ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2019-12-20

「フォニックスにはどのような効果がありましたか?」「学校の英語の授業に言いたいこと」

ワイデル先生の講演の場に,もじこ塾もポスターを貼らせていただきました。

生徒に上の2つの質問をして,その答えをポストイットに書いてもらい、一覧にしました。
なかなか読みごたえのあるものになったと思います。
(答えもですが,文字が実に味わい深いです(笑))





掲示した回答に,もじこ塾の全生徒さらには大学生の助手たちの回答をプラスした「完全版」を,以下にご紹介します。
ディスレクシアの生徒の訴えを,ぜひ聞いてください!



フォニックスにはどのような効果がありましたか?

◆初見の単語が読めるようになった
初見の英単語もフォニックスでだいたい分かる。また「読み方が分かっていてもつづりが分からん!」というのもあてはめれば(フォニックスで)けっこううまくいく。(多数)
初めてみる単語への糸口になっており実際に使うことによって解読に成功したような単語もあるのでかなり良いと思った。  
・フォニックスを学んで,英単語の読み方の法則を学べた。法則を使って読めるようになった数学で言う数式を学んだ感じだった。
英語の看板を読めるようになった。
フォニックスを知る前はローマ字的な子音字と母音字をセットにしないと読めなかったのが,一文字ずつ単語の中を見て口に出してみれるようになった(♯一文字ずつ音にする…これぞデコーディングです)  
なんでまわりの人が初めてみる単語を読めるのかがわかった
 


◆単語を覚えられるようになった 
・英語の読みがわかるようになってから,音で英単語を覚えられるようになりしだいにスペルもなんとなく覚えられるようになってきた
単語を覚えるのが早くなった。覚えられるようになった。新しくでた単語が初見で読めるようになった。単語テストで0点をとらなくなった。フォニックスありがとう。 
・以前より単語が覚えられるようになったり,言えるようになったり,読めるようになった。 
読めるようになっても、今度は「単語がなかなか覚えられない」という難敵が、ディスレクシアの前に立ちはだかります。

◆文が読めるようになった
・フォニックスを勉強してテストの英文が読みやすくなった。フォニックスをやる前は,ぜんぜん文が読めなかった。  
・フォニックスを勉強したことで単語や文章が読みやすくなりました。→意味もなく何回も単語を書いて覚えるだけではなくフォニックスを取り入れて練習することによって理解が深まりました。


◆マジックeの効果
・マジックeや,くわしいフォニックスなどを知ったことで,初めて見る単語でも「読めるかもしれない」という希望が持てました。  
・フォニックスをしてると,確実に書ける・読める単語は増えた。マジックeもあわせて知ることで幅が広がった。文を読むとき,フォニックスをやる前よりは,すらすら読めるようになった。明確ではないけれど,mとnの違いなどがわかりやすくなった。 
・マジックeについて知ったことで,初見の単語の発音をパズル的に推測することができるようになった。知らなかった頃は単語帳を一読するだけでも大変だった。

◆リスニング力が向上した
・フォニックスを行ったことで一番大きな変化は,リスニングが聞こえるようになった事だと思います。書き間違いが少なくなったことも,フォニックスをやったことの大きな成果だと思います。
・フォニックスを勉強したことで,英語がカタカナに聞こえて違う単語と間違えることが,少なくなりました。  

◆発音が良くなった
・単語が読めたり,英語の長文の日本語訳ができるようになった。学校の授業についていけるようになった。普段の英語の発音が前よりよくなった。  

◆書けるようになった
・一からわからなかった英語が読めるようになり,なれていくうちに書きも習得できるようになりましたそして学校ではわかりにくいところをやさしく教えてくれました。
・フォニックスを学ぶことによって1つの字と音の対応(発音)を完全に理解することができ,単語を簡単に覚えられるようになりスペルミスもなくなった。よって英語を始める時はフォニックスを完全に会得した後に単語の音読をする方が,永遠に単語を羅列するより遥かに優れているとおもう   

◆その他
ローマ字打ちが速くなった。

◆精神的な効果
・フォニックスは効果しかない。フォニックスなしではぼくは生きていなかった。  
英語に慣れたことが一番大きいです。また,読むつらさが前より和らぎました。これからも続けていきたいと思います。
・フォニックスを習うまでの学校における英語学習は地図の読み方を習わずに知らない大陸まで行ってこい,と言われているようなものでしたが,フォニックスを知ってからは,きちんて言語の学習ができています。
・フォニックスをやる前は,英語の単語があまり読めなく,読もうともしませんでしたが,フォニックスをやってから,読みやすくもなり,書きやすくもなりました。
 ・英語の単語や文が読みやすくなりました。あと,今までより英語がキライじゃなくなりました。
・英語を習い始めた頃からフォニックスを使っているので使わなかったらどうなるのかあまり分からない

◆課題
・フォニックスのお陰で初見の単語を読むときの助けにはなっているが,リスニング力の弱さの根本的な解決はフォニックスをもってしてもまだできていない
・フォニックスをやると単語を読めるようになるが,アクセントや文全体のリズムなど英語を読めるようになるまでには問題が多い私は今でも音節やアクセントの位置が良く分からず苦労している。フォニックスと一緒にアクセントや音節も明示的に教えてほしい。
フォニックスでは単語がおぼえられないんだよ理解してくれ単語を500回くらい書かされたけど1コも覚えてない(笑)ちなみにプリントをその後なくしたから1000回書いたし)・ローマ字読みという中1レベルのことができるようになった



学校の英語の授業に言いたいことは?

単語を何回も書かせるのをやめてほしい。時間の無駄!(多数)
・単語帳を渡されても読み方がわからない。  
・単語テストや,文章をはやく読ませるのをやめてほしい
・単語テストの直しで20回ずつ書かされた。
♯読めない単語は謎の暗号にすぎません。それを覚えるためと称して何度も書かされても、覚えることはとても難しいものです。  

字と音の関連を明示的に教えてほしい
・何故漢字は読み方を教えるのに英語は「自分で発音記号調べてね」なのでしょうか?何故読めないことがいると知っていながら授業で当てるのでしょう?トラウマ作りたいのでしょうか?何で「英語わからない」と知っていながら英会話の授業で先生は英語しか喋らないのでしょう?随分と浅い見識をお持ちのようで。
最初,英語はただの記号なので(地図記号やアラビア文字と同じ感じ)音を教えてくれないと読めないということをわかってほしい。  
ひらがなでさえ練習したのに,なんで英語は練習しないで大丈夫と思ったんですか? 
♯↑生徒たちが「これわかる」と一番言ったコメントです。同じことを「フォニックス」という言葉を使って訴えた生徒たちもいました。それがこちら↓

◆文字と音の対応(フォニックス)を教えてほしい
・フォニックスをやりはじめてから単語のつづりがわからなくなることはなくなりました。反復練習にはまともに意味はありません!字を書くことじたいがにがてなぼくにとってはストレスでしかありません。
・フォニックスを早いうちにやってくれたら,すばらしいと思う。学校の授業は頭に入ってこないから,家で母と1日20分やってカバーしてます。学校の授業(60分)<母(20分)なぜなのか?… 
・先生たちはもっとフォニックスを利用した教え方をしてほしく,単語のテストでもプリントをくばってそのままではなくアフターサービスもしっかりしてほしい。 

◆文法を教えてほしい
・文法を教えてほしい。教科書から文法以外の内容ばかりやっても,何も学べないし,つまらない。
・英語の中で文や単語単位でのパズルをする前提知識になる文法やフォニックスを教えてもらえないと,なんとなくにしかできなくて,自分のしていることすら説明できなくなってしまう。  

LDへの理解について
・自分たちの努力が試験や作文等の,紙の上でしか評価されないのがとても大変です。先生に理解があるだけで,自分たちも話しやすいです。
・ディスレクシアであることを先生から積極的に生徒に指摘してほしいとは思っていないですが,ディスレクシアだと分かったら,解決策がほしくなります。
・まず英語を学ぶことはどんなメリットがあるのかを言わず,いきなり学び始めることでモチベーションが保てない。先生の失敗談とかを話してくれるといいい。またLDを知ろうとしないのか,知っても理解できないのか,ただの無能なのか,生徒はびんかんに感じることを理解してほしい。
なぜに英語を教えようと思ったのか,なんで今教えているのか?  

◆言語だけを教えるのではなく
・日本語で授業してほしいです。
・英語を教える時は,外国の文化といっしょに教えてほしいです。よく知らない国の言葉は憶える気になりません。しかし,その国について深く知れば,学ぶ気になれると思います。

教師の発音を良くしてほしい
・教師は発音が悪い人ばっかり。英会話で急にネイティブの先生に来られても困る。
英会話のネイティブの先生の字はきたなすぎて基本読めない
・英語の先生の発音は日本人のための,日本人が聞き取りやすい英語になってしまっていて,ネイティブには通じにくい。
♯ディスレクシアは聞いた通りに書く傾向があるので、カタカナ発音で教えられるとそのまま書いてしまいます。

授業の進度が速い
生徒が理解していないのに勝手に授業を進めないでほしいほんとにイラつきます。   
・できる人に合わせているため,分からない人がいるのに少人数制にしている意味が分からない。
・かってにすすめないでほしい 

単語について
・夏休みの単語の(宿題の)量を考えてほしい。宿題はできるのが当たり前ではない
​・​単語のテストで勉強する時間が短い。→しっかり覚えられないままテストをするので逆効果だと思う。
~改善できるとしたら~
1回のテストで出す単語の量を減らしてほしい。
・授業で新単元を始めるとき,単語の使い方を「今の段階ではこれで覚えろ」と言われそれで覚えた結果,別の使い方をするときに覚えづらい。あと眠い。
・はんいが超多い単語テストがわからない。(フォニックスを使えば少しはできるが)それで居残り9時~10時とかつらいです…(涙)
#読む、書く,覚えるのが大変なディスレクシアにとっては、普通の生徒の2倍くらいに課題の量が感じられているようです。発育に影響が出るレベルの課題量は再考してほしいです(もじこ塾には細くて小さな子が普通より多いように感じます)


その他
四技能を授業に取り入れてくれたのがありがたい。教科書の文をプリントにしてくれて,そのプリントに黒板の内容を書けるスペースがあるのが,わざわざノートと教科書を見ずに済むのでありがたい。

  ・英検がすべてみたいな授業やめてほしい。テストの点をさらさないでほしい。この文ぜんぶおぼえて読んできてみたいのやめて 

・話すことの教育にもっと力を入れてほしい
・communicationにwritingはnonsense(Siri使用) 

・その時初めて見せられた文をいきなり暗記させて,人に読ませるのは,授業をしていて楽しいと思えないし,普通にきついから,やめてほしい。ても,単語100問テストは,自分がどれだけ覚えているかわかるから,良いと思う。

・私に合った勉強法ではなかったけれど,一緒に「ガンバロウ」という気持ちだけは伝わりました。(分からないまま終わってしまったけど…)

・英語のクラスはふたつに分かれて,少人数で行うのはうれしいが,先生によって宿題の範囲がバラバラだったり,ものすごく字がきたない先生など区別がつくのはやめてほしい。

 ・中1,2年の短い文しかない筆記テストは高得点だったのに高校受験になってから長文を読むのが同じレベルの中で極端に遅かったり,音読では学校の教室中で一番遅かったりしたときになぜなのかがずっと分からなかった。
♯「音読が普通より遅い」はディスレクシアの主な症状のひとつです。 

ほかのテストはがんばるから英語はめんじょしてほしい授業には全部でるし提出物も出すから,退学させないでほしい。優しく教えてくれるのはうれしいけど単語をしらないんだごめんなさい
・単語をしらないから対話は無理だ,諦めてるんじゃないんだよ,ほんとにひとこともしゃべれないんだ,対策やってってもなにいってるかわからなかったんだよ
・知ってるぜんていのプリントやめて,答えまるうつししたのは答えがわからなかったからだよ,だから点数さげないでくれよ,提出したじゃん

・少人数授業にしてほしいです。一人一人のレベルに分けて授業をしてくれたら,解ける人においていかれなくてすむからです。
長文のテストをやめてほしいです。

・きょうかしょにたよりすぎていておもしろくない。にほんじんのえいごのせんせいいらない。もっとテストでりすにんぐてすといれてほしい。


・~一般的な公立英語教育において辞めて頂きたいこと~
- 無意味な教科書の書き取り(手が疲れるandただの写経)
- 同じ文を何度も書かせる(暗記をさせた後に何があるのか教えてほしい)
#「検定教科書の会話文を書き写す(しかも何度も)が宿題で、たくさん書き写せばノート点が増す」という話を聞いたときは、目が点になりました・・・定型でもこれでは、単にその会話文に精通した生徒を作り上げるだけで、英語力という点ではほとんど意味がありません。
- 英語科教員の中途半端な発音のレベル(貴方の英語は海外で通用するのですか)
- 単語の教え方をもっと工夫してほしい(教科書通りだと間違い・・・が難しくなる)
- 文法がガバガバすぎる(最初の覚え方が非常に重要)
- フォニックスを教えて(読み方を教わらないと読めるはずもない)
~全中学教員に向けて~
- 生徒の意見を聞かず,自分の誤りを直さない人は,そもそも人間として未熟。まずはその不遜な態度を治しては?もしくは免許を返還しろ!



2019-12-02

12/6(金),ワイデル先生講演会@津田塾大で,もじこ塾が前座を務めます。

12/6(金)夕方、東京・小平の津田塾大にて、ディスレクシア研究の世界的第一人者,タエコ・ワイデル先生が、講演会を行います!
興味深い講演になることうけあいです。関心のある方はぜひご参加を。

主催:津田塾大学インクルーシブ教育支援室
詳細・お申し込みはこちらから↓

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リンク先から引用:
 2020年度から公立の小学校で英語が教科となり、第二言語として英語を学ぶ時期が早まります。 この状況下で、学習障害をはじめ、視覚障害やろう・難聴の子どもたちは言葉の学びに困難を抱えます。そこで、学習障害の1つ、ディスレクシアの専門家のワイデル・タエコ先生をお招きし、現在の英語教育の問題や、理想の英語学習についてご講演いただきます。 第二部は視覚障害の子どもたちに英語を教えてこられた、本学OGでもある股野儷子先生にもご登壇いただき、各種の障害の理想的な英語学習について議論します。本講演会は「LD児を含む子どもたちの理想的な英語学習を考える –ディスレクシアや各種の障害の視点から–」と題し、二部構成で開催いたします。
*****ワイデル先生のご講演では、特に、香港で第二言語として英語を学ぶ、ディスレクシアの子どもたちを対象にしたワークショップのお話などから、エビデンスをベースにした英語学習の実践のお話をいただく予定です。
第二部のパネルディスカッションでは、第一部のワイデル先生のご講演をふまえて、各種の障害の視点から「インクルーシブな英語学習」についてお話していただきます。今回の講演会が、ディスレクシアの子どもたちのみならず、様々な障害のある子どもたちへの有効な英語指導法でもあるのではないかなど、障害の種類を超えた「インクルーシブな英語学習」とはどのようなものか、皆様とご一緒に考える機会となりましたら幸いです!

もじこ塾は、この講演会の前座を務めます。
ご報告が遅れておりますが、7月に津田塾大学でもじこは講演を行いました
(その時の様子を、主催者の方がまとめて下さっています→)
ワイデル先生講演の前に、もじこ講演会の動画上映を行うそうです

なお、同日14:40-16:10に5102教室にて、ディスレクシア英語塾「もじこ塾」主宰 成田あゆみ先生の「読み書き困難(ディスレクシア)のための英語指導法に向けて」講演の録画を上映いたします。詳しくは津田塾大学インクルーシブ教育支援室Facebookをご覧ください。

もじこがワイデル先生の前座だなんて!(==)
めちゃめちゃ緊張しますし、私はこの動画は恥ずかしくて見れませんが、ディスレクシア英語教育のためならなんでも引き受けてしまいます。。興味のある方はよろしければぜひ。

ワイデル先生は「粒度と透明性の仮説」を提唱し、英語以外のディスレクシアにいちはやく注目した、この世界の第一人者です。もじこは共通の生徒に紹介して頂き、昨年はIDAでいろいろお話しさせて頂く幸運に恵まれました。
すでに多数の申し込みがあるそうです。ワイデル先生が一般向けに日本で講演される機会はめったにありませんし、それが多摩地区で行われるのも異例です。
お近くの皆様はぜひ足をお運びください!