ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2013-11-22

「なぜ漢字を間違えるのでしょうか?」

以前書いた「漢字テスト」というエントリーにコメントを頂きました。
返事が長くなったので、こちらにのせます・・・

テストに出る漢字なのですが、分かっているのに失点してしまいます。何が原因なのか教えてください。

ディスレクシアの原因は、脳の処理の違いにあり、
脳がどう違うのかも、ディスレクシア一人ひとり、かなり違うようです。

ですので、
「これさえすればディスレクシアを克服!」という特効薬はない、
ということを、まず前提にする必要があります。
脳の違いなので「治る」ものではありませんし(適応することはできますが)、
脳の違い方が一人ひとり違うので、画一的な解決法はありません。
一人ひとり、オーダーメイドの対策が必要です。

そのうえで、お子さんのことを想像してみます。
小学校中学年と仮定してみます。


☆  ☆  ☆


「分かっているのに失点する」というのは、いくつかの原因が考えられると思います。
脳と手がうまく連動していないのかもしれませんし、
記憶していることを想起するのが大変なのかもしれません。
時間のプレッシャーがかかると緊張して実力を発揮できないのかもしれません。

これ以上のことは、ご本人を見てみないとなんとも言えませんし、
また、年齢によって、同じ子でも刻々と状況が変わります。

原因を探る以上に、
書き取りに関しては
字を書くことをスタートではなく、ゴールと位置づける
ことを心がけてみては、いかがでしょうか?

「書き取りはすべての基礎、書き取りの上に他のすべての学習がある」
と考えがちですが、
ディスレクシアの場合、この書き取りが本当に本当に大変なわけです。

そこで、
1) 他の学習を、字を使わない方法で追求する
2) 字を覚えるために、書き取り以外の方法を用いる

ことを、意識してみられてはいかがでしょうか?

1) 他の学習を、字を使わない方法で追求する
たとえば、理科なら実験、社会なら見学や議論など、字を使わない方法で教えます。
字以外の方法で知識を入れ、学校の教科書やテストは知識が入った状態で目にする、という考え方です。


2)字を覚えるために、書き取り以外の方法を用いる
ディスレクシアの場合、他の感覚器官を使うことで、文字が覚えられると言います。
うちでは、iPadアプリ、粘土やブロックで文字を作るなどを経て、
現在では、道村静江先生という方が盲学校用に開発した漢字カードを使っています。
耳で覚えることで、最終的に書けるようになるという考え方にのっとっています。
非常に効果があると感じています。
こちら←に進捗を書いていますのでよろしければ。


☆  ☆  ☆

質問とは直接関係ありませんが、
何よりも大切なのは、「漢字が書けない=バカ」とお子さんを決めつけないことです!
お子さんはバカじゃないので、テストで点が取れないことも自覚して、
すでに十分に傷ついています。
親が学校と一緒になってお子さんを追い詰めることだけは、どうか避けてあげてほしいです。

もしディスレクシア傾向にあるなら、普通の子と違う何かを持っているはずです。
まずは親がそのことを認めて後押しすることです。

かくいううちも2年前、小3の秋は親子共々どん底で、
「普通の子と違う何か」などと言われても「は?」という感じでしたが・・・
「あなたは特別な子」とずーっと言い続けていると(笑)、
子供も次第に自分の違うところを探し始めます。親も子も変わりました。

長くなりましたが、お子さんがハッピーに学校で過ごされることを祈っています。



7 件のコメント:

  1. ありがとうございました♪
    本当に参考になりました。
    恐らく、時間のプレッシャーがかかると緊張して実力を発揮できないというのが、一番の問題なのだと思います。
    緊張を解くという良い方法はないのでしょうか?

    *算数は目視で解きます。
     線対称、点対称の図形が苦手です。
     なのに、算数が大得意です。
    *理科は、実験教室に通っています。
     反転が苦手だからか、水溶液の問題が苦手です。
    *国語は、塾で時間を計って問題を解くように言われまし  た。
     漢字が左右逆(反転)する傾向にあります。
     仮名も苦手  外科をがいかと記載したりします。

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  2. 2件のコメント拝受しました。うち1件を反映しておきました。
    ありがとうございます。

    中学受験ですね。
    受験における時間のプレッシャーは、ディスレクシアでなくても大変なものです。
    私は大学受験生を見ていますが、「時間制限」というファクターが入ってくると、試験問題というものはまったく別の様相を呈してきます。(世の中の締切はなんでもそうですが。)
    だから、どうしたらよいと具体的なことは言えないのですが…
    親が子以上にヒートアップしてプレッシャーをかけないことでしょうか。。すみません。

    中学受験に参考になるかわかりませんが…
    時々書いているうちの家庭教師君(弱いディスレクシア)は国立大学の試験当日の朝に微熱を出し、申し出たところ検温の上で別室受験にしてもらったそうです。本人曰く「そのおかげで合格できた」とのこと。大教室だと周囲が気になってぐるぐるしちゃうけど、1人で別室受験だったので家で解いているような感覚で解けたと。狙って熱を出せたわけではないのでラッキーだった(笑)と言っていました。
    ちなみに彼は、小中高大、全部受験していて、合格したのは実際に通った高校と大学だけです。本人曰く、プレッシャーにとことん弱いらしいです。


    お子さんが物事を反転させてしまうのは、おそらくあらゆる視点から物事を見ていることの表れだと思います。

    抽象思考よりも実践感覚が圧倒的に強いと言いましょうか…

    視点が自在に動く子は、視点を止められるようになれば字が書ける…という考え方から、視点を止める練習をするのがDavis式の「いちごのショートケーキ」です。以下に手順を書きました。ちょっとわかりにくいですが。
    http://ondyslexia.blogspot.jp/2012/07/blog-post_13.html
    うちはこれでかなり楽になりました。と本人が言っています。

    視点が自在に動いてしまう件については
    http://ondyslexia.blogspot.jp/2013/05/blog-post_28.html

    算数が出来るディスレクシアは少数派らしいので、うんとほめてあげて下さい!

    またも長文失礼しました。

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    1. 追伸です。

      線対称・点対称が苦手というのは、

      http://ondyslexia.blogspot.jp/2012/07/r.html
      「東大の過去問で正八面体の問題があったが、正八面体を頭のなかで回すことも止めることもできる。止めないと式が書けないので止めたけど。」

      →これになぞらえて言えば、
      お子さんは正八面体を頭のなかで回せるけど止められないんだと思います。だから問題は解けないのでしょう。
      いずれ、このR君のように止められるようになると思います。そうしたら、傍から見ても「空間把握が超絶得意」ということになるのだろうと。
      ほんとうは現時点ですでに空間把握が超絶得意なのですが!

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  3. 1)と2)の考えが同じなので、心強く思います。
    漢字カードも効果を感じておられるとのこと、試してみます。
    ありがとうございます。

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    1. ブログ読みました!
      道村式(と名付けてみました)漢字カード、
      3年生は取り組みはじめるのに絶好の時期だと思います!本当におすすめです。しーちゃんにも気に入ってもらえるといいですね^^

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  4. こんにちは。

    中2の末っ子、去年に比べて書ける数(テスト上しか見てませんが)が増えているようです。
    受験を意識して、テスト前だけでも勉強に専念する時間も増えました。
    付き合ってくれてる友達のお陰が大いにありますが(^^)

    相変わらず書けない・汚い・誤字は当たり前となってますが、『書くこと』を嫌がらなくなったのは先生側の接し方の違いだと思ってます。

    うちの子と旦那の字を載せてみました。
    http://blog.zaq.ne.jp/kazamidori/article/1173/
    完璧に遺伝です。。。☆
    間違いも うちでは笑いになってます(^^;

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  5. こんにちは!
    末っ子君、着実に進歩してるんですね。なんと心強い!
    友達と先生のパワー、そしてあやめさんがど~んと構えてるからですよね。

    どんな勉強法よりも「ポジティブに接する」(笑いにしてしまうといいますか(笑))こそが、ディスレクシア対策には重要だと、私も日々感じています。
    そうすれば、その子なりの順番で物事を習得していく・・・
    というのは楽観的すぎますかね?!

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