ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2013-09-28

「ADHDにはグルテン除去が効果的」

・グルテンを摂取すると腸に悪さをし、ADHDの症状など、脳に関連する症状として表れる場合がある

・グルテン除去食はADHDの症状を大幅に改善する可能性がある

・セリアック病(グルテン除去食で治療)は、ADHDなどの精神・行動障害の傾向を強める可能性がある

・小麦(未精白のもの、発芽したものも含む)と糖類を避けることは、ADHDの症状を抑え除去するための重要戦略のひとつ


 自閉症と腸の関係の記事と同時に、ADHDにグルテンが関係あるという下の記事も見つけていました。
少し論旨が粗い気がしたので、放置していましたが、
グルテンを抜くとADHDが改善するというのは、その後も引っかかっていました。

グルテンが駄目ということは、パン、ケーキ、焼き菓子、パスタ、うどん、全部駄目ってことですよね。
そんなの絶対無理(泣)

でも思い起こすに、自分がグルテンを含む食べ物がほしくなるのは、締切が迫ってせっぱつまっていて、そこから逃げたい時なのですね。最も「わーっ」となった心理状態の時です。
これって何かの禁断症状なのかも。
そう考えると、確かにグルテンがADHDの悪しき面を助長することはあるかもしれません。
完全排除は無理でしょうが、これからはパンや焼き菓子はほどほどに抑えようと思います。

以下はちょっと論の運びが乱暴な気もしますが、せっかく訳したので出しておきます。



「子供がADHDならこれを食べさせるな」
原文→こちら
By Dr. Mercola


グルテン過敏症が、ADHDを含むさまざまな神経学的・精神医学的状況の根底にあることを示唆する証拠がある。


グルテンとは、小麦に含まれるタンパク質だ。「糊状の」アミノ酸であるプロリンに含まれるほか、プロラミンと呼ばれるタンパク質に多く含まれている。プロラミンは、米やとうもろこし、オート麦などすべての穀物に含まれている。だが、小麦(および、程度は落ちるがライ麦、スペルトコムギ、ヒトツブコムギ)だけが、自閉症スペクトラム障害がしばしば伴う重篤な神経学的・自己免疫反応に関連づけられている。



かねてから、セリアック病(訳注:グルテンを食べると小腸の繊毛にダメージを与え、食事からの栄養が吸収されなくなる自己免疫疾患。日本人にはまれとのこと)だと、ADHDも伴っている可能性が高まることは知られていた。
ADHDも食習慣に大きな影響を受ける

だが、セリアック病の治療法はグルテン完全除去食である一方、ADHDの原因食として最もよく挙げられるのは糖であり、穀物が挙げられることは少ない
(穀物は体内で糖と似た働きをするのだが)。

しかしながら、これまで思われていたよりも、セリアック病とADHDの症状には深い関係がある可能性が出てきた。
2つをつなぐのは「グルテン」だ。

グルテン除去食はADHDを「治す」可能性も
ADHDの多くの子供は、ほとんどの穀物、特に小麦に悪く反応する。その理由として考えられるのが、ADHDの子供がセリアック病を併発している可能性だ----セリアック病は米国では平均して133人に1人が影響を受けている(ハイリスク集団では33人に1人とする研究もある)。あるいは、ADHDの子供は「グルテン過敏症」という、セリアック病ほど表面化しない病状を抱えている可能性も考えられる。

グルテン過敏症は米国人の10%以上を占める可能性がある。その症状は頭痛、疲労感、筋肉痛・関節痛・腹部膨満感など、セリアック病と同じだ。しかし、グルテン過敏症の人は、こうした症状を引き起こしている犯人が小麦などグルテンを含む穀類であることを認識していないかもしれない。セリアック病を持っていながら気がついていない可能性も十分にある。研究者が指摘する通り、「セリアック病は小腸粘膜に病変がみられる以外は臨床的には静かな場合も多い」なのだ。

だが、ADHDの心理面や行動面の症状と、セリアック病やグルテン過敏症の症状があまりに重なっていることが明らかになっている。「セリアック病をADHD症状チェックリストに含めるべき」と推奨されているほどだ。この提案のきっかけとなったのは、ADHDでセリアック病の陽性反応が出た人に対し、6ヶ月以上グルテンフリーの食生活を送ってもらうと、症状が大幅に改善したという研究成果だ。これによると:

「グルテン除去食の開始後、ADHDの患者もしくはその親は、セリアック病の診断・治療前と比べて患者の行動と機能に大幅な改善が見られることを報告した…」

腸に悪さをするような穀物を食べることが、消化ではなく脳に関係する症状として表面化するというのは、奇妙に思われるかもしれない。だが穀類は炎症を誘発する性質を内在しており、慢性的な炎症が根底にあるすべての病状を悪化させる。これは腸の炎症だけでなく体内のどこについてもあてはまることだ。
メンタルヘルスの問題に対処する際に炎症を抑えることがいかに重要かは、よく知られている。グルテンを食事から取り除くと、メンタルヘルスや感情面でさまざまな改善を経験するのは珍しくない。


ADHDの症状と腸の健康には密接な関係がある
さまざまな行動上の問題が腸の問題と関係があるといわれている。これはグルテンなど穀物に含まれる成分だけでなく、脳腸相関によるものだ。脳腸相関は生理学や医学の基本的な教えの一つとして広く認識されているので、さほど驚くべきことではない(見過ごされることは多いが)。また、さまざまな神経疾患に胃腸の関与を示す証拠も豊富に存在する。

このことを念頭におくと、人生を通じて腸内菌叢を豊かに保つことがきわめて重要なことは明白であろう。というのも、人には比喩的ではなく「2つの脳」があるのだ。ひとつは頭蓋骨の中に、もう一つは腸にある。そしてどちらの脳も、生きるために不可欠な栄養をとらなければならない。

脳と腸は、同じ種類の組織から作られている。胎児として発達を続けている時に、一部は中央神経系となり、残りは腸神経系へと発達する。これら二つの系は迷走神経を経由してつながっている。迷走神経とは第10神経ともいい、脳幹から腹腔まで走っている。迷走神経によって2つの脳はつながっている。緊張するとお腹を壊すなどの現象は迷走神経により説明できる。

Dr. Natasha Campbell-McBrideによると、腸にたまった有害物質は体中をかけめぐって脳に達することがある。そうすると自閉症、ADHD、ディスレクシア、ディスプラクシア、うつ、統合失調症、およびその他の精神障害の症状を引き起こすことがある。

同氏によると、自閉症やその他の学習障害の急増は「腸」に原因があり、腸心理症候群(Gut and Psychology Syndrome:GAPS)の名で知られる病状として顕在化するという。

GAPSは自閉症かADHD、ADD(多動なしのADHD)、ディスレクシア、ディスプラクシア、強迫性障害などの診断と一致する可能性のあるさまざまな症状の集合体として表面化する場合がある。幸運なことに、GAPSは生後数週間以内に特定可能のため、ワクチン接種について情報に基づくより良い意思決定を行う手助けになりうる。というのも、赤ちゃんにGAPSの代謝特性がみられる場合、GAPSが好転するまで予防接種を行うべきではないからである。


ADHDの食事療法のポイント
私の心からの願いは、ADHDのような行動上の問題への薬物治療は、仮に必要だとしても、あらゆる手を尽くしたのちの最終手段であるべきだということだ。
では第1の治療法は何だろうか。それは食事を変えることだ。具体的には----


  • 子供の食事から小麦と糖(果糖を含む)を除去する。小麦と糖類は、敏感な人の体内に入るとアレルギーを引き起こす傾向がある。オーガニックで未精白の小麦も多くの子供にとって問題を引き起こすため、「小麦を休む日」を作り行動が改善するかどうか見るのが賢明だ。
  • 清涼飲料水(ダイエット用、レギュラーとも)、フルーツジュース、成分調整牛乳の代わりに水(純粋で清潔な、フッ化物を含まないもの)を飲む。
  • オメガ3脂肪を増やす。これには、動物由来の高品質なオメガ3油を摂取するのがよい。動物由来のオメガ3油はリタリンやコンサータよりもADHDの症状をより効果的に改善する可能性があることは、研究が確認している。私の考えでは、オキアミの油がこの目的ではベストだ。オキアミ油のEPADHAは、魚に含まれるオメガ3より吸収されやすい構造をしている。
  • 加工油はできる限り避ける。特にトランス脂肪酸は神経細胞の連絡を乱すため、最小限に抑える。
  • すべての加工食品を避ける。特に果糖、合成着色料、合成調味料、合成保存料を含むものは症状を引き起こしたり悪化させたりする可能性があるので避ける。レトルトスープ、醤油、キャンディー、加工肉、さまざまな無脂肪・低脂肪食品、さらには精白穀物を使った食品(パン、ピザ、パスタ、クッキー、ペストリー)にも通常隠れている。
また、子供にグルテン除去食を試し、それによって症状がなくなるかどうか、試してみることを勧めたい。グルテン除去食として最も効果が期待されるのは、赤身肉、野菜、およびグルテンを含まない穀物(コメ、トウモロコシ、大豆(ただし食べ過ぎに注意)、タカキビ、亜麻仁・アマランサス、ソバ、アワ、キビ)に徹することだ。

なお、グルテン除去食の効果は一晩で現れるとは限らない。急速に改善が見られる場合もあるが、小腸の壁が完全に修復されるには912ヵ月を要する場合もある。一般に、症状の解決が期待できるまでには、グルテン除去食を69ヵ月は続けることだ。

2013-09-25

「漢字カード」、2年生に戻って「部品」制覇に挑戦中

『口で言えれば漢字は書ける!』の著者、道村静江先生から、アドバイスを授かるという光栄に浴しました(T T)
そのときのメモを書いておきます。

<新出漢字の取り組み方>

  • カードのオモテ面を一緒に見ながら、「部品」を言わせる。(←「漢字を見ながら」がポイント)
  • 部品が言えれば書ける。
  • 実際に書くのは1回だけ、確認の意味で。(←10回も20回も書かない)
  • 1字まるごとではなく、あやしい部分だけ書くのでもよい。


<今後のために>
  • 「部品」は2~3年生でそのほとんど(計71)が登場する。
  • 一方、5年生では11個、6年生では8個しか、新しい部品は登場しない。
  • 低学年までに登場した部品の組み合わせで、高学年の漢字は説明できてしまう。
  • 一度2年生に戻って、部品を覚えることに集中したほうがいい。そうすれば楽になる。
  • 2年生の漢字の初出部品なら、2~3週間もあれば覚えられる。
  • その間は、学校の担任に「今から1ヵ月は学校の漢字学習からは一時的に外れ、この方法に専念するが、1ヵ月後には再び合流するから」と伝えてもいいかも。


書くのは1回だけでいい!!
斬新です…
でも本当にそれで覚えられるなら、ディスレクシア的には福音です。


「2年生に戻る」については、
5年の漢字からカードを使い始めても部品は入るには入るが、やはり中途半端。部品をきちんと覚えれば5~6年生になったときに楽になる…というご指摘を受けてのものです。

この点は、受験英語もまったく同じです。
基本的な構文が入っていない状態では、いくら長文問題を解いても伸び悩みます。
高い建物を建てるには基礎が何より重要ですし、
ひとつのメソッドに従う場合は、そのメソッドの基本概念をたたきこむことが後々伸びるための大前提です。
そのあたりのことは、すぐに合点がいきました。


道村先生のアドバイス通り、2年生の漢字に戻って、部品を覚えることにしました。

学校には今のところ、言う予定はありません。
どのみち若干ビハインド気味なのだし(苦笑)




「りっしゅんのしゅん、はる」が漢字のタイトル、
「なべぶたに・・・」が部品です


1) 「漢字のタイトル」(音訓のセット)を読み上げて、漢字を書いてもらう。
2) 書けたら、部品を一回言ってあげる。その後一緒に言う。
3) 書けなかったら、オモテ面を見せて、部品を一緒に言う。言えたら1回書いてもらう。
4)部品の名称を覚えるのが最終目標。

↑このやり方で、2年生の漢字を50個、書いてみました。
「春」と「広」を間違えました。


いや~、今日も驚きの連続でした。。


部品の説明が、徹底的に分かりやすい!!
「目が見えない子にしんにょうを説明する」
この途方もない困難を想像してみて下さい。
道村先生はそれを鮮やかにやってのけるのです。

これほどまで「わからない子の立場に立った教材」は、書き取りに関しては見たことがありません。
ディスレクシアの子にも、非常にとっつきやすいです。

説明も、徹底的に「教科書に出てきた順」です(←光村図書)。
なので、「切」の後に「刀」が登場するという矛盾も、しっかり対処して説明しています。
スモールステップが貫徹されているので、安心してついていけます。

部品式の要領を覚えると、子は自発的に部品を言おうとします。
「形」を「二、ノ、たて、ノノノ」とか(←これはカードの説明とは微妙に文言が違います)
つまり、部品というルールが分かれば、自分でストーリーを作れるのです。
これはすごい!

「部品を言う」というのが、ディスレクシア教育で最も効果的と言われる
「多感覚式」(マルチセンサリー)なんだろうなと、傍で見ていてわかります。

これまで私は恥ずかしながら、「多感覚」とは、いろんな素材を使って字を作ることに尽きると思っていました。
本当にいろんな方法を試しました。
粘土・毛糸・ブロック・ヘアムース(←あまりにもったいないので1回で断念)・尻文字・全身でその字をやってもらう(「大」とか)、やすり紙(←子供が「指が痛い」と言うので断念)や消しゴム版画(←楽しいけどコスト的に困難)も試しました。
今でも日常的に使っているのは、ホワイトボード、新聞紙に大きく書く、母の手のひら、あたりでしょうか。

「字をパーツに分解して書き順通りに口で言う」は、同じ多感覚でも上とはまったく違うアプローチです。
ものすごく脳を使うらしく、今日は38個書いたところで「ちょっと待って…」とぐったりしていました。

(念のため・・・これは決して、拒絶のサインではありません。
いま呼んで聞いてみたところ、
今日間違えた「春」「広」の部品を言えました。
本人いわく「きっついけど、効果あるんじゃない?」とまんざらでもない様子です。)


字を分解して口で説明するのは、
ディスレクシアの子が字を覚えるには、かなりきついけど非常に効果的な方法のようです。

しばらく2年生の漢字カードに取り組む予定です。


追記
「字を分解して口で説明する」は、
実はジョリーフォニックスにも共通しています。
この話は次回以降に・・・





2013-09-20

『口で言えれば漢字は書ける!』をディスレクシア的に読む/漢字カードを購入



『口で言えれば漢字は書ける!盲学校から発信した漢字学習法』

今週は、この本を読みながらずっと泣いていた気がします…(泣き笑い)
「自分は試行錯誤する教師だ」と思う人は必読です!!



著者の道村静江先生は、盲学校で長く教員をされていた方です。

世の中のIT化により、盲学校でも、点字だけでなく漢字を教える必要に迫られました。

そこで、生まれた時から目が見えない小1のかんなちゃんに、
道村先生が漢字を教えようとする「格闘の日々」が始まります。
(このあたりから私は涙が止まらない)

「新しいことを学ぶのはなんて楽しい!」
というかんなちゃんの喜びがひしひしと伝わってきて、涙涙です。
そういえば、つい忘れがちでしたが、
漢字を覚えて書けるようになるのは、大きな喜びなのでした。
たとえディスレクシアであってもきっと。

途中から、小3で網膜剥離で全盲になったつるちゃん(号泣)や弱視の子たちも加わります。
さらに深まる試行錯誤。でも子供たちはついていきます。
目が見えなくても、子供たちはみんな、漢字が書けるようになりたいのです。



道村先生は生徒の「できない」の奥を見ながら、
10年かけて、小中9年分の漢字のこれまでにない教え方の一大体系を、一から作り上げていきます。


目の見えない子に漢字を教えるため、道村先生が考案した方法は、
漢字を「部品」(様々な漢字に共通するパーツ)に分けて覚えること
「漢字のタイトル」(その漢字の最も代表的な音訓のセット)を覚えることです。
部品を口で言えれば書けるようになる、というのがポイントです。




このあたりから、話がなにやらディスレクシア的になってきます。

ディスレクシア用漢字指導でも、漢字の成り立ちを分解して、ストーリーを作って覚えるという方法があります。
(ストーリーを考えるのが大変なので、うちではやってきませんでしたが・・・)

この方法を読んだ瞬間、
「これって一つひとつの漢字にストーリーを作るのと同じかも?」
と思いました。

道村先生は、10年かけて小中学校で登場するすべての漢字の部品とタイトルを整理してから、それを小学校で試すべく、一般の小学校に転任します。

そこで、普通学級の子も、実はかなり漢字が書けないことを知り、盲学校で構築したメソッドを学年全体、さらには学校全体で使うよう働きかけます。


着任してすぐに4年生に書いてもらったという「よくある間違い」の一覧をみて、びっくりしました。
ディスレクシア的な間違い方が、けっこうあるのです。
鏡文字、はねる方向が逆、一部がもやもやしている、など。

この方法は、ディスレクシアの子への漢字指導にも使えるのではないか?

と思い、道村先生が主宰する点字学習を支援する会から、漢字カードを購入しました。


漢字の下に書いてあるのが「部品」です。


切りながら読んでいるだけでも分かりますが、この教材はとても生徒思い。愛があります!
予備校での経験上、ディスレクシアの子は「教える側に愛があるか」「思いやりのある教材か」に非常に敏感に反応します。
ますます期待が高まります。


道村先生からは、ディスレクシアにも効果的との、次のようなお返事を頂きました:

>あのカードは、ディスクレシアの子や自閉症の子などにとても有効だと、
>小学校の普通学級を担当していた時に思いました。
>全国の通級指導教室などからも、成田さんと同様の希望で、
>漢字カードを求められる人が増えてきました。
>是非活用してください。

---

>息子さんのような学習の様子を見せている子を何人も知っていて、
>うなずけること多々ありました。
>(LDや自閉症などの知識はそんなに深くないので・・・)
>
>そんな子たちも、この学習法でかなり効果を上げました。
>特に、記憶力に問題がない子(知的障害をもっていると少し大変なのですが・・・)には、
>すぐに入っていける学習法だと思います。
>画数の多い漢字を全部丸ごと覚える必要はなく、
>画数の少ない部品だけをていねいに書いて、名称を覚えることを頑張ってみてください。
>絶対に書けるようになります。区別ができるようになります。


さっそく試した1日目。
「このやり方はとても疲れる~」と言いながら、楽しんで書いてくれました。
ものすごく頭を使うらしいです。

しばらく、「漢字カード」を試します!


続き
2013-12-11
    

「読み書き障害」脳の2ヵ所異常 13/09/19日経新聞





日経夕刊に小さな記事が出ていました。


日経で「ディスレクシア」の文字を見たのは初めての気がします。


「ブレイン」誌のリンクは→こちら


2013-09-16

「LDニュースライン」13/09/13

LD Newslineというメルマガを訳してみました。リンク先は英語です。
※はリンク先の抄訳です。


WebMD
新たな調査によって、幼児への全身麻酔の使用をめぐり、これまでにない懸念が持ち上がっている。最近の調査によると、麻酔薬は学習障害や行動上の問題(ADHDなど)のリスクを高める可能性があることが示唆された。ただし、全身麻酔を数回受けた子供に限られるという。

Education Week
最重度の学習障害を持つ小学生への支援戦略の策定を中心に据えた新研究プロジェクトが、米テネシー州Vanderbilt大学で行われる。アメリカ国立特別教育研究センターは同大学に5年間、「加速的学業成果研究センター」設立に向けて総額1000万ドルを拠出した。ナッシュビルの学校に在籍する20003000人の生徒が同研究に参加する。

The Jewish Press (NY)
ディスレクシアの子供に読み方を教えるための方法は数多く存在するが、研究によるとディスレクシアの子は同級生と比べて自尊心の低下に苦しむことが多い。これは親や教師が見過ごすことの多い問題のひとつである。ディスレクシアの子をクラスの一員とするためには、単に勉強面の対処だけに重点を置いていてはならない。社会性への介入を通じて自尊心を育てるサポートも必要だ。Coordinated Campaign for Learning Disabilitiesでは、LD児を持つ親のために、LD児の自尊心を高める方法を一覧にした。
※毎週1回、子供が興味のあることを一緒に行う時間を持つ。
問題解決のスキルを身につける。エンパシー(子供と心を通わせる)をもって子供と接する。子供の得意なことを伸ばす。子供自身が誰かを手助けする場を設ける。

The Guardian (UK)
ディスレクシアは読みや意味の解釈に困難を覚える読字障害で、イギリスでは120万人の子供がディスレクシアである。単語は見えているが、ページの上で泳いだり踊ったりすることがあるため、学業や成績に大きく響く場合がある。だが、教師から適切な支援を受けたりテクノロジーを活用するといった単純な配慮が、大いに役立つことが少なくない。テクノロジーは、ディスレクシアの生徒にとって重要な支援ツールとなる。以下では、教師が使えるリソースやアイデアを紹介する。ただし、ディスレクシアの表れ方は一人ひとり異なるため、その生徒に最も適した方法を見つけ出すにはさまざまな手法を試すことが重要である。
※プリントには余計なことをごちゃごちゃ書かない、イラストやダイヤグラムをつけると理解を助ける、適切なフォントや背景色(例:薄いグリーン)の使用、文章読み上げ機能の使用、教科書を読み上げた音源の使用(スコットランドの教員によるボランティアで行われているようです)など
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Medical Daily
新登場のフォントにより、ディスレクシアの人にとってインターネットやコンピューターの使い方が変わるかもしれない----。新たなフォント「Dyslexie」は科学的データを元に、ディスレクシアの読書体験を楽にするものである。オランダ人グラフィックデザイナー、Christian Boer氏が開発したDyslexieは、美観よりも読みやすさや認知力向上を念頭に置いている。



2013-09-14

ジョリーフォニックスを試してみる・その1

ディスレクシアだと日本語の読み書き以上に英語で苦労するので、中学に入る前にフォニックスを教えたほうがよい

と、さる方からコメント欄を通じてアドバイスを受けていました
(ありがとうございます!)。

たしかに、子が英語で苦労するのは目に見えていました。
3年生の頃、学校でローマ字が出てきたときは、ほとんど覚えられませんでした。
#b・d・p・qが混じったり、eやcを視力検査みたいにあらゆる向きに書いたりしたあたりから、「この子は何かが変だ」と気がついたのでした。



私は高2以上しか教えたことがないので、フォニックスについて勉強するところから始めなければなりませんでした。
予備校の中学部の講師も、知り合いの中高教員も、フォニックスのことは名前しか知りません。
とりあえず、フォニックスとは「アルファベットの文字の読み方を、原則として1文字1音対応で教える」こと、フォニックスには不要論も根強いこと、そしてフォニックスにもいろんな流派があることが分かりました。

いろいろ調べて、たどりついたのが、ジョリーフォニックスでした。
大阪で行われた山下先生のセミナーに出席して、話を聞いてきました。
そして、ジョリーフォニックスを子供に試してみることにしました。



セミナーのメモを再現してみます
(あくまでも私がとったメモなので、誤解があったら申し訳ありません):

  • ジョリーフォニックス(以下JP)は「シンセティック・フォニックス」の一種である。
    • 「シンセティック」(synthetic:合成)とは、最初に英語のオトを教え、それをblending(オトとオトを連続させて読む)という手順を指す。

  • 従来のフォニックスは、単語から音を分解する「アナリティクス・フォニックス」。
    • 英単語を知っていることが前提なので、日本人には難しい。
    • 「appleの"a"」という教え方は、英語のオトが入っていない段階でaの音だけ取り出すことを要求するもので、これも日本人には難しい。

  • シンセティック・フォニックスは、「単語の丸暗記」と正反対のアプローチ。
    • 「単語の丸暗記」は、「読み能力は話す能力と同じように自然に習得できる」という考え方に基づいている。
    • 読書好きであることが前提。単語の丸暗記ができないと親が悪いということになる。
    • だが読み能力は話す能力と異なり、教えなければ習得できない。

  • JPの5本の柱は
  1. 文字のオトを覚えること(1文字1音対応)
  2. 文字の形を覚えること
  3. ブレンディング(文字と文字、オトとオトをつなげて単語にすること。c・a・tをつなげて読む)
  4. セグメンティング(単語をオトに分解すること。catをc/a/tに分ける)
  5. ひっかけ単語(tricky words:1のルールで読めない例外語、英単語の3割に相当)を正しく綴ること



  • JPではアルファベットの「名前読み」(エイ、ビー、シー…という名称)は教えない。
    • そもそもアルファベット(ABC・・・)も教えない。そのため、子供は混乱しない。

  • JPでは単語から音を切り出す順番では教えない。英単語を全く知らなくても学べる。

  • ABC…ではなく、頻度順(s、a、t…)で教えていく。
    • 数文字を習った時点で少しずつ単語が読めるようになる。
    • このように、「字を習ってすぐに単語が読めるようになる」のも特長。

  • 1文字1音対応を教えてから例外に拡張するというJPの進め方は、「今」を「いま」という読み方で教えたうえで、後で「こん」という読み方を教えるのと同じで、混乱が少ない。

  • JPは1990年代に現場の教師が考案した。非常に効果が高いことが判明し、2005年にはイギリスの68%の小学校で採用。

  • 「ジョリー」は共同考案者である、クリストファー・ジョリーさんの名前からとっている(この方もセミナーで話されました)。

  • JPは、最終的には「子供が自力で読めること」を目指す。

  • JPのテキストは多感覚式。
    • 1つ1つの音に特定の絵・動作・歌が結びつけられている。
    • 動作をしながら言う(nは飛行機になりきって飛ぶ動作など)
    • 絵を見てそのオトが入っている単語を探す
    • 字を指でなぞる
    • 音源にあわせて歌を歌う
    • …など、さまざまな感覚を使ってオトと文字の対応を頭にたたきこんでいく。



  • JPは、イギリスで非常に効果をあげている:
    • 習熟度に男女差がない(非JPでは女子のほうが習熟度が高い)
    • JPで学ぶと、丸暗記派と比べて学習進度が1年近く先に行く。
      • スコットランドの9校でJPで1年間教えた実験では、非JPの子供と比べ、7年後もスペリング(1.9年)、リーディング(3.6年)、理解力(3.5ヵ月)上回っていた。
    • ノンネイティブ(移民の子など)でもネイティブと同様に習得可能である。
    • 貧困層(=親のサポートを受けられない子供たち)にも高い効果を挙げている。
    • アイルランド、ドバイ、ガンビアなどでは、国策として全児童にJPで英語を教えている。


そして・・・


  • JPはディスレクシアの子に効果をあげている(多感覚式、1文字1音対応のため)
  • アスペルガーの子にも効果をあげている(1文字1音というルールをしっかり教えるため)。



セミナー後、「ディスレクシアである息子にジョリーフォニックスを試してみたいと思うが、注意すべき点はありますか?」とジョリーさんに質問してみました。

「『ディスレクシアの子にはフォニックスこそが有効』が現在主流の考え方なのは知っていましたか?」と念を押されたうえで、
- ディスレクシアであっても、非ディスレクシアと同じペースで進めてよい
- まず8週間程度かけて基本ルールを教える。
- その次に、alternative spelling、tricky wordsを教える
- 上記は、毎日続けて1年かかる

とのアドバイスを頂きました。


☆  ☆  ☆


セミナーで一番JPについて感銘を受けたのは、「ディスレクシアの子にも学びやすいように」さらには、「ノンネイティブの子でも学びやすいように」という姿勢を前面に出していることです。
英語が好きで得意な子、英語圏に生まれた子、といったアドバンテージのある子だけでなく、
英語を母語としない子、貧困や発達障害等で英語を学ぶのにハードルがある子、にも目を向けています。
「ハードルが高い子にとって学びやすい方法は、ハードルがない子にも学びやすい方法である」の通りです。

また、「より多くの子に英語を使えるようになってほしい、だから英語へのハードルが高い子たちも歓迎します」という愛ある姿勢を感じました。

けっこう多くの英語教育メソッドが、意欲も能力も高い人だけを対象にしています。
「できないやつは永遠にできないままでいろ」という雰囲気を漂わせているものも、けっこうあります。
それとは対照的に、JPには「すべての子に英語が使える人になってほしい」という愛情が感じられました。

もちろんこの愛情は、英語を使える人が増えれば英語のグローバル言語としての地位もますます安泰になる…というしたたかさと表裏一体のものです
(日本語教育界も、こういう姿勢をちょっと見習わなければなりません)。





ジョリーフォニックスの教材一式を買ってみました。



私は「ディスレクシアだろうとなかろうと、フォニックスで学ばないほうがおかしい」派です。
フランス語もドイツ語も、入門の第一課では、まず文字をどう発音するかを教えます。
英語だけ、「この文字は何と読むか」を明確にルール化していないのです。
(英語という言語が、1文字1音対応になっていないのがいけないのですが。)


現在、基本ルールの半分ほどまで進みました。
すみずみまで愛がある教材です!
ローマ字が結局入らなかった子も、この方法なら入っているようです。


続き↓
2013-10-28 ジョリーフォニックスその2・「音→動作→文字」の回路をつくる




2013-09-12

台湾語ディスレクシアから日本語ディスレクシアを考える

台湾の国営雑誌「台湾光華雑誌」のサイトに、台湾語ディスレクシアの話がありました。

識字障害を理解する


国民的トップ歌手がディスレクシアを告白、
ディスレクシアの子が味わう苦労の数々、
得意を見つけてそれを伸ばすことの重要性、
小説を書くことが得意だと分かったディスレクシアの少女の話、
リー・クアンユー元首相のディスレクシア的エピソード、
「人間の脳はもともと読むために作られていない」(『プルーストとイカ』)

・・・とても読み応えのある記事です。

以下、この記事から連想したことを、つらつらとまとめてみました。


☆  ☆  ☆

台湾の国民的トップ歌手、蕭敬騰は、憂いのあるイケメンでした。
Jam's Official Channel

「悪い見本です」「よく勉強しなかったことを後悔しています」と、蕭敬騰はテレビのインタビューで喉を詰まらせながら語った。レコード会社やマネージャーによれば、彼は自分についての報道も写真を見るだけだし、CM撮影の台詞は誰かが何度も読み聞かせて覚える
まさに、台湾版トム・クルーズですね。。




☆  ☆  ☆

台湾のディスレクシア教育の議論は、日本よりも進んでいるかもしれません:
虫歯や視力の検査を定期的にやるように、基本読解能力試験も定期的に行うべきで、こうした小さなことが10数万人の児童を救います」小学3年までの黄金期を逃さず、彼らの適性や才能に合わせた学習方法をできるだけ早く確立すべきだと、洪教授は言う。
ポイントは、低学年時に基本的な識字能力を身につけること。中高学年では自分に適した学習方法を確立する(絵を活用する、文章の重点を把握する練習を積むなど)。中学生になれば、教師が宿題や評価の方法を変えたり、生徒の得意分野の発展を促すことなどが有効だ。
→低学年でスクリーニングを行い、中学年以降は適性にあった学習方法を確立。中学生になったら得意に注力。日本もそうあるべきです。
うちも、小1のときの担任から「字形が取れない」「ひらがなが書けない」と厳しい口調で指摘されていました。
「おうちの人がしっかり見て下さいね」、つまり親の躾の問題と言われていました。
なので、当時はずいぶん厳しく叱って、夜遅くまで書き取りをさせていました(T_T)
もし、1年生全員などを対象にしたディスレクシア検査があれば、親の躾や練習不足の問題とされることもなく、子供を意味なく追い詰めることもなかったのに…と思います。子は今でも当時厳しく叱られたことに傷ついています。
鳥取県で発達障害児の5歳児検診が行われているようですが、全国に広まってほしいです。



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アレンは小4までは成績もよかった。小1の時は注音符号(中国語の表音文字。漢字習得前に学ぶ)の試験で96点を取ったし、その後のテストも各教科平均80点ほどだった。だが字の書き間違いが多く、母親は少し変だと感じていた。


→注音符号について調べてみました(wikipediaより抜粋)
1918年、中華民国の教育部(文部省)が、日本語のカタカナにならって、読む音を注記するために公布した。今は主に台湾(中華民国)で使用・奨励されている。中国(中華人民共和国)やシンガポールでは廃止され、ピンインを使用している。

つまり、ピンインの代わり、カタカナの台湾バージョンのようです。
注音符号


どーしても「Y」「さ」「せ」「ム」に見えます。。。
それぞれa、e、ê、sらしいです。

「せ」と書いてêと読む、「さ」と書いてeと読む、この混乱してむしゃくしゃした感じこそが、
What is Dyslexia?の動画にも出てくる「オトを脳内で操作するのが苦手」、日々ディスレクシアが味わっている苦労なのでしょう。


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「注音符号ならまだなんとかなる」について調べていて、Cell誌の2009年の論文に行き当たりました。

中国語ディスレクシア児は、視空間処理の欠陥と音韻処理の欠陥の併存によって特徴づけられる

原文→こちら


要約の訳


発達性ディスレクシアは、「適切な知能と通常の学校教育を受けてもなお読み技術を取得する能力が著しく減損していること」を特徴とする神経学的状態である。英語の読み手にとっては、読み能力の減損は、音韻処理障害と臨界的に関連している。音韻処理障害と形態処理(orthographic processing、目に見える語の形の処理)の欠陥を併発する場合があるが、ほとんどのディスレクシアでは視覚処理全般の障害は見られない。

ディスレクシアの病態生理学は文化によって異なる。例えば、英語と異なり中国語の書き言葉は、漢字という視覚的に緻密なかたちをさまざまな意味と結びつける。
このため、中国語の漢字の発音は機械的に暗記しなければならない。
これは、中国語では粒度の高い視空間分析を経なければ、漢字の音と意味を呼び起こすことができないことを示唆している。
このため、中国語ディスレクシアの場合、音韻処理の障害と視空間処理の異常が併存する場合がよく見られる可能性がある。
この仮説を検証するため、中国語ディレクシアの人12名にfMRIを行った。12名は音韻障害を呈することがすでに判明している。視空間を計測する物理的寸法の判断を行った。
12名の対照群と比較した結果、ディスレクシアの人は頭頂間溝(IPS、視空間処理をつかさどる部位)の活性化が弱いことが示された。
個人成績を検証した結果、中国語ディスレクシアは視空間的な欠陥と音韻障害(phonological disorder)の共存を伴うことが一般的であることが示唆される。



~~~
中国人ディスレクシアの脳と、アメリカ人ディスレクシアの脳に、生まれながらにして違いがあるとは思えません。
つまり、ディスレクシアというのは、母語を問わず、視空間処理の欠陥と音韻処理の欠陥が併存している、と考えるのが妥当ではないでしょうか?
視空間処理の欠陥と音韻処理の欠陥の出方が、人それぞれ非常に違うということで。

そういう点で、時々みられる「視覚優位型」「聴覚優位型」という区分は、ちょっと語弊があるのかもしれません。
「視覚優位型ディスレクシア」とは「聴覚処理が損なわれることで、正常な視覚処理能力がより研ぎ澄まされたディスレクシア」ではなく、
一見すると「視覚優位」に見えているディスレクシアも、視覚処理になんらかの問題を抱えていて、でもそれが普通の人より「能力が高い」という形で表面化しているのかもしれません。

あと、漢字に関しては、中国語より日本語のほうが難しいです!
中国語の漢字は1文字1音対応ですが、日本語は音読みやら訓読みやらあって、音に関してはさらにハードルが高いです。
一方、漢字は意味をイメージで理解できる部分もあります。うちの子は「殺」を「死ねって意味だよね…」と言ったりします。
「音にはできなくてもなんとなく意味はわかる」漢字がかなりあるようです。

最近「いったい、ディスレクシアにとって、本当に漢字のほうがひらがなよりも難しいと言えるのだろうか? 実はひらがなには独自の難しさがあるのではないか?」などと考えています。
この話はまたの機会に…。





2013-09-11

ブレインジムの、母のADHDへの効果を実感

8月に、ブレインジムというものの講座を受けてきました→こちら

ブレインジムのサイトは→こちら
うんと簡略化して言うと、ブレインジムとは、右脳と左脳の統合を助ける、簡単な体操です。
老若男女、どんな人にも効果があるそうですが、
アメリカの教育学者ポール・デニソン博士が、ディスレキシア(識字・読書障害)をはじめとする、様々な学習障害を克服し軽減することを目指して、1960年代より取り組んできた研究の集大成です。
と上のサイトにある通り、ディスレクシアの改善が出発点のようです。

そもそも知ったきっかけは、下の本でした。

『ブレインジムと私 学習障害からの奇跡の回復』「字の苦手」を改善するには、字の練習だけではなく、もっと根本的なところに働きかける何かがないものか・・・と思って探しているなかで、この本にたどりつきました。

ディスレクシアの「字の苦手」という現象の先を見ている点(「全脳学習」と言うそうですが)に感銘を受けました。


でも、この本を読むだけでは、ブレインジムができるようにはなりません。


雑誌「こころのりんしょうa・la・carte 第30巻4号〈特集〉ブレインジム」

これによると、学習障害だけでなく、PTSDや認知症予防にも効くらしいです。

本当?簡単な体操で・・・?
謎は深まるばかりでしたが、
たしかに、ヨガでも、単純なポーズ(それこそ、前屈とか逆立ちとか)で、心身を深いところから変えていきます。
それに近いものかもしれない、と思いました。

そこで、一念発起して「ブレインジム101」という講座を受講してきました→こちら
まったくの初心者が、この講座を受ければ、ブレインジムの何たるかと、一通りのエクササイズとチェック方法を学ぶことができます。

主なエクササイズは→こちら。全部で26種類あります。
「正中線を越える」のがポイントだそうです。
エクササイズ自体は、ラジオ体操程度かそれ以下の激しさしかありません。
本当にシンプルなものばかりです。
経絡やツボを意識したエクササイズもかなりあります。


すべては、子のディスレクシアに何か良い影響があればいいなと思ってのことでした。

ところが・・・・!
受講後、子供にブレインジムを教えるために、毎日一緒にやっていますが、
母である私のADHDに明らかに効いています!
びっくりです!

5分か10分くらいの簡単なエクササイズですが、その効果は2~3時間、あるいはもっと続きます。
子供の勉強を見ていてもイライラしづらくなるし、気分が確かにさわやかなのです。
ハイテンションではなく、周囲への適度な良い集中が持続する感じです。
締切はあるし子供の勉強も見ないといけないし夕食は作らないといけないし部屋は散らかってるし・・・という、とっちらかった感情が起こらないのです。


昨日、ブレインジムをしてから子の勉強を見て、それから夕食を作っていたとき、
「結婚17年にして、料理中に『いまここにいる』感覚を味わうのは初めてかも!!」
と実感しました。
私は料理にかなり苦手意識があります
(食には人並み以上に興味がありますが)。
料理が苦手というより、料理中のいっぱいいっぱいの感じ、わたわたした感じが大嫌いでした。
特に仕事の締切の後は、料理にテンションを合わせるのが苦痛でした。

それが今日は、ひとつひとつ目の前の手順を落ち着いてこなすことができ、しかもそのことが苦痛ではなかったのです。
出来上がりの味は大差なかったようですが(笑)。
でも、このさわやかな集中は、大げさでなく初めて味わうものでした。


子には、勉強に入る前の儀式として、細く長く続けていこうと思います。
ADHDの大人には、ブレインジムはかなりお勧めです!



2013-09-07

【動画】恐竜学者ジャック・ホーナー、自身のディスレクシアを語る

4月に「ディスレクシアと才能に関する会議」がアメリカで行われたそうで、『天才たちは学校がきらいだった』の著者トマス・G・ウェスト、『ディスレクシアの利点』でおなじみEide夫妻などなどが一堂に会してディスレクシア的才能について語り合ったようです。


当日のプレゼンの動画がyoutubeにアップされています。
そのなかでも、特にディスレクシア的だな~と感動した、恐竜学者ジャック・ホーナーのプレゼンに字幕をつけてみました。
amaraという、字幕をつけられるサイトを使っています。amaraありがとう!



http://www.amara.org/ja/videos/nd4lYeJ6l2xB/info/dyslexia-and-talent-dinosaur-hunter-jack-horner/


恐竜界の「コロンブスの卵」的な発見のエピソードを軸にした、実にディスレクシアらしい話です。

話の内容だけでなく、言葉につまりながらも聴衆をぐいぐい引きつける話し方といい、偉ぶらない感じといい、2つの視点という構成といい……すべてがディスレクシア的です。

個人的には、ちらっと出てきたお母さんの話が、ぐっときました。
想像ですが、ジャック少年が恐竜に熱中する様子を見て、恐竜愛をのびのび追求できるよう、お母さんは彼を何かと支えていたのでは…
お父さんと対立していたことも、想像にかたくありません(苦笑)。


2013-09-02

【動画】Overcoming Dyslexia、Finding Passion

これもよくアメリカのディスレクシア関連のニュースレターで回ってくる、TED関連の動画です。
Overcoming Dyslexia, Finding Passion(ディスレクシアを克服し、熱中できるものを見つける)
堂々とプレゼンするディスレクシアの女子高校生。実は涙なしでは見れないのですが、以下の訳ではそれを表現できずに申し訳ありません。。。

間の取り方、声色の使い方もうまいし、けっこう書き言葉的な表現をたくさん使っていることにも驚かされます。





以下、ざっくりした訳です。


初めてディスレクシアだと言われた日のことを、よく覚えている。
1~2年生のとき、先生に呼ばれて「これ読んでごらん」と文字を見せられた。
じっと見て「分かりません」と答えたら、「いいのよ、大丈夫よ。でもこれはあなたの名前なのよ」……
そう言われて顔から火が出そうになった日のことを、昨日のことのように覚えている。
自分の名前も読めないことが、本当に恥ずかしかった。
「25、50、75、1ドル」…と復唱することもできなかった。

どうにかして、授業内容を身につけないとならないと思った。

学年が上がるごとに、さまざまな特別クラスに入れられた。
それらを卒業するために、できることは何でもやった。
「私はみなさんと同じようには学べないと分かっていた。
でも私が望んだのはただ、普通のクラスで、みんなと一緒に勉強したいということ。
ピンクのワンピースにお花のカチューシャをつけて自分の席に座って、ただただ『周りと違うのはいやだ』と思っていた」
特別クラスから出たくてもがいていた。家族もあらゆる手を尽くして助けてくれた。

IQテストを何度も受けた。さまざまな項目が非常に優れていたので訳が分からないと言われた。「脳の働き方が他の子とはまったく違うんだろう」という結論に至っていた。
やがて中学2年生でついにディスレクシアとの診断が下る。「電卓と辞書をこの子に与えなさい」
親と学校側、サポートアドバイザーが何回も話し合った末、「自分が聞きたかった言葉をついに聞くことができた…
『成績を維持し、こうしてほしいという要望を自分で伝えることができるなら、特別サポートクラスから卒業してもいいですよ』」。

もちろん、普通のクラスに入ることができても、ディスレクシアだということは変わらない。バイト先でonionの綴りをunionと間違えて何週間も気づかなかったり。
「友達に、たった1語の綴りを聞くためだけに電話することも。スペルチェック機能がうまくいったためしがない」

1回目のSATのスコアは面白かった(笑)1350点と最悪。なので親兄弟に泣きながら相談して1ヶ月間猛特訓した。でも2回目も1350点だった。
大学の教授に4~5文の手紙を書くのにも、付箋に2回書いて推敲し、自信のない言葉はgoogle検索して調べて、それから鉛筆で下書きをしてからなぞった。たった4~5文にもこれだけ膨大な手間がかかる。

高校に入ったとき、ディスレクシアを克服しようと努力するのはもうたくさんだと思った。九九や外国語を学ぼうとするのは無駄だ、本を読んでもなぜ理解できないのか知ろうとするのは無駄だと思い至った。
「私は、自分が熱中できることに取り組むことで強みが発揮できることに気づいた。
・・・私は、働くのは本当に面白いと気づいた」

それからさまざまなアルバイトを行った。学校行事の企画も楽しかった。
そして、このイベント(TEDトーク)の企画にも参加した。

最近思うようになった。私の独創的な脳こそ、私に一番ふさわしいと。
この夏、美術の作品づくりに250時間集中した。でも同じ年、科学・数学・外国語の単位を落とした。
私は熱中できるものを見つけ、今この瞬間もそれを追い求めている。
今度の秋には美術大学に進学する。主専攻はアクセサリーデザイン、副専攻は経営学。

私がみなさんに言いたいのは、熱中できるものを見つけて、それを追い求めてほしいということ。
よく働き、よく食べて、見るものすべてと恋に落ちること。
ご静聴ありがとうございました。」

自閉症と腸の異常に関係がある可能性

今日から2学期!
子に「夏休み最大の思い出」をたずねたところ、「サッカーの合宿で、漁師さんに分けてもらったあわびを焼いて食べたこと(以下、味の説明が続く)」。
このように、非常に味にうるさい人です。Σ( ̄口 ̄*)。

私の夏休み最大の思い出は、「誰しもある程度のいびつさを抱えて生きている」「『発達障害』の人はお互いに引き寄せ合う」という気づきを得たことでしょうか。その他書ききれないくらいいろんなことを学んだ夏でした。。。

すみません、ここからが本題です。
腸内環境が自閉症(アスペルガー)の行動問題の原因?!という記事の翻訳です。

Gut Flora May Offer Clues About Autism
原文はこちら。代替医療系のサイトかも?


自閉症と腸の異常に関係がある可能性

 15年前、自閉症の子供は1万人に1人とされていた。10年前には1000人に1人、その後150人に1人とされ、そして先日CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が発表した最新統計では、米国の自閉症児の割合は50人に1人とされている。

この数字がかなり高率の疾患に相当することに、大方の異論はないだろう。だが答えられないまま放置された問いがある。それは「自閉症という神経発達性障害の急激な増加をもたらしているものは何か」だ。
自閉症の環境要因の候補は、ビタミンD不足、電磁場、ワクチン、水銀中毒などを含め、きわめて多岐に渡る。だがこの疑問の大きな鍵を握るとみられる要素が浮上しつつある。いくつかの研究が、自閉症と腸の異常に関係がある可能性を指摘しているのだ。


腸内菌叢が自閉症解明の鍵を握る可能性があると示唆する新研究

自閉症の子供は胃腸に問題を抱えている場合が少なくないことは、よく知られている。重い胃腸の問題を抱える子どもが重度の自閉症であるケースは、往々にしてみられる。

だが最近、こうした胃腸の問題は、その下にある別の問題の一症状である可能性があることが示唆されている。
すなわち、腸内菌叢の異常は胃腸の不調を引き起こしているだけでなく、自閉症と関連づけられる行動上の問題をも引き起こしている可能性があるというのだ。
ある最新研究では、20人の定型発達児と20人の自閉症児の便を採取してその腸内菌叢を分析したところ、両者のあいだに明らかな違いを発見した。

Medical News Todayによると
「この新研究では、自閉症児20人からなる被験者の便サンプルを分析したところ、微生物の多様性が減少していることが検出された。
特に、自閉症児の被験者は定型発達の子供と比べてプレボテーラ属、コプロコックス属、ベイヨネラ科が少なかった。
…これらの3つの属は糖質分解および/または発酵を行う微生物の重要なグループを成す。
こうした菌は健康な腸内細菌の活動にとって不可欠であったり、または腸内のさまざまな微生物の広範なネットワークを支える役割を果たしている可能性がある。
後者が正しいなら、自閉症児のサンプルで観察された腸内細菌の多様性減少を説明できるであろう」
同研究によると、自閉症児の腸内細菌叢は豊かさと多様性において劣っていた。これらは環境からの攻撃に対処するための細菌集団を形成するためには不可欠な要素である。
代表執筆者のひとりは「われわれは、多様性の高い腸こそが健康な腸だと信じている」と言う。
また、定型発達児と比べて自閉症児は生後3年間に抗生物質を投与されることが多いことが明らかになっているが、この抗生物質も有益な腸内細菌を殺している可能性があり、重要な役割を果たしている可能性があると言う。


・同研究によると、自閉症児の母親のほぼ全員の腸内菌叢に異常がみられた。新生児は分娩時に母親から腸内菌叢をもらうため、母親の腸内菌叢は重要である。

・最適な腸内菌叢を維持するために、健全な有機土壌で育った生の食材を食べること、また発酵食品やプロバイオティクスで腸内細菌を「植え直す」ことは(後者は特に、抗生物質を服用している場合は重要)は、自分自身さらには妊婦の場合は赤ん坊の健康を改善するためにできる最も重要な対策の一つである可能性がある。


・母乳、その後は発酵食品によって、有益な細菌を豊富に与えることは、子どもの腸内菌叢を維持する最も強力な方法の一つである。


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妊娠中に、欲するままにジャンクフードをたくさん食べて申し訳ありませんでした(泣)。

「発達障害児への学習指導は、食育と同時並行であるべき」
を書いた後、『酵素ごはん』を読んで、低速ジューサーを買いました。
毎日野菜を絞って家族で飲んでます。野菜消費量が激増しました。
ディスレクシア的に良い影響があると良いのですが・・・

ちなみに、味に細かいうちの子には「にんじん+オレンジ」が好評です。