このような話題で書く日が来ようとは・・・・!!
申し遅れましたがわたくし、10年以上、大人にも英語を教えています。
東京の某通訳翻訳スクールで、翻訳を教えています。
通訳や翻訳者になるためのスクールに来るような人は、
良くも悪くも英語の勉強が大好きです。
(後に書くように、最近はそういう人ばかりでもなくなってきましたが。)
こういう雰囲気からは、あまりディスレクシア的な感じがしません。
だから私はディスレクシア・ジャーニーに出る(?!)と決めたとき、
「このスクールはディスレクシアとは最も縁遠いところだから、
大人に英語を教える仕事は卒業しよう」
と一度は思ったのでした。
ところが!!翻訳学校にも来るのです!大人ディスレクシアが!
正確には、自分をディスレクシアと知らずに翻訳を学ぼうとして、
他の方と比べて非常に苦労する大人が!!
そんな方のご協力を頂き、このたび
「大人ディスレクシアの英語力底上げ」企画を始めました。
今後は、大人ディスレクシアが英語の読み書きを強化する方法も、模索していきます!
今回は、その人をディスレクシアだと分かったきっかけを書いておきます。
きっと、どの会社にもこういう人がいるはず・・・
☆ ☆ ☆
そもそも、
「ディスレクシアなら、外国語を身に付けようと思わないほうがいい」
と英語圏では言われています。
母語とは別の、文字-音の体系を学ぶのは、ただでさえ大変なこと。
ましてディスレクシアにとっては一層大変だからです。
でも「外国語は不要」とは、英語ネイティブだから言えることです
( - _ - メ ;)
日本語ネイティブは、少なくとも今後数十年は、
最初から英語を諦めることはできないと思います。
(学校で「お子さんはディスレクシアなんだから英語は諦めたら」
と言われたお母さんもいるそうですが!
( - _ - メ ;))
なぜなら会社がいきなり外資になってしまい、上司が外国人になったり、
会社が海外との取引を始め、英語でのやりとりが増えたり、
といったことは、十分に起こりうるからです。
これは、誰もが通訳や翻訳者になるべきという意味ではありません。
むしろ、「訳せないけどそこそこ仕事を回せるだけの英語力」
を誰もが持たざるを得ないだろう、という意味です。
実際、ここ数年、「そこそこ」を求めて翻訳学校に来る方は増えています。
そんな方々の話を聞くと
「英語が苦手だから○○になったのに、気付いたら会社が外資になった」
「国内企業に就職したが、会社が買収をくり返すうちに外資になった」
と言う方はけっこう多いです。
あと「契約社員/派遣として働いているが、
英語ができると年齢制限のない仕事を選べる、
というか、
英語ができないと選択肢が年々減っていく」
と言う方。女性に多いです。
こういう、「とにかく日々の仕事に差し障らない程度にどうにかしたい」
という切実な動機で、翻訳学校に来る人が増えています。
そんななかに、大人ディスレクシアもいるのです。
☆ ☆ ☆
大人が英語力をのばすのは、同じレベルの大学受験生より大変です。
話がそれるので深くは立ち入りませんが、最大の理由は
大人は過去の経歴にとらわれすぎると言いますか、
「自分は○○大卒だから(留学したから、帰国だから)英語ができるはず」
という、変なプライドや邪気がまとわりついている点にあると思います。
ところが、そういう邪気が全然感じられないのに、
「不思議なできなさ」をする生徒が、たまにいます。
とにかく、
訳抜けが激しいのと、
誤訳の間違い方が斜め上を行っているのです。
他の生徒さんの3割くらい訳文が少ないこともありました。
それくらい、ごっそり訳が抜けているのです。
しかも本人は、指摘されるまでまったく気付いていません。
また、普通の誤訳は、辞書の訳をそのままあてた結果
「まあ確かに、辞書にはそう書いてあるけど、ここには合わないですよね」
と言わせるような間違いが中心です。
しかし、この生徒さんは、「そんなこと、全然書いてないですよね・・・?」
と唖然とするような、大きく外した誤訳をします。
ほとんど訳を
捏造したといってもいいレベルです。
で、よくよく聞いてみると、「
someをsameと思ってました~」といった、
脱力するような読み間違いが原因だったりしますorz
こういう間違い方は、講師にとっては判断に苦しむものです。
「翻訳学校は学費が高いので、やる気がない人は来ないはず。
だのに、なんでそんな、やる気のない間違いをするんだろう?」
そうなのです!このように、
ディスレクシアは大人になっても
英語で間違うと「この人、やる気あるの?」という印象を与えるのです。
ディスレクシア的
にはsomeとsameはやる気の問題ではなくて、
最大のハードルですよね。。
しかも、こんな大きく訳を外す生徒さんに限って、
間違っても「
またやっちゃった~」と笑って流してしまうところがあります。
または、その時は神妙に聞いているが、また同じような誤訳をします。
だから、真剣に受け止めていないように見えてしまうのです。
これは、ディスレクシアの人が招きがちな状況だと思ってます。
ここまでだと「困った人」ですが、そこで終わらないのがやはりというか。
この手の人はたいていクラスのムードメーカーで、
この人がいるおかげで、全員が意見を出しやすくなりますし、
「みんなで一緒に頑張りましょう」という、良い雰囲気のクラスになります。
また、講師とも険悪にならず、こちらを気遣ってくれたりすらして、
とにかく人として憎めない方々なのです。
やる気がない(ように見える)、
何かを指摘しても真剣に聞いていない(ように見える)、
クラスのムードメーカーで、人として憎めない。
こう書いてみると、本質的にうちの子(小6)と同じです!
そして何より、
someとsameを間違えるくらい「下らない」ミスをするなら
より高度なこの部分はきっと分からないだろう・・・というときに、
逆に、苦もなく良い訳をつけたりするのです。
読み間違いさえなければ、大意は正確に把握しているのです。
細部は間違うが、大局観を持っている。
文章の面でも、人間関係の面でも。
そんなギャップに気付いたとき、
「もしかして、大人ディスレクシアはこういう出方をするのかも?!」
と思ったのでした。
つい数カ月前のことです。
☆ ☆ ☆
ディスレクシアの人があえて翻訳を学ぶのは、
一番向いていないものに特攻する、本当に大変なことだと思うのですが、
とにかく、その生徒さんは、必要に迫られて翻訳学校にやってきました。
契約社員として社内翻訳に従事し、誤訳や訳抜けを怒られているとのこと。
でも
「私は打たれ強いんですよ~」と。(ノД`)
前職は総務で、
「自分は総務の方が向いている。全体を見て気を遣ったりするのが」。
どちらも、かなりディスレクシア的です。
××さんは翻訳が苦手なのではなく、字が苦手な気がします・・・
と伝えて、ディスレクシアというものの話をすると、すごく驚いていました。
そしてそれ以降、笑って受け流さなくなりました。
「
ディスレクシアのチェックテスト」は、
ぎりぎりディスレクシアかな?というラインでした。
「えっ!自分は目まい持ちだと思ってました。」
「みんな、読み間違いってしないんですか?」
字を見ると揺れて見えるけど、そうと意識したことがなかった、
「ディスレクシア」で検索し、文字がゆがんだ画像を見て「これだ」と思ったとのこと。
中高時代、英語にはそれほど苦労していない、とのことでした。
でも、訳抜けの多さを見る限り、苦労したはず、というか、
実力を出し切れなかったと感じたことがあったはず・・・?と言うと、
「高校も大学も第一志望ではないですが、関係ありますかね?」
「弟は賢いんですけど、なぜか私は(笑)」。
やっぱり、気づかないうちに実力を過小評価されていたかもしれません。
ノートを拝見すると、なんと、全部ひらがな!
「字を思い出すスピードが追いつかない」。うちの子と同じことを言います。
英語の視写をするようお願いして、2週間後に確認することにしました。
すると、やはりと言うべきか、驚くべき効果を報告してくれました!
この項続きます・・・・
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大人ディスレクシアに英語を教える(2)構文、視写、音読、そして「いちごのショートケーキ」が効果あり