログでは触れる機会のない「上の子/下の子問題」、
きっといろいろありますよね。

~ ~ ~

身銭を切ってLD学会に参加されているお二人とは
「LD学会の発表はどうして残念か」(失礼!)についても話し合いました。
例外も多々あると思いますが、
「ここには『バカなLDの子に、次のテストでいかにしてまともな点数を取らせるか』という視点しかない」
学校の先生の集まりだから仕方がないのかもしれませんが、
字以外の面では何ら問題のない子たちという考え方はもちろん、
子供の学習や成長を長期的に考える視点がほとんどありません。
隠れディスレクシアもほとんど知られていません。
何かと検査やアセスメントを作りたがるのも、ちょっと気になります。
学校制度を疑う方向にも、基本的には行かないようです。

とはいえ、来年もLD学会にはつい行ってしまうことでしょう。
ジョリーはLD学会に物販のブースを出すべきです!


2014-10-27

オーストラリアのディスレクシア児のお母さんへ

オーストラリア在住の「大和の母」さんからコメントを頂きました→こちら
返信にリンクをたくさん貼ったので、こちらに載せることにいたします。
のコメント欄は特に読みごたえのある体験談が集まっています!
皆様ありがとうございます。)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はじめまして。オーストラリア在住で、7歳の男の子の母です。6歳の時ディスレキシックと診断されたのですが、読み書きがだめなので学校ではreadingの時間にサポートを受け、speech pathologyに二週間に一回通っています。単語を覚えるというか読む為にこちらではphonicsで学習しています。特にsynthetic phonicsというやり方でやっています。ディスレキシックで無くてもこのやり方でreadingの勉強をするのですが、果たしてディスレキシックにこのやり方が一番なのかはわかりません。
シンセティック・フォニックス
それはまさに当ブログでも推しているジョリーフォニックスのことですね
(ジョリー以外にもシンセティックの流派はあるのかもしれませんが。。)

ジョリーの創設者、Chris Jollyさんに直接質問した時、
「『ディスレクシアの子にはシンセティック・フォニックスこそが有効』が現在主流の考え方なのは知っていましたか?」と言われました。
ですから、そこは安心して乗っかっていってよいと思います!

オーストラリアでもsynthetic phonicsが導入されつつあることは、
ジョリーフォニックスの人たちを通じて聞いてました(→)が、
本当なんですね!ちょっと感動しました。

アデレードの小学校でジョリーフォニックスを導入したら、
ディスレクシア指導にめざましい効果があがった
という動画を紹介したこともあります。
初めて見たとき、5:10過ぎで涙が出ました(T T)



うちでも、進度は本当にゆっくりですが、
ジョリーフォニックスの効果は実感してます
(小3のときにローマ字がまったく入らなかったので)。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
単語も似たような音の単語を聴き分けて正しい単語を選ぶ練習をしたりします。(hat hut, track truck) 聴き分けはネイティブなので勿論日本人の私より出来ますが、単語となると絵を見ながら答えます。
→おお~、これはphonetic awareness(音韻認識)をのばしているのですね。

日本語ネイティブ11歳のうちの子も、絵と字が書いてあったら、
間違いなく絵にしか目がいかないと思います。
それがディスレクシアというものです。。
それでも、訓練をし続ければ、年齢とともにそれなりに字も読めるようになると感じています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本の様に単語を暗記して覚えるのはどうだろうか?とスピーチテラピストに聞くと、まだ七歳だから大丈夫、この方法で完璧とは言わなくても、本が読める様になると言われました。確かに息子は単語を音で発音して読むようになりました。でも書くとなるとスペルがスムースにまだ出てきません。暗号の様なスペルです。やはり読める事と書ける事は別物なのでしょうね。
→いずれは、暗記でも単語を覚えることになるはずです。
フォニックスのルールにあてはまらない単語はたくさんありますし、
(ジョリーフォニックスだと、そのような単語をtricky wordsと呼んでいます)

ジョリー以外に目を転じれば、英単語丸暗記メソッドはあります
(たぶんwhole word approachというのはそういう考え方のはず)
でもそのスピーチセラピストさんは、その方法を採用せず、
あくまでシンセティック・フォニックスに沿ったステップアップを考えているのですね。
すべてを丸暗記せず、自力で未知の単語を読めるようにするための配慮だと思います。
これもちょっと感動してます・・・!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

息子は日本語が第二言語なので週一で補習校に通っていますが日本語を教えるのに四苦八苦しています。今だに平仮名を全部覚えていません。これから難しくなる漢字、九九をどう教えようかと悩んでいます。
→1)英語圏在住、2)日本語特有の習得の難しさ、
そして3)ディスレクシア特有の苦労と、
三重の苦労を抱えていらっしゃるのですね。。

1)英語圏で週1補習校だけだと、ディスレクシアでなくても、漢字を身に着けるのは大変だと思います。英語のパワーが圧倒的ですので・・・。

2)言うまでもなく、日本語の字を覚えるのは大変です。

3)7歳でディスレクシアなら、日本在住でも平仮名を全部覚えていないケースもあると思います。

道村式漢字カードは強力にお勧めです!→こちら
毎日5分などで手軽に出来るので、補習校を補えると思います。
道村先生ならきっと海外発送もしてくれるはず。

その前に、カタカナを入れる必要があります。
それについては、こちらに一度書きました→


私(←算数超苦手、9歳までアメリカンスクール)にとって、
九九は「you're a genius at math!(もじこは算数の天才だね!)」
と誤解されるくらい、絶大な効果がありました(笑)
九九は9の段までしかなく、11と12の段がない分を差し引いても、
周囲の九九のない国の子達よりも計算が速く確実になる効果がありました。

そういえば、うちの子はそろばん教室での週1回の九九暗誦テストと、
そのためにバランスボールに乗ってびよんびよんしながら九九を覚えました。
バランスボールでびよんびよんは体性感覚と関係があるらしく、
一部のディスレクシアの子に効くようです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

日本ではあんまり知られてないdyslexicについて、日本語を教える際にどうしようかとネットで調べているうちにこちらのブログにたどり着きました。とても興味深く読ませて頂いています。この様な色んな体験談や情報が息子を理解するのにとても役に立ちます。ありがとうございます。
こちらこそ、オーストラリアの人とご縁を頂けてありがたい限りです!

「6歳でディスレクシアの診断を受けて、学校でサポートを受けるのが当然の権利として確立されている雰囲気が伺え、本当にうらやましく思います。

日本では「ディスレクシア」という言葉はまったく浸透しておらず、
「学習障害の一種で」と言うと知的障害やコミュニケーション障害を想像されてしまい、説明に窮するのが現状ですので…。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

2014-10-03

【募集】道村式漢字カードの利用者の声をお寄せ下さい!

来たる11/23(日)・24(月祝)、大阪で日本LD学会が開催されます。
昨年は1日3000人も来場した、非常に大きな学会です。
特別支援教育の指導者、研究者、当事者(の親)が全国から来ます。

会場で道村式漢字カードを販売するため、私は売り子でついていきます。
※私は単なる、熱心な一利用者です(笑)

そこで折り入って、当ブログをお読みの道村式漢字カードユーザーの方々に(何人くらいいるのか分からないのですが)、お願いがあります。

ディスレクシア的「利用者の声」を寄せては頂けないでしょうか?
会場内の販売コーナーで、宣伝に使用します。


特別支援教育の先生方には、ネットやブログはあまり見ない…という人がけっこういるようです。
ですので、そういった先生が足を運ぶ場で利用者の声を紹介することは
「ディスレクシアの子でも、やり方次第で書けるようになる!!」
ということを知ってもらう、貴重なチャンスです。

現場の先生たちの力になることは、
必ずやディスレクシア・フレンドリーな環境への一歩になるはずです。
そのために、ぜひお力を貸して下さい!!

もちろん、LD児の親もたくさん来場するので、
その方々にも皆様のコメントの力で、カードの良さを分かってもらえれば・・・と思います。

集まった声は、A4のビラかパンフレットにして、
LD学会会場内の道村式漢字カード販売コーナーで配付します。




書式や長さは自由です。普通にメールを書くような感覚で問題ありません。
文章のほか、画像も歓迎いたします。

内容の例:
・使用後の効果について
・漢字カードの他に使用している教材との兼ね合い
・どのように使用しているか
・週何回、何分くらいかけているか
・今後の課題




締切は11月16日(学会1週間前)といたします。
お名前は掲載しません。お子さんの学年(利用当時)と、できれば都道府県名をお知らせ頂けると、親近感が沸くと思います。

コメント欄から「漢字カードの利用者の声です」と一言書いて頂いて送信するか、
ブログの一番下にあるメッセージ欄から送信して下さい。
直接やりとりして下さっている方は、もちろんメールでもOKです。

全国からさまざまな学年の利用者の声が集まれば、
先生方を動かすパワーあふれる宣伝文ができると信じています!
お待ちしています!





2014-09-23

道村式漢字カードで勉強して1年。大きな成果と、漢字学習の次なる課題

道村式漢字カードで漢字の勉強をするようになって、1年たちました。
(これまでのことは→こちら
道村先生、本当にありがとうございます!

このカードに出会ったおかげで初めて、
漢字以外の勉強にも手が回るようになったのです。
それまでは、漢字練習に家庭学習の時間と労力を全て注いでいました…
国語学習=漢字練習であっていいはずがないと思いながら。

結局うちは、5年と6年のカードだけ、しっかり取り組んでいます。
2~4年生のカードは少し復習しましたが、
2年生から戻って積み上げることは、結局していません。

現在は、学校より少しだけ先取りする形で、
毎日2つの新しい漢字を、道村式漢字カードを使って学んでいます。
先取りはお勧めです!
学校での漢字学習に(心理的に)ついていけるようになります。

新しい漢字は
1日目:
(1)おもて面の漢字を見ながら、「部品」(おもて面の下)を言えるようにする
(2)カードを見ずに、「タイトル」(裏面)を聞いて「部品」が言えるようにする
(3)1回だけ、ホワイトボードに書く

2日目以降:
(1)「タイトル」を見て、書けるか試す

という方法で使っています。

裏面の下には、同音の漢字が書いてありますが、
ディスレクシア的には、そこまで手が回りません。。。

「タイトル」を見て、書けるか試す。
まず今日の分の新しい漢字を2つ覚えてから、
2学期のこれまで学んだカードをトランプの神経衰弱のように全部並べて、
好きなものから順に書いてもらいます。
出題順番をこっちが決めると「げ~無理~」と言います。
正しく書けたものと書けなかったものを分けて、
書けなかったものだけ部品を言ってもらってからもう一度書く。

学校で漢字テストがあるまでは、その漢字の反復練習を続ける。

というサイクルが完成しました。

カードがない時代はどうやって新出漢字の勉強をしていたか、
もはや思い出せないほどです!



予備校でも言うことですが、サイクル化は大事です。
(サイクル:学習事項を定着させるまでの具体的な手順。
上の場合は「先取り・授業・反復・テスト」)
学習のサイクルが完成し、それを淡々と回す状態になると、
定着度は格段に上がります。

道村式カードは、一人ひとりの苦手にあわせてサイクル化しやすい点も
大きな長所だと感じます。



サイクルの見直し時は、
・定着度が落ちてきた時、
・本人が手応えを感じていない時、などです。

・節目で結果を出せた時(テストなど)
は、サイクルを見直し、ちょっと負荷を上げることを検討できるチャンスです。

本当にサイクル化できれば、進歩の実感も含まれているはずなので、
おのずと、ある程度の成果は出ると思うのですが、
・まだ成果が出ていない時
というのは、別のことをする前に、むしろサイクルの強化に励むべきと思います。

サイクル強化の方法は、
毎日決まった時間に取り組む、
復習と新出事項の両方を取り入れる、
5分から始めて少しずつ増やしていく、、、あたりでしょうか。

あと、疲れているように見えたら「よくがんばったね」と言って、
その日はぱっとやめるのも大事だと思います。
予備校でもそうですが、難しい問題に取り組んだときは
生徒をねぎらったらぱっと終わりにして、生徒があっけに取られるくらいが良いのです(笑)。
その方が、長い目で見ると、サイクルを崩さないことになります。

(ディスレクシアだと、「書けるようになるまで夕食はおあずけ!」と何時間も反復しているケースがあると思いますが、[うちも2年生の頃はやってました]、この方法での反復は効果がないばかりか、トラウマにしかなりません。
1回だけ書くのを1週間、2週間と続けるべきです。)

そうして臨んだ1学期のまとめテストは、なかなか頑張りました:




しかし、これには後日談がありまして。。

本人は「ついに自分も通知表の国語の『書く』で『できる』、
あわよくば『よくできる』がもらえる」 (0゚・∀・) と思ったようなのですが、
残念ながら1学期も「もう少し」でした。

(よく読むと評価基準が「文章全体の構成を考えて書く」なのでした。
彼は書き取り以上に、作文が大の苦手です)

このことがよほどこたえたようで、
夏休みの最後の日、子は通知表に2学期の決意を書きながら、涙を流しました:




☆  ☆  ☆

最近は、漢字カード以外の漢字学習にも挑戦しています。

最初は、教えて頂いたサイト→の読み・書き問題を使っていました。
良い問題がそろってます。

が、私が紙の管理にストレスを感じる(←ADHD)ので、
今は市販の問題集を使っています。

出題範囲が「これまで習った漢字全部」だと、正解率はがくっと落ちます。
これをどうやって上げていくかが、次なる課題です。



(1)まず書き取りの正解を子に示し、その読みをしてもらう。
(2)しばらく漢字を眺めてもらった後、正解を隠して、書き取りに挑戦。

(ちなみに、この字は家庭教師君が最大の気合で書いたもの)

その後、(0)自力で書けるものは書いてもらってから、
残りについて(1)(2)をするようになりました。


突然、ある音読みを示されて、その読み方の漢字をいくつか思い出すのは
非常に難しいことのようです。
隠れディスレクシア」にも、まったく同じことが書いてあります:
毎週一回のスペリングテストでも(そのために一生懸命勉強して)人並みの成績がとれる場合さえある。だがこうした子たちに対し記憶から語を呼び起こしてスペルしてもらうと、基本的には常に、驚くほど激しく間違う。

「ゼンアクのアクはアクニンのアクだよ」と言ってもぴんと来ず、
「ワルイだよ」と言うと、ようやく「ああ!」となります。

現状では、とにかく毎日、短時間の反復によって、
書ける熟語を一つひとつ増やしていくしかない状況です。。


☆  ☆  ☆

道村先生も書いていらっしゃいますが→こちら
漢字は訓読みよりも、音読みのほうが、定着しづらいようです。
道村先生はこの原因として、現在の国語の教科書が、
訓読みと音読みを初出時に一緒に教えない、
場合によっては何学年も離れて教えることにあるとして、
音読みと訓読みをセットで同時に教えるべき、と言っておられます。

まったくその通りです。ルールの後出しはよくありません。

漢字の音読みには数々の例外があるとはいえ、
「まずはこの読み方を」というのを1つ教えることで、
学習者の負担を大きく減らせます。
(この考え方は、ジョリーフォニックスにも共通しています)。

またディスレクシア的には、音読みが難しいのは、
訓読みのほうが、その漢字の意味と、密接に結びついているから
というのもあると思います。

例えば、「危」は「あぶない」という意味なので、「あぶな・い」は覚えやすい。
一方、「き」は、抽象度が高いので、ちょっと覚えにくくなります。

とはいえ、道村式カードは、この点にも配慮があるのが素晴らしい。
裏面には、すべての漢字の「タイトル」
(その漢字の訓読みと、代表的な音読みを含む熟語)
が載っています。
ここが単なる「音読み」ではなく、「熟語」になっている点がポイントです。
「キ」だと抽象的ですが、「危険」になっていれば、だいぶ具体的なイメージがわきやすくなります。
(しかも「漢字のタイトル」には、同音異義語がひとつもないそうです!
それについては→こちら


うちは、個々の漢字の意味のうち、音読みしかない漢字については、
漢字の「タイトル」をベースにして、教えるようにしています。


☆  ☆  ☆

以下は意味不明なおまけです。

一応、子供にも聞いてみました。
母「音読みと訓読み、どっちが簡単?」
子「訓読み!!!」
母「どうしてか言える?」
子「えっとね~・・・」

なんでも、訓読みはほわほわしてるので入っていきやすく、
音読みはがっちりしてるそうです( ゚д゚)???

「あぶな」はほわほわしてて、「き」はがっちりしてる、のだそうです?




☆道村式漢字カードは、こちらから買えます→
一般の書店では取り扱いがありません。



2014-05-23

6年生の漢字学習:漢字をあきらめてはいけない

道村式漢字カードの進捗です。

「道村式漢字カード」は5年の2学期から使い始め、3学期目に入りました。

イイ感じで、日々のサイクルの一部になっています。

道村式漢字カード」がなかったら、
家庭学習は漢字だけでへとへとになっていたことでしょう。
道村先生、本当にありがとうございます!



現在は、学校の進度を少し先取りする形で、カードを使っています。
学校の漢字の授業についていけるので、本人の気持ちも楽なようです。


週3回程度、1回につき2個の新しい漢字を、漢字カードを使って覚えます。


おもて面を見ながら、何回か部品を言ってもらいます。
おもてを見ないでも言えるようになったら、1回だけ書きます。
このように、「書き取りの繰り返しをしない」のが
道村式の大きな特徴で、
ディスレクシアにやさしいポイントです。


ついでに、数日分の復習をします。

最近は、漢字カードの裏面を黙読してもらい、部品を言わせています。

上手に言えないものだけ、書いてもらいます。

画数が少ない漢字のほうが、記憶も再現もしづらいのは、相変わらずです。


今年の担任の先生は、漢字テストの出題内容を、完全に教えてくれます。
なので、前々日から、1回ずつ練習します。

前々日、学校で


前日。この日一番苦労したのは「場所」

そして本番。

「立」の書きかけな感じが、漱石の「冗」(誤字)にそっくり

先生!「耳」よりも大きな間違いがあります!(笑)

このように、前に書けていた字がなぜか書けないのが、ディスレクシアです。

だから、だいたい定着したらよしとして、次に進みます。



「収」がなかなか覚えられません。

☆  ☆  ☆


少し前、同年代のディスレクシア児をお持ちの方から
「書くことを諦めてはいけないんですね。」
というメッセージを頂きました。

そうですね・・・
私も、子がディスレクシアと分かった直後は、
「個々の漢字の意味さえ分かれば、
音にできなくても、なんとなく意味が分かるのが漢字の良さだし。
こんなに漢字を正しく書くのに苦労してるなら、
無理して漢字一つ一つの徹底的な定着をはかる必要はないのかも?
漢字は”なんとなく”でいいかも?」
と思っていた頃がありました。

でも、ディスレクシア教育の師と仰ぐ方から
「漢字をあきらめてはいけない!」という言葉を頂き、
多感覚式を試行錯誤しながら道村式カードにたどり着き、現在に至ります。




大学の恩師にも、背中を押されました。
この人のことは、今後少しずつ書いていくつもりですが、
『漢字は日本語をほろぼす』という本まで書いているほどなのです。
「漢字はことばではなく、文字にすぎない」
「漢字は日本語に打ち込まれたくさび。明らかに異物だが、抜いたら日本語は死ぬ」
だが「いまこそ漢字から日本語を解放すべきだ」等々と
日本の漢字信仰を徹底的に批判してきました。

しかも、この本を書いているとき、恩師は自分がディスレクシアだと気がついていませんでした。
独・露・蒙を完全に操り、英・仏・西など多少読める言語は限りなくある、その道では有名な言語学者なのですが。。

話を戻すと、私も恩師の漢字批判の影響を長年受けているので、
「先生が"漢字は日本語をほろぼす"なんて言うから、
私も子供も、どうも漢字学習に本腰が入らないんですよ」
と、話したことがあります。
そうしたら、恩師は「それはそうなんだけど、でも漢字は頑張るしかないね」
と言うのです。
「え?は?漢字やらないとだめ?!」とは思いましたが、
私自身が本腰を入れて漢字学習の試行錯誤を始めたのは、そんなやりとりがきっかけです(ひねくれ者ですみません)。


で、うちの子ですが、
道村式カードをもってしても漢字大好き☆にはならず
(道村先生ごめんなさい)、
むしろ「漢字は日本語をほろぼす」という言葉が心の支えなのですが、
でも、道村式カードのおかげで漢字をなんとか書けることも、
それ以上に心の支えになっています。

だから、やっぱり漢字をあきらめてはいけないと思います。
特に、ディスレクシア児に接する親や教師は・・・。



------------
道村式漢字カードのこれまでの進捗はこちら

漢字カードはこちらのサイトで買えます。書店での取り扱いはありません。

2014-03-13

5年生のまとめ漢字テスト

今年も、まとめ漢字テストの時期がやってまいりました!

去年の担任の先生は、同じ問題を事前にくれたので、
それを何度も書いて覚えるという方式で臨みましたが、
今年はぶっつけ本番です。

ということは、道村式漢字カードの成果をはかる時がやってまいりました!


ドリルを使って、ひとりで書くと、鏡文字があちこちに。
本人は気づいていないようです。


3周目

まだひとりで漢字学習は難しいようです。
そこで、3日ほどかけて道村式漢字カードを1周し、
間違ったものをピックアップして2周目、
さらに間違ったものを3周目・・・という作戦に。

本人が「言うより書くほうが楽」と言うので、
つい書かせて確認を済ませそうになるのですが、
「言えなければ書けない」
逆に言えば、「言えるものは確実に覚えている」のです。
ここは頑張って、書こうとするのを止めて、あえて言わせます。
この多感覚法、30分もやるとクタクタのようで、目の上をおさえてぐったりしています。


散+解

3周目まで行ったあとは、ひさしぶりにiPadの「ゆびドリル」で書き取りのテストに取り組みました。


「構」を認識してくれず、iPadと勝負(笑)

「ゆびドリル」は、マス目に十字が切ってあり、
これを大きくはみだすと、文字を正しく認識してくれません。
「構」の字を20回書き直したりして、認識させるのに一苦労。
これが、ためになりました。




すみません、本人が出してほしいというから出します。。

右端のメダルがどうなるのかが見たい一心で、
4問×全67ドリルをほとんど1日で解き切りました。
2日目はテスト前日に、2時間かけて240問。
動機は不純ですが、やると決めたときの集中力は大したもんです。
全部解いた瞬間に金色になったのを見て大喜び(笑)
その後、ふぬけになってました。

当日は6時に起きて、道村式漢字カードの2周目で間違ったものを言って再確認。



「構」が鬼門らしいです(苦笑)


もちろん、非ディスレクシアの同級生に比べたらバランスの悪い字ですが、
それでも、3年生と4年生の頃に比べると、
字もそれなりにしっかりしてきたと思いますし、
何より定着率がかなり向上しました。

3年2学期のまとめテスト
4年生のまとめテスト

道村先生、ありがとうございます!
先生のカードはディスレクシアの子にも、非常に効果があります!
6年生も先生のカードで頑張ります。



道村式漢字カードについて、詳しくは→こちら

2014-02-04

ディスレクシアの子にカタカナをどう教えるか?

もうすぐ小学校にあがる、ディスレクシアと思しきお子さんに、
ひらがなやカタカナをどうやって教えたらよいか?というご質問を頂きました。

うちは、そのくらいの頃はディスレクシアというものを知らなかったので、
小学校入学前は
「周りの子より字がずいぶんつたないし、自分から読まないけど、保育園に預けっぱなしでろくに勉強を見なかったせいかな」と反省し
(→ディスレクシアは保育園か幼稚園かとは関係ありません!

小1の頃は
「みんなきれいな字を書くな~、それにひきかえうちのやつは…」
と内心焦りはじめ、
小2の頃は
そろそろ真面目にやらないと本当に書けなくなるよ!
ごはんはちゃんと書けてからね
と罵倒しながら、夜遅くまで字の練習をさせていました。
(→×長時間拘束はディスレクシアにはつらすぎます)

10回書いて覚えられないなら20回、いや100回書きなさい
(→×ディスレクシアには鉛筆による反復は一番無意味!)

ママが2年生の頃はとっくに漢字が書けたのに、なんであんたは
(→他人や親や兄弟と比べるのもナンセンス
これについては、私のインナーチャイルド(笑)が「勉強だけが取り柄の昔の自分」を認めてほしがっていたためだと気づきました)

さっき書けたのに今書けないなんて、ふざけてんの?!」
(→これこそがディスレクシアです)

ディスレクシアに言ってはいけない、あらゆる罵詈雑言を浴びせました。
本当にごめんね・・・

小3でディスレクシアというものを知ったときに、
「あんたはずっと真面目にやってたんだね?!」とびっくりして言ったら、
”はっ!”とした顔をされ、
それからわあ~と泣きながら「ぼくはいつだってまじめだったよ・・・
と言われて、深く深く反省しました。

そういえば、最近書き取りしながら泣くことがなくなりました。

☆  ☆  ☆


前置きが非常に長くなりました。

もし、うちの子がいま小学校入学を目前に控えていたとしたら、カタカナをどう教えるだろうか?と考えてみました。



a)文字の形を言えるようにする。
漢字カードと同じ要領です。
フ、ノ、コ、からはじめて、「ア」は「フとノ」といった組み合わせで教えるような気がします。
文字の形が言えれば、何度も書き取りしなくても、定着できますので、
最後に1回、確認の意味で書いてもらえば、それでOKのはずです。

b)大きく空書き、尻文字、母親の手のひらや背中に書いてもらう
体を使って、大きく字を書いてもらいます。
新聞紙に大きくマジックで書いたり、ホワイトボードを使うのも、大きく書けるので良いです。
ディスレクシアは筆のほうが上手に書けると、教えてくれた人もいました。

c)文字の形を作る。
左右が混乱する字は、粘土やブロックで文字の形をつくってみると思います。
たとえば、「キ」は3画目に思いっきり傾斜をつけて作り、
左手でビー玉を持ち、左上から傾斜に沿って転がし、右手で受け止めさせて
左上から右下への傾斜を覚えさせるのも一案です。



普通の子の何倍かの手間がかかりますが、こつこつと続けることです。
短い時間(15分とか)でも、毎日やったほうが定着します。

字の訓練は非常に疲れるので、週末はお休みにすること、
という話も聞いたことがあります。



ここまで書いたところで、『読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク』を見てみました。


著者の村井先生によると、

これから小学校にあがるディスレクシアの子にお勧めです。


・カタカナが覚えにくい子は、
ひらがなで書かれたことばをカタカナに変換する練習を
・ななめ線の方向がわかりにくい場合は、マス目に数字を打ち、
方向を言語化して練習

やはり、「文字の形を言えるようにする」のがよさそうです。

☆  ☆  ☆

実は、うちの場合、いまでもカタカナは完璧というわけではありません。

むしろ、漢字のほうが定着しやすいようにさえ見えます。

「カタカナさえ満足に書けないなら、漢字はもっと大変に違いない」
という順番では、必ずしもないようです。


『読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク』から、いま書いてもらいました。
「バケツ」とかひどいもんです・・・
「ヨ」が思い出せず、「日の1画目がないやつだよ」と教えてあげました。


いま振り返るに、うちの場合は、より複雑な漢字を覚えるなかで、 
漢字の「部品」であるところのカタカナも、次第に覚えたように思います。
こんなところでもディスレクシアは「部分から全体へ」ではなく
「全体から部分へ」らしいです。

☆  ☆  ☆

道村先生がご自身のブログに、カタカナから小学校低学年の漢字を、(ディスレクシアとおぼしき高校生に)指導している様子を、具体的に書いていらっしゃいます。
スモールステップの様子がわかります。


カタカナから
1年漢字、その1
1年漢字、その2
2年漢字、その1


「1年漢字、その1」のなかで道村先生も書いておられますが、 「少しつまるところがあったが、その辺で手を打とう。」
つまり、だいたいできたら次に進むほうが、前のことができるようになるようです。


まとめると、

1)形を言葉で言えるといいかも
2)体を使って書くとよい
3)完璧を求めず、だいたいできたら次に進む
4)毎日短い時間でもコツコツと取り組む

5)出来なくても決して責めない