ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2015-05-19

村上春樹、LDを告白!

1月から4月末まで、村上春樹がメールで寄せられた読者からの質問に答える
「村上さんのところ」という期間限定サイトがありました。

その更新最終日に、村上春樹が
「自分も少しくらいLDの傾向があったかも」と言っています!




http://www.welluneednt.com/entry/2015/04/30/113300 
私はどうも勉強が苦手です。本を読んだり、講義を聴くことは好きなのですが(これらは知的好奇心を満たしてくれるのでむしろ積極的にします)、机にじっと座って勉強をするということがどうしてもできないのです。というか、学校で勉強の方法って習ったでしょうか?勉強の仕方ってなんなのでしょう。
何個も連なった問1、問2、問3……を眺めていると、くらくらしてきてつい遊んでしまいます。それで親には怒られます。[中略]勉強ってどうすればできるのでしょうか。(ほろほろ、女性、18歳、学生)
…世の中には「学習障害」というものがあります。英語で言うと、Learning Disabilities略してLDです。知的能力はまったく劣っていないんだけど、システマティックな勉学に向いていない。そういう能力が欠如あるいは不足している。そういう傾向のある人に「勉強しろ」ということは、ほとんど拷問に等しいことです。僕にも少しくらいそういう傾向があったかも。好きなことならいくらでもできるんだけど、いやなことにはぜんぜん関心が向かない。そういう傾向は今でもぜんぜん変わっていません。きみはどうなんだろう? 何か好きな勉強はありますか。


やっぱそうか~~~(o・∇・)o

私は前々から、村上春樹の長編を読んでいて
こういう立体的な構造の、通常の枠におさまらない物語が書けるのは
ひょっとしたらディスレクシアだからではないか?と思っていたのです。

ちなみに、『1Q84』ではディスレクシアの美少女が登場します。

1984年に、
「君が言っているのはつまり、いわゆるディスレクシアみたいなことなのかな?」
「ディスレクシア」とふかえりは反復した。「読字障害」「そういわれたことはある。ディス--」(『1Q84 Book 1』p178)
という会話が成立すると考えるのは、ちょっと難があると思うのですが、、


ともあれ、わたくしは
「村上さんはご自身をディスレクシアだと思いますか?」という
あまりにもストレートすぎる質問を、1月中に送らせて頂きました。



「そうだん」がひらがななのが
妙~にディスレクシア的な気が

やっぱりというか、私の質問は採用されなかったのですが、
質問を送ったときに返ってきた自動返信のメールが・・・





(o・∇・)o!!
なんという勢いのない字…!字形がとれてない…!(嬉)
この自動返信メールで、お返事は頂いたようなものです。
これを見て、私の中で村上春樹は勝手にディスレクシア認定されました。

推測ですが、
村上春樹は90年代、米国東海岸の大学に招聘された時に
ディスレクシアというものを知ったのでは…と思っています。
当時は日本ではディスレクシアはまったく知られていなかったはずですが、
アメリカの大学ではすでに研究対象になっていたので。

それにしても、この字と小説のギャップは、何ともディスレクシアです!

そう思ったのは私だけではないようで、こんな質問もありました:
http://www.welluneednt.com/entry/2015/02/19/174000 
村上さん初めまして。
唐突な質問なんですけど、このホームページ上で直筆だと思われる文字が見受けられますが、左手で書かれたのでしょうか? 
(ジョード、男性、40歳、会社員)
  
つたない右手でペンを持って、一生懸命書いています。そんなことを言われるととても傷つきます。にゃあ。
村上春樹拝

この字ですよね↓。左手で書いたのかと言いたくなりますよね。。

もんがまえ、「と」「ま」が特にディスレクシア的です

ここで『1Q84』から、ディスレクシアの字についての描写を:
「字は小さく、硬く角張って、どことなく不自然に見えた。貝殻を集めて、砂浜に書かれた字を、上空から眺めているみたいな感じがあった」(同p471)
この比喩、じわじわ来ます・・・。

~ ~ ~

他にもいくつか、「村上さんのところ」から、
特にディスレクシア的だなと感じた回答を貼っておきます。

実は、2月頃の回答では、
ADHDの質問者に対し、割と普通の(?)答えをしていました:
http://www.welluneednt.com/entry/2015/02/09/073500
はじめまして。理性がつきはじめた頃から、他者と比べて思考が幼いと気付いていました。そして17歳になり、診断された結果、ADHDだとわかりました。ネットでは、私達ADHDはゴミクズだと、生きている価値がないと綴られていることが多々あります。そのネットでの価値観はまったくもって正しいと私は思います。先生ならば、どう思われるのでしょうか……? (ひなた、女性、17歳、無職) 
 すごく平凡な答えになって申し訳ないのですが、時間をかけてその障害(みたいなもの)とつきあっていくしかないと思います。まわりの協力も必要だし、あなた自身の努力も必要だけど、それはじゅうぶん可能だし、やってみる価値はあると思います。もちろん専門医師の指導も大事です。ネットで何が言われているか知りませんが、そんなことは気にしない方がいいと思いますよ。それはあなた自身の大事な問題なんだから。そしてそれを乗り越えられたとき、あなたは普通の(障害みたいなものを持たない)人よりずっと強い、大きな人間になれていると思います。「文豪」と呼ばれている小説家の中にも、実はさまざまな種類の精神的な重荷を抱えた人がけっこうたくさんいます。あなたの健闘を祈ります。


これは、「ディスレクシア」という言葉が出てきた唯一の回答。
http://www.welluneednt.com/entry/2015/03/23/113100 
小学校の先生として、一人でも多く本好きの子供を育てたいという気持ちはとてもよくわかります。本を好きになるというのは素晴らしいことです。ただ世の中にはディスレクシア(識字障害・読字障害)を抱えている人も少なくないし、そういう人たちに強制的に本を読ませるのは、たぶん拷問に等しいことだろうと思います。やはり読書というのは、自発的におこなわれるべき行為ではないでしょうか。ある程度読書を勧めて、でもどうしても本が好きになれないという子供たちには、好きなことをさせておく方が良いと思いますよ。繰り返し言っていることですが、人口全体の5パーセントが本当の本好きであれば、世の中はなんとかなっていくものです。

次は、「昔、何かのエッセイで、「挨拶という字が書けない。練習しなくちゃ」と書かれていたことがあったと思いますが、書けるようになりましたか。」という質問への答え。
ディスレクシア的と言われればそんな気もしますが、書けない人は多いかも…
http://www.welluneednt.com/entry/2015/04/24/113700 
実は「挨拶」、まだ書けません。練習を怠けていました。パソコンで文章を書いていると、書けない漢字って、ぜんぜん書けるようにならないですね。というか、書けた漢字まで書けなくなってくるみたいです。どこかで練習しないと。

おつぎは読書感想文の書き方について。
ディスレクシアの特質である
「一見無関係なものの間に関連性を見つける能力」
を地で行く回答。そして同じ指摘が先日コメント欄でもありました→★
http://www.welluneednt.com/entry/2015/04/24/073100 
よくぞ訊いてくれました。僕は昔から読書感想文を書くのが得意でした。読書感想文を書くコツは、途中でほとんど関係ない話(でもどこかでちょっと本の内容と繋がっている話)を入れることです。それについてあれこれ好きなことを書く。そして最初と最後で、本についてちょろちょろっと具体的に触れる。そうするとなかなか面白い感想文がすらすら書けます。やってみてください。
 僕は高校時代、他の人のかわりに課題の読書感想文を書いてあげて、お礼に昼ご飯をおごってもらっていました。昔から今と同じようなことをしていたんですね。

最後に、当ブログでも一時盛り上がった、ディスレクシアと夢、異界について。
このあたりのことは、非ディスレクシアな私には謎の世界です・・・
「同じ妄想を私もします!」というディスレクシアの人が現れないかな~、
などと思って貼ってみます。
http://www.welluneednt.com/entry/2015/04/09/173000 
物語と空想は似ていますが、ちょっと違います。物語はもともと自分の中にあるものです。それは深いところに鉱脈のようにあります。それが地上にたまたまでてくるのが空想になるのかもしれません。つまり、ごく簡単に言ってしまえば、空想は物語の尻尾のようなものです。子供の頃は物語と空想がかなり近接したところにありますが、大人になってくると、そのふたつはだんだん分離していきます。 小説に即していえば、空想を書いていただけでは小説になりません。自分の中にある物語を深いところから掘り起こして来なくてはなりません。ゼペットじいさんが木の塊の中からピノキオを見つけ出すみたいに。つまりゼペットじいさんはピノキオを作ったのではなく、見つけ出したのです。だからこそピノキオは生命を持つことができたのです。 
http://www.welluneednt.com/entry/2015/03/09/11300 
僕が小説を書くときに訪れる場所は、僕自身の内部に存在している場所です。それをとりあえず「異界」と呼ぶこともあります。それは現実に僕が生きているこの地表の世界とは、また別な世界です。普通の人は夢を見るときに、しばしばそこを訪れます。僕は――というか物語を語るものはと言ってもいいのでしょうが――そこを目覚めた意識のまま訪れます。そしてその世界について描写します。だからそれは外部にある「異界」ではありません。あくまで内的な「異界」です。異界という言い方が誤解を招くなら、率直に「深層意識」と言ってもいいかもしれません(ちょっとだけ違うんですが)。どうすればそこにアクセスできるか? 僕にはわかりません。瞑想の訓練みたいなものである程度可能になるかもしれませんが、妙な思想が絡んでくると危険なこともありますので、くれぐれも気をつけてくださいね。マジックにはホワイト・マジックとブラック・マジックがあります。違いに留意してください。 
http://www.welluneednt.com/entry/2015/02/15/203600 
夢の続きを見るというのは不思議な体験ですね。たぶんあなたは夢とのコミットメントが深い方なのでしょう。僕はあまり夢を見ることはありませんし、見たとしても大方の場合、本当に断片的なことしか記憶していません。ただ小説を書くというのは、夢を記述する行為に似ていると思います。違いは、小説家は眠っているときにではなく、目覚めているときに、意図的に夢を見るということと、その続きをいつでも自由に見られるということです。けっこう楽しいですよ。  
http://www.welluneednt.com/entry/2015/02/14/113100 
妄想、しょっちゅうしているかも(笑)。というか、妄想することが僕の仕事の一部です。妄想というのは、頭の中で自分を仮説に巻き込んでいくことです。つまり「自分がこうあるかもしれない姿」をどんどん追求していく。そしてその追求はどんどんあらぬ方向に突き進んでいってしまいます。僕は言うなれば、そういう知的探求(知的なんだろうな?)を仕事にしています。そしてそれは君の勉強を妨げている。困りましたね。僕としては「勉強なんてまあいいじゃない。ここはしっかり妄想しようよ」と言いたいところなんだけど、まあそうもいかないし。今のところはがんばって勉強してください。 

2015-05-13

第1回英単語テスト

たいへん間があいてしまい、申し訳ありません・・・
4月に入ってから、やらなければならないことが妙に増えてしまい・・・
色々教えて下さる皆様、本当にありがたく拝見しています+申し訳ありません。
ぼちぼち返事しますので、これに懲りず、今後もどうか色々教えて下さい。

☆  ☆  ☆

子は、通学時間小一時間の中学に、おかげさまで楽しく通っています。
小学校ではサッカー少年でしたが、中学ではバスケ部に入りました。


さて。
学校で英語の授業が始まって1ヶ月がたち、
うちの子にも、きっちりと、中1ショックの第一波がやってきました。
今回は、第1回単語テストまでの顛末と進め方を書いておきます。

(中1ショックについては、前記事にも有益なコメントがたくさんありますので、
どうぞご覧下さい。→★
わたくしの多忙期間中、中1ショックというこの大事な話について
話題を提供して下さったみなさま、本当にありがとうございます)

~ ~ ~

子の学校では、英語は独自教材を使っています。
これが、かなり一足飛びな構成といいますか。
内部進学組(クラスの半分)は小1から週2時間、英語の授業を受けています。
そんな、かなり英語を知っている子を主な対象に、
文法用語で英語のしくみを確認するような教科書です。
英語がまったく初めての子には、正直、かなりハードな内容です・・・

一応、フォニックスのページ(=アルファベットの各音をどう読むか)
も最初にあるのですが、アナリティック・フォニックスで
(f:fat、fix、friend、foxと羅列。つまり、なぜか単語が読めることが前提)
それも授業1回でさらっと扱っただけで、ちょっと残念でした。

#つい最近読んだものに、
#ディスレクシア英語学習におけるフォニックスは
#「ついでに適当に」(opportunistically)ではなく、
#「体系的に」(systematically)教えることがきわめて重要、とありました。
#ここをきっちりやることは(ディスレクシアなら特に)
#後々とても効いてくると思うのですが・・・

~ ~ ~

入学式の翌週には、担任の先生に面談を申し込み、
ディスレクシアという言葉を使わずに、いろいろお願いしてきました:

「彼は音と字の結びつきが弱いことが心理検査でも分かっている。
小学校では、板書や書き取りでとても苦労してきた。
英語ではさらに苦労しており、本人は真面目にやっているが疲れやすい。
そのことが授業態度に表れるだろうが、どうか見逃してやってほしい。
字を覚え、正しく書くのに、身体的苦痛を感じるレベルで苦労している。
家庭学習でサポートするので、どうか悪筆を大目に見てほしい」

担任の先生はディスレクシアについては知らなさそうでしたが、
翌日から、英語の先生から直接、メールで
「いつもご協力をありがとうございます」の言葉とともに
宿題の範囲が送られてくるようになりました∑( ̄0 ̄;

そういうことなら、全力で協力させて頂きましょう( ̄ー ̄)

~ ~ ~

ご指摘があった通り(バーバモジャさん、てぷさん、ありがとうございます~)

1)音、2)意味、3)読み、4)書き
の順で、うちも進めていきました。


裏の日本語は、本人に書かせました。
カードにしたのは、道村式でおなじみでもありますし、
余計な情報を見せないためでもあります。

その前に・・・
独自教材が、Lesson 1から、I am tall/I am a boyという
be動詞を使った2パターンの文が出てきてしまうので
最初に以下を教えました。
(正確には、例文を間違って言ったときに指摘し、最後にまとめました)

・名詞・動詞・形容詞とは何か。
 名詞=ものの名前(dogとかboyとか)、
 動詞=名詞がすること(runとか)
 形容詞=名詞を形容する、つまりその様子(smallとかstrongとか)
・ものの名前を固有名詞という。
 固有名詞は大文字で始め、aやtheはいらない
・名詞にはaかtheがつく(英語で一番難しいポイント)が、形容詞にはいらない
・記号の名前 ,(コンマ) .(ピリオド)、'(アポストロフィ)


1)音
busyという単語を見せながら、
busyを含んだ例文(教科書の例文をアレンジ)を聞かせ、言わせます。
・I am busy, you are busy.
・Are you busy? Yes, I am./No, I'm not.

これを、テスト範囲の20個の単語について、まとめて行います。

ディスレクシアは全体から細部に入るので、
busyを教えるのにも、busy単独でなく、例文に入れるのがポイントかと。

1回ではまず覚えられないので(これは非ディスレクシアでも同じ)
4~5回繰り返して言ってあげます。
一晩寝ると、記憶に定着していることもけっこうあります。


2)意味
音と意味は同時に入れていきます。
うちの場合、現段階では、ここが一番苦労のない部分です。

この段階で、20個分の英→日、日→英の意味を、音だけで確認します。

3)読み
>ディスレクシアは書いて英文の練習ではなく、
文がスラスラ読めて、意味がわかってから書きに挑戦、の順序です。
→★

ほんとそう思います!
音と意味が結びついたら、さりげなく読みに移行しました。
つまりbusyというカードを見せながら、「自分で言ってごらん」と、
I am busyを言わせてみました。

ここではあまり構えず、busyという音を覚えた頃合いを見て、
「じゃあ読んでごらん」と軽くのせるのがよい気がします。



そうしてGW後・・・・
20個の単語を反復し、読みはスラスラできるようにして、単語テストに臨みました。

が!!!(゜◇゜) やられた~~!!

恥を忍んでお見せしましょう!!


書きをまったくやらずに臨むとこうなります。
3人称を教えるのを忘れてました

いや~、まさか日本語を出題して英語を書かせる形式とは・・・

書いたところはみごとに、フォニックス綴りなのです。
だから私は「これは良い間違い!これまでの勉強がちゃんとできてる」
とほめました(笑)

4)書き
週明けに全員リベンジテストがあるというので、書きに挑戦しました。
これは本当に大変です。
1)音、2)意味、3)読みを全部足した以上の手間と時間がかかります。

ディスレクシアが何かを覚えるには反復が大事、
でも、決して疲れさせたり、追い込んだりしてはならない…

となると、一日何回も、こまめに反復するのがよさそうです。
というわけで、私はカードを持ち歩き、
1時間に1回、「はい単語テストタイム~」と、3個ずつ教えていきました。
1回など、外出先から電話までしました(笑)
おそろしいほど手間がかかります。。。。

今回の出題範囲は、ほとんどがフォニックスルールに従わない綴りなので、
語呂合わせもたくさん使いました。
(busが忙しそうに走るとbusy、キンドと書いてkind、とか)

また、ジョリーの42音の先のフォニックスルールも、その都度教えてみました。
(語末の/i/はほぼ必ず「y」と書く、など)
この部分では、松香式も役に立ちそうです。

これで週明けには、15個くらいは書けるようになりました。

リベンジテストの結果は土曜に返ってきます・・・

☆  ☆  ☆

それにしても・・・以下、やや脱線ですが、

この調子で音-文字対応の定着をまたずにどんどん進んでいってしまうと、
非ディスレクシアの子は、3)読み、4)書き だけをクリアし、
1)音、2)読み をマスターしないケースが出てくるでしょう。
漢字のように、「音にはできないけど意味はわかる」という状態てす。
現に、私が教える予備校でも、単語テストをすると
正しく書けるけど、ひとつも正しく発音できないという、
かわいそうなケースはたくさんあります。

最初に覚えるときに正しい音を覚えられなければ、
それを正しく会話で使うのは非常に難しくなります。
(矯正はできますが、間違って覚えたものを正しく覚え直すのは
最初に正しく覚えるのよりも、かなり大変なことです。)

日本の英語教育の問題点は、中1の最初から始まる
「音を軽視せざるを得ない学習方式」にあるんだなと、改めて実感しました。

できることからできないことへ進んでいく関係上、
ディスレクシアだと、1)音 を入れてから、3)読み に移行しないとならないので
正しい音を覚えるステップを抜かすことができません。
だから、最初の段階では手間も時間もかかりますが、
最終的には、書けるものは原則として正しく発音できる、
ひいては通じる英語につながる気がします。
(コスモ君も、知っている単語はどこまでも正しく発音できました)。

非ディスレクシアの子も、ディスレクシアの子のような手間をかけて
正しい音を入れればいいのかも・・・

~ ~ ~

初回の単語テストでは、派手にやらかしてしまいましたが、
子は、ショックを受けていません(!)
その理由は:

1) 本人が覚悟を決めている。
自分は字が苦手である、自分にあった勉強方法はとても時間がかかる、
でもそれで進めれば大丈夫、そのためにこの中学に入ったんだと、
腹をくくっています。
(とはいえ、授業自体はディスレクシア・フレンドリーではないのですが。)

2) それなりに手応えを感じているらしい。
一応、こちらの試行錯誤に、本人も手応えを感じているようです。
1つ覚えるたびに「俺って天才じゃん?」と言ってます(苦笑)

3) ランクや偏差値や内申を使って脅す人がいない。
テストの点数がそれ以上のことを意味しません。この学校のありがたい点です。
満点の子も何人かいたそうですが、「すごいよね~」でおしまい。
自分は1点だから劣った人間だとか、お先真っ暗とか、順位が下がるとか、
そういう発想には(今のところ)ならないようです。
だから、点数が悪くても、単に「リベンジテストを頑張ろう」という気になれます。

そして、これを書くか、迷うところですが・・・

4) 自分と同じ特性を持つ同級生がクラスにいる。それも何人も。
本人がそう言っています。
そして、これが一番大きい気がします。

実は私も、学校説明会で展示されていた絵や木工が
自分の出身中学(ガリ勉女子校)とは大違いの、ありえないうまさだったので
「選りすぐりとはいえこんなにうまいなら、もしや・・・」と思ったのでした。
詳しくは書きませんが、入学後に見ることのできた文字の掲示からしても、
その予想はあたっていたようです。

2015-04-16

ジョリーで中1ショックへの備えはどこまで出来たか?

皆様、いろいろ教えて下さり、本当にありがとうございます。
おかげさまで子は中学生になり、先週は入学式と保護者会がありました。

子は制服も生徒手帳もない、とことん自由な学校に入りました。
入学式の時、「この学校は、日本が戦争に向かっていく時代、
教えられたことだけきちんとできる人を育てる学校が中心だった頃に、
自分の頭で考える子供を育てたいとの思いから出来た学校です」
との話がありました。
単なるのびのびではない、筋金入りの(?!)自由です。

保護者会で学年主任の先生から「自由」について説明がありました。
ディスレクシア・ジャーニー的に心に響く内容だったので、紹介します:
この学校の「自由」とは、自分らしくそこに存在するということ。
自分らしく在るなかで出てきた考えを、自分で信頼できるということ。
自分の考えを自分で信頼するには、
他者にありのままの自分を受け入れてもらう経験が不可欠。
なぜなら、人間とは他者とともに生きるものだから。 
教室には、さまざまな個性や考え方を持つ子がいる。
そんな異質な子たちが、互いに信頼しあうなかで、
議論しながら導いた知識は、一生忘れられないものになる。
そんな「異質の協働」が目標である。

(ノД`)ここでなら自己肯定感が育まれると思いたいです。


しかし!!!!
英語の教科書は、最初から字が読めることが前提かというくらい、
例外読みの単語がバンバン出てきます(校内自作の教科書です)
やはりそうきましたか・・・


~ ~ ~

前置きが長くなりましたが、
小5の夏休み終わりにジョリーフォニックスを始めてから
英語学習がどこまで進んだか、書いておきます。
長いですが、どなたかの参考になれば幸いです。

先に結論を申しますと、
「実質1年強、ジョリーで英語の文字-音対応を勉強して、
中学英語の最初の1ヶ月分の貯金ができた」

小6の夏休みから1月末までは国語と算数に集中していました。
なので以下は、小5の2・3学期、小6の1学期、小6の3月の学習成果です。
受験がなかったらもうちょっと貯金ができたと思うのですが、仕方がないですね、、

☆  ☆  ☆

・ ジョリーのかなめである、基本の42の音文字対応は、
小5の2学期で、ひととおり終わらせることができました。
(非ディスレクシアならもっと早いと思います。まあこんなものでしょう)
使ったものは、エクストラの本★とペン、フラッシュカード、ホワイトボードです。
うちは使ってませんが、iPhone用アプリ★も役に立つと思います。


音と文字の対応を教えたこと(シンセティック・フォニックス)は、
ディスレクシアにとって非常に、非常~に効果があると断言できます。
「他の方法では入らなかったものがこれなら入った」というのもそうですし、
今後も困難が続く英語学習を、少し進めやすくする土台ができました。

そんななかでもジョリーは、相当ディスレクシア・フレンドリーである
ことも実感してます。

例えば、ジョリーの特徴のひとつであるアクション。
今は、読み間違えたりしたとき「この音だよ」と伝えたい時に使います。
字を示すよりも、ディスレクシア的には分かりやすいです。

ダイグラフ(2文字で1音)を早くに教えるのも、良いことだと感じます。
ただし、子音はOKですが、母音は半分程度しか定着していません。


ジョリー学習中は、それなりに正しい発音にもこだわりました※。
さる方から指摘を受けてのことでしたが、そうしてよかったと思います。
ここがいいかげんだと、あとあと似た音の字を混同する気がします。
(※「まるでネイティブ」ではなく、aとu、lとrなどが弁別される程度に)

~ ~ ~

・小5の3学期は、
二重母音の定着がいまいちなのを承知の上で、赤い本に進みました。
この時点で、まだ書く練習はほぼ全くしていません。


赤い本は、読めたというより、暗記したという感じかも・・・
英語のリズムと単語が入ったかな、という感じです。
あと、theやinto、beやweなどのtricky wordsは、このときに多少覚えました。

今見ると、この本はフォニックスのルール通りの単語をできるだけ使うようにしているので、かなりディスレクシア・フレンドリーだと思いますが、当時は「普段英語で生活していない子が、いきなりこの本に進むのは、ちょっとハードルが高いかな・・・」と思ったりもしました。
後に書くBBカードを先にはさんでも、いいかもしれません。

この頃は、自分の手で字を書いてもらう代わりに、フラッシュカードや字のマグネットでスペルしてもらう練習を、よくやりました。


・小6になったら、週1回程度、文字を書いてもらいました。



文字を書くのは、それまでの学習よりも、段違いに苦しい作業です。
1回10分がせいぜいです。

絵を見て英単語を言う、音を聞いて絵を選ぶことはできますが、
音を聞いて字を書かせる(ディクテーション)は、かなり大変でした。
これは今でもそうです。

ブレンディング、セグメンティングとも、この時点ではまだまだでした。



・夏休みには、行の中に字を書くことにも挑戦しました。

1行書くたびに、ぐったりしていました。

~ ~ ~

・小6の2月下旬、半年ぶりに英語を再開。

ブランクにもかかわらず、ジョリーの音文字対応は忘れていませんでした。


ディスレクシアは、prosody(語やフレーズのリズム)は分かるが
phoneme(音素)の認識が弱いとの指摘がありました→★
ならば語のフレーズやリズムから音韻認識に攻め込んでみようと思い、
村上加代子先生のブログで紹介されていたBBカード→★に取り組みました。

BBカード


BBカードは、「Betty Botter bought some butter」のような、
特定の音がたくさん入った(上の場合はb)
リズミカルな暗誦用フレーズ、64枚から構成されています。
これを1日1枚暗記することにしました。

このカードは、子供に合わせてさまざまな使い方ができます。
ジョリーのBook 1の次のステップ(赤い本に行く前か同時に)お勧めです。


うちの場合、このカードは、英語のリズムを体得することと、
基本的なブレンディングができるようになることを、目標にしました。

うちの進め方は・・・

0)これまで覚えたフレーズの復習。フラッシュカードのようにカードを使う。

1) 新しいカードに進む。
初見で、カードに書かれたいくつかの単語(フォニックスの規則通りのもの)をこちらが指し、読んでもらう。

2)フレーズ全体を読む。
できれば自力で初見で読ませたいのですが、できないので、
こちらが読み上げるのを、まねしてもらいます。
この段階で、意味も教えます。

1回目は、リズムは大変良いですが、細部はぼんやりしか言えません。
(上のフレーズなら、「べったべったべったべった」。)

それを、バランスボールで跳ねたり、ラップ調の動きを加えたり、
「せっせっせ~のよいよいよい」の動きに合わせたり、
早口遅口、芝居がかった口調をとりまぜたり、(全部大まじめです)
50~70回くらい言って、細部をだんだん詰めていきます。

3)完全に暗誦できたら、その日はおしまい。
たいていは、途中休憩を入れて10分言い続ければ細部まで言えるようになり、
一晩寝れば完全に定着します。

日常会話の流れのなかで、時々抜き打ちテストします(笑)。



BBカードは、フォニックスのルール通りの単語が中心であるのに加え、
フレーズがリズム良く作られているのが、ディスレクシアに優しいです。
絵札やCDもあるので、上の方法以外のいろんな使い方ができそうです。


「英語のフレーズはすべてが拍に乗っている」というのは
昨年の冬、山下先生のJolly Musicのセミナーで学んだことでした。

たしかに、すべての英語のフレーズは拍に乗っています!
theやaは拍の前の16分音符のようなリズムで言わないと、通じません。

こうした英語のリズムは、
日本の英語教育が通じる英語のために欠いているミッシングリンクだと思います。

でも、ディスレクシア的には、ミッシングリンクだからという以上に、
リズムを使ってはじめてフレーズが暗記できるから・・・という、
切実な理由があります。


また、「全体から細部へ」のアプローチを好むディスレクシアにとっては、
学校で文法が出てくる前にある程度のフレーズが入っていれば、
細かい文法を理解する助けになるのでは・・・という目論見があります。

この予想が当たっているかどうかは、今後見ていきたいです。

リズムを意識しながら、半分弱ほどのカードを覚えたところで、
中学入学になりました。

~ ~ ~

初めて英語の授業の前日、「英語の字を書いてごらん」と言ってみました。
すると、小3以来教えていないはずのアルファベットを、大文字で書きました!

ジョリーを始めてからは、教えに従いアルファベット順は封印していましたし、
大文字もまだ教えていなかったのですが。。
(ただし、アルファベットの歌は小3でyoutubeを見て耳で覚えました)


小文字の i が出てこない

「どこで覚えたの?」と聞くと「ゲーム、キーボード、セカオワでいつの間に」。
この子に限って、字の分野で「いつの間に」があるとは・・・(T T)

子は、妖怪ウォッチのコードを書き換えることに一時はまっていて、
改造コードを書きたい一心でキーボードとアルファベットを覚えたようです。
よく分からないですが、妖怪ウォッチとセカオワにお礼が言いたいです(笑)


小3でローマ字が出てきた時は、L・M・Nがどうしても覚えられず、
そこから先が崩壊していました。
それを思うと、アルファベットが書けるようになるまで1年以上かかった
といっても過言ではありません。

もう一つ、大きく進歩したのが、ブレンディングです。
1ヶ月前はいまいちでしたが、教科書を使って試したところ、
1音節でフォニックスのルール通りの語なら、言うことも書くこともできます。
ジョリーを土台にして、BBカードで練習したのが、よかったようです。


例外的なもの、3音節以上になると、あやしいです。
少し書くと、胸をかきむしってもだえ苦しんでます。
あと、bとdは7割以上の確率で、いまも間違えます。

~ ~ ~

ここまでで分かった、ディスレクシア的英語学習の第一歩の軌跡:

・ ディスレクシアが英語の音-文字対応を習得するのは、
非ディスレクシアよりはるかに時間がかかる(10倍は見ていいかと)

・ でも、スモールステップで、毎日短時間のポジティブな反復を続ければ、
ディスレクシアでも読めるようになる

・ 好きなことができると、それを読みたいというモチベーションで習得できる

・ 意外なところを短期間でクリアしたり、逆に足踏みしたりする



おそらくここから先は、学校のテキストの予習と反復・反復・反復・反復・・・
になるだろうと思います。
いよいよ中1ショックを迎え撃つ時がやってまいりました!!

2015-04-15

聴覚過敏対策その2:トマティス

聴覚過敏対策として、(1)でノイズキャンセリングヘッドホンを紹介しました。
わたくしが実体験からお勧めできる聴覚過敏対策は、トマティスです。

私は子供とともに、昨年の夏にトマティスの聴覚トレーニングを受けました。
その影響が、少なくとも私にとってはあまりに大きくて、
逆になかなか書けずにいました。
良い機会なので、まとめてみました。



「トマティスのトレーニング」とは、特殊加工した音楽を聴くことで聴く力を整え、
それによってディスレクシアや発達障害を改善するプログラムです。
詳しくはこちら→★

(以下の記事は、リンク先とは何ら関係のない、もじこの個人的意見です)


聴く力を整えることでなんでディスレクシアが?って感じですよね。
「聴く」と「読む」ひいては「書く」がつながっていると考えるのがトマティスです。

機器を借りてきて、特殊なヘッドホンを使って家で聴きます。
1回2時間×15回を2セット。
うちでは昨年の夏、子供と私が一日交代で、夜寝るときに聴きました。
子供は平気でしたが、私はけっこう寝不足になる感じがありました。


私はこれを受けて、
・体幹ができた
4日目くらいに、それまでずっとできなかったヨガの「ボートのポーズ」が
できるようになりました。
体幹ができたのです!これはうれしい変化でした。

そして、
・自分の声を落ち着いて聞けるようになった。

どうやら、トマティスによって聴く力を整えると、
自分の声がよく聞こえる(というか客観的に聞こえる)ようになるのです。

そうすると、あわあわしなくなるし、会話の間(ま)が怖くなくなるので
授業でもだいぶ落ち着いて話せるようになりましたし
1対1でも、相手の話を落ち着いて聞いてから、返せるようになりました。

このあたりは私のADHD的気質の改善に大きく効いたと感じてます。
以前は、相手の話に割り込んで話の腰を折ってしまったり、
生徒に言わせるべき答えを自分が言っちゃったりして、
「ああまたやっちゃった・・・」と自己嫌悪に陥ることが多かったのですが。
トマティス後、一番変わったのは、それが(ほぼ)皆無になったことです。

また、自分の声が客観的に聴けるようになると、
もっと届く声にするにはどうしたらいいだろうと考えるようにもなりましたし、
自分の発音が舌足らずなことも、自分で聴いていて分かるようになりました。
(それで、今週から歯列矯正をすることにしました(!!))

とにかく、60時間のコースを受けただけで、
その後もずっと、変化が変化を呼ぶ感じなのです。

子供はといえば、本人は明確な効果を自覚していないのですが、
その後、視写や計算などを比較的スムーズに進めることができたので、
おそらく効果はあったと思います。


私の実感としては、トマティスは聴く力を整える効果があるので、
聴覚過敏の人、特定の周波数が聞こえない自覚のある人、
そして落ち着きがない人(落ち着いて人の話が聞けない人)は、
特に変化を自覚しやすいと思います。
お値段は張りますが、かなり奥深いところから変わります。

☆  ☆  ☆

トマティスを初めて知ったのは、
私が教えている通訳翻訳者養成学校で行われた
トマティスの講師による発音改善講座がきっかけでした→★

米語・英語・日本語のパスバンド(周波数帯)の違いに着目し、
日本語になく英語・米語だけにある周波数のヒアリング力を高めることで、
スピーキング力も高まる、という内容です。
私はこのときは受けなかったのですが、
知り合いで何人か、これを試してリスニング力や発音が良くなったと言っている人がいます。


その後、トマティスは発達障害にも効くと知り、
まず2時間の入門講座に行ってきました→★
(そこでの話はいろいろ衝撃的だったのですが、また別の機会に)

そこで買った「耳と聲」という、トマティスの思想をまとめた小冊子の内容が
私が翻訳者として思うことや、ヨガで言われていることと重なる部分が多く
とても腑に落ちたので(一部の内容をこちらで読めます→★)
これがディスレクシアに効くと言っているのは正しいに違いない、
と思って、トマティス発達障害コースを親子で試したのでした。

☆  ☆  ☆

ところで、「トマティス」とは、発達障害や発音に効く聴覚改善アプローチの名称であると同時に、そのアプローチの開発者であるフランス人、アルフレッド・A・トマティス博士の名前でもあります。

トマティス博士はこのメソッドを、まず声楽者用に編み出したようですが、
早くからディスレクシアにも関心があり、
その名も「Education and Dyslexia」(教育とディスレクシア)という本も書いています。

これがなんと1972年刊!だのに、哲学書っぽいこともあり、
その内容は今も古さを感じさせません。
(裏を返せば、ディスレクシアとはそれだけ分かりにくいものなのでしょう)
邦訳はなく、英語版も絶版で、アメリカのアマゾンで中古で手に入れました。

この本が全貌がつかめない奥深さでして・・・
まだ途中までしか読んでいないのですが、気になった部分を訳してみます:



p16
ディスレクシアという状態は、文字が初めて登場して以来存在していたし、おそらく文字が登場する前から存在していたことは疑いない。それどころか、我々が現在知っている通り、ディスレクシアは文字によって引き起こされるのではなく、文字によって浮き彫りにされるに過ぎないのだ。

p56
本書の関心は、「ディスレクシア」という名称で知られるに至ったものが聞きの障害だという点にある。

p59
古来、ラテン語のlegereは「収穫する」「耳から集める」を意味したが、そこから発展して「読む」ことのみを意味するようになっても「声に出して読む、音読する」という意味合いを持っていた。ギリシャ語のlexisは「話す」を意味することから、duslectos(ディスレクシア)は「話すことの障害」という意味であることがよりくっきりと明らかにされる。・・・古来、「読む」という行為は、パピルスを膝に置いた読み手が、その人を取り囲む聞き手たちの耳を、ことばで満たす行為だったのだ。lecture(講義)という語に、このイメージは忠実に残っている。

→トマティス博士は、「読む」=「文字を音にして理解する」ことだと、しつこく主張します。
誰かに読み聞かせしてもらう場合も(朗読)、
自分のために声に出して読む場合も(音読)、
そして、黙ってひとりで読む場合も(黙読)、
文字は必ず音に転換されなければ理解出来ないのです。
そして、文字を見ても脳内で音を鳴らすことができない
(または遅い)のが、ディスレクシアなのです。
ただし、トマティスは言っていませんが…  
漢字は世界でもまれな、「音にしなくても理解出来る文字」です。
そのことが、日本では隠れディスレクシアを多く生んでいます。 
また、ディスレクシアのタイプはいろいろでしょう。
ここに来られる人の話を総合すると、
音声言語はそれはそれで分かるが、文字を見ても「?」という人がいる一方、視覚的記憶力が非常に優れていて、絵として字を理解しようとするが、それを音にはできないというディスレクシアもいるようです。


p75
つまりディスレクシアとは、「書き言葉をめぐるハンディキャップを抱えた人」というにはとどまらない。むろん主訴はそうだが。むしろ、laterality(耳に由来する左右の感覚?)と聴く力が十分に構造化されていない人でもあるのだ。この一方または両方が欠落していると、子供は読むという行為を簡単にこなせなくなる。

→lateralityはトマティス理論のキーワードのようですが、
いまいち何のことか腑に落ちていません。
でも、当ブログに寄せられるディスレクシア感覚から考えるに、
左右の感覚と関係している気がします。 
左右感覚が欠落しているのがディスレクシアであり、
また、トマティスメソッドは左右感覚を整えるものなのだろうと思います。

私の中でトマティスの影響はまだまだ続いています! 

聴覚過敏対策その1:ノイズキャンセリングヘッドホン

rinaさんのコメント→★に、メールでコメントを頂きました。
ありがとうございます!


~~~

4月10日のもじこさんのブログにrinaさんがコメントされたものを拝見しまして、共感する部分がありました。
ブログの方にコメントさせて頂くかどうか迷いましたが、うまくまとめられず、
怪しい商品説明のようになってしまいましたので、こちらに記載させて頂きます。
もしよろしければ、こんな情報もある、ということで、役立ちそうな部分をrinaさんにお伝え頂ければ、と思います。

もじこさんも既にアドバイスされているかもしれませんが、
聴覚過敏にはノイズキャンセルヘッドホン、ノイズキャンセルイヤホン等を使って、物理的に音をシャットダウンする対応策もあります。


特定の波長のみをカットするので、人の声は聞こえます。
波長によってはカットされない音もありますが、私の経験上では、低周波、高周波の雑音がカットされるだけでもかなり楽になります。

私にも聴覚過敏があるようで、雑踏の中で待ち合わせなどすると心拍数が上がり、苦しくなることがあります
(rinaさんの言う、その場にいることが辛い、と言う状態です)。
そういった時でも、ノイズキャンセルイヤホンを使用すると、次第に落ち着いてきます。
私はBOSEのノイズキャンセルイヤホンを使用しています。
ヘッドホンのように見た目が大げさではないので気に入っています。
以前は電車通勤後に毎朝頭痛がしていましたが、こちらを通勤時に使うようになってからは頭痛の頻度が劇的に減りました。



また、娘のディスレクシア仲間(小中学生)には程度の差はありますが聴覚過敏の子が多く、
日常的にノイズキャンセルヘッドホンを使用している子も複数います。
ノイズキャンセルヘッドホンを使用することで教室内に入れるようになり、
授業をみんなと一緒に受けられるようになった子もいます。
以前娘は学校に許可をもらい、ノイズキャンセルヘッドホンを授業中に使用させて頂いていました。
(以前よりも聴覚過敏が低減したのか、最近はあまり使用していないようです。)
低音だけのカットでよければ、4000円ほどの商品(キングジム デジタル耳栓)もあります。
アマゾンのレビューには、聴覚過敏で使用した方の感想なども書いてありました。
もし、大学での授業中などにノイズキャンセルヘッドホン・イヤホン等を使用したい際には、
予め保健室や学生支援室?(大学によって呼び名は違うかもしれませんが、学生をサポートする部署があると思います)
の先生に現状での困難さと使用の許可について相談し、
授業を受ける科目の先生方に周知してもらうと言った手順を踏むと、スムーズに理解が進むのでは、と思います。

rinaさんのコメントを読んで、辛さ、困難さが伝わってきました。
少しでもお役に立てれば、と思います。



☆  ☆  ☆

以上です~。ありがとうございます!


子供の小学校の運動会で、
耳をふさいで泣きながら「殺してやる~!」と悪態をついていた
特別支援クラスの子がいたのを思い出しました。
その言葉の激しさに、周りの子たちも見て見ぬふりをしていましたが
今思えば、あれは聴覚過敏でしたね、、運動会はさぞつらかったことでしょう。
「これ使いなよ」とデジタル耳栓を出せる大人になりたいと思いました(ノД`)

2015-03-30

コスモの合格体験記(3)

コスモ君合格体験記の最終回です。
多くの反響を頂き、ありがとうございます。順次お返事いたします。
ディスレクシア英語指導に生かしていきます。

今回は、合格後や指導時に聞いた、印象深い言葉を書いておきます。

その(1)はこちら→★
その(2)はこちら→★

~  ~  ~

①「情報が転回する」
コスモが直接ここに合格体験記を書いてくれることはありません。
思いを文章にするのが非常に困難なタイプのディスレクシアなのです。

一応話を振ってみたところ、頭を押さえて
「情報が転回する…」と言っていました。
「テンカイって何?」とつい聞いてしまいました。
「頭の中に言葉の断片がぐるぐるしてて、順序よく並べることができない」
という意味のようです。

字がまずまず書けるようになったディスレクシアにとっての
次の課題は「文章を書く」ことだと、つくづく感じます。
(うちの子も、卒業文集ではとても苦労しました)
誤字脱字もですが、脳内映像を線形的な言語に構成するのが課題のようです。
「脳に内視鏡のようなものをさして、頭の中にあるものを壁に写し出したい」
的なことも言っています。


ただ、文章を書くことは非ディスレクシアも意識的に学ぶ技術なので
ディスレクシアでも訓練によってある程度は書けるようになる気がします。
(文章を書くことを仕事にしているディスレクシアもけっこう多いです。
ストーリーテリングが得意なタイプのディスレクシアです)

人にもよるのでしょうが、短期的なディスレクシア作文対策としては
・マインドマップ
・断章を付箋に書いて並べ替える
・聞き書き(指導者がディスレクシアの子に質問を投げかけ、話し合いながら論点を整理する。それをもとに作文内容をふくらませていく)、
・添削を受けては書き直す
・・・あたりが有効だろうと推測しています。

長期的には、読み聞かせや読書といったインプットが大事だろうと思います。
「自分がディスレクシアでも日本語の読み書きには困難を感じないのは、幼い頃に読み聞かせをたくさんしてもらったから」という意見も頂きました。

ついでに、書くことに関連して、
大学に入っても、定期試験さらには履歴書で直筆が要求されるので
高校時代ほどでないにせよ、手で字を書くことは意識して続けたほうがいいようです。


②「考えずに感じようよ!(怒)」
「文章を書くのが苦手」の話をしていた時に出た衝撃発言。
音楽を鑑賞し、その感想を書かされるのは、ほんとにムカつく。
感じるだけでいいじゃないか、
なぜわざわざ言葉にして書かなければならないのかと。


ヨガ教室で毎回言われる「考えるのをお休みして、ただ感じて下さい」
哲学者ヴィトゲンシュタインの有名な言葉
「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」
と重なります。

一方、いかにムカついたのかを熱く語ったコスモ君を見ていると、
とっかかりがあれば、どば~っと言葉が続くようにも見えます。
その力を作文対策に生かせないだろうか…とも思います。


③「最低限の定理しか覚えない」
数学や物理の定理は、最低限のもの(例:加法定理)だけ覚え、
そこから導き出せる定理は覚えることをあえて放棄して、
いちいち導き出しているそうです。

だから解くのにものすごく時間がかかってしまいますが、
ある意味、原理をより深く理解しているとも言えます。

どれが最低限かは、個別塾の講師が教えてくれたようです。
微に入り細を穿って説明してくれましたが、途中からついていけず(笑)


④「落ち込んどるわ(怒)」
次の発言により炎上しないといいのですが…と前置きした上で、
私の観察するところでは、
一部のディスレクシアの人が過集中したり疲れたりした時の様子は、
人を小バカにしているように見える場合がある気がします。
疲れると怒っているように見えたり(←うちの子)
ぽろっと答えたことが、人を食ったような物言いと捉えられたり・・・

コスモ君とはこの話でかなり盛り上がりました。
「部活の先輩に『態度が悪い』と誤解されて人間関係が険悪になった、
結局分かってもらえたけど」
「親に『なんとか言ったらどうなの?!』と怒られても、
そんなときは「なんとか。」と返すしかない(爆)そうするとさらに怒られたり」


そこから達した結論は・・・
誰でもそうだと思うのですが、ディスレクシアの場合は特に
「愛されキャラ」になることがサバイバルの秘訣だろうと。
普段から「なんか憎めない、手伝ってあげたい」と思わせることで
疲れたときに「態度が悪い」と誤解されるのを避けられる気がします。


ところでコスモ君は自他共に認める「スーパーポジティブ」です。
ひょうひょうとして明るいと言いますか。
お母さんは「彼の明るさに救われた」と言っています(と本人も言っています)。

私も、「ここまで全敗で何と声をかけてあげよう…」と思って彼に会うと
全然落ち込んでいる様子がなく、ひょうひょうとしているので
「コスモと話していると、こっちが安心させられちゃうよ」と言ったこともあります。

その頃の心境を合格後にたずねると
「『ま、何とかなるっしょ』と思う。色々考えてもしょうがないし」と言う一方、
「『ちったあ落ち込めよ』と言われて『落ちこんどるわ(怒)』と思う」
だそうです・・・

直観的に思うのですが、
私には彼のポジティブ思考は、彼が身につけた愛されキャラの一形態で
その下には悲しさ切なさ、諦めをたくさん持っている気がします。
でも、それはがっちりしまい込んであって、そう簡単に表には出てきません。
ひょうひょうとした明るさは、さまざまな誤解を経て彼が編み出し
もはや無意識化している愛されキャラだというのは、言い過ぎでしょうか・・・


⑤「自分はセカオワの人と同じやつなんだ」
「高校での教師の無理解を正そうとは思わなかった?」と聞くと
「ど~でもいい。言おうと思ったこともない。『ま、いっか』って感じ。」

高校時代は、友達にも一切、
ADHDやディスレクシアについて言ったことはないそうです。

学校ではあえて言わないというのも一つの方法です。
でもそれが諦めから来ているなら、一日のけっこう長い時間を過ごす学校が
それなりに切ない場所になるのもまた事実です。。

コスモはこの点については、初冬のころに心境の変化があったようで
(薬の効果かもしれません)
予備校でできた友人に言ってみたそうなのです。
その時の伝え方は
「自分はセカオワの人と同じやつなんだ」
「それっけがあるから。いろいろ忘れるし」
「最近こればっかり聴いてる」「聴いてみますか?」と言われて一緒にiPod Touchで聴いた曲。
「『99戦中99敗♪』の心境なわけ?(゚A゚;)」と聞くと「まあ」


「大学では、言う気になったら言うし、言う気にならなかったら言わない。
でも、サークルとかで親しくなった人には、言いたいかも」

大学生くらいになったら、大切に思う人には
自分の言葉でこの特性を言えたほうがいいと思います。
あるいは、この人には言いたいと思える相手こそが
自分にとって大切な人になるのかも…


⑥「僕って困ってるんですかね?」
「親は僕のことを心配しすぎる」という流れから出た衝撃発言。
(念のため…コスモのご両親は共通認識を持ち、精力的に動いていますが
過干渉ではないと思います)

これはいったい「親に子離れしてほしい」以外ではどういう意味なんだろう、

1)勉強以外では、この特性は有利である/何ら問題ない
2)人より苦労しているが、他人の苦労と比較できないので分からない/
苦労しすぎて苦労に鈍感になっている
3)何か違和感を感じるが、自分の中のもやもやにたどりつけない

・・・いろいろ考えてみましたが、実は全部なのかもしれません。


⑦「自分みたいな人に会ってみたい」
私が最も心を痛めたコスモ発言は
何かの折に「これは保存して孫に見せなよ(笑)」と言ったときに
「自分は結婚とか子供とかとは無理だと思う、
親と同じような生活が想像できない」(T T)
結婚子供の是非はともかくとして、そこまで自信を失ってしまったのか・・・
と悲しくなりました。

しかしその後、
「実は一度だけ『この人となら分かり合える』と思える女の子に
高校で遭遇した。
その子は周りから『不思議ちゃん』と言われてたけど、
話してみたら自分にとっては全然不思議ちゃんではなかった(笑)
もう一度会ってみたいけど、今はどこにいるのかな・・・」
と話してくれました。

「この地球上で自分は宇宙人だと思ってずっと過ごしてきたけれど
同じ星から来た宇宙人に初めて出会った」
という心象風景が目に浮かぶようでした。


その後、メールでご連絡を下さっていたディスレクシア受験生の方々の存在が
彼にとっては心の支えとなっていました。

ディスレクシアの人は、他のディスレクシアに会ってみたいようです。
その後、何かに発展するとか、そういう問題ではなく、
どちらかというと、自分を確認するために
ディスレクシアの人に会って話をしてみたいと思うみたいです。

同期あるいは同年代のディスレクシアの人が、
先輩後輩みたいな感じで会って話ができる機会があるといいんだな・・・と感じました。


⑧あいさつはやっぱり大事かも?!
これ以外にも、毎週多くのインスピレーションを与えてくれたコスモ君とは
さぞ感動の別れになるだろうと想像していましたが、
彼は「あっ電車が来た」と言って
ば~っと走って行ってしまいました・・・・・( ゜Д゜)ポカーン
ADHDのなせるわざですね。。。
「大学生になったら、あいさつができるといいね!」と伝えたいです(笑)



コスモのご両親は、大学の勉強についていけるか、かなり心配しておられます。
私が思うに、大学生活は
・自由度が増す分、自己管理が大変、
・テストが相変わらず直筆+時間制限付きである、
・卒論がある場合は文章を書くのに苦労する、
・授業担当教員の間で「この子はディスレクシアだから」といった情報が共有されるとは考えにくい

一方で、
・授業で各種ツールを使える(スマホで録音・撮影)
・レポートで取れる単位も多い(=キーボードが使える)
・興味のある科目の割合が増える
・大学の試験は、友人と助け合って乗り切るものである
・たまたま、彼の進学先には発達障害支援センター的なものがある
(「大学名+発達障害」で検索すると、あればヒットします)
・となれば、教員に上手に直談判すれば配慮してくれそう
・なりたい職業などが明確にある場合、モチベーションを持ちやすい
・ゼミや研究室では、教員と密接に関わるため、杓子定規な扱いを受けない可能性が高い

なので、これまでより苦労は減ると思うのですが・・・
まずは大好きな音楽を取り戻して、大学生活を楽しんでほしいです!




2015-03-22

ディスレクシアでADHDなコスモ君の合格体験記(2)「彼にとって受験勉強は、自分への自信を取り戻す一歩だった」

前回のコメントでは、センター試験の配慮の話について、さまざまな角度からの指摘を頂き、ありがとうございました。
16年春からは障害者差別解消法が施行され、教育場面での合理的配慮の提供が義務づけられる(読売新聞より引用→★)とのご指摘もメールで頂きました。


まったく何の合理的配慮も受けずに大学入試に挑んだ
コスモ君の合格体験記の続きです。前回はこちら→★

今回は、かなり具体的なディスレクシア英語指導の話です。


☆  ☆  ☆

8月下旬に集中的に指導を行い、
受験業界で「構文」と呼ばれる、読解用の文法事項の確認を行いました。
(高2の3学期に予備校で使っているプリントを使用)
その結果、8月末には、SVO、主節と従属節、関係代名詞節、前置詞+名詞、
受動と能動、節の範囲について理解しました。
この頃の進みは本当に早かったです。
一気に高3の始めあたりまで来ました。

9月に入ると、大手予備校の授業を数コマ切り、英語は私と週2時間、
理系科目はご両親が知り合いに勧められたという
片道1時間半かかる個別指導塾に通い始めました。
英語は、大手予備校のテキストも使いながら、引き続き構文の確認。
この頃のことはこちら→★
ガンダムの単語帳を作り、少しずつ文章を読み始めたのもこの頃です→★

この頃、「個別と大手、どちらが良いか?」と聞いてみたところ
「大手は説明のうまい講師がいる点が良い。
高校の授業は全然分からなかったので、もっと早く行きたかった」。
大手を否定すると思っていたのでこれにはびっくり!
耳からの理解力が高いディスレクシアらしい指摘だと思いました。

この頃から最後までは、2時間の英語の指導以外に、
おやつを食べながら自由に話す時間を小一時間取っていて、
親の話、好きな音楽や楽器の話、ゲームや部活や友達のこと、将来のこと
ディスレクシア感覚やADHDのこと…実にいろんなことを話してもらいました。
彼はとても能弁です。
話が暴走すると、主語がなくなって「いま何の話してる?」になったり
時系列がよくわからなくなったりするのですが(笑)、
ガンダムワールドが現実と地続きと思わせるような話しぶりだったり、
すごく独創的な分析をしたり
(デジャビュについて語ってくれたのもこんな時でした)
思い返しても、時間が歪むようなインスピレーションに満ちたものでした。

後にも書く通り、彼にはこの時間が、合格するために必要だったと思います。

あと、コスモ君は「ボキャ貧」を自称していますが、
和訳や話しぶりからみた彼の言語感覚は、人並み以上に繊細でした。
おそらく、頭の中にある絵に言葉が追いついていないんだと思います。
圧倒的な脳内映像のごく一部しか話し言葉にできず、
そのまたごく一部しか書き言葉にはできないようです。


~ ~ ~

私が彼の真の困難をようやく分かったのは、9月末のことです。
もっと早く気付いていればと、申し訳なく思います。
それは・・・彼の英語に関する最大の問題は、構文ではなく、
単語がとにかく覚えられない点だったのです→★

「イメージ化できない単語は覚えられない」ことは本人も自覚していました。
なかでも抽象概念にまつわるものは、品詞を問わず大変です。
relation、improveなどは20回はテストしましたが、覚えてもまたすぐ忘れたり。
結局は良い方法が見つからないまま、入試に突入することに…

ディスレクシアは、エピソード記憶が強いと言います。
もし、高2くらいまで時間を戻せたなら、
覚えられない単語をひとつひとつ「体験」したらよかったのかもしれません。
(粘土で作ったり、演じてみたり、その単語を含む例文か絵を作ったり?)
でも、浪人の11月に、そんなことをする余裕はありませんでした。

~ ~ ~

もう一つの反省点は…
彼は転導に苦労していました。すごく気が散りやすいのです。
また、転導を抑えようとすると過集中になり、
その結果、彼の言葉によると「ぷっつんする」のにも苦労していました。
ぷっつんしてしまうと、授業中でもしばらく心ここにあらずになり、
気付いたら黒板がいっぱいに埋まっていることが、よくあるそうです。

なので指導中も、休憩や上のおやつタイムを入れたりして、
燃え尽きそうになる前に休むようにしていました。
信頼関係ができ、新しい薬(ADHD用)の効果が出てきてからは
転導しそうになったら「今は戻っておいで!」と注意できるようになりました。
これらは正しかったと思います。

しかし、転導の激しさゆえに宿題ができないというのは、盲点でした。

課題が途中までしかできなくても「いいよいいよ」と言ってきたのですが、
だんだん課題をこなさなくなってきました…。
「ここまでやっておいで」と言われたことができないと、
他の受験生と比べて、どうしても伸びは鈍ってしまいます。

(我が身を振り返っても、
途中でやらなくなってしまうのはADHDの問題だと思います。
ADHDのない純粋な(?)ディスレクシアだと、
やると決めたらとことんやり遂げる人が多い気がします)

視写も、12月に入ってフェードアウトしてしまいました。
視写はうちの子含め、複数の人で効果を確認している→★や★だけに、
その効果の第一発見者が最後まで取り組まなかったのは、残念でした。

強く言わなかったこちらが悪いのですが、
「もう一つの個別塾が夜遅くまである」「予習復習に時間がかかる」
「最近食欲もないし、夜は眠れない…」(彼はとっても細くて白い)
と言われると、
「それでも決めたところまで解いてきなさい」とは言えませんでした。
年末にかけては、体力も低下して大変そうでした。

宿題をきちんと出してもらえるような別のアプローチがなかったか、
悔やまれます。

~ ~ ~

一方、12月に入ってからセンターや志望校の過去問を読み始めると、
コスモの驚くべきディスレクシア的読み方が明らかになりました。
それは「単語の覚えられなさと表裏一体の高い文脈推測力」
とでも言うべきものです。

単語が覚えられないなりに演習をするにはどうすればいいか考え、
単語の意味を書き込んだ問題文を用意し、目の前で取り組んでもらいました。

単語の意味を書き込んだセンターの過去問。
12月末の時点で、これが解けるようになりました(時間と単語力さえあれば)。
浪人決定時と比べれば格段に力がつきました

このような形の問題文を作ると、
彼が普通とはまったく違う読み方・解き方をしていることが、明らかになりました。 

本文の前に設問を読みます(これは非ディスレクシアでも同じです)
違うのはそれからです。
設問のキーワードを本文中をスキャンするように探し、
見つけたら、本文はその前後だけを頑張ってじ~っくり読みます。
下線部があれば、下線部とその前の一文だけをじっくり読みます。
それだけで、問題に正解してしまうのはもちろん、
読んでいない部分の内容も、ほぼ正確に推測できるのです(!)

15秒の映像を10本見て2時間ドラマの内容を理解するようだと思いましたが
本人も「一瞬を見せられれば流れは分かる」と説明してくれました。
断片から全体が分かるらしいです。

内容一致問題では、
「この流れで、こんなこと言うわけないでしょう(プゲラ)」
「さっき○○と言ってたのと矛盾する。サヨナラ!」
みたいな調子で、とても直観的で的確な根拠を挙げていきます。

それに、一度読んだ内容はとてもよく覚えています。
私「そんなこと書いてあったっけ?」(一生懸命上から読む)
コスモ「ありましたよ。たしかこのへん」(視覚的に覚えている)
ということが、何回かありました。

ある単語の意味が分からないときに、別の大問の中にその単語を見つけて
そこから意味をあててしまうことも、たびたびありました。
暗号解読的な読み方ができるらしいのです→★

彼は文章を線形的なものとしてとらえていません。
語やフレーズを断片的に見ていて、その間を縦横無尽に飛び回ります。
だから細かい抜けはいろいろあります。
でも、全体として言いたいことは、非常に正確に把握しています。

~ ~ ~

もし、普通の人の2倍くらいの試験時間が与えられたら、
大学側の想定しない解き方で、かなりの高得点を出すことでしょう。

でも実際には時間切れで完答できず、合格点にはなかなか達しません
(´・ω・`)

それでもなお、彼は「学力が足りない」のではなく
「実力があるのに、それを学力として評価してもらえていない」
のだと、私は断言できます。
何しろ、文脈は非常に深く正確に、把握しているのですから。。

~ ~ ~

現行の中堅以下の私大入試では、
読解問題であっても、設問は一字一句レベルを問うものが中心です。
ディスレクシア的には最も不利なタイプの問題です。
(滑り止めが全敗だったのは、このあたりのことも関係していると思います)

実は難関大になればなるほど、全体理解を問う問題が増えるので、
その点ではディスレクシア的には適していると言えます。

または、推薦を狙うのも手だと思います。
(この話をコスモ君に振ったら「提出物が出せなかったので評定でムリ」
と言われてしまいましたが(- -;))


本人には言いませんでしたが、12月くらいには
「もう一年頑張って、あらゆる手を使って単語さえ覚えれば、
第一志望はもちろん、その上も狙えるのでは?
辞書持ち込み可で文章が超難しい大学(例:慶應文学部)などは
実はかなり有利に戦えるのでは」と思うほどでした。

でも、第一志望でなくても大学生になれてほっとしているコスモ君を見ると
「もう一年頑張って実力を正当に評価してもらおうよ」とは、全く思いません。
それに、「単語さえ覚えれば」と言うのは簡単ですが、
実際はこれが、本当に本当に大変なので…

~ ~ ~

以上の勉強は、コスモ君にとってすごくハードで辛いことでした。

しかも彼は、受験勉強にモチベーションを持ちにくい状況でした。
というのも、もともと勉強面での自信を失っていたのに加え、
彼は弦楽器に並々ならず傾倒していた(いる)のですが、
私と会った頃は、それを職業にすることを諦めたところだったからです。
私が目にしているコスモは、音楽を諦めた「抜け殻」なんだと
感じることもよくありました。

では、どうやってモチベーションを作ったのか?
ここがうまくまとまらないので、とりあえず箇条書きにしておきます。

・ ディスレクシア向けの勉強をすることで、
英語が少しずつ読めるようになると、
モチベーションも上がった。
→つまり、目的と手段がいつの間にか逆転していました(?!)

・徹底的に自分語りすることは、自信を回復するには
どうしても通らなければならない道であった。
→それまで「そろそろ戻ろうか」と言ってようやく勉強に戻っていた彼が
(あるいは、そう言っても戻って来れないことも多々あった彼が)
2月に入り、ついに自分から「そろそろ勉強に戻りましょう」と言ったとき、
ようやく勉強する体勢になったんだ・・・と感慨深かったです。

・11月・12月と進むにつれ、不思議と表情が明るくなっていった
(言うまでもないですが、普通は逆です)
模試の数字は第一志望に届くまでは結局はいきませんでしたが
「この調子なら、まるで現役のように、前日まで伸び続けるだろう」
と思わせるものがありました。



コスモ君の英語の受験勉強は、
単語力や速さの点では道半ばで終わりましたが
自分への自信を取り戻す手段としては、それなりに効果があったと思います。
音楽以外に目指したい職業も見えてきました。
大学生活を通じて、さらに自分への自信を深めていくと思います。

☆  ☆  ☆

コスモ君本人に、受験と今後について、話を聞きました。
次回はその内容を紹介します。→★