ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2021-12-16

OG(オートン・ギリンガム)日記!(3)(1回のレッスン構成、6種類の音節)

今日も5時起き! 勉強になりました!

フォニックスのフラッシュカードを読むところからスタート。意外と読めない受講者続出。やっぱりネイティブにも難しいんですね・・・


●1回のレッスンの順番

理想は週5回、1回45分~60分。1対1または少人数グループで。とはいえ、ここで教える内容は教室での一斉指導にも役立つ。

OGでは字や音の導入はどうやらアルファベット順。しかし生徒の年齢に応じて変えてよい。ESLならなおさら。

と同時に、生徒が難しいと感じているもの、前回の授業で扱ったもの、また母音連続が難しいので、それを必ず入れるとよい。

ショートの母音のみアクションつき。

1)筆記体を書く

準備運動、ウォームアップ

2)字を見て言う

(23)

何枚かのフラッシュカードを教師が見せ、生徒は文字の音と名前を言います。

OGではアルファベットの名前も言わせてます。

3)音を聞いて書く

(2~3分)

/e/と読む字は?」と教師が聞き、生徒は聞いた音をおうむ返ししてから、ホワイトボードや砂に書く。

教師「アイと読む字は?」

生徒「アイ」と言いながら、i, i_e, ighと書く。

 

※同音異綴りも全部!毎回!言わせるようです(@ @)「これは厳しいですが、ディスレクシアにとっては本当に強力」とのこと。

4)ドリル

(23)

音韻認識、文法、音節など、ちょっとしたアクティビティ。

5)1語だけを読む(15)

レッスンの山場。

2)3)で扱った音の入っている単語を読む練習。

 

6)1語だけを書く(3)

5)で扱った単語をスペルする練習。

 

7)センテンス/フレーズを読む、書く

5)で扱った単語が含まれる文を音読してもらう(数文)

 

教師が読み上げ、生徒は全文おうむ返ししてから書く(1)

8)新出事項

(510) 

新しい音などを教える

9)読みもの

(10)

単語をコントロールすること。ここまでの授業で扱った音素/文字を扱う。

10)ライティング

 

一番クリエイティブな部分。小学校低学年なら日記的なことを言ってもらい、書いてもらう。年齢並みの構文(文構造)、語彙を教えるパート。ここではスペルミスは直さず,生徒のアイデアを重視する

11)おさらい

新出事項の確認

注意事項

・その日ごとに明確なテーマがあり、そのテーマが1回の授業を貫くように。

※これは毎回の教材準備がまじで大変!でも、この教材をゆるやかにでも体系化したら、本当の意味で読み訓練の教材ができることでしょう。

・だいたいの典型的な順番は決まっているが、生徒の進み、苦労している部分、前回やったこと、複数のスペリングがあるもの、を中心に毎回微調整。

※一人の生徒でうまくいっていたものが、次の生徒ではうまくいかないのは自然なこと。前の生徒に対し取りこぼしがあったとか目配り不十分だったということではない。OGは生徒にあわせて微調整し、作り替えるもの。

※もじこ塾の中学生の授業とわりと同じ構成ですが、衝撃なのはフォニックスの定義ですね。専門用語を使うと、ダイグラフや同音異綴りもフォニックスの一部という認識のようです。

ea、igh、cという字の2つの読み方(hard cとsoft c)、/k/と読める3つの字(c, k, ck)を、言わせ書かせます。それも毎回。

フォニックス講座で「a」と書いたフラッシュカードを見せて「この2つの読み方を言ってごらん」と言うと、生徒はぐったりするので(ものすごく疲れます)、してはならないことだと思ってましたが、そんなことはないとは。。。ちょっと試してみます。

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◆6種類の音節(6 syllable types)


「これを全米の教室で教えるだけで、生徒は劇的に読めるようになるはず」と言ってました。あまり教えられていないことらしいです。

音節の種類を知るのは,母音の読み方を知るため。

クローズド(closed)

1つの母音+1つ以上の子音によって、母音が閉じる。

母音をショートで読む

 

 

 

cat, dog, pin, stepなど

オープン(open)

母音で終わる音節。この母音はロングで読む                                           

 

 

hi, so, ka ...

※ローマ字とたたずまいが同じなのに、まったく読み方が異なる!!これは大変。

マジックe

語末のeを読まず、直前の母音字をロングで読む

a_e, e_e, i_e, o_e, u_e,

※e_eは短い単語の例が少ない

make, time, hope, cute

母音連続(vowel teams)

2つまたは3(igh)の母音字が組み合わさって、1つの読み方になるもの。

 

ai, ea, ee, oa, oo, ighなど

sail room  team  night

 

rつき母音(r-controlled)

母音字+rrがつくと母音字が変わる。「クローズド」と混同しやすい

er, ir, ur, ar, or

erirurは同じ読み方。

(6)子音+le

 

スペリング的に最も鬼畜(brutal)

子音+le

bubble, candle, puzzle, little

6種類の音節をソートするアクティビティ→ 

※くしくも高3の生徒と、音節の理解が長い単語のデコーディングに役立つのではと試行錯誤している最中なので、この分類はとても参考になりました。音節はどうやら1つの文字の読み方と同じくらい、デコーディングに重要な要素のようであり,また純粋ディスレクシアの多くが非常に苦労するポイントです。この表は音節を体系的・明示的に教える手がかりになりそうです。



◆教材を作る/探すのに便利なサイト

wheel of names (ホイール型ツール)→

Word Wall→

パワポで作るようなアクティビティを作れるツール。ほかの人が作成したアクティビティが大量にアップされているのも便利そう。

Teachers Pay Teachers→

「先生が先生に払う」。教師が作ったプリントをプチプラで売買するサイト。フォニックスをはじめさまざまなプリントが大量にあります。英語のみ。日本版を誰か作ってほしいです!



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