ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2014-09-17

ハイパーレクシアでADHDな私が本当に「読める」ようになるまで

子がディスレクシアだと気付いたのとほぼ同時に知ったのが、
私のような人を「ハイパーレクシア」と言うらしい、ということでした。

ハイパーレクシアはディスレクシアとは逆に、非常に幼い頃から字が読めることを言います。
子のディスレクシアをめぐる旅は、私のハイパーレクシアからの立ち直りの旅を総括することでもありました。
そうです、結論から言うと、ハイパーレクシアを「克服」したからこそ、私は本当の意味で読めるようになったのです(!)

以下、5~6行ほど"自慢"にお付き合い下さい。

私は幼稚園の年少(2年保育)に入る時点で、漢字交じりの日記を書いていました。
その後、年長でブルガリアに渡り、そこでは半年で年齢相応の英語を身に付けただけでなく、誰にも教わらずにキリル文字(ロシアの文字)も読めるようになりました。帰国後、小5で英検2級を取得。
こんな調子なので、小学校ではもちろん神童扱いでした(笑)。

以上で自慢終わり。

しかし、小学校では落ち着きのない言動(←ADHD)のせいもあって孤立。
さらには中学、高校と進むにつれ、唯一のプライドの源だった読み能力についても、周囲がどんどん追いついてくるのが分かりました。
読み能力というのは、一生、他人より秀でているものではなく、やがて追いつかれるものです。このあたりがスポーツや音楽、芸術に秀でた場合と違う点です。
親や教師や友人から向けられる「もじこって、もっと賢いと思ってた」という目は、年々自己否定を深めていくのに十分でした。
大学は英語力の最後の貯金で入ってしまいましたが、入学後は「周りの人のほうが読めてる、なぜだ…」と焦りを感じることがさらに増えました。
でも、誰にも相談できません、というか、何が起きているのか全然分かりませんでした。

今なら分かります。当時の私は、読んでいたのではなく、文字を解読していたに過ぎなかったのだと。
読む内容が年齢とともに深くなるにつれ、また、勉強が読む以外のことも含むようになるにつれ、解読だけでは足りなくなってきたのです。

一方で、当時の「字を読みたい」という気持ちは強迫的なものでした。
何か活字がないと電車に乗れない(退屈で死にそうだから←このあたりはADHDっぽい)ので、かばんの中にはいつも本がどっさり入ってました。うっかり忘れると、活字を調達するまで電車に乗れません。
読むものがないと、薬の説明書きの紙や、お菓子の箱に書いてある原料名の小さな字を必死になって読んでました(笑)

とにかく乱読していましたが、実は、当時読んだもののことを、ほとんど覚えていないのです。
あんなに強迫的に読んでいたのに・・・



そんなこんなで、いろいろあって徹底的に行き詰まったのが26歳の時。
どん底の中で転身を決意して翻訳者になったのですが、その頃、大きな変化が2つありました。

1つは、英語の構文をようやく理解したことです。25歳になっていました。

もう一つは、これがいつ起きたのかが定かではないのですが、読み方が根底から変化したことです。
読むのがだいぶ遅くなる一方、読んだ内容をすべて映像化するようになりました。
これができるようになってはじめて、私は職業翻訳者になることができました(小学校前半の帰国英語のおかげでは断じてありません)。

いま、私にとって「翻訳する」とは、「英文を映像化して、それを日本語で説明していく」という作業のことです。この映像は、他人に言うとびっくりされるくらい、細かく見えています。
映像がしっかり見えることが私にはすごく大事で、それができない文章は、仕事でも趣味の読書でもまともに読めません。実はほとんどの翻訳物は映像が見えないので、人の訳したものはあまり読みません(笑)。

20代半ば、ようやく私は「解読する」ことから「読む」ことへと転換できたようです。



☆  ☆  ☆

この「映像化する」という読み方が、実はディスレクシアの読み方と同じらしいと知ったのは、「ディスレクシアのインスピレーション」という文章を訳している時でした。
この出典の本によると、ディスレクシアは映像思考型人間、文章を頭の中で映像化して理解しているのだそうです。

ディスレクシアとハイパーレクシアは、案外近いところにあると、以来思っています。

子供びいきの負け惜しみではないと思うのですが、
ハイパーレクシアとディスレクシア、どちらか選べるとしたら、ディスレクシアのほうがいいと思います。
「むかし神童、いま凡人」は、等身大の自分にたどりつくまでがけっこう大変ですが、ディスレクシアは凡人以下からのスタート。つらいですが、人として器が大きくなれる気がします。

それと、早熟よりも遅咲きのほうが、年齢を重ねることに希望が持てます。
もちろん、どんな花もその花ならではの見頃があるとはいえ。
高校・大学の頃の私は、年を取ることが恐怖でした。「この調子で年々落ちこぼれていったら老後は絶望的だな・・・」と。

今は発達の凹凸が年齢とともに変化することが分かったので、年を取るのが非常に楽しみです(笑)ちなみに、文字の解読は今も大好きで、未知の外国語を見ると字を解読したくなります。
年取って暇なら、アラビア語あたりを勉強してみたいと真剣に思ってます(笑)とはいえ、当面の興味は自分のことよりも、字が読めない・書けない人たちに傾いてますが。

現代日本では「文字が読める能力」が過大評価されているので、それが変なプライドになってしまうと、鼻持ちならない奴になりかねません。そうすると人生が全然楽しくない(笑)
それくらい、ディスレクシアを通して見える人生や社会は、面白いんですよね…

☆  ☆  ☆

などということを、中島敦「文字禍」を読んで考えました。
教えて下さったH先輩!ありがとうございます!

漢学者の家に生まれた中島敦が、なぜ字が読めることによって失われるもののことをこんなにも印象的に描き出せるか、不思議です。

私が読めるようになった過程は、空の青さがわかるようになった過程だと思いたいです。



22 件のコメント:

  1. 平社員こと、Hです。
    文字禍、早速お読みいただきましたか。ユニークな短編ですよね。文字に囲まれて育ち、文字でご飯を食べてきた中島敦の、文字に対する複雑な思いが表れている気がします。
    「悟浄歎異」「名人伝」などもぜひお読みください。頭で得た知識に対する”軽蔑”のようなものが、一貫して流れています。

    そしてこちらのブログを紹介いただき、ありがとうございます。少しずつ読んでいますが、全体を通じて、もじこさんの、お母様としての深い愛に心を動かされています。
    ご苦労は多いことと思いますが、もじこさんに育てられたお子さんは幸せ者だと思います。うちの子にも、もう少し愛情かけてやらねば。
    もじこさんの超早熟hyperぶりにも驚きました。こちらのブログの面白いのも道理ですね。

    ところで、会社で社員教育の一端を担ったことがありますが、dyslexiaの概念を知っていれば、もう少しうまく指導できたのに、と思います。
    「きちんとした文書が作成できないと、一人前の社会人とは言えないんだぞ、頑張れ!」といくらお尻を叩き、赤ペンを入れたたところで、dyslexiaの傾向がある社員にはなかなか難しいですよね。
    まずは社員の傾向を把握した上で、教え方にも工夫を凝らすと、より効果の高いリテラシー教育ができるなあ、と感じた次第です。
    会社の偉い人でも、誤字の多いヘンテコなメールを書く人がおられますが、その方の持つお人柄や経営に対するビジョンの確かさは、マネができません。(だから偉くなられた)。
    書くことがすべてではないということを嫌と言うほど実感します。

    これからも楽しみに読ませていただきます。そして、いつも応援しています。

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    1. 平社員先輩!ありがとうございます!
      深い愛だなんてそんな。闘う言語学者を直接知る者としては、誤解を恐れずに言えばこんなに興味深い存在はないというのが正直なところです。
      「外国語を学ぶことは自己解放だ」と師は言ってますが、ディスレクシアについて知ることも自己解放だから、ここまで続いているのだと思います。

      (師とこの件について共著を書くのが最大の野望なのですが、師は「これってそんなに急を要する問題なの?僕にとっては靖国問題やノモンハン問題の方が」(!)となかなか関心をもってもらえません。)

      誤字の多い偉い人:
      やっぱりそうですか、私は「私の履歴書」の題字がやたらと稚拙な人を見ると最近は「おお、この人もそうかも」と嬉しくなってしまいます(最近では小澤征爾さん)

      今後ともよろしくお願いします!

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  2. バーバモジャ2014年9月19日 14:17

    こんばんは。久しぶりにブログに来ました。
    今回はハイパーレクシアがテーマですね。なので思わず書きこんでしまいました。
    ハイパーレクシアの人がどのように育つか、いくつものケースを知っています。ディスレクシアより少ないはずなのですが、集まるところには集まってしまうのです。ディスレクシア以上に、幼児期だけ発見しやすく、大きくなるとわからない人が多いです。案外大きくなると本はあまり読まない人もいます。
    もじ子さんのいう、幼児期神童扱いされ、あるときスランプに陥る、という意味も、よくわかります。様々なタイプがいて、様々な経緯をたどっていました。他の障害らしきものを併せ持っている人も多いですし。
    解決策としては、もじこさんのされている通り、頭の中で映像化する能力を育てることが重要なのだろうと私も思っています。
    具体的にいうと、文字に関係ない、会話や状況などの音声からの理解力や対人能力、映像の観察力、想像力、などを意識して強化することが、ハイパーレクシアの行き詰りからの脱出の道なのでは、と思います。事前に仕入れた知識を使って推測読みをするディスレクシアの読み解決方法に似ていて、これも、もじこさんのお話の通りですね。
    幼児期や学生時代、ディスレクシアもハイパーレクシアも、文字に過剰に偏った教育をいろんな意味でしがち、強要されがちだと思いますが、彼らがより自由に生きるためには文に関係ない学びが必要だと思っています。現代社会を生きるために文字の教育も絶対に必要だとは思いますが。

    息子さんもいろいろなことに日々頑張っていることと思います。 ではまた!

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    1. ああ、またも目が覚めるようなご指摘をありがとうございます。しばらく見入ってしまいました。
      お返事は新しい記事にしてお返ししました。ありがとうございます!!

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  3. はじめまして。
    中2の息子がディスグラフィアを持っています。彼は幼少期から不思議な子供で、1歳後半でアルファベット大文字、2歳で小文字、3歳でローマ字・ひらがな・カタカナを勝手にマスターしました。誰が教えたわけではありません。これがハイパーレクシアだったのでしょうか?4歳までは6日本語:4英語を話していました。もちろん日本在住で、英会話の先生が大好きでこうなりました。
    小2で漢字ディスグラフィアが発覚、小6で英語ディスグラフィアも発覚しました。今は英語は全くダメです。
    6歳までは神童だったのに、今の彼は勉強サッパリで、何者かよくわかりません。
    中1検査のWISC4では、IQ130でギフティッドレベル、なのにディスグラフィアで、2E 二重例外と言われています。
    勉強そっちのけで、過度にマンガに夢中で、妙に大人びてクールな息子です。
    こんな生徒さんに遭遇したことはございますか?

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    1. こんにちは。びっくりするような息子さんのお話、ありがとうございます。
      うちはIQも普通で2Eでもギフテッドでもありませんが、マンガに夢中で(外では)クールというのは似ています。

      非常に賢いですが字がめちゃくちゃで判読不能という子は、何人か見たことがあります。一人は規格外な子に理解のある自由な学校、もう一人はいわゆる受験少年院で学校に徹底的に反抗するだけで中高生活が終わったと言っていました。両方とも浪人して大学に入り、一人は医師に、もう一人は政治家になりたいと言っています。

      大学入学後、直筆で勝負する必要がかなり減るので、だいぶラクになると思います。
      お子さんが「これだ!」というものに出会えるのを祈っています。。

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  4. とても興味深い内容でした。コメントも。
    「「むかし神童、いま凡人」は、等身大の自分にたどりつくまでがけっこう大変ですが、ディスレクシアは凡人以下からのスタート。つらいですが、人として器が大きくなれる気がします。」が印象的。美輪明宏が対談番組で言っていたように,その人なりに進化し続ければいいのですよね。

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    1. ありがとうございます。
      はい、生徒の「その人なりの進化」を徹底的に信じるのが教師の役目とますます思うようになりました。。

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  5. バーバモジャ2014年9月21日 23:18

    マンキーさんの息子さんのようなタイプの子を知っています。
    対人関係はどうでしょうか。
    小説のような本は読まず、マンガが好きなのですね。
    ディスグラフィアが発覚した経緯はどのようなものでしょうか?本人が書き取りを強く拒絶したせいでしょうか?
    通常、当人が過剰な反応を示さない限り、ほぼ全部のディスレクシアやディスグラフィアは教師には完全に放置されます。当人が我慢したりジッと苦しんでいる間は親が大騒ぎしない限り、決して問題視されません。
    文面からの憶測ですが、一般的なディスレクシアのケアと違う部分も必要なのかもしれません。
    なんだか質問ばかりになってしまいましたね。
    マンキー様のご苦労が伝わります、そばに息子さんと一緒に気軽に相談できるようなところがあるといいですね。

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    1. マンキーさんへ
      バーバモジャさんの質問に公開で答えにくい場合は、非公開希望と書いて頂ければ、バーバモジャさんに転送させていただきます。もちろん公開してよろしければ他の方の参考のためにもぜひ。バーバモジャさんは研究者ではありませんがどんな研究者よりも洞察力がすごいお方です!

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  6. バーバモジャさん、もじこさん

    コメントのコメント大変嬉しいです。ありがとうございます。
    洞察力に圧倒されました!
    対人関係は良好ですが、友達は非常に少ないです。
    小学生時代に、「幼稚園児の遠足の中にいるサラリーマンが僕(騒がしい子供の中に大人ひとり)」と、寂しいコメントをしていました。学校で浮き感を感じているらしく、心を許せる友達はいないようです。同級生が苦手で大人が得意です。
    個性的な個別塾の先生には、メチャクチャ可愛がられるという不思議さもあります。
    本はマンガが入り口で、その興味あるマンガの小説版なら
    中学生以降は、読むようになりました。かなり分厚い小説も、興味のある内容ならば、あっという間に読みます。興味も多岐にわたり、宗教・神話・生と死・犯罪サスペンス・70年代ロック・少年誌・青年誌と、かなりのマニアックで、同級生とは話がなかなか合いません。
    ディスグラフィアは、母である私が発見しました。
    小2で宿題を見てあげていた時、「船」という字を50回書かせても覚えることが出来ず、この子の脳は何かあると検査しました。結果は高IQすぎて、ディスグラフィアを見逃されてしまいました。「母が教育熱心すぎる、まだ小2なので男子特有の漢字が苦手なだけ」と、2人の小児精神科医に誤診されてしまいました。見事な凸凹っぷりだったのに関わらずです。
    診断はなくとも困り感いっぱいで、息子脳の取り扱い説明書を書き、担任にお願いして通級には通えましたが、そちらの教師もいいかげんで、最終的には母の研究による個別支援で、漢字をマスターしたという切ない過去でした。
    彼へのLDケア以外のケアは、彼の興味や趣味にとことん寄り添う事と、理解ある学校外での相性の良い習い事先生の発掘です。中2の彼は、これで何とか二次障害や不登校にはなっていません。
    参考までにどうぞよろしくお願いします。



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  7. ありがとうございます。
    久しぶりに昔の自分を思い出しました。女子校なのに群れるのが苦手で、6年間のほとんど、お弁当は一人で食べながら猛然と活字を追ってました(苦笑)良い友達はいましたが、思い返すにあの頃はやっぱり孤独でした。。
    自分はこの1点で社会の役に立てるんだと理解した日から、私の人生はバージョン2.0に入りました。あれもダメ、これもダメの末に初めて翻訳の仕事の依頼を受けた日のことです。こんな自分でも社会の役に立てるんだと電話口で号泣しました(泣き笑い)。息子さんもそういうものが見つかればあとは無敵です。
    ただ、それは親が与えてはならないとも思います。つらいところですが。。
    >彼の興味や趣味にとことん寄り添う事と、理解ある学校外での相性の良い習い事先生の発掘です。
    これは最高だと思います!私も親にそうしてもらいたかったです。あとは見栄や世間体や外部評価とは関係ないところで「あなたは特別な力を持った子」と言い続けることかと。うちは1日1回は吹き込んでます(笑)
    では、バーバモジャさんの回答を待ちましょう~。

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  8.  もじこさん
    私も毎日吹き込んでいますが、LD児の思春期は、正直親子してキツクなります。他の子との違いにより、自己肯定感はどんどん下がっていきます。親にも反抗しますし(涙)。
    そこで親以外の理解ある大人の存在が、かなりの鍵となります。子供に探せといっても無理な話です。アンテナを親が張るしかないです。
    もじこさんの経歴を知る限り、もしかして大人のギフテッド?のような気がするのは気のせいでしょうか?物凄くIQが高いお方と感じます。
    女子校時代、まわりに似た脳つまりIQの高い生徒比率が圧倒的に少なく、孤独感を感じたのは無理ないです。
    ちなみにIQの高さ=テストの点数 学歴の高さ と一致するとは限らないのが悩ましいところですよね。
    きっともじこさんは凄いお方と勝手に想像させてください!
    このブログの完成度が高すぎますから。これで救われている親子、日本ではたくさん存在します。
    改めてありがとうございます。本当にもじこさんは素晴らしいですよ。

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  9. バーバモジャ2014年10月2日 10:23

    マンキーさん
    丁寧なお返事ありがとうございます、書きこみ遅くなりすみません!
    前回、マンキーさんの御苦労が想像できたので思わず書きこんでしまったのです。何か少しでも参考になることがあれば幸いです。

    マンキーさんの息子さんの現在の読み状態が詳しくわからないので息子さんがハイパーレクシアかは断言できませんが、少数ながらハイパーレクシアでありながら書字障害を持つ子がいると思います。私の知っている子は読み書きの症状においてマンキーさんの息子さんのようで、かなり高IQ、マンガ好きの子でした。その子はディスグラフィア以外の発達障害もあると確信しています。もちろん、マンキーさんの息子さんが読み書き以外のことでその子と同様なのかは全く私にはわかりません。その子はいい子なのですが、集団の中が苦手、鉛筆を持つことが大嫌い(字も絵も運筆そのものが)、で、すぐにそれを表してしまうため、親や学校の教師は手を焼いていました。(だからWISCを受けた経緯がある)ご両親はかつてその子が神童のようであったこと、その後の検査でも高IQであったこともあり、あの手この手で「あなたならやればできるはず!」といつも言って、大変苦労されていました。その子のご両親の素晴らしい点はお二人で息子さんをサポートされている点だと思います。成績はともかく、母親のみのサポート、というのはLD男子で思春期というのは難しいところがあると思います。

    参考までに、ハイパーレクシアの子は日本で育つ場合、小学校入学以前に相当量の漢字もスラスラと読める子が多いと思います。書字に問題がある場合、書きは別問題です。通常の(?もともと通常でないか??)ハイパーレクシアは幼児期から嬉々として字を書く子が多いです。もちろん、誰も教えていないことが前提です。早期幼児教育の成果とは全く別です。

    LDだったり、友達が少なかったりすると、思春期の勉強はなかなか難しいですね。10代以降は親や教師にほめられるためだけでなく、自分のため(将来の夢や、友達や異性との人間関係などいろいろなことが原動力)に勉強をするのが自然になってきます。やはり、将来の目標探しが大切なのでしょうね。LDの子や発達障害を持つ子の一部は将来に見通しを立てる、という事が非常に苦手(今の事しか考えられない)な子も多いですし、難しいですね。

    複数の医師に診てもらったのに誤診だったとのこと、あまり信頼して相談できるところがないのですね。頼りになるところ、というのは今現在日本中探してもないと思いますが、とりあえず、困った時に話ができるだけでも相談窓口があるといいですね。きっと来年度受験もあるでしょうが、息子さんと学校の先生との関係は良好でしょうか?なんらかの配慮をしてもらえたりすると本人も少しラクですよね。
    マンキーさんが息子さんについて困っていらっしゃることは学業のみ、ということなのでしょうか?もし何か他にもあれば学業とそれ以外の問題も含めて併せて相談すると、窓口が広がる、という意味で、何かよいところにつながる糸口がみつかるかもしれません。
    塾の先生とはうまくいっているとのこと、友達や塾の先生など、思春期以降は母親以外の人の関わりは大切ですよね。マンキーさんはそこもわかっていらっしゃるのでこれからもいろいろあっても安心かと思います。

    もじこさんのブログは本当に情報量もまとめ方も素晴らしく、私も含め、多くの人の参考になっていますね!感謝です。

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  10. バーバモジャさん

    息子は、読みは全く問題がなく読むのは早いです。書きが漢字や英単語スペルの入力が難しくてすぐ忘れます。ノートはマス目の大きいものを使用してるおかげで、運筆はなんとかなっており、絵は雑ながら、LDの特徴の3D視線での立体アングルの独特な絵を描き、小学校時代はトップレベルの賞を複数回受賞していました。ただし、学校は絵に対して熱心でなく、自信に繋がることにはありませんでした。
    本人だけが困り感満載で、先生やクラスメートに迷惑を掛けるわけではなく、完全に見逃されるタイプです。
    すこしADD気味と、発達性協調運動障害もあるのでは?と疑うほど不器用で体の動きがぎこちなく、運動神経も鈍いです。
    幼少期は、ハイパーレクシア?傾向だったため、自らアルファベットを書いており、好きなTV主人公の名前(外国人)のスペルも覚えて、Steve Bob Joe なんて落書きしていました。もちろん教えていません。洋書絵本も読んでいました。だからディスグラフィアが信じられないほどショックでした。
    小学生は母の熱意で勉強はなんとかなりましたが、中学生以降、勉強意欲は完全に失っています。目標もなくヤル気はなしです。
    LD児は性格がいいので、学校の先生とのトラブルは皆無で、関係は良好です。それゆえ配慮もありません。
    困り感は、学業・ヤル気自尊心喪失・孤立孤独感ですね。いじめにはあわないタイプですが、学校はなんとなく寂しそうでつまらなく、親としては辛いです。
    そこで、昨年に似たような子供達を救う目的のNPO法人のメンバーになりました。そこで友達も出来て、理事長先生の手厚いケアで救われています。友達は学校だけではないです。視野も広がりつつあります。
    ところで、全国のLD児へのオススメ学習法は、ブラインドタッチのマスター、PCを使いこなすことです。歴史の暗記物は、入力しながら暗記となります。入力文字は大きなフォントで。小さいのは×です。小学生でもマスターすることをオススメします。それを印刷してバインダーノートにいれれば、書きは全くしなくても記憶OKです。ぜひお試しを!

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  11. マンキーさん、バーバモジャさん、ありがとうございます。お二人のような方にこういう場で出会えたことが非常に嬉しいです。
    予備校で見ている限り、男子は一般に17歳まではまだまだ子供というかいつもぼ~っとしてる感じ、高2の終わりくらいから急に冬眠から覚めてよその大人(予備校講師)との意思疎通が可能になる印象があります。高3、そして浪人生の年齢になると見違えるように自分の意志を口にできるようになります。
    なので、今の時期はさなぎの時期と心得て、ポジティブな環境作りが親には求められているのかも、、?あまりに漠然としてますが。

    >アンテナを親が張るしかない→は本当にそうだと思います。ただ子供には親の計らいだと悟られないようにして、自分で見つけたかのような演出が必要なんですよねきっと。難しいです。

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  12. どんぐりあたま2016年12月16日 14:37

    うちの息子(小4)が、こわいくらいに、もじこさんに似てます。

    保育園の頃から、趣味は世界の文字の解読。
    教えてないのに、読めない漢字はなく、
    小学校に入る頃には、普通に新聞を読んでいました。
    心配で発達検査を受けたところ、小1で読解力が中高生レベルと言われました。

    一方で、生活には困り感がいっぱい。
    運動も苦手。ひとのまねをして学ぶことが苦手だからです。
    言葉で説明されないとできない…

    いま一番困っているのは、不注意。
    誤字脱字、字の汚さ。持ち物の整理整頓。
    いくら言ってもなおらない。息子本人もなおしたいと泣いています。

    もしよければ、こんな息子がどうすれば不注意による誤字脱字を減らせるか、アドバイスを頂けませんか。

    私は、息子の不注意はディスクレシア的なものではないかと疑っています…
    唐突な間違え方をするんです。←わかりますでしょうか。
    また、読みも速読すぎます。

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  13. こんにちは。お返事が遅くなり申し訳ありません。
    私と似たような人がいるとは。嬉しいです^^
    以下とりとめないですが。。。

    息子さんは文字の国の住人なんですね。私も、とにかく文字に目が行く人で、見よう見まねということが今も苦手です。子のディスレクシアに気付いて以来、意識して文字以外の情報に注意を向けるよう努力していたら、少しずつ変わってきました。

    思考のスピードに書字のスピードが追いつかない、またはコントロールが効かないので、誤字脱字が出る可能性はあるでしょうか?
    書きやすい筆記具や紙を追求するのはいかがでしょう?

    あるいは書道とか。書字の速度をコントロールする練習は有効な気がします。(私は左利きのせいで、習字にはずっとコンプレックスがありましたが、、)
    整理整頓は私も課題です。よく使うものは複数個買ってあらゆるポケットやかばんに入れておいたり、その日の予定を頭の中でシミュレーションしながら必要なものを確認して頑張ってるつもりですが、それでも必ず何か1つ忘れます(苦笑)。
    子は学校の机周りが汚いのを女子に「汚い~」と指摘されて、そこはかなり改善したようです(笑)。モテたい欲で行動が変わる年頃になってまいりました。。

    中長期的には、瞑想で心を落ち着かせる、ジャンクフードを食べ過ぎない、運動して体幹を整える、は、少しずつですが確実に効果があると思います。

    最新の記事↓
    https://ondyslexia.blogspot.jp/2016/11/blog-post.html
    に書きましたが、ハイパーレクシアはディスレクシアの一種という学会認識になりつつあるようです。
    また、この上のコメント群はとても示唆に富んでいるので、ぜひご一読下さい。

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    1. どんぐりあたま2017年2月1日 11:03

      お返事ありがとうございます。うれしいです。
      ああ、息子は文字の国の住人なのですね。
      たしかに「聞く」より「読む」ほうがラクそうです。

      書道はずっとやらせたいと思っていました!
      もじこさんの言う通り、コントロールの練習にもなりますね。よい機会なので、本当にやらせようと思います。

      ハイパーレクシアはディスレクシアの一種なのは、やっぱりそうかーという感じです。

      息子の誤字脱字は謎がいっぱい。
      例えば、「~です。そして~」という文を、「~で。そして~」と書いたりします。
      なぜ「す」を抜かす?
      「す」は「です」の一部であって切り離したら違和感あるでしょーと思うのですが。
      文字と意味が切り離されてしまう瞬間があるようです。

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  14. こんばんは。もじこさん、始めまして。こんな素晴らしいブログを作っていただいて本当にありがとうございます。
    うちの息子はハイパーレキシアです。ほかの障害をあわせもってます。今日初めて、いろんなことのつじつまがあって彼はディスレクシアなんではないかという疑問にたどりつきました。もちろん、字は自由自在に読めますし、幼稚園年長の年齢ですが掛け算もできて分数も理解しています。(割り算はまだやってません。)
    でも、肝心の文章の理解や、言葉の理解(言葉の発達は療育の結果、年相応ですが)がとても薄っぺらいのです。もじこさんがアップされていた日本の文部省のチェックリスト、ディスレクシアの項目にかなりの数が引っ掛かります。字を読める、書けるというのはできますが。
    まだ、もじこさんのブログをすみずみまで読んでないのですが、ちらりと拝見したご自身の経験等、大変参考になります。特に一度絵になおしてからなどのくだりは大変参考になります。
    これから、また新たな戦い(こどもへのサポート)の始まりです。また訪問いたします。よろしくお願いします!!

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    1. はじめまして。息子さん、ハイパーレクシアだけでなく、数学もできるとは。私は数字はからきしダメなので、うらやましいです。

      文字・音・意味の三角形があるとして、ディスレクシアは文字と音がつながっていない状態だと思うのですが、ハイパーレクシアはきっと文字と意味のつながりが(相対的に)薄いんだろうと思います。
      文字と意味のつながりが置き去りにならないようにするには、会話のキャッチボールを楽しむ経験かなと。もし当時の自分にそれがもっと与えられていたら、ありがたかったかな…などと思い出します。読字では得られないような充足感を、会話から得る経験です。
      こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします!

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  15. こんばんは、もじこさん、初めまして。
    本当にすばらしいブログで目からウロコなことがいっぱいです。
    小2の息子が、前にマンキーさんがコメントされている息子さんのお話ととてもよく似た状態です。
    読書の質や量、会話の内容に比して、字の汚さや漢字の間違いが甚だしいため、怪しく思って教育センターに相談に行ってきました。
    WISC4の結果はIQ130ちょい超えくらいで、言語理解と知覚推理が高く、ワーキングメモリと処理能力が平均くらいでした。ディスレクシア、書字障害に多いタイプと言われ必死に今いろいろ調べているところです。
    私と旦那もよく本を読むタイプだったので、似ているところもありますが、書字の問題は息子特有です。
    ひらがなも、幼稚園の間は書きたがらなかったので、小学校に入ったら覚えるだろうとタカをくくって、特に無理強いもしなかったのですが、1年生では書くのにかなり苦戦しました。
    漢字は、ただ汚い、間違っているというよりは、字の画数が多かったり、同じ漢字を練習していると三回目には違う字になっていたりします。一つのページの中で、同じ漢字が三回出てきたら全部何かしら違うところを間違っていたりとか。。。
    読書量は多くて、歴史、自然、物語となんでも読みます。
    図鑑系はあまり好きではないようです。漢字もほぼ大人の新聞レベルで読みますが、やはりこれはハイパーレクシアなのでしょうか。
    絵ももっと描いてほしいのですが、協調性に少し問題がありそうで、字の運筆同様あまり書きません。
    なんとか本人が生きやすいようにサポートしていきたいです。これから頻繁に訪問させていただくことになると思います。よろしくお願いします。


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