ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2012-05-21

今日届いた本



「ブレインジムと私 学習障害からの奇跡の回復」


 「正中」を調べていたらたどりつきました。
 いろんなことがつながりそうな予感・・・


 「学習障害は病気ではありません。
学習障害とは、その子と社会をつなぐコミュニケーションネットワーク上での『混線』です」p281


 「多くの子供達が教育の名の下に深く傷つき、傷ついたまま大人になって、救いようのない社会問題を引き起こしている。
 ・・・子供たちのためと思って、子供たちをダメにしてきた教育に未来はあるのだろうか?」
(訳者あとがき)

2012-05-18

聴覚処理の異常がディスレクシアの背景に

Listen Up: Abnormality in Auditory Processing Underlies Dyslexia
(聴覚処理の異常がディスレクシアの背景に)
ScienceDaily, 2011/12/21


の訳です。
ディスレクシアが、音声言語処理能力の欠陥と関係がある?!と言ってます。

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ディスレクシアは、文字を正確に意味・音に結びつけ識別することに困難を覚える。ディスレクシアには音声言語の音の処理の混乱が病理として背後にあると示唆されてきた。だが音声言語の音処理の混乱の仕組みや、これが読解力にどのような形で影響を及ぼすのかは、明らかになっていなかった。このたび「ニューロン」誌1222日号(Cell Press発行)掲載の研究によると、聴覚信号の処理における特定の異常によってディスレクシアの主な症状が説明できることが明らかになった。


同論文の主著者であるAnne-Lise Giraud博士、Franck Ramus博士(フランス、パリ高等師範学校)は次のように語っている。

「ディスレクシアの子供の大半について、ディスレクシアの主な原因は音声言語に含まれる音の処理の欠陥に関係していることは広く認められている。またディスレクシアには主に(1)音声言語に含まれる個々の音に注意を払うのが難しい、(2)実際には存在しない語や数のリストを繰り返して言う能力が限られている、(3)絵・色・数をいくつもできるだけ素早く挙げるように言われると早くできない----3点の症状があることもよく知られている。だが、こうした症状の根底にあるものは何なのか、明確にされてこなかった」

同博士らは、「サンプリング」と呼ばれる脳の聴覚処理の初期段階について、その異常がディスレクシアに関係するかどうか調査した。調査では、音素(語を構成する音の最小単位)の初期処理の異常が、話し言葉の処理に直接影響している可能性があるとの説について調べた。

調査によると、ディスレクシアにおいては、音素と関係する聴覚リズムの通常の脳での処理が左聴覚野で欠落していること、またこの欠落が音声言語の音処理の方法と関係していることが明らかとなった。さらにディスレクシアは、言語記憶を間接的に阻害する高周波リズムに対し、通常の人と比べて高い応答性を示した。こうした「オーバーサンプリング」が、音声言語の音の表象の乱れにつながっている可能性がある。

「われわれの研究結果は、ディスレクシアの人々の左聴覚野は、音声言語の音に最適な非常に幅の狭い周波数の変調への応答性が低く、より高周波への応答性が過度に高いことを示唆している。また高周波への応答性が過度に高いことが言語の短期記憶の低下に関与している可能性もある。まとめると、我々のデータは、ディスレクシアの聴覚野は、音声言語処理のニーズに合わせた微調整が通常の人と比べて劣ることを示唆している」(Giraud博士)。
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ディスレクシアは読み書きだけでなく、聞き取りの問題もあるのか・・・

子も学校の先生から「口頭で全員に指示を伝えるようなときに、戸惑っている様子をよく見せる」とも言われており、、このことでしょうか??

ディスレクシアに関連する遺伝子変異体が、聴覚路の正中交差を減少させる


Dyslexia-Linked Genetic Variant Decreases Midline Crossing of Auditory Pathways

(ディスレクシアに関連する遺伝子変異体が、聴覚路の正中交差を減少させる)
ScienceDaily、2012/02/01 


を訳してみました。
Midline Crossingの訳に自信がありません。おそらく、脳の正中線を超えて神経細胞が伸びることだと思うのですが…


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ROBO 1遺伝子のうちディスレクシアに関連する珍しい遺伝子変異体によってヒトの脳の聴覚路における正中線交差が減少することを、フィンランド人科学者グループが発見した。この遺伝子の発現が弱いほど正中線交差に異常がみられる。この研究結果は、ディスレクシア感受性遺伝子を脳の特定の感覚機能に初めて結びつけたものである。

本共同研究はフィンランドのアールト大学とヘルシンキ大学、およびスウェーデンのカロリンスカ研究所により行われThe Journal of Neuroscienceに発表された。

動物実験を使った先行研究によると、ROBO 1遺伝子の障害は、胎児の発達時に神経細胞が正常に正中線を越えることを妨げる。ROBO 1遺伝子が完全に不全なケースはこれまで見つかっていない。ただしフィンランドのある大家族では複数のディスレクシアの人たちがROBO 1遺伝子の機能不全コピーを1つ遺伝していた例がある。ROBO 1とディスレクシアのこうした関係は、2005年にすでに発見されている。


今回の研究では、同家族の10名の聴覚路の機能的交差(functional crossing)を定量化した。定量化にはMEG(脳の弱い磁場の記録、脳磁気図検査)をもとにした高感度法を使用した。ディスレクシアと関連するROBO 1遺伝子変異を有する個人では、聴覚路の機能的交差は有意に弱かった。ディスレクシアは多くの国で人口の10%近くを占める、最も一般的な学習障害である。

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これとは直接関係ないかもしれませんが、

学習に向かう力を育てるための見取りと体づくりの提案(2年次)
(島根県教育センター研究紀要)
「今回の調査ではこの「正中線交叉(運動)」と「聞く(学習規律)」の2つの間には何らかの関係があるかもしれないという結果となっている。」

ここでの正中線交叉とは、右手で左耳・左手で右耳を触ることを意味しているようなので、
脳の正中交差とは違うかもしれませんが、
ディスレクシアでは字の左右が混乱するので、
神経細胞の正中交差が弱いと、身体運動での正中交差も苦手になる、ということものかも?


2012-05-17

やほちきういるい

上は「読み書きが苦手な子どもへの<つまずき>支援ワーク」

下は「読み書きが苦手な子供への<漢字>支援ワーク 1~3年生編」より。

ここ1週間ほどは、4年生の新出漢字2つ(学校を先取りし、まずiPadで書かせる)と、ひらがなや3年生の漢字の復習を、合計25分くらい取り組むようにしています。

漢字以上に、ひらがながたくさん並んでいるのが苦手で、
「きうい」がなかなか見抜けませんでした。
(しまいには「る」を消してるし)

新しい内容と下の学年の復習を取り混ぜると、勉強に緩急がつくのがよいです。全部新しいことばかりだと疲れて混乱してしまうので。






2012-05-16

割り算


計算は意地でも暗算でします。
でも「ふくろ」や「ページ」が書けない、、

2012-05-11

選の字


「選」の字が出てこなくて苦しんでいます・・・

子は
・「違う字がいろいろ出てきて邪魔をする」
・「あれかな?これかな?」と言い、書いてみては「違う」と言う
(アウトプットしたものを見ると違うということはわかるらしい)
・書き順はめちゃくちゃ、というより、頭に浮かんだ絵をスケッチしているように見える。
必死で考えているモードの時は、右から左、下から上、交差する点で曲がったりと、漢字的でない順番で書く


4年生になって、とりあえず毎日自宅学習1時間半は定着した。と思います。
私も講師能力全開で(笑)子に個別指導しています。