on dyslexia

ディスレクシア
(読字障害、読み書き障害、失読症、難読症、学習障害、読み書きのLD)について、調べて分かったこと/実践したこと/英語から訳した文章をアップしています。

ディスレクシアとは:
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​​
知能は普通だが、読み書きが苦手(誤字が多い、読み書きが遅い、読み間違いが多い)。
-勉強しているにもかかわらず、読み書きがなかなかできない状態を指す。知的障害ではなく、普通~ギフテッドのあらゆるIQにみられる。
-
​​
独創的で、​​対人能力が高い。
​​
全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力
に長ける。
- ​音と文字の脳内での結びつきが弱いことから起こるらしい
- ​読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい。その理由は、英語のほうが日本語よりも"音の粒"が小さいから​
- ​細​​​​かい聞き間違いがみられるが、音声情報の処理能力は高い
- エピソード記憶が得意。固有名詞などの細かい丸暗記は苦手
- 適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される-
​ ​
10人に1人程度いるというのが通説
​。アメリカの調査では3人に1人とも
- 家族性であり、遺伝による​。ただしディスレクシアの表れ方は個人差が大きい



当ブログは、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能である、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要--という立場です。


2014-07-18

『発達障害の原因と発症メカニズム』~「発達障害は遺伝する」と即座に言い切れない理由

なぜ発達障害が増えているのか?」という疑問に、
脳科学の分野から、現時点で最も網羅的な答えを教えてくれる一冊を見つけました。

『発達障害の原因と発症メカニズム』






当ブログに来る検索キーワードで「ディスレクシア」の次に多いのが、
なぜか「ADHD 遺伝」なのですが、、、、
それだけ、「発達障害は遺伝するのか?」
という疑問や不安を持っている人が多いのでしょう。

本書は、この問いにも真正面から答えています。その答えとは:
「発達障害は確かに遺伝する。
でも『親が発達障害なら子供もそうなる』という、単純なものではない」、
で、その複雑な機構が、脳科学のあらゆる方面から説明されます。


著者によると、発達障害は遺伝性です。
が、自閉症の原因となる遺伝子だけでも何百種類もあると言われ、
しかも、その遺伝子を持っていたとしても、
発現するかどうか/どう発現するかに影響する要素が膨大にある
このため「親が発達障害=子供も発達障害」という単純なものではない、とのこと。


特に、発現には「発達神経毒性を持つ化学物質」
つまり農薬が大きく影響している、
それどころか「自閉症は遺伝要因よりも環境要因のほうが強い」。
う~む、やはり発達障害には化学物質が関わっているのですね・・・

発達障害の統計を取ることの難しさも十分視野に入れつつも、
「広汎性発達障害の有病率」と「農薬の単位面積当りの使用量」の世界トップ4の順位が一致している
(ちなみに1位韓国、2位日本、3位英国、4位米国だそうです。p94など)
というデータが挙げられており、驚きでした。



一方で、脳のシナプスには「可塑性」「頑健性」があるとも著者は強調します。
「可塑性」とは「紙粘土のように・・・一度つくったものも、新たに力を加えれば、簡単に別のものになれる性質」(p298)を指します。
脳はある機能を失ったり弱かったりしても、適切な刺激を与えれば、
その部分を補うような回路を作る力があるということです。

これはつまり、ディスレクシアでも学習によって、定型発達の人とは違う読み書き回路を育てることができるということですね!

もちろん、感受性の強い時期(=学習効果が特に高い時期)はあるそうです。
つまり、本当はディスレクシアは早期発見・早期対処が効果的なのでしょう。
早期発見されれば、感受性の高い時期に訓練ができるでしょうから。。

でも、年を取ってからでも決して訓練を諦めてはならない、なぜなら「ヒトでは、高次機能のシナプスの可塑性は70歳を過ぎても延々と続いている(p304)」のですから・・・
70歳でも変わるのなら、ましてや中学生や高校生なら、
脳の可塑性により、まだまだ訓練で変わるということですね。


「頑健性」とは、
1つ2つの神経細胞がダウンしても、すぐに他の神経細胞で補える、
そんな脳の能力のことです。
脳は頑健性が非常に高い(ちなみに女のほうが男より頑健性が高いらしい。たぶん母体を保護することと関係あるのでしょう)ので、
仮に発達障害につながる遺伝子の変異が起きたとしても、
頑健性によってカバーされることは多々あるようです。
これもまた、「発達障害は遺伝する」と即座に言い切れない要因のようです。


ここまでをまとめると・・・・
発達障害には遺伝・環境化学物質・外からの働きかけという要因が、
複雑に絡まり合っている。
かつ、脳には可塑性・頑健性があるため、
仮に発達障害が表れても、その影響を軽減することができる。


☆  ☆  ☆


個人的には、農薬が発達障害を助長する要因ならば、
スマホも、同じくらい大きな要因になりつつるあるのでは?と思っています。

ここ1~2年で、予備校で見る大学受験生の誤字が激増したと感じています。
字のバランスが悪い子も増えました。
日本語の語彙が少なくて和訳できない子、
説明問題で文章を組み立てられない子も増えています。
ディスレクシア"風"の子は明らかに増えています。

「LINEのせいで青少年がますます字を書かなくなっている」
という言い方もできますが、
私は、LINEさらにはスマホ全般が、「ディスレクシアが読み書き脳を獲得するための刺激」とは別方向の刺激を、脳に与えている気がしてなりません。
単に書き慣れていないのではなく、読み書き脳を育てる刺激が少なすぎて(または読み書き脳とは別方向の刺激が多すぎて)、もっと根底的な部分で書けなくなっているように感じます。



☆  ☆  ☆

上の本では「発達障害」として、自閉症とADHDを主に扱っていて、
ディスレクシアは、残念ながらあまり出てきません。
でも、「遺伝・環境化学物質・外からの働きかけ」が3大要因であることは変わらないでしょう。

学習障害は
「知的能力に比し学力が著しく低く、通常の学習では成果が上がらない」
「純粋な学習障害の場合は、ハンディを持ちつつ社会適応は良好な者が多い」(p52)
とあり、本当にその通りだと思いました。
ディスレクシアは大人になって居場所を見つければ、ハッピーに生活できる人たちです。



発達障害の脳科学について、がっつり知りたい人にお勧めです!




6 件のコメント:

  1. 是非,夏休み中に読みたいのですが。読むのに時間がかかりそうです。大人もネットに頼っていると活字読むのが苦手になり,書くのもおっくうになります。

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    1. 斜め読みでもお勧めです^^

      子供を見ていると私もだんだん一字一句読まないといいますか、取捨選択的読み方になってきました。

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  2. はじめまして。
    子が読み書き障害等を持っており、
    phonicsの記事を参考にさせていただいております。

    さて、今回の記事、この本の著者は、
    発達障害の原因は遺伝と断言されているようですが、
    異なる見解もあるということをコメントさせてください。

    http://tmin.igakuken.or.jp/medical/13/develop1.html
    「脳発達障害」ということで、「発達障害」の定義が異なるのかもしれませんが、
    上記サイトの「2 脳発達障害の原因」についてを
    御参照いただければと思います。

    様々な原因があり、様々な対応が必要である
    ということを教育や療育の現場で
    もう少し考えてほしいと感じることが多いです。

    もしも、お気に障ったら申し訳ありません・・・。

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    1. はじめまして。コメントありがとうございます。お気に障るだなんてとんでもないです。むしろものすごい情報量のサイトを教えて下さりありがとうございます。

      リンク先の「東京都神経科学総合研究所」は、まさに上の本の著者が所属している(た?)機関です。
      私の書き方がつたなくて申し訳ありません。著者も、発達障害は遺伝「だけではない」という主張です。

      >様々な原因があり、様々な対応が必要
      は、まさにその通りだと思います!!
      一つの対応を探し求めてはいけませんね。

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  3. お久しぶりです。

    皆一律が良いとされ、競争が盛んになってきたから
    発達障害が目立って来てあぶり出されるようになった気がするのは私だけでしょうか。。
    昔から様々にあったけれど、個性として さほど問題視されなかっただけでは?

    昔話にしても落語にしても、すっとんきょうな人や変わり者と呼ばれる人が沢山登場してますが、
    周囲が笑いに変えたり 将来立派になったりしてます。
    寛容な時代で、それなりに活かせる場所が豊富に合ったんだと思えるんですよね。

    今の時代が、枠を作って、そこからはみ出した者は異端とみなす社会を作っているんじゃないでしょうか。
    得手不得手が手を取り合って補い合って、それで良かった社会じゃなくなったんでしょう。

    『脳の機能はこれが正常』と 誰が規定したんでしょうね。


    うちの末っ子、今年は受験生になってしまいました(--;
    行ける学校が無い と言われないで少しホッとしてます。
    本は相変わらず読みませんが、
    メールやLINEをするようになってから、文章に対しての反応が良い方向にいきましたよ。
    どう言えば相手に伝わるかも考えるようになりました。
    『象形文字』的に見えてた漢字も 『漢字』と見えるようになったと本人が言います。
    汚い字ですが、書くのも早くなりました。
    定期テストで国語が一番いい成績になったのが一番の不思議~

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    1. お久しぶりです!
      国語の成績が一番良い!?あやかりたいです!!

      私も、いっときは「発達障害というのは社会の価値観が決めたもので、時代が変わればうちの子はまったく問題なく生きていったはず」と信じてました。
      今もそう思っていますが、でも個性を障害と線引きする社会だけでなく、なんかそれ以外の原因もあるのかも?と思うこともあります。。

      LINEがむしろディスレクシアの文章力に役立っているとは。びっくりです。
      あやめさんのご指摘を読んで、LINEやメールはディスレクシアに(だけ)有益な方向に働くかも、と思ったりしました(おめでたすぎですかね?)

      「最近のママの生徒さんはなんか字が苦手な子が増えた気がするよ」と子に言ったら、やつは
      「やった~、みんな字が苦手になったら俺様の天下だ」的なことを申していました(--)

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