いろんなお返事が遅れておりまして申し訳ありません。
年の瀬、みなさまいかがお過ごしですか。
子は2学期の成績もさんざんでした。特にノート提出が酷評されています。
どうやら、学校にディスレクシアのことを訴えるべき時が来たようです。
台本作りに時間をとられそうな冬休みです。
☆ ☆ ☆
10月に受験した漢検5級(小6相当)の結果が返ってきました。
家庭教師君とゆるく対策してきましたが、力及ばずでした・・・
「合格まであと38点です」 |
大問別正解率はこんな感じ:
「読み」だけは満点なのですが、「書き」が… |
やはり苦手は「書き取り」と、
「1つの漢字に複数の読み方がある」ことを問う問題(音と訓)
「同じ読み方をする複数の漢字」(同じ読みの漢字)です。
こうした問題が苦手なのは、英語での苦労の仕方を考えると想定範囲内です。
英語でも、同じ綴りに複数の読み方がある点には、激しく混乱しています。
語彙力を問う問題(「四字熟語」「対義語・類義語」)の正答率も低いです。
本人は「自分は語彙力がある」と言っていますが( ̄0 ̄。
これは、文脈のない状態で語彙だけを取り出されても答えられないのと、
読書をしないせいで、抽象語の語彙力が年齢並みより少し低いのでしょう。
~ ~ ~
小学校時代から、進歩(?)した部分もあります。
中1の漢字約100個を、4回×2ずつ書くという冬休みの宿題:
時間があるときは、横で道村式漢字カードの方法で部品を言ってやるのですが、
たいていは、一人で手本を見て書いています(→進歩!)
そんなことも、小学校の頃はできませんでした…。
たくさん書けば疲れるのも相変わらずですが、
小学校の頃より持久力がつきました。これも進歩でしょう。
何より、「どのみち覚えられないけど、宿題だから割り切って書く」
という妥協が、できるようになりました(苦笑)
小3の頃の字。「反対」がいつのまにか「反村」になる |
小学校のディスレクシア漢字学習について、入ってきた情報を書いておきます。
◆漢字九九→★
当ブログ一押しの道村式漢字カードでは(でも)覚えられない子がいると
かねてから情報が寄せられていました。
どうやら、ストーリーを使うと記憶しやすい子というのがいて
そのような子たちには、道村式では対処しきれないようです
(道村先生ご本人は、ストーリーのストックを大量に持っていて、
それを道村式カードに口頭で加えていくようなのですが)
漢字一つひとつ成り立ちをストーリー仕立てにした教材としては
「漢字九九」というものがあるようです。
アマゾンでは旧版がユーズドで売られており、
現在は「特別支援の漢字教材」という名前で学研のサイトで販売しているようです。
漢字を覚えるのにストーリーが必要というお子さんには、効果があるとのこと。
1~6年までそろっています。
お値段がちょっと張りますが・・・
◆「読み書きが苦手な子どもへの〈漢字〉支援ワーク」
のiPad用アプリが出たようです→★
小1~3のディスレクシアには、きっと役に立ちます |
☆ ☆ ☆
最近、日本ディスレクシア協会の研究会に出ています
(当ブログの左下にリンクがあります。漢字九九は、この研究会で聞きました)
そこで、通級指導の先生による、心打たれる事例報告を聞きました。
ディスレクシアの男子小学生に、多感覚式で漢字を入れるということで、
竹ひごで漢字を作ったり(しなり具合と折れ具合がちょうど良いとのこと)、
料理好きなので、特に覚えられない漢字はクッキーにして焼いたとのこと。
ものすごく時間も手間もかかりますが、定着率も意欲も上がったそうです。
いい話(T T)~。とはいえ、これは
「ディスレクシアは漢字をクッキーにすると良い」という話ではない
と思ってます。
この発表を聞いているだけでも、この先生からは
「それがだめならこれはどうだ?」という〈引き出しを多くする努力〉、
「一緒にこの大変な山を登っていこう」という〈寄り添おうとする努力〉が
ひしひしと感じられました。
力のある教師が、歩けない生徒のところまで下りて、
あらゆる装備と励ましを使って、一緒に一歩ずつ山を登って行くような。
こういう姿勢を「エンパシー」と言うのでしょう。
クッキーの話は、エンパシーのあるディスレクシア指導の事例だと思います。
この子どもは大きくなったら料理人になりたいそうなのですが、
5年もしたら、クッキーで作った漢字の多くを忘れてしまうかもしれない。
料理人になる頃には、「焼型」も「衛生」も「冷蔵庫」も書けなくなっているかもしれません。
でもきっと、「小学校の頃、自分のためにここまでしてくれた先生がいた」
という記憶が彼の中にずっと残って、
彼の料理修業の道を支えるような気がします。
こういう記憶は、成長期の人にとって、とても大事なものだと思います。
そういう記憶と比べたら、「冷蔵庫」という字を正確に書くなんて小さなこと…
という姿勢が、書き取りを課す教師の側には欲しいものです。
一方、この子どもに対しては、
「漢字はディスレクシアにとって終わりがない山道だけど、
その山道があったからエンパシーのある大人に出会えて、ほんとによかったね」
などと、逆説的なことを考えたりしました。
エンパシーのある教師。これが私の2016年のテーマのようです。