ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2013-05-30

LD.org「医師にLDを理解してもらうには」

アメリカのLD.orgとというNPOのメルマガに登録していると、週1回ほど記事が届きます。

漠然と眺めていると、そこはどうやらアメリカ政府などにLD向け教育支援を求めていく政治団体の側面もあるようなのですが、

政治的記事の合間に見えるアメリカでのディスレクシア教育の現状が、どうも日本よりかなり進んでいるようで、毎回考えさせられます。

昨日来たメルマガの一部を訳してみました。


LD.orgより「医師にLDを理解してもらうには」

医師、看護師、およびその他の小児科医療従事者は、親が子のLDとそれをめぐる困難についての疑問点を最初にぶつける相手であることが少なくない。だが医療従事者は忙しいので、親がLD児用サポートサービスを洗い出し、理解し、確保する手助けをする時間も、参照できる情報源もないのが現状だ。そこで小児科医療従事者のための情報源となるべく、LD Navigatorを作成した。

(LD Navigator>LD Defined(LDの定義)より)

LDを定義する:医学上の定義と教育現場での定義の差を埋める

(Bridging the Divide Between Medical and Educational Definitions)

(要約)
・医学上の学習障害の定義と、教育の場での学習障害の定義は違う。
・子供が学習障害という診断を病院で受けた親にとって次の切実な問題は、子にどのような教育支援を学校に求めていくか。
・そのためにも、小児科医は医学用語ではなく学校でそのまま使える言葉で、親に話しかけなければならない。

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アメリカ国立学習障害センター(National Center for Learning Disabilities+米国小児科学会、米国ナースプラクティショナー学会、20134



小児科学さらには医学全般における学習問題の定義は、DSM(『精神障害の診断と統計の手引き』)に由来している。
現行のDSMでは、神経に根ざしたこれらの問題を、学習障害と定義している。
学習障害には下位区分として、「読字障害」「書字障害」「算数障害」「その他特定されていない学習障害」が設けられている。またコミュニケーションや運動能力の併存障害も特定されている。
DSMでは各障害に対し、詳細な診断基準を設けている。

DSMの用語は機能的であり、医学研究によって知識基盤が拡大するにつれ、定期的に改定される。DSMの用語はまた小児科の現場においても、保険コードの付与や効率的な記録作成などに日々不可欠である。
しかしながら、上記の障害の一つまたは複数の症状を呈する子供の親に小児科医療従事者が接するにあたり、医療従事者が医学上の定義と教育上の定義の違いを理解しておくことが重要である。また、小児科の現場の外でサービスを確保するために使われている用語を知っておくことは重要である。
教育の分野における学習障害の定義は、連邦教育法である全障害者教育法(Individual with Disabilities Education Act:IDEAに基づいている。同法では、学習障害を神経処理の欠陥によるものと明確に定めている:

「特異的学習障害は、話し言葉または書き言葉の理解または使用に関わる基本的な精神過程のうちの一つまたは複数における障害を意味する。その表れ方は、聴く・考える・話す・読む・書く・スペルする・計算する能力が不完全であるという形をとる場合がある。特異的学習障害という表現には、認知機能のハンディキャップ、脳の傷害、脳の微小な障害、ディスレクシア、発達性失語症(developmental aphasia)などの状態が含まれる。視覚・聴覚・運動能力のハンディキャップに主に由来する学習上の問題や、精神遅滞、情緒障害、あるいは環境上の不利や文化的・経済的に不利な状況による学習上の問題は含まれない。」

DSMの用語はIDEAの定義に含まれていないことに気づいただろうか。
小児科の医療従事者は医学用語ではなく、教育現場での用語を使わなければならない。親が子供のために学校制度の中でサービスを確保するよう最も手助けできる立場にある者として、用語の差を乗り越えなければならないのだ。(一部の学校では、子供のディスレクシアの支援について問い合わせてきた親に対し、なんと「本校ではディスレクシア用のサービスを提供していません」と言ったと伝えられている。)
そこで本「LDナビゲーター」では、IDEAによる学習障害の定義を採用、つまり医学用語ではなく教育界の用語を使用する。両者の最大の違いは次の通りである:

1.      医学用語では「欠陥」を強調する。一方、教育用語では、学習障害の背後には神経処理の問題があること、評価によって子供の学習上の強みとともに弱み・不足を特定することを強調する。
  その目的は、子供本人に合わせた介入計画を作成し、学業上の成果を改善することにある。
  子供の強みを使って弱みを改善またはカバーする。

2.      学習障害を持った子供または青少年とその親は、IDEAが支配する教育制度にサービスを要求しこれを受けることになる。
   小児科の診察室から一歩外に踏み出した瞬間から、学習障害を持った子供とその親は、必要なサービスにアクセスしようとするなら教育現場の用語を使わなければならない。
   そこで小児科医療従事者は、子供の発達を通じて、教育現場の用語を理解し、それを使って話さなければならない。


3.      学校制度では「診断」は決して行わない。学校制度が行うのは、子供が特別教育およびこれに関連サービスを受ける資格があるかどうかを判断することである。
   そのために子供を、IDEAで指定された学習障害の分野のうちの1つについて評価し「分類」する。
   医学用語の「診断する」と、教育現場の用語である「分類する」は、用語の違いの一例であり、実際には「診断」と「分類」は互いに補完し合う関係にあるしかしながら、小児科の診察室から外の世界に出たら、ディスグラフィアや学習障害の「診断」について話を聞くことは決してないことを覚えておくべきである。
   小児科医療従事者は、親が自分の子供に最も適した教育サービスを確保できるよう、親の心構えを作らなければならない。そのためには、親がこれから学ぶことになる教育現場での用語の使い方の、手本を示さなければならない。


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わたしはこの記事を、
「たとえ子供を病院に連れて行くことができなくても
(ディスレクシアという医師の診断をもらうに至っていなくても)、
ディスレクシアの疑いがあるなら、親は学校に対して働きかけるべきだ」
というメッセージだと受け止めました。
飛躍しすぎか?!

本当は、学校がディスレクシアだと判断する、イギリスのような仕組みが整っているのが
一番なのでしょうが・・・

        うちは、本人と夫が反対しているので、当面は病院に連れて行くことはできません。
WISC-IVはスクールカウンセラーに相談したところ、
市の教育相談室で受けることができました(無料でした)。
WISCの結果が、いまのところ一番正式なディスレクシア診断です。

2 件のコメント:

  1. m(_ _)m こんばんは。

    こちら大阪府では、ようやく府と市が連携した発達障害者支援の取り組みが4月からスタートしたところです。
    今日 折込に入っていた府政だよりの一面を割いた教育充実欄には、最後に
    『発達障がいのある児童・生徒に対し、発達段階に応じた一貫した支援を行います。
    ・通常の学級において、わかりやすい授業づくりや過ごしやすい学級集団づくりをすすめます。』
    という一文が載っていました。

    やっと動き出したというところでしょうか。
    現場がついていけるようになるには時間が掛かるでしょうが、『認識』だけでも付いてくれれば一歩前進です。

    うちも市の教育センターでのWISC-Ⅲを受けただけの判断ですが、臨床心理士が行っているので病院での判断と同じということになるでしょう。
    病院での検査は受けるつもりはありません。
    指導指針はもらっていますし、様々な検査をして判定されたところで 治療方法 などないのですから、本人を見ながら手探りしていくのが最善策かと思っています。
    病理学より人間学、かな?
    多種多様なら個人を観るのが基本かと。
    学校にはキッパリ「LDです」と宣言して、資料を担任に渡してます(^^)

    人格否定されるようなことが無くなって過ごしやすそうです。
    それに甘えてしまわないように締めないと、ですけど☆

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  2. こんにちは(^o^)。

    行政にそういう一文が入るのは大きな前進ですよね!
    公務員は文言で定められないと動けないわけですし。


    あやめさんはど~んと構えてらしてさすがです、、
    私も見習わなくっちゃです。

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