ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。
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2019-01-02

2018年を振り返って

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。


もじこ塾は、南新宿に教室を構えてから、もうすぐ満二年を迎えます。
もじこともじこ塾の2018年を振り返ります:

◆1月
センター試験。
生徒のうち数人が、合理的配慮を受けて受験に臨みました。
合格体験記は大きな反響を呼びました。合格体験記を書いてくれた生徒たち★  ★  ★は、いまやもじこ塾に助言をくれたり、さらには助手となって活躍しています。

◆4月
授業日誌のブログを開設→★。
助手がたくさん書いてくれています。いつもありがとう~

改めてまとめて読み返すと、日々ディスレクシア的な気づきがあり、なかなか読み応えがあるじゃありませんか(自画自賛)。
もじこ以外の書き手はもちろん、登場人物はほぼ全員ディスレクシアです。こんな場はなかなかないですよね、みんなパイオニアです。

反響が特に大きかった記事:
  (アクセス数1位。朝日新聞の記者さんにお渡ししたメモです)
  (アクセス数3位。教師の目の前で音読訓練をする必要性について)
  (アクセス数5位。助手2名が、自分の中学時代のバトルについて書いてくれました)
  (答案をパソコンで入力する合理的配慮、合理的配慮のオペレーションの大変さ)


◆6月
16日、朝日新聞東京版に、もじこ塾が紹介されました→★

記者さんは、とても誠実な若い方で、限られた紙面のなかで、こちらの言いたいことを最大限汲んでくださいました。

実は、掲載直後の反応は、身構えていたほどは全然ありませんでした。
新聞の反響はむしろ、じわじわと細く長く続くようです。ネット上に記事が残ることと関係があるかもしれません。
ディスレクシアを知らない知り合いから「新聞記事見ましたよ」と言われることが今も続いていて、改めて新聞のもつ拡散力とはどういうものかを知りました。
新聞は、ディスレクシアを知らない人に、まずはそういう人がいることを知ってもらうという「啓発」の部分では、非常に大きな力を持っているようです。

~~~

また、この前日となる6月15日、アメリカのディスレクシア教育界のレジェンド、ダイアナ・ハンバリー・キング女史が永眠されました。
一昨年のIDAでは、ディスレクシア教育ひとすじ60年の経験が語られ、会場は感動の嵐でした。会場全員で90歳のハッピー・バースデーを歌いましたが、その半年後の訃報となりました。

もじこ塾で使っている筆記体練習本も、女史の手によるものです。
「Thank you so much!! My students love this book too (この本は日本のディスレクシアの生徒にも効果絶大です!)」と直接伝えたかった・・・



決して忘れないこと……目の前の生徒は、これまで失敗と失望のくり返しだったことを。“本気を出してない” “頭が悪い” “ケアレス”と言われたり、教師からバカにされたり、叱られたり、クラスでいじめにあったり…
あるいは,親切で理解があり,善意で接してくれる教師でも,読めるようにする方法は知らなかったかもしれない。
なのでその生徒は、「読めないのは自分が悪い」と思ってきた。
不思議なのは,それでもその生徒が,読みたい気持ちを失っていないこと,そして,あなたを信頼して「教えてほしい」と思っていること。
生徒には敬意をもって接しなさい。 
できるだけ早く、でも必要なだけ時間をかけて。
正しくやれば、ひとの人生を変えるという、栄誉が与えられます。
(Never Too Late! より翻訳)

「正しくやれば生徒の人生が変わる」、ディスレクシア教育はそのくらいインパクトがある・・・という言葉は、私の座右の銘になりました(T T)
と同時に、「正しくやる」とはどういうことか・・・試行錯誤中です。


◆9月
夏に書いた英作文の問題集が、発刊されました→★
学校採用(高校を通じてしか買えない)、一般の書店では売っていません。

実はこの1年で4冊、このような問題集を書きました。
1年半くらい本当に1日も休みがなかったので、今頃になって少し疲れが出ています…
いろんなことが後手に回り、連絡が滞ったこと、申し訳ありません。

今年は各方面に失礼がないよう、連絡や返信をきちんとして、締切を守りたいです。


◆10月
1日、東京都で、合理的配慮を義務化する条例が制定されました→★。
つまり私立学校も、合理的配慮が義務になったのです。

もじこ塾には、合理的配慮を受けてこれから一般入試に臨む大学受験生がいます。
数年前と比べれば私立大学の対応はずいぶん親切になりました。ありがたいことです。
合理的配慮を申請しながら入試に挑む生徒たちは、本当にこの業界のパイオニアで、尊敬に値します。

もじこ塾にも合理的配慮のノウハウがかなり蓄積してきました。
合否がからむ問題のため、リアルタイムで紹介するのが難しいのですが、今の時点では・・・

「合理的配慮は実のところ、受験者本人の人格と、親の度量が問われている」
「"法律で義務化されたのだから、うちの子に[私に]合理的配慮を!!"と迫る戦闘員のようなスタイルは、まず成功しない」

・・・くらいのことは言えます。

欧米で生まれた「配慮」という概念を、社会的背景がまったく違う日本に導入することの難しさについて、普通の人でももっとわかるように議論を整理する必要があります。そんなことにも今年は挑戦してみたいです。


~~~

10月末には、アメリカのディスレクシア学会、IDAに今年も行ってきました!
今年の最大の収穫は、音韻認識を教える教材に出会ったこと。
「ハリボーチャレンジ」と呼んで、日々試行錯誤中。すでにIDAから持ち帰った形から、だいぶ進化しました。
この教材を完成させたいです。そうすれば、ディスレクシア的困難がだいぶ克服できるはず・・・







ハリボーチャレンジについて詳しくは:

181031 新宿水曜②クラス(ハリボーチャレンジその1)
助手のピノコが、音韻・音節・抑揚について書いてくれました。

181106 りちょぱさん(ハリボーチャレンジの感想)
圧倒的に視覚優位のりちょぱさんが、ハリボーチャレンジの難しさについて書いてくれました。

181124 番外編:定型の高3にハリボーチャレンジ
もじこが出講する予備校で、ディスレクシアでない生徒にハリボーチャレンジを行ったときの様子です。

ハリボーチャレンジの方法を、勉強会で実演します。
ご興味のある方はぜひお越し下さい
中1ショック対策、保護者向け講習会→★


◆11月
もじこ塾の卒業生が、ふたたび朝日新聞の取材に応じました→★
大学入試センターは受験者にヒアリングを行ってほしい、後に続く受験生たちによりよい合理的配慮を提供するために…というのは、合理的配慮を受けた生徒たち共通の願いです。


~~~
もじこ塾はいま、高校受験と大学受験の直前期です。ラストスパート頑張りましょう!

2020年の学習指導要領改定によって、小学校で英語が必修化されると、このブログにも「英語 スペル 覚えられない」などで検索してくる人が大量発生すると予想されます。
予言しておきます・・・小学校で英語が必修化されたら、従来の方法ではまったく英語が覚えられない層が1~2割は出てくるはず。無用な苦しみを生徒に与えないよう、啓発が必要です。
小学校英語は(中学校も)、チャンツやハイテンションな会話だけでなく、フォニックス、音韻認識、純粋書字練習も必要です。

そして、いずれは中学受験にも英語が入ってくることでしょう。
中学受験界は学校よりも締め付けがはるかに厳しいので、子供がスペルを全く覚えられないことを悲観した親が、思いつめて傷害事件などを起こさないか、本当に心配です・・・
ディスレクシアには違うアプローチが必要なんだということを、中学受験界に一刻も早く伝えていかなくてはいけません。(これはもじこの範囲外なので、誰かやって下さい~)

また、大学入試も大きく変わろうとしています。
センター試験の英語廃止(それでいま英検がブームです)も大きな変更点となるでしょうが、それ以上に23区私大定員厳格化、それに伴う推薦入試比率の増加が明らかです。
大学受験業界は小学校以上に、動きが読めません。

そんなわけで、今年は嵐の前の静けさのような一年になりそうです。
今年は少し、ディスレクシア的発信に挑戦してみたいと思っています。
しかしながら、もじこ塾には生徒がいますので、まずは何よりも、生徒とともに進化していきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2017-05-03

4/30受験報告会

4月30日、もじこ塾から今春進学した生徒による、受験報告会を行いました。
お越し下さった皆様、ありがとうございました。

個人的な話が多かったので、それを抜かしてまとめると:

  • 合理的配慮申請には、診断書が必須である。
  • 合理的配慮申請は、準備が大変。親のサポートがないと難しい。
  • 学校で配慮を受けていなくても、申請は可能。
  • 申請する配慮の内容は、できるだけ具体的に言える必要がある。
  • 合理的配慮を、受ける選択もできるし、受けない選択もできる。
  • 配慮を受ける場合、"障害"を自分の中で受け入れる苦労と、進学後に何か不利益を被るかもしれないという心配がある一方、入試での点数が(かなり)上がるというメリットがある。
  • 「特にカミングアウトせず、支援を受けない」という自由もある。
  • 高校在学中からディスレクシアに気付いている場合、AO入試や推薦入試なども、視野に入れるべき。
  • 一般入試[=時間制限の厳しい、ペーパーテスト一発勝負]は、ディスレクシアにとっては、非常に厳しい戦い。


【皆様のご感想より】
◆子どもたちが自分と向き合い、歩み方をしっかりと、自分で決めようとしてる、これは本当にすばらしいことだと思いました。…

◆…大学入試に関して、又はそれ以外のことについても具体的で、実感を持って発表して頂き、その大変さや対策がよく伝わりました。発表者さんおふたりの学習に対する姿勢や、後進の方に対してサポートしたいという尊い気持ちが本当に貴重で、今日、おふたりの生き方を拝見できたことも、大きな力を頂いたと感じます。

◆…どんな質問にも真摯にお答えいただくみなさまに本当に感動しました。話の本質をとらえる能力はものすごく高いのでは。すばらしいです。

→私も、生徒たちが受験を総括する様子が、実に感慨深かったです。
皆さまが熱心に聞き入る様子そのものが、2人の力になったと思います。
ありがとうございます。

◆…ディスレクシア・LDというものへの配慮は難しいのだなと思いました。お二人ともディスレクシアについては今後はカミングアウトするつもりがないということが印象的でした。「そういう自由も認めたい」というもじこ先生のコメントもいいなーと思いました。あと「ハッピー」ということが大切というのが目からウロコでした。…

→受験報告会で言おうと思ってて、言い忘れたのですが、
ディスレクシアというのは元来、勝手に工夫したり、決まり事の裏をかいたりするのが大好きな人種です。なので、がちがちに道を決めて「さあ!黙って従いなさい」と言われるのは、ものすごく嫌がるはず。「こういう制度がある、使うも使わないも好きにしなさい」と工夫の余地を残すのが、ディスレクシアを動かすコツだと思います^^。

◆…お二人とも、大変優秀であっても、大学受験がいかに厳しいかわかりました。
子どもは小学校の頃からスピードが遅いというのが悩みなのですが、解決してません。本日、当事者の方から「時間的配慮が助かる」と聞いて、子どもの悩みも深刻なのがわかりました。

→教室で見ていると、ディスレクシアには「速いけどちょいちょい間違う」タイプと、「正しいけど遅い」タイプ、(さらには「遅く、かつ間違う」という、より一層大変なタイプ)がいます。できる部分をまず認めてから、できない部分は地道に反復すること。意識を高くもって場数を踏むことが、大切だと思っています。

◆…お二人の、学歴がほしい・・・という切々な思いが伝わってきて、学歴社会を思い知らされました。中1息子がいますが、本人にしっかり、将来について考えさせる所から始めたいです。…将来、まだ色々な道もある事、英語を使わないで受験できる事、技術を身に付ける道もある事、等、選択肢が広がりました。

→「実技系や専門学校のなかには、英語が受験科目に含まれない場合がある」という話です。とても少ないですが・・・

◆点字受験の合理的配慮は30年以上の歴史があるので、現在は当事者や家族が奔走しなくてもいいシステムが出来上がっている。入試センター事業部の中にそういう部署が出来ているが、初期の頃はその体制を作るのに学校や関係団体は大変だった。
発達障害(LD、ディスレクシア含)は一律の合理的配慮事項として明確化できるかどうかわからないが、そういうシステムを作ることを国or文科省などへ公的に働きかける手段はないかを模索したらよいと思う。今回のもじこさんたちの動きが先駆者なんですね。視覚障害の世界にもそういう先駆者がいました。

→道村先生。ありがとうございます。
先生の上のご発言は、会に深みを与えて下さりました。
おっしゃる通り、LDの大学受験は、点字受験の合理的配慮から、学ぶべきことがたくさんありそうです。
また「どうしても出来ないことというのはある。それを認めた上で、自立した大人になるために、絶対に習得しなければならないことは何か/学校に何を求めるか」という姿勢は、視覚障害の世界のほうがはるかに進んでいます。

一方で、LDは外見上はわからない特性です。また、文字重視の近代社会ゆえに、この特性が"障害"と呼ばれている面もあります。
こうしたことが、一枚岩となって公的機関に働きかけることを、難しくしているかもしれません。

もじこは当分は一介の英語講師であり続ける予定なので、公的機関に声をあげる部分は、これをお読みの方々にぜひお願いしたいです!
できる人ができることから、です。。

◆もじこ塾では「いたって普通の学習をやっている」といわれたことにびっくりしました。目指すところが点数だけではないのだと知りました。もっと深い所も聞いてみたいと思いました。実際の状況など・・・

→「もじこ塾では至って普通のことをしている」こんな言葉が出たことに、自分自身、びっくりしています。
でも、生徒の顔を思い浮かべたら、きっと「普通のことをしている」と言うような気がしたのです。「ただひたすら、読む(書く)練習をしています」と。
しかしながら、「ただひたすら、読む(書く)練習をしています」は、世間一般の"普通"とはかけ離れているかもしれません。ため込む前に、少しずつここで披露していきたいです。







2016-10-30

ディスレクシアだと自覚していない子へのディスレクシア英語指導、のために

いま、土曜の深夜にこれを書いています。
夜中の妄想にならないようにしたいです。。

☆ ☆ ☆

もう10年以上、土曜の夜は予備校で授業をしています。
予備校といっても、教壇から一方的に話すスタイルではなく
演習、添削、1対1での議論がメインです。
生徒との関係も良く(と自分では思っていて)、教務の評価も高く、
1週間のなかでも大事な時間でした。

はじめてディスレクシアの生徒に気付いたのも、この授業でした→★、☆
トップレベルの進学校に通っているのに、基本的な漢字を忘れてたり
スペリングミスがやたら多くて点数が残らなかったり。
話せば賢いのに、答案がうまくまとめられない。誤字が多い。
字のバランスが悪い。読んだ後やたら疲れている・・・

こういう子たちをどう伸ばすのかは、
私のディスレクシア・ジャーニーの一大テーマになりました。

難関大用予備校で出会うディスレクシアの受験生に対しては、
「ディスレクシア」「学習障害」といった言葉を一切使わずに
うまいタイミングを見つけて特性を指摘することが、
できれば必要だと思っています。

#今日、前からこの子はディスレクシアだろうと思っていた子が、
ついに「英語が読めない。日本語と同じ程度に分かりたいのだが、分からない」
と相談に来てくれたので、キタ━(゚∀゚)━と嬉しくなって
「イメージ先行型だよね?」
「わかってても言葉でまとめづらそうだよね?」
「すごくいいことを書いているけど、キーワードが抜けてるので、そこを頑張れるといいね。社会でも同じじゃない?」
「読んでるとすごく疲れるでしょう」
「ここまで来るのに、相当努力してきたよね。中1の時とか、大変じゃなかった?」
「文章を読んで全体の流れを把握する力が、他の子よりもかなり高いんだと思うよ。それが答案に出てる」
「がっちりと対比的な内容を書くより、イメージからストーリーを書くほうが得意だよね」
「まわりが難しいと言っていることが簡単にわかり、簡単だと言うことがなかなかできなかったりしない?」
と話したら、かなり当たっていたと見え、彼はがくぜんとしながら
「これは思春期のとがりなのか、それとも? と思ったことはある」
と言ってくれました。(その他いろいろ告白してくれましたが略)

もう11月という時期の受験生にとっては、かなりの衝撃だったことでしょう。
こう書いてみても、私も色々言い過ぎで変な講師ですね(笑)
でも、「私は、そういう特性をもった人に特別な興味をもっていろいろ調べているわけ。にわかに信じがたいだろうけど。キミは地頭はいいし、まわりの人とは違う成長曲線に沿って英語力がついていくのだから、自信をもっていこうよ」
と伝えたので、来週も授業に来るはず(って、やっぱり変な講師ですね。)#

ディスレクシアの診断がつくくらい明らかに周りとは違っている子に
違うアプローチで英語を指導することは、もちろんとても必要です
(それを行おうとしているのがもじこ塾です)が、
自分でディスレクシアだと気付いていない子に
さりげなく違うアプローチで英語を指導することも、
同じくらい必要だと思っています。

☆ ☆ ☆

そして今日。そのための大きな前進がありました。
遅くとも年明けには、正式発表できる予定です。
それに伴い、このブログの運営形態も少し変えないといけないかもしれません。

5年前にディスレクシアだと知らずに出会った最初の生徒に、
もしも「5年前はごめんね。ついにここまで来たよ」と伝えたら、
きっと「それはすごいですね」と言ってくれる気がする、、
って、なんのことだか分かりませんね。すみません。
近日中の発表を、どうかお待ち下さい。



2016-05-16

第1回「読み書き困難の子への英語の教え方をシェアする指導者の会」を行いました。

先日、「読み書き困難の子への英語の教え方をシェアする指導者の会」
の第1回を行いました。
お越し下さった方、ありがとうございました。
不手際も多く、また、一人一人にきちんとご挨拶できず、
申し訳ありませんでした。

この会は、3月のUD研究会の終了後、参加者同士で話しているなかで
「英語講師と、こういう話をする機会はなかなかない。
こういう場を定期的に持てないだろうか」
という声があがって、立ち上げたものです。
ありがたいご高説を学ぶというよりも、
発表者の議論を出発点にして参加者で議論し、
ディスレクシアや発達障害の子にやさしい(=すべての子にやさしい)
英語教育を模索していこうという主旨の会です。

今回は、勉強したいという保護者の方も、全体の4分の1ほど来られました。
私自身、これまでいろんな研究会や学会に潜入してきて
「お母さん必死ですね( ´,_ゝ`)プッ」という目には何度も遭っているので
熱心な保護者をできれば排除したくないのです。
この業界、専門職の保護者(教師、医師、薬剤師など)が不思議と多いですし、
そうでなくても、力のある保護者は、教える側に働きかける力を持っています。

保護者の方には、
「"自分の子をどうにかしたい"を超えた所で、積極的な発言をお願いします」
と申しました。

集まった指導者の方も、保護者との協力は不可欠というスタンスでした。
率直で建設的な議論ができたことを、嬉しく思います。

「さらに具体的な教え方のノウハウを知りたい」という声もありました。
次に発表する方々、よろしくお願いしますね~
(次回は9月上旬に行います。詳細は後日告知します)

記憶に残っている主なことばをご紹介します。

◆「グレーゾーンの子」の存在。
記念すべき最初の発表は、大手の英語教室で児童英語講師をされている方。
「発達障害ではないか」と未就学段階で気付いた子に、
親に言うことなく、どう対処したか/対処できなかったかという話でした。

私も予備校で、本人にさえ「キミはディスレクシアだね」などとは言わずに
対応を変えているので、よく分かります。
こうした話は、実践報告や学会の研究発表では、表に出てきづらいものです。
それだけに「グレーゾーンの子に、それと指摘せずに配慮する」
という教師側の心構えは、大事と思いました。


以下は、私が話したことです。

◆ジョリーをアレンジすること
ジョリーフォニックスは、現地の未就学児~を対象に作られたパッケージ。
日本のディスレクシア中学生に使う場合は、アレンジしたほうが効果的。

ディスレクシアであっても、年齢が上がるほど、1回にできる量が多くなる。
中2なら1回に10字程度、高校生なら20字以上。
一覧を使って全体像を見せるべき(「英語の字はたったこれだけだよ」と)。

生徒に刺さる多感覚も、幼児と中学生では変わってくるのは当然。

例えばアクションは、うちの実験台(小5男ディスレクシア)には徹底的に教え、
つい最近までスペルが分からないときはアクションをヒントにしていたが、
中1で「アクションは子供っぽくて恥ずかしい」と言う子もいる。
ませてくる年頃になると、アクションは難しくなるらしい
(「左脳で英語を学ぶようになる頃が境界線」と指摘を頂きました)。

もじこ塾春期講習では、
「教師の発音と、生徒の発音を、交互にiPadで録画したもの」を作り、
それを再生して言えるようにすることを、宿題にした。
自分の声を自分で聞くことは、記憶定着効果が抜群な多感覚。
また、教師の発音と生徒の発音が交互に入っているのを聞くことで、
修正しやすいという効果もある。

◆日本のディスレクシア中学生とフォニックス
海外ではフォニックス不要論もあるようだが、
それは、母語として英語を使っている環境での主張であることを認識すべき。
また、フォニックスにはアナリティック
(←現在日本のフォニックス最大派閥である松香式はこちら)
と、後発のシンセティック(←ジョリーはこちら)の2種類がある。
フォニックスの議論をするときは、
どちらのフォニックスの話をしているのか、注意する必要がある。

外国語として英語を学ぶ場合、音と文字の対応
(アルファベットの各文字を、どのような音に対応しているか)を教えるべき。
特に、ディスレクシアだと、音と文字の対応に自力で気付けないので、
教える必要がある。

フォニックスは英語学習の長いはしごの、最初の1段にすぎない。
フォニックス後も、おそらくは大学受験の英語まで、
ディスレクシアには普通とは異なるアプローチが必要になる。
しかしながら、thisをなんと読むか、
中3の1月まで分からないディスレクシアもいるほどなのだから、
ディスレクシア的にはフォニックスは不可欠。


◆聞く→話す→読む→書く




日本にいる普通の人(非ディスレクシア)の英語力は、
「読む」力が一番大きく、
それとほぼ同じくらい、「書く」力があり(※単なる書字能力)
それから一回り小さく「聞く」力があり、
さらに二回りくらい小さな「話す」能力がある。

教育方法としても、「読む」の円を大きくすることに主眼がおかれている。
字が得意な子は、「読む」から外国語に入ることができ、
「読む」が大きくなると、「書く」もおのずと大きくなる。

だが、ディスレクシアの英語力は、「聞く」が一番大きく、
それとほぼ同じくらい「話す」能力がある。
その半分くらいの大きさの「読む」円があり、
そのさらに2割くらいの大きさの「書く」円がある。

ディスレクシア英語教育は、大きい円から順にアプローチすべき。
つまり、「聞く」→「話す」→「読む」→「書く」の順に。
1)「聞く→話す」で文法力をどこまで伸ばせるか
2) 「話す」力に、「読む」力をどこまで近づけられるか
3)「読む」力に、「書く」力をどこまで近づけられるか
が、ポイントになる。

なお、「聞く」ときも、文字を見せながら。
文字を見せながら読んであげるのが「聞く」、
文字を自力で読んでもらうのが「読む」こと。

#という話をしたところ、
#「外国に行ったときの英語の学び方は、右ですよね」
#「四技能の学習方法は右であるべきだ」
#「右の円の外側に、「英語を遊ぶ」という円を描きたい(=モチベーションの円ですね)」
#などの感想を頂きました。

◆bとdは、ディスレクシア的には最後まで鬼門
「bとdの区別をどう教えるか」という話が出ました。
ベッドの絵を描くとか、ボールとバットのアクションとか、色々出ましたが、
予備校講師的には、bとdは、ディスレクシアなら最後の最後まで間違う
と言いたい!

butとdotを、年間で5回も読み間違えて、
読解に詰まって気絶しそうになったり、設問を間違えて頭を抱えたりして、
それでもW大に合格したりするのが、ディスレクシアです。

「bとdの区別ができなかったら、先に進めないよ!」
と、bとdだけの猛特訓をするのではなく、
何度でも、さらっと「あ、これbutだよ」と指摘するにとどめる
(↑こちらのテンションはできるだけ地味に。大げさに指摘しない、笑わない)
ほうが、この件に関しては効果的だと思ってます。

2015-03-30

コスモの合格体験記(3)

コスモ君合格体験記の最終回です。
多くの反響を頂き、ありがとうございます。順次お返事いたします。
ディスレクシア英語指導に生かしていきます。

今回は、合格後や指導時に聞いた、印象深い言葉を書いておきます。

その(1)はこちら→★
その(2)はこちら→★

~  ~  ~

①「情報が転回する」
コスモが直接ここに合格体験記を書いてくれることはありません。
思いを文章にするのが非常に困難なタイプのディスレクシアなのです。

一応話を振ってみたところ、頭を押さえて
「情報が転回する…」と言っていました。
「テンカイって何?」とつい聞いてしまいました。
「頭の中に言葉の断片がぐるぐるしてて、順序よく並べることができない」
という意味のようです。

字がまずまず書けるようになったディスレクシアにとっての
次の課題は「文章を書く」ことだと、つくづく感じます。
(うちの子も、卒業文集ではとても苦労しました)
誤字脱字もですが、脳内映像を線形的な言語に構成するのが課題のようです。
「脳に内視鏡のようなものをさして、頭の中にあるものを壁に写し出したい」
的なことも言っています。


ただ、文章を書くことは非ディスレクシアも意識的に学ぶ技術なので
ディスレクシアでも訓練によってある程度は書けるようになる気がします。
(文章を書くことを仕事にしているディスレクシアもけっこう多いです。
ストーリーテリングが得意なタイプのディスレクシアです)

人にもよるのでしょうが、短期的なディスレクシア作文対策としては
・マインドマップ
・断章を付箋に書いて並べ替える
・聞き書き(指導者がディスレクシアの子に質問を投げかけ、話し合いながら論点を整理する。それをもとに作文内容をふくらませていく)、
・添削を受けては書き直す
・・・あたりが有効だろうと推測しています。

長期的には、読み聞かせや読書といったインプットが大事だろうと思います。
「自分がディスレクシアでも日本語の読み書きには困難を感じないのは、幼い頃に読み聞かせをたくさんしてもらったから」という意見も頂きました。

ついでに、書くことに関連して、
大学に入っても、定期試験さらには履歴書で直筆が要求されるので
高校時代ほどでないにせよ、手で字を書くことは意識して続けたほうがいいようです。


②「考えずに感じようよ!(怒)」
「文章を書くのが苦手」の話をしていた時に出た衝撃発言。
音楽を鑑賞し、その感想を書かされるのは、ほんとにムカつく。
感じるだけでいいじゃないか、
なぜわざわざ言葉にして書かなければならないのかと。


ヨガ教室で毎回言われる「考えるのをお休みして、ただ感じて下さい」
哲学者ヴィトゲンシュタインの有名な言葉
「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」
と重なります。

一方、いかにムカついたのかを熱く語ったコスモ君を見ていると、
とっかかりがあれば、どば~っと言葉が続くようにも見えます。
その力を作文対策に生かせないだろうか…とも思います。


③「最低限の定理しか覚えない」
数学や物理の定理は、最低限のもの(例:加法定理)だけ覚え、
そこから導き出せる定理は覚えることをあえて放棄して、
いちいち導き出しているそうです。

だから解くのにものすごく時間がかかってしまいますが、
ある意味、原理をより深く理解しているとも言えます。

どれが最低限かは、個別塾の講師が教えてくれたようです。
微に入り細を穿って説明してくれましたが、途中からついていけず(笑)


④「落ち込んどるわ(怒)」
次の発言により炎上しないといいのですが…と前置きした上で、
私の観察するところでは、
一部のディスレクシアの人が過集中したり疲れたりした時の様子は、
人を小バカにしているように見える場合がある気がします。
疲れると怒っているように見えたり(←うちの子)
ぽろっと答えたことが、人を食ったような物言いと捉えられたり・・・

コスモ君とはこの話でかなり盛り上がりました。
「部活の先輩に『態度が悪い』と誤解されて人間関係が険悪になった、
結局分かってもらえたけど」
「親に『なんとか言ったらどうなの?!』と怒られても、
そんなときは「なんとか。」と返すしかない(爆)そうするとさらに怒られたり」


そこから達した結論は・・・
誰でもそうだと思うのですが、ディスレクシアの場合は特に
「愛されキャラ」になることがサバイバルの秘訣だろうと。
普段から「なんか憎めない、手伝ってあげたい」と思わせることで
疲れたときに「態度が悪い」と誤解されるのを避けられる気がします。


ところでコスモ君は自他共に認める「スーパーポジティブ」です。
ひょうひょうとして明るいと言いますか。
お母さんは「彼の明るさに救われた」と言っています(と本人も言っています)。

私も、「ここまで全敗で何と声をかけてあげよう…」と思って彼に会うと
全然落ち込んでいる様子がなく、ひょうひょうとしているので
「コスモと話していると、こっちが安心させられちゃうよ」と言ったこともあります。

その頃の心境を合格後にたずねると
「『ま、何とかなるっしょ』と思う。色々考えてもしょうがないし」と言う一方、
「『ちったあ落ち込めよ』と言われて『落ちこんどるわ(怒)』と思う」
だそうです・・・

直観的に思うのですが、
私には彼のポジティブ思考は、彼が身につけた愛されキャラの一形態で
その下には悲しさ切なさ、諦めをたくさん持っている気がします。
でも、それはがっちりしまい込んであって、そう簡単に表には出てきません。
ひょうひょうとした明るさは、さまざまな誤解を経て彼が編み出し
もはや無意識化している愛されキャラだというのは、言い過ぎでしょうか・・・


⑤「自分はセカオワの人と同じやつなんだ」
「高校での教師の無理解を正そうとは思わなかった?」と聞くと
「ど~でもいい。言おうと思ったこともない。『ま、いっか』って感じ。」

高校時代は、友達にも一切、
ADHDやディスレクシアについて言ったことはないそうです。

学校ではあえて言わないというのも一つの方法です。
でもそれが諦めから来ているなら、一日のけっこう長い時間を過ごす学校が
それなりに切ない場所になるのもまた事実です。。

コスモはこの点については、初冬のころに心境の変化があったようで
(薬の効果かもしれません)
予備校でできた友人に言ってみたそうなのです。
その時の伝え方は
「自分はセカオワの人と同じやつなんだ」
「それっけがあるから。いろいろ忘れるし」
「最近こればっかり聴いてる」「聴いてみますか?」と言われて一緒にiPod Touchで聴いた曲。
「『99戦中99敗♪』の心境なわけ?(゚A゚;)」と聞くと「まあ」


「大学では、言う気になったら言うし、言う気にならなかったら言わない。
でも、サークルとかで親しくなった人には、言いたいかも」

大学生くらいになったら、大切に思う人には
自分の言葉でこの特性を言えたほうがいいと思います。
あるいは、この人には言いたいと思える相手こそが
自分にとって大切な人になるのかも…


⑥「僕って困ってるんですかね?」
「親は僕のことを心配しすぎる」という流れから出た衝撃発言。
(念のため…コスモのご両親は共通認識を持ち、精力的に動いていますが
過干渉ではないと思います)

これはいったい「親に子離れしてほしい」以外ではどういう意味なんだろう、

1)勉強以外では、この特性は有利である/何ら問題ない
2)人より苦労しているが、他人の苦労と比較できないので分からない/
苦労しすぎて苦労に鈍感になっている
3)何か違和感を感じるが、自分の中のもやもやにたどりつけない

・・・いろいろ考えてみましたが、実は全部なのかもしれません。


⑦「自分みたいな人に会ってみたい」
私が最も心を痛めたコスモ発言は
何かの折に「これは保存して孫に見せなよ(笑)」と言ったときに
「自分は結婚とか子供とかとは無理だと思う、
親と同じような生活が想像できない」(T T)
結婚子供の是非はともかくとして、そこまで自信を失ってしまったのか・・・
と悲しくなりました。

しかしその後、
「実は一度だけ『この人となら分かり合える』と思える女の子に
高校で遭遇した。
その子は周りから『不思議ちゃん』と言われてたけど、
話してみたら自分にとっては全然不思議ちゃんではなかった(笑)
もう一度会ってみたいけど、今はどこにいるのかな・・・」
と話してくれました。

「この地球上で自分は宇宙人だと思ってずっと過ごしてきたけれど
同じ星から来た宇宙人に初めて出会った」
という心象風景が目に浮かぶようでした。


その後、メールでご連絡を下さっていたディスレクシア受験生の方々の存在が
彼にとっては心の支えとなっていました。

ディスレクシアの人は、他のディスレクシアに会ってみたいようです。
その後、何かに発展するとか、そういう問題ではなく、
どちらかというと、自分を確認するために
ディスレクシアの人に会って話をしてみたいと思うみたいです。

同期あるいは同年代のディスレクシアの人が、
先輩後輩みたいな感じで会って話ができる機会があるといいんだな・・・と感じました。


⑧あいさつはやっぱり大事かも?!
これ以外にも、毎週多くのインスピレーションを与えてくれたコスモ君とは
さぞ感動の別れになるだろうと想像していましたが、
彼は「あっ電車が来た」と言って
ば~っと走って行ってしまいました・・・・・( ゜Д゜)ポカーン
ADHDのなせるわざですね。。。
「大学生になったら、あいさつができるといいね!」と伝えたいです(笑)



コスモのご両親は、大学の勉強についていけるか、かなり心配しておられます。
私が思うに、大学生活は
・自由度が増す分、自己管理が大変、
・テストが相変わらず直筆+時間制限付きである、
・卒論がある場合は文章を書くのに苦労する、
・授業担当教員の間で「この子はディスレクシアだから」といった情報が共有されるとは考えにくい

一方で、
・授業で各種ツールを使える(スマホで録音・撮影)
・レポートで取れる単位も多い(=キーボードが使える)
・興味のある科目の割合が増える
・大学の試験は、友人と助け合って乗り切るものである
・たまたま、彼の進学先には発達障害支援センター的なものがある
(「大学名+発達障害」で検索すると、あればヒットします)
・となれば、教員に上手に直談判すれば配慮してくれそう
・なりたい職業などが明確にある場合、モチベーションを持ちやすい
・ゼミや研究室では、教員と密接に関わるため、杓子定規な扱いを受けない可能性が高い

なので、これまでより苦労は減ると思うのですが・・・
まずは大好きな音楽を取り戻して、大学生活を楽しんでほしいです!




2015-03-22

ディスレクシアでADHDなコスモ君の合格体験記(2)「彼にとって受験勉強は、自分への自信を取り戻す一歩だった」

前回のコメントでは、センター試験の配慮の話について、さまざまな角度からの指摘を頂き、ありがとうございました。
16年春からは障害者差別解消法が施行され、教育場面での合理的配慮の提供が義務づけられる(読売新聞より引用→★)とのご指摘もメールで頂きました。


まったく何の合理的配慮も受けずに大学入試に挑んだ
コスモ君の合格体験記の続きです。前回はこちら→★

今回は、かなり具体的なディスレクシア英語指導の話です。


☆  ☆  ☆

8月下旬に集中的に指導を行い、
受験業界で「構文」と呼ばれる、読解用の文法事項の確認を行いました。
(高2の3学期に予備校で使っているプリントを使用)
その結果、8月末には、SVO、主節と従属節、関係代名詞節、前置詞+名詞、
受動と能動、節の範囲について理解しました。
この頃の進みは本当に早かったです。
一気に高3の始めあたりまで来ました。

9月に入ると、大手予備校の授業を数コマ切り、英語は私と週2時間、
理系科目はご両親が知り合いに勧められたという
片道1時間半かかる個別指導塾に通い始めました。
英語は、大手予備校のテキストも使いながら、引き続き構文の確認。
この頃のことはこちら→★
ガンダムの単語帳を作り、少しずつ文章を読み始めたのもこの頃です→★

この頃、「個別と大手、どちらが良いか?」と聞いてみたところ
「大手は説明のうまい講師がいる点が良い。
高校の授業は全然分からなかったので、もっと早く行きたかった」。
大手を否定すると思っていたのでこれにはびっくり!
耳からの理解力が高いディスレクシアらしい指摘だと思いました。

この頃から最後までは、2時間の英語の指導以外に、
おやつを食べながら自由に話す時間を小一時間取っていて、
親の話、好きな音楽や楽器の話、ゲームや部活や友達のこと、将来のこと
ディスレクシア感覚やADHDのこと…実にいろんなことを話してもらいました。
彼はとても能弁です。
話が暴走すると、主語がなくなって「いま何の話してる?」になったり
時系列がよくわからなくなったりするのですが(笑)、
ガンダムワールドが現実と地続きと思わせるような話しぶりだったり、
すごく独創的な分析をしたり
(デジャビュについて語ってくれたのもこんな時でした)
思い返しても、時間が歪むようなインスピレーションに満ちたものでした。

後にも書く通り、彼にはこの時間が、合格するために必要だったと思います。

あと、コスモ君は「ボキャ貧」を自称していますが、
和訳や話しぶりからみた彼の言語感覚は、人並み以上に繊細でした。
おそらく、頭の中にある絵に言葉が追いついていないんだと思います。
圧倒的な脳内映像のごく一部しか話し言葉にできず、
そのまたごく一部しか書き言葉にはできないようです。


~ ~ ~

私が彼の真の困難をようやく分かったのは、9月末のことです。
もっと早く気付いていればと、申し訳なく思います。
それは・・・彼の英語に関する最大の問題は、構文ではなく、
単語がとにかく覚えられない点だったのです→★

「イメージ化できない単語は覚えられない」ことは本人も自覚していました。
なかでも抽象概念にまつわるものは、品詞を問わず大変です。
relation、improveなどは20回はテストしましたが、覚えてもまたすぐ忘れたり。
結局は良い方法が見つからないまま、入試に突入することに…

ディスレクシアは、エピソード記憶が強いと言います。
もし、高2くらいまで時間を戻せたなら、
覚えられない単語をひとつひとつ「体験」したらよかったのかもしれません。
(粘土で作ったり、演じてみたり、その単語を含む例文か絵を作ったり?)
でも、浪人の11月に、そんなことをする余裕はありませんでした。

~ ~ ~

もう一つの反省点は…
彼は転導に苦労していました。すごく気が散りやすいのです。
また、転導を抑えようとすると過集中になり、
その結果、彼の言葉によると「ぷっつんする」のにも苦労していました。
ぷっつんしてしまうと、授業中でもしばらく心ここにあらずになり、
気付いたら黒板がいっぱいに埋まっていることが、よくあるそうです。

なので指導中も、休憩や上のおやつタイムを入れたりして、
燃え尽きそうになる前に休むようにしていました。
信頼関係ができ、新しい薬(ADHD用)の効果が出てきてからは
転導しそうになったら「今は戻っておいで!」と注意できるようになりました。
これらは正しかったと思います。

しかし、転導の激しさゆえに宿題ができないというのは、盲点でした。

課題が途中までしかできなくても「いいよいいよ」と言ってきたのですが、
だんだん課題をこなさなくなってきました…。
「ここまでやっておいで」と言われたことができないと、
他の受験生と比べて、どうしても伸びは鈍ってしまいます。

(我が身を振り返っても、
途中でやらなくなってしまうのはADHDの問題だと思います。
ADHDのない純粋な(?)ディスレクシアだと、
やると決めたらとことんやり遂げる人が多い気がします)

視写も、12月に入ってフェードアウトしてしまいました。
視写はうちの子含め、複数の人で効果を確認している→★や★だけに、
その効果の第一発見者が最後まで取り組まなかったのは、残念でした。

強く言わなかったこちらが悪いのですが、
「もう一つの個別塾が夜遅くまである」「予習復習に時間がかかる」
「最近食欲もないし、夜は眠れない…」(彼はとっても細くて白い)
と言われると、
「それでも決めたところまで解いてきなさい」とは言えませんでした。
年末にかけては、体力も低下して大変そうでした。

宿題をきちんと出してもらえるような別のアプローチがなかったか、
悔やまれます。

~ ~ ~

一方、12月に入ってからセンターや志望校の過去問を読み始めると、
コスモの驚くべきディスレクシア的読み方が明らかになりました。
それは「単語の覚えられなさと表裏一体の高い文脈推測力」
とでも言うべきものです。

単語が覚えられないなりに演習をするにはどうすればいいか考え、
単語の意味を書き込んだ問題文を用意し、目の前で取り組んでもらいました。

単語の意味を書き込んだセンターの過去問。
12月末の時点で、これが解けるようになりました(時間と単語力さえあれば)。
浪人決定時と比べれば格段に力がつきました

このような形の問題文を作ると、
彼が普通とはまったく違う読み方・解き方をしていることが、明らかになりました。 

本文の前に設問を読みます(これは非ディスレクシアでも同じです)
違うのはそれからです。
設問のキーワードを本文中をスキャンするように探し、
見つけたら、本文はその前後だけを頑張ってじ~っくり読みます。
下線部があれば、下線部とその前の一文だけをじっくり読みます。
それだけで、問題に正解してしまうのはもちろん、
読んでいない部分の内容も、ほぼ正確に推測できるのです(!)

15秒の映像を10本見て2時間ドラマの内容を理解するようだと思いましたが
本人も「一瞬を見せられれば流れは分かる」と説明してくれました。
断片から全体が分かるらしいです。

内容一致問題では、
「この流れで、こんなこと言うわけないでしょう(プゲラ)」
「さっき○○と言ってたのと矛盾する。サヨナラ!」
みたいな調子で、とても直観的で的確な根拠を挙げていきます。

それに、一度読んだ内容はとてもよく覚えています。
私「そんなこと書いてあったっけ?」(一生懸命上から読む)
コスモ「ありましたよ。たしかこのへん」(視覚的に覚えている)
ということが、何回かありました。

ある単語の意味が分からないときに、別の大問の中にその単語を見つけて
そこから意味をあててしまうことも、たびたびありました。
暗号解読的な読み方ができるらしいのです→★

彼は文章を線形的なものとしてとらえていません。
語やフレーズを断片的に見ていて、その間を縦横無尽に飛び回ります。
だから細かい抜けはいろいろあります。
でも、全体として言いたいことは、非常に正確に把握しています。

~ ~ ~

もし、普通の人の2倍くらいの試験時間が与えられたら、
大学側の想定しない解き方で、かなりの高得点を出すことでしょう。

でも実際には時間切れで完答できず、合格点にはなかなか達しません
(´・ω・`)

それでもなお、彼は「学力が足りない」のではなく
「実力があるのに、それを学力として評価してもらえていない」
のだと、私は断言できます。
何しろ、文脈は非常に深く正確に、把握しているのですから。。

~ ~ ~

現行の中堅以下の私大入試では、
読解問題であっても、設問は一字一句レベルを問うものが中心です。
ディスレクシア的には最も不利なタイプの問題です。
(滑り止めが全敗だったのは、このあたりのことも関係していると思います)

実は難関大になればなるほど、全体理解を問う問題が増えるので、
その点ではディスレクシア的には適していると言えます。

または、推薦を狙うのも手だと思います。
(この話をコスモ君に振ったら「提出物が出せなかったので評定でムリ」
と言われてしまいましたが(- -;))


本人には言いませんでしたが、12月くらいには
「もう一年頑張って、あらゆる手を使って単語さえ覚えれば、
第一志望はもちろん、その上も狙えるのでは?
辞書持ち込み可で文章が超難しい大学(例:慶應文学部)などは
実はかなり有利に戦えるのでは」と思うほどでした。

でも、第一志望でなくても大学生になれてほっとしているコスモ君を見ると
「もう一年頑張って実力を正当に評価してもらおうよ」とは、全く思いません。
それに、「単語さえ覚えれば」と言うのは簡単ですが、
実際はこれが、本当に本当に大変なので…

~ ~ ~

以上の勉強は、コスモ君にとってすごくハードで辛いことでした。

しかも彼は、受験勉強にモチベーションを持ちにくい状況でした。
というのも、もともと勉強面での自信を失っていたのに加え、
彼は弦楽器に並々ならず傾倒していた(いる)のですが、
私と会った頃は、それを職業にすることを諦めたところだったからです。
私が目にしているコスモは、音楽を諦めた「抜け殻」なんだと
感じることもよくありました。

では、どうやってモチベーションを作ったのか?
ここがうまくまとまらないので、とりあえず箇条書きにしておきます。

・ ディスレクシア向けの勉強をすることで、
英語が少しずつ読めるようになると、
モチベーションも上がった。
→つまり、目的と手段がいつの間にか逆転していました(?!)

・徹底的に自分語りすることは、自信を回復するには
どうしても通らなければならない道であった。
→それまで「そろそろ戻ろうか」と言ってようやく勉強に戻っていた彼が
(あるいは、そう言っても戻って来れないことも多々あった彼が)
2月に入り、ついに自分から「そろそろ勉強に戻りましょう」と言ったとき、
ようやく勉強する体勢になったんだ・・・と感慨深かったです。

・11月・12月と進むにつれ、不思議と表情が明るくなっていった
(言うまでもないですが、普通は逆です)
模試の数字は第一志望に届くまでは結局はいきませんでしたが
「この調子なら、まるで現役のように、前日まで伸び続けるだろう」
と思わせるものがありました。



コスモ君の英語の受験勉強は、
単語力や速さの点では道半ばで終わりましたが
自分への自信を取り戻す手段としては、それなりに効果があったと思います。
音楽以外に目指したい職業も見えてきました。
大学生活を通じて、さらに自分への自信を深めていくと思います。

☆  ☆  ☆

コスモ君本人に、受験と今後について、話を聞きました。
次回はその内容を紹介します。→★

2015-03-17

ディスレクシアでADHDなコスモ君の合格体験記(1)

この記事が書けて、しみじみとうれしいです。
合格するまで、まとまったことを書くのは控えようと思っていたら、
書くべきことが膨大になってしまいました。
ディスレクシア受験指導の参考になるように書きたいです。
今回は、個別指導を始める前のことと、お母様の手記です。
それでは、行きます。

☆  ☆  ☆

ADHDでディスレクシア(書くのが遅い系)で、
圧倒的な音楽の耳を持ち、遊戯王とセカオワとガンダムが好きなコスモ君は、
このたび、某総合大学の理工系学部に合格しました。
これまでのことは→★

現浪通じて初めて完答できた試験で、唯一の正規合格を果たしました。
他に1つ補欠合格。これより下のランクの滑り止めは全敗です。

センター英語は、現役60点台→浪人100点強(模試での最高は120点台)
合格した大学の点数開示によると英語は4割、数物は9割の出来でした。
「理系は理系科目が合否を分ける」を地で行く展開です。
(英語担当としては、ちょっと申し訳なく思います…)

~  ~  ~

コスモのお父様から初めてご連絡を頂いたのは、高3の秋でした。

県立二番手高校入学後から何かがおかしいと親が感じ始め、
ほうぼうに相談してADHDでディスレクシアとの診断を受けた、
学校の成績はどん底だが、学校に相談しても
単なる勉強不足だと言われ取り合ってもらえなかった、
予備校系の個別指導塾に行っているが成績は伸び悩んでいる、
どうしたらよいか…といった内容だったと記憶しています。

浪人が決定した3月に、お母様と本人と初めて会いました。
初対面のコスモ君は「ぼわ~っとしている」印象でした。

その日はお母様ともっぱら話をしました。

行政の発達障害相談室にも行き、有名病院での診断も受けていて、
私などより、よほど手を尽くしておられました。

そして、高校側の心ない言葉に、傷つき疲れ切っていました(ノД`)。
本人もさぞかし傷ついただろうと思うのですが、
それに劣らず、お母さんも精神的に八方塞がりの状況でした。

本人にセンターの問題を少し読んでもらったところ、
第2問(文法)の選択肢の単語もまともに読めませんでした。
このときの英語力は中3レベルと思います。
(念のため:彼は高校入試を突破してます。)

お母様が席を外したすきに、初めて直接話しました。
あっけにとられたのはこの時です。実は彼はめちゃくちゃ聡明なのです!
これは私の洞察力がすごいという意味では、断じてありません。
ちょっと話すだけで、語彙は豊富だし、頭の回転はいかにも速そうだし、
賢い子だとすぐ分かりました。

(その日の心境について、後になってたずねたことがあります。
「『親には黙って従うしかない』ような気持ちだったの?」と訊くと、
「そんなことはない。親がすることは基本的に信用しているから…」
とのことでした。)

ともかく、いくら賢くても、設問の単語が読めないディスレクシア受験生が、
大手予備校の大教室の授業で力がつくとは思えませんでした。

なので、帰りがけに
「まずは構文をしっかり固めたほうがいいよ。
たぶん××ではそれは無理だよ。これじゃダメだと思ったらいつでも連絡してね」
くらいのことは耳打ちしたと思うのです、が、
4月から彼は某二大予備校の私大理系クラスに通い始めました。

果たして、6月の模試では、英語の偏差値は30台、
理系科目に至っては20台だったそうです※。
この結果に絶望したご両親からご連絡を受け、個別指導が始まりました。

(※私の予備校講師的経験をもとにした予感があたったのはここまで。
その後の彼の軌跡は、普通の受験生とはまったく異なるものでした。)


お盆の頃、私が教える某現役予備校の講師室に現れたコスモ君は、
ひょうひょうとしていました。(道に迷わず、時間通りに来ました。)
ご両親が奔走し振り回されていても、本人は台風の目のように静かで明るいのです。
これは最後までずっとそうでした。

~  ~  ~

ここから具体的な指導の話が始まるのですが、
その前に、お母様に書いて頂いた手記をご紹介します。



コスモ母です

もじこさんのプログを通じ、コスモを応援していただきありがとうございました。
桜、咲きました。新しい春を迎えることができうれしいです。
多くの方に支えて頂いたお陰です。

ちょうど一年前、浪人を決めましたが
この一年間は怖くて不安でどうにかなりそうでした。
高校在学時の成績は全教科、海底のヒラメとしか出会わない状態で
それでも楽しくのんきそうに高校生活を過ごしている彼に焦る気持ちから怒り、
時には罵詈雑言を浴びせる日々でした。
躓いている原因が解ればとの思いから、彼の気になる事象を一つづつ
明らかにしていきました、辛かったですが必要なことでした。

躓きの大まかな全体像が解るまで2年以上かかり、
そこからスッキリするのではなく、心の葛藤が始まりました。
彼は学業の成績において結果は出ないが、前向きな精神で明るく
心身ともに健全です、ただ学業の習得と不器用さは…。
学業の習得に困難さがあると解っても、彼の在りのままを受け入れず、
この状態ではダメだと言い続けてるのは親の私のエゴではないか…。
一方、いずれ親は先に死ぬのに、成果主義の現代社会に適応させるのも
親の責任なのではないか…。等々。

現実には、成績低迷で親として自信を無くし、大学によしんば入学しても
その先が…と思い悩みましたが、相談に行った先々で伸びしろは十分ある、
工夫次第で可能だと背中を押してもらい、彼もまた四年制大学を強く希望したので、
病院の先生の勧めもありセンター試験の時間延長の申請のために、
高校に診断書を提出しました。

結果から言いますと、支援を得られず、
センター延長申請には至りませんでした。
学校側からは
『各教科の先生に確認したが
授業態度は真面目で赤点でない、問題を感じない。
県立の中上位校なので成績低迷しているのでしょう、心配しすぎじゃないですかと。
進路は相談しないといけないでしょうね〜』最後にはボソボソと
『こんな子大学に行ってどうするんですか』 と。
世間からの強烈な一撃でした。世間はそんなもの認めないと…。
先生は心配でなく呆れてるんだと、恥ずかしさ、悔しさ
理解してもらえないかと、諦めの気持ち、ありとあらゆる感情が胸の中で
一挙に交差しその後も、今も残響音のように胸の奥で響いています。
何度も心がくじけてしまいそうになりましたが、
その度に色々な方の支えや励ましで頑張ることができました。
もじこ先生はじめ多くの方々に心から感謝いたします。
これからも、彼の特性には付き合っていかねばならず、
困難が待ち受けてるとは思いますが、
この一年頑張れたことを糧に進んでいきます。
ありがとうございました。

~ ~ ~

センター試験延長申請って、高校側の承認が必要なんですね。
ということは、高校側にディスレクシアの知識がない場合、
認められる可能性はかなり低いですね…

あと、その教師のとどめのセリフはひどすぎます(´;ω;`)
うちも小学校の教師にずいぶんひどいことを言われましたが、
そういう言葉は何年も、精神を蝕みますよね…

しかし、コスモ君の受験物語は一応ハッピーエンドで終わります。次回に続く!→★


2015-03-03

隠れディスレクシアの高校生へのお返事

高校生の方から、「隠れディスレクシア」の記事にご質問を頂きました→★
お返事が長くなりましたので、ここに載せます:

~~~
壱さんへ。

10代半ばにして「私の人生は動物に捧げる」と誓ったんですね。
よほどの体験があったんでしょうね。素敵です(^◇^)。

こちらはもうご覧頂けたでしょうか:
「ディスレクシアは動物の扱いが上手」→★


「動物感覚」
著者のテンプル・グランディンさんはアスペルガーの動物学者です。
アスペルガーと動物の気持ちには、共通点が多々あるのだそうです。


◆ディスレクシアのカミングアウト?について

早速ご両親の理解を得られてよかったですね。「個性に名前がついただけ」と言えるご両親は、度量の大きい方々ですね。

ディスレクシアな生徒達の話を総合すると、信頼できる人や分かってくれそうな人(部活の仲間、信頼できる教師、親友など)にだけ、「ディスレクシア」という言葉を使わずにさりげなく、自分はそういう系の人だと言うみたいです。
専門用語を使って分かってくれそうな人には、ちょこっと使ってみたり。
相手が知っていそうな有名人の名前を出して「あれと同じ」みたいな言い方をしている人もいます。

言ってみると、意外と分かってもらえたり、自分も実は…みたいな話になったり、助けてもらえたり、ということがよくあるらしいです。
なので、相手を選んで、ちょっとずつ、さりげなく言ってみることをお勧めします。

逆に、理解してくれなさそうな人については、無理に分かってもらおうとしないほうが得策です。たとえそれが担任などの重要人物であっても。
これが2015年のディスレクシアをめぐる日本社会の現状です。
10代の人にこういうことを言わなければならないのが情けないです。。


◆検査について

診断がほしい場合は、発達障害を専門に診る病院に行くことになります。ここでは特定の病院を挙げることは控えますが、もし知りたい場合はメール下さい(mojiko222アットgmail.com)。このブログの読者の方々から教えてもらった病院をリストアップすることができます。

壱さんの場合、診断をもらう最大のメリットは、センター試験で診断書を提出して申請すれば1.3倍の時間延長を認めてもらえる点だと思います。これを有利と感じるのであれば、診断をとって損はないでしょう。

一方、診断をもらったからといってディスレクシアは治りません。ディスカリキュリアもしかりです(- -;)。

ディスレクシアは診断が下ろうが下るまいが、自分がそうだと自覚したら、
(1)得意を伸ばして周囲に貢献する、
(2)不得意なことはあえてしない・助けてもらう・失敗しても大目に見てもらう、
(3)不得意を通常とは異なる方法でカバーして、傍から見て不得意が存在しないかのような状態を作り出す

…を、ずっと微調整しながら実践(試行錯誤とも言います)し続けるもので、治療して治すものではないです。

壱さんも、すでに(3)の方法をいろいろ持ってますよね?「名前は呼ぶ可能性のある人だけ全力で覚える」や会話の掌握の仕方は、まさに不得意をカバーする戦略ですよね。
(ところで、名前はディスレクシア的には覚えにくいことの一つと皆さん言います。うちの子も小5あたりですでに、「相手の名前がわかんない時は『お前、名前なんだっけ?』て聞くわけよ。そうすると『ハァ?スズキだよ』って言うからさ、『違う違う、下の名前だよ』って言うわけ。そうすると教えてくれるじゃん?そうやって人の名前を聞き出すのさv」などと得意げに言ってました(笑))

で、「隠れディスレクシア」の人は、こういう戦略をたくさん持っているようです。
そうすると、検査をしても引っかからない可能性があるようです。何しろ「隠れ」なのですから。。

なお、ディスレクシアの診断に最も使われているWISC-IVという検査には16歳11ヶ月までという年齢制限があります。

~~~

以下は質問からは外れますが、よろしければ。

◆特定の周波数が聞こえない
三歳からピアノを習っていたため、絶対音感はあるのですが、特定の周波数(電子音のソなど…精密検査はしていませんが、自分で把握はしています)が聞こえません。難聴だと思っていましたが、これはディスレクシアが関係あるのでしょうか?
「特定の周波数が聞こえない」のは、ディスレクシアと関係あると思います(!)

「トマティス」という聴覚トレーニングがあります→★
すべての周波数の音をバランスよく聞けるよう聴覚をトレーニングすることで、発達障害をケアするというものです。
私は子供ともども、トマティスの自宅トレーニングを去年の夏から秋に受けたのですが、いまだにじわじわと変化が来ています。
壱さんのように、「特定の周波数の音が聞こえない」という自覚がはっきりある人なら、奥深いところから効果があるような気がします。。。一応、お知らせまで。
トマティスのリスニングチェックテスト→★



◆受験勉強について

私は予備校講師(英語)という職業柄、進学校に通うディスレクシアも毎年見て来ました(現在の担当クラスにもいます)。やはり非ディスレクシアと比べるとケアレスや誤字がどうしてもなくならなかったり、日本語にまとめるところで苦労するケースが多いです。それをまた人一倍のがむしゃらな努力でカバーしようとします。

ディスカリキュリアとなると、さらに知られていないので、単に「数学が超絶に不得意」で片付けられていることが多いと思います。

「定理を覚えられないのでいちいち証明しなければならない」は、当ブログにもたびたび登場するコスモ君もまったく同じことを言っていました。
ある意味、それができるほうが賢いと思うのですが、でも入試では大変ですよね。。


あくまで一般論ですが、進学校に通う隠れディスレクシアにとっては:

・客観式よりも記述式の試験問題のほうが得意
私大よりも国公立の問題のほうが、基本的には向いています。

・大量の問題をすばやく解くよりも、少ない問題数をじっくり解く入試のほうが得意
前者の筆頭は東大です(苦笑)。ケアレスミスに厳しい、スピーディーな処理が要求される、そんな東大入試はディスレクシアにはとことん優しくない試験です。

・満点競争よりも、難問のほうが有利に戦える
易しい問題を出し、満点近い点数を取らないと合格できない大学(地方総合大学の医学部など)はディスレクシアにはかなり不利だと思います。それよりもひらめきを要求されるような難問を出題し、合格者平均が低めの入試のほうが、ディスレクシア的には有利です。


・・・という傾向があるかと思います。

とはいえ、一番大事なのは、行きたい大学・学部を自分の意思で選び、そこに入りたいというモチベーションをしっかり持つことです。「ディスレクシアは普通の人よりもモチベーションの力に後押しされる」と「隠れディスレクシア」の原著者も言っています。

きっと壱さんは、そのあたりの問題はクリアしていることでしょう…!

何か質問があったら、また遠慮なくどうぞ。


2014-11-15

ディスレクシア大学受験生にとっての英文視写の絶大な効果について

前記事では、ジョリーと診断について、すごく学ぶことができました。
山下先生、もんきちママさん、ぴろりんりんさん、離島の匿名さん、本当にありがとうございます。

道村式漢字カードも、予想以上に当ブログにお越し下さる方の間に浸透しているようで、びっくりしています。
週明けまで使用の感想を募集しています。
1行でも大歓迎です。お待ちしています!

------------
ジョリーで盛り上がったところ恐縮ですが(?!)、視写の話をさせて下さい。

どうやら、ディスレクシア大学受験生にとって、視写は効果絶大です!

~これまでのあらすじ~

・コスモ君(浪人生)に、
単語暗記用に、興味のある文章の中で単語を強調したものを渡したら
頼まないのに全部写してきて「書いたほうが覚えられる」と→★
↓
・Kさん(社内翻訳者)に、視写を勧めたところ、
「書きながらのほうがわかる」「書いていて楽しい」と→★
↓
・小学生と大学受験生・大人だと視写への反応が違うぞ?!→★
と思いつつ、コスモ君と本格的に視写開始
↓
・ちょうどその頃、ブログに
「隠れディスレクシアな気がします。英語だけできなくて焦ってます。
何をすればいいでしょうか」
と受験生から問い合わせがあったので、視写を勧めた
↓
・この受験生さん、開始1週間後で受けたセンター模試の点数が、
前回から60点近く上がったそうです!!!
コスモ君も2週間の視写により、病み上がりにもかかわらず
同じ模試で50点上がりました!!←今ここ

あまりに短期間で結果が数字に出たので、私のほうが恐ろしくなってます。

さらに50点アップが目標です。(センター英語筆記は200点満点。)

今の時点で分かっている、受験生用の視写について、整理しておきます。

☆  ☆  ☆

大学受験生で
・自分なりに英語を頑張っている
・他教科はそこそこできる
・高校入試はなんとかクリアした
それなのに英語が極端にできない
(センター90点以下、他教科より3割以上低い)人は、
ディスレクシアを疑ってもいいかもしれません。

こういう人たちには、英文の視写が効果的な可能性があります。

18歳になったディスレクシアは、

・「読解」はできるが、「解読」でつまっている。
解読(字を読む)さえできれば、読解(内容を理解する)はたやすい
・単語の意味を覚えるのに、文脈が絶対に欠かせない
・読解のミスは、多くの場合、簡単な単語の解読ミスが原因
・普通の人以上に、文章に対するモチベーションが理解に関係する

という観察をもとに、

・徹底的に解読を練習する
・文脈の中で単語を覚える
・簡単な単語の解読ミスをつぶしていく
・以上を、志望校の入試問題を使い、常に努力をたたえながら行う

を実行してみました。

以下に方法を書きましたので、
これを読んで「自分も試してみよう」「試してもらおう」と思う人は、
まずは5分、続けて書いてみて下さい。

最初は、センター試験の視写をお勧めします。
難易度や単語がコントロールされた文章だからです。

本文の英単語の横に日本語を入れたものを、用意します。

覚えるべき英単語の訳が赤になっています。
日本語の意味を、英単語の直後に入れるのがポイント。
 PCの画面を撮ったのでハレーションが。。すみません


(ご連絡頂ければ、データ[Word版]をお送り出来ます)

この英文をひたすら写すのが、視写です。

ディスレクシア的受験用英文視写の目的は、
単語を暗記することと、一つひとつの単語を正確に解読することです。

ディスレクシアなら、初日は本当に少ししか書けませんし、すごく疲れます。
コスモ君は初回、混乱しながら2行半しか書けず、
終了後は倒れこんでいました。

どこを書いているのか分からなくなったり、
スペルミスや抜けが頻発したり、
2度同じところを書いたり、1行抜かしてしまったりします。

それが、黙読でどんな解読ミスをしているかを示しています。
そのミスをつぶし、疲れずに書けるようになれば、点数は上がります。
視写はこういう疲れやミスを減らし、
解読のための基礎体力をつけるトレーニングです。

☆手順☆

(1)視写する
・原文とノートを並べ、一字一句正確に写す。
・1回5分から始め、最終的には1回10~15分。
・休憩を入れず、一気に書く。
・以上を守れば、あとは自由。自分が疲れずに書ける方法を模索する。
↓
(2)単語を覚える
・分からない単語が多すぎる場合は、先に覚えてもよい。
↓
(3)単語を完全に覚えられたと思ったら、文章を読む
・このとき、単語の意味が分かると思えたら、ひとまず合格。
・この時点で内容把握。(1)では完全に内容が理解出来なくてもOK。
↓
(4)関係する設問を解いてみる
・ディスレクシアは、字が正しく解読できれば、内容は理解できているので、
これはおまけのようなもの。
・全文を書いてから解いてもよいし(つまり数日に1回)
 15分終了後や、1パラグラフ単位で解いてもよい。
↓
(5)フィードバックを受ける
・視写のフィードバックを受けるのがポイント。これで効果が倍増する。
・教師は、解釈や設問にかかわる書き間違いのみ、指摘する。
×解釈を左右しないミスは、特に指摘しない。
×減点法的な指摘はしない。
・その他、視写そのものや内容の感想を言ってもらう。
◎ポジティブな変化を指摘できるとなおよい。
↓
(以下オプション)
↓
(6)音読
・視写したノートを音読してもらい、大きな発音のミスがあれば直す。
・意外と、基本的な単語の誤読が明らかになることも。(warmとwormなど)
・解読ミスを確認するためなので、過度な発音の美しさは求めない。


☆Q&A☆

Q:15分以上、続けてもよいか。
A:あまり続けると疲れすぎ、その後の勉強に差し障るので、避けるべき。
  これは、集中しすぎて燃え尽きないための訓練でもある。

  (とはいえ、やり始めるとすごく楽しいらしい(!)ので、
  後に何もないなら無理に止めません)

Q:どのくらいの量、視写するべきか。
A:量ではなく、時間で区切るとよい。時間が来たら、途中でもやめてよい。
  
 どうしても区切りのよいところまで書きたかったら、書いてもよいが、
 「あとちょっと書けるな」と思うところで、あえておしまいにしたほうが、
 長期的には伸びます。

Q:1日何回、視写するべきか。
A:1日1回以上、好きなだけ。
  1回を長時間するより、すきま時間を見つけては視写する方が◎。
 「5分でも時間があれば視写しています」(by受験生さん)。最高です。

Q:手が疲れるのですが。
A:これは手の訓練ではないので(笑)、
  弱い筆圧でも書ける筆記具(水性ボールペンなど)を使ってよい。
  短期記憶の訓練なので15分は続けるようにして、
  頭より先に手が疲れてダウンしないように。

  (続けるとペンだこが復活するそうです(byコスモ))

Q:あまり単語を知らないのに、いきなり文章の中で覚えていいのか。
A:もちろんです。ディスレクシアは文章の中で単語を覚える人種です。
  安心して文章の中で覚えて下さい。

Q:どのくらいの難度の文章を使うべきか。
A:センター英語から始めるのが効果的と思われます。
  その後は、日本語で読めば内容が理解出来る程度の入試問題を。
  いきなり志望校の入試問題の視写に取り組むのもありです。
  
  言っていることが理解出来ないほど難しすぎると、
  単語の暗記が進まないようです(一回、素材選びに失敗しました)
  易しすぎる文章は、効果はありますがモチベーションが下がるよう。

Q:単語の意味を横に書かない文章で、視写をしてもよいか。
A:まだ試していませんが、
  ある程度単語量の蓄積ができたら、おそらく効果的。

Q:どの程度の英語力から、取り組むことができるか。
A:構文の一番基本的な部分※は、入っている必要がある。

(※主節と従属節、前置詞の係り方、andの並列の仕方、
-ingのいろいろ、-edのいろいろ、thatのいろいろ、toのいろいろ)

この部分はディスレクシアであるなしに関係なく、
教師から教わるのが一番効率的。
また、たいていの生徒は(断片的にせよ)入っている分野でもある。
とはいえ、どうしても自習で確認する必要があるなら、以下の本がお勧め。

『英文熟考』
内容も良いし、
解説がCDになっている(!)のがディスレクシアに優しい


上下2巻でが、ディスレクシア的には、
センター150点を目指すなら、上巻だけで十分。



Q:視写の目的は。
A:ディスレクシア的な英文視写の目的は、
  単語や文字のレベルで、正しく読む能力を高めるため。
  また、短期記憶や、1文字・1語・1行を追う力を向上させるため。



びっくりするほど地道な方法ですが、まずは1週間、試してほしいです。
本当に変わりますから…

☆  ☆  ☆

視写を本格的に開始して2週間目のコスモ君に、いろいろ聞いてみました。

Q:視写の良い点は?
A:・・・・・・・・強いて言えば達成感?(笑)
  実はけっこう何時間でも続けられる。最長で自習室で3時間(!)
  (ADHDの発言とは思えません)

Q:なぜそもそも、全文書こうと思ったのか?
A:最初にガ×ダムの文章で単語を覚えていたときに、書きたくなった。
 書いたら意味が分かったので、続けていった。

Q:和訳は書かなくてもよいと思うけど、どうしても書きたいの?
A:書くことで単語を覚えられる。


目の前で10分、視写をしてもらいました。

・音楽を聴きながら視写をする(10分ぴったりで終わる曲をセレクトする)
 最近のお気に入りはラフマニノフ。
・視写しながら、覚えるべき単語も色分けする。これは譲れないらしい。
・字を美しく書きたいという思いがあり( ̄□ ̄;)、
 「本当はこのf は書き直したい」etc.と思いながら書いているらしい
・波に乗ると、すべての動きが協調しており、スペルミスもない。
 一度崩れると、「どこ読んでたっけ?」となるし、スペルも間違う
(「快調に書いていてスペルを間違う」ということはない)
・ノート見開きを大きな1ページとして使っている。
 1文を1行で書けるので、後からいろいろ確認しやすい。

・10分かけて書き終わったら、その後に訳を書く。
この過程で単語を覚えるらしいので、これも譲れないとのこと。
(ちなみに彼は、言語感覚が非常に鋭く、
 職業的翻訳者であるわたくしが「言われてみたらそうだねorz」
 と思うような訳語をつけることもしばしばです)
・視写の間は何かとぶつぶつ言っている。「あっ間違えた」など。

10分でこの分量。(訳はその後書いています)
たった2週間で、書ける量、字の力強さ、集中力…ものすごく変わりました

たった2週間でも、ずいぶん書けるようになりました。
前よりリズム良く書けているので、字がいい意味で「雑」になりました。
(「さらに雑に書こう!」と確認しました)

視写の効果は、あっという間に模試の点数に表れました。
が、効果はそれだけではありません。

過集中でも散漫でもない、決めた時間だけ書き続けられるような
「普通の集中」ができていること、

∞や「いちごのショートケーキ」(効いたそうです)もあってか、
見る力が明らかに増していること、

そんなこんなに伴い、自分に自信が持てるようになってきたようで
雰囲気や話し方まで変わってきました。

視写をするのは、あくまでも志望校合格のためですが、
そういう根底的な変化も、大きな産物かもしれません。
…というくらい、ディスレクシア受験生の視写は効果絶大です!

☆  ☆  ☆

最後に、視写指導をする人へ。
これは、一見すると非常に地味な行為ですが、
教える側には、生徒が何に苦労しているかを見抜こうとする姿勢が問われます。
単なる○×の採点ではなく、もう2段階くらい字面の奥に行くイメージです。

生徒の実力にぴったりあった素材の選択、
スルーすべきミスと、建設的指摘につなげるべきミスを見分ける力、
そして、生徒の意欲の芽を大事にして励まし続ける力が要求されます。




2014-10-01

ディスレクシアな研究者が振り返る、中高時代の勉強方法

前記事に対し、komariさんから、大変有益なお返事を頂きました。
ありがとうございます!

komariさんは生物系研究者で、ご本人曰くディスレクシアです。
これまでも当ブログに、自己分析のできる大人ディスレクシアとして、
勉強方法について実に貴重なコメントを頂いています。
これを機会に、頂いたコメントを改めて並べてみました。
なんとも読み応えがあります!
(komariさん、不都合がありましたらご一報ください)


◆「隠れディスレクシア」へのコメント


はじめまして。 ディスレクシアで検索していてブログにたどり着きました。
ずっと、どうやら人とは違った理解の仕方、勉強の仕方をしているらしいと感じていましたが、ようやく去年、ディスレクシアではないかと思い至りました。 ようやく長年の謎が解けた!とほっとしたところがありました。
とはいえ、本を読むのは好き、英語も長文読解は得意ですし、勉強は割とできる方だったので、本当にそうなのか分からないところもありましたが、この「隠れディスレクシア」を読んで、まさにコレ!と思いました。
スペルミスは多い、設問は読み飛ばし、何度ケアレスミスで点数を落としたことか。 
過集中、左右の区別が困難、でも空間認識は高い、というのもあります。 
また、授業はほとんど聞いたことがなく、今でも耳からの情報処理は不得意ですし、話を聞いてすぐ、自分の頭の中で要約し、質問や意見を言うことが困難です。 (現在の立場上、それを求められているので、今後の課題です。) 
私の場合は、小学生→中学生→高校生へ向かうにつれて、勉強が楽になりました。 単純な計算や漢字、英語のスペルの問題が減っていき、理解度を問う試験が増えたからだと思います。 ただ、そこまで勉強の方法や、理解できなかったときのフォローなど、両親がきちんと見てくれたからだと思います。 
学生をみていて、隠れディスレクシアかな?と思う人もいます。私もうまくアドバイスできるように工夫をしていきたいと考えてますので、いろいろ参考にさせて頂きますね。
→このコメントを初めて見たとき、「両親がきちんと見てくれたの部分を詳しく~!」と思ったのを覚えています。今回それに答えて下さり、ありがとうございます! 
「ディスレクシアは字や語は苦手だが、文や文章なら得意」 という、私がこの数週間で実感したことを、すでに教えて下さっていたのですね、、

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へのコメント

・・・ところで、ディスレクシアの人は、周りが楽しくなる 雰囲気を持っているのですか? そういうデータや記事ってあるのでしょうか? 私は学生たちに、聞き間違い、言い間違い、書き間違い いろんな勘違い、独特な言い回し?をしょっちゅう からかわれています。 今に始まったことじゃないのでいいのですが、 馬鹿な先生と思われていないか心配です(^^)
少し話がずれますが、当時の返信もコピーしておきます。
→komariさん、再訪ありがとうございます! 私の大学の指導教官もディスレクシアでした。 聞き間違い・言い間違い・書き間違い・勘違い、めちゃくちゃ多い人です。 でも、本質をつかむ能力と圧倒的な俯瞰能力があるので、そういう間違いが小さく見えます(笑) 常識を疑ってかかるスタンスで、誰にもできないような指摘をずばずばする人です。 教授会では破天荒発言を連発するので変人扱い。 でも弱い立場の人に優しいのでいろんな人に慕われている。。 komariさんにも共通点はありますでしょうか?  
このブログを通じてメールを下さる方の話を総合すると、 ディスレクシアは「愛されキャラ」の人が多いようです。 ディスレクシアである子供やご主人が空気を読み、場を盛り上げ、誰とでも分け隔てなく接するので大人からも子供からも好かれ、友人は多い…という報告を多々頂いています。 データや記事はないですが、私も自分の周りのディスレクシアを見ていて、その通りだと思っています。

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このコメントの少し後、komariさんにお目にかかることができました!
とっても可愛らしい(失礼!)、ほんわかした愛されキャラでした。

大学特有の書類仕事は本当に大変なので午前中に終わらせる、
論文は決まった形式に沿っているのでそれなら書ける、
英単語はもやもやにぴょこぴょこ手足が生えているように見える、
味覚が非常に鋭く、同僚との食事会も憂鬱だったり、
自分で料理してもめったに満足できない
(うちの子も味覚は非常~~に鋭いです)
専門分野では人が気付かないつながり(セレンディピティ)に気付くことが多いと評されている、
だから「ディスレクシア」を「セレンディピティスト」と呼びたい・・・

などなど、ディスレクシアの話で大いに盛り上がりました。
文字も拝見しましたが、筆跡からはkomariさんがディスレクシアとは分かりませんでした。

その時のことを書こうと思っているうちに、あっという間に月日が流れ、、

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ご無沙汰しております、komariです。 もしや登場?と思いましたので、コメントします(笑) 
お会いしたときも伺いましたが、ディスレクシアでない人たちは最初から本を読むものなのでしょうか。 ストーリーのある小説などはもちろん最初から読みます(正確には視覚的に見て理解します)が、専門書や論文はほとんど拾い読みです。目的とする単語をやはり視覚的に探し、その前後を読む、というかんじです。 論文については学生の時、1日1本読む訓練はしましたが、あれは苦痛でした。
そういえばこの時も、ほかも頭を使う仕事は朝やることが多いですね。夕方以降は頭が疲れて思考能力が著しく低下しますから。 
私にとって漢字は強いイメージを与えてくれます。象形文字だからだと思いますが、漢字と絵を結びつけて、その漢字の意味や成り立ちを理解すると覚えやすい気がします。

→「ディスレクシアにとっては、
本は最初から全部、一言一句通読するものではないようです。
目的意識と全体の中での立ち位置を明確にすることで
自分から情報を取捨選択しに行くという、
非常に能動的な読書の仕方をしていると分かります。

そういえば、研究者でディスレクシアという別の方からも、
以前に同じようなことを伺いました。」
と書いたところ、出てきて下さいましたm(_ _)m
次も、これをお読みの、ディスレクシアで英語を使っている方、「自分はこうやって英単語を覚えた」というのがあったら、ぜひ教えて下さい!! という呼びかけに対し、出てきて下さいました~m(_ _)m

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英単語は覚えられませんでしたね-。中学生の時は、単語帳や単語カードを、周りをまねして作ったりしていましたが、ほとんど意味がなかったように思います。高校では長文読解は苦にならなかったので、単語のみを覚えるのは諦めて、長文を読んで語彙力をつけていました。ストーリーがあると覚えやすいですから。

あとはよく、NHKの英会話ラジオなんか聞いていましたね。発音をまねて練習していたのが良かったのかもしれません。あれもテーマに沿った場面設定があるから、効果的だったのかも。
それに英語は、アクセントや抑揚が重要ですよね。ネイティブをまねて抑揚をつけながら声に出して読むのも、流れが出来るからディスレクシア的学習方法に合っている気がします。

それにしても、普通は構文が苦手なんですね。私は未だに構文を使います。特に複雑な長い文章をしっかり読み込む必要がある場合は、SVOを記入することもありますし、接続詞を区切っていきます。
学生が構文をしっかり把握できてないことが多いのに納得しました!


→これに対し、次のように返信いたしました: 
「中学では単語帳を作ってもほとんど意味がなかった」と「高校では長文読解は苦にならなかった」の間の飛躍が知りたいです… 
前にkomariさんがおっしゃっていた「単語がもやもやとしたかたまりに、上や下にしっぽが出ているように見える」発言は、非常~に印象的でした!その状態で読めるというのは、流れと構文が分かっているので、単語のあたりがつくのでしょうね?!
そして前記事に頂いたコメントがこちら。
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こんにちは。komariです。
コスモ君、突破口が見つかって良かったですね!
この前の「単語帳→長文読解」の間について考えていたら、先を越されたようです(^^)

「興味のあること」については、まさにその通り!
私の受験勉強は、好きな科目と苦手な科目を組み合わせて1日2科目構成にしていました。
実際には、科目の中に好き嫌いがあったので(例えば化学は有機は好きだけど、他は苦手など)、そこも考慮していた気がします。
苦手なことを勉強すると頭が疲れてなにもできなくなるので、好きなことを勉強して気分良く集中できるようになってから苦手なことに取り組んでいました。

「単語帳→長文読解」の間ですが、いくつかの出来事があったからだと思います。
(1) 中学校の日本史の先生が、歴史は年号や出来事を記憶する科目ではない、歴史の重要な出来事は起きるべくして起きた、その流れを理解することが重要、と教えてくれた。これで日本史が好きになりました。

(2) 高校受験勉強で、四字熟語がさっぱり分からなかったとき、父に本を勧められた。「四面楚歌」では、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」など。

(3) それをきっかけに歴史小説を読むことで、日本史を覚えやすくなった。ただし、戦国時代に特化しすぎて、センターでは近代史が出たため点数はイマイチでした。それに世界史や地理は、カタカナが覚えられず、結局ダメでしたし、日本史の人物名の読み方もいい加減で、音読は人前で出来ませんでしたけど(笑)

(4) 高校の夏休みの宿題で英語の短めの小説を読まされた。まじめに読んだら、思いの外、単語力がアップした。

これに加えて、勉強方法をディスレクシアっぽい母に教えてもらったのが、勉強するときはノートにまとめて、そのノートのどこらへんに書いていたかを思い浮かべると、テスト中に思い出すことがある、というもの。
そのノートには好きな絵を描いたりしましたが、それも記憶喚起になるものだと教えてくれました。

そして私にとっては、ノートをまとめるときに好きな参考書を探すのが重要でした。
見やすい、理解しやすいのを本屋さんで何時間でも探したものです。問題集もしかり。
字の読みやすさが違っていて、それが理解に大きく影響していたようです。

イメージわきました? 

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なんとポジティブ!すばらしいです。

やはり「全体から部分へ」「流れを使って細部を理解する」あたりがポイントですね。

「英語以外の教科で流れをとる力がついたから、英語も読めるようになった」
ような、さまざまな教科の伸びが連動している印象も受けます。

そして、ご両親が長い目で娘の成長を見ているのが伝わってきます!
常に大きな視点でサポートを受けていたから、セレンディピティストになられたんですね。