on dyslexia

ディスレクシアとは:

- 知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い)。
-勉強しているにもかかわらず、読み書きがなかなかできない状態を指す。知的障害ではなく、普通~ギフテッドのあらゆるIQにみられる。
-独創的で、対人能力が高い。
全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける。
- 音と文字の脳内での結びつきが弱いことから起こるらしい
- 読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい。その理由は、英語のほうが日本語よりも"音の粒"が小さいから
- 細かい聞き間違いがみられるが、音声情報の処理能力は高い場合が多い
- エピソード記憶が得意。固有名詞などの細かい丸暗記は苦手
- 適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される
- 10人に1人程度いるというのが通説
- 家族性であり、遺伝による。ただしディスレクシアの表れ方は個人差が大きい

当ブログは、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能である、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要--という立場です。

2017年、当ブログで分かったことをもとに、東京・新宿にディスレクシア英語塾「もじこ塾」を開設。以来、このブログももじこ塾の話題が中心になっています。

2018-04-17

合格体験記(1)「英語を楽しんで使える理想の自分を思い描きながら」

昨年度1年間、もじこ塾で英語を勉強し、この春から大学生になった生徒に、合格体験記を書いてもらいました。
1人目は一橋大学に合格したA君。都内私立進学校卒,浪人生,高校受験してます。

彼は数学と社会がものすごく得意です。めちゃくちゃ馬力があり、試験時間の120分,英語を読み続けることはわけなくできます[普通の人よりかなりの負荷がかかっているはずですが]。知識量は相当あるうえインスピレーションのかたまりというか、視点がとてもユニークで、茶目っ気があります。
時空を飛び越えるような英作文を書き、時々主語が抜け、字は控えめに言って悪筆で[ごめんなさい]、余裕の合格答案が書けるようになっても最後までスペルミスや受動態や不規則動詞のミスがなくならない,私からするといかにもディスレクシアらしい生徒でした。
多動も不注意もこだわりもなく、時間は守り、寝落ちせず、宿題は全部やってきました。
彼とは、私が出講する予備校で出会いました。こちらは3回目くらいの授業でディスレクシアだと気づいていましたが,現役時は指摘せず。浪人決定時に報告に来たので「君はディスレクシアというものだと思うよ」と話して,もじこ塾に引っ張ってきました。

☆  ☆  ☆

ーーもじこ塾をどうやって知ったか。入塾の決め手は。
21月から成田先生の一橋英語を受講しており、3月に浪人の報告をしに伺った時に、留学したいので英語を伸ばす浪人生活をしたいと伝えた所、もじこ塾を教えてもらった。もともと、単に予備校に行くだけの浪人生活にしたくないと思っていたので、入塾を決めた。その際にディスレクシアの説明を受けたが、実のところあまり気にしていなかった。成田先生には私の解答を1年以上見てもらっていたので、これ以上自分を理解している教師はいないので、ぜひ個別で見てもらいたいと考えたのが入塾の決め手だった。

(※そりゃあ、私はA君がディスレクシアだと見抜いていたわけですしね(^_^))


ーー他の予備校との兼ね合いは。英語はもじこ塾以外でも勉強したか。
河合塾は元々、英語の授業が多かった(平日毎日90)。もじこ塾で読解、英作文の対策をしてもらったので、河合の方では文法に力をいれた。現役の時はあまりやらなかった文法だったが、一浪して、大分よくなった。河合の宣伝になってしまうが、読解の太先生(東進でも受講可能?)の授業は良かった、英語の読み方が変わった。しかし、集団で単に講義を受けるだけの予備校より個別で先生に質問しながら勉強できるもじこの方が本来の自分の居場所という気がしていた。

(※彼のインスピレーションに満ちた一面が答案に表れたときは「ほんとディスレクシア的だね」という指摘を積極的にしました。そういった指摘が無意識的に"居場所感"につながったら,もじこ塾に引っ張ってきたかいがあったというもの。
私にとって彼はどこまでもディスレクシア的で,そのディスレクシア感覚を目の当たりにするのは、美しい自然現象に立ち合うような(?!)、講師冥利に尽きる瞬間でございました。)


ーー入塾を考えている人へ、もじこ塾はどんなところと説明するか。
もじこ塾は、個人のレベルに合わせて、(ディスレクシアという特性も考えながら)勉強内容を変えて取り組むことができます。過去にxxxで東大クラスをもっていた先生から個別指導を受けることができるなんて、とてもお得だと思います。
私は、ディスレクシアのことなんてあまり考えずに受けていました。ディスレクシア用の特殊な指導を受けることも、ディスレクシアという特性をもちながら、普通の受験勉強をよりよくしていく場として活用することもできると思います。
また、私は小中高と様々な塾に通ってきましたが、個別指導は受けたことがなくて、個別でも集団でも変わらないだろうと思っていましたが、初めて個別指導を受けてみて意外と質問は先生を前にすると出てくるし、英作文のコメントを詳しく聞くことができたのがよかったと思っています。

(※「もじこ塾に行けるなんてうらやましい」と,定型の生徒に言わせたいですね(^^)。)


ーーもじこ塾で勉強したこと/話したことで、特に印象に残っていることは
5月か6月頃に先生の前で読解の練習をしたことがまず、思い浮かびます。本番の入試よりも難しいものを読もうというコンセプトのもと、先生が探してきた文章を先生の前で読みました。入試ではあり得ない長々々文で一部を先生の前で読み、読み方を学んで、残りを自分で読むことで、先生の前で読んだ時に学んだことを実際に試すことがしやすかったと思います。

(※彼には毎週必ず自由英作文を1本、目の前で書いてもらうのと、時には読解問題を目の前で解いてもらっていました[→黙読]。こちらでは読む様子、書く様子をつぶさに観察し,いろいろ指摘します。ディスレクシア的には読み書きのプロセスそのものを改良したいわけですから、現行犯逮捕(?!)ができるよう,このような形式になりました。細かく観察されるのはかなり緊張したと思うけど、よく耐えた(?)と思いますよ。)
(※一番印象に残っている彼の答案は,年末に自由英作文で書いてきたKnowledge interferes with innovation[知識はイノベーションの邪魔をする]という一言。それだけ知識量のある人がそんなことを言うなんて。。でもディスレクシアな発明家は異口同音にそう言いますね。)



ーー入試を振り返って、現役時との違いは。勝因は何だったと思うか。
現役のときは、安定して高得点が出せる社会と不安定だけど得意な数学で押しきろうとしていました。その結果、数学が良かった模試の成績は良かったですが、本番は数学で失敗して落ちました。浪人時は、苦手な英語を克服しようと、もじこ塾に通って英語漬けにしました。私としては、一橋英語よりも早慶英語にも手をのばしたことで安定性が出て、得点も伸びた気がします。

(※彼
を通じて私が改めて確認したのは、難関大を目指すディスレクシアには読み書きを極限まで追い込む指導が有効で、それを可能にするのは信頼関係だということ(→これを言葉で確認することは決してないですが)。追い込める教材を使う必要がありますし、本人が読むこと書くことに及び腰になっている状態だと、残念ながら効果は薄い。
もじこ塾に来る生徒には、読んで書いてどろどろになるところを、かまわず見せてほしいと思ってます。彼はこの点で迷いがなかったですし、しかも、なかなかへこたれなかった(笑)



ーーディスレクシア的に、大学入試や受験勉強において特に注意すべき点はあるか。
基本的には、大量の問題を限られた厳しい制限時間の中で解くことを要求する試験は苦手だと思います。実のところ大抵の入試問題はこのパターンでセンターも早慶も向いていないと思います。私が受けた中では、一橋の問題だけが例外だったかもしれません。
そんな中で、このパターンを克服する方法の一つは難しく考えないことかもしれません。センターで特にこの方法が活用でき、イメージとしては脳をワンランクグレードダウンさせる感じです。フワフワ解くといったらよいのでしょうか、なんとも伝えにくいのが正直なところです。ただし、苦しみながらもこのことを念頭に置きながら訓練しないとこの技術は体得できないと思います。

(※「センターでは脳をワンランクグレードダウンさせる」は,このあと掲載する別の人も言っています。びっくり!)


ーーもじこ塾の生徒に、激励のことばをお願いします。
私たちは本当は自分の苦手な領域(英語など)から逃げて自分の好きな世界(数式など)に逃げていたほうが生きやすいのかもしれません。しかし、私たちの中には、先生が言うには(私は今も昔もあまり自覚はないが)ものすごい努力をして何とか今の英語力を維持して何とか大学受験に向かおうとしている人がいます。大学受験までの辛抱と思うかもしれませんが、大学に入ってからも英語力は必要とされ、私も留学のために既にさんざん練習してきたReadingでも更なるジャンプアップを必要としています。ここまでして英語を学ぶのなら、英語の楽しさを早く見出したほうがいいのではないかと、受験が終わってから思うようになりました。というのも受験が終わって、久しぶりに洋画を見たら、2年半前よりもはるかに英語が聞けて、意味が理解できる様になっていて、何倍も面白かったのです。苦労したら楽しさはあると信じていないとやっていけないと思うし、英語を楽しんで使える理想の自分を思い描きながら、皆さんには頑張ってもらいたいと思います。

(※美しい・・・(ノД`)
英語の読み書きは苦痛のはずなのに,目標達成のためにそれを克服しようとする姿勢は、本当に尊くて、私としては彼にはリスペクトしかないです。
苦手だった英語を留学仕様にブラッシュアップできたので、浪人して本当によかったと思いますよ。
12月頃に一段と英作文がうまくなった時は驚きました。合格後に聞いたところ「読解問題のストラクチャー[全体構成]やリズムを真似するようにした」と言っていましたよね。英語の文字-音の対応ではすくいきれない部分に反応して、それを再現できるようになるとは、なんてディスレクシア的な英語力の伸ばし方なのだ・・・と、感銘を受けました。)


ーー自分がディスレクシアだと知ってどう思ったか。現在はそのことをどうとらえているか。
自分がディスレクシアと知ってもあまりピンとこなかったし、今もまったく気にしていない。ただ、このことを知ったことで、予備校で先生のおすすめする学習法が自分に合っているのかを考える材料になったりと、自分の特性を知ったことで、得意を伸ばし、苦手をつぶす方法を考えるための新しい見方になっていると思います。

※ちなみに,一橋大学では,ディスレクシアの学生を支援してくれるそうです→

ディスレクシアの文字を大学の合理的配慮でみたのは初めてかも、、でもこの対応を入試でも行ってくれたら、一橋を本気と認めます(´∀`)

☆  ☆  ☆


この生徒のように、進学校にもディスレクシアは確実に存在します。

おそらく診断はつかないでしょうし、本人も診断を受ける必要性を感じていないでしょうし、研究会で事例発表したところで「この生徒は困っていないのではないか?」と言われそうですが、でもこうした生徒も自分比で英語ができないことにすごく苦労していますし、通常とは異なるアプローチが有効だし必要だと、改めて確信するに至りました。

彼には、もじこ塾の今後の方向性を決めてもらったと思っています。

もじこ塾は今後、療育塾ではなく進学塾、それもバリバリの進学塾になる予定です^^。(注:あくまでもディスレクシア専用です)。

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