ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2025-03-15

受験報告会を行います!

今年も受験報告会を行います!





今年は、見逃し配信を行います!(ただしWISCの情報だけは削除します、ご了承ください)

もじこ塾と生徒たちで、今年のディスレクシア的大学入試を語り尽くします!

お申し込みはこちらから→(peatixのサイトに飛びます)


今年の登壇者は、以下の通りです:

(1)(一般入試、配慮あり):中高一貫卒。去年も「GK君」として受験報告会で話した彼は、いろいろあって再受験。中高では配慮なし、浪人してから配慮申請。もじこ塾の助手をしながら考え続け、一段と深く鋭くなった彼のディスレクシア論を語ってもらいます。

GK君の昨年の合格体験記はこちら→。彼はこの文章を書いたころ、私も知りませんでしたがすでにパニック障害を抱えていました。結局は発作のせいで、一浪で入った大学には一日も行くことができず。今年は心を立て直すことを最優先に生活した結果、再受験でW大学に合格。


(2) (一般入試、配慮なし):公立中→私立高校→一般入試(理系)。高校は皆勤で、陸上部も引退までフル参加。高校で配慮を受けなかったため、入試でも配慮は受けていません。なぜ配慮を受けなかったのか?そこには彼の、はっきりとした思いがありました。

・・・この紹介だとすごくエネルギッシュに見えますが、実際の彼はほんわかした印象です。斜視もあって、読むのは大変そうです。

模試では、英語も国語も15分ほどで寝落ちしていましたが、こちらは「部活で疲れているからだろう」「遠距離通学だからだろう」と思っていました。でも部活を引退した後も模試で寝落ちしていたため、ようやく疲れだけが原因ではないと気づいた頃はもう秋口・・・


(3) (総合型選抜、配慮なし):公立中(通級)→私立高校(スポーツ推薦)→総合型選抜。高校入学時には日本語の読み書きに困難のあった彼が、大学入試では小論文を書けるほどに。その背景には、野球部で毎日欠かさず続けていた「あること」が・・・

彼は中学生の集団クラスに在籍していました。礼儀正しく、スポーツ万能。公立中のジャージ姿で地下鉄に乗ってもじこ塾に来るような、純朴な一面もありました(?!)。小1から通級に通っていたこともあり、ディスレクシアとしてはかなり重度でもあります。「甲子園を目指す」と言って卒業しました。

彼から久しぶりに連絡があったのは去年の8月。「特別支援の教員になりたいので大学に行きたい。今から対策したい」と言われて驚きましたが、持ってきたものを見てさらに驚きました。それが上の「あること」です(すみません、引っ張ってます)

彼の合格体験記はこちら→


そして・・・
もう一人、出演が決まりました!
この人はこの2年半ほど、もじこ塾の助手をしてくれています。
その前はしばらく、引きこもりをしていました。
中学入試を経て入った一貫校で不登校に。内部進学できず別の私立高校に進学、そこから通信制へ。コロナも重なり、外部との接触が非常に少ない生活のなか、受験した大学は全落ち。そこからしばらく音信不通になっていましたが、「社会復帰したい」ともじこ塾でアルバイトをするようになりました。
そんな彼が、このたび、進学することになりました!!
彼が話をどのくらいできるかは未知数ですが、社会復帰までのあいだ考えていたことを、話してくれる予定です。

このように、本格的社会復帰から進学校出身者の配慮入試まで、非常に多彩なラインナップで今年はお届けします!
ここでしか聞けない話が満載となること請け合いです!
関心のある方はぜひご視聴ください。

2025-03-13

IDA24・その3(雑感)

書いた状態で半年も放置していました。。とりあえずアップしておきます。

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2024年のIDA(国際ディスレクシア協会)年次総会に行ってきました。

振り返り、その3です。


今年のIDAは、

「フォニックスや音韻認識が大事なことは、もうみんな分かったよね、
なのでその先に行くよ」
という雰囲気でした。
フォニックスや音韻認識・音素認識以外の要素の話が多かったです。

◆IDAでよく言及された概念

1) Reading Rope(リーディングロープ)
前回のIDAで初めて見た気がします。読むというのは単語レベルの読字能力と、文や文章に関するもう少し幅広い知識が、あざなえる縄のように組み合わさることで、強固な文章読解力になる、ということを示した図です。

Reading Ropeで検索すると、最近は色つきのものも出てきます。


2) Structured Literacy(ストラクチャード・リテラシー)

アンチフォニックス派に対抗して編まれた、ディスレクシア(そして他の生徒にも)有効な、言語教育の初歩の原則(principle)のこと。
2014年に制定され、今回バージョンアップして正式にお目見えしたらしいです。
https://app.box.com/s/mvuvhel6qaj8tghvu1nl75i0ndnlp0yz


何を教えるか(the "What"):
フォニックス(表ではphonemes⇔graphemes)、morphology、音節、など、さまざまな要素が含まれています。
それらの教え方(the "How"):
明示的・体系的・多感覚・積み上げ式・ヒントを出す・データ重視、絞ったフィードバック、双方向、などの要素が含まれています。

3) SOR (Science of Reading)
Structured Literacyは、読み能力を向上させる効果があると科学的に実証されたことがらに基づいて編まれたものです。Structured Literacyの基盤となるこの「科学的な読みの科学」を、Science of Readingと呼びます。脳科学、心理学、教育学などの研究からなります。
SORの真の敵は、"非科学的"な言語教育です。

そのもとになったのが、2年前に発表されて大きな反響を呼んだこちらのポッドキャストです。2022年、コロナ生活真っ最中のころに公開され、私も日本で聞いて衝撃を受けました。
衝撃はアメリカでも同様だったようで、今回のIDAでも「Emily Hanfordの功績は~」と著者のジャーナリストをたたえる発言が何度かありました。

アメリカで80年代から90年代にかけてアンチフォニックスが隆盛を極めた結果、人口の3割がまともに読めなくなってしまったこと、アンチフォニックス派教材が巨大な利権の渦巻く一大市場であること、支持政党とも関係する話であることが暴かれています。

アンチフォニックス派は多少のフォニックスを取り入れた上で、自らを「Balanced Literacy」(バランスド・リテラシー派)と呼ぶようになりました。



話をIDAに戻し、今回は脳科学の話が少なかったのは残念。
IDAの面白さは、現場の教師と脳科学者が対等に議論するところにあるので・・・
来年以降に期待したいです。


◆3日目、フィンランドの大学教授の講演は、内容以上に聴衆の様子が印象的でした。

アフリカの学校向けにフォニックス?のアプリを開発した人だそうですが、

男子のほうが女子よりも字が汚いし、ゲームが好きだし、ゲームが好きすぎて本に向かえなくなっている・・・と話したあたりから、会場が白けてきました。

途中でどんどん人が出て行き、予定時間より早く講演が終わってしまうありさまでした。

この様子から、IDA出席者(白人女性。たぶん多くが教師)の考え方が、少しわかった気がしました。

・教育の場でのテクノロジー利用には案外、否定的です。

・男女の差を明確に示すことには、触れたくない雰囲気を感じました。

・ゲームに対する考え方も、かなり保守的な気がします(これは、日本が進みすぎているのかもしれません)


講演者のメッセージは、個人的には面白く聞きました:

「読めるということは、書き言葉と話し言葉がつながっているということ」

「アフリカには面白い読み物がないから、楽しみのために読む経験がない。その結果、読解力が育たない」

「読解力を育てるためには、能動的な読み、キーワードを見つける能力が必要。面白そうなところを飛ばし読みする経験はその最初の一歩になる」

「自分はアプリを開発してアフリカで採用してもらったが、むしろその国のPISAスコアは下がってしまった。たぶんそのアプリだけで十分だと思われてしまったのだが、それではダメ。娯楽で読む経験も必要」

話せば話すほど会場が白けるのを感じながら、アメリカには英語のあらゆる娯楽的コンテンツが溢れかえっているので、面白い読み物がない状況が想像できないのかもと思いました・・・

また、日本ではディスレクシアの小学生に対し「マンガでかまわない、とにかく活字を読みましょう」と勧められることがありますが、その効果を裏付けていると感じました。