ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2012-12-19

家庭教師のこと



勉強のペースを作るには”外の風”を利用した方がいいと思い、
とはいえ集団指導は学校だけでもう十分だろうと考えて、
家庭教師をお願いすることにしました。
週1回1時間、漢字の書き取りを見てもらっています。

この家庭教師君は、おそらくディスレクシアです。

去年、ディスレクシアについて色々読んでいるとき、
 「これは××君のことだ!」
 と真っ先に思い出したのが、当時予備校で生徒だった彼のことでした。

彼は、小学生みたいな悪筆で(笑)、
漢字の間違いが多い(→これを「大い」と書いたり)のですが、
でも、文の核心をつかんだ、実にいい和訳をするのです。

英作文も、greatestを3行のうちに
greatests、graetest、greateste・・・・ などなど、
毎回違った綴り(しかも正解なし)という大技を披露。

でも、よく読んでみるとオリジナリティも説得力もあるし、
 「この子は外国人に自分の主張を難なく通じさせるだろう」
と思わせる、
「理想的なジャパニーズイングリッシュ」なのです。

字の稚拙さと、それにまったく釣り合わない、
本質をつかんだ内容とのギャップが印象的な生徒でした。
この「ギャップ」こそがディスレクシアの判断基準と、あちこちで読みます。


こう書いていくと、この家庭教師君は劣等生みたいですが…
彼は中学受験は失敗、高校は東大合格者3桁の超有名校。大学もいわゆる有名大学です。
ただし、大学受験ではセンターで失敗し、私大も某マーチレベルも含めて全落ちし、国立だけ合格しました。このあたりは、「客観式は苦手」というディスレクシアの特性そのままです。

スペック的には、彼はエリートに属するのですが、
ペーパーテストでの成功体験がほとんどないという理由からか
本人は謙虚すぎるというか、自己評価が高くありません。

ペーパーテストではかれない能力、特に対人能力がものすごく高い子です。
社交的とはまたちょっと違います。気がついたら相手の懐に入り込んでいる変幻自在な感じ。
当意即妙の受け答えをするし、メールの文章もむしろ名文に属します。

IQの非常に高いディスレクシア、いわゆる「隠れディスレクシア」の典型例だろうと思います。



そんな彼に週1回、漢字の書き取りを見てもらってるのですが・・・

二人とも漢字は大嫌いなので、熱血指導とは程遠い雰囲気です。

でも、どんなにできなくても決して怒らずからかわず、
書く漢字の4分の1くらいは書き順が間違っている先生を、
子はとても信頼し慕っています。


2012-12-06

学習障害の子は4.5%



文部科学省の調査によると、公立小中学校の児童のうち4.5%が「学習障害」とのこと。

以下、抜粋です:



小中学生の6.5%に発達障害の可能性 4割は支援受けず 

(日経新聞)

全国の公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち、人とコミュニケーションがうまく取れないなどの発達障害の可能性のある小中学生が6.5%に上ることが5日、文部科学省の調査で分かった。推計で約60万人に上り、40人学級で1クラスにつき2、3人の割合になる。しかし4割弱の児童生徒は特別な支援を受けておらず、専門家は「支援策を話し合う校内委員会などが十分に機能していない」と指摘している。

「書く」「聞く」「計算する」など特定の分野の学習に困難を示す学習障害(LD)の可能性があるのは4.5%




発達障害:小中生61万人 4割支援受けず 普通学級、平均2〜3人−−文科省調査・推計

(毎日新聞)
 「文章の要点を読み取れない」「簡単な計算ができない」などLDがあり、学習面で著しい困難がある小中学生は4・5%。「教室で離席する」などのADHDが3・1%。「周りの人が困惑することを配慮せず言う」などの高機能自閉症は1・1%。一部はこれらが重複していた。
 発達障害とみられる児童生徒を学年別に見ると、小学1年が最多で9・8%。成長に伴い障害が改善され、小学4年7・8%▽中学1年4・8%▽中学3年3・2%だった。
 また、38・6%は「個別指導」などの支援は受けておらず、学校内で支援が必要と判断された児童生徒(18・4%)でも6%が無支援だった。

 文科省は教員の増員を進めているが、公立小中学校の教員で発達障害の研修を受けたのは4分の3(04〜11年度の実数)。

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それにしても、「学習障害」という表現には、どうもなじめません。
「学習障害」というと、手の付けられないバカ(?!)みたいな印象がある気がしますが、
実のところ、当事者の多くの感覚としては
「字は苦手だけど、字によって邪魔されなければ世界を十分に理解できる」
ということだと思うのです。
現代社会が字で成り立っているので、字が苦手な人は不利な状況に置かれていますが、
こんなに文字偏重社会でなかったら、のびのび生きていた人達です。

学校での配慮はぜひとも必要だと思いますが、
形式だけの支援なら、ない方がいいです。
私の知るディスレクシアの人たちに、
「あなたは学習障害があるので、支援すべき存在ですよ」
というと、きっと憤慨すると思います。

学校での支援は、「学習障害」の子を囲い込んで疎外するようなものになってはいけません。

同じ教室で勉強しながら、
漢字の採点をちょっと甘めにするとか、時間制限を少しゆるくするとか、
そういう、先生のちょっとした配慮がまずはありがたいし、
実は4.5%の大半への配慮はそれで十分なんじゃないか・・・とも思います。





2012-12-03

iPadアプリ「ゆびドリル」を9ヶ月使ってみて

「ゆびドリル」用にiPadを買って9ヶ月目に入りました。

このアプリは、ディスレクシア用というわけではありませんが、

指を使って字を書くことが、子の場合は覚えやすさにつながっているようです。

何より、本人が「これを使うと覚えられる」と思っているのが大きいです。






なぞって書いているので、一覧の字はきれいです。
本人的にとっても達成感のある光景。



iPadで5回書いてから、学校のドリルを書くと、だいぶ覚えやすいようです。

















「競」よりも「牧」のような画数少なめの字のほうが覚えにくいようです。