on dyslexia

ディスレクシア
(読字障害、読み書き障害、失読症、難読症、学習障害、読み書きのLD)について、調べて分かったこと/実践したこと/英語から訳した文章をアップしています。

ディスレクシアとは:
- 
知能は普通だが、読み書きが苦手(誤字が多い、読み書きが遅い、読み間違いが多い)
- 独創的で、対人能力が高い。空間把握力、全体像や物事の関係性を把握する能力に長ける。
- 音と文字の脳内での結びつきが弱いことから起こるらしい
- 読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい
- 細かい聞き間違いがみられるが、音声情報の処理能力は高い
- エピソード記憶が得意。固有名詞などの細かい丸暗記は苦手
- 適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される
- 10人に1人程度いるというのが通説

当ブログは、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能である、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要--という立場です。


2014-06-10

「読めば読むほど脳は変わる。たとえディスレクシアでも」

久々に衝撃的な記事を見つけたので、訳しました。
筆者のAnnie Murphy Paulさんはコラムニストで、ディスレクシアの子がいるようです。
当ブログの一番最初の記事が、この方の別の記事「ディスレクシアのプラス面」でした。


読む経験はディスレクシア児の脳を変える可能性がある
ニューヨークタイムズ紙、2014年5月15日
原文は→こちら

<まとめ>
・ヒトの脳には、読む能力は生来的には備わっていない。
・ディスレクシアでも普通の人でも、読めるようになるには、訓練によって脳を変える必要がある。
・つまり、ディスレクシアでも読む訓練を個別的かつ集中的に行うことで、脳を変えることができる。
・「ディスレクシア脳は遺伝なので、読み困難は一生克服できない」という考え方は見直す必要がある。

ディスレクシア児(とその親や教師)が直面する数多くの課題のひとつに、「この読みの困難は完全に固定化されたものだ」という執拗な不安がある。読み困難は遺伝子によってあらかじめ決定されており、変えられないという考え方だ。だが最近の研究はこの不安を和らげている。ディスレクシアには経験が大きな役割を果たす、それは読み問題を強める方向にも、そしておそらくは弱める方向にも働く。そう示唆しているのだ。

ディスレクシアはアメリカの人口の10%以上にものぼる、最も一般的な学習障害だ。だがその原因は解明されておらず、ディスレクシアの読みの困難につながる生物学的メカニズムについては、数多くの科学者が理論を提示してきた。そして最近の研究では、ディスレクシアがどこで始まり、どのように発達するかの理解に迫っている。それはまた、“読む“という行為そのものの性質にも光を当てている。

一例をあげよう。ディスレクシアの原因仮説として長く信じられてきたものに「ディスレクシアは視覚系統の欠陥に由来する」というものがある。視覚の問題によって、dbを混同したり、単語が入れ替わったするといったディスレクシア特有の問題が説明できるかもしれない。確かに、脳スキャンでは通常の人と比べてディスレクシアの人の脳は、視覚野の活動が少ないことが示されている。

だが最近、この説に正面から異論を唱えるのが、ジョージタウン大学病院学習研究センターのGuinevere Edenディレクター率いる研究だ。それによると、ディスレクシアは見え方の問題ではなく、言語の処理の問題であり、個々の音を単語へと組み立てる部分の問題だと言う。ディスレクシアの信頼や治療にあたっては視覚システムに注目すべきではないと同氏は主張する。

ならば、ディスレクシアに一貫して見られる視覚的欠陥は何なのだろうか?同氏のこれに対する説明は、実に腑に落ちるものだ。それはディスレクシアの仕組みのみならず、一般の人の読みの仕組みの解明にもつながるものである。

Eden氏と同じジョージタウン大学のOlumide Olulade氏によると、読みの技術は「文化的に強制された」ものだ。つまり人類は、話し言葉の運用能力は自然に習得するよう進化を遂げたが、読みに関しては同様の進化を遂げていない。読めるようになった人は一人残らず全員が、現在画面上で目にしている黒い線の羅列を意味のある記号に転換できるよう、脳を大きく変えることを余儀なくされた。読めば読むほど、脳は変わる。

だが、ディスレクシア児では、この脳の初期段階が、他の子供と同じようには進まないのだ

ベルギーのルーベン・カトリック大学のBart Boets氏率いる最近の研究によると、ディスレクシアの脳は言葉の音の神経学的表象については正確(ここから、ディスレクシアも言語音の理解には何の問題もないことが説明できるかもしれない)。だがディスレクシアだと、音を単語にするときに、脳の聴覚野と言語野の伝達がうまくいかないようだ。同氏はディスレクシアを「接続不良症候群」と呼ぶ。

この接続不良により、ディスレクシアだと初めて読もうとする時から苦労を強いられる。読むのが大変なので、読むのを避けるようになる。そして読むのを避けたため、脳の変化が少なくなる。最新の考え方によると、視覚的欠陥はディスレクシアの原因ではなく、読む量、読む経験が少なかった結果だと言う。だからこそ、正しい種類の経験----正しい音と文字に関する集中的な個別指導----によって、視覚的欠陥を取り除き、子供の読みの力を大幅に向上させることができる。Eden氏の研究はそう示している。

この研究が示す重要なポイントは、かつて研究者が信じていたほど、通常の脳とディスレクシアの脳は、生来的に異なるわけではないということだ。かつて遺伝に由来するとされてきた違いも、経験の産物かもしれないのだ。

例えば、研究者はかねてから、ディスレクシアの脳は通常の読み能力を持つ人の脳と比べて灰白質が小さいと信じ、この違いは遺伝に由来すると説明することが多かった。
だがEden氏の研究によれば、灰白質の大きさの違いは、視覚的欠陥同様、読み経験が相対的に少ないことによって引き起こされている。正しい経験(集中的な個別指導と、読書時間を増やすこと)が導入されれば、ディスレクシア脳の灰白質も一般の脳に近づく。

ここから、ディスレクシア児を指導する親や教師は、何を学ぶべきだろうか?

1. 正書法(字の正しい書き方)と音声学(文字に対応する音)の集中的な個別指導は大きく役立つだろう。
2. ディスレクシア児には読書するよう、常に後押しし続けるべきである。たとえ読むことは大変な苦労であっても。
3. ディスレクシアが抱える読み困難は、かつて恐れられていたほど強固に固定されたものではない。経験は、プラスにもマイナスにも大きな差となる。

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「ディスレクシアでも読めるのか?」
「すらすら読めるなら、もはやディスレクシアではないのか?」
「読む訓練が効果的なら、何を読めばいいのか?」
あたりは、当ブログの陰で議論が続けられてきた、最大のテーマです・・・!
いよいよこのテーマについて書く機が熟してきたような気がします。
この話題については続きます・・・

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