on dyslexia
2024-05-27
オンライン講座『ディスレクシア英語教授法』見逃し配信を無料公開します
2024-03-19
GK君の受験体験記「まずは自分の特性を把握、次に弱点の打開策を探すという普通のことをしてみて下さい」
Q:他の塾との兼ね合いは。英語はもじこ塾以外でも勉強しましたか?
A:浪人時に駿台に通ったのとZ会で一年ほど成田先生に教わっていた
→それ以外は、進学校の英語の授業についていっていました
A:大前提ここに来る時点で英語が得意科目になることはほぼないが他の科目でなんとか補えるレベルにすることは可能、それを承知した上で英語を学びたいなら是非
→GK君はもじこ塾をディスレクシアのコミュニティへと育ててくれた、立役者のひとりです。彼は、合格体験記を書いてくれた人を、ほぼ全員知っています。そして中1から高2までの多くの生徒が彼のことを知っており、リスペクトしています(腹黒い人wと思っているかもしれませんが)。
A:英文を読んでいるときに読み間違いをその場で訂正してもらえるところ
→GK君との思い出はたくさんありますが。わたし的には、中1の最初の頃の、まだ小さかったGK君・・・bとdが反転しまくり、「美しい」をbutiflと書き、be動詞とdoの違いがなかなか覚えられない様子を見て「一体この子は英語を読めるようになるのだろうか?」と思ったのをよく覚えています。
A:リスニング以外全て
→今年の共テは英語リーディングは
A:英語が出来ないときつい、数学ができないとさらに辛い
→実に本質を突いています。
A:なし、強いて言えば推測力だが他の人は普通に読めるのであくまで代替手段
→いやいや、GK君の推測力は怖いです!普通の人が字面から得る以上の内容を、推測から読み取ってしまいます。
A:特に思うことはなかった、自分は日本語であればそこまで症状が深刻でないのでそこは良かったなといった感じ
A:初期に比べれば雲泥の差、もちろん7年いたというところもある。(どのぐらいできるんでしょうか、あまり周りと比べなかったのでなんとも言えないができるとは言えない)
→リスニングは同級生に驚かれるほどよくできるそうです。
A:それまで気持ち程度しかやっていなかったのでゼロに等しい程度だったと思います、中学でも初めから躓きました
→彼は私が、ジョリーフォニックスをアレンジしたフォニックスを初めて教えた生徒です。予備校の中学スタートダッシュ講座の最前列で、盛大に読み間違えているのが彼でした。
A:まずは自分の特性を把握、次に弱点の打開策を探すという普通のことをまずはしてみて下さい、これを繰り返せば少しずつ読めるようになります
→普通のことねえ・・・一周回った印象がありますね。深いです。
A:まだないです、すいません
A:自分は高校時代は配慮を受けていませんでしたが後輩の話を聞く限り寛容だと思います
2024-02-15
7周年のごあいさつ
フォニックス講座のご案内が遅れておりまして、申し訳ありません。
いろいろ手が回っておらず・・・今週末には告知します!
英語資格要件に阻まれて、進学や就職や昇進が阻まれている、どうすればいいのか・・・と。
それにしても、英語資格が仕事人生の行く手を阻む時代状況は、なんとかしないといけません。
家では英語で話しているので、学校では「英語ができる子」扱いですし、
場合によっては、同年齢の定型発達の純ジャパより英語が読めますし(半分母語ですから、当たり前ですが)、でも、想定されるほどは読めず、スペルとなるとボロボロであることに、本人はとても苦しんでいます。
日本語よりも、英語でのほうが、話せることと読める/書けることのギャップが、さらに大きく出るようです。研究が示している通りです。
このように、最近はディスレクシア英語教育の幅が広がりつつある、もじこ塾です。
いろいろお伝えしたいことはあるのですが、私は雑務に追われてなかなか。。
~
2023-12-30
声が小さい生徒たち
これも2学期中に書いたまま、公開する勇気がなかなか出ませんでした。
しかし、冬休みの講座を行い、この問題は解決していないことが改めてわかりましたので、思い切って今年じゅうに、世に問う(?!)ことにします。
いまの中1~2、さらには高校生にもみられる、声の小さい生徒の問題です。
1) 声が小さい生徒の周りは、会話が減る
2)声が小さい生徒は、表情筋が弱い
3)声が小さい生徒は、音のワーキングメモリが弱い
という話です。
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今日は、もじこ塾が対応に苦慮している問題について書きます。
これについて書くのは、勇気がいります。
なぜなら、マスクの着用が関わる問題だからです。
マスクについてはいろんな考え方があることは、重々承知しています。
以下は、特定のあり方を強制するものではありません。
と申した上で。
マスク生活が長引くことによる悪影響を、私は目の当たりにしている気がするのです。
☆ ☆ ☆
マスクを外せない、つまり自分の顔をさらせない人がいるとは、すでに言われています。
それも、もちろん憂慮すべきことなのですが
最近、声がとても小さい生徒が増えています。
そのことが、本人にも、世代全体にも、想像以上の悪影響を与えつつあると感じるのです。
マスク生活4年目の今年は、全体的に例年よりフォニックスの定着が悪い印象があります。
小学校英語4年目なのに、むしろフォニックスの定着が悪いのです。
ブレンディングにも苦労がありますし、同音異綴りが入りにくいです。
(そして12月現在、定着が悪い生徒はほぼ例外なく、今もマスクをしています。)
声が小さな生徒とその周囲の生徒への悪影響を、3つあげてみます:
1)声が小さい生徒の周りは、会話が減る
声の小さい生徒は、ことばを発することにとても慎重です。
そのような生徒が一定割合存在すると、ディスレクシアは空気を読めますので、その場の雰囲気にあわせて慎重になります。
すると、クラス全体で思いっきり笑ったり話したりすることが、なくなります。
もじこ塾では、思いつくがままの自由な雑談を大事にしていますので、こうしたことがなくなるのは、ゆゆしき事態です。
2)声が小さい生徒は、表情筋が弱い
声が出ない生徒は、体に力が入らないようです。全身の筋力が弱いように見えます。
声を張らないようにと、マスク生活のあいだ意識し続けた結果、体がこわばっているようにも、力が入らないようにも見えます。
お腹から声を出せず、体を使っていない感じが強くです。体幹が弱く、腕もほっそりしています。
(大学生の助手たちが「自分が中1のときは、自分も周りももっと体格がよかったが、、」と言っています)
この筋力のなさが、読み能力に影響を与えているように感じます。
体幹が整うと読み能力は安定しますし、訓練の負荷にも耐えられるようになります。
表情筋も乏しいです・・・マスクで隠れているので、めったに見えませんが。
たまに見えると、つるりとした、表情のない顔をしているので、とても心配です。
英語はもともと、日本語より表情筋を使いますし、息を勢いよく出します。
声の小さな生徒が腹筋も表情筋も萎縮していることは英語、特にフォニックスを指導すると一発でわかります。
そして、ディスレクシア英語指導の前提となる考え方である
発音できる音は聞き取れる。
ディスレクシアは、聞き取れた通りにスペルしてしまう。
からすると、発音できない音はスペルできないので、表情筋がないのはスペルできないことにつながります。
3)声が小さい生徒は、音のワーキングメモリが弱い?!
そして何より、憂慮すべきことは、
声がとても小さい生徒は、他人が発したことばを、覚えていられないらしいのです。
「音のワーキングメモリが萎縮している」
という表現が浮かびました。
それも、去年よりも今年の方が、萎縮傾向が強まっているように見えます。
これは、真剣に対処しなければ、生徒とその世代全体に重大な影響を及ぼす危険があります。
一度、あまりにも声が出ない生徒を呼んで、話を聞いたことがあります。
その生徒も、がっちりとマスクをしています。
「r・ai・nって書いてあるよ。つなげてごらん」と後押しすると「ライン?ん?」と首をかしげています。マスクの中にとどまっているような、小さな小さな声です。
「フォニックスは難しい?」
と聞くと、蚊の鳴くような声で
「難しい。音を覚えていられない」。
(丁寧語を使えないのも、このような生徒の特徴です)
音を覚えていられない・・・!
どうやら、「文字を見て音素を想起できない」のではなくて、「教師が言った音素を覚えていられない」らしいのです。
これは衝撃でした。
この生徒は続けて、
「英語は難しいし、興味はない。 できるようになりたいと思わない」
と言います。
「まあ、、英語は難しくて大変だよね。でも、フォニックスの練習を続けたら、いいことがいっぱいあるよ。あと、音の訓練も続けると、もっと覚えていられると思うよ」
(音韻認識の訓練のことを念頭に置いて言っています)
すると
「友達が言っていることも忘れちゃうし」と言うのです。
「友達の話を覚えていられないの? それは大変だよ。今から練習した方がいいよ。
フォニックスで音を覚えている訓練を続けたら、友達の話も覚えていられるかもよ」
と私が言うと、なんと
「周りもみんなそうだから、そんなに困ってない」と、その生徒は言うのです。
周りもみんなそう・・・!
クラスメイトも声が小さく、音の記憶が悪い。
相手の話を覚えていられない。
そんな教室には、にぎやかなおしゃべりは、きっとないでしょう。 会話のキャッチボールが成立しているかあやしいものです。
互いにかみ合わない発言、拾ってもらえない会話の切れ端が、ただ空中に漂うだけ。そんな休み時間の様子が浮かびました。
この問題は私が思っているよりもずっと大きいのかもしれない、そう思った瞬間でした。
それ以来、私は保護者に聞いたり、他の生徒にも尋ねてみるようになりました。
「学校のクラスに、すごく声の小さい生徒がいませんか?」
やはりというべきか、全員が「いる」と言うのです。
高校生からは
「そういう子に『何言ってるかわかんないよ』って注意したら、先生に『そういうこと言わないで』って怒られた」
「そういう子がいると気を使うし、盛り上がらないからつまらない」
という発言がありました。
声の小さい子は、周囲の学びにもじわじわと影響を与えているのです。
でも、やはりそれ以上に、音のワーキングメモリーが著しく低いことが、声が小さい子自身の発達に重大な影響を与えていると思われます。
私はこれを、マスク生活の影響だと思っています。
人の口を見る機会がなかったこと、三密防止、ソーシャルディスタンス、そして給食時の黙食。
そういう生活が長かったため、ことばを交わす機会が少なくて、それで声の出し方がわからなくなっているのかもしれません。
生徒や保護者に「コロナ中、友達の家に行って遊ぶことはあった?」と聞くと、かなり多くの子が
「さすがに最初の1年はなかったよね」と言います。
こういうことも影響を与えているのではないでしょうか。
また、自粛期間中に「マスクをきちんとつけなさい!」と通りすがりの叱責されたのをきっかけに声が出なくなったり、マスクを外せなくなったりして、それがいまだに続いている…という声も聞きました。
この克服には時間がかかるでしょう。
もしかしたら一生残るかもしれない、と小学校の半分を共産圏で過ごした影響が今も消えない私は思います。小学校高学年の子は大人よりもずっと根底的な影響を、自粛生活から受けてしまったようです。
そして、ことがコミュ力の著しい低下ならば、上の世代があたたかく接して、時間をかけて克服をサポートすべきだと感じます。
これは個人の問題ではありません。
大人全体が意識して、割を食ってしまった世代に働きかけなければならない、そんな問題だと感じています。
~~~
最後に・・・
上のように申しておきながら、厳しいお願いになってしまうのですが、
次年度、もじこ塾への入塾をご検討の方は、マスクを外し、口元を見せて声を出せるよう、ご家庭であたたかく声かけをして、ご準備をお願いできれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
2023-12-12
「いろんな少数者に気づくこと。それが誰かにとっての「信じてもらえる大人」になる第一歩」(高校で講演をしてきました)
※夏に書いたまま、ずっとアップし忘れていました・・・
高校の選択授業で、ディスレクシアについて講義をさせていただきました。
・読字能力はスペクトラムである、
・大学入試では「合理的配慮」を受けることができる、それでも大変だけど…
といった話をしました。
もじこ塾の卒業生を含む2名の大学生も登壇したことで、ディスレクシアがどんな学校でも無縁でないことが伝わったと思います。
長くなりますが、当日最後にもじこが話したことを、置いておきます。
☆ ☆ ☆
なぜこの仕事をしているのかと、時々聞かれます。
ディスレクシアの生徒に英語を教えるのは、かなり大変なことのはずだけど、何が原動力なんですかと。
もじこ塾の設立目的は「社会変革」です(本気です(笑))。その言わんとすることを、もう少し具体的に書いてみます・・・
純粋な探究心は、まずあると思います。ディスレクシアの仕組みにしても、対処法にしても、英語教授法にしても、まだまだわからないことが多くて、本当に探求しがいのあるテーマです。
でもそれ以上に、腑に落ちることが多いんです。
ディスレクシアの存在がわかり、ディスレクシアの生徒が置かれている苦しい状況がわかり、そして上の世代の成功事例を知ると、いろんなことが腑に落ちるようになります。
また、ひとつの少数者の存在を知っていると、他の少数者の存在をめぐる状況も、多少はわかるようになります。
私の場合はたまたまそれがディスレクシアだったということですが、世の中には他にもいろんな障害、いろんな少数者のあり方があります。
そのすべてを自分が経験することはできませんが、ディスレクシアのことを知っていれば、想像や理解がしやすくなります。
ディスレクシアは学校という制度の発達とともに「障害」として顕在化してきた存在です。文字の正確さやスピードで人を評価する「学校」という制度がなければ、そのようなくくりに入ることの決してなかった人たちです。
またディスレクシアは、自分でそうだとはなかなか気づけないものです。人は自分の感覚が他人と違うとはなかなか気づけないものです。
ということは、ディスレクシアは、学校の先生が気づいて、指摘してあげる必要があります。
私は、誰よりも学校の先生にこそ、ディスレクシアの存在を知ってほしいと思っています。
最初に紹介した通り、ディスレクシアには独創的な成功をおさめた人がたくさんいます。
一方で、アメリカでは受刑者の80%がなんらかの読み書き困難を抱えているとのデータもあります。
「この差をもたらすものは何だと思いますか?」と、今日の話の中で、みなさんに聞きました。
打ち込めるものがあること。人との出会い。そんな答えがあがりました。
その通りだと思います。
ここで私の答えを披露しておきます。
アメリカのディスレクシアの議論のなかで聞いたのですが、ディスレクシアの生徒が人生を順調に過ごすために必要なのは
to have one trusting adult.
たった一人でいい、自分を信じてくれる大人がいること。それが、ディスレクシアの生徒を救うと言うのです。
この言葉は私に刺さりました。
ベタですが、ならばその一人になってやろうじゃないのというのが、もじこ塾プロジェクトです。
私はかつて、大手予備校で英語を教えていました。そこでは「合格ラインに達していない人を相手に授業をする必要はありません」「切り捨てていいです」と言われていました。でも、そのような授業をすると、とてもわだかまりが残るんです。
今はtrusting adultになればいいので、ハッピーに授業ができています。
先ほども、大学生の当事者から、「今日の話によってみなさんはディスレクシアの存在を知ったのだから、大学生になって塾講師バイトでも始めたときに、生徒のなかにディスレクシアがいたら、気づいてあげてほしい」という話が出ました。
本当にその通りです。
ディスレクシアは知的レベルとは関係ないので、あらゆる学校にいます。何しろ16人に1人なのですから。
そのときに、ディスレクシアだと気づいてあげてほしいのです。
いろんな少数者の存在に気づくこと。
それが、皆さんが誰かのtrusting adultになることへの一歩であり、社会を変えることへの一歩である。
大げさでなく、そう思います。
2023-10-07
【動画】3分でわかる!英単語が読めるようになる方法 Part 1
2023-06-22
Ron君の受験体験記「いつ来るともわからないその日を夢見て」
・新御三家レベルの一貫校卒
・某マーチで仮面浪人後、慶應義塾大学へ。東大を二度受験するも不合格
・中学時代に、ディスレクシアの診断あり
・合理的配慮は大学受験までは受けず。大学では中国語の授業のみ、配慮を検討中
・文系。志望学部は特になし。興味の幅が広く深いとも言えますし、ひとつに絞れない(←多動的)とも言える気がします。現在は、地政学、飛行機や船の設計、海外サッカー、気象予報士、世界遺産検定、魚を釣ってさばいて料理すること・・・などなどに興味あり。
それではどうぞ:
☆ ☆ ☆
お久しぶりです。RONです。一応受験が終わったので受験体験記を書くことと相成りました。
結果から言えば僕は慶應に通っていますが、私立の英語は重過ぎると考えて東大を想定した勉強がほとんどだったので、東大中心の話になると思われますがご容赦ください。
かなり長いですが、書くのも難儀だっただろうと慮って最後まで読んで頂けたら幸いです。
Q:もじこ塾をどうやって知ったか。入塾の決め手は?
そもそも僕は蒲田のMaru先生にフォニックスを習っており、もじこ塾を知ったのは、Maru先生に塾では受験英語はやらないからと言って紹介されたからです。
Ron君は、ジョリーフォニックスが日本に上陸してすぐくらいの時期に学んだ、日本シンセティック・フォニックス史初期の生徒のひとりです。
中学に入ってから読めなさに気づくまでのことは、こちら→★
彼を6年のあいだ見続けた今、ディスレクシアとフォニックスに関して言えることは:
- フォニックスを最初に正しく習うことは、ディスレクシアが英語を習得するには不可欠と言っていい。
- ディスレクシアの生徒は、大学受験を前にしても、「自分はフォニックスを使っている」と実感している。
- フォニックスは初見の単語を読むこと、スペリング、そしてリスニングを助ける。
Q:他の塾との兼ね合いは。英語はもじこ塾以外でも勉強したか?
僕は浪人した半年間駿台に通った以外は塾に行っておらず、英語は学校と、もじこ塾のみで済ませていました。
Ron君は最初の緊急事態宣言の頃以外、もじこ塾を皆勤しています。定期試験前後でも、欠かさず授業に出席してくれました。
多少わちゃわちゃしているものの、テンションも明るく穏やかで一定していました。ハードな遠足の後、どろどろに疲れているはずなのに授業に来たこともありましたし、クラスメートがぴりぴりしようが激高しようが、終始穏やかでひょうきんなノリを崩しませんでした。
Q:もじこ塾はどんなところと説明するか?
もじこ塾では、ディスレクシアなど生徒個人個人の特性に合わせて教え方を変えたりするので、授業形式もかなり自由で、英語力が向上しやすいと思います。
また、生徒間の交流も盛んで、授業を一緒に受ける友達だけでなく、先輩からも助言を受けやすい環境でした。
ありがとう、これからはRon君が助言を与える立場になるのですね。
Q:ディスレクシア的に、英語の勉強において特に大変だったことは?
ディスレクシア的に英語の勉強において特に大変なことは、僕個人の私見ですが英単語が覚えにくいこと、そして文章を読むスピードが遅いことです。
まず、英単語の話ですが、これは特に英語を習いたてのときに顕著であると思われます。英語を習い始めた直後に英単語を覚えようとすると、一つの単語につきスペルと意味と発音との三つを覚える必要があり、僕の場合はスペルと発音を関連付けることができなかったので、とても覚えきれず、テストがある日はいつも最終下校時刻まで学校に残って間違えた一単語に対して50回ないし100回ずつ書き連ねる補習課題(!!!)をこなしておりました。50回書いても覚えられない単語も多くありましたので翌日の追試にも引っ掛かり、たいてい課題に追われておりました。
そこで僕は約一年かけてフォニックスを固め、特殊な綴りをする単語を除けば発音を聞いたらそのまま綴りを書けるようにしました。
ディスレクシアにとってのフォニックスの意味を語ってくれています。特に緑の部分が。
ディスレクシアはスペルを覚えるのが苦手です。よほど頑張らないと、聞いた通りにしか書けません。なので「発音を聞いたらそのまま綴りを書けるようにする」の精度を高める作戦が効果的なのです。これが、フォニックスのしようとしていることです。
ついで根幹となる単語をその語源から覚えて脳に印象付け、派生語は類推するというかたちで覚える総量を減らす作戦に出ました。
さらに鉄壁(鉄緑会が出している単語帳のことです)を愛用することで、普通の受験生よりは単語量は少ないはずですが、東大の問題に解答できるくらいの単語量を身につけました。
僕は音を使うと覚えやすいようでしたので、鉄壁のCDを買い一年ほど毎日三章ずつ1.3倍速くらいで聞いて発音をしておりました。
Ron君には高3の夏から本格的にシャドーイングを自習するようになり、これが効いたようです。この後に出てくる「急に読めるようになった」を支えたのだと思います。
・・・以上、さらっと言っていますが、英単語を覚えることに費やした努力の量は、並大抵のものではありませんでした。
次に英文を読むスピードについてですが、ディスレクシアの人は普通の人に比べてはるかに遅いようです。
僕は国語のテストで時間に困ったことはほぼないですし、半年ほど駿台のEX東大文系演習コースにいたのですが、その中でも日本語を読むのは早い方でした。
もじこ塾の生徒にはこのように、「日本語を読むのはむしろ速い」と語る生徒が多いです。どうやら、日本語(特に漢字)は、読むときに頭のなかで音にしないで読めるからのようです。
しかし、英文を読むスピードには中学一年生のころから悩まされ、定期テストの英文を時間内に読み終えることは高校二年生になるまでありませんでした。
高3の夏に東大オープンを受けた時には、半分も読み終わりませんでした。
東大の問題にすべて目を通せるようになったのは、早稲田大学法学部の入試翌日、つまり2月16日でした。先生に言われるままに大量の英文を読んでいたら、いつの間にかスピードが上がっていたようです。
つまり、二度目の東大入試の1週間前です。。
【追記。本人から「一度目の東大入試の1週間前です」との指摘がありました。】
進学校で読めなさを抱えながらも、このように英語の勉強を続けられたのは、特性理解があったからだと思います。「言われるがままに大量に読む」といっても、本当にがむしゃらに読んではいけません。何をミスしたか、何がうまくいったかを確認しながらの作業が重要です。
Q:逆に、ディスレクシア的に、大学入試や受験勉強において有利に働いた点はあるか?
ディスレクシアが原因かどうか分かりませんが、僕はなぜか世界史と地理が得意だったので、社会に回す時間を数学に充てることができました。
というのも、世界史と地理に関しては先生が一度言及したり、自分で見たりすればたいてい覚えられたからです。
Ron君は地理がずば抜けて得意です。私には、ディスレクシア的な得意さだと感じられます。歴史と地理、さらには地学にまで、さまざまなストーリーやトリビアや因果関係がからみあった壮大な知識体系を、着々と拡張しています。「一度知識がつながり始めると、どんどんつながっていく」とも言っています。
世界史の用語は、書いて確認していました |
ディスレクシアを持つ人は得意科目はとびぬけてできる傾向があるようなので、社会は主要教科ではありませんでしたが、主要科目の数学等が得意な人は受験に有利なはずです。
Q:在籍校は特性持ちに寛容でしたか?
在籍校が特性持ちに寛容だったかどうかは分かりませんが、努力をしていれば温かい目で見られ、放課後は部活があると言えば、追試の時間を昼休みに融通するなどはしてもらえました。
Ron君らしい、あまのじゃくな発言ですね( ´_ゝ`)
「学校の東大クラスの誰よりも、勉強量は多かったと自負している」と、しんみりと本音を語ったこともありました。
努力しっぱなしの6年間でした。
Q:自分がディスレクシアだと知ってどう思ったか? 現在はそのことをどう捉えているか?
僕が自身にディスレクシアの可能性があると知ったとき、幸か不幸かその場にディスレクシアの代表例としてレオナルド・ダ・ヴィンチやアインシュタインのポスターが貼ってあったので、ショックを受けるどころか、むしろうれしく思いました。
現在では、ディスレクシアの人はたしかに定型の人に比べると不得手な分野も多いですが、それこそアインシュタインなどのように自分の得意分野においては圧倒的な能力を示すことができ、その得意分野を生かすことができるような環境にいることができれば、そこらの人より輝けるのではないかと思っています。
Q:中学のとき(入塾時)の英語力について語ってください。/もじこ塾に来て,英語は読めるようになりましたか?(正直,どのくらい英語ができますか。)
入塾時、つまり中学二年生のときの英語力は、英文を作るときは名詞や動詞等を並べるのに手いっぱいで、冠詞や三単現のSなどを考える余裕もないほどでした。
最終的に英語力は一般的な東大受験生レベルになりました。
Ron君がもじこ塾に来たときは、「英検3級に合格したら、もうもじこ塾では面倒を見れないので卒業ね」と申していましたが、結局は二度の東大受験まで見届ける展開に。
いっぱいいっぱいだった中2時代から、東大受験まで戦えるようになるとは。。(T T)
「英語(だけ)ディスレクシア」の成長過程を見せてもらいました。
Q:もじこ塾に通っている生徒に、激励のことばを。
僕の経験では、学力とはいくら努力してもすぐには結果は出ず、ある日急に上がるものでした。
特に特性持ちの人に関しては、八割がた電気回路を完成させても電気が通らないように、完全に理解するまでその分野の成績は上がらないので、普通の人よりも時間がかかるようです。
しかし、できるようになったら最後急速に伸びるので、いつ来るともわからないその日を夢見て頑張って欲しいです。
ちなみに僕は本気で受験数学を勉強し始めてから、その伸びを実感するまで一年半以上要しました。
英語に関しては数えることが難しいので、割愛します。
Q:将来の夢を1行でどうぞ。
僕の夢は、自分の能力を理解してもらえる職場で、自分の才能を生かして自由にやりたいように働くことです。
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