ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2013-12-25

AKBこじはるが「漢字わかんない」のはディスレクシアだからだと誰か教えてあげてほしい・・・

昨日のサンスポにこんな記事が。

こじはる、今年の活躍を漢字一文字で表すと?「漢字わかんない」
AKB48の小嶋陽菜(25)が24日、東京・福家書店新宿サブナード店でフォトブック「こじはる」(講談社、1200円)の発売イベントを行った。・・・「ハート・エレキ」で初センターを務めるなど活躍した今年を「漢字一文字で表すと?」と問われ、「漢字わかんない。ゆるいって漢字あります?」ときょとん。報道陣に「緩い」と教わり、「じゃあ、それで」と笑いを誘った。



これはもしやディスレクシアでは?と思って調べたら、動画が出てきました。

http://www.youtube.com/watch?v=mUwOqym_4P8
http://www.youtube.com/watch?v=Cg8lOZXjq6k

岡村隆史に集中砲火的にいじられてますが(笑)
これはバカなんじゃなくて、ディスレクシアでしょう!
(そしてまた天真爛漫なボケっぷりで
その場の話題を全部持ってっちゃってます、
このへんもいかにもディスレクシア的)

この字を見て、私はこじはるディスレクシア説を確信しました。
「帯」はうちの子も苦手な字です。
(聞くと「一・山・ワ・巾でしょ」と言ってくれましたv)


「tenまで書いたら一つ足りなかったから、一番自信のあるfiveをもう一回書いておいた」
と答え、場内に唖然とされてれましたが、、、
うちの子も数字のひとつ抜かし、けっこうやります。
しかも抜けるのは7か8あたりと決まってます。

女子のディスレクシアはこのように、字が乱雑にならない場合が多い気がします。
おそらく、「字がきれいでないと恥ずかしい」というプレッシャーが
男子より大きいせいでしょう。
あまりに斬新な和訳に場内は騒然としてましたが(笑)
ディスレクシア的には、Hamletをhelmetと読み違えているのもいかにも。
もちろんディスレクシアはいつだって斬新です。


このように、たまに全問正解しているあたりからも
上の問題を真剣に解答していることが分かります。
ディスレクシアはいつだって真剣なのです。


こんな記事も出てきました。

http://www.cinematoday.jp/page/N0045011
 また、単独でナレーションを務めることになった小嶋は、「わたしはMCをやらせていただいている番組もあるのですが、最初は進行を任されていましたが、漢字が読めなかったり進行を忘れたりするので、どんどんセリフが減りました」と悲しい事実を明かす。「グループの中でも進行したり、大切な言葉を言う役はあんまり回ってこないので、トークの面では気を楽にして仕事しています」とそんな中でも楽しみながら仕事をしていると笑顔で語った。

映画配給会社ギャガは小嶋の起用について、「小嶋さんは自ら未来を切り開く日本をリードするAKB48の中心メンバーとして活躍されている一方で、今日本で“プリンセス”といったらこの人しかいない、と思える美しく、凛(りん)としながらも柔らかな雰囲気を持たれています」とコメントしている。日本のプリンセスはきっと本作を盛り上げてくれることだろう。



今まではAKBのメンバーの区別は全然ついてませんでしたが、
これからは、こじはる推しで行きますよ(笑)!

2013-12-22

ディスレクシア英語教育の覚え書き


大阪で行われたセミナーに、日帰りで行ってきました。
師と仰ぐお方についにお目にかかることができました!
師から教わり、また考えたことを、覚え書きとして書いておきます。




■ディスレクシアに特化した「特別支援」を
ディスレクシアは特別支援教育の範疇に入るようだが、特別支援教育といっても幅広い。
ディスレクシア教育と、自閉症・ADHD・知的障害への教育をまとめて語るのは限界がある。

もちろん後者も大変だし、学ぶべきことも多い。
でも純粋なディスレクシアの場合、「知的な遅れはなく、問題行動も基本的にはなく、真面目に取り組んでいる、でもとにかく字だけが苦手」なため、教員による対策が後回しになりがち。

読み書き困難への対処に特化した教え方を、細かく具体的に情報共有していく必要がある。




■アセスメントの限界。
ディスレクシアの子の多くは学年が上がるにつれて、日本語の読み戦略(内容を推測するなど)を身につけていることが多く、読解力検査をしてもひっかからないことも多い。
1回の読解力アセスメントでディスレクシアかどうか判断をするのは、限界がある。

それよりも、教師や親が一定期間※、その子の読み書きする様子に接するなかで「この子はちょっとおかしいかも?」と気づく……このほうが確かな指標になる。

特に、児童英語の先生は、ディスレクシアに気づきやすい立場にある(1人の子を学校の教師よりも長く見ることが多いし、英語のほうが日本語よりディスレクシアが表れやすいため)。

※予備校なら、5日間の季節講習で毎日答案を見れば、かなりわかります。




ディスレクシア小学英語教育は「文字と音の対応」を徹底させる
ディスレクシアの子は文字と音の対応(aという字を/a/と読むこと)を覚えるのに、普通の子の何倍も時間がかかる。
普通の子ならあっという間に覚えてしまうアルファベットの発音の仕方が、ディスレクシアだと英語の入口にして最大の難関になる。
ここでつまづき、英語が永遠に読めるようにならず、トラウマを抱えるディスレクシアの子は多い。

ディスレクシアの子には小学校4~5年になったら、そろそろ英語の文字と音の対応を教えていくべき。
中学ではこの部分は一瞬で通過してしまうため、先取りしておかないと、あっという間に落ちこぼれてしまう。

また、小学校に英語が導入された暁には、少なくともディスレクシアの子には文字と音の対応を徹底させていくべきである。

ディスレクシアの子は対人能力は高いため、おそらく英会話には不自由しない。




■具体的にはどうするか?
文字と音の対応を教えるには、やはりフォニックスが一番であろう。
(ジョリーフォニックスはとりあえずうまく行っています。親子でもできます。他のフォニックスも可だろうと思いますが、シンセティック・フォニックスである必要はあると思います。)

塾などにフォニックス指導をお願いする場合は、音と字の対応がつらいのだと伝えるといいかもしれない。

あくまで「音→文字→意味(単語)」の順に進むべき。
フォニックスではない「一般的な」英語教室だと、原則として「単語→意味→音」の順に進むので、ディスレクシアには無理。




■子供の「将来の姿」を想像する
その子が自立した将来の姿を想像し、そこから逆算して今すべきことを考える。
「将来の姿」を想像できると、子供の見え方、ひいては指導の仕方も、根底から変わってくる。

表面化している「できなさ」だけしか見ない場合、ミスマッチ(知的レベルよりも幼稚な内容の教材をあてがうなど)を起こす。
目前に迫った試験対策だけしか考えない場合、ディスレクシアの子は読めるようにならないし、かえって混乱を深めることにもなりかねない(カタカナで単語の読み方を書いたプリントを配るなど)。




■何のために英語を勉強するのか?
「サバイバルのため、コミュニケーションのため」→その通り。でもディスレクシアに関しては、この点について特に対策は必要ない。サバイバル力、コミュニケーション力は非ディスレクシアよりも高いのだから。

「ツールを使えばよい」→これもその通り。読み上げソフト、音声認識、ワープロの使用などはディスレクシアにとっては福音。
でも日本で生きていくのなら、こうしたツールが入試で使えなければ、子供にとっては手放しで喜べるものではない。

日本で暮らしていく以上、英語は入試のために必要という側面がどうしても出てくる。
そこを無視することは、ディスレクシアの子の人生の選択の幅を狭めることになる。

これは漢字も同じ。
漢字が読めないと資格試験も通れない。
ディスレクシア指導においては得意を伸ばすことも非常に大切だが、ディスレクシアの子の人生の選択の幅を保証するためにも、少なくとも親や教師はディスレクシア児が漢字を読めるようになることを最初から投げてはいけない。
いくら漢字が「なんとなく意味がわかる」ものだといっても、それでも漢字を正確に読めるようになる努力を、親や教師が放棄してはならない。




■ディスレクシア用のフォローをまったく受けないまま、大学受験まで来てしまった子は、どうすべきか?
1時間かけて1~2パラグラフしか読めないような子は、フォニックスまで戻ってもいいかもしれない。小学生よりもはるかに短期間で終わるはず。
sight words(フォニックスのルールでは読めない「例外」の読み方をする単語。実は英語の最頻出語の多くがこれ)を教えるのもよいかもしれない。

単語は、ディスレクシアだと暗記は苦手だが物語を覚えることは比較的得意なので、文脈のなかで覚える。音が先→文字が後が鉄則。

構文はきちんと理解できることが多い(理屈が分かれば記憶への定着は良いため)。文字と並行して構文を教えるといいかも?

定規をあてて読む、カラーシートをかけるだけで、意外と効果がある場合も。




■電子辞書の効用
ディスレクシアの場合、電子辞書を早めに導入すべき。
・ディスレクシアだと、アルファベットの順番を覚えるのが大変なので、紙の辞書を引くのに苦労する。
・発音を読み上げてくれる機能が、「音→文字」の順での単語学習に役立つ。
・文字を大きくする機能も、ディスレクシアにやさしい。

(でも、電子辞書だとスペリングをなかなか覚えられないというマイナス点が。
また難関大学受験レベルで和訳が必要な場合、電子辞書だとどうしても日本語表現力が失速する。
どうしたものか。。。)




■ジョリーフォニックス、ひととおり終わったら次は何をすべきか?
tricky words(sight words)に行くと同時に、付属の易しい本を読み始める。ディスレクシアは物語が好きだから。
その場合も、まず音から入る。
本にCDが付属している場合、それを使ったシャドウイングは効果がある。

2013-12-18

「先生の話は分かるけど、板書になった瞬間に分からなくなる」

書き取りのように、漢字を思い出して書くことだけに集中できるのなら、
準備を重ねれば、ぎりぎりなんとかなります。

しかし、板書というのは、
・黒板とノートとの視線の往復
・黒板の字を読み、短期記憶に入れて、ノートに吐き出す
・整理しながら書く

・・・と、さまざまな要素がかかわってきます。
これは、ディスレクシア的には、あまりにも酷なことです。











































10月くらいに、例によって泣きながら
(子は昔の私に似て(笑)、自己主張しようとすると涙が出てきます)

「黒板の字を写してると、このへんが(と胸を指して
ムズムズして、つらいんだよ」
↑確認したら両耳のあたりがムズムズするそうです
「自分で書いた字も読めないし。
友達にも『こんな字で読めるの?』って言われるし」

と告白しました。

夜中、眠くなるまで翻訳仕事をしていると、
胸のあたりがもやもやして座ってられなくなります。
それと同じかもしれません。
仕事なら、もう今日はこれ以上は無理と諦めるところです。

「ムズムズしてつらいんだったら、
黒板の字をわざわざ写さなくってもいいんじゃない?
じっと見て覚えるとか、先生の話を聞いて覚えるようにしてみたら?」

と言ってみました。



すると11月に入って、

「先生の話はわかるけど、
先生が黒板に書いた瞬間から、わからなくなるんだよ(泣)」

と言うのです。

声が文字になった瞬間に分からなくなる・・・
なんてディスレクシア的なのでしょう!



そこで、担任の先生に短い手紙を書きました。
※今年の担任は、最初はあまり分かっていませんでしたが、8月に校長を交えて面談する流れになり、「病院も行かない、カミングアウトもしたくないじゃ、こちらもできることができないですよ。診断書持って来て下さいよ。そこに書かれている通りに指導しますから」という校長の無理解に切れた私が「医師は診断はできますが、小学校の指導内容までは分からないと聞いています、やはり子供に合わせた日々の学習指導が一番よくお分かりなのは現場の先生ではないのでしょうか」と校長に啖呵を切った、その一部始終を黙って聞いていたのですが、その後理解に努めようとしてくれています。
ありがとう先生。

・・・話を戻しますと
「いつもありがとうございます。××は、先生の話は分かるけど、板書になった瞬間から分からなくなると申しています。そこで2日間だけノートを取らないように言いました。ご指導をどうかよろしくお願いいたします」
と書いた手紙を持たせました。

子は自分からも先生に「次の社会の時間はノートをとらないでみる」と言ったそうです。



1~2週間後、「どうしてる?」と子供に聞いてみたところ、

「一応ノートを書くようにしてる。周りの友達にいろいろ言われるから。
でも、ムズムズしてきたら、書かないようにしてる。
今日も、このへんで(と、上のノートの真ん中へんを指さして)
ムズムズしてきたから、休んでたの。
そうしたら、先生がぼくにだけ
『無理して書かなくてもいいよ』と言ったの。
ぼくは心の底からうれしかったよ・・・

彼にとって板書は、記憶の定着には全く役立っていない、
それどころか、学習理解を妨げているわけですが、
それでも、友達の目があるから書く、
でも先生に「無理しなくていい」と言われれば嬉しい・・・

なんと複雑な心理なのでしょう。



☆  ☆  ☆


個人的には、いわゆる「きれいな板書」は明治~昭和の風習だと思ってます。
もはや予備校では、昭和時代に標準的だった、
「教師がきれいに黒板に書いて、それを生徒がノートに書き写す」
というタイプの板書は、生徒はついてきませんし、何より時間の無駄です。

コピーがある時代、きれいな板書はプリントを配れば済む話ですし、
板書は、図を書くプロセスが理解に役立つような場面に限定して使うべきで
(英語の構文解釈のプロセスとか、数学の図を考えながら書いていくプロセスとか)

どうせ手を動かすなら、教師の書いたことを写すのではなく、
自分で考えて答案を書くなど、
せっかくの限られた授業時間、他にすべきことがあるはずです。

でも、小学校では、「きれいな板書」を写させる方式がいまだに生き残っているようで・・・

2013-12-11

道村式「漢字カード」はディスレクシア児の漢字学習に絶大な効果があると思います!!

2013-10-01 漢字カードの進捗      の続きです。
9月に道村静江先生の
『口で言えれば漢字は書ける!』を読み、
「この『漢字カード』は、盲学校の子供だけでなく、
ディスレクシアにもいけるのでは?!」と思い、さっそく試して3ヵ月。

途中から、私が翻訳者生活史上最大の奴隷的忙しさを迎え(現在も継続中)
なかなか進捗を書けずにいましたが、
今日は仕事を投げ打って書きましょう!!

道村式(←勝手に名付けてますが)漢字カードは、
ディスレクシアに絶大な効果があると!!


詳しい取り組み方は前の書き込みを読んで頂くとして・・・


この漢字カードは、ディスレクシア教育において効果的とされている
「多感覚式」(multisensory)と呼ばれるもの。
口で漢字の成り立ちを言うことで、漢字を覚えるというものです。
字を実際に書くのは最後、という考え方です。
これなら、字が苦手なディスレクシアでも覚えられるのです。

本来は2~3年から取り組むのが効果的とのことですが、
5年生から始めても問題ありません。

さすがにディスレクシアですので、
一発でばっちり定着☆というわけにはいきません。
おそらく、普通の子よりも何倍かの反復は必要です。4~5回とか…。

でも、定着率は単なる書き取りよりも、圧倒的に良いです。



何より驚いたのは・・・
子供が自主的に、道村式漢字カードを使って、
漢字を自習するようになったのです!!

ディスレクシアだと分かってから、
いえ、字が汚い怠け者だと誤解していた頃から、
漢字学習は子供一人では無理だと思っていました。
私が忙しいときは一人でさせていましたが、
そうすると間違いもいっぱいですし、定着率も低く、
要するに気休めでした。

それが、道村式漢字カードを始めて1ヵ月もしないうちに、

帰宅するなり「おれ漢字やるわ」と言って漢字カードに取り組んだり、

「漢字テストが近いから」と言って自分から漢字カードに取り組んだり、
するようになったのです。

これは本当に本当に、本当~~に驚きでした!!

私の中では、もうこれだけで見返りは十分(T T)
まさか漢字を自分から勉強する日が来るとは思ってませんでした。

そして今日、1週間ほど前の漢字テストが返ってきました。
(なぜこの時期に、10月までのまとめなのかはさておき。)




「う」を「く」と書き間違えたのが唯一のミス。これには本人も苦笑
いつまでたっても、平仮名が苦手です。


「券」とか、ちょっとおまけしてもらってますね・・・


ちょっと採点が甘いです。

でも、この点数が彼にどれほど多くの自信を与えていることか(T T)

なにしろ、2年前の同じ時期↓には半分もできなかったのですから・・・







漢字カードはこちら(点字学習を支援する会)で買えます。
一般の書店にはありません。

道村先生も、ディスレクシアの子に
このカードを使ってほしいと切に願っていらっしゃいますし、
私も、まだ使用実績は3ヵ月ですが、
お答えできることは何でも喜んでお答えします!


2年前のうちの子のような字を書いている一人でも多くの子に、
ぜひ道村式漢字カードを使ってほしいです!!
漢字テストで書ければ、学校生活でポジティブなサイクルに入れます!