ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2012-03-31

グレーゾーン7日目


















・字がすぐに書けるモードと、字が思い出せないモードがあるように見えます。
字が書けるモードに入るにはどうしたらよいのか・・・

・グレーゾーンは、「どんぐりころころ」のあらすじを書くというもの。こういうのは苦手かと思っていたら、誤字がとても多いものの、意外とできました。

・キャッチボールは、勉強に入るための集中力を引き出し、教師と生徒の波長をあわせるための導入にとてもよい。同じ効果のあることを予備校の教壇でもできたら・・・



ボール

The Gift of Dyslexiaにある通り、2つを左右両側に投げたり、
両方を交互に受け取るように投げたりしています。








今日のメニュー
5分 キャッチボール
45分 計算、文章題、作図
45分 グレーゾーン3ページ、漢字書き取り

2012-03-30

毛糸で文字をつくる

久しぶりにローマ字の練習をしてみたら、eを思い出すのに苦労していました。
滋賀大の本に、粘土の代わりに「毛糸」があげられていたので、使ってみました。
ローマ字にしても、漢字にしても、最初のいくつかを記憶から思い出すのが特に苦労するようで、
鏡文字になりそうになったり(右から左に線を引き始めて、途中で鏡文字になりかけているのに気がついてリカバーする)、
右下から左上に向かって書いていったり、
この子の脳→手→字→目はどうなっているのだろう?と不思議になります・・・
◆今日のメニュー
5分 キャッチボール
45分 計算、作図
60分 グレーゾーン2ページ、ローマ字、漢字

2012-03-29

今日買った本

「ぼく、字が書けない だけどさぼってなんかいない」



「怠けてなんかない」を、より生の声でまとめた感じ。
純粋なディスレクシア(?)よりも、アスペルガーやADHDに伴う読み書き困難が多いかも。
日本では、学校の無理解と世間の同調圧力がまだまだ多いのかも、









「学習につまずく子供の見る力」





「学習につまずく子」の「見る力」です。

2012-03-27

「読み書き障害の新しい概念と滋賀大キッズカレッジの教育的指導」

「事」の字


同じ「事」の字が、ある時は書けて、次は書けなかったりします。

「グレーゾーン」3日目


150字の視写を8分ほどで行いました。

まだ日記指導には難しいラインか・・・

一番時間を食うのが、
「、」を見落として行の頭まで行って間違いに気づき、
(このページは各行一番上の文字が薄く印刷されています)
「どの字を抜かしたんだ~~」
と1文字ずつチェックすることです。


今日のメニュー

キャッチボール(勉強するモードに入るのに有効)5分

算数(かけ算×20、足し算×20、文章題×8、線なぞり)45分

国語(グレーゾーン3ページ、漢字1ページ)45分




計算は時間をはかってやったら、張り切りすぎて
その後集中力が切れてしまいました。

2012-03-26

「グレーゾーン」2日目











・視写は、カタカナや「っ」を間違えるが、比較的ストレスなくできている。

・自分で考えて書くとなると、とたんに手が止まり、誤字も増える。ふざけた内容しか思いつかないらしいです(苦笑)


今日のメニュー:

ボール投げ      5分

算数(計算+文章題)45分

国語(「グレーゾーン」3ページ、3年生の漢字[読み]復習10題) 45分


2012-03-25

Overcoming Dyslexia

Overcoming Dyslexia

理論と実践のバランスがとても取れています。
英語の教え方に特化しているところが難ですが、それでもアドバイスが具体的なのでヒントになるし、
何より、ディスレクシアの日本人に英語を教える際のヒントになるだろうと思います。


和訳もあります。






もう絶版のようです・・・

2012-03-24

「グレーゾーン」1日目


「グレーゾーンの子どもに対応した作文ワーク」初級編、1日目。

・一字抜けがあるまま書き続け、最後になって気づく

・「いそぎんちゃくは毒があるからつかまえられないはず」と言い、④は文がおかしいと言い張る

・「書くよりなぞる方が苦手」

30分で3ページ進みました。病み上がりなのでここで終了。

2012-03-19

今日買った本

「診察室でする治療・教育」














「ADHD/LD指導の基礎基本」














「横山浩之・大森修の医師と教師でつくる新しい学校」













特別支援教育のツボは、普通の教壇でも必要なことばかり。目からうろこが落ちまくってます。

2012-03-18

今日買った本











「ことばとこころの発達と障害」宇野彰









「グレーゾーンの子どもに対応した作文ワーク」初級



「私の個人的な経験では、視写が10分間で200字できるようになると、「日記指導」が可能となる。また、日記を毎日200字書けるようになると、作文が作文らしくなる。言葉を変えて言うと、いわゆる作文指導ができる。」
監修のことば 東北大学医学部小児科 横山浩之







「グレーゾーンの子どもに対応した作文ワーク」中級

理解の遅い子はダイヤの原石かもしれない

理解の遅い子はダイヤの原石かもしれない

いるいる!という感じ。
こういう子の一定割合がディスレクシアかもしれない。全員とは思いませんが・・・

2012-03-17

漢字テスト

1度混乱モードに入ると、知っている字でも書けなくなるようです。。


2012-03-15

2012-03-14

今日買った本





読み書きの苦手を克服する子どもたち~「学習障害」概念の再構築




















「LD児のためのひらがな・漢字支援」







「ギフテッド 天才の育て方」















「WISC-III アセスメント事例集」











「特異的発達障害 診断・治療のためのガイドライン」

粘土でローマ字


宿題でローマ字が出たので、復習してみました。

形の面では、nとu、aとd、hとnなどがごっちゃになるようです。

音と形の結びつきの面では、
eは「イー」なのにローマ字では「え」と読んで、
aは「エー」なのにローマ字では「あ」と読んで、
iは「アイ」なのにローマ字では「い」と読む・・・・というのが混乱を深めるようです。

名前だけ知ってるphonicsに基づき、アルファベットは名称ではなく、とりあえず音(読み方)を覚えさせることにしました。

粘土で作らせてみたら、aやeは最初のうちは上下左右に反転させてしまいます。
ぐるぐる回したり裏返したりしながら、正しい形に持って行きました。
この子は頭の中でどうやら、文字を上下裏表に回転させて考えているらしいですΣ( ̄Д ̄;)

作っては崩し、また同じものを作って・・・を繰り返すうちに、だんだん覚えていきました。



「言語の線形性」と言ったのはソシュールですが、これは音や語が並んでいるというだけでなく、
「字の書き始めから書き終わりまでの1本の線を書いていく向き」という意味もあるんだな・・・と思いました。

例えばeなら、左端の真ん中くらいの高さから始めて右に直線を書き、そこから上に向かって反時計回りのループを作る。頂上まで行ったらループを下向きに反転させ、書き始めにちょうど交差させて下まで行き、右向きにループの向きを変えて止める。

ディスレクシアの場合はこれを、実際に何度も手を動かして、体で覚えるしかないようです。


2012-03-11

トム・ルイス

Tom Lewis: Tom Lewis: 'If golf doesn't turn out to be my life, I'm going to struggle' より
(トム・ルイス「ゴルフが自分の人生にならなかったら、大変なことになる」)




 ... "I can't read certain words and I can't spell. So what? It doesn't mean anything to me. I've always wanted to play golf for a living, so school was never going to be a big part of my life.
"Yeah, I tried my best, but I didn't see the point of it. I didn't go to a school designed to cope with someone with dyslexia. There was nobody there to help me – but, to be honest, I didn't want help. I was just looking forward to leaving at 16. A lot of people talk about having a back-up, but to my mind if you are talking about a back-up your concentration is not fully on what you want. I've only got one goal. And if golf doesn't turn out to be my life I'm going to struggle."


「読めない単語があるし、字が書けない。『だから何?』って感じ。読み書きできないからといってどうってことない。ゴルフで生計を立てたいとずっと思っていたから、学校が人生の大きな部分を占めることはないと分かっていた。
そりゃ学校では頑張ったけど、勉強の意味が見いだせなかった。ディスレクシアへの対応が確立しているような学校ではなかったし、学校には支援してくれる人はいなかった----というか、正直に言うと、支援なんかいらなかった。とにかく早く16歳になって卒業したかった。多くの人が「支援が大事だ」と言うが、自分にとっては、「支援がほしい」と思うのは、自分が本当に求めているものに完全に意識が向いていない証拠。僕の目標はひとつしかない。ゴルフが自分の人生にならなかったら、大変なことになる」

トム・ルイス





















#「支援する」より「邪魔しない」ほうが大事なのかもしれません・・・・


2012-03-07

3年生の漢字の復習



3年生で習った漢字の復習テストが学校であるらしいので、家で毎日1時間、漢字の練習をしています。


  • 勉強を始める儀式      (「あと10分/5分/1分で始めるよ」)と予告し続ける)
  • 右上から順にノートを埋めなくてもいいことにしました。
  • シャーペン(0.9mm)だと、鉛筆より書きやすいようです。
  • 書き順はあまりうるさく言わない
  • 字が出てこないとき(「あとちょっと出てきそうで出てこない~」と子は言ってます)は、目の前に小さなホワイトボードを用意しておき、そこに教える側が1画ずつ書いていく
  • 一回で正しく書けなかった字は、尻文字×1、母の背中に書く×1、母の手に書く×1、紙に鉛筆で書く×1で確認
  • 最初に前日の復習、最後の10分でその日間違った漢字をもう一度確認して、終了
  • 復習でも間違いますが、決して責めない
1時間取り組むと、ノート2~3ページくらい進みます。




「天才たちは学校がきらいだった」

天才たちは学校がきらいだった


1994年出版、原著In the Mind's Eyeは1991年出版。 ディスレクシア(「失読症」)に関する、かなり早い時期の本のようです。
「失読症の人にとっては、易しいことが難しく、難しいことが易しい」「失読症の人は遅咲き」など、印象的なフレーズはいくつもありますが、なかでも1925年にオートンという人が行った失読と学習障害の定義がとても面白かったです。以下(ほぼ)引用↓
「オートンの観察」
  • 視力も視覚も正常だが、読む能力が低い 
  • どもり 
  • 両手利き 
  • 一族に左利きが多い 
  • 話せるようになるのが遅い 
  • 不器用(だが手先の器用さが高度に要求される分野で成功する) 
  • 読み方を学ぶ時には障害はないのに極めて綴り方が下手 
  • 失読症から体験する緊張や失敗から、感情面の問題が生じる 
  • 一族に同じ症状の人が何人もみられる

「より一般的に確認されている特性」
  • 朗読・音読が難しい 
  • 句読点の決まりを覚えられない 
  • 文字を書くことが極めて困難 
  • やることが極めて乱雑 
  • 時間感覚に乏しい、段取りができない 
  • 計算能力が低い。九九や「数学的な事実」が覚えられない 
  • 過度の白昼夢、もしくは極めて活発な想像力。 
  • 左右、方向感覚の混乱。 
  • 口頭で複雑な指示を実行できない。 
  • 振る舞いや外見の成熟が遅い。 
  • 外国語を学んだり、話したりするのは極めて難しい。 
  • 丸暗記がひどく下手。

「確度の低い兆候」
  • 周りに気を取られやすい、集中力がない。活動過多、運動過剰。  
  • 衝動的  
  • 固執する(次の行動に移ることができない)  
  • 無定見 
  • 短気 
  • 口数が多すぎる 
  • 程良い反応を示せない(例えば異常なほど大声で笑う) 
  • 母国語が流暢に話せない 
  • 社会的な未成熟

「その他の特性」
  • 大きな閉鎖空間で方向感覚を見失う 
  • 音が区別できない 
  • 主要なものと背景が区別できない 
  • 聴覚の遅れ(聞き取りと理解が遅れる) 
  • 手で触れることを避ける(触覚に障害があるか、感受性が高い) 
  • 視覚的、聴覚的な順序がよく分からない 
  • 比喩、抽象が分からない 
  • 短期、長期記憶に障害がある(名前や数字を要求されて記憶から呼び起こすのが困難) 
  • 要求された時に話したり、質問に答えたりすることができない

「肉体的・職業的特徴」 
  • 特に大きな頭 
  • 若白髪 
  • 近親者に数学者、芸術家、彫刻家、俳優、音楽家がいる 
  • 顕著な美貌

「学習障害に伴う、一般的にはプラスに働く特性」
  • 空間的、力学的才能。右脳的技能 
  • 組み立て玩具、模型、クラフトワークを好む 
  • デッサンが上手(しかし文字はうまく書けない) 
  • 「音楽的な耳」が特にいい 
  • 心の中でイメージを視覚化して、操作する能力が特に高い(高いデッサン能力と結びついている時もあるし、そうでない時もある。他の人々が視覚的な用語で考えないものでも視覚的な比喩で表す傾向もある)

"The Dyslexic Advantage"

The Dyslexic Advantage



ディスレクシアについて今分かっていることが、よくまとまっています。 現時点では邦訳なし。

これを読むと、日本で一番ノーベル文学賞に近いと言われるあの某作家も、構造主義言語学の祖も、あの有名建築家もディスレクシアかも・・・?!と思わされます。あくまで仮説ですが。


著者のサイト、Dyslexic Advantageは参考になる内容が盛りだくさんです。


追記
同書の大ざっぱな内容を以下にアップしました↓
「ディスレクシアであることの利点」

読み書きが苦手な子どもへの〈漢字〉支援ワーク

読み書きが苦手な子どもへの〈漢字〉支援ワーク 1~3年編




一般の漢字問題集とは少し違う切り口でつくられた問題集です。

・1ページあたりの問題数が少ないので、「ついで」に追加できる
・字が大きく、行が線で区切ってあり、余計なイラストや色がないので、集中して取り組みやすい
・書き取りにしてもいくつかの漢字の中から選ばせるなど、字が苦手でも取り組みやすい工夫がある
・何種類かの出題形式がある。不完全な漢字を見せて復元するというのは、他ではない形式かも


ディスレクシアの子にとって、達成感が得られるので、とてもありがたい問題集です。



読み書きが苦手な子どもへの〈つまずき〉支援ワーク



同じ問題集の、こちらはひらがな版。
うちの場合、ひらがな(「っ」「ょ」など)にも漢字と同じくらい苦手意識があるので、こちらも小4の今も役に立っています。
学年並みの漢字練習でくたくたになった後にこちらを1ページやって、達成感を得たりしています。