on dyslexia

ディスレクシアとは:

- 知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い)。
-勉強しているにもかかわらず、読み書きがなかなかできない状態を指す。知的障害ではなく、普通~ギフテッドのあらゆるIQにみられる。
-独創的で、対人能力が高い。
全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける。
- 音と文字の脳内での結びつきが弱いことから起こるらしい
- 読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい。その理由は、英語のほうが日本語よりも"音の粒"が小さいから
- 細かい聞き間違いがみられるが、音声情報の処理能力は高い場合が多い
- エピソード記憶が得意。固有名詞などの細かい丸暗記は苦手
- 適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される
- 10人に1人程度いるというのが通説
- 家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は一族のなかでも個人差が大きい

当ブログは、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能である、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要--という立場です。

2017年、当ブログで分かったことをもとに、東京・南新宿にディスレクシア英語塾「もじこ塾」を開設。以来このブログは、もじこ塾の話題が中心になっています。

2021-12-02

OG(オートン・ギリンガム)日記!(1)

 今日から、オートン・ギリンガム講習に参加しています!

アメリカで行われているトレーニングに、週1回半年間、zoomで参加することになりました。

『ディスレクシアだから大丈夫!』にもおすすめとして登場しているオートン・ギリンガム。ずっと気になる存在でした。オンラインで講座を行ってくれるのはコロナ時代のありがたい進化ですね。

備忘録的に、ここに書いていこうと思います!

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オートン・ギリンガム(OG)とは、ディスレクシアを対象とした英語の読み訓練のアプローチです。オートンは(ディスレクシアをアメリカで初めて提唱した眼科医、アナ・ギリンガムはオートンの同志のスーパーティーチャーで、ディスレクシア用の読み訓練をゼロから考案した人です。OGは今でもアメリカのディスレクシア教育の最も有効なアプローチに数えられています。IDAも当初は「オートン・ソサエティ」として出発しました。

私が参加しているのは、Diana Hanbury Kingが創設したKildonan(キルドナン)というディスレクシア専用学校の主催するトレーニング。

学校自体は資金繰りに失敗して2019年に閉校になった(泣)ようですが、創設者の遺志を受け継いで、サマーキャンプと教師訓練だけは続いているようです。


今日は、OGの7つの原則を習いました:

オートン・ギリンガムの7つの原則

1. 多感覚(視覚・聴覚・運動・触覚)

2. 明示的

3. 言語化して説明する

4. 体系的、順番に積み重ねていく

5. よく観察し、生徒の様子に応じて微調整を加える

6. ルールを網羅的に(?)(cognitiveiのスペル方法はi, i-e, igh, yであると教えること)

7. 生徒の心をくじかない:すでに教えた音素だけを扱って授業をし、生徒が習っていない字を読めない書けないのは教師の責任とする。生徒には明示的に教えたことしか説明させない

・・・教師のとるすべての行動に、これ()が反映されていなくてはならない。

OGは固定化されたという意味での「プログラム」ではなく、生徒に応じて個別に変更可能なものという意味で「アプローチ」である。


●OGの名教師、ダイアナ・ハンバリー・キング

ディスレクシア教育の祖であるアナ・ギリンガムから直接学び、ディスレクシア教師として多大な影響を与えた故・ダイアナ・ハンバリー・キングの言葉。(部分訳)

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ディスレクシアの生徒に読み方を教えること、特に一対一で教えることは、教えるなかでも最もハードルが高く、最も厳しいものです。

教師はまず、言語について非常に高度な知識を持っていなくてはいけません。英語は非常に複雑な言語であり、その膨大な語彙はゲルマン語、ラテン語、古典ギリシャ語などに由来しており、それによって単語の作りも音も違います。・・・

アナ・ギリンガムはいつも、教師の話し方はクリアでなければならないとの信念を持っていました・・・私はここに、よくコントロールされた心地よい声を、教師の資産として付け加えます。教師の声は楽器であり、常にチューニングされていなくてはいけません。

読書量の豊富な教師だけが、生徒が熱中できるような完璧にちょうど良い本を、どんなレベルの生徒に対しても選ぶスキルがあるのです。教師は文構造と文法を理解しなくてはいけません。

おそらく教師にとって最も重要なのは、観察力です。生徒がしていることを緻密に把握しなくてはいけません。・・・

ディスレクシア脳の仕組み・・・タイミングや区切りの感覚も重要です。・・・教師は創意工夫の心をもって、授業戦略や教材作りに取り組まなくてはなりません。生徒が何かを理解できない方法はさまざまであり、教師はそれを上回る数の説明方法の手札を持っていなくてはなりません。

最後に……最良の教師とは、情熱のある教師です。教えるということ以外に人生を賭けたいことがない人達です。目の前の生徒に完璧に波長を合わせるとき、時がしばし止まります。


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自己紹介で「英語のほうが日本語よりもディスレクシア的にははるかに難しい言語なのだ」と言ったら驚かれました。例によってアジア系の参加者はもじこだけですが(というか、海外組は私だけですが)、日本代表として楽しんできます!

2021-11-15

『ディスレクシアだから大丈夫!』ディスレクシアでも読みやすい工夫がいっぱい!(2)

 『ディスレクシアだから大丈夫!』おかげさまで増刷決定!

ありがとうございます!

一人でも多くの方に、読んで頂きたいです!


刊行イベントも感動のなか終了しました^^
ご参加くださった方々、ありがとうございました。

現在、見逃し配信を販売中です→
12月以降、原著者のあいさつと、Fumiko Hoeft先生の基調講演部分は無料公開します。

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前回、本書がUDデジタル教科書体をフォントに採用しているため、読みやすいとお伝えしました。
それ以外にも日本語版には、読みやすくするための工夫がいっぱいです!

2) イラストがいっぱい!

原著は1枚もイラストがなく、文字がみっちり詰まっているのですが、
日本語版はイラストが50枚ほど?採用されています。
イラストがあったほうが、ディスレクシア的には断然、イメージがわきやすいので。

担当したのは、藤堂さんの前著『ディスレクシアでも大丈夫』でもお願いした方。
ディスレクシアのことをよくわかっておられる、ほんわかしたかわいいタッチで描いて頂きました!

このイラストは、
このイラストは、原著者から「ディスレクシアの人の笑顔が足りない」と指摘を受けて書き直し、さらに校了直前に吹き出しのなかの絵が本文の内容と違うことに気づいてさらに書き直し・・・特に苦労の多かった1枚です。Oさんお手数おかけしました

3) 日本向けの情報が満載の「コラム」!
日本語版だけの企画として、日本のディスレクシアをめぐる現状について、7本のコラムを収録しています。
  • ディスレクシアは障害?
  • ステレス・ディスレクシア(隠れディスレクシア)
  • アコモデーション(合理的配慮)について
  • 漢字の覚え方
  • オートン・ギリンガム法とは
  • ICTリソースについて
  • 受験環境の違い

大半は藤堂さんが書きました。さすが業界の重鎮、そのアンテナは幅広く知識は豊富で、それらをぎゅっと濃縮して紹介。1つのコラムごとに2時間のセミナーができるくらい、有用な情報が満載です!

もじこは、「受験環境の違い」の半分を担当しました。
いまはAO入試の割合が増えてきている…といった話です。
これについて、さらに詳しく知りたい方は、ぜひnoteをご覧下さい→

4) 電子書籍版も販売予定!
本書の中にも書きましたが、
翻訳書の電子書籍は利幅がとても少ないらしいのですが、今回は読者がディスレクシアだからということで、出版社が特別に動いてくれることになっています。
金子書房さんありがとうございます!

5)平易な訳語
原著は、フランクな口調で書かれていますが、脳科学や科学研究の話も出てきますので、一般書としてはやや難しめだと思います。ブルーバックスあたりの位置づけでしょうか。かための文体や難しめの訳語を選んで、専門書っぽく訳すことも可能です。
でも、この本はディスレクシアの子をもつ保護者にも読んでほしい、読者は専門家に限定したくないとの思いから、極力平易な訳にしましょうね・・・と、辻さんと最初に決めました。
「ですます調」で訳しましたし、訳語で迷った場合は、極力かみ砕くように心がけました。
読みやすくなっているといいのですが。
特に、辻さんの文体は愛情いっぱいです!


訳語についてのおまけ
いくつかの訳語選択については、助手や生徒たちの意見がかなり取り入れられています。
機会があったら、このときのやりとりを紹介したいです。
彼らのディスレクシア感覚は、想像以上に超絶でした・・・!







2021-10-18

『ディスレクシアだから大丈夫!』ディスレクシアでも読みやすい工夫がいっぱい!(1)

ディスレクシアが得意なこと」のもとになっている本の日本語版が、ついに刊行!



もじこ塾でも、生徒に対し読むよう、そして親に読んでもらうよう、プッシュしています。


「えー、私でも読めるかな…」と気にしている様子の生徒に対し、

先にゲラで読んだ助手が「読みやすいから、たぶん大丈夫」とプッシュしていたのが嬉しかったです(TT)

実際、日本語版は読みやすい工夫がいっぱいなのです!


1) 1冊まるごと、UDデジタル教科書体



ディスレクシア・フレンドリーなフォント、UDデジタル教科書体→

実は、もじこ塾とUDデジタル教科書体は、というか、もじことこのフォントの生みの親の高田さんは、ディスレクシア・ジャーニーを共に歩んできた戦友なんです。

アルファベットと違い、日本語は数千もの漢字があるため、フォントをデザインするのは何年もかかる大変なプロジェクト。加えて、読みやすいだけでなく、小学生が見て字形のお手本にできるフォントにするという独特の難しさが……そういう苦労話を地元のファミレスで飲みながら(笑)現在進行形でずっと聞いてきた間柄でした。

そういう縁もあり、もじこ塾の教材やパンフレットの日本語部分は、すべてこのフォントで作っています。

生徒からも「疲れにくい」「読みやすい」「あたたかみがある」と好評です。


いまや、LD教育界でUDデジタル教科書体を知らない人は"もぐり"と言えるほど、標準化したこのフォントですが、

今回、本をまるごと一冊、UDデジタル教科書体で組むことができました!

行間も詰めず、ディスレクシアに必要なだけ、ゆったりとってあります。

その分、ページ数も増え、本の価格も上がりましたが(TT)、

ディスレクシアでも読みやすいフォントで本を作れたことが、本当に嬉しいです!!

このことが出版界で話題になってほしい!

金子書房の決断にも感謝!

本を手に取って下さった方による、紙面の感想もぜひ聞きたいです!


詳しい目次→ 

2021-10-05

「ディスレクシアの得意なこと」の翻訳本刊行!(3)(推薦文、オンラインイベントのお知らせ)

もじこ塾の原点、「The Dyslexic Advantage」の日本語版が、10月中旬に刊行されます!

詳しい目次→ 


先週、ようやく原稿が印刷所に入りました・・・!

校了してからというもの、抜け殻のようになっています(苦笑)

授業があるので、なんとかなっていますが。

~~~

もじこ塾が、ブログから始まったことを知る人も、少なくなりました。

同じ著者による「隠れディスレクシア」の頃から当ブログに来てくれていて、

この文章によって人生が変わったといっても過言ではなく、

そしてもじこ塾以前のもじこを知る人と言えばこの方・・・

助手の紺さんこと、笠野紺さんをおいてほかにはおりません。

紺さんに、この本のゲラを読んでもらいました。

~~~~~~~

この本は素晴らしいです。


私がいままで読んできたディスレクシア本の中ではずば抜けて、

内容が実践的だし、経験則的だし、科学的でもあると感じました。


この本は「ディスレクシアとはどういう人か」という謎に、色んな視点から迫っていきます。


いままで自分が見てきたディスレクシア書籍は、

「読者に当事者もいることを想定してない…?」と感じることは多かったです。


(その辛さは体感でもう知ってるしな〜。もっと建設的な話というか、

 発展や希望のもてる話とか、明るい内容も欲しいな〜)と思ってました。


私自身、ディスレクシアの感覚がとても好きなのです。もちろん苦労も多いけど。

極めてフェアな視点をもつこの本が、日本語でも読める日が来るなんて嬉しいです。

フラットな気持ちに戻れるような優しい希望を感じます。


もし私の友人に当事者かもって感じる相手がいたとして、勧めたい本第一号がこの本です。

ぜひ当事者に読んでいただきたいです。


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ほんとに、当事者に明るい希望をもたらす一冊です!

◆「ディスレクシアだから大丈夫!」刊行記念トークイベントのお知らせ

刊行を記念して今週土曜、オンラインイベントを行います!




お申し込みはこちらから→




2021-09-22

『学びに凸凹のある子が輝くデジタル時代の教育支援ガイド』に、もじこ塾が掲載されています



『学びに凸凹のある子が輝くデジタル時代の教育支援ガイド-
子ども・保護者・教師からの100の提言』
学研プラス・刊
1,700円×税


何年か前、もじこ塾は朝日新聞の取材を受け、東京版の「凹凸の輝く教育」という連載に掲載されました→
この連載が、1冊の本になりました。

これは読み応えがありそうです!
目次を見ているだけでわくわくします。
ディスレクシアに適したツールや学校がたくさん。
何より、いま現在の配慮の内容の最先端が網羅されています。

自身の勉強のためにも、
また学校の先生に「合理的配慮について知ってください」と渡すのにも、ぴったりだと思います!


2021-09-19

「ディスレクシアの得意なこと」の翻訳本刊行!(2)(推薦文)

もじこ塾の原点の一冊、「The Dyslexic Advantage」の日本語版が、10月中旬に刊行されます!



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ディスレクシアの助手にゲラを読んでもらい、わかりにくい箇所はないか、ディスレクシア感覚と違うところはないか、チェックしてもらっています。
(今週末が最後のヤマです・・・)

この2人に感想を書いてもらいました。
日本語版の最初の読者による、本書の推薦文です!


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◆推薦のことば その①

この本は凄いです!
僕はこの本を読んで、自分の頭の中を80%くらい当てられているような感覚になりました。

具体例が多く、
「同じ感覚だな〜」
と思いながら読んでいると、
「これは普通の人の感覚とは違います」
と後から書かれていることが多く、その度に
「自分と他の人は違うのか」
と驚かされながら読んでいました。

なぜそのように考えるのかということも科学的に書かれていて、
改善の仕方などを考える種となるような本だと感じました。

この本を読んだあとに気をつけなければいけないのは、自分や自分の子供が本当にディスレクシアなのかをしっかり考えることだと思います。
なぜなら、この本を読むと、ディスレクシアに憧れてしまう人が出てくるのではないかと感じたからです!
ぜひ、読んで頂けると、才能の芽を摘んでしまうような事にならないのではないかと思います!
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「これからは、自分のことを知ってほしいときに、この本を渡せばいいですね」
「自分の内面が暴かれているので、なんだか恥ずかしいくらい」

とも言っていました。

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◆推薦のことば その②

この本の「Mの強さ」、「Iの強さ」の章を読みました。
(「Mの強さ」:空間把握能力、
「Iの強さ」:俯瞰能力、もしくは相互関係性把握能力)

「Mの強さ」については、
自分が日常的に行っていること、
読んでみて行うことができたものばかりで、

言語化された説明として今まで見てきたどの説明よりも的確に、空間把握能力の何たるかを伝えられていたと思います。

「Iの強さ」では、自分が無意識に行っていたものが、特性の一部として紹介されていました。
知っている情報と新たに知った情報を組み合わせているメカニズムが説明されていて、
自分の日常会話のときの頭の使い方が言語化されていたことに驚きました。

ディスレクシア特性の強みの側面でまだ使い切れていない部分を探したい方、
それを持った人と何かをしてみたい人にオススメです。

~~
「これは自分のことを言っていると感じる?」と聞いたところ、
「なかなか当たっています」と言ってくれました。
それ以上に、読後、すがすがしい顔をしていたのが印象的でした。

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本書は300ページとかなりボリュームがありますが、ディスレクシアでも読めます!
(いずれ電子書籍化も予定しています!)

ディスレクシア本人に、ぜひとも読んで頂きたいです!!
自己認識が変わります。


2021-09-12

「ディスレクシアが得意なこと」の翻訳本が出版されます!(1)

ついに!!
当ブログの原点と言える「The Dyslexic Advantage」の、翻訳本が出版されます!
金子書房

詳しい目次→

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このブログの本当に最初のほうにある翻訳記事:


のもとになっているのは、Eide(アイディ)医師夫妻のThe Dyslexic Advantageという本です。

ディスレクシアとは、脳の配線の違いであり、数々の優位性につながる特性である。
読み書き困難は、ディスレクシアの特性が裏目に出たものにすぎない。

・・・という、ほかのどこでも言っていない内容です。


この本から発展して、もじこ塾ができたと言っても過言ではありません。
「ディスレクシアが得意なこと」にあるディスレクシアの姿は、常に、もじこ塾の大前提にありました。

そんな、もじこともじこ塾の原点とも言える本が、ついに、ついに翻訳出版されます!!

もじこの人生を変えた一冊と言っても、過言ではありません。

そして、ディスレクシアの本人や家族にとって、人生を変える一冊になると、自信をもっておすすめします!

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刊行まであと1ヶ月となりましたが、現在、授業以外のすべての時間をこの本のゲラチェックに捧げています(泣き笑い)

もじこ塾には受験生を含む生徒もたくさんいて、ゲラもあって、文字通り目が回る忙しさですが、幸せでもあります。。

しばらく、新刊情報を続けます。乞ご期待!

最新情報はこちらで: