ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。
●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性
●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける
●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい
●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される
●10人に1人程度いるというのが通説
●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい
もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。
2012-07-19
東大志望でディスレクシアのR君の覚え書き
東大理II志望・浪人生R君と話したことの覚え書き。
本人には自覚がありませんが、彼は「隠れディスレクシア」だと私はにらんでいます。
集中するときはものすごく集中し、飲み込みも早く、物事を俯瞰もできるのですが、
集中力が切れたり、緊張したり混乱したりすると、びっくりするようなポカミスをします。
今年の東大の試験では、英語は混乱して読めなかった模様。
数学では、答案用紙をさかさまに使っていたことに、回収する時点で初めて気がついたとのこと。
「あなたはディスレクシアだと思う」とは言わずに、集中力をコントロールするための訓練に誘導中です。
彼なら、集中力さえコントロールできれば、実力を100%発揮でき、そうすれば東大だって余裕だろう・・・と考えています。
英語については、構文理解に基づいて読める(たまに地雷を踏む)、要約やパラグラフ整序のように内容を大きくつかむものが得意、英作文のスペルミス・漢字の誤字が多い、今は読解に苦手意識があります(イディオムの知識不足が主因)
知識も実力もモチベーションも十分、集中している時としていない時の差が激しい、スペルミスで大幅に引かれてもったいない、という印象の生徒です。
☆ ☆ ☆
(模試の結果を出しながら)謝らないといけません、、
(第1回駿台全国模試、東大理IIはB判定、英国は偏差値50台、理系科目は60台中盤、数学と化学でほぼ0点の大問が1つずつある。英語は英作文がほぼ満点、読解の大問1つが平均点近い。)
(この読解問題は何を間違えたの?)
適当に読んだら間違った。
集中力がなくなると、「『2つの要素を指摘せよ』と書いてあるんだから、まあこれとこれだろう」的な読み方になり、大きく外してしまう。国語もそう。
(毎日の生活は?)
朝は6時起き。リスニングを聞きながら1時間かけて通学。
8時台には駿台お茶の水の自習室に入り、1時間英語を読む。
授業は一つも切っていない。
帰りはセンター数学を電車の中で解き、近くの図書館で夕食まで理系科目の勉強。
夕食後は家で軽く勉強して寝る。
毎日できるだけ全科目に触れる、英語は毎日、国語はたまにやらない日がある。
予習復習は完全に追いついている、きついけど。
自分には集中力が足りない。(!)
物理は浪人決定後の1ヶ月に勉強したら、あっという間に分かるようになった。なんでこんなことがわからなかったんだろうというくらい。高1~高2でまったく授業を聞いていなかったので。
今年のセンター英語は196点だった、でもリスニングは疲れてしまって半分しかとれなかった。
センターはトータルで9割近くとれていたので、リスニングがとれていれば東大後期に出願できた。
もうすぐセンター模試がある。
朝9時から夜8時まで続くので、集中力が続くか不安。
全科目を1日に押し込まれると集中力が続かない。
集中力がなくなると、とんでもないケアレスミスをする。
数学は、確率が苦手で、微積と空間図形が好き。
計算のケアレスは非常に多い。
答えが出ると「つじつまもあっているし、これでいいだろう」という気になってしまう。
この前の模試でも、はじめに2とルート2を間違えてしまい、完答したのに40点中1点しかもらえなかった。考え方は正しかったんだけど。
文系科目(英国)と理系科目(数物化)の頭の切り替えがうまくいかなくて失敗することがある。
文→理の切り替えは◎◎模試の時、理→文の切り替えは××模試の時に失敗した。
駿台の英語のテキストは過去問が中心。もう去年の時点で全部やってしまったので覚えている(でもスペルミスする)
(空間図形を頭の中で回すことはできるか?)
東大の過去問で正八面体の問題があったが、正八面体を頭のなかで回すことも止めることもできる。止めないと式が書けないので止めたけど。でもその問題は比の計算で間違えた。
(字よりも図のほうが自分にあってる?)図のほうが好き。
(ここで「いちごのショートケーキ」をやってみる。
上からも下からも横からも、ケーキはばっちり見える。
視点を頭の後ろに固定する。
「英作を書くときや読解問題を読み始める前には、まずここに視点を固定してから読んでごらん、そうすると集中力が続くから疲れにくくなるよ」)
これは前に先生が現役の時に言っていた「みかん」と同じですね?
(顔の前にみかんを手に持っているところを想像して、それを頭の線に沿って後ろに投げて、ちょうど頭の反対側にみかんが来るように想像する。その場所に目があるつもりで読む。速読本に書いてあったことの応用)
「みかん」はパラグラフ補充のときにやっていて、うまくいっている。
☆ ☆ ☆
「いちごのショートケーキ」が終わった時のR君は、心ここにあらずみたいな、どこを見ているかよくわからない感じでした。
「ここからケーキが見える?」と聞いたとき、普通に目を開いて左手を見ながら
「上からってことですか?見えます見えます」と言ったのに度肝を抜かれました。
もののたとえではなく、本当に上からショートケーキが見えているんだなと。