on dyslexia

2023-05-19

NHK Eテレ「ハートネットTV 学習障害」にもじこ塾の助手が登場!


NHK Eテレ「ハートネットTV 学習障害」にもじこ塾の助手が登場しました!



「ディスレクシアとはこういうものです」と人に説明するのに最適な番組です!

NHK Eテレ「ハートネットTV」学習障害
[再放送]

NHK for Schoolでも視聴できます:

前編①(もじこ塾関係者が、対談に臨みました)→
前編②(文字の歴史、ICTの活用で授業についていけるようになった小学生)→
後編①(対談の続き)→
後編②(UDデジタル教科書体開発者、高田さん登場)→



この番組の取材に、もじこ塾は全面協力。

18歳以上の生徒と助手、総勢14名が取材を受け、助手と卒業生の3人が対談の収録に臨みました。

対談はたいへん面白いものに。ディスレクシアあるあるがいっぱいです。文字でも読めます→

対談出演者について詳しく知りたい方はこちら:
柳沢くん→ さえちゃん→ うしさん→




ディスレクシアが、いい意味で普通の人たちである一方、社会生活や勉強で人知れず悩みを抱えていることも、上手に伝わっていると思います。

なお、柳沢くんとさえちゃんによると、
みなさん対人能力が抜群に高いので、すぐに意気投合し、終始和やかな雰囲気で進んだそうです。台本なし、司会なしで3時間、会話のキャッチボールを続けたとのこと。
さすがディスレクシアです。

★  ★  ★

番組は、
  • ディスレクシアとは何か
  • 当事者の感覚や困りごと
  • 「学習障害は文字重視の社会によって作られた」
  • ツールの効果:「タブレットで、学校生活は大幅に楽になる」
  • 配慮の効果:「一人ひとりにあわせて学び方(配慮)を変えることで、(以下同)」
  • 「とはいえ、全ディスレクシアに一律に効く方法はない」

・・・を、わかりやすく説明しています。

インタビューも、スタジオトークにも、刺さる言葉がたくさんありました。


ディスレクシアの読み困難の理由
ディスレクシアの読み困難の仕組み


以下、スタジオトークより




(https://twitter.com/nhk_heartより)



…一方、開発や制作を行う側は、ディスレクシアが「大幅に楽になる」のを実現するために、膨大な工夫と労力を注いでいます。

プロとは、この工夫と労力をまったくいとわない人のことを言うのでしょうね。


(高田さんの近著『奇跡のフォント』はディスレクシア界隈の新たな必読書。知識もパワーももらえます!)

★  ★  ★

今回の番組ディレクターさんは実は、もじこの予備校講師時代の教え子でした。
ディスレクシアの番組を作るにあたり、私のことを思い出してくれました。

受験生の頃から語学力がものすごく高く、かつ細やかな気配りや弱者へのまなざしを持つ彼女。
謙虚で物静かで、学究肌ですらあります。

彼女ははじめ、「ディスレクシアの人に会ってみたいです」と、もじこ塾に来ました。
(NHKの方々は、カメラを回さない取材を、それはそれは長時間行います)

「ディスレクシアって、嗅覚で会話するような感じでしょうか?
(それはつまり?)かりに嗅覚に情報が乗っているとして、周りはそれを使って会話しているのに、自分だけわからない。
ディスレクシアもそういう感じでしょうか…?」

この比喩を聞いた生徒や助手たちは「この人はわかってくれる」と心を開き、結果として、18歳以上の生徒と助手、総勢14名が取材を受けました。
取材は連日、夜遅くに及びました。

話を聞いてもらった人たちは「あ~いろいろ話せて楽しかった~」と興奮気味でした。
たいへん聞き上手なディレクターさんです。

取材を通じて彼女がたどりついたのが「ディスレクシアは多彩である」

ほんとそうです!
私もディスレクシアを知ったときは、最初に会った5人ほどの生徒は「かぶりなし」というほど、全員が違いました。なかには、当時は違うと思っていましたが、後になって「あの人もそうだったかも…」と思うケースも。。

「ひとりに密着しようと思っていましたが、対談のほうがよさそう」と言って帰っていきました。

そうして形になったこの番組。
「放送直前まで『あれでよかったのか、何か足りないものはないか』と悩みます」とのことでしたが、なかなかどうして!
ディスレクシアの定義から、当事者感覚、ツールと配慮、注意点に至るまで、必要な情報をバランス良くまとめています。
くり返しますが、ディスレクシアとは何かを人に説明するのに最適な番組です。

何より、明るくさらっとディスレクシアを説明していて、「あなたの周りにもきっといる」「工夫次第でハッピーに生きられる」「その工夫の様子は非ディスレクシアにも力を与える」という雰囲気に満ちているのが、すごくよいです。

☆  ☆  ☆

個人的な感想になりますが、
非ディスレクシアの元教え子が、もじこ塾を訪ねてきてくれて、一緒に仕事ができたことが、しみじみ嬉しくて(T T)。

もじこ塾を作るにあたり、予備校講師としての過去は置いてきたつもりだったので…

ディスレクシア英語教育で身を立てるには、いちから出直すくらいでないと無理だろう、
ここまでけっこう頑張ってきたけど、そんな実績を笠に着るようでは、この道は到底務まらないだろう…

かっこよく言えばそんなことを思って、全部置いてきたつもりでしたが、
ここへきて昔の生徒(と言ってもみなさん、社会人として立派に活躍しておられます)から、紹介や連絡を頂くことが増えてきました。

非ディスレクシアの方と一緒に仕事ができ、ディスレクシアが広まっていくことが、本当にうれしいです。

もじこ塾の設立目的は社会変革です( ̄ー ̄)
でも、ひとりで進めているうちは、ゲリラ戦なんですよね。
高田さんしかり、ディレクターさんしかり、心ある組織人のアンテナに引っかかることで、ゲリラも社会変革の流れに加われるのかも・・・と感じます。

ディスレクシアの存在が広まってほしい、特に教育現場の人に知っていてもらいたいというのが、取材と対談に参加した人、さらにはもじこ塾関係者全員の願いです。
よろしくお願いします!


2023-03-15

3/22(火祝)、受験報告会を行います!

今年も、受験報告会を行います!


 

お申し込みはこちらから→


共通テスト、そして東大入試へ。
英文読み上げと時間延長の合理的配慮を受け、東大の一般入試に挑んだ受験生が、
読み訓練と配慮入試を語り尽くします!


今年の受験報告会は、もじこ塾で英語の読み訓練を5年間受け、合理的配慮を申請して東京大学の一般入試に挑んだ生徒が、配慮入試と読み訓練について語り尽くします!!
本人の意向により、アーカイブ配信は行いません。当日視聴のみとなります。
ふるってご参加ください。
※模試の成績、WISCの成績などを公開する意向のようです。


●登壇者プロフィール

中学受験を経て御三家レベルの中高に入学するも、英語があまりにも出来ず、不登校気味に。その後、もじこ塾に通うようになり、読み訓練を開始。高校卒業後から配慮申請のための準備を進め、1浪で大学に合格。

共通テスト、早稲田大学、東京大学に、配慮入試で臨む。


●当日話す内容

自己紹介(WISCなど)

どうやって勉強してきたか

読み訓練の様子

配慮を獲得するために行ったこと

支援を受ける身として思うこと

次の入試で配慮申請を行う人へ



●もじこ塾より

この生徒は、ディスレクシアと協調運動障害があります。超進学校に入るも、英語が読めないことから大変な苦労を経て卒業しました。高校では配慮は受けていません。

高3時に本格的な検査を受けて自分のディスレクシアの重篤さを知ったのをきっかけに、配慮入試の道を模索するようになりました。

大手予備校ともじこ塾で勉強を続けて、大学受験に挑みました。


入試前の配慮の打ち合わせには、もじこ塾も支援者として同席しました。このとき、入試実施者は合理的配慮について公に語ることを許されていない以上、今回の経験を記録し伝えるにはこちらが語るしかないことを悟りました。


今回の経験が、似たような配慮を必要としている人たちに届くことを願い、この受験報告会を行います。

関心のある方のご参加を、お待ちしています。

お申し込みはこちらから→

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昨年の受験報告会は、生徒2人がAO入試を語り尽くしました。
あわせてどうぞ!→

合格体験記(HSくん)

受験報告会で話す生徒の、合格体験記です。

詳しい話を聞きたい方は、ぜひ受験報告会へ→

1浪、中高一貫卒

◎早大先進理工学部 (時間延長)

×東大理II (時間延長、英語読み上げ)

~~~


Q:もじこ塾をどうやって知ったか。入塾の決め手は?

カテキョのサーチ能力、親の判断。

在籍中学のOBである家庭教師さんが検索して、ここを見つけたようです。まだ設立2年目のことでしたか。。


Q:他の塾との兼ね合いは。英語はもじこ塾以外でも勉強したか?

予備校とガンガン併用。時間は無かった。

英語は駿台(高1、3)、河合塾(浪)。

結局タイムパフォーマンスが絶望でしかないのは事実。仕方ない。

予備校には、「英語はかまってくれるな、専用の塾に行っているから」と伝えてあったようです。先方もそれに納得していました。


Q:入塾を考えている人へ、もじこ塾はどんなところと説明するか?

(保護者へ)一般論として、子供達は年上の子の行動(や行事)を見て成長していきます。定型の子は学校で先輩を見るだけで十分です。もじこ塾に入塾できる子たちには、それで十分でしょうか?

もじこ塾で、先輩が多かれ少なかれ障害に向き合いつつ社会に出ていくのを見るのは、とても有意義ではないでしょうか。

(後輩へ)英語だけの補習塾。英語以外は頑張ろうぜ。中受なり何かしら突破できたならそれなりだよ。がんば。

7年目を迎えたもじこ塾の最大の資産は、先輩の存在です。ここでは、たくさんのディスレクシアの大学生や大人に出会うことができます。


Q:もじこ塾で勉強したり話したりしたなかで、特に印象に残っていることは?

先生が一番すごい。なんで日替わりで読める単語が変化する学習者と向き合えるんですか・・・

本人は諦めて向き合いますけど。

いやいや、生徒のほうがどう考えてもえらいですよ。彼にはリスペクトしかないです。


Q:ディスレクシア的に、英語の勉強において特に大変だったことは?

何もかも大変。勉強じゃなくて訓練でしかない。


Q:ディスレクシア的に、大学入試や受験勉強において特に注意するべきことはあるか?

一般、一般+配慮、AO推薦の選択はよく考えるべき。

僕と同じように、難関校に迷い込んだなら頑張ってみるのがいいと思う。


Q:逆に、ディスレクシア的に、大学入試や受験勉強において有利に働いた点はあるか?

皆無。逆に、自分の中で相対的にマシな側面も、絶対的には天才ではないことは自覚しよう。

いや、彼は予測能力が超絶に高かったです。「A」と「C」と書いてあったら、間には「B」と書いてあるだろう・・・という種類の予測の精度が、普通では考えられないほど的確でした。これはディスレクシアのシミュレーション能力の高さだと私は思っています。


Q:自分がディスレクシアだと知ってどう思ったか? 現在はそのことをどう捉えているか?

英語できないもんなあ・・・

今もあんまり気にしてない。成績悪くても卒業できたし・・・(入試で死ぬほど意識することになるのはまた別件だと思う)


Q:もじこ塾に来て,英語は読めるようになりましたか?(正直,どのくらい英語ができますか。)

伸びた。英検準1受けるとか言える。

彼はシャドーイングをやって初めて、英語が少しは読めるようになりました。

この話はきっと、受験報告会で詳しくできることでしょう。


Q:中学のとき(入塾時)の英語力について語ってください。

A is a apple←ローマ字と一緒だからOK!

B is a bear←ベーあ?ベー?あー、「ベータ(β)」かな?許す

C is a crown←シーだよ?くって読むわけないじゃん。馬鹿?


Q:もじこ塾に通っている生徒に、激励のことばを。

え、僕は卒業まで一度もこれ読んでないよ?

とりあえず、このメッセージを受け取ってるだけ僕よりラッキーだから、もう1日ぐらいは頑張ってね。

できたらk日目とk+1日目も頑張って欲しいな。

気になったら数学的帰納法の優しい説明をググってみよう。

先取り勉強はすごく役に立つよ。

「淡々と、先のことを深く考えずに、目の前の課題を頑張りましょう」ということですかね。もじこ流に翻訳すると。


Q:将来の夢を1行でどうぞ。

多分何かを頑張ってる。ほどほどを加減するのが得意になってるといいな。


追加
Q:在籍校は、特性持ちに寛容でしたか。
寛容でした。

Q:勝因は何だと思いますか?
配慮獲得
配慮はよく分からないと思うなら、とりあえず獲得しましょう。
最寄りのスクールカウンセラーへどうぞ。
気持ちの整理は入学後で。

高校では配慮を受けていません。1浪決定後、動き始めました。
彼もまた、もじこ塾の他の例にもれず、保護者の助けを一切借りずに、自力で配慮申請を行いました。これがなかなかに大変で、かつだからこそ、本人に適した配慮を受けることにもつながりました。詳しくは受験報告会で・・・

最後に追加して書いときます。
Q:もじこ塾への要望は?
綺麗な雑居ビルの1階分使えるぐらいまで拡大して欲しい。
中受で上位食い込んだのにコレでドロップアウトしちゃいそうな子を救い続けてほしい。
拡大してもアットホームな雰囲気だけど、ガチな時にはしっかり伴走してくれる。そんな空間であってほしい。
・・・ありがとう、この塾はHS君と育てたようなものですよ。
これからもがんばります。

2023-02-03

もじこ塾は6周年を迎えました!

祝・6周年!



中高生対象の塾にとって6周年というのは、特別な区切りの数字です。

中1の最初から来ている生徒が大学を受験するまでの期間が、ちょうど(?)6年なのです。

実際、今年のもじこ塾には、中1の最初から通い続けて、いま大学受験に臨んでいる生徒たちがいます。

当人たちは入試の真っ最中につき、6年間を振り返る心境では全然ないのですが、私は勝手に感無量(泣)。

中1の最初の頃、あんなに読めなかった生徒は、こういう過程を経て、大学入試を戦うところまで来るのですね!(注:個人差があります)

当人たちには笑われそうですが、この教室で、ディスレクシアの生徒たちと受験シーズンを迎えられることを、幸せに思います。

☆   ☆   ☆

もじこ塾の大学受験生たちは、先輩である助手たちとともに、コミュニティを形成しています。

生徒たちは、何気ない話をしたり、教材を融通し合ったり、漢字の間違いや計算ミスを笑い飛ばしたり・・・困難は一人ひとり違い、志望校も上から下までいるのですが、いい距離感でお互いを気にかけています。

心を病んでいる生徒もいます。そういう仲間にも、生徒たちはほんとに優しい。ディスレクシアな生徒たちのつかず離れずな距離の取り方には、いつも驚かされます。

何より・・・読み能力というものは、地頭とも人格とも無関係であること、

そして、努力は結果に必ずしも直結しないけれども、努力しなければ結果は決して来ないことを、誰よりもよくわかっています。

本当によくできた生徒たちです。

☆  ☆  ☆

6年を経て、6学年分の層もできつつあります。

まず何より、助手の層が厚くなりました。彼ら彼女らの存在は後輩たちにとって、何よりも励みになっています。

一部は配慮入試のパイオニアでもあります。おかげで、もじこ塾には合理的配慮入試のノウハウも蓄積してきました。入試が一段落したら披露したいです。

ディスレクシア関連研究に関心のある方や、教員志望などの学生からのアプローチも増えてきました。「こういうことに関心を持つ人がいるんだ」という気づきは、生徒たちの自己理解に良い影響を与えます。

助手は進路相談にも乗ります。「ディスレクシア的に授業についていけるか(むしろいける)」など、ほかでは得られないアドバイスが飛び交っています。

そして、高校生と中学生…たとえば大学受験生と中1が話をすることで、大学受験生も中1も、お互いに励まされたり気づきを得たりしています。

このコミュニティこそが、もじこ塾の最大の財産です。

☆  ☆  ☆

この教室にいると、ディスレクシアは悪いものでない気がしてきます(これまた生徒には笑われそうですが)。苦労が多いことは事実ですが、その分生徒たちは、思いやりと洞察力のある若者に育ちます。

もじこ塾はこの空間を7年目も、大切に育てていきます。

もちろん、ディスレクシア英語研究もますます続けていきます!発信も授業の合間にですが、頑張ります。

新学期に、新しい生徒さんと出会えるのを、楽しみにしています。

2022-11-05

道村先生と隔週火曜22:00~、スペースでお話をします

この夏、ブログ開設10年目にしてようやく、ツイッターデビューしたもじこ塾→
https://twitter.com/mojikojuku

ディスレクシア英語教育について、ゆるく発信しています。

10/27、道村先生さらにはモリサワ高田さんと、ツイッター上の音声配信機能「スペース」で
と題して、初めてお話ししてみました。
https://twitter.com/i/spaces/1vAGRAlpMBYKl

道村先生の「教える側が楽しむこと」「本物を与えること」「成り立ちを知れば漢字はとっても楽しい」というメッセージは、多くの方に刺さったようです。
この記事を書いている現在、すでに再生数2600超。ありがとうございます。

もじこは道村先生と深い縁があります。たとえばこちら→

道村先生は盲学校の生徒に漢字を教える一大体系を作り上げるという、途方もない偉業を成し遂げた方。
現在は息子さんと会社をたちあげ、一大体系をさらに深化されたミチムラ式漢字学習法の普及に努めていらっしゃいます。


道村先生の話はとことん本物。圧倒的な研究心、途方もない情熱、そして生徒に伝わるのなら何でもしてしまうという愛に満ちています。その話は多くの人の心を打っています。。

というわけで、しばらくはもじこが聞き役となって、道村先生の話を伺っていきます。
私が一番楽しんでいるかもしれません。

話の流れのなかで、かなり反響のあった

フォニックスとミチムラ式漢字学習法には共通点があること、
丸暗記に頼らない漢字学習法は、英語学習の助けにもなるであろうこと、

について、おいおい語って行ければと思っています。

当面は、隔週火曜日(11/8、11/22、12/6、12/20)22時~23時に行います。
11/8のURLはこちら→

ご興味のある方は、よろしければぜひお聞き下さい!




2022-10-09

フォント・スイッチ・プロジェクト(2)もじことジョリーフォニックスの深い関係

「フォント・スイッチ・プロジェクト」(byモリサワ)のインタビューに登場!→

記事に登場する「ジョリーフォニックス」。
21世紀の新しいフォニックス「シンセティック・フォニックス」の代表的プログラムのひとつです。

今回は、ジョリーともじこの関係について書きます。
もじことジョリーには、深い関係があるのです。


ジョリーのフォニックス表。satipnで始まる
ジョリーの42音の表。satipnの順


2013年。「ディスレクシアにはフォニックスを教えるべき」と、このブログのコメント(だったと思います)で強く言われていたもじこは、「フォニックスってなんぞや?」と暗中模索を続けていました。
当時の私は、東大はじめ難関大志望の受験指導はあっても、アルファベットを教えた経験はなかったのです。その部分をどうやって教えるかは、皆目見当がつきませんでした。

松香さんの研修にも行きました。
トレーナーさんはとても親切でしたが、ディスレクシアのことはご存じありませんでした。

同年夏。
ジョリーの伝道師、山下桂世子先生が、クリスさん(ジョリーラーニング社社長。ジョリーフォニックスの名はこの方の名字に由来)を連れて、日本初上陸の講演を大阪で行いました。
いろんな偶然が重なり、私はこの講演を会場で聞きました。
日本にシンセティック・フォニックスが上陸した瞬間と言っていいでしょう。
私は「?!これは?!」と思い、講演終了後、山下先生のところに駆け寄り、そこから山下先生とは同志になりました。

クリスさんにも直接話しました。教え方を聞いて、最初の実験台に試しました。
(いまではこの方法は採用していないので、リンクは張りません。どうしても興味のある方はこのブログを掘ると当時の様子が出てきます)
言われていたよりもかなり時間はかかりましたが、たしかに入りました。

☆  ☆  ☆

ジョリーフォニックスはこの講演を機に、少しずつ広まっていきました。
効果をはかる研究も始まりましたし、教室に導入して大きな効果をあげる人も出てきました。

最初は英語版しかありませんでしたが、2017年には日本語版も登場。
もじこは上陸講演会のときにクリスさんと山下先生とのご縁を得たのがきっかけで、ジョリーフォニックス日本語版のティーチャーズブックの翻訳のお手伝いをさせて頂きました。
このシリーズは本当に、山下先生の思いが詰まった一大労作。

『はじめてのジョリーフォニックス』

※このセットの肝はティーチャーズブック(教科書+マニュアル)です!
ステューデントブック(生徒用ワークブック)だけでは教えられませんので注意。


日本語版の出版をきっかけに、ジョリーフォニックスの日本進出はさらに加速。
年々、着実に広まり、現在に至ります。

(でもまだまだこれからです。フォニックスは小学校で教えられるべきであり、 
ジョリーフォニックスはそのなかで大きな役割を果たせる存在です。
小学生へのフォニックス指導用のパッケージとしては、もじこは昔も今も、ジョリーフォニックスを全力でお勧めします!)

☆  ☆  ☆

一方、時計の針を少し戻すと・・・
私はといえば、ブログにジョリーを教える様子を書いていたことがきっかけで、「自分の子にもここに書いてあることを教えてほしい」と連絡して下さる方が現れました。
暗中模索はさらに続きました。。。いつでも最善を尽くしているつもりですが、今ならそうはしないだろうということを、たくさんしました。

そうしているうちに、もじこのディスレクシア中学生へのフォニックスの教え方は、ジョリーから少しずつアレンジを加えたものになっていきました。

そうして完成したのが、今回フォント・スイッチ・プロジェクトで提供しているフォニックス表です。2017年頃には現在の形になっていたと思います。大きな違いは:

・アクションは使っていません。小学生にはかなり効果的ですが、私が教える中学生は恥ずかしがってなかなかしてくれないのです💦。絵もありません。

・母音と子音を色分けしました。音素という概念を理解してもらうには、効果があると思っています。

・あいまい母音も教えています。2音節以上の単語を読んだり、文をリズム良く読んだりするためには、必要な概念だと考えてのことです。

・最も違うのが、二重母音(名前読み)の扱いです。
ジョリーではai、ie、oaなどを採用していますが、私は「a, e, i, o, uにはロングの読み方がある、それはこの字の名前で読む読み方」と説明しています。
そのほうが、中1の英語の教科書の単語につなげやすいですし、高校生になったときにも言及しやすいのです。(例:長い単語を読むときに、「このaはロングで読むんだよ」と言えます)




そうそう、satipnとは何か。
satipnは、ジョリーで採用されているフォニックスの配列です。
ざっくり頻度順のため、1列目、極端な話をすれば最初の3文字を教えただけで、ブレンディングの練習ができます。
いまではイギリスのフォニックス指導において標準的な配列と聞き、採用しました。

もじこ塾で、生徒にこの表はざっくり頻度順ですと伝えると、
「1列目は、何がなんでも覚えるべきということですね」
と言った生徒がいました。その通りです!

☆  ☆  ☆

このような改変を加えることで、ジョリーさんに怒られる…ことはないと信じています。
まず、対象とする年齢層が違うという点が大きいです。
また、これは目の前の生徒にあわせて行ったアレンジなので、その趣旨はきっと理解されるだろうと思っています。

ジョリーフォニックスは、未就学児から小学校中学年くらいまでの心をわしづかみにするような工夫が施されています。それらが中学生にはいまいち刺さらないのは当然のこと。
逆に、上にも書きましたが、もじこは小学校中学年くらいまでは、ジョリーフォニックスを全力で推奨します!

また、もじこ塾で採用しているフォニックスについても、唯一絶対の完成形とは思っていません。
目の前の生徒にあわせて、改変してよいし、すべきとも思っています。

(とはいえ、ディスレクシアに適したフォニックスの教え方に沿っていることが大前提です。「明示的・網羅的・段階的・反復的に文字と音の対応を教える」ことです。
また日本語母語話者を対象とする以上、「音で入っている単語量がネイティブよりも圧倒的に少ない」という点を加味して改変を加えることも必要です。この話は長くなりますので、またの機会に。)


・・・というわけで、「フォント・スイッチ・プロジェクト」で提供したフォニックス表は、ジョリーフォニックスの考え方をベースにアレンジを加えたものだという話でした!

2022-10-07

[告知]10/11(火)22~23時、clubhouseで話をします!

もじこがclubhouseデビューします!→


10月はディスレクシア啓発月間。

そこで、りえ先生(twitter:@RidiamR)に招かれ、clubhouseで話をします。

題して「個別最適化された英語教育を目指して」


りえ先生ともじこは戦友同士。

2013年、今では伝説となった「まなび支援の会」研究会で、事務局と参加者としてお目にかかったのが初対面でした。

以後10年(!!)、それぞれにディスレクシア英語教育の道を進んでまいりました。


11(火)のclubhouseでは、

  • なぜディスレクシア英語教育の道に入ったのですか?
  • 10年前のあの会以降、何をしていましたか?


といった話題で話す予定です。

りえ先生は、村上加代子先生のメソッドを最も近くで見て、それをずっと現場で実践してこられた方。

私はと言えば、当ブログで公開してきた通り、もじこ塾を作って6年目に入りました。

これまでの道をお互いに振り返ることで、日本ディスレクシア英語教育史(また大きく出たな…)の一端を明らかにし、今後の展望を探ります。

シンセティック・フォニックスを日本語ネイティブにどう教えるか、

それも、読み書きに困難がある生徒に、どう教えるか。

といった話になる予定です。


ご興味のある方はぜひ!

https://www.clubhouse.com/event/xVbKr3Jj?utm_medium=ch_event&utm_campaign=cn-Qph93SKhFZ7RDWUr74A-401576

※clubhouseは今は招待制ではありません。

また、androidでもアカウントを作れます。