ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2016-05-05

【翻訳】ディスレクシアへの音楽指導

1年ほど前に、
「楽譜が読めない生徒がいます。実はディスレクシアなのかもしれません。
このような生徒に、どうやってピアノを教えたらよいでしょう?」
という質問を頂きました。
その方のために訳したものを、以下に紹介しておきます:

Music and Dyslexia: A Positive Approach
(音楽とディスレクシア:ポジティブなアプローチ)より

ディスレクシアの子にピアノを教える際に、一番やってはいけないのは、
楽譜を読んで音名なり階名なりを言わせること

音符と体の感覚を直接結びつけさせるとよい。
例:ピアノの正面に立ち、両手を脇にだらんとたらした状態から、
ピアノの上に一番自然な状態で置いたときの音を「ホームポジション」として、
五線の上の音符と結びつける。

・少し覚えたら・・・
床にガムテープを貼って巨大な五線をつくり、音を聞かせて、
生徒には自分が五線紙の上の音符になったつもりで移動してもらう

要は、多感覚的に楽譜という記号と音を結びつけ
その際、階名や音名はディスレクシアにはさらなる負担になるので介在させない

~ ~ ~

上を訳したときに、当ブログにもいっとき多数登場した
コスモ君(→水を得た魚のように音楽に夢中)のお母様に意見を求めました:
ヘ音記号の音符は覚えて下さいと言っています。覚えやすいそうです。耳コピが得意なので耳でも取ってますが、中級以上は楽譜が複雑になり、音符を読んでると言うか確認しているようです。
楽典も習ったので、調の違い、隣り合う音の関係性などの理屈を
解っているのも助けているように思います。
音楽を好きならそのうちに読めるようになる、諦めないで」とのことです。

改めて読むと、英語の学習方法とまったく同じですね。
多感覚、聞く→言う(弾く)→読む、文法(楽典)が役に立つ、
そしてモチベーションが原動力になることなど…

----------------------------------

話が低俗になりますが、子(中2、楽譜読めない)の最近のマイブームは
ゲーセンでの太鼓の達人です。myバチまで持ってます。
また、今頃になって日本語の韻が気になるようで、ラップで返事をしようとします。
彼にとっては、ことばはまず「リズム」のようです。
「話す」と「歌う」、「しゃべり」と「ビート」が地続きです。

しかし、ディスレクシアといっても全員がそうというわけでもないようで、
上のコスモ君は「僕はタイタツ(太鼓の達人)はま~ったくできませんよ」
と言い、実際できませんでした。。

~ ~ ~

Dyslexic Advantageの有料メルマガに、最近、
音楽とディスレクシアの記事があったので訳しました。
以下の話は、「ディスレクシアはリズムを把握するのが難しい」
つまりコスモ君タイプがディスレクシアの王道と言っているように見えます・・・


音楽とディスレクシア
多くのディスレクシアの音楽家にとっての大きなハードルは、楽譜を読むことである。
ほとんどのディスレクシアの音楽家は、読譜ではなく、耳で拾って演奏することを好む。1990年代の研究によると、ディスレクシアの音楽家が直面する主な困難は

・楽譜を読むこと
・スピードを処理すること
・左右を区別すること
・時間(time)とリズム
・音符やフレーズをシークエンスにすること(sequencing notes or phrases)
・なめらかに演奏すること
・暗譜をもとに演奏すること
・位置を把握すること(keeping place)
・集中すること

ディスレクシアが音楽を学ぶための戦略
1. まず行う、そのあと話し合う(スズキ、コダーイ)
2. 弾こうとする前に、まず録音を聞く。
3. タイミング?(time)とリズムは別々に伸ばす。
4. 音楽用語の意味をはっきりさせる。
5. その子に適した楽器を選ぶ。
6. 体の使い方を意識する。最初はゆっくり演奏して、指使いを覚える。それからだんだんスピードをあげていく。さまざまなスピードで演奏してみる。
7. 音階(scales)を学ぶ。音楽のパッセージを体で感じ、もう一度それを見たときに「あれだ」と分かるように。
8. できれば、理解ある先生と一対一で練習する時間を持つ。
9. 弾きたい曲の名演奏を聞く。
10. 自分の進歩を前向きにとらえる。
11. リズムを体にしみこませて覚える。太ももや腹をたたいて、パッセージの感覚をつかむ(クラシックの場合でも)
12. シンプルなパーツから始め、だんだん加えていき、スピードをあげる。
13. 1曲を学ぶときは、少しずつに分けて。音楽家のなかには、短いフレーズを聞いては演奏することを繰り返しながら、次第に1曲全体をマスターする人もいる。
14. 作曲にはMIDIキーボードを使う。


2 件のコメント:

  1. 私の学生時代を思い出しました。
    楽譜が読めない。子どもながらに、きっとピアノを習っていないのでわからないのだと思っていました。
    子供ながらに、わからない授業は先生の話をまじめに聞けばわかるはず。。と思い、態度はまじめであったと思います。
    しかし、まじめに聞けば聞くほど、心は先生の話の内容に身が入らず、なんでこんなおじさんが教師なのだろう。。と音楽の授業とは全くかけ離れたことばかり頭に浮かんで授業に身が入らず、ますます音楽の授業がキライでした。

    幸い、音楽の授業は進級には影響しないので助かりました。

    でもカラオケは上手だと言われ、耳から聞いた歌はそこそこいけていました。ウフ。

    子供も耳から聞いた歌を、小鳥が歌うように心地よい歌声で歌っています。

    LDではないと思われる子どもはなぜか音痴。
    兄弟でも得意分野が違うのね。と不思議に思っています。

    返信削除
  2. 「小鳥が歌うように心地良い歌声」すてきですね^^。きっと親子でそうなのですね。
    親バカですがうちの子の歌声も、かなり心地良いです。
    私のように絶対音感があると、ほんのちょっとの音程のずれも気になって、正確かもしれなくても決して楽しくは歌えないのとは対照的です。

    返信削除