ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。
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2016-06-16

【翻訳】ディスレクシアの子の音韻認識の育て方

homeschooling with dyslexia(ホームスクーリング・ウィズ・ディスレクシア)
というサイトの翻訳を呼びかけたところ、
音韻認識の教え方と、サイトワードの訳し方の記事を、
「まるはな」さんが訳して下さいました!
ありがとうございます!

音韻認識・・・先日横浜で行われた
「アジア太平洋ディスレクシア・フェスティバル」のシンポジウムでも、
「フォニックス以前の問題として、オトをとらえることのできない子がいる。
多感覚法もフォニックスも効果がない、音韻認識が弱い子たち。
日本ではディスレクシア英語指導法は皆目分かっていない、実態も分かっていない。
こうした音韻認識が弱い子たちへの指導法に至っては、まったく分からない」
と断言されていました。

個人的には、英語についてはざっくりした音韻認識を責めすぎずに、
"言葉の音楽"を重視して、どんどん先に進むべきだと思っていますが、
ことはそんなに簡単ではないのでしょう・・・?

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ディスレクシアの子への音韻認識の教え方
原文はこちら→

●音韻認識の教え方
ディスレクシアがあってもなくても
音韻認識を学ぶことは、読みの学習の基礎となる。

●音韻認識とは
言葉が小さな音の集まりであることの認識のみならず、
音をバラバラにしたり、入れ替えたりできることを意味する。

●音韻認識の重要性
〇音韻認識は読みの学習が成功するかどうかの指標になるもの
〇音を分割したり合成したりすることは、
文字を音にする能力や読んでいるものを理解する能力を高める。
〇また、フォニックスは音韻認識の上に成り立つ

話し言葉での音を理解できて、それを操作できるのならば、
書き言葉でも同じようにできる準備が整ったということだ。


●音韻認識を調べる
以下のようにして子供の音韻認識のレベルを調べることができる
①お手本の語と同じ音で終わる語のリストを作らせる
②例示した語を、初めの音、真ん中の音、終わりの音に分けさせる
③語の中にある音節の数を数えさせる

以上の3つのことが自信をもってできれば
フォニックスへの準備ができているということ。

●音韻認識を教えるヒント
ゲームのように楽しくやること
1日10分でいいので毎日やること
○子供が嫌がったらやめること
○ディスレクシアの傾向のある子はこの練習に時間がかかることがある。
1年かかることも珍しくない。
○音や語は、子供が聞く必要のある回数繰り返すこと
○折に触れて音で遊べる方法を探すこと

●音韻認識の教え方
○韻
音韻認識を教えるもっとも簡単な方法には、韻を踏む言葉を使うものがある。ゲームのように楽しくやること。子供が嫌だというサインを出したらやめて翌日にまた行うこと。毎日数分でびっくりするほど効果が上がる。

☆韻を聞く
例:「この言葉とこの言葉に同じ音があるね-」などと言って韻が出てくる本を読む。

☆韻を区別する
例:3つの言葉を言って、最後の音が同じでないものをあてる。

☆韻をふんでいる文を作ってみる。
例:「今言った言葉と同じ音で終わる言葉を言ってみて」
  「これから言う文が同じ音で終わるように言葉を足してみて」

○音の合成、分解
音に慣れたら、語の中の1つ1つの音を区別できるようになる。まず初めの音、終わりの音、真ん中の音、とすすむ。音を分解できるようになったら決まった音で始まる(終わる)
名詞に移る。

以下は初めの音についての例だが、終わりの音や、やや難しい真ん中の音にも応用できる。

☆音を認識する
同じ音で始まる語を3つ言う。子供にどんな音で始まっているかたずねてみる。

☆音を区別する
同じ音で始まる2つの語と違う音で始まる1語を言う。どれが仲間外れかたずねてみる。言葉を返してくるのが難しい場合は、初めの音を強調する。

☆音をつくる
例:「/f/で始まる言葉を言ってみて」

○音節の合成と分解
子供が1つ1つの音を意識できるようになったら、言葉を音の塊に分けたりくっつけたりすることに移る。

☆音節の合成
音節で区切った語を言って、それがどんな単語になるか答えさせる。

☆二つに区切った単語をくっつける
語を2つに分けて言い、それがどんな単語になるか答えさせる。

☆音素の合成
語を音素に分けて言い、それが全体でどんな単語になるか答えさせる。

※楽しくやるのを忘れずに。時々子供にも問題を出してもらおう。

○文の分解
短い文を言って、単語の数だけ手をたたく。見本を見せるとわかりやすくなる。

☆音節に分ける
音節ごとに手をたたく。

①見本を見せる
②お手本と同じ単語で同じようにやらせる
③こどもだけでやる

☆単語を前後に分ける
単語を前後2つのパートに分ける。
見本を見せて、子供が簡単にできるようになるまでいろいろな語で試す。

☆音素に分ける
単語を音素に分けて言わせ、いくつの音が聞こえたか子供にたずねてみる。

音韻認識を教えるのに参考にするとよい本: all about reading
(翻訳おわり)
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ところで音韻認識の弱い人と言えば、
私の父(75歳、引退した建築家)は音韻認識の弱いディスレクシアだと思います。

私がもの心ついた頃から、私の家族は
「父(ディスレクシア)の珍妙な受け答えに母(アスペ)がキレる」の繰り返しでした。
今は、うちの子に「おじいちゃんって天然だよね~」と言われています。

父の弱い音韻認識は、成長とともに多少は向上したのでしょうが、
25歳くらいをピークにごくゆるやかに低下を続けており、
自分が聞き間違いが異常に多いことを自覚して、いろんな戦略を立てる以外、
これといった解決策はない気がします。
(父はメモ魔、あとiPhoneで毎日何十枚と写真を撮る写真魔です)
上のようなレッスンは、父にはちょっと無理な気が。。
年齢的なものもあると思いますが、
次々と口頭で指示したところで、それを理解する様子が想像できません(汗)

ところで、異邦人として生きることは、
音韻認識の弱さを悟られずに生きる、有効な手段だと思います。
(父は、仕事人生の全部が海外、それも先進国での仕事はほとんどありません。
なので、珍妙な受け答えをしたとしても、
"外国人だからそんなもの"というスタンスでやってこれたのだと思います。)



メモ魔でディスレクシアな父(よく見ると「材」が「村」に(汗))
大人になって「書いて覚える派」になるディスレクシアは、驚くほど多いです

話がずれました。次の訳です。まるはなさん、引き続きありがとうございます!


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ディスレクシアの子へのサイトワードの教え方

原文:こちら→
                       
サイトワードとは、ルールで読めない、見て覚えることが必要な単語
 ディスレクシアの人は正しいやり方で読みを教わるのが良い。
 インターネットで探したが、ディスレクシアの人に効果的な教え方がほとんどなくてショックを受けた。
 以下は多感覚を用いた素晴らしい学習法の例である。 

ディスレクシアの子どもにサイトワードを教える方法
 この記事の後のほうに、私の子どものBen がどうやってサイトワードを覚えるのかをやって見せているビデオがある→Ben はこの方法を見つけるまで何週間やってもサイトワードが1つも覚えられなかった。このやり方を始めてから、彼はサイトワードを簡単に覚えるばかりでなく楽しく学ぶようになった。Dyslexia Training Institute の先生方に感謝。
 
やりかた
① 
サイトワードをフラッシュカードに書く。
子供に単語を読ませる。
わからない単語であれば読み方を教える。

鉛筆やペンのおしりでカードの文字をなぞりながら文字の名前を言う。
鉛筆やペンのおしりでアンダーラインを引きながら単語を読む。
これを2回繰り返す。

指を使ってテーブルに単語を書く。
2でやったのと同じように文字を書きながら文字の名前を言い、
単語の読みを言いながらアンダーラインを引く。
覚えそうになっていたら記憶をもとに書けるように、カードはひっくり返しておく。
これを2回繰り返す。

自分の手で反対側の腕をたたきながら、文字の名前を言う。
腕をなでおろしながら(左利きならなで上げながら)単語を言う。
(訳者注:ビデオを見るとよくわかります→

できるのであれば、ノートにその単語を書く。

単語を見て読むということが5~6回続けてできるようになるまで、練習する。
 

☆ビデオについて
文字を書くときは正しい書き順で書くのが理想的ですが、このビデオの中でBenは時々逆から書いたりしています。私たちは書き順について取り組んではいますが、サイトワード学習の中では書き順を直すことはしていません。

●サイトワード学習開始にあたって


できれば子供たちに勘で読む習慣をつけさせないため、習っていないサイトワードの出てこない教材を使ったほうが良い。

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サイトワードについては、どこで読んだか忘れましたが
フォニックス読みと発音通りの読みの両方を覚える」のは、
ディスレクシアには正しい方法だそうです。
(「ウェドネスダイと書いてウェンズデイ」など)
このことと、上の覚え方を併用すると、日本人学習者にとってはよさそうです。

2016-06-11

もじこ塾特別セミナー「出来るが先、知るは後、B.B.メソッド」

16/06/18 1ヵ所訂正しました。難波先生、ありがとうございます。

BBカードの考案者、難波悦子先生(セルム児童英語研究会)をお迎えして、ディスレクシア英語指導にBBカードをどう取り入れたらよいかを考える、スペシャルなセミナーを行いました!

難波先生、もじこ塾のセミナーにご登場下さり、本当にありがとうございます。
BBカードとその理念をしっかりと学び、ディスレクシア英語指導に生かしていくことが、感謝の気持ちをお伝えすることになると思っています。

今回は、参加者のY. I.さんが、講演録を作って下さいましたー!!
ありがとうございます!!
こちらで取っていたメモから少し補足して、ご紹介します:

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冒頭、もじこさんより以下の紹介がありました。
「本セミナーが開催されるきっかけは、20163月に東京で開催された英語教育UD研究会で、難波先生ともじこがそれぞれプレゼンテーションを行い、難波先生から、「ディスレクシア英語教育は大から小であるべき」がBBカードの理念に一致しているとのご指摘を頂いたこと。今日は、難波先生に、3月のプレゼンと同じ内容をお話していただき、ディスレクシアの子供の英語教育について悩みを抱えている参加者の皆さんと共に、私(もじこ)自身も多くのことを学びたいと考えている。

 本セミナーの準備として、参加者の皆さんが抱えている悩みなどについて難波先生にメールでお伝えし、お返事もいただいている。難波先生のメールには、深い言葉が溢れているので、読みあげる形でご紹介したい。『これまでの日本の語学学習法は、易から難へ、そしてspoon feeding(スプーンで口に入れてあげるような方法)で、やってきた。その結果として、教師が子供たちを見て言うことは、英語が聞き取れない、言えない、読めない、書けない、といったないない尽くし。しかし、これは教師の側から見ただけのこと。教師が教えれば教えようとするほど、子供は学習の緊張から逃れられない。子供を学習の緊張から解放させてやることが重要。』 
また、戦後の英語教育は、Jack and Betty以降、70年間変わっていない。なぜなら、ALTが入っても、オールイングリッシュ形式になっても、"教える"という点は変わっていないから…とも。
ご紹介はここまでにして、難波先生、よろしくお願いします。」

☆  ☆  ☆

難波先生のご講演の趣旨は次のとおり。

1.BBカードメソッドの基本は「教えない」
「教えない」とは、「生徒がすでに持っているものを基に、気づかせる」ということ。
「生徒がすでに持っているもの」とは、英語の知識ではない。わからないことの意味を推察する力とか、羅列されたことばの中から自分なりに規則性を見つける力など、その子がすでに持っている能力のこと。
子供を観察していると、それぞれ強い力が異なる。Visual(視覚能力)が優れた子、Auditory(聴覚能力)が優れた子、Kinesthetic(身体能力)が優れた子など、それぞれ異なる。その子が得意な力を生かしてやることが大切。

2.BBカード誕生のきっかけ、理念
もともと、BBカードが誕生したきっかけは、私(難波)の英語教室にいた、言い方は悪いが、箸にも棒にも引っかからないような子供たちが楽しんでできるようにと考えたこと。
教師が教えようとすればするほど引いてしまい、自分の殻に閉じこもろうとする生徒がいる。このような子に対し、どうするか。

「サ・シ・ミの法則」というのがある。50年前に石神井中学の先生が言ったこと。
学校の1つのクラスのうち、上位3割(「サ」)は、教えなくても自分で規則性を発見して学んでいく子供、
その次の4割は、教えられて何度も練習すれば身についていく子供(「シ」)、
残り3割は教えられて何度も練習しても、残らない子供(「ミ」)となる。

言語学者のクラッシェン(Krashen)が言っているように、ことば(言語)というものは意識的な学習によっては身につかない。特に、EFL環境(英語が外国語である環境)にいる日本の子供たちは、学習によって英語を身につけるのではなく、自然に気が付いたらできていた!となるのが良い。そのためには、現在、学校で教えているような文法事項などの明示的知識をいくら教え込んでも、自分から発話する瞬発力は出てこない
反対に、BBカードで遊んで、はじめからセンテンスを言えるようになっていれば、子供は必死に覚えなくていい。ただ言うだけで良い。「おまじない」も、カードの「センテンス」も、言えるところだけで良い。

3.実際にBBカードで遊んでみる
それでは、実際に、本日の参加者の皆さんに4人一組でチームになって、BBカードで遊んでもらいたい。
まずはダイヤのカード16枚を使った「基本ビンゴ」。
(「shuffle your cards」と声かけし、4×4にカードを並べてもらう。
カードを配り、並べてもらっている間、「おまじない」として、不規則動詞の活用を先生が言い、生徒にリピートさせる。take-took-taken-takingなど。
配り終わったら「おまじない」も終了。「おまじない」の意味は一切解説しない。)

私(難波)がセンテンスを言ったら、まねして、子供の気持ちで、どのカードか考えてほしい。
(先生が"Lucy Locket lost her letter."と字札を読み、生徒役は絵札をあてる)

子供がわからなくても「どれかな?」と言って考えさせる
全部はわからなくても、letter という言葉で推測できて、あてられる子がいる。あたったら「ピンポーン!」「あたり!天才」、外れたら「ブッブー!」、それだけ。「できた/できない」ではなく「あたり/はずれ」だけ。楽しめばよい。
その過程で、「Lucy Locketちゃんは、何をなくしたって?」(「手紙」)「そうだね、letterをなくしたんだね」というような「意味をとるための質問」をすることで、letter という単語を知らない子でも、音と絵を見て、「letter =手紙」というのが、その子の中で結びつく。
自分からピックアップするように持っていく。

 1つのセンテンスの中のすべての語を、最初からわかる必要はない。あいまいさに慣れていってほしい。
「あいまいさ」に耐えられる力をつけていくことが大切。
あいまいな状態でもセンテンスを言えることが、後々、文法を学ぶ時に、帰納法的に納得できることにつながっていく
このあいまいさに慣れさせるため、B.B.カードは、いちばんやさしいダイヤのカードからでも、機能語(前置詞など)を多用したセンテンスや、過去形、未来形、現在完了形などいろいろな時制のセンテンスを入れている。
B.B.カードは全部で64枚あるが、これで英検3級レベル(中学校終了程度)の文法事項をすべてカバーしている。意味がわからなくても、言えるようになればよい。

(ここで会場から質問。「カードの意味を教えてほしいと言われたら?」
難波先生の答え「『わかったら教えて』と言います」)

文法を気付かせるとは:
Ken  keeps me waiting.
Kate keeps me waiting.
Ken and Kate keep me waiting.
と言えば、子供たちは気付く。

Happy Henry has gone to Hawaii.で、
「Happy Henryちゃん、どこ行ったかね?」(「ハワイー」)
「じゃあ、Happy Henry が北海道に行ったら?」
「(Happy Henry has gone to Hokkaido)」

 はじめから、子供がすらすら英語のセンテンスを言えるわけがない。何度も、ビンゴやゲームなどの遊びを通じて、絵と音に触れていき、反復を自然な形で繰り返すことで、潜在意識の中に、絵と音を内在化させることができていく。
そのためには、手間暇をかけていかなければならない。ことばを覚えさせたいなら、手間暇をかけないと無理。

特定のグループが勝てるよう、読む字札を調整することも。これはほめるため。
こういうことのできるゲームなら、できる子とできない子の垣根を作らない。

さらに遊び方の紹介。
・神経衰弱
(例文を聞いて、対応する絵札を表にする。正解した人、つまり対応する絵札を表にすることができた人が、次は例文を読みあげる役になれる)
大人はテキトウな札を選ぶが、子供は自分がビンゴになるような絵が返せる札を読む。このとき、子供は右脳と左脳を使っている。

・ただ言えるだけの例文をもとにした遊び。
(子供が64文をすべて言えるが、意味はわかっていない状態で、
例えば、Gentle Giraffe looks at George.に対し、
先生が、Gentle Giraffe likes to look at George.と言い、生徒も繰り返す)
2~3枚繰り返すと、likes toが入る。何をやっているか分からないまま、言えてしまう。

教えることに熱中すると、「覚えた/覚えていない」で判断してしまう。
だが「言えればいい」なら、いつの間にか覚えてしまう。

子供が言えるようになった時点で、意味を聞く。
「わかって、納得して、覚える」だと、わからないものは覚えられない。

スプーンフィーディングの弊害。通常の反復では、I amばかり反復して、次にYou areばかり反復するという方法をとる。そうではなく全体で入れる、つまり、is/are/wasを同時に入れる。未来形などもこの方法で入る。手間暇はかかるが。

「なんだか分からないができる」は英語嫌いをなくす。

4.BBメソッドの基本三原則
BBメソッドの基本三原則は、
(1)全体から個へ、
(2)基本は遊んで学ぶ(学習ではない)、
(3)いい加減が好い加減(言葉の曖昧性に耐えられる力が生徒自身の「気づき」につながる)、というもの。
これによって、特に小学校段階でBBメソッドを取り入れると、
(1)反復というルーティンワークを子供に悟られずに行える、
(2) 「遊び」という形式をとるため、できる子とできない子の垣根を作らない、間違いを恐れない、
(3)英検3級レベルの64センテンスが身体にしみこんでいることが、中学以降の英語学習のよりどころとなる、
(4)文法については中学校で帰納法によって気づける、
というメリットが生まれる。

5.BBカードの学習段階
BBカードの学習段階は、
1段階が「絵と音の一致」
2段階が「音と意味、音と文字の一致」
(先生の言葉の模倣と反復を繰り返すことにより、いつのまにか記憶に定着する)、
3段階が「置換(substitute)と変換・転換(recast)」
(転換とはlikes toを加えることなど。recastでは訂正を大げさに行わないことが大切。子供の発言をそのまま受け止めてからさりげなく言い換えれば(「takedね、took」)、子供はこっそりと正解を学ぶ。
難波先生から、訂正のご依頼がありました。
たいへん勉強になるので、そのままの形で掲載いたします。
recastでは子どもの間違えた表現を先生が繰り返すことはしません。
ですから、「そうね。」といったん引き受けて、間違えた子に向けてではなく、全員に「took」とリピートを促します。

こうすると、間違えた子は自分の間違えたことに気づきつつ、先生が聞き間違えてくれたことで恥をかかなくて済みます。

しかし、過去には「先生、○○ちゃんは間違ったこと言ってたよ」などと小さな親切(?)を発揮してくれる子もいたりしましたが・・・。そんな時でも「あら、そう?」で済ませます。

「子どもの間違えを先生が繰り返さない」はrecastの鉄則(?)と言ってもいいかもしれません。


4段階が「選択(類推による作文)」。

 第3段階の置換とは、主語や目的語を置き換えることにより作文の練習となる。変換は時制を変えること、転換は基本文をもとに違った意味の文に変えていけること(例:Betty Botter wants to buy some butter. She likes to buy some butter.)である。

 この段階ができたら、第4段階の「選択」が可能となる。
ここでは「BB作文」を行う。(2枚のカードの、主部と述部を合成した文章。Betty Botter has gone to Hawaii、The flying rabbit will get to the forest to buy a cake.など。)そこから文型練習、自由作文、会話など変形練習を含む文法練習が可能となり、自分で発話、作文することができるようになる。

 BBの反復と学校の反復の違い。学校とBBでは、反復の回数は同じだが、BBの方が広範。学校では、I likeならI likeばかり反復し、その後二度とI likeの反復に戻ることはない。

インプットの重要性。BBの後は本読みと、先生とのインタラクションが大事。そしてインタラクションのためには、核になるものが必要。それが64文。
外国語環境になくとも、この核があれば、そこから広がっていける。

小学校でBBカードを導入する利点。
(1)ばらつきのない小学校英語教育が可能(学校外での学習歴に関係なく、みんなで一緒に楽しめる)
(2)英語の専任でなくても使える。CDがあるから。学校の先生もCDを聞いているうちに覚える。
(3)帰国生の子に読み手になってもらうなど、できる子も退屈させない。
(4)英語の素地を作れる。リズム、イントネーション、アクセント、リエゾン。文字。準動詞までの文法。そして作文まで。
BBカードは遊びだから、間違いも許される。間違えたくない環境だと挑戦しなくなる。その姿勢だと英語は苦手になる。いいかげんでOK。それでも、だんだんもやもやがはっきりしてくるもの。

多読vs.訳読。
多読によって本が読めると、英語が好きになり、自力で英語力を高めていける。つまり自己教育力がつく。

BBカードの目標。
難波先生の目指す、BBカードで遊びまくった子供の小学校卒業段階での目標。
最低段階は、64のBBセンテンスを自分で言えて、意味がわかること。
その次の第2段階は、センテンスの変換、転換ができること。
最終目標である第3段階が、センテンスを自分で作れること(自発的な作文と発語ができること)。

6.ビデオ鑑賞:
最後に、実際の子供たちの様子をビデオで見てほしい。(ビデオ鑑賞で、講演は終了。)

☆ ☆ ☆

質疑応答(主なもの)
Q. ディスレクシアや学習障害のある子でも、BBカードを通じてセンテンスを言えるようになったとしても、どこかの段階で、言えるようになったセンテンスを「読む」という段階が必要になると思うが、どのようにしたら読めるようになるのだろうか。(もじこ)

A. 自分(難波)は、これまで、ディスレクシアのお子さんを指導した経験はないので、ある北海道の先生の手記(LDやディスレクシアのお子さんの指導に関するもの)を参考として配布した。
ただ、BBカードに遊びを通じてセンテンスを諳んじられるようになった子どもでも、字カードを見て、すぐに読めるわけではない。最初は絵カードと字カードの番号でどの文が分かり、語を図形的に捉えて、全体語形的に読んでいる。ただ、それを繰り返していくことで、子供自身が「読める!」という自信をつけていく(途中で番号をシールで隠すことも)。


Q. 文字学習を始めるタイミングは、いつになるのか?

A. BBメソッドでは、最初にアルファベットは教えない。ただ、例えば1時間のレッスン全部がBBカードというわけではなく、最初は英語の歌を歌ったり、Simon Saysのゲームなどをやったり、英語の音やリズムに慣れる時間はとる。その中で、自然にABCソングなどを覚えていく。BBカードの64センテンスを完全でなくても覚えて、言えていたら、フォニックス的な遊びをやって、音と字の一致を図っていく。たとえば、Betty Botterのセンテンスに”b”の音がいくつ入っているかな?と聞くゲーム等を行う。


Q. BBメソッドでは、フォニックスをやるタイミングがかなり遅い、というかアンチ・フォニックス的な立場だなと感じたが、どの段階でフォニックス的な指導をするのか?(もじこ)

A. 実は、フォニックスはいつから、どこから、入れてもよい。フォニックスの規則性を教えたとして、自発的な発語につながるわけではない。ことばは規則ではないから。まず、音を入れておいて、音の認識ができなければ、ダイヤのカードのセンテンスの韻を踏んでいることの規則性に気づくことはできない。
Betty Botter bought some butterに対し、How many B sounds are there?(いくつBの音が入っている?)と聞くが、正解するには年月を省いてはならない。せっかちはいけない。

BBカードを説明するにあたり使っている枕詞がある。それは「だまされたと思ってやってみて下さい」(会場笑い)。
覚えられる子はすぐに覚える。座っていられない子、飽きっぽい子は、ただ教室にいればいい。そこにいれば、そのうち覚えるから。


Q. 難波先生の著書(下記、参考文献1.)によると、10週間で64全てのセンテンスを入れる必要があると書いてあるが、実際に、レッスンで使っていると、とてもそのスピードで入れることは難しいと感じるが、どうすればよいか。

A. 最初の10週間で、64のセンテンスを完璧に覚える必要はない。あくまで、64のセンテンスに「触れさせる」のが大切ということ。
64のセンテンスに、英検3級レベルまでの基本文のエッセンスが詰まっているので、早い時期に触れておくことで、英文のあいまいさに耐えうる力をつけさせることが可能となる。
BBカードは、ダイヤは頭韻で、ハート、クローバー、スペードと、だんだん言いにくくなっていく。だが、これが易→難の順だと考えるのは思い込み。4種類、すべて同じように扱ってよい。
順々に扱っていく途中で教室に新しく入会する子もいる。それもかまわない。たいていの子は、自分が入会したときに扱っていた種類(ハートなど)が一番好きになる。


Q. BBカードは、ビデオに出てきた通り、下は3歳から可能だと分かったが、上は何歳くらいまでを想定しているか?

A. BBカードを製作したときは、小5の子を念頭に置いていたが、広まるにつれ、だまされた人(笑)の中には、下は3歳くらいから使う人も出てきた。この年齢の場合は、字カードの使用は想定していない。また、BBカード以外の読み聞かせや歌などもたくさん行う。字は学童期から。


Q. 中1ショック対策として、BBカードをどう使えるか、何か提案はあるか。

A. BBカードの使い方は、年齢を問わず同じ。まずオトを聞かせ、言えるようにすること。
授業を捨てる覚悟が必要かもしれない。

もじこ:学校のテストでは習熟度がはかられるわけだが、ディスレクシアだと、どうしてもそのペースに合わない。だが、目の前のテストができるようになりたいのか、それとも英語の運用力を身に付けたいのか。BBカードは後者を可能にしてくれるのだから、学校のテストは割り切る覚悟が必要、なのかもしれない。

(参考文献)
1.難波悦子『続・カードで遊んで英語大好き!―「B.B.カード」活動集』(東京図書出版会、2007年)
2.和泉伸一『「「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育』(大修館書店、2009年)

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難波先生、ありがとうございました!!

出席者の感想より:

◆先生のやることは「教えない!」そのかわりに「考えるきっかけを仕込む」ということがとても勉強になりました。

「つみあげない」「教えない」にまず衝撃を覚えました(汗)。英語は勿論、他の教科も基礎からやって、コツコツと覚えてきましたから…
他の教科はともかく、英語に関しては、結局聞くのも話すのもできないし、従来の英語学習ではまず親である私が挫折感を抱いています。挫折感の理由も、今回腑に落ちました。「英語のあいまいさを許容する」は自分はとても苦手だし、「間違えたらはずかしい」もとても根強くあります。英語が苦手な理由はその辺りなんだとわかり、ディスレクシア要素のある子供には、BBカードで、覚えない英語のスタートをさせてあげたいと思いました。

◆ディスレクシアかも?な生徒さんが何人かいて、悩んで参加させて頂きました。教えずに"あいまいさ"を残したままゲームをするというのは目からウロコでした。
BBカードは、正直ハードルが高いかな…どうかなと迷い中ですが、今日のセミナーはたくさんのヒントを頂け、とても勉強になりました。ありがとうございました。

◆マニュアルありきのレッスンを、渋々ながら受け入れて指導する身には、素晴らしく目新しく新鮮な内容でした。"だまされて"みようかしらと思いました。

教えないで遊びのなかで、身につけさせる。全体を覚え、部分にうつる。定型の子たちにも、もちろん大切なことだと思いますが、ディスレクシアの子たちにも非常に助けになるメソッドだと思いました。
ただ、やはりディスレクシアの子にとって、一番の難関は、正確に読んで書くこと。この部分は、BBカードのその先で、これから考えていかないといけないのかなと思いました。とりあえず導入としては非常に有効だと思いますし、定型、ディスレクシア関係なく、みんなで楽しんで遊べるところが、すばらしいですね。

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もじこの感想

「ディスレクシア英語指導は"スモールステップ"が鉄則と言われるが、BBカードはその真逆のアプローチ。この2つにどう折り合いをつけるのか」という質問を事前に頂いており、私もずっとそのことを考えながら拝聴しておりました。

語学学習は、全体像・・・その言語の音が響いている様子を目の当たりにして、その言語の音楽(と私は呼びますが、リズムやイントネーションを含めたリアルな会話の世界)に少しでもひたることがすごく重要で、スモールステップはその後に行うべきものだと、今は考えています。
ジョリーフォニックスにしても、道村式漢字カードにしても、言葉の音楽に触れていることが前提で(前者は英語、後者は日本語)、それなしでいきなり取り組むと、ディスレクシア的にはいくらスモールステップでも、苦しいものになるようです。
そういう意味で、BBカードは、"言葉の音楽"を教室に作り出すことができるという点で、画期的な教材だと感じました。

難波先生の生徒への声かけ自体は、とても、とてもスモールステップです。
正解を全部与えず、本当にちょっとした訂正だけで、そこから生徒自身に考えさせます。この声かけの仕方は私も、もじこ塾春期講習や予備校の授業ですでに取り入れており、生徒がすごく主体的になると感じています。

一方、やはりディスレクシア的には、ある種のことをスモールステップで"教える"ことは不可欠だろうとも、今回の講演を聴きながら思いました。ディスレクシアは「サ・シ・ミ」の「ミ」のさらにどん底の子たち、中学3年間英語の授業を受けても、theが読めないこともある子たちです(実際にいました)。こういう子には、ある部分は"気付かせる"のではなく"教える"ことが不可欠で、この部分にいつまでたっても自力では気付けないことが、学習障害と呼ばれるゆえんかも、、と思いました。

数人のディスレクシアの中学生を教えた経験では、「今から私が教えることが分かれば、こういうことができるようになるよ」と見通しを示せば、ディスレクシアなら理詰めでの文法説明も、なかなか覚えられないフォニックスも、"教える"ことに頑張ってついてきますし、むしろ教わることを望んでいるように思います。
・・・と質疑応答で申したところ、「もじこ先生は努力できない子を見たことがないのでしょう」と難波先生からご指摘を頂きました。
これは深い!!以来、ず~っと考えています。で、今思うことは・・・
「はい、私がこれまで出会ってきたディスレクシアの生徒は全員、努力できる子たちです」
ディスレクシアの子は、誤解を恐れずに言えば、原則として努力家だと思います。小学校入学と同時に「なんでみんなそんなに読めるの?」と密かに焦ったり、「書き取りの宿題が終わるまで居残り」といった仕打ちを受けたりしていれば、自然とそうなるでしょう(ノД`)。天然や多動のせいで努力家に見えないケース(笑)もあり、また努力の到達点は知能によって異なるでしょうが、少なくとも純粋なディスレクシアは努力する人種だと私は思っています。
ごく少数、10代前半で、勉強する姿勢(→文字通りの)ができていない子はいましたが、それは体幹が整えばずいぶん変わると思います(しかしこれは、非ディスレクシアにも言えることかもしれません)。

2016-05-16

第1回「読み書き困難の子への英語の教え方をシェアする指導者の会」を行いました。

先日、「読み書き困難の子への英語の教え方をシェアする指導者の会」
の第1回を行いました。
お越し下さった方、ありがとうございました。
不手際も多く、また、一人一人にきちんとご挨拶できず、
申し訳ありませんでした。

この会は、3月のUD研究会の終了後、参加者同士で話しているなかで
「英語講師と、こういう話をする機会はなかなかない。
こういう場を定期的に持てないだろうか」
という声があがって、立ち上げたものです。
ありがたいご高説を学ぶというよりも、
発表者の議論を出発点にして参加者で議論し、
ディスレクシアや発達障害の子にやさしい(=すべての子にやさしい)
英語教育を模索していこうという主旨の会です。

今回は、勉強したいという保護者の方も、全体の4分の1ほど来られました。
私自身、これまでいろんな研究会や学会に潜入してきて
「お母さん必死ですね( ´,_ゝ`)プッ」という目には何度も遭っているので
熱心な保護者をできれば排除したくないのです。
この業界、専門職の保護者(教師、医師、薬剤師など)が不思議と多いですし、
そうでなくても、力のある保護者は、教える側に働きかける力を持っています。

保護者の方には、
「"自分の子をどうにかしたい"を超えた所で、積極的な発言をお願いします」
と申しました。

集まった指導者の方も、保護者との協力は不可欠というスタンスでした。
率直で建設的な議論ができたことを、嬉しく思います。

「さらに具体的な教え方のノウハウを知りたい」という声もありました。
次に発表する方々、よろしくお願いしますね~
(次回は9月上旬に行います。詳細は後日告知します)

記憶に残っている主なことばをご紹介します。

◆「グレーゾーンの子」の存在。
記念すべき最初の発表は、大手の英語教室で児童英語講師をされている方。
「発達障害ではないか」と未就学段階で気付いた子に、
親に言うことなく、どう対処したか/対処できなかったかという話でした。

私も予備校で、本人にさえ「キミはディスレクシアだね」などとは言わずに
対応を変えているので、よく分かります。
こうした話は、実践報告や学会の研究発表では、表に出てきづらいものです。
それだけに「グレーゾーンの子に、それと指摘せずに配慮する」
という教師側の心構えは、大事と思いました。


以下は、私が話したことです。

◆ジョリーをアレンジすること
ジョリーフォニックスは、現地の未就学児~を対象に作られたパッケージ。
日本のディスレクシア中学生に使う場合は、アレンジしたほうが効果的。

ディスレクシアであっても、年齢が上がるほど、1回にできる量が多くなる。
中2なら1回に10字程度、高校生なら20字以上。
一覧を使って全体像を見せるべき(「英語の字はたったこれだけだよ」と)。

生徒に刺さる多感覚も、幼児と中学生では変わってくるのは当然。

例えばアクションは、うちの実験台(小5男ディスレクシア)には徹底的に教え、
つい最近までスペルが分からないときはアクションをヒントにしていたが、
中1で「アクションは子供っぽくて恥ずかしい」と言う子もいる。
ませてくる年頃になると、アクションは難しくなるらしい
(「左脳で英語を学ぶようになる頃が境界線」と指摘を頂きました)。

もじこ塾春期講習では、
「教師の発音と、生徒の発音を、交互にiPadで録画したもの」を作り、
それを再生して言えるようにすることを、宿題にした。
自分の声を自分で聞くことは、記憶定着効果が抜群な多感覚。
また、教師の発音と生徒の発音が交互に入っているのを聞くことで、
修正しやすいという効果もある。

◆日本のディスレクシア中学生とフォニックス
海外ではフォニックス不要論もあるようだが、
それは、母語として英語を使っている環境での主張であることを認識すべき。
また、フォニックスにはアナリティック
(←現在日本のフォニックス最大派閥である松香式はこちら)
と、後発のシンセティック(←ジョリーはこちら)の2種類がある。
フォニックスの議論をするときは、
どちらのフォニックスの話をしているのか、注意する必要がある。

外国語として英語を学ぶ場合、音と文字の対応
(アルファベットの各文字を、どのような音に対応しているか)を教えるべき。
特に、ディスレクシアだと、音と文字の対応に自力で気付けないので、
教える必要がある。

フォニックスは英語学習の長いはしごの、最初の1段にすぎない。
フォニックス後も、おそらくは大学受験の英語まで、
ディスレクシアには普通とは異なるアプローチが必要になる。
しかしながら、thisをなんと読むか、
中3の1月まで分からないディスレクシアもいるほどなのだから、
ディスレクシア的にはフォニックスは不可欠。


◆聞く→話す→読む→書く




日本にいる普通の人(非ディスレクシア)の英語力は、
「読む」力が一番大きく、
それとほぼ同じくらい、「書く」力があり(※単なる書字能力)
それから一回り小さく「聞く」力があり、
さらに二回りくらい小さな「話す」能力がある。

教育方法としても、「読む」の円を大きくすることに主眼がおかれている。
字が得意な子は、「読む」から外国語に入ることができ、
「読む」が大きくなると、「書く」もおのずと大きくなる。

だが、ディスレクシアの英語力は、「聞く」が一番大きく、
それとほぼ同じくらい「話す」能力がある。
その半分くらいの大きさの「読む」円があり、
そのさらに2割くらいの大きさの「書く」円がある。

ディスレクシア英語教育は、大きい円から順にアプローチすべき。
つまり、「聞く」→「話す」→「読む」→「書く」の順に。
1)「聞く→話す」で文法力をどこまで伸ばせるか
2) 「話す」力に、「読む」力をどこまで近づけられるか
3)「読む」力に、「書く」力をどこまで近づけられるか
が、ポイントになる。

なお、「聞く」ときも、文字を見せながら。
文字を見せながら読んであげるのが「聞く」、
文字を自力で読んでもらうのが「読む」こと。

#という話をしたところ、
#「外国に行ったときの英語の学び方は、右ですよね」
#「四技能の学習方法は右であるべきだ」
#「右の円の外側に、「英語を遊ぶ」という円を描きたい(=モチベーションの円ですね)」
#などの感想を頂きました。

◆bとdは、ディスレクシア的には最後まで鬼門
「bとdの区別をどう教えるか」という話が出ました。
ベッドの絵を描くとか、ボールとバットのアクションとか、色々出ましたが、
予備校講師的には、bとdは、ディスレクシアなら最後の最後まで間違う
と言いたい!

butとdotを、年間で5回も読み間違えて、
読解に詰まって気絶しそうになったり、設問を間違えて頭を抱えたりして、
それでもW大に合格したりするのが、ディスレクシアです。

「bとdの区別ができなかったら、先に進めないよ!」
と、bとdだけの猛特訓をするのではなく、
何度でも、さらっと「あ、これbutだよ」と指摘するにとどめる
(↑こちらのテンションはできるだけ地味に。大げさに指摘しない、笑わない)
ほうが、この件に関しては効果的だと思ってます。

2015-10-22

LD学会にて:道村式漢字カードの長所、ジョリーの浸透度

福岡で行われたLD学会に、道村式漢字カードの売り子として行ってきました。

道村先生のパワフルさには、私の中のがん患者の常識が覆されました!
漢字カード普及活動が薬になっているとお見受けしました。
とはいえ、まだ治療継続中の身の上。どうかお大事に、、

今回、売り込みを繰り返すなかで、
道村式漢字カードの長所を改めてまとめることができた気がします:

道村式漢字カードのポイントは、

1)書かずに、部品(パーツ)を唱えて覚える
(道村先生流に言うと「書くことからあの子達を解放してあげて!」)

2)部品の単位が細かすぎず大きすぎず、ほどよくまとまっている
(同じく、道村流に言うと「たてたてよこよこだと線構成になるからね!
それじゃあ1日たつと忘れちゃう!」
「よろこぶは十・豆・口!これだけ!!」)

3)部品が初登場の時には事細かに説明し、次からは部品に名前をつける
(『「イ・なべぶた・たて・三」、次からは「ふるとり」!!』)
(『3年生までにほとんどの部品は出てきちゃうのよ、
4年からは部品の組み合わせでずっと楽になる!』)

ディスレクシア的には、
「部品を唱えることで、
うじゃ~っとしたかたまりだった漢字が分解・整理され、
おのずと正しい書き順で入っていく」と言えます。
このあたり、ジョリーとすごく共通点があります。

4)初出時に、音訓をセットで覚える。
かつ、道村式漢字カードには、同音異義語は一つもない。
(「音と訓を別々に教えるのは光村図書の重大な欠点!」)

ディスレクシア的には、
「道村式漢字カードは、(1)目で漢字を見ながら、
(2)教える側が音訓を読んでは、(3)生徒が部品を言うのを繰り返すことで、
漢字の(1)ビジュアル・(2)音訓・(3)書き方を覚える、多感覚式の教材です」

あと2つ、使い方において盲点になりがちな点を:

a)テンポ良く、ほめながら使う
押し売りかというくらい(笑)熱く語って人を引き込み、最終的には笑わせる、
そんな道村先生の話術に接していると、
道村式漢字カードを教える際は、教師がリードして生徒をひっぱる、
終始快活なテンポ、できたら力一杯ほめる、
毎日ちょっとずつ楽しく取り組んでぱっとやめる、
といった教師力も不可欠だと、改めて思いました。
道村式漢字カードはすばらしい教材ですが、
×だらだら教える、×懲罰と組み合わせる、×ほめない
ようでは、効果は半減してしまいます。

「漢字を見て絵として覚えられるディスレクシアよりも、
耳からのインプットが得意なタイプに向いているかも」
との指摘も受けました。その通りだと思います。
そして、耳が得意なタイプは、テンポ良い教え方がより一層重要です。

b)しつこいですが、「書かせない」
道村式漢字カードは、「部品を唱えて漢字を覚える」という教材です。
ここを勘違いして、カードを見ながら何度も書き取りをしている人もいるかも。
それでは、道村式の意味がまったくありません!

~ ~ ~

LD学会には、宮崎大学や熊本大学などから、教育学部の学生さんたちが友達同士で、リクルートスーツで来ていました。
何人か、道村式カードに非常に関心を持ってくれた学生もいました。(財布のひもが固いようで、残念ながら買ってはくれなかったのですが(^^;))
先生の卵たちが、学生時代からすでにディスレクシアの知識も関心もあるというのは、大変心強かったですし、そのなかから道村式漢字カードの精神を受け継ぐ人が出てきてほしいな…と思いました。

☆  ☆  ☆

道村式漢字カードの売り子と同時に、ジョリーのチラシも配ってきました↓


お申し込みは以下(外部サイトに飛びます)
名古屋→ 大阪→
東京は今週末です→

発表は2つだけ行ってきました。
そのうちのひとつ、ディスレクシア英語教育に関する発表では、
「ディスレクシアにはフォニックスが不可欠」と当然のように語られ、
4人中2人が、ジョリーとおぼしき教材の画像を示していたのでびっくり!

他の方から「別の発表ではアナリティック・フォニックスを使っているようだった」との報告もありましたが、
…ともかく、ジョリーを含むフォニックスは、少しずつではありますが着実に日本の学校英語に浸透しつつあるようです。
2年前、初めてLD学会に行ったときは→ディスレクシア英語教育についての発表はほぼ皆無でがっかりしましたが、ずいぶん進歩しつつあるようです。

ただ、日本の中学校でフォニックスをやるとしても、
現状では割けるのはせいぜい2~3時間[実質1時間半]とも言っていました。
ディスレクシアにはその10倍は必要ですが、
おそらく、そのような形に教科書が改訂される望みは薄い気がします。
ディスレクシアとしては、
小学生のうちからから少しずつアルファベットの先取りをしておくか、
中1の夏休みに覚悟を決めて集中特訓が必要になることでしょう…

ジョリーについては、会場でお話した方々から
「ジョリー単独では、ディスレクシアになかなか難しいものがある、
うちはジョリーは非常に効果的だったが、その前に音声教材(ディズニーなど)
をたくさん聞かせており、その下地があったのが大きかった気がする」
とのご指摘を受けました。
そうなのかもしれません。これについてはもう少し意見を集めたいです。

あと、発表では、フォニックスの"次"の話は出ませんでした。

~ ~ ~

もう一つ聞いた、都内最難関私大の発達障害学生支援センターの発表では、
これまで相談に訪れた学生のうちディスレクシアは2人だけ、
しかも2人とも本国で診断を受けた留学生、とのことでした(゜Д゜)
私が直接知っているだけでも、その大学にはディスレクシアの学生がこの人を含めて→5人は入学したのに。。
ディスレクシアだと自分でも分かっていないのでしょうが…

☆  ☆  ☆

福岡では、ここで知り合った九州のサザエさん(と呼ばせて頂きます(笑))と、
新潟からお越しの方と、いろいろお話しすることができました。
お二人ともお子さんのために、ものすごく献身的に動いておられます。
九州のサザエさんはお子さんの中1ショック発覚後、
一日も欠かさず5教科の勉強につきあい、
定期試験前は1日10時間は勉強をみているとのこと。
おかげで、平均点を上回る成績をあげているそうです。
「ワタシ、今が一番勉強してますよ~」とけらけら笑っておられましたが、
頭が下がります・・・

非ディスレクシアな下2人のお子さんに、上の子の手のかかりっぷりをどう納得させるかが難しい、とのことでした。
「夜9時には下の娘と添い寝する、そこは彼女のための時間」とも。
うちは一人っ子ゆえに当ブログでは触れる機会のない「上の子/下の子問題」、
きっといろいろありますよね。

~ ~ ~

身銭を切ってLD学会に参加されているお二人とは
「LD学会の発表はどうして残念か」(失礼!)についても話し合いました。
例外も多々あると思いますが、
「ここには『バカなLDの子に、次のテストでいかにしてまともな点数を取らせるか』という視点しかない」
学校の先生の集まりだから仕方がないのかもしれませんが、
字以外の面では何ら問題のない子たちという考え方はもちろん、
子供の学習や成長を長期的に考える視点がほとんどありません。
隠れディスレクシアもほとんど知られていません。
何かと検査やアセスメントを作りたがるのも、ちょっと気になります。
学校制度を疑う方向にも、基本的には行かないようです。

とはいえ、来年もLD学会にはつい行ってしまうことでしょう。
ジョリーはLD学会に物販のブースを出すべきです!


2015-04-16

ジョリーで中1ショックへの備えはどこまで出来たか?

皆様、いろいろ教えて下さり、本当にありがとうございます。
おかげさまで子は中学生になり、先週は入学式と保護者会がありました。

子は制服も生徒手帳もない、とことん自由な学校に入りました。
入学式の時、「この学校は、日本が戦争に向かっていく時代、
教えられたことだけきちんとできる人を育てる学校が中心だった頃に、
自分の頭で考える子供を育てたいとの思いから出来た学校です」
との話がありました。
単なるのびのびではない、筋金入りの(?!)自由です。

保護者会で学年主任の先生から「自由」について説明がありました。
ディスレクシア・ジャーニー的に心に響く内容だったので、紹介します:
この学校の「自由」とは、自分らしくそこに存在するということ。
自分らしく在るなかで出てきた考えを、自分で信頼できるということ。
自分の考えを自分で信頼するには、
他者にありのままの自分を受け入れてもらう経験が不可欠。
なぜなら、人間とは他者とともに生きるものだから。 
教室には、さまざまな個性や考え方を持つ子がいる。
そんな異質な子たちが、互いに信頼しあうなかで、
議論しながら導いた知識は、一生忘れられないものになる。
そんな「異質の協働」が目標である。

(ノД`)ここでなら自己肯定感が育まれると思いたいです。


しかし!!!!
英語の教科書は、最初から字が読めることが前提かというくらい、
例外読みの単語がバンバン出てきます(校内自作の教科書です)
やはりそうきましたか・・・


~ ~ ~

前置きが長くなりましたが、
小5の夏休み終わりにジョリーフォニックスを始めてから
英語学習がどこまで進んだか、書いておきます。
長いですが、どなたかの参考になれば幸いです。

先に結論を申しますと、
実質1年強、ジョリーで英語の文字-音対応を勉強して、
中学英語の最初の1ヶ月分の貯金ができた

小6の夏休みから1月末までは国語と算数に集中していました。
なので以下は、小5の2・3学期、小6の1学期、小6の3月の学習成果です。
受験がなかったらもうちょっと貯金ができたと思うのですが、仕方がないですね、、

☆  ☆  ☆

 ジョリーのかなめである、基本の42の音文字対応は、
小5の2学期で、ひととおり終わらせることができました。
(非ディスレクシアならもっと早いと思います。まあこんなものでしょう)
使ったものは、エクストラの本とペン、フラッシュカード、ホワイトボードです。
うちは使ってませんが、iPhone用アプリも役に立つと思います。


音と文字の対応を教えたこと(シンセティック・フォニックス)は、
ディスレクシアにとって非常に、非常~に効果があると断言できます。
他の方法では入らなかったものがこれなら入った」というのもそうですし、
今後も困難が続く英語学習を、少し進めやすくする土台ができました。

そんななかでもジョリーは、相当ディスレクシア・フレンドリーである
ことも実感してます。

例えば、ジョリーの特徴のひとつであるアクション
今は、読み間違えたりしたとき「この音だよ」と伝えたい時に使います。
字を示すよりも、ディスレクシア的には分かりやすいです。

ダイグラフ(2文字で1音)を早くに教えるのも、良いことだと感じます。
ただし、子音はOKですが、母音は半分程度しか定着していません。


ジョリー学習中は、それなりに正しい発音にもこだわりました※。
さる方から指摘を受けてのことでしたが、そうしてよかったと思います。
ここがいいかげんだと、あとあと似た音の字を混同する気がします。
(※「まるでネイティブ」ではなく、aとu、lとrなどが弁別される程度に)

~ ~ ~

小5の3学期は、
二重母音の定着がいまいちなのを承知の上で、赤い本に進みました。
この時点で、まだ書く練習はほぼ全くしていません。


赤い本は、読めたというより、暗記したという感じかも・・・
英語のリズムと単語が入ったかな、という感じです。
あと、theやinto、beやweなどのtricky wordsは、このときに多少覚えました。

今見ると、この本はフォニックスのルール通りの単語をできるだけ使うようにしているので、かなりディスレクシア・フレンドリーだと思いますが、当時は「普段英語で生活していない子が、いきなりこの本に進むのは、ちょっとハードルが高いかな・・・」と思ったりもしました。
後に書くBBカードを先にはさんでも、いいかもしれません。

この頃は、自分の手で字を書いてもらう代わりに、フラッシュカードや字のマグネットでスペルしてもらう練習を、よくやりました。


小6になったら、週1回程度、文字を書いてもらいました。



文字を書くのは、それまでの学習よりも、段違いに苦しい作業です。
1回10分がせいぜいです。

絵を見て英単語を言う、音を聞いて絵を選ぶことはできますが、
音を聞いて字を書かせる(ディクテーション)は、かなり大変でした。
これは今でもそうです。

ブレンディング、セグメンティングとも、この時点ではまだまだでした。



・夏休みには、行の中に字を書くことにも挑戦しました。

1行書くたびに、ぐったりしていました。

~ ~ ~

小6の2月下旬、半年ぶりに英語を再開。

ブランクにもかかわらず、ジョリーの音文字対応は忘れていませんでした。


ディスレクシアは、prosody(語やフレーズのリズム)は分かるが
phoneme(音素)の認識が弱いとの指摘がありました
ならば語のフレーズやリズムから音韻認識に攻め込んでみようと思い、
村上加代子先生のブログで紹介されていたBBカードに取り組みました。

BBカード


BBカードは、「Betty Botter bought some butter」のような、
特定の音がたくさん入った(上の場合はb)
リズミカルな暗誦用フレーズ、64枚から構成されています。
これを1日1枚暗記することにしました。

このカードは、子供に合わせてさまざまな使い方ができます。
ジョリーのBook 1の次のステップ(赤い本に行く前か同時に)お勧めです。


うちの場合、このカードは、英語のリズムを体得することと、
基本的なブレンディングができるようになることを、目標にしました。

うちの進め方は・・・

0)これまで覚えたフレーズの復習。フラッシュカードのようにカードを使う。

1) 新しいカードに進む。
初見で、カードに書かれたいくつかの単語(フォニックスの規則通りのもの)をこちらが指し、読んでもらう。

2)フレーズ全体を読む。
できれば自力で初見で読ませたいのですが、できないので、
こちらが読み上げるのを、まねしてもらいます。
この段階で、意味も教えます。

1回目は、リズムは大変良いですが、細部はぼんやりしか言えません。
(上のフレーズなら、「べったべったべったべった」。)

それを、バランスボールで跳ねたり、ラップ調の動きを加えたり、
「せっせっせ~のよいよいよい」の動きに合わせたり、
早口遅口、芝居がかった口調をとりまぜたり、(全部大まじめです)
50~70回くらい言って、細部をだんだん詰めていきます。

3)完全に暗誦できたら、その日はおしまい。
たいていは、途中休憩を入れて10分言い続ければ細部まで言えるようになり、
一晩寝れば完全に定着します。

日常会話の流れのなかで、時々抜き打ちテストします(笑)。



BBカードは、フォニックスのルール通りの単語が中心であるのに加え、
フレーズがリズム良く作られているのが、ディスレクシアに優しいです。
絵札やCDもあるので、上の方法以外のいろんな使い方ができそうです。


英語のフレーズはすべてが拍に乗っている」というのは
昨年の冬、山下先生のJolly Musicのセミナーで学んだことでした。

たしかに、すべての英語のフレーズは拍に乗っています!
theやaは拍の前の16分音符のようなリズムで言わないと、通じません。

こうした英語のリズムは、
日本の英語教育が通じる英語のために欠いているミッシングリンクだと思います。

でも、ディスレクシア的には、ミッシングリンクだからという以上に、
リズムを使ってはじめてフレーズが暗記できるから・・・という、
切実な理由があります。


また、「全体から細部へ」のアプローチを好むディスレクシアにとっては、
学校で文法が出てくる前にある程度のフレーズが入っていれば、
細かい文法を理解する助けになるのでは・・・という目論見があります。

この予想が当たっているかどうかは、今後見ていきたいです。

リズムを意識しながら、半分弱ほどのカードを覚えたところで、
中学入学になりました。

~ ~ ~

初めて英語の授業の前日、「英語の字を書いてごらん」と言ってみました。
すると、小3以来教えていないはずのアルファベットを、大文字で書きました!

ジョリーを始めてからは、教えに従いアルファベット順は封印していましたし、
大文字もまだ教えていなかったのですが。。
(ただし、アルファベットの歌は小3でyoutubeを見て耳で覚えました)


小文字の i が出てこない

「どこで覚えたの?」と聞くと「ゲーム、キーボード、セカオワでいつの間に」。
この子に限って、字の分野で「いつの間に」があるとは・・・(T T)

子は、妖怪ウォッチのコードを書き換えることに一時はまっていて、
改造コードを書きたい一心でキーボードとアルファベットを覚えたようです。
よく分からないですが、妖怪ウォッチとセカオワにお礼が言いたいです(笑)


小3でローマ字が出てきた時は、L・M・Nがどうしても覚えられず、
そこから先が崩壊していました。
それを思うと、アルファベットが書けるようになるまで1年以上かかった
といっても過言ではありません。

もう一つ、大きく進歩したのが、ブレンディングです。
1ヶ月前はいまいちでしたが、教科書を使って試したところ、
1音節でフォニックスのルール通りの語なら、言うことも書くこともできます。
ジョリーを土台にして、BBカードで練習したのが、よかったようです。


例外的なもの、3音節以上になると、あやしいです。
少し書くと、胸をかきむしってもだえ苦しんでます。
あと、bとdは7割以上の確率で、いまも間違えます

~ ~ ~

ここまでで分かった、ディスレクシア的英語学習の第一歩の軌跡:

・ ディスレクシアが英語の音-文字対応を習得するのは、
非ディスレクシアよりはるかに時間がかかる(10倍は見ていいかと)

・ でも、スモールステップで、毎日短時間のポジティブな反復を続ければ、
ディスレクシアでも読めるようになる

・ 好きなことができると、それを読みたいというモチベーションで習得できる

・ 意外なところを短期間でクリアしたり、逆に足踏みしたりする



おそらくここから先は、学校のテキストの予習と反復・反復・反復・反復・・・
になるだろうと思います。
いよいよ中1ショックを迎え撃つ時がやってまいりました!!

2014-10-27

オーストラリアのディスレクシア児のお母さんへ

オーストラリア在住の「大和の母」さんからコメントを頂きました→こちら
返信にリンクをたくさん貼ったので、こちらに載せることにいたします。
のコメント欄は特に読みごたえのある体験談が集まっています!
皆様ありがとうございます。)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はじめまして。オーストラリア在住で、7歳の男の子の母です。6歳の時ディスレキシックと診断されたのですが、読み書きがだめなので学校ではreadingの時間にサポートを受け、speech pathologyに二週間に一回通っています。単語を覚えるというか読む為にこちらではphonicsで学習しています。特にsynthetic phonicsというやり方でやっています。ディスレキシックで無くてもこのやり方でreadingの勉強をするのですが、果たしてディスレキシックにこのやり方が一番なのかはわかりません。
シンセティック・フォニックス
それはまさに当ブログでも推しているジョリーフォニックスのことですね
(ジョリー以外にもシンセティックの流派はあるのかもしれませんが。。)

ジョリーの創設者、Chris Jollyさんに直接質問した時、
「『ディスレクシアの子にはシンセティック・フォニックスこそが有効』が現在主流の考え方なのは知っていましたか?」と言われました。
ですから、そこは安心して乗っかっていってよいと思います!

オーストラリアでもsynthetic phonicsが導入されつつあることは、
ジョリーフォニックスの人たちを通じて聞いてました(→)が、
本当なんですね!ちょっと感動しました。

アデレードの小学校でジョリーフォニックスを導入したら、
ディスレクシア指導にめざましい効果があがった
という動画を紹介したこともあります。
初めて見たとき、5:10過ぎで涙が出ました(T T)



うちでも、進度は本当にゆっくりですが、
ジョリーフォニックスの効果は実感してます
(小3のときにローマ字がまったく入らなかったので)。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
単語も似たような音の単語を聴き分けて正しい単語を選ぶ練習をしたりします。(hat hut, track truck) 聴き分けはネイティブなので勿論日本人の私より出来ますが、単語となると絵を見ながら答えます。
→おお~、これはphonetic awareness(音韻認識)をのばしているのですね。

日本語ネイティブ11歳のうちの子も、絵と字が書いてあったら、
間違いなく絵にしか目がいかないと思います。
それがディスレクシアというものです。。
それでも、訓練をし続ければ、年齢とともにそれなりに字も読めるようになると感じています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本の様に単語を暗記して覚えるのはどうだろうか?とスピーチテラピストに聞くと、まだ七歳だから大丈夫、この方法で完璧とは言わなくても、本が読める様になると言われました。確かに息子は単語を音で発音して読むようになりました。でも書くとなるとスペルがスムースにまだ出てきません。暗号の様なスペルです。やはり読める事と書ける事は別物なのでしょうね。
→いずれは、暗記でも単語を覚えることになるはずです。
フォニックスのルールにあてはまらない単語はたくさんありますし、
(ジョリーフォニックスだと、そのような単語をtricky wordsと呼んでいます)

ジョリー以外に目を転じれば、英単語丸暗記メソッドはあります
(たぶんwhole word approachというのはそういう考え方のはず)
でもそのスピーチセラピストさんは、その方法を採用せず、
あくまでシンセティック・フォニックスに沿ったステップアップを考えているのですね。
すべてを丸暗記せず、自力で未知の単語を読めるようにするための配慮だと思います。
これもちょっと感動してます・・・!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

息子は日本語が第二言語なので週一で補習校に通っていますが日本語を教えるのに四苦八苦しています。今だに平仮名を全部覚えていません。これから難しくなる漢字、九九をどう教えようかと悩んでいます。
→1)英語圏在住、2)日本語特有の習得の難しさ、
そして3)ディスレクシア特有の苦労と、
三重の苦労を抱えていらっしゃるのですね。。

1)英語圏で週1補習校だけだと、ディスレクシアでなくても、漢字を身に着けるのは大変だと思います。英語のパワーが圧倒的ですので・・・。

2)言うまでもなく、日本語の字を覚えるのは大変です。

3)7歳でディスレクシアなら、日本在住でも平仮名を全部覚えていないケースもあると思います。

道村式漢字カードは強力にお勧めです!→こちら
毎日5分などで手軽に出来るので、補習校を補えると思います。
道村先生ならきっと海外発送もしてくれるはず。

その前に、カタカナを入れる必要があります。
それについては、こちらに一度書きました→


私(←算数超苦手、9歳までアメリカンスクール)にとって、
九九は「you're a genius at math!(もじこは算数の天才だね!)」
と誤解されるくらい、絶大な効果がありました(笑)
九九は9の段までしかなく、11と12の段がない分を差し引いても、
周囲の九九のない国の子達よりも計算が速く確実になる効果がありました。

そういえば、うちの子はそろばん教室での週1回の九九暗誦テストと、
そのためにバランスボールに乗ってびよんびよんしながら九九を覚えました。
バランスボールでびよんびよんは体性感覚と関係があるらしく、
一部のディスレクシアの子に効くようです。


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日本ではあんまり知られてないdyslexicについて、日本語を教える際にどうしようかとネットで調べているうちにこちらのブログにたどり着きました。とても興味深く読ませて頂いています。この様な色んな体験談や情報が息子を理解するのにとても役に立ちます。ありがとうございます。
こちらこそ、オーストラリアの人とご縁を頂けてありがたい限りです!

「6歳でディスレクシアの診断を受けて、学校でサポートを受けるのが当然の権利として確立されている雰囲気が伺え、本当にうらやましく思います。

日本では「ディスレクシア」という言葉はまったく浸透しておらず、
「学習障害の一種で」と言うと知的障害やコミュニケーション障害を想像されてしまい、説明に窮するのが現状ですので…。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

2014-09-01

「中一ショックはきっと克服できる」の続き

「中1ショック」への反応:中1のディスレクシアの子に英語の字をどうやって教えるか?
へのコメントを頂きましたが、お名前が入っていたので、
そこだけ消してここに再掲します。
中一ショックを受けた方に、ぜひ読んで頂きたい内容です!

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こんばんは。
ブログを拝見して、皆さんからの質問に丁寧に答えてらっしゃるんだろうなあ、と感心しております。
覚えてらっしゃいますか、7月の上旬にジョリーフォニックスについて質問をさせていただいた九州の××です。
今日はお礼のメールを送らせていただきます。
こちらのブログからジョリーフォニックスのことを知り、自宅から通える範囲のジョリーフォニックスを教えている英語の先生のところで子供への教え方を習い、夏休みの間、自転車操業で42音を教えました。(完全におぼえきれてないですけど)
教科書はトリッキーワードだらけですし、まだまだ読めない部分も多いですが、でも、少し読めるようになってるんです!
どの単語を見ても、想像もつかない!!!って言っていたのに。
もちろん、I, you,am,are を未だにはっきり覚えていないなど、中1の一学期、この4つの単語はすべての文に使うよ!
って頻度で出てくるのに、覚えていない恐ろしさはあります。
(他にもきりがないくらいありますが)
でも、一行どころか一単語も読めなかったのに、一つ一つフォニックスの音を確認して読んでいる姿は、感動します。
大袈裟ですかね(笑)
普通の子の数倍の努力が必要といいますが、私はつねづね数十倍といっても足りないのでは?
と思っています。でも、真っ暗闇に少し光が見えた気がして私も息子も前向きな気分になれます。
もじこさんが与えてくれた情報と実践記録から私は勇気をもらいました。
こんなに頑張ってる人が、いるんだ!
わたしにも出来る!!
と、思い、頑張れました。
もじこさんのおかげです。本当にありがとうございます。
私も後悔や迷いがまだまだ消えませんがこれからも息子の理解の手助けになれるよう頑張ります。
もじこさん、お子さんと一緒に頑張ってください。
ブログ、ずっと楽しみにしてます。

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もちろん覚えておりますです。
大袈裟ではないですよ(T T)読んでるだけでうるっと来てます(泣き笑い)
ジョリーに出会えて本当によかったですね!
九州でジョリーを教えている人に直接教えを受けることができたのも、ラッキーでしたね。
私も仲間を得て力づけられています。お互い頑張りましょう!

夏休みの山下先生のジョリーのセミナーでは、
上とまったく同じことを言っていた方が何人かいました。
自転車操業でも、中学に入ってからでも、
ジョリーを使えば英語で落ちこぼれずに済むのだと、
10人に1人いるというディスレクシアの子に、ぜひ知ってほしい!

トリッキーワードがなかなか入らない苦労、よく分かります。。
うちも「えっ?1行上にareって書いてあるよね?」
と目が点になることは、しょっちゅうです。。
叱っても無意味なのはもちろんですが、笑ってもいけないようで、
要するに読みに詰まっても大げさに反応してはならず、
さりげなく読み方を教えるのが、一番ありがたいらしいです
(家庭教師君[→弱いディスレクシア]がうちの子にそうしてるのを見て実感しました)

何百回とyou areという表現を見聞きするうちにyou areを覚えれば、
you areが読めるようになるのかも・・・?と今は考えてます。
「読む」という点では邪道ですが、戦略的とも言えます。

文字というのは本来、その音とはまったく無関係な記号。
もし、音を通常の人よりはるかに高次元で認識できる人たちがいたら、
その人たちにとって、現在使われている文字は
『なんでこの音を、こんな意味不明の記号に落とし込むのだ?』
と、まったく理解出来ないに違いない
と、峯松先生がおっしゃっていました。
そのときは弾丸トークに何も返せなかったのですが、
何十回areやweを見ても、初めて見るように首をひねっている子を見ると、
もしかしたらこの子は、常人が理解出来ない次元で、areを見ているのかも・・・と思うこともあります。


語と語の間にスペースを入れられない場合は、
「フィンガースペース」を入れるとよいそうです(by山下先生)

rainもsnailもディクテーションできますが、
文字にするのがすごく、すごくつらい
※写真の向きが変ですみません・・・




1行書いたらぐったりしてます。
胸のあたりを押さえて「ここがむずむずして苦しい」とも。

多感覚英語学習ツールとしてのスマホ

夏休みもようやく終わり、ここに戻ってくることができました。。

いろいろたまっていることを書いていきたいです。

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最近、スマホを英語学習に取り入れてます。
スマホは使いようによっては、効果絶大の多感覚学習ツールですね!
以下、ディスレクシア的な学習効果を実感している3つの方法を書いてみますが、これ以外にもまだまだ使い道がありそうです。


1) 自分が音読した内容を自分で聞く。

スマホの録画・再生機能を使う方法です。

英語での発信能力を高める一番効果的な学習方法は、
自分で読んだ内容を録音して自分で聞くこと
と、中村俊先生に教えていただき、試したところ・・・

これは、ディスレクシア的には
ただ単に音読した場合よりも、音の定着が非常に良くなる
という効果があります!おすすめです。

まず、録画すると緊張感をもって読むのが、定着に役立つようです。
(↑効果その1)

次の日に、録画を再生しながら、言ってもらいます。



スマホの画面に映したテキストを見ながら、
自分の声にあわせて読んでいるところ。

録音よりスムーズに読もうとするなか、定着率がさらに上がります。
(↑効果その2)




2) 自分の発音をチェックする。

「ウィズダム英和辞典」アプリとスマホ内蔵の音声入力機能を使って、
自分の発音をチェックする方法です。
ウィズダム英和辞典のアプリ:
Androidは→こちら、iPhone/iPadは→こちら

「音声入力機能を使ってスマホの辞書アプリを引く」というのは
翻訳者や通訳の知り合いから
「間違って覚えている単語の発音があらわになる、マゾなw辞書引き方法」
と勧められていて、私も半年ほど前から時々使っていました。


そしてこの方法、ディスレクシア英語学習的には、
正しい発音が体感でき、定着も良くなる、一石二鳥の方法です!

特に、音声入力の認識率を競争すると、がぜん燃えてきます(笑)



「live」とスマホに向かって言っているところ。


1発でliveと認識してもらうことができましたv

liveとleaveは違うことを、ゲーム感覚で体感できます。


こちらはroadの認識競争。
roadが上から何番目に出てくるかを競います。このときは私の負け(笑)

認識したあとは、ウィズダム英和辞典アプリが開きます。

こちらはAndroid版『ウィズダム英和辞典アプリ』の画面。
再生ボタン(青いアイコン)をタップすると、roadの音声を聞けます。

音声入力機能の認識精度を高めるには、Androidの場合は

設定→言語と入力→音声検索→言語で「English」を選択

で、音声入力の言語を「英語」に設定しなければなりません。

これをすると、日本語での音声入力の精度が落ちるのですが・・・
でも、それを補って余りあるほどの学習効果があります!



3) 録音機能をノート代わりに使う。

これは、ディスレクシアの浪人生の個別指導で使っている方法です。
スマホの録音機能を使います(録画でも可)

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彼はディスレクシアなので、英語のことを考えながら日本語を書くのは
普通の生徒以上にとても大変なのではないか・・・と推測しました。

そこで、普通の子なら英文解釈ができたら、訳を書いてもらうところを、
彼には訳を録音してもらうことにしました。


この生徒はiPod touchとガラケーの2台使い。
iPod touchに録音しています。

録音と英文を使って復習し、
英文を見て「この文はこういうことを言っている」
というのがはっきりわかるようになったら、
初めて訳を書いてもらいます。
この順番は、道村式漢字カードとまったく同じです。

一度復習して、英文解釈が完全にできるようになってから、
初めて訳を書いてもらいます。
従来の「英文解釈ができたらすぐに答案を書く」だと
ディスレクシアの子は字を書くことでいっぱいいっぱいになって、
英文の理解にまで頭が回らなくなるようです。
英文解釈を完成した後に答案を書くようにすれば、
英文の理解に集中できるので、ちゃんと英文の知識が定着します。

塾や高校でも、字を書くのがつらい子には、
スマホの録音録画機能の使用を許可してあげるべきだ・・・
と実感しています。
ディスレクシアというのは字の負担を減らし、内容理解に集中させれば、
あっという間に内容を理解できる子たちです。
とにかく、「字にするのは最後」がポイントです。

何を録音・録画すべきかは、教師の誘導が必要でしょう。
録音・録画は、だらだらすると、むしろ逆効果なので。



ディスレクシア浪人生君とのことについては、これからも書いていきます・・・