ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2014-01-17

ディスレクシアは例外から学ぶ

The Dyslexic AdvantageのEide博士夫妻のブログの記事を訳しました。原文は→こちら
「隠れディスレクシア」「ディスレクシアの利点」で当ブログではおなじみ(?!)の著者です。

たいへん示唆に富む話だと思います!


例外から学ぶ
  =内側側頭葉に由来
     =エピソード記憶に関係
        =ディスレクシアが強い分野である

ディスレクシアは・・・
・規則を疑い、壊す人たちである
・「例→規則性」という順番の学習方法が適している
(×「規則→例」ではなく)。
・規則性だけではなく例外を示すことで、規則性が腑に落ちる
・規則性を疑わなければならない場面で力を発揮する

 -------------------
ディスレクシアは例外から学ぶ
(原題:脳の例外から学ぶ)
ある人たちに明らかに見られる学習スタイルがある。
そのキーワードはどうやら「例外から学ぶ」らしい。

幼い頃から規則を疑い、前提に反論するように見える子たちがいる。
「こういうふうに考えなさい」と教え込もうとすると、即座に「ていうか…」と返してくるような子たちだ。

例外から学ぶ学習方式は、新奇性あるいは帰納的学習法※と相性が良いようだ。
(※まず具体例にたくさん触れ、そこから規則性に至る方法。まず規則を教えるのとは対照的)
というのも、「例外を発見する」ということは、規則を問い直し、自分の持っている既存の分類をシャッフルし直す必要に迫られることを意味するからだ。

例外から学ぶ学習者は、説明のつかない事実や信じられないような話からモチベーションを大いにかき立てられる。
すでに知られていること、すでに達成されていること、可能とされていることといった「限界」を、打ち破る話にモチベーションを感じるのだ。


テキサスの研究者によると、例外学習法は内側側頭葉から始まる脳内過程に由来する。
内側側頭葉が興味深いのは、エピソード記憶(個人的に経験した出来事や情景の記憶)が存在するのもこの部分だからだ。

丸暗記よりエピソード記憶が優位な学習者----ディスレクシアの多くはこれだ----は、実際に手を動かして学んだり、例外から学んだり、単純な原理に対し理屈で反論したりといった方法を好む。


例外学習法には弱みもある。
一目瞭然の規則を疑ってしまったり(選択式の設問を深読みしすぎるなど)、ペーパーテストで悲惨な点数をとる(自分にとって意味がわからない間は悲惨な点数を取り続け、腑に落ちてようやく合格点が取れるのだ)。
こういう子たちは、規則性があると納得できるまで観察できる必要があると同時に、規則と例外を区別する程度に、例外にも十分触れなければならない。


例外的思考法の強みは、既存の枠を打ち破らなければならないときに発揮される。
パラダイムの転換が必要な時、問題に対しこれまでにない視点が必要な時は、こうした「規則を壊す人=ルールを破る人」は俄然、力を発揮するのだ。


-------------

規則を疑い、例外が大好き。これはまさにうちの子のことです。
例えば、本人に言わせると彼のサッカースタイル(笑)は
「おれは頭脳派なの。相手にわざと反則取らせたり。反則すれすれを狙ったり」(このあとどういう動きをするかの説明が延々と続く)
このように、どうやって規則の裏をかくかばっかり考えてます。


実は・・・規則の裏をかくのは、私もそうせずにいられません(汗)
「いいから黙って決まった方法に従ってください」と言われる場所にいると
突拍子もない行動に出たくなったり、激しく眠くなったり気分が悪くなったり、
「バカモード」(→突拍子もない行動をとらないよう意識レベルを下げた状態)に入り、
その結果ものを落としたり、段差を踏み外してケガをしたり、ろれつが回らなくなったり・・・といった展開になるのです。
大型ショッピングセンター、テーマパーク、各種式典、PTAの会合(笑)などに行くと、こういう感じになります。
決まったやり方に押し込められるのが、たとえその方が一般には楽だったとしても、脳が受け付けないのです。


ちょっと話がずれたかもしれません。
私の「規則の裏をかくのが好き」は周囲との軋轢を生みがちですが、
私の知るディスレクシアの人たちを思い浮かべるに、彼ら彼女らの規則の破り方には社会との対立はありません。
もっとさりげなく、いつの間にかすり抜けてます。

また、
「規則だけでなく例外を教えることで、ディスレクシアは初めて腑に落ちる」
「ディスレクシアは、簡単すぎる問題でも疑うので、テストの易しい設問でかえってつまづく」
あたりは、さまざまなディスレクシア的学習法に広げられる気がします。
それについてはエントリーを分けることにします・・・

2014-01-11

どんな学校にもディスレクシアの子はいる


「この学校にはディスレクシアの子はいないので、
対応の仕方が分からないんですよね…
もしはっきりディスレクシアだと分かっているなら、専用の学校に行ったほうがいいかも」。

善意でこう言われたら、どう返すべきなのでしょう?


>この学校にはディスレクシアの子はいない

→どんな学校にもディスレクシアの子はいます!
気づかれていなかったり、または本人も気づいていなかったり、
怠け者扱いされていたり、または本人が自分を怠け者と思っていたり、
カバーする方法を本人が身につけたので表面化していないだけです。

予備校で見る限り、ディスレクシアの子はあらゆる高校にいます。
いわゆる御三家・新御三家にすらいます(大変な努力の賜物です)
小中高一貫にも、国立大附属にも、都立高の進学指導重点校にもいます。
中堅校にもいます。
おそらくは底辺校にも実技系の高校にもいます。

なお、文科省の調査では6.5%がディスレクシアだと言われています。
欧米では、10人に1人がディスレクシアだと言われています。


>対応の仕方が分からない

→これは2014年現在、ディスレクシアに熱心な教師でも、手探り状態です。
ディスレクシアに適した教え方は、まだ体系化されていないのが現状です。

でも、そこで教える側が「できません」と言うのは待ってと思うのです。

私の今年度の授業経験から言えるのは、
1)生徒によって分かりやすい教わり方は違う
2)どんな生徒も分かりたがっている
3)「キミは必ずここまで来れる」というポジティブな伴走者になる、
・・・この3点を念頭におくと、授業は確実に変わる、ということです。

本気を出していないように見える、
ノートがきたない、
一斉授業では伝わらない、
読んだり解いたりするのが異常に遅い、
授業では分かっているような反応をするが、テストでは出来ない……
こういう生徒は、生徒が悪いのではなくて、教え方が悪いと心得るべきです。

ディスレクシアに適した教え方がすぐには分からなくても、
1)2)3)を念頭に置くだけで、生徒がまったく違って見えてきます。
こちらがポジティブに働きかけると、生徒もポジティブに反応してきます。
そこからいろんなことが変わり始めます。


>専用の学校に行ったほうがいい

→残念ながら、日本にはディスレクシア専用の学校はありません。。

でも本当の所、字の苦手さの部分でちょこっと下駄をはかせてもらえれば、
それだけでも本人としてはかなりありがたいのです。

それに、ディスレクシアの子は必ずやクラスに活気を与えてくれるでしょう。
独創的な意見を言うので、クラス討論ではなくてはならない存在です。


・・・ということを、「ディスレクシアの子はこの学校にはいません」と信じている人にそのまま伝えることは難しいですよね。
そもそも「読字障害」という言葉が誤解を招きますね。
はぁ。

2014-01-06

学校の先生にディスレクシア対応をどうお願いするか、のヒント

あけましておめでとうございます。
去年の今頃はほそぼそとやっていたこのブログですが、
数多くのご縁があり、当時の1ヵ月のアクセス数を年末では1日で得るようになりました。
有益な意見や情報を下さった全ての方々に、この場をお借りしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
しかし私の目標である
「ディスレクシアの能力が正当に評価されるための社会変革」
の実現には、しなければならないことがたくさんあります(本気です)。
本年もますます、ディスレクシア教育の考察と実践を深めてまいります。
昨年同様、たくさんのご意見ご指摘をお待ちしています。
どうぞよろしくお願いいたします。


学校の先生にディスレクシア対応をどうお願いするかのヒントとなる本を見つけました。


『どうして声が出ないの?マンガでわかる場面緘黙』



緘黙(かんもく)とは、特定の場所(学校など)だと緊張して話せなくなってしまう症状のことです。
ディスレクシアと緘黙は、"病気"としては、おそらくまったく無関係です。

でも!
この本に書かれている「学校への対処の仕方」は目からうろこです!
以下にまとめてみます。


#実は、ディスレクシアと緘黙には、共通点がけっこうあります。

・脳に原因があり、親のしつけが原因でない
・クラスメイトから誤解されやすい
・「ことばの学級」が近くにあれば有効だが、
  知的に遅れはないため、基本的には通常学級が適している
・子どもを変えようとする前に「子どもの周りが変わる」ことが大切
など・・・

~~~~


(p40)子供の周りの環境の不安を取り除くことが大切。
そこで特に不安の大きな場所である学校への理解と支援のお願いの仕方:

-担任に個人面談の希望を伝える
-子供の特性や状態、学校の取り組み、学校で望まれる対応や支援を、A4一枚に簡潔にまとめる
-簡単な資料を用意
-担任の先生に上2つを渡す
(面談時間は長くならないよう注意)
(最初に渡す資料は必要最小限に。興味を持ってもらえたら追加する)
-管理職との面談希望を担任を通して伝え、校内の全教職員の理解をお願いする
(学年主任や特別支援教育コーディネーターがそろうと理想的)
-可能なら夫婦スーツ姿で面談に臨み、親の真剣さをアピール
#上に書かれたことをほぼ全く実行していない私。頑張ります(-_-)


- 先生方はとても多忙なので、実際にできそうなことを具体的にお願いする。
少しでもこちらのお願いに応えてくれたら、感謝の気持ちも必ず伝える。
#「お願いもスモールステップで」!!目から鱗でした。


-保護者仲間のうち親しい人、これから協力してほしい人には、資料を見せて詳しく説明。
- 保護者会で伝えるときは、「緘黙」(→「ディスレクシア」に置換可能かと)という言葉を使わずに説明するとよい。
# ママ友対応はなかなか微妙です。。
うちは保護者会でのカミングアウトは子に拒否されたのでしてませんが、
子に内緒で、力になってくれそうな何人かの親しいママ友には話しました。
すると、こちらがびっくりするほど共感してもらえたり、
「実はうちも・・・」と悩みを打ち明けられたり。
なんと校長先生への直談判をセッティングしてくれたり ( ̄д ̄)。
ママ友パワーは奥が深いです。



そのほか、「話す」を「読む/書く」に置き換えると、
ディスレクシア対応にそのままあてはまることがたくさん書いてあります。
置き換えて書いてみますと:

・家族が、読めない/書けないことを責めていませんか?
・家庭で安心して過ごせるようにしていますか?
・子供の得意分野や小さな前進に目を向けていますか?
・「あなたが大好き」「あなたの味方だよ」ということが、子供に伝わっていますか?
・担任の先生に理解と支援をお願いしていますか?
・学校の先生すべてに管理職を通して共通理解をお願いしていますか?
・クラス理解を進めていますか?
・学校は、比較的協力してくださっていますか?
・連絡帳などを通して、先生と密に連絡をとっていますか?
・先生に実際にできそうなことを具体的にお願いしていますか?
・先生の対応に感謝の気持ちを伝えていますか?
→これらが全部Yesなら、スモールステップで読み書きの取り組みへ

ディスレクシアの子を持つ親が集まるともっぱら
「学校の先生がいかに分かってくれないか」という話になるのですが、
これを読んで、まだまだ私などは策が足りないな。と思ってしまいました。
あさってから3学期、まずは先生に感謝のお手紙を書いてみようと思います。
「板書を無理に取らなくてもいいよ」と言って下さったこと、
本人はとてもうれしかったと言っています。
ありがとうございます。」と・・・・

2013-12-25

AKBこじはるが「漢字わかんない」のはディスレクシアだからだと誰か教えてあげてほしい・・・

昨日のサンスポにこんな記事が。

こじはる、今年の活躍を漢字一文字で表すと?「漢字わかんない」
AKB48の小嶋陽菜(25)が24日、東京・福家書店新宿サブナード店でフォトブック「こじはる」(講談社、1200円)の発売イベントを行った。・・・「ハート・エレキ」で初センターを務めるなど活躍した今年を「漢字一文字で表すと?」と問われ、「漢字わかんない。ゆるいって漢字あります?」ときょとん。報道陣に「緩い」と教わり、「じゃあ、それで」と笑いを誘った。



これはもしやディスレクシアでは?と思って調べたら、動画が出てきました。

http://www.youtube.com/watch?v=mUwOqym_4P8
http://www.youtube.com/watch?v=Cg8lOZXjq6k

岡村隆史に集中砲火的にいじられてますが(笑)
これはバカなんじゃなくて、ディスレクシアでしょう!
(そしてまた天真爛漫なボケっぷりで
その場の話題を全部持ってっちゃってます、
このへんもいかにもディスレクシア的)

この字を見て、私はこじはるディスレクシア説を確信しました。
「帯」はうちの子も苦手な字です。
(聞くと「一・山・ワ・巾でしょ」と言ってくれましたv)


「tenまで書いたら一つ足りなかったから、一番自信のあるfiveをもう一回書いておいた」
と答え、場内に唖然とされてれましたが、、、
うちの子も数字のひとつ抜かし、けっこうやります。
しかも抜けるのは7か8あたりと決まってます。

女子のディスレクシアはこのように、字が乱雑にならない場合が多い気がします。
おそらく、「字がきれいでないと恥ずかしい」というプレッシャーが
男子より大きいせいでしょう。
あまりに斬新な和訳に場内は騒然としてましたが(笑)
ディスレクシア的には、Hamletをhelmetと読み違えているのもいかにも。
もちろんディスレクシアはいつだって斬新です。


このように、たまに全問正解しているあたりからも
上の問題を真剣に解答していることが分かります。
ディスレクシアはいつだって真剣なのです。


こんな記事も出てきました。

http://www.cinematoday.jp/page/N0045011
 また、単独でナレーションを務めることになった小嶋は、「わたしはMCをやらせていただいている番組もあるのですが、最初は進行を任されていましたが、漢字が読めなかったり進行を忘れたりするので、どんどんセリフが減りました」と悲しい事実を明かす。「グループの中でも進行したり、大切な言葉を言う役はあんまり回ってこないので、トークの面では気を楽にして仕事しています」とそんな中でも楽しみながら仕事をしていると笑顔で語った。

映画配給会社ギャガは小嶋の起用について、「小嶋さんは自ら未来を切り開く日本をリードするAKB48の中心メンバーとして活躍されている一方で、今日本で“プリンセス”といったらこの人しかいない、と思える美しく、凛(りん)としながらも柔らかな雰囲気を持たれています」とコメントしている。日本のプリンセスはきっと本作を盛り上げてくれることだろう。



今まではAKBのメンバーの区別は全然ついてませんでしたが、
これからは、こじはる推しで行きますよ(笑)!

2013-12-22

ディスレクシア英語教育の覚え書き


大阪で行われたセミナーに、日帰りで行ってきました。
師と仰ぐお方についにお目にかかることができました!
師から教わり、また考えたことを、覚え書きとして書いておきます。




■ディスレクシアに特化した「特別支援」を
ディスレクシアは特別支援教育の範疇に入るようだが、特別支援教育といっても幅広い。
ディスレクシア教育と、自閉症・ADHD・知的障害への教育をまとめて語るのは限界がある。

もちろん後者も大変だし、学ぶべきことも多い。
でも純粋なディスレクシアの場合、「知的な遅れはなく、問題行動も基本的にはなく、真面目に取り組んでいる、でもとにかく字だけが苦手」なため、教員による対策が後回しになりがち。

読み書き困難への対処に特化した教え方を、細かく具体的に情報共有していく必要がある。




■アセスメントの限界。
ディスレクシアの子の多くは学年が上がるにつれて、日本語の読み戦略(内容を推測するなど)を身につけていることが多く、読解力検査をしてもひっかからないことも多い。
1回の読解力アセスメントでディスレクシアかどうか判断をするのは、限界がある。

それよりも、教師や親が一定期間※、その子の読み書きする様子に接するなかで「この子はちょっとおかしいかも?」と気づく……このほうが確かな指標になる。

特に、児童英語の先生は、ディスレクシアに気づきやすい立場にある(1人の子を学校の教師よりも長く見ることが多いし、英語のほうが日本語よりディスレクシアが表れやすいため)。

※予備校なら、5日間の季節講習で毎日答案を見れば、かなりわかります。




■ディスレクシア小学英語教育は「文字と音の対応」を徹底させる
ディスレクシアの子は文字と音の対応(aという字を/a/と読むこと)を覚えるのに、普通の子の何倍も時間がかかる。
普通の子ならあっという間に覚えてしまうアルファベットの発音の仕方が、ディスレクシアだと英語の入口にして最大の難関になる。
ここでつまづき、英語が永遠に読めるようにならず、トラウマを抱えるディスレクシアの子は多い。

ディスレクシアの子には小学校4~5年になったら、そろそろ英語の文字と音の対応を教えていくべき。
中学ではこの部分は一瞬で通過してしまうため、先取りしておかないと、あっという間に落ちこぼれてしまう。

また、小学校に英語が導入された暁には、少なくともディスレクシアの子には文字と音の対応を徹底させていくべきである。

ディスレクシアの子は対人能力は高いため、おそらく英会話には不自由しない。




■具体的にはどうするか?
文字と音の対応を教えるには、やはりフォニックスが一番であろう。
(ジョリーフォニックスはとりあえずうまく行っています。親子でもできます。他のフォニックスも可だろうと思いますが、シンセティック・フォニックスである必要はあると思います。)

塾などにフォニックス指導をお願いする場合は、音と字の対応がつらいのだと伝えるといいかもしれない。

あくまで「音→文字→意味(単語)」の順に進むべき。
フォニックスではない「一般的な」英語教室だと、原則として「単語→意味→音」の順に進むので、ディスレクシアには無理。




■子供の「将来の姿」を想像する
その子が自立した将来の姿を想像し、そこから逆算して今すべきことを考える。
「将来の姿」を想像できると、子供の見え方、ひいては指導の仕方も、根底から変わってくる。

表面化している「できなさ」だけしか見ない場合、ミスマッチ(知的レベルよりも幼稚な内容の教材をあてがうなど)を起こす。
目前に迫った試験対策だけしか考えない場合、ディスレクシアの子は読めるようにならないし、かえって混乱を深めることにもなりかねない(カタカナで単語の読み方を書いたプリントを配るなど)。




■何のために英語を勉強するのか?
「サバイバルのため、コミュニケーションのため」→その通り。でもディスレクシアに関しては、この点について特に対策は必要ない。サバイバル力、コミュニケーション力は非ディスレクシアよりも高いのだから。

「ツールを使えばよい」→これもその通り。読み上げソフト、音声認識、ワープロの使用などはディスレクシアにとっては福音。
でも日本で生きていくのなら、こうしたツールが入試で使えなければ、子供にとっては手放しで喜べるものではない。

日本で暮らしていく以上、英語は入試のために必要という側面がどうしても出てくる。
そこを無視することは、ディスレクシアの子の人生の選択の幅を狭めることになる。

これは漢字も同じ。
漢字が読めないと資格試験も通れない。
ディスレクシア指導においては得意を伸ばすことも非常に大切だが、ディスレクシアの子の人生の選択の幅を保証するためにも、少なくとも親や教師はディスレクシア児が漢字を読めるようになることを最初から投げてはいけない。
いくら漢字が「なんとなく意味がわかる」ものだといっても、それでも漢字を正確に読めるようになる努力を、親や教師が放棄してはならない。




■ディスレクシア用のフォローをまったく受けないまま、大学受験まで来てしまった子は、どうすべきか?
1時間かけて1~2パラグラフしか読めないような子は、フォニックスまで戻ってもいいかもしれない。小学生よりもはるかに短期間で終わるはず。
sight words(フォニックスのルールでは読めない「例外」の読み方をする単語。実は英語の最頻出語の多くがこれ)を教えるのもよいかもしれない。

単語は、ディスレクシアだと暗記は苦手だが物語を覚えることは比較的得意なので、文脈のなかで覚える。音が先→文字が後が鉄則。

構文はきちんと理解できることが多い(理屈が分かれば記憶への定着は良いため)。文字と並行して構文を教えるといいかも?

定規をあてて読む、カラーシートをかけるだけで、意外と効果がある場合も。




■電子辞書の効用
ディスレクシアの場合、電子辞書を早めに導入すべき。
・ディスレクシアだと、アルファベットの順番を覚えるのが大変なので、紙の辞書を引くのに苦労する。
・発音を読み上げてくれる機能が、「音→文字」の順での単語学習に役立つ。
・文字を大きくする機能も、ディスレクシアにやさしい。

(でも、電子辞書だとスペリングをなかなか覚えられないというマイナス点が。
また難関大学受験レベルで和訳が必要な場合、電子辞書だとどうしても日本語表現力が失速する。
どうしたものか。。。)




■ジョリーフォニックス、ひととおり終わったら次は何をすべきか?
tricky words(sight words)に行くと同時に、付属の易しい本を読み始める。ディスレクシアは物語が好きだから。
その場合も、まず音から入る。
本にCDが付属している場合、それを使ったシャドウイングは効果がある。

2013-12-18

「先生の話は分かるけど、板書になった瞬間に分からなくなる」

書き取りのように、漢字を思い出して書くことだけに集中できるのなら、
準備を重ねれば、ぎりぎりなんとかなります。

しかし、板書というのは、
・黒板とノートとの視線の往復
・黒板の字を読み、短期記憶に入れて、ノートに吐き出す
・整理しながら書く

・・・と、さまざまな要素がかかわってきます。
これは、ディスレクシア的には、あまりにも酷なことです。











































10月くらいに、例によって泣きながら
(子は昔の私に似て(笑)、自己主張しようとすると涙が出てきます)

「黒板の字を写してると、このへんが(と胸を指して)
ムズムズして、つらいんだよ」
↑確認したら両耳のあたりがムズムズするそうです
「自分で書いた字も読めないし。
友達にも『こんな字で読めるの?』って言われるし」

と告白しました。

夜中、眠くなるまで翻訳仕事をしていると、
胸のあたりがもやもやして座ってられなくなります。
それと同じかもしれません。
仕事なら、もう今日はこれ以上は無理と諦めるところです。

「ムズムズしてつらいんだったら、
黒板の字をわざわざ写さなくってもいいんじゃない?
じっと見て覚えるとか、先生の話を聞いて覚えるようにしてみたら?」

と言ってみました。



すると11月に入って、

「先生の話はわかるけど、
先生が黒板に書いた瞬間から、わからなくなるんだよ(泣)」

と言うのです。

声が文字になった瞬間に分からなくなる・・・
なんてディスレクシア的なのでしょう!



そこで、担任の先生に短い手紙を書きました。
※今年の担任は、最初はあまり分かっていませんでしたが、8月に校長を交えて面談する流れになり、「病院も行かない、カミングアウトもしたくないじゃ、こちらもできることができないですよ。診断書持って来て下さいよ。そこに書かれている通りに指導しますから」という校長の無理解に切れた私が「医師は診断はできますが、小学校の指導内容までは分からないと聞いています、やはり子供に合わせた日々の学習指導が一番よくお分かりなのは現場の先生ではないのでしょうか」と校長に啖呵を切った、その一部始終を黙って聞いていたのですが、その後理解に努めようとしてくれています。
ありがとう先生。

・・・話を戻しますと
「いつもありがとうございます。××は、先生の話は分かるけど、板書になった瞬間から分からなくなると申しています。そこで2日間だけノートを取らないように言いました。ご指導をどうかよろしくお願いいたします」
と書いた手紙を持たせました。

子は自分からも先生に「次の社会の時間はノートをとらないでみる」と言ったそうです。



1~2週間後、「どうしてる?」と子供に聞いてみたところ、

「一応ノートを書くようにしてる。周りの友達にいろいろ言われるから。
でも、ムズムズしてきたら、書かないようにしてる。
今日も、このへんで(と、上のノートの真ん中へんを指さして)
ムズムズしてきたから、休んでたの。
そうしたら、先生がぼくにだけ
『無理して書かなくてもいいよ』と言ったの。
ぼくは心の底からうれしかったよ・・・」

彼にとって板書は、記憶の定着には全く役立っていない、
それどころか、学習理解を妨げているわけですが、
それでも、友達の目があるから書く、
でも先生に「無理しなくていい」と言われれば嬉しい・・・

なんと複雑な心理なのでしょう。



☆  ☆  ☆


個人的には、いわゆる「きれいな板書」は明治~昭和の風習だと思ってます。
もはや予備校では、昭和時代に標準的だった、
「教師がきれいに黒板に書いて、それを生徒がノートに書き写す」
というタイプの板書は、生徒はついてきませんし、何より時間の無駄です。

コピーがある時代、きれいな板書はプリントを配れば済む話ですし、
板書は、図を書くプロセスが理解に役立つような場面に限定して使うべきで
(英語の構文解釈のプロセスとか、数学の図を考えながら書いていくプロセスとか)

どうせ手を動かすなら、教師の書いたことを写すのではなく、
自分で考えて答案を書くなど、
せっかくの限られた授業時間、他にすべきことがあるはずです。

でも、小学校では、「きれいな板書」を写させる方式がいまだに生き残っているようで・・・

2013-12-11

道村式「漢字カード」はディスレクシア児の漢字学習に絶大な効果があると思います!!

2013-10-01 漢字カードの進捗      の続きです。
9月に道村静江先生の
『口で言えれば漢字は書ける!』を読み、
「この『漢字カード』は、盲学校の子供だけでなく、
ディスレクシアにもいけるのでは?!」と思い、さっそく試して3ヵ月。

途中から、私が翻訳者生活史上最大の奴隷的忙しさを迎え(現在も継続中)
なかなか進捗を書けずにいましたが、
今日は仕事を投げ打って書きましょう!!

道村式(←勝手に名付けてますが)漢字カードは、
ディスレクシアに絶大な効果があると!!


詳しい取り組み方は前の書き込みを読んで頂くとして・・・


この漢字カードは、ディスレクシア教育において効果的とされている
「多感覚式」(multisensory)と呼ばれるもの。
口で漢字の成り立ちを言うことで、漢字を覚えるというものです。
字を実際に書くのは最後、という考え方です。
これなら、字が苦手なディスレクシアでも覚えられるのです。

本来は2~3年から取り組むのが効果的とのことですが、
5年生から始めても問題ありません。

さすがにディスレクシアですので、
一発でばっちり定着☆というわけにはいきません。
おそらく、普通の子よりも何倍かの反復は必要です。4~5回とか…。

でも、定着率は単なる書き取りよりも、圧倒的に良いです。



何より驚いたのは・・・
子供が自主的に、道村式漢字カードを使って、
漢字を自習するようになったのです!!

ディスレクシアだと分かってから、
いえ、字が汚い怠け者だと誤解していた頃から、
漢字学習は子供一人では無理だと思っていました。
私が忙しいときは一人でさせていましたが、
そうすると間違いもいっぱいですし、定着率も低く、
要するに気休めでした。

それが、道村式漢字カードを始めて1ヵ月もしないうちに、

帰宅するなり「おれ漢字やるわ」と言って漢字カードに取り組んだり、

「漢字テストが近いから」と言って自分から漢字カードに取り組んだり、
するようになったのです。

これは本当に本当に、本当~~に驚きでした!!

私の中では、もうこれだけで見返りは十分(T T)
まさか漢字を自分から勉強する日が来るとは思ってませんでした。

そして今日、1週間ほど前の漢字テストが返ってきました。
(なぜこの時期に、10月までのまとめなのかはさておき。)




「う」を「く」と書き間違えたのが唯一のミス。これには本人も苦笑
いつまでたっても、平仮名が苦手です。


「券」とか、ちょっとおまけしてもらってますね・・・


ちょっと採点が甘いです。

でも、この点数が彼にどれほど多くの自信を与えていることか(T T)

なにしろ、2年前の同じ時期↓には半分もできなかったのですから・・・







漢字カードはこちら(点字学習を支援する会)で買えます。
一般の書店にはありません。

道村先生も、ディスレクシアの子に
このカードを使ってほしいと切に願っていらっしゃいますし、
私も、まだ使用実績は3ヵ月ですが、
お答えできることは何でも喜んでお答えします!


2年前のうちの子のような字を書いている一人でも多くの子に、
ぜひ道村式漢字カードを使ってほしいです!!
漢字テストで書ければ、学校生活でポジティブなサイクルに入れます!