この記事は、もう少し効果を検証してから書くべきなのかもですが、
かなり脈ありな気がするので、出してしまいます。
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ここ2~3週間、アーレンシンドロームに興味を持って調べていました。
きっかけは、ディスレクシアの大学受験生(みずさん)からの相談でした。
みずさんは、白い紙がまぶしい、字が渦を巻いて見えると言いました。
前々記事(アーレンシンドロームのチェックテスト)で書いた通り、
ディスレクシア全員がこう訴えるわけではありません。
そこで、「アーレンというものがあるよ」と紹介したのです。
緑のルーズリーフだと楽、青いクリアシートをかけると読みやすい、
といったことを、彼女は発見していきました。
他の人も自分と同じように、紙をまぶしく感じていると思っていたそうです。
いろいろ話すうちに、自分は多分アーレンだと本人は確信しました。
でも、センター試験を来月に控え、検査に行くのは時間的に無理です。
それに、仮にアーレンメガネを作ったとしても、
大学によっては募集要項に「サングラス禁止」と書いてあり、
(たぶん「顔を隠してはならない」という意味で、
光過敏症の受験生の存在は想定外でしょうが)
そのメガネをかけて試験に臨むことは、おそらくできません。
そこで彼女が「ギラつきを抑えているようで、見え方がだいぶ改善する」
と探してきたのが、PCやスマホから出るブルーライトをカットするメガネ↓
JINS PCメガネ いろんな色のフレームがありますが、レンズに差はないそうですby店員さん |
ブルーライトを45%カットするものと、50%カットするものがあります。
50%だと、傍目からもほんのり色が入っているのがわかりますが、
そちらのほうが、まぶしさを緩和する効果は高いようです。
「文字が突き刺さる感じが軽減する」
「行間の白い部分に目が行っていたのが、文字を捉えられるようになる」
とのこと。いい感じではないでしょうか!
☆ ☆ ☆
さっそく、うちでも試してみました。
前記事に書いたように、うちの子は、
「文字が渦を巻いて見える」「突き出て見える」系のことは言いません。
しかし!上のメガネ(45%)をかけてみると、
「あ、これいい。紙がまぶしくない。目が疲れない」
と、本人は即座に気に入った様子です。
まだ今日一日試しただけなのですが、
「学校でプリントを見るのが楽だった」と言いながら帰ってきました。
そして・・・とりあえず視写と算数を解いてもらいましたが、
視写はいつもの倍の時間にわたって書き続け、
算数は正答率が大幅にアップしました。
もともとメガネに憧れもあり(笑)、本人は上機嫌です。
駅ビルやamazonで買える3900円の度なしメガネで、
ここまでの効果があるとは・・・
子については、あまりの劇的効果に私のほうが信じられないでいますが、
しばらく続ける予定です。
☆ ☆ ☆
調べると、アーレンさんは
「色のフィルターやレンズを使うと、自閉症の見え方が大きく改善する」
と、すでに80年代から提唱していたようです。
「自閉症だったわたしへIII」 |
その効果を証言している訳書も、すでにあります。
自閉症の当事者が自らの世界を言葉で説明した本のはしり、
「自閉症だったわたしへIII」です。
この本は、見方によっては、
アーレンによって世界の見え方が一変する過程を綴った手記です。
たとえば、
「ある色や組み合わせでは、文字が私の方に向かって飛び出してくるみたいだった。それで意味がつかみやすくなるわけでもない。また別の色では、単語が踊り出したり行がジャンプしたり、ところどころ文字が消えてしまったりした。さらにある色では、ただページに色がつくだけで、なんの変化も効果も現れなかった。
ところが突然、これまで感じたことのない衝撃に、わたしは襲われたのだ。あまりにも圧倒されて、私はがたがた震え、泣き出した。シートは、新しい組み合わせで置かれている。それを通すと、読めるのだ。直接、意識を保ちながら、何の苦労もなく。すべての意味が、頭に入ってくる。生まれて初めてのことだった。読みながら、場面が頭に入ってくる。読んでいる物語の世界が見えてくる。登場人物も、ひとりだけでなく全員が見える。・・・読みながら、自分の声も聞こえる。内容に合わない、ただ練習しただけの抑揚など、もうどこにもない。・・・今聞こえてくるのは、自然な声。内容を頭で想像しながら、楽しんで何かを読んでいる人の、流れとめりはりのある声だ。」
(『自閉症だったわたしへIII』新潮文庫、河野万里子訳)
このように、非常に劇的な変化がある場合もあるようです。
しかし調べると、
海外の学会では、その効果に根強い反論があることも分かりました。
色、カラーフィルム、読字・読解力☆ ☆ ☆
本稿では、文章を読む際に色が持つ役割について調べる。カラーフィルムを紙の上にかぶせて読むことで、流暢性と速度の両方に良い影響を与えると主張されてきた。こうした影響はいわゆる「ミアーズ=アーレン・シンドローム」の人、すなわち、読んでいる最中に疲れ目および/または視覚的な歪み(色や形、動きの幻影)を経験する者において、特に顕著といわれる。この状態は一般人口の12~14%、ディスレクシアの最大46%に関係するとされる。このため、ディスレクシアの抱える読み困難(流暢性、速度)の一部の側面の回復策として、カラーフィルムは幅広く使われている。にもかかわらず、カラーフィルムがディスレクシアにとってどのような方法で効果を発揮するかは明らかとなっていない。また、一部の研究者によれば、カラーフィルムの効能を支持する研究結果は、控え目に言っても反論の余地があると言う。それどころか、ミアーズ=アーレンシンドロームの本質そのものにも異議が唱えられている。本稿では、関連文献を詳細かつ批評的に振り返る。
私はここで、峯松先生の受け売りなのですが、
「人間の言語能力について考えるとき、
脳までいかなくても、音や耳の仕組みから説明できることはたくさんある」
「技術者というのは、ある技術の理論的説明が確立していなくても、
それが役に立つのなら、どんどん実用化するべき」
そして「音も光も、波動という点では同じ」
という言葉に沿って進みたいです。
つまり、
現にアーレンやPCメガネで見えやすくなったと感じる生徒がいるのなら、
その理論的裏付けはともかく、積極的に使うべきだ、ということです。
みずさんありがとう!うちでも続けて、また報告します!
私ももじこさんに賛成です。人によって効果が違うのですから、その子がいいと思うのなら、どんどん使っていけばいいと思うのです。
返信削除ということで(?)今度のWSにはフィルムやルーラーをいくつか持っていきますね!ぜひお子さんに試してもらってください。
ジョリーにも何かフィルムがあるのですね。楽しみです!ありがとうございます。
削除こんにちは。komariです。
返信削除ご無沙汰しております!
アーレンシンドローム、初めて聞きました。
が、納得しました。
他人のパワポで、蛍光色を背景に使うと文字が
読みにくくなるのですが、
「ハレーションする」との表現が、分かる人もいるけど
多くが「何それ?」という反応でした。
私もアーレンシンドロームなのかもしれませんね。
そして、PC眼鏡はとても効果があります!!
少なくともパソコンによる目の疲れが軽減されました。
もしかして、アーレンシンドロームだから?
ただ、紙媒体を読むときは外していたので、
ちょっと試しにかけたまま読んでみます。
あと、すみません・・・あずき色?文字の部分は
目がチカチカ・じわ~として読めませんでした(涙)
ぜひ!PCメガネ×紙媒体の続報、お待ちしています!
削除あずき色、早速訂正しました。
実は私には、大して色の違いが感じられないのです(!)
目がチカチカするほど違うのがびっくりです。
アーレンの人(やディスレクシアの人)は、普通の人なら夢にも思わないようなところで大変なストレスを感じているってことですよね。。
日本でアーレンメガネを作れるところは非常に数少ないようです。
東京だと
京王線・多磨霊園
http://nihonmegane.blog112.fc2.com/blog-category-30.html
東横線・綱島
http://www.eye-care.co.jp/irlen/
小田急線・相武台前
http://www.megane-isshindo.jp/index.html
などにあるようです。