ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。
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2014-12-18

小学生向け視写教材・音声教材いろいろ

小学生の視写教材について、ご質問を頂きました。

コメントでちゅら海さんが書かれていた
うつしまるくんを宿題に出してもらうよう、学校の先生に頼む
は、その手があるかと。うまいアイデアだと思いました!
(うつしまるくんは、学校だけに販売する、書店取扱のない商品です)

うちは最近、薄い問題集を、天声人語ノートに貼って使っています。

『朝5分ドリル』
5~10分で視写するのに、ちょうどいい分量です。
内容も、ニュース、歴史、小説、カタカナ多め/漢字多めなど、
いろいろ入っています。

1学年下の教材から始めました。

今は6年生のものを使っています。
PCメガネをかけ出したら、最後まで書き通すことができるように。
(よく見るといろいろ間違ってますが)


手順
1)設問を解く(問題集の指示通り、最長5分で)
2)視写する(10分。書き終わったら2周目に入る)
3)音読してもらう(視写した字のほうを。これが読めない。。)

この教材を見つける前は、小学生新聞を使っていました→
視写教材としてはとても良いですが、毎日の素材選びがけっこう面倒なので
今はありがたく問題集を使っています。

小説が好きな子なら、長い小説を少しずつ視写するのも良いと思います。

視写は、毎日地道に続けて、習慣化することが大事だと感じています。
大学受験生や大人での効果を見て以来、最近は毎朝行っています。


☆追記(14/12/19)
さる方から情報提供を受けました。教材比較写真を載せておきます。
ありがとうございます!

◆うつしまるくん

うつしまるくん(1年生)。
「ていねいにはやく」はディスレクシアには無理かも・・・


ディスレクシアだと、最初のうちは学年相当の視写は難しいかも、とのこと。
確かにそうかも・・・うちのやつが1年のとき、この視写が宿題だったとしたら、
相当つらかっただろうと思います。



「グレーゾーンの子どもに対応した作文ワーク」


初級・中級・上級があります。
単語、機能語、音便(「っ」「ょ」など)を正しく書く練習、
そして単文、複文の視写・・・という徹底したスモールステップ構成です。
うちでは3年3学期から4年1学期に(途中まで)解きました。
今見ると、全部解けばよかったと思う、充実の内容です。

「グレーゾーンの子どもに対応した作文ワーク 初級」で
うつしまるくん(1年)と同じくらいかも?


◆「読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク」
「読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク」
このシリーズはよく出来ています。
ディスレクシアだと分かったら、学年問わず一度戻ってみるのがおすすめ


これもおそらく、4年生か5年生の時の字。
たしか、漢字学習と並行して、疲れたら1ページだけこの本から練習、
という使い方をしていたように記憶しています。

当ブログは視写推しですが、それでもあえて言いたいのは、
視写は、ディスレクシアな子の発達段階によっては、すごくつらいので、
嫌がるようなら無理強いはいけないということです。

そのうち、ディスレクシアでも視写が楽しいと思える時期が来るようです。
そのときが、視写の取り組み時なのでしょう。

☆  ☆  ☆

ついでに、音声教材について、知っていることを書いておきます。

・「中学英語の教科書ガイドについているCDを何度も聞かせています
と、さる方からメールで教えて頂きました。
なるほど!ありがとうございます。

・ディスレクシア支援を行っているNPO「エッジ」のサイトでは、
ディスレクシアだと自己申告すれば、
小中学校の教科書の音源を無料でダウンロードできるようです。
私はまだ使ったことがないですが、非常にありがたい教材だと思います。

・うちは、小学校の国語の音声教材として、
オーディオブック販売サイトFeBeをチェックしたり、youtubeを探したりします。

FeBeはプロの朗読なので、さすがのうまさです。
ディスレクシア的には、聞いているとありありと映像が浮かぶようです。
子供は「トロッコ」を聞いたときに「怖い(´Д`;;)」と震えてました(笑)。

『脳が良くなる耳勉強法』

FeBe創業者が語る、聴覚を使った勉強法。

神奈川の私立中高に入るも偏差値30まで落ち、
そこから耳勉強法を編み出して東大に合格との経歴からは、
この方もディスレクシアなのかも、、という気にさせられます。

本人がブログに出してくれと言うので、失礼します。
「やまなし」はFeBeで聞いてから、学校の授業に臨んだところ、
先生の言っていることもよく分かったそうです。

2014-10-09

小学生新聞のディスレクシア的活用法

小学生新聞を購読して半年たちました。前回は→こちら

ノンフィクション好み、社会派(?)のディスレクシア児にとって、
小学生新聞は良い素材だと感じています。
うちはフィクションの文章がぴんとこないので(特に私が)、ありがたいです。

小学生新聞はディスレクシアな高学年にも効果的ですが、
もっと早い時期から購読して、読み聞かせに使ってもいいかもしれません。
「字は最後」作戦の一環になるはずです。

うちでの使い方をまとめてみました。

◆1 視写教材として

視写はかれこれ1年半近く、週1回、家庭教師君と続けています。
短期記憶の訓練になっている、と思います。


視写。最初は原文とノートの1行の文字数を合わせていましたが
最近はそこまで厳密にはやらなくなりました。


視写は週1回、10分。


実は、視写の効果は、自分の子よりもコスモ君
(私が英語を教えている浪人生)を見て実感しています。
私の前では一切鉛筆を持たせていなかった彼が先日、
英文を色分けまでしてきれいに写したノートを持って来て
「書いて覚えています」と言ったときには、目が点になりました。

ちなみに彼がしているのは「何度も書いて覚える」ではなく、
「本文を書き写す」、つまり視写です。

文字を書き写すというのは、
各駅停車の速度で文を理解していくようなところがあると思います。
じっくりと深いところに効くと思います。
が、ディスレクシアでもその効果は感じられるんだ・・・とびっくりしました。

ところで、私もハイパーレクシアが行き詰まったどん底期にしていたのは、
ラテン語入門(笑)と、Japan Timesの記事の視写でした。
どちらも、ノートにたくさん字を写しました。
1年ほどで終わりましたが、実は読み方に根底から作用していたのかもしれません・・・?




◆音読+内容確認

視写終了後、全文を音読してもらいます。
実は、書いているときは意味はほとんど頭に入っていないらしいです。
今後の課題です。



視写以外では、小学生新聞は夕食の前に黙読してもらうことが多く、
時間に余裕があれば、音読につきあいます。

音読の方法は、
-全部子供に読んでもらう
-1文ずつ交代で読む
-地の文とセリフで交代
-QとAで交代
などを使います。

新聞のおかげかどうか分かりませんが、6年生に入ってうちの子は
「おれはもう読める。書くのは苦手だけど」
と明言するようになりました。
確かに、音読させてみると、まあ問題なく読めます。
ルビのない文章も、ずいぶん読めるようになりました。

WISC的にも「記号」はそろそろ6歳並みになるはずの昨今、
だんだん「隠れディスレクシア」の特徴にあてはまるようになってきました。

音読そのものは実は内容理解のためには微妙・・・です。
でも、音読で正しく読めていることをチェックしないと、
黙読で正しく読めていると確信することもできず、
そして、黙読の時に正しい音(特に助詞)を頭の中で出すことは、
正しく読むためにはきっと必要なことなので、
その意味で、ディスレクシアに音読はやはり必要だと、今は思っています。




音読の後は、お互いに一言、感想を言い合います。

これが意外とできません。
感想を言語化できれば、作文の苦手もかなり改善すると思うのですが・・・。

この点も、コスモ君と比べてすごく違う部分です。
コスモ君はたった1行の例文でも感想を持ち、物語さえ語れるくらい、
一言一句をビジュアル化し、自分のものにしながら読んでいます。
これはこれで、妄想が激しくて大変そうですが(と本人も言ってます)
ある文章を読み、その感想を語るのは、彼にとってわけないことです。

ディスレクシアも多彩だと感じます。。。




さらに余裕があれば、全体の内容理解を確認します。

「給食で牛乳を廃止する学校が増えている」という記事で
牛乳賛成派vs反対派の意見を色分けしてもらいました。
ガリレオの伝記を読んだので、天動説と地動説の話に広げました。
いい素材が見つかればyoutubeは教材の宝庫ですね。
※向きが変ですみません


実際には、6年生にもなると他にやることも多くて、
ここまで活用できる日は少ないです。



スクラップ

子供の小学校では毎日「自主勉」(=何をしてもいいが、何か提出する)
という宿題が出ます。
そこで、小学生新聞から1つ記事を自分で選んでスクラップさせ、
一言感想を書いてもらっています。
これは音読とは別に、できるだけ自力で取り組んでもらっています。

これが一筋縄でいかず(苦笑)
ディスレクシアは作文も苦手と言いますが、うちも例外ではありません。
なかなか鋭い批評眼を持っている子だと思うのですが、
原稿用紙を前にすると
「○○はすごいと思いました。おわり」
のような、稚拙な文しか書けませんorz

2学期に入り「スクラップの感想で『すごい』は禁止」と言い渡したところ
頭を抱えながら書いています(笑)



感想を書く訓練と同時に、はさみの使い方の訓練にも・・・(苦笑)




まれに、なかなかいいことを書く。ワンピールではなくてワンピースですが


◆朝小と毎小、どちらがディスレクシア・フレンドリーか?

結局うちは朝小と毎小、両方購読しています(!)

両方とっても進○ゼミより安いからまあいいか。。塾代と思えば。。
と、ちょっともったいないと思いつつ両方購読していますが、
ディスレクシアにはそれぞれ一長一短があり、決められません。

子供は毎小のほうが好きです。
理由は、判型が小さい、つまり1記事の分量が少ないから(笑)

しかし、毎小にはたまに、スクラップや音読の素材になる文章がない日があります。
より中学年向きと言えるかもしれません。

この点、朝小は科学的な記事が充実しています。
これらは、特に視写(カタカナが連続するので)や、
内容理解まで掘り下げて使う場合に向いています。

朝小の欠点は、本文も広告も、中学受験に偏りすぎていることです。
大手進学塾の準拠教材かというくらい偏ってます。

30数年前、私は中学受験ワールドに過剰に順応していました。
そこからの解脱に30年近くを要した者としては、
朝小の中学受験を煽るような記事の数々を見ると
「早熟な子をそんなにも強く大人の価値観で縛り上げて、いいことあるの?」
とつい思ってしまいます、、

毎小が科学の記事を充実させてくれれば、
最もディスレクシア・フレンドリーになるのですが。。



2014-06-18

ディスレクシアの読み訓練「読ませるのでなく、一緒に楽しむ」

私は幸運なことに、子がディスレクシアと分かってから非常に早い段階で、

ディスレクシアの子にも読みの訓練はできるし、すべきである

と強く忠告してくれる人がいたので、一つひとつの字を読む練習をさせる一方、文章の読み訓練についても、試行錯誤することができました。

この試行錯誤というのは文字通りでした。試す→子供も頑張る→でも続かない→しばらくして別の方法を試す、の繰り返しです。

そして最近ようやく、
こういう方向性なら、ディスレクシア児への読み訓練は効果的かも
ということが、なんとなく見えてきました。
今日はそれを書いてみます。

☆  ☆  ☆

一番衝撃的だったアドバイスはこれです。本当に本当にありがとうございます:
読ませる、のではなく、一緒に本を楽しむのです。読んでやり、読んでもらう。相手の音読がどんなに上手でなくても、ああ、読んでもらって楽しかった、ありがとう、という姿勢を見せます。読み聞かせが好きな子は自分が読んでもらう喜びを知っているので、自分も相手に同じ喜びを与えたことを喜びます。読み間違いの訂正はすべきですが、さりげなく。読んだ後に本の内容の話などをします。

一緒に楽しむ!!
音読なんて絶対無理・・・と思っていましたが、この一言で目が覚めました。
私にとっての読み訓練は、この「一緒に楽しんでいる姿勢を見せること」がすべての基本になっています。


<ディスレクシアの子の読み訓練のポイント>

※なお、以下では「親」と書いていますが、これはうちが一人っ子の核家族だからで、「親」の部分は読めるお兄さんお姉さんでも、他の保護者でもかまいません。

(1)毎日10分、親が音読につきあう。
ディスレクシア教育では「毎日短時間でもコツコツと」が、特に大事です。
また、音読は放置せず、親が聞き手になる必要があります。


(2)親子とも興味の持てるものを読む。
子供が興味を持って読める(=あまり幼稚すぎない)ことはもちろんですが、長く続けるには親も興味を持って聞けるものがよいようです。親が興味を持てるジャンルでないと、素材探しが負担になってきます。
上の忠告を下さった方は、長編ファンタジー小説を音読素材に使っていたそうでしたが、実は私がどうもフィクションには興味が・・・。
ということもあり、子供も親も関心が持てる素材を探し続けた結果、うちでは小学生新聞を毎日音読しています。
小学生新聞は、いろんな点でディスレクシアの読み練習にお勧めです→こちら


(3)読んだ後、内容について話し合う(話してもらう)
小学生新聞の場合、読後は「何の話だった?」から始まり(これがなかなかうまく言えないのがディスレクシアです)、簡単に要約してもらったり、内容に関する質問を出し合ったりします。
うまく行けば、内容についての意見を言ってもらい、そこから議論します。


(4)読み方は、一人で全部、あるいは交代で
理想は一人で最後まで音読することですが、疲れていたり、難しそうと本人が感じていそうな時は、1段落ずつ/1文ずつ/地の文とカギカッコ内で、交代で読みます。

できればルビのない素材が望ましいようですが、うちは現在、小学生新聞を使ってるので、基本的に総ルビです。


(5)読み間違いの訂正はさりげなく
音読カードさながら厳格に正しく読むことを追求しすぎると続きませんが、間違いはさりげなく訂正します(それでいて「読んでくれて楽しかった」という姿勢も見せないといけないので、このあたりに演技が必要になります)

(6)読ませるのでなく、一緒に本を楽しむ
ディスレクシアの読み訓練において何より重要な点です。


最近私は、「ディスレクシアの子が読めるようになるまでつきあうのは、赤ちゃんの頃に話しかけたり、身の回りの世話をしたりしたのと同じ種類のこと」という認識に至っています。
親なら当然する世話の範疇として、怒らずに何度でも直し、将来の自立した姿を思い浮かべながら、教え方の微調整を続け、今しかない時期として楽しくつきあう。できたらうんとほめる。
長い長い道のりですが、そういうスタンスが、非常に大事だと思います。

2014-06-10

「読めば読むほど脳は変わる。たとえディスレクシアでも」

久々に衝撃的な記事を見つけたので、訳しました。
筆者のAnnie Murphy Paulさんはコラムニストで、ディスレクシアの子がいるようです。
当ブログの一番最初の記事が、この方の別の記事「ディスレクシアのプラス面」でした。


読む経験はディスレクシア児の脳を変える可能性がある
ニューヨークタイムズ紙、2014年5月15日
原文は→こちら

<まとめ>
・ヒトの脳には、読む能力は生来的には備わっていない。
・ディスレクシアでも普通の人でも、読めるようになるには、訓練によって脳を変える必要がある。
・つまり、ディスレクシアでも読む訓練を個別的かつ集中的に行うことで、脳を変えることができる。
・「ディスレクシア脳は遺伝なので、読み困難は一生克服できない」という考え方は見直す必要がある。

ディスレクシア児(とその親や教師)が直面する数多くの課題のひとつに、「この読みの困難は完全に固定化されたものだ」という執拗な不安がある。読み困難は遺伝子によってあらかじめ決定されており、変えられないという考え方だ。だが最近の研究はこの不安を和らげている。ディスレクシアには経験が大きな役割を果たす、それは読み問題を強める方向にも、そしておそらくは弱める方向にも働く。そう示唆しているのだ。

ディスレクシアはアメリカの人口の10%以上にものぼる、最も一般的な学習障害だ。だがその原因は解明されておらず、ディスレクシアの読みの困難につながる生物学的メカニズムについては、数多くの科学者が理論を提示してきた。そして最近の研究では、ディスレクシアがどこで始まり、どのように発達するかの理解に迫っている。それはまた、“読む“という行為そのものの性質にも光を当てている。

一例をあげよう。ディスレクシアの原因仮説として長く信じられてきたものに「ディスレクシアは視覚系統の欠陥に由来する」というものがある。視覚の問題によって、dbを混同したり、単語が入れ替わったするといったディスレクシア特有の問題が説明できるかもしれない。確かに、脳スキャンでは通常の人と比べてディスレクシアの人の脳は、視覚野の活動が少ないことが示されている。

だが最近、この説に正面から異論を唱えるのが、ジョージタウン大学病院学習研究センターのGuinevere Edenディレクター率いる研究だ。それによると、ディスレクシアは見え方の問題ではなく、言語の処理の問題であり、個々の音を単語へと組み立てる部分の問題だと言う。ディスレクシアの信頼や治療にあたっては視覚システムに注目すべきではないと同氏は主張する。

ならば、ディスレクシアに一貫して見られる視覚的欠陥は何なのだろうか?同氏のこれに対する説明は、実に腑に落ちるものだ。それはディスレクシアの仕組みのみならず、一般の人の読みの仕組みの解明にもつながるものである。

Eden氏と同じジョージタウン大学のOlumide Olulade氏によると、読みの技術は「文化的に強制された」ものだ。つまり人類は、話し言葉の運用能力は自然に習得するよう進化を遂げたが、読みに関しては同様の進化を遂げていない。読めるようになった人は一人残らず全員が、現在画面上で目にしている黒い線の羅列を意味のある記号に転換できるよう、脳を大きく変えることを余儀なくされた。読めば読むほど、脳は変わる。

だが、ディスレクシア児では、この脳の初期段階が、他の子供と同じようには進まないのだ

ベルギーのルーベン・カトリック大学のBart Boets氏率いる最近の研究によると、ディスレクシアの脳は言葉の音の神経学的表象については正確(ここから、ディスレクシアも言語音の理解には何の問題もないことが説明できるかもしれない)。だがディスレクシアだと、音を単語にするときに、脳の聴覚野と言語野の伝達がうまくいかないようだ。同氏はディスレクシアを「接続不良症候群」と呼ぶ。

この接続不良により、ディスレクシアだと初めて読もうとする時から苦労を強いられる。読むのが大変なので、読むのを避けるようになる。そして読むのを避けたため、脳の変化が少なくなる。最新の考え方によると、視覚的欠陥はディスレクシアの原因ではなく、読む量、読む経験が少なかった結果だと言う。だからこそ、正しい種類の経験----正しい音と文字に関する集中的な個別指導----によって、視覚的欠陥を取り除き、子供の読みの力を大幅に向上させることができる。Eden氏の研究はそう示している。

この研究が示す重要なポイントは、かつて研究者が信じていたほど、通常の脳とディスレクシアの脳は、生来的に異なるわけではないということだ。かつて遺伝に由来するとされてきた違いも、経験の産物かもしれないのだ。

例えば、研究者はかねてから、ディスレクシアの脳は通常の読み能力を持つ人の脳と比べて灰白質が小さいと信じ、この違いは遺伝に由来すると説明することが多かった。
だがEden氏の研究によれば、灰白質の大きさの違いは、視覚的欠陥同様、読み経験が相対的に少ないことによって引き起こされている。正しい経験(集中的な個別指導と、読書時間を増やすこと)が導入されれば、ディスレクシア脳の灰白質も一般の脳に近づく。

ここから、ディスレクシア児を指導する親や教師は、何を学ぶべきだろうか?

1. 正書法(字の正しい書き方)と音声学(文字に対応する音)の集中的な個別指導は大きく役立つだろう。
2. ディスレクシア児には読書するよう、常に後押しし続けるべきである。たとえ読むことは大変な苦労であっても。
3. ディスレクシアが抱える読み困難は、かつて恐れられていたほど強固に固定されたものではない。経験は、プラスにもマイナスにも大きな差となる。

---
「ディスレクシアでも読めるのか?」
「すらすら読めるなら、もはやディスレクシアではないのか?」
「読む訓練が効果的なら、何を読めばいいのか?」
あたりは、当ブログの陰で議論が続けられてきた、最大のテーマです・・・!
いよいよこのテーマについて書く機が熟してきたような気がします。
この話題については続きます・・・

2014-05-30

ディスレクシアの「本の読み方」:園善博『頭がよくなる魔法の速習法』

少し前になりますが、大学の恩師(→ディスレクシアの言語学者)が、
下の記事を私にfaxしてきました:

講談社「本」2014年3月号、
園善博「読字障害の私が、「本の読み方」を教えている理由」

・本は「気になったところ」だけを読むようにして、残りは読み飛ばす。
・目次をしっかり読む。
・自分の声を録音して、聴いて覚える。
・図書館やカフェなど、まわりに人がいる場所で勉強する。
・勉強する目的を明確にする。
・夜ではなく、朝の時間に勉強する。
・読んだ内容を必ず人に話してみる。

とあります。
『とつぜん記憶力がアップする 4日で脳が変わる習慣』
オカルトっぽい(?!)題名ですが、
内容は、意識の持ち方や集中の仕方などの地道な話です

この著者の本を2冊読みました。


『頭がよくなる魔法の速習法』
特にこちらは、カギ括弧や太字の使い方、タブ使いが独特で
とにかく一目で見て内容が分かるつくりで
「ディスレクシアはこういう風にしてもらうと分かりやすいんだな」と思う紙面です。


ディスレクシアの人はこうやって本を読むのかと、
つくづく思い知らされました。


著者は、本からは多くを学べるから、読書すべきだと力説した上で、
本の読み方として

・「なぜその本を読むのか」という目的を明確にする
・全体をぱらぱら見て、キーワードを拾う
・目次を見る/作るなどして、常に全体像を把握する
・細かい部分を読むときは、すでに持っている知識に関連付けて読む
・書いてある内容をエピソード記憶につなげて記憶する
(体を使う、別のストーリーに関連づけるなど)

を勧めます。

常に全体像の中での自分の立ち位置を意識すること、
関連性やストーリー性を重視すること、
目的=モチベーションが非常に重要であること。
これまで当ブログで展開してきたディスレクシアの性質そのままですね。



ディスレクシアにとっては、
本は最初から全部、一言一句通読するものではないようです。
目的意識と全体の中での立ち位置を明確にすることで
自分から情報を取捨選択しに行くという、
非常に能動的な読書の仕方をしていると分かります。

そういえば、研究者でディスレクシアという別の方からも、
以前に同じようなことを伺いました。

研究者は普通の人の何倍も読まなければならないので、
ディスレクシアで研究者というのは、一見不思議なことです。
そんなサンプルがいま2人いるわけですが。。

ディスレクシアでも人一倍本を読む人たちはきっと、
読むのが苦手だからこそ、
目的意識を持って取捨選択する"能動的な読み方"に到達したのでしょう。

逆説的なようですが、
一言一句読まない(読めない)ことで、人一倍深く内容を理解できるし、
読んだ内容を活用しやすいように見受けられます。

☆  ☆  ☆

ところで、言われてみればこれは、
実務翻訳者である私が原文や資料を読むときの方法そのものです。

依頼者がなぜこの文を訳してほしいのかを、全力で察する(目的意識)
文章全体の構造を把握し、そのなかで個々の訳語を決める(関連付け)
今知りたいことに関係する情報に絞って読む(目的意識)、
締切というモチベーションがないと、急にやる気がなくなる(笑)など・・・

翻訳者も、ディスレクシアも、
短時間で概要を理解し、アウトプットまで持っていこうとすると、
このような読み方に行き着くのかもしれません・・・?


☆  ☆  ☆

上の本を読んで思ったこと。

(1)
このような読み方を、ディスレクシア児に教えるのは、
何歳くらいからが適しているのか?

小6を境に読み方が変わる」とある勉強会で聞きましたが→参考こちら
最近、うちの子(小6)も、逐字読みから、
内容理解をもとにした推測読みに少しずつ変わってきたふしがあります。

どのタイミングで、ディスレクシア的な能動的な読み方を教えるべきなのか、
それとも勝手に身につけるのを待つべきか。
迷います。。

(2)
外国人への日本語教育とディスレクシア日本語学習の共通性。

知り合いの日本語教師からたまたま聞いたのですが、
「全体像をざっくり把握する」「キーワードを拾う」といった読み方は、
実は、日本語中級・上級で教えるテクニックらしいです→例えばこちら

日本語が母語のディスレクシアの人に効果的な読み方と、
外国人の日本語教育には、共通点がけっこうありそうです。




2014-04-14

毎小(毎日小学生新聞)と朝小(朝日小学生新聞)をディスレクシア的に読み比べる

たいへん間があいてしまい申し訳ありません!
数々の音信不通につきまして、この場を借りてお詫びを申し上げます。
順次お返事してまいりますので、なにとぞご容赦下さい。

子は6年になり、私と同い年の男性教員が新しく担任になりました。
新学期3日目、
「A4 1枚にお願いしたいことを簡潔にまとめて」に従い→こちら
保護者会の最後に立ち話でお願いしたところ
「ほかの子の何倍も、努力してるわけですね!」
と言ってもらえました(TT)
いままでで一番イイ感じの滑り出しかも。子の態度が明らかに違います。
これについては改めて。


☆  ☆  ☆

すみません、ここからが本題です。

3月末から、子供用新聞を試読中です。
毎日小学生新聞(以下「毎小」)と朝日小学生新聞(以下「朝小」)です。
まだ決められないのですが、どちらにしても、
小学生新聞はディスレクシアの読み練習の素材としてお勧めです!
以下、ここまでの途中経過です。


■小学生新聞の、ディスレクシア的に良い点

長所1:
総ルビ、写真・イラストつきで、良い文章が手に入る。

毎小・朝小とも全部ふりがなつきです!!
ディスレクシア的に大変ありがたいポイントです。
内容的に興味がある記事なら、4年生ごろから読めると思います。

記者が書いているので文章がきちんとしているのも、ポイント高いです。
イラストもありますし、写真も当たり前ですがプロのもので、理解の手助けになっています。


毎小は毎週土曜に、「15歳のニュース」と題して、
ルビなしのちょっと難しい記事のページがあります。
この音読は、やはり難しいようです(内容ではなく字が)


15歳のニュース(毎小)


長所2:
毎日新しいものが来るので、読む習慣が身につきやすい。

仮に読んでみようと思う記事がなくても、また翌日来るのは、
うちのようにあきっぽい子でも挫折しにくく、大変ありがたい点です。


今日はこれを読んでいました。(毎小)
具志堅さんはきっとディスレクシアなので、子はたいへん共感を寄せています(笑)




長所3:
1本の記事が短いので、ディスレクシアでも最後まで読める。

新聞は1つの記事がそれほど長くないので、
ディスレクシアでも「読めた!」という達成感を味わえます。
子は「僕は新聞を毎日読んでいる」と自信を持っています
(全部は読んでいないのですが、、、)

これは記事としてはかなり長い方(朝小)
興味があればディスレクシアでも読破できます。



☆小学生新聞の、ディスレクシア的に物足りない点・・・
あえて言えばですが、
・フィクション好きの子だと、もしかしたら物足りないかも(連載小説は載ってますが)。
うちのやつは社会的事象に関心があるので、新聞は興味の持てる読み物のようです。

・映像を喚起する文章ばかりではない(!)
これは子を傍で見ていて実感したことですが、
新聞には、映像が思い浮かぶような文章とそうでない文章があり
(記事の種類というより、書き手が映像を思い浮かべて書いているかによる気がします)
映像が思い浮かばない文章は、読んでいてつらそうです。
特に「中学受験の問題を解いてみよう!」的な抽象的な内容には、頭を抱えています。

これを読んだときは「綿花」「原油」「綿織物」「ガソリン」の画像をiPadで見せて
ようやくイメージがつかめたようでした。
あと、外国の話をするときは地球儀は必須です。(毎小)



・新聞記事は書き言葉なので、音読するとリズムに乗れない場合が時々あります。
でもこれは、書き言葉に慣れるための訓練だと、肯定的にとらえることができると思います。




朝小と毎小、どちらがディスレクシア的にはお勧めか?

実は、これがまだ結論が出ていないのです。
今月で朝小の試読期間が終わるので、どちらかに決めたいのですが。。

・「コスパ」
(この言葉はあまり好きではないですが・・・)

毎小は1580円/月で8ページ、
朝小は1769円/月ですが、同じ8ページでも1ページの面積が毎小の2倍です。
(朝小は普通の新聞と同じ判型、毎小はその半分)

ただし、朝小は2ページは全面広告だし各面の広告も大きいので、
単純に朝小のほうがコスパがはるかに良い、とは言い切れません。


・内容面
子供が「好き」と言っているのは毎小です。
最大の理由は、判型が小さいのでとっつきやすいこと、
それと、はっきりは言いませんが、中学受験色が薄いことだろうと思います。

朝小は受験産業色があまりにも強すぎます。
中学入試の解説、受験塾の広告、中学受験推しの教育評論家による寄稿などが毎日掲載され、
某有名中教師の校内紹介の連載もあり、
中学受験を煽る新聞といっても、過言ではありません。
毎小はもっと「普通の」小学生用新聞です。

*  *  *

朝小と毎小は、朝日新聞と毎日新聞のカラーをそのまま受け継いでいます。
前者はやっぱり教条主義的で、良くも悪くも「望ましい大衆」へと誘導するきらいがあります。
後者は「中立とはこういうことですよね?」と装うところがあります。

そこまで子供が感じ取っているかはわかりませんが、
うちのやつは、「良い子」の枠が見え隠れするような内容にひときわ反発するので、
中立的な内容のほうがしっくりくるのかもしれません。

*  *  *

ここまで言ったうえで、朝小の長所を挙げるなら、
外部の人が書いた文化的な記事に、読み応えあるものが多い点でしょうか。
子は、「毎小が好き」といいながら、朝小の特集記事もちょこちょこ読んでます。
なのでどちらにしようか悩みます・・・

この連載は写真もですが、文章もとても映像喚起的で
ディスレクシア・フレンドリーです。(朝小)





複数紙を読み比べるのも面白いことですが、
お金のこともあるし、読まない新聞がたまるのは非常にストレスなので、
そこまでするかは思案中です。


浦和の無観客試合の記事を読み比べました。



どちらの新聞も、教科的な内容に、力を入れています。
いわゆる新聞記事と、同じかそれ以上の分量を割いています。

これを音読してもらいながら
iPadの画像検索で「古墳」「卑弥呼」「銅鏡」「埴輪」などを見せて
歴史の勉強をしてみました。(朝小)





うちでは現在のところ、

・毎日1つは、自分で面白そうな記事を選んで読む
・それとは別に、毎日1つ記事を音読してもらい、それについて質疑応答
・発展性のある記事があれば、それを使って社会か国語の勉強をする。
・視写(週1本、家庭教師の先生としている)の素材に使えるかも。

という使い方をしています。



ディスレクシアの子が毎日何かを少しずつ読むとしたら、
小学生新聞は、かなりお勧めです!
ルビが振ってあるので、4年生にもなればぼちぼち読めると思います。
朝小と毎小のどちらが合うかは、試読して決めてもいいかもしれません。

毎日小学生新聞の試読申し込み
https://form.mainichi.co.jp/annuncio/koudoku/shidoku/form.html

朝日小学生新聞の購読申し込み
http://www.asagaku.com/shimen.html





2013-08-21

ディスレクシア児指導において、iPadよりも大切なこと


私の仕事もひと段落したので、1日1.5時間の家庭学習を再開です。
神戸のセミナーを受けてパワーアップしました(笑)!

①百マス計算
本人の自信のある分野から。
眼球運動にもなるのではないかと信じて。

②ブレインジム「PACE」
ブレインジムとは、ディスレクシアの子の感覚統合を助けるという簡単なアクティビティ(軽い運動)です。
現在ブレインジム101受講中(私が)で、子供に試しています。
いずれ詳しく書きたいと思いますが、これは面白いかも!
表面に表れる「字の書けなさ」への対症療法にとどまらず、子供の認知に働きかけているような気がします。

③視写
今週からは、先日訳した「ディスレクシアのインスピレーション」。
「ママはこれを読んで感動したから、あんたにも読んでほしいの」と押し売り気味にスタートです。

場数のせいか、ブレインジムのせいかは分かりませんが、前よりも量が書けるようになりました。



④漢字の復習
1学期の漢字の復習。できないものはブロックで作ります。
視写もあって疲れているので、鉛筆で書くのは15漢字、ブロックで作るのは5漢字が限界。


交差の場所から作っていこうとします。
やはり線の密度や交わりを見ているようです。


ブレインジム「∞」
∞の字を書きながら眼球運動。これが意外とできない。
これが出来るようになるころには、図形をとらえる/書く能力がアップすることを期待して。

⑥社会の宿題

自力で解くとあてずっぽうに答えを書いてしまいますが、
読み聞かせれば答えられます。

本人にとっていま一番難しい課題。


⑦音読
「はれときどきぶた」シリーズから。
興味のある内容なら音読もできます。


☆  ☆  ☆

試行錯誤を1年半ほど続け、いろんな人にいろんなことを教えてもらって、私はようやく、ディスレクシア児用学習プログラムとはどうあるべきかをつかみかけてきた気がします。


  • 「字が苦手」の先を、注意深く観察すること。
単に「こんな字も書けないの?!」で止まるのはもちろん×ですが、「字が苦手なんだから字の練習をしようね」も、たぶん×です。
なぜ苦手なのか・・・どのように見えているのか。思い出すのがつらいのか。思い出せても手がそのように動かないのか。見る部分が弱いのか、聞く部分が弱いのか・・・を観察すること。


  • 教え方の引き出しをたくさん持つこと。
ディスレクシアの苦手さは個人差が大きい。加えて、同じ人でも日によって調子が大きく違うし、進歩もする。
「ひとつの方法に決めてそれでおしまい」ではなく、常に観察し続け、それにあわせて新しい教え方を試す。
iPadアプリ学習法に落とし穴があるとしたら、この点にあります。
引き出しのひとつとしてiPadを使うのは効果的でしょうが、「これさえやればディスレクシアを克服」のような魔法のアプリはないのです。


  • 得意(だと本人が思っている)能力を使って、苦手な能力にアプローチすること。
ディスレクシアの場合、発達に凹凸があるはずなので、凸の部分を使って凹にアプローチする。
うちの場合は、算数が得意だと自分で思っているので、百マス計算を使ってウォームアップをしてみました。漢字の書き取りばっかりだとへとへとになってしまいます。


  • 目の前の子供の能力を信じること。
文科省教育で期待されているよりも一見、発達が遅く見えますが、発達が遅いのではなく発達の順番が違うという見方もできます。ディスレクシアの子には年齢相応または年齢以上の自意識があるため、できない自分に劣等感も屈辱感も感じています。ミスは怒らずにさりげなく直し(または、なぜそうしてしまったのかを議論し)、こまめにほめる。


  • その問題を解くことの意義を教える。
ディスレクシアの子は「全体像」を知りたがります。この知識が全体にどうつながるか、この勉強が将来にどうつながるか、といったことを知ると安心して学べるようです。「いいからだまって覚えなさい」は最も学習効果を低めます。





iPadを与えるよりも大切なこと・・・
それは、その答案を書かせた心理状態に着目すること、生徒をよく見て半歩先の指摘をすること、常にポジティブに接し生徒が伸びることを疑わないこと、です。
予備校講師としては十分に知っていたつもりだったのに、実の子だからかディスレクシアだからか、そのことを忘れていました。

2013-05-12

国語のテスト


















































8や9は間違っていないどころか、むしろ深く読めているような気がします。。

指でなぞりながら読むことで、読んでいる場所を見失わないようにしています。
この方法で黙読ならずいぶんできるようになりました。
まだ学年並みよりは遅いですが、
それでも、3年生の頃は時間内に読み終わらなかったことを考えると、ずいぶん進歩しました。

声に出して読むのは苦手です。
朗読を聞くのはまったく問題ありません。

新しい担任の先生と、面談をしてきました。
「××君のためにも、板書を多くしすぎない、一度にたくさんの指示を出しすぎないよう意識して授業を進めています。
××君にとって分かりやすい授業は、クラス全員にとって分かりやすいですから」
と言って頂きました。
先生、ありがとうございます。