ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2014-10-09

小学生新聞のディスレクシア的活用法

小学生新聞を購読して半年たちました。前回は→こちら

ノンフィクション好み、社会派(?)のディスレクシア児にとって、
小学生新聞は良い素材だと感じています。
うちはフィクションの文章がぴんとこないので(特に私が)、ありがたいです。

小学生新聞はディスレクシアな高学年にも効果的ですが、
もっと早い時期から購読して、読み聞かせに使ってもいいかもしれません。
「字は最後」作戦の一環になるはずです。

うちでの使い方をまとめてみました。

◆1 視写教材として

視写はかれこれ1年半近く、週1回、家庭教師君と続けています。
短期記憶の訓練になっている、と思います。


視写。最初は原文とノートの1行の文字数を合わせていましたが
最近はそこまで厳密にはやらなくなりました。


視写は週1回、10分。


実は、視写の効果は、自分の子よりもコスモ君
(私が英語を教えている浪人生)を見て実感しています。
私の前では一切鉛筆を持たせていなかった彼が先日、
英文を色分けまでしてきれいに写したノートを持って来て
「書いて覚えています」と言ったときには、目が点になりました。

ちなみに彼がしているのは「何度も書いて覚える」ではなく、
「本文を書き写す」、つまり視写です。

文字を書き写すというのは、
各駅停車の速度で文を理解していくようなところがあると思います。
じっくりと深いところに効くと思います。
が、ディスレクシアでもその効果は感じられるんだ・・・とびっくりしました。

ところで、私もハイパーレクシアが行き詰まったどん底期にしていたのは、
ラテン語入門(笑)と、Japan Timesの記事の視写でした。
どちらも、ノートにたくさん字を写しました。
1年ほどで終わりましたが、実は読み方に根底から作用していたのかもしれません・・・?




◆音読+内容確認

視写終了後、全文を音読してもらいます。
実は、書いているときは意味はほとんど頭に入っていないらしいです。
今後の課題です。



視写以外では、小学生新聞は夕食の前に黙読してもらうことが多く、
時間に余裕があれば、音読につきあいます。

音読の方法は、
-全部子供に読んでもらう
-1文ずつ交代で読む
-地の文とセリフで交代
-QとAで交代
などを使います。

新聞のおかげかどうか分かりませんが、6年生に入ってうちの子は
「おれはもう読める。書くのは苦手だけど」
と明言するようになりました。
確かに、音読させてみると、まあ問題なく読めます。
ルビのない文章も、ずいぶん読めるようになりました。

WISC的にも「記号」はそろそろ6歳並みになるはずの昨今、
だんだん「隠れディスレクシア」の特徴にあてはまるようになってきました。

音読そのものは実は内容理解のためには微妙・・・です。
でも、音読で正しく読めていることをチェックしないと、
黙読で正しく読めていると確信することもできず、
そして、黙読の時に正しい音(特に助詞)を頭の中で出すことは、
正しく読むためにはきっと必要なことなので、
その意味で、ディスレクシアに音読はやはり必要だと、今は思っています。




音読の後は、お互いに一言、感想を言い合います。

これが意外とできません。
感想を言語化できれば、作文の苦手もかなり改善すると思うのですが・・・。

この点も、コスモ君と比べてすごく違う部分です。
コスモ君はたった1行の例文でも感想を持ち、物語さえ語れるくらい、
一言一句をビジュアル化し、自分のものにしながら読んでいます。
これはこれで、妄想が激しくて大変そうですが(と本人も言ってます)
ある文章を読み、その感想を語るのは、彼にとってわけないことです。

ディスレクシアも多彩だと感じます。。。




さらに余裕があれば、全体の内容理解を確認します。

「給食で牛乳を廃止する学校が増えている」という記事で
牛乳賛成派vs反対派の意見を色分けしてもらいました。
ガリレオの伝記を読んだので、天動説と地動説の話に広げました。
いい素材が見つかればyoutubeは教材の宝庫ですね。
※向きが変ですみません


実際には、6年生にもなると他にやることも多くて、
ここまで活用できる日は少ないです。



スクラップ

子供の小学校では毎日「自主勉」(=何をしてもいいが、何か提出する)
という宿題が出ます。
そこで、小学生新聞から1つ記事を自分で選んでスクラップさせ、
一言感想を書いてもらっています。
これは音読とは別に、できるだけ自力で取り組んでもらっています。

これが一筋縄でいかず(苦笑)
ディスレクシアは作文も苦手と言いますが、うちも例外ではありません。
なかなか鋭い批評眼を持っている子だと思うのですが、
原稿用紙を前にすると
「○○はすごいと思いました。おわり」
のような、稚拙な文しか書けませんorz

2学期に入り「スクラップの感想で『すごい』は禁止」と言い渡したところ
頭を抱えながら書いています(笑)



感想を書く訓練と同時に、はさみの使い方の訓練にも・・・(苦笑)




まれに、なかなかいいことを書く。ワンピールではなくてワンピースですが


◆朝小と毎小、どちらがディスレクシア・フレンドリーか?

結局うちは朝小と毎小、両方購読しています(!)

両方とっても進○ゼミより安いからまあいいか。。塾代と思えば。。
と、ちょっともったいないと思いつつ両方購読していますが、
ディスレクシアにはそれぞれ一長一短があり、決められません。

子供は毎小のほうが好きです。
理由は、判型が小さい、つまり1記事の分量が少ないから(笑)

しかし、毎小にはたまに、スクラップや音読の素材になる文章がない日があります。
より中学年向きと言えるかもしれません。

この点、朝小は科学的な記事が充実しています。
これらは、特に視写(カタカナが連続するので)や、
内容理解まで掘り下げて使う場合に向いています。

朝小の欠点は、本文も広告も、中学受験に偏りすぎていることです。
大手進学塾の準拠教材かというくらい偏ってます。

30数年前、私は中学受験ワールドに過剰に順応していました。
そこからの解脱に30年近くを要した者としては、
朝小の中学受験を煽るような記事の数々を見ると
「早熟な子をそんなにも強く大人の価値観で縛り上げて、いいことあるの?」
とつい思ってしまいます、、

毎小が科学の記事を充実させてくれれば、
最もディスレクシア・フレンドリーになるのですが。。



5 件のコメント:

  1. 丁寧な学習支援ですね…。なかなかここまでできる家庭は少ないかなと。作文とはさみは大いに叩首。ワンピースのキャラにたとえるところが面白いです。

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  2. こんにちは。我が家も朝小をとっていました。本当に懐かしく、私と同じことをする方がいらしたなんて、ビックリ・・・。小5時期は、宿題は自主勉でしたので、毎日ノートにはりつけ、記事に一言コメントを添えていました。
    今見たら、うちの息子もハサミの使い方がなってませんでしたね(汗)
    中学生の今は、ジュニアエラを購読中です。こちらも読みやすいですよ。

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  3. ありがとうございます!やはり皆さん、はさみは不得意ですか・・・(笑)
    >もんきちママさん
    いえいえ、毎日やっているのはスクラップと音読くらいで後はなかなか。。
    >マンキーさん
    同じこと、なさってましたか!心強いです。
    ジュニアエラ、覚えておきます^^

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  4. もんきちママさんのご意見「なかなかここまでできる家庭は少ない」に同意です。後々お子さんが大人になったとき、もじこさんの愛と汗と涙をじっくりかみしめることと思います。

    書き写し:うちは(ディスクレシアではありませんが)、夏休みに日経新聞の「春秋」の書き写しをやらせてみました。結構大変だったみたいです。内容が若干硬かったかな。私もやってみたのですが、結構、集中力を要しますね。

    こちらのブログを読み始めてから、うちの子の勉強を見るときに、多少のことで叱らなくなりました。うちは算数が苦手なのですが、人には誰でもdys...な部分があるのだ、それが普通なんだと思いながら、じっくり見るようにしています。それでも、人間が未熟なためカッと来てしまうことも多いのですが。

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    1. ?!平社員さん、スカイプで距離も時差も乗り越えていらっしゃるのでしょうか・・・?!えらすぎます!

      春秋とは渋いですね。天声人語よりも説教臭くないですし。小学生新聞の次の視写に使いたいです。



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