ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2014-11-03

ディスレクシア向けブレインジムのお勧め本「ブレインジム 発達が気になる人の12の体操」

ディスレクシア的ブレインジムのお勧め本を見つけました!

家庭学習にいわゆる感覚統合を取り入れたい方、
ディスレクシア家庭学習の効果を高めたい方に、ぴったりの一冊です!



「ブレインジム 発達が気になる人の12の体操」


ブレインジムの効果については、以前にも書いたことがあります→こちら

ブレインジムとは、簡単に言えば
「発達障害、特にディスレクシア用に開発された、勉強前の準備体操」
です。
ただ、本書を読むと、その効果はもっと広範囲に渡ることが分かります。
自分の特性をポジティブに受け入れたり、
人間関係や周囲の環境を落ち着いて前向きに捉える効果があるようです。

なんで体操だけでそんなことまで・・・?と思うかもしれません。
でもブレインジムを細々とですが実践する者としては、
「これは簡単な体操だが、奥深いところからじわじわ効く」
ことは確信を持って言えます。


著者は、横浜・小机の発達障害の子を多く受け入れているフリースクールでの実践をもとに、
ブレインジムでも特に発達凹凸に効果的な、12の体操を紹介しています。

これ1冊で家庭でもブレインジムが取り入れられる、
実にありがたい本です。


☆  ☆  ☆


意外な「くせ」が感覚過敏、ひいては学習のしづらさと関係している、
という指摘が、まず面白かったです。
(しめつけるような服が嫌い、独特なバランス感覚、
歩き方がのっそりしているetc.)

ディスレクシアの子を見るときも、
字が苦手さだけにフォーカスするのでなく、
他の部分での感覚過敏も和らげてあげる必要があるんだなと思いました。

ブレインジムとは、こうした「くせ」に表れている
ある種のアンバランスに働きかけて改善し、
ひいては情報の受信や発信をしやすくするもの、と私は理解しています。



ディスレクシア的には、「独特な見え方」の一節が特に興味深かったです。
本書の項目を引用しますと:

・白い紙はまぶしすぎる
・文字を読むときに目がぎくしゃくする
・行の真ん中が読みづらい
・目線が飛んでしまう!
・文字が点滅したり動いたりするように見える

読みに困難を抱える子は、こうした特徴を持っていることがあり、
それを改善する目の体操がブレインジムにはある、ということです。

「うまく読めないことは、その子が前向きに学びに取り組もうとしていないからではないのかもしれません。「がんばってさえいれば、読む能力は向上するはずだ」とだけ考えずに、ぜひ子どもたちの目の動きに注目してあげてください」(p28)


☆  ☆  ☆


これまでブレインジムについて、あえて書いてこなかったのは
講座を受けたとき、「個人で使う以外には広めないで下さい」
的なことが、どこかに書いてあったような気がしたからなのですが。。
でも、こうして本になったほどなので、堂々と言ってよさそうですね。

うちでは、PACEとレイジーエイトは勉強前の儀式として完全定着しました。
(PACEはブレインジムの一番基本的な体操で、
その半分は上の表紙に載ってます)

ほんとに簡単な、5分くらいの体操なのですが、
これをすると、仕事モードや遊びモードから勉強モードへと
気分が自然と切り替わります。
落ち着きが出ますし、なんだか前向きになれますし、
文字に集中することが少し苦でなくなるようです。


レイジーエイトは短い動画を見つけました:


動画では左手と両手で行っていますが、右手でも行います。


例によって、子より私のほうがブレインジムの効果を実感してます。
レイジーエイトを翻訳仕事の前に行うと、
明らかに仕事中のネット逃避率が減ります(爆)
精神的多動を抑える効果があるようです。


☆  ☆  ☆


当ブログに最近登場している生徒さんたちにも、
レイジーエイトを試してみました。

まだサンプル数が少ないですが、
ディスレクシアだとレイジーエイトに不器用さが出るケースは多い気がします。
また、レイジーエイトを初めて試すと、
自分の見え方について告白してくれるのが面白いです。
(言語化するのはそこから卒業するための大きな一歩だと思うので、
大変良いこととして聞いてます)


Kさん(大人)は指を目だけで追うことができず、顔も動いてしまいました。
「顔も動いてます!」と指摘したところ、
「そ~なんですよ、私は文字を見ても上滑りになってしまうんですよ」
と教えてくれました。

コスモ君(浪人生)はもっと顕著でした。
先週、初めて目の前で視写をしてもらったのですが、
5分で2行半しか字が書けず。
本文とノートとの間で目を往復させるのに、苦労していました。
そこでレイジーエイトを試したところ、右目があまり動いていません。

よく見ると、左目のほうがけっこう大きくて、右目が少しぼうっとしています。
「右目の目力が弱いかも?」と言ったら、
「実は視野の右端があまり見えていない」
「疲れてくると左目でしか見たくなくなる」
(→これ私もあります、余計集中しづらくなります)
「小3の頃に左目を隠し、右目だけで見る訓練をしたが、疲れてやめた」とのこと。

今後は毎日の視写とレイジーエイトも宿題となりました。
眼球の周りに筋肉がついて、右目も使えるようになれば、
本文とノートの間で目をいったり来たりするのも、楽になるはずです。
今後の変化が楽しみです。



うちの子は、最初は∞の空書きができませんでした。特に斜めの部分が。
今では∞をきれいに書けるので、
斜め線を書くために良い影響があったのではないかと思っています。

☆  ☆  ☆

本書に話を戻しますと、
ブレインジムは、ディスレクシアの子にはもちろん、
教える側にも(→発達障害であってもなくても)じわっと効くので、
そういう意味でも、ディスレクシア家庭教育にたずさわる方に、
ぜひ試してほしい一冊です!


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