斜めの姿勢は,きちんとした教育を受けている証拠なんですよ(笑)! |
アトランタで買ってきた,オートン・ギリンガム(=ディスレクシア用)の筆記体練習帳を使っています。
この効果は,どうやら相当に高いです(*^_^*)
↑この本の著者は,後から知りましたが,こちら★に登場するディスレクシア教育界のレジェンドのお方。ですので,この本も本当にディスレクシア・フレンドリーです。
・単純な形から複雑な形に(abc順ではなく),
・フォニックス読みできる単語だけを使用,
・余計なことをごちゃごちゃ書かないシンプルな紙面,
・単純明快な指示,
・・・など,ディスレクシアにとって取り組みやすい工夫が満載です。
サンプルページ→★
この本の前書きに,「ディスレクシアに筆記体を教える利点」がまとめてあるので,訳してみます:
1) 手で覚える:1つの単語をダンスのように,1つの連続した動作で書く。このため,運動としての筆記体での単語の記憶は,スペリングの習得とその記憶保持に役立つ。
2) 左右反転が減る:筆記体の小文字はすべて,ベースラインから始まり,連続した動作で書く。ブロック体のように,1ストロークごとに紙から鉛筆を離すことはしない。
3) 単語のスペースが適切に開く:ディスレクシアの生徒は,単語と単語の間のスペースがうまくとれないことが多いが,筆記体だとこの問題がなくなる。文字と文字をつなげて単語を作るため,単語の終わりと始まりを決めやすくなる。
4) 書くほうが脳に良い:手で書くことは,タイピングよりも多くの認知リソースが刺激される。「子供たちは手で書くことを初めて学んだとき,読むスピードが増す。そればかりか,アイデアを思いつく能力や情報を記憶に保持する能力も,手で書いた場合のほうが高くなる。言い換えると,書く内容だけでなく,どうやって書き留めるかも重要なのだ」(原文出典こちら→★)
↑えええ~まじ!!
ディスレクシア用の筆記体の本で,こういう言葉に出会うなんて・・・
このくだりを読んで衝撃を受けたのが,筆記体を教えようと思ったきっかけかもしれません。
日本の中学ではかなり前から,筆記体は教えていません。なので生徒は筆記体は書けないのはもちろん,筆記体を初めて見たときには「この字は読めない」と言います。
しかしながら,それでもめげずに筆記体を教えると,実に多くの利点が明らかになるようで・・・
現時点では,日本のディスレクシアの子に筆記体を教える利点は,以下だと考えます:
1)リズムとして書字を覚えられる
筆記体はとてもリズミカル。体で拍子をとるように,または音楽の指揮をするように,書いている子もいます。
目や手以上に,ビートを使って?!書くもののようです。
そのことはおそらく,読字能力の根本的なところに良い影響を与えそうです。なにしろ英語はリズムの言語ですから…
2)必ずベースラインから始まるので,混乱が少ない
上にもあるように,すべての字が同じベースポイントから始まるので,混乱が減ります。
現に,「筆記体のほうが書きやすい」と言い始める子も出てきました。
3)左右反転が減る
一筆書きで,左から右に書いていくので,左右反転が起きにくくなります。
またbとd,pとqは筆記体だと形がかなり違います。仮にすべての字を筆記体で書かなくても,これらだけは筆記体風に書くことで,左右反転を防ぐことができます。
4)アルファベットの書き順を改めて知ることで,字形が整う
この効果が,意外と大きいです。
昨日も,dの筆記体を書いたあと,dが入った単語を(ブロック体で)何気なく書いてもらうと,書き順が間違っている(=棒から先に書いている)子がほとんどでした。
「dは筆記体でやったみたいに,〇の部分から書いたほうが,形が整うよ」と言うと,みんなびっくりしていました。今後このように,筆記体の知識を普段の書字に生かす場面が出てきそうです。
#こういうやりとりがあると,ディスレクシアの子も,実はきれいな字を書きたいと切望していることに気づきます。
#その気持ちに応えるには,書き順も明示的に教える必要があるようです。
5)数学の記号(ℓなど)が読めるようになる
生徒のほうから指摘されたポイント。
数学や物理で出てくる記号が読めなかったらしいのですが,筆記体を習いはじめたことで読めるようになったり,類推が効くようになったらしいです。
6)純粋な書字の訓練は,精神統一になる
習字や写経の効果と同じです。お手本を見ながら純粋に字を書く練習をしていると,教室にとてもいい気が流れます。・・・たとえディスレクシアであっても。
7)指に書字用の筋肉がつく
筆記体の練習は,手が疲れるようです。でも,その疲れこそが必要だと感じます。
もじこ塾は中1から浪人生までいるので分かるのですが,
字を書かなさすぎると,18歳になるころには指の筋肉が衰え,ほっそりした力のない指になります。そうなると,書きたくても指が言うことを聞きません。
一方,字をたくさん書いてきた19歳ディスレクシアは,字が汚くてもバリバリ書いていけるだけの筋肉が指についています。
13歳だと,まだそこまで指の筋肉に差はありません。ということは,中学生の時点ではまだ書くことは諦めてはいけないようです。
もちろん,よほどの書字障害などの例外はあるでしょうが。
でも,書字がつらい=書くこと免除!とも,どうやら一概には言えないようで・・・
8)筆記体ができるとカッコいい。筆記体を知っていると自慢できる
これこそが,筆記体を教える最大の利点。
筆記体が読めたり書けたりするのは,とにかくカッコいい! これに尽きます。
「学校の先生が突然,黒板に筆記体を書き始めたんですけど,クラスのなかで自分だけ読めた」
「友だちに『これ書ける?』と聞いてみたけど,自分のほうが上手に書けた」
「英語で名前を書くときは筆記体で書きたい」
・・・という話が生徒の口から出てくるのを聞くと,ディスレクシアの子も切実に,「自分も英語ができる」と言いたいのを感じます。
それを可能にしてくれるのが,筆記体という分野です。
そんな筆記体の練習なども,冬期講習では行います。
残席少しあります。ご興味のある方はぜひどうぞ→★
右利き用と,左利き用(゚∀゚)があります! |
↑この本の著者は,後から知りましたが,こちら★に登場するディスレクシア教育界のレジェンドのお方。ですので,この本も本当にディスレクシア・フレンドリーです。
・単純な形から複雑な形に(abc順ではなく),
・フォニックス読みできる単語だけを使用,
・余計なことをごちゃごちゃ書かないシンプルな紙面,
・単純明快な指示,
・・・など,ディスレクシアにとって取り組みやすい工夫が満載です。
サンプルページ→★
この本の前書きに,「ディスレクシアに筆記体を教える利点」がまとめてあるので,訳してみます:
1) 手で覚える:1つの単語をダンスのように,1つの連続した動作で書く。このため,運動としての筆記体での単語の記憶は,スペリングの習得とその記憶保持に役立つ。
2) 左右反転が減る:筆記体の小文字はすべて,ベースラインから始まり,連続した動作で書く。ブロック体のように,1ストロークごとに紙から鉛筆を離すことはしない。
3) 単語のスペースが適切に開く:ディスレクシアの生徒は,単語と単語の間のスペースがうまくとれないことが多いが,筆記体だとこの問題がなくなる。文字と文字をつなげて単語を作るため,単語の終わりと始まりを決めやすくなる。
4) 書くほうが脳に良い:手で書くことは,タイピングよりも多くの認知リソースが刺激される。「子供たちは手で書くことを初めて学んだとき,読むスピードが増す。そればかりか,アイデアを思いつく能力や情報を記憶に保持する能力も,手で書いた場合のほうが高くなる。言い換えると,書く内容だけでなく,どうやって書き留めるかも重要なのだ」(原文出典こちら→★)
↑えええ~まじ!!
ディスレクシア用の筆記体の本で,こういう言葉に出会うなんて・・・
このくだりを読んで衝撃を受けたのが,筆記体を教えようと思ったきっかけかもしれません。
すべての字は,ベースラインから始まり,基本的には「スマイル」で終わる。 1つの単語は一筆書きする。 この本は,単純な字形から始まり,だんだん複雑なものに進んでいきます。 |
左利き用は,文字の傾き方が違います。 ほとんどの生徒は言われるまで,筆記体の文字が傾いていることに気づきません |
n,u,tとも,「来た道を帰る」のがポイント。
これが意外なほど難しく,かつ字形を整えるために重要
まるでネイティブのような字! |
上と同じ生徒の普段の字 |
しかしながら,それでもめげずに筆記体を教えると,実に多くの利点が明らかになるようで・・・
現時点では,日本のディスレクシアの子に筆記体を教える利点は,以下だと考えます:
1)リズムとして書字を覚えられる
筆記体はとてもリズミカル。体で拍子をとるように,または音楽の指揮をするように,書いている子もいます。
目や手以上に,ビートを使って?!書くもののようです。
そのことはおそらく,読字能力の根本的なところに良い影響を与えそうです。なにしろ英語はリズムの言語ですから…
2)必ずベースラインから始まるので,混乱が少ない
上にもあるように,すべての字が同じベースポイントから始まるので,混乱が減ります。
現に,「筆記体のほうが書きやすい」と言い始める子も出てきました。
3)左右反転が減る
一筆書きで,左から右に書いていくので,左右反転が起きにくくなります。
またbとd,pとqは筆記体だと形がかなり違います。仮にすべての字を筆記体で書かなくても,これらだけは筆記体風に書くことで,左右反転を防ぐことができます。
4)アルファベットの書き順を改めて知ることで,字形が整う
この効果が,意外と大きいです。
昨日も,dの筆記体を書いたあと,dが入った単語を(ブロック体で)何気なく書いてもらうと,書き順が間違っている(=棒から先に書いている)子がほとんどでした。
「dは筆記体でやったみたいに,〇の部分から書いたほうが,形が整うよ」と言うと,みんなびっくりしていました。今後このように,筆記体の知識を普段の書字に生かす場面が出てきそうです。
#こういうやりとりがあると,ディスレクシアの子も,実はきれいな字を書きたいと切望していることに気づきます。
#その気持ちに応えるには,書き順も明示的に教える必要があるようです。
5)数学の記号(ℓなど)が読めるようになる
生徒のほうから指摘されたポイント。
数学や物理で出てくる記号が読めなかったらしいのですが,筆記体を習いはじめたことで読めるようになったり,類推が効くようになったらしいです。
6)純粋な書字の訓練は,精神統一になる
習字や写経の効果と同じです。お手本を見ながら純粋に字を書く練習をしていると,教室にとてもいい気が流れます。・・・たとえディスレクシアであっても。
7)指に書字用の筋肉がつく
筆記体の練習は,手が疲れるようです。でも,その疲れこそが必要だと感じます。
もじこ塾は中1から浪人生までいるので分かるのですが,
字を書かなさすぎると,18歳になるころには指の筋肉が衰え,ほっそりした力のない指になります。そうなると,書きたくても指が言うことを聞きません。
一方,字をたくさん書いてきた19歳ディスレクシアは,字が汚くてもバリバリ書いていけるだけの筋肉が指についています。
13歳だと,まだそこまで指の筋肉に差はありません。ということは,中学生の時点ではまだ書くことは諦めてはいけないようです。
もちろん,よほどの書字障害などの例外はあるでしょうが。
でも,書字がつらい=書くこと免除!とも,どうやら一概には言えないようで・・・
8)筆記体ができるとカッコいい。筆記体を知っていると自慢できる
これこそが,筆記体を教える最大の利点。
筆記体が読めたり書けたりするのは,とにかくカッコいい! これに尽きます。
「学校の先生が突然,黒板に筆記体を書き始めたんですけど,クラスのなかで自分だけ読めた」
「友だちに『これ書ける?』と聞いてみたけど,自分のほうが上手に書けた」
「英語で名前を書くときは筆記体で書きたい」
・・・という話が生徒の口から出てくるのを聞くと,ディスレクシアの子も切実に,「自分も英語ができる」と言いたいのを感じます。
それを可能にしてくれるのが,筆記体という分野です。
そんな筆記体の練習なども,冬期講習では行います。
残席少しあります。ご興味のある方はぜひどうぞ→★