on dyslexia

ディスレクシア
(読字障害、読み書き障害、失読症、難読症、学習障害、読み書きのLD)について、調べて分かったこと/実践したこと/英語から訳した文章をアップしています。

ディスレクシアとは:
- 
知能は普通だが、読み書きが苦手(誤字が多い、読み書きが遅い、読み間違いが多い)
- 独創的で、対人能力が高い。空間把握力、全体像や物事の関係性を把握する能力に長ける。
- 音と文字の脳内での結びつきが弱いことから起こるらしい
- 読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい
- 細かい聞き間違いがみられるが、音声情報の処理能力は高い
- エピソード記憶が得意。固有名詞などの細かい丸暗記は苦手
- 適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される
- 10人に1人程度いるというのが通説

当ブログは、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能である、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要--という立場です。


2014-09-28

ディスレクシア指導においては、「好きなこと」を突破口にするのが非常に大事らしい

最近、アクセス数から察するに、当ブログはディスレクシア小学生の指導よりもディスレクシア大学受験生の指導情報を求めて来られる方が多いようです。ありがとうございます。
コスモ君(仮名)の指導内容について記事にすることは、当ブログをご覧になってご相談を頂いたご両親から「ディスレクシア指導のためになるなら」とご了承を頂いています。この場をお借りして改めてご両親に感謝申し上げます。
ご本人にも了承を得ています。しかし、「親子喧嘩の種になることは書かないでほしい」とも言われています。
受験生の気持ちを何より尊重したいので、当ブログに書くのは本人のモチベーションアップが主目的であること、特に、合格するまでは限定的な内容しか書けないことを、なにとぞご了承下さい。


☆  ☆  ☆


と、お断りした上で、ひっくり返るほど驚いたことについて今回は書きます。

ディスレクシア指導では、「好きなこと」を使うのが、とても効果的
という話です。


前々から、ディスレクシア指導には「興味のある分野」を利用することが非常に大事、とは聞いていました。

LD学会だったと思いますが、
興味のある音源を使ってリスニングの練習をするとよい
(ハリーポッターが好きなら、そのCDを何度も聞くなど)
キャリア(興味のあること)に関係する分野の語彙なら、すとんと入ることも少なくない
という指摘がありました。


名著『The Dyslexic Advantage』にも、
「ディスレクシア学習ではモチベーションが大きなカギになる」
とあったように記憶しています。
が、見つけることができず…近い内容をを引用します。

ディスレクシアの生徒には、その子専用にデザインされた、弱みを減らすことと強みを伸ばすことに同程度の時間をあてるアプローチが必要だ。読み書きの練習に加えて、本人が興味を持つことについて教えてくれるような教育環境が必要である。(p214)

☆  ☆  ☆

そんなことが頭にあったので、コスモ君に単語を覚えてもらうため、
速読英単語と同じ形のものを、彼が興味のある分野の文章で作ってみました。

彼が熱く語ってくれる分野は、彼も内容を熟知しており、
しかも質が良く、専門的すぎない内容の英文が手に入る分野です。

100語ほどの文章を、受験向けに単語を少し書き換えたり、
先週覚えられなかった単語を混ぜてみたりして、単語暗記用の文章を作りました。

冒頭の理由から、ここでそれをお見せすることはできません。。

しかし、単語テストをしてみたら、私も本人もびっくり!
コスモ君は抽象的な形容詞が特に覚えにくいのですが、
available、unfortunate、experimentalを、覚えることができたのです!
思い出す速度も、これまで駿台のテキストの単語を覚えてもらっていた時よりかなり速い、というか瞬時に出てきます。
好きな分野のパワー、恐るべし!


驚きはそれだけではないのです。
今回、この文章を送るときに、コスモ君には
「英単語を見て、日本語を言えるようにしてきてね」と伝えてありました。
しかし彼は、英文をノートに写し、覚えるべき単語をハイライトして、
自主的に全訳までつけてきたのです!!
それどころか、質問まで用意してきました!!
しかもその質問というのが、
With few resources availableのwithは主節にどういう意味でつながっているか(独立分詞構文の付帯状況以外の意味)という、
普通なら偏差値60あたりで出てくる質問なのです・・・
モチベーションの力はすごいです!

☆  ☆  ☆

英語の学習段階というのは、一般に、
1) を読んで、正しい音を出せる
2)を読んで、正しく発音でき、意味が分かる
3) を読んで、正しく構文を把握し、意味が分かる
4) 文章を読んで、正しく文脈を把握し、意味が分かる

という順に、段階を踏んで、高度化していくと考えられています。
後に行くほど難しいと考えられており、
特に、3)ができても、4)がなかなか出来ない受験生は多いものです。


しかし、ディスレクシアにおいては、
1)2)が非常に困難で、
3)は、1)2)に比べたらはるかに苦労が少なく、
4)は、3)が完了した段階で、同時に完了している。

よって、3)や4)が分かっている文章を使い、1)2)を強化することが可能。

ということのようです。

1)2)があまりに困難だと、
「この段階でこんなに読めないなんてお先真っ暗」
と絶望的になりかけますが(うちの子は今まさに1)で1年経過)
ここを抜けたら、その先の苦労はだいぶ少ないのだから!
と希望を持ってよいようです。
1)2)に教える側が辛抱強くつきあい、本人を絶望させないことが大切と感じます。


☆  ☆  ☆

これはいいと思った私は、コスモ君との別れ際に
「しばらく××の文章で単語帳を作るから、みっちり覚えてきてね。
単語を覚えたら、過去問もずいぶん読めるようになると思うよ」
と言ったところ、彼は思ってもみないことを言いました:

「××の文章と、××でない文章の、2本お願いします。
訳はつけないで下さい。ついそっちばかり読んじゃうから(笑)。
××でない文章も、覚えられると思います」

!!!
つまり、××が「突破口」となって、彼は何かをつかんだのだと思います。
覚えてみようというモチベーションが湧いたのかもしれませんし、
こういう風にしたら覚えられるという方法をつかんだのかもしれません。

実はわたくし、昨年の時点で、
「興味のある分野の単語なら覚えられる」という話を聞いたときには、
「ディスレクシアならまあそうかも。
でも、そういうスタンスだと、入試に必要な単語は覚えられないのでは?
残念ながら、入試対策には応用できないでしょう」と思っていました。

しかし!どうやら、興味のある分野は突破口、ひとつのステップであり、
そこから興味の劣る分野の単語暗記にも、広がっていけるようなのです。

来週までに50個の単語を覚えてくることになっているのですが、
どれくらい単語を覚えてきてくれるか、とても楽しみです!


ノートを見開きで1つの大きなページとして使用。
これは斬新で効果的!
でも、「ノートは自分の脳にインプットするための道具なんだから、
きれいに書くのが大変なら、無理することはないよ」と伝えました

~おまけ~

今週はもう一つ、驚くべきことがありました。
当ブログでも「ディスレクシアの利点」「隠れディスレクシア」など、何度も紹介している、The Dyslexic Advantageの著者から、メールが来たのです!

ジャック・ホーナー教授の講演動画につけた字幕を見つけて連絡してくれました)

「「隠れディスレクシア」の記事は日本で大変反響がある、たぶん日本語ディスレクシアが英語を学ぶときに遭遇する問題を言い当てているから」と返事したら「日本のディスレクシアについてもっと教えて」と言われました(!)。
アメリカ西海岸の人らしく、とてもオープンでフラットで、パワーをもらいました。
そして、私がディスレクシア探究の旅において徹底的に前向きでいられる原動力の「The Dyslexic Advantage」を、必ずや翻訳して皆様にも読んで(聞いて)頂きたい!という思いを新たにしました。

5 件のコメント:

  1. うちの子の姿をいちばん全体的に表してくれたのが、もじこさんが紹介してくれた「隠れディスレクシア」の記事でした。うちの子の知能はふつうでギフテッドとかではないですが、そこ以外ほとんどすべてにあてはまって衝撃を受けたのを覚えています。
     「The Dyslexic Advantage」、ぜひ翻訳してください! 
    わたしも原書を買って読み、明るく前向きなメッセージに感動しました。自己評価が低くなりやすいディスレクシアに希望を与えるだけでなく、ディスレクシアでない人の世界観も変えてしまうすごい本ですよね。ぜひもじこさんの訳で読みたいです! 

     

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    1. ああ!ごぶさたしており申し訳ありません。日々てぷさんに心で語りかけて生活しておりました。
      隠れディスレクシア、私も初めて読んだときは衝撃でした。出版社探しがんばります~~

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  2. こんにちは。komariです。
    コスモ君、突破口が見つかって良かったですね!
    この前の「単語帳→長文読解」の間について考えていたら、先を越されたようです(^^)

    「興味のあること」については、まさにその通り!
    私の受験勉強は、好きな科目と苦手な科目を組み合わせて1日2科目構成にしていました。
    実際には、科目の中に好き嫌いがあったので(例えば化学は有機は好きだけど、他は苦手など)、そこも考慮していた気がします。
    苦手なことを勉強すると頭が疲れてなにもできなくなるので、好きなことを勉強して気分良く集中できるようになってから苦手なことに取り組んでいました。

    「単語帳→長文読解」の間ですが、いくつかの出来事があったからだと思います。
    (1) 中学校の日本史の先生が、歴史は年号や出来事を記憶する科目ではない、歴史の重要な出来事は起きるべくして起きた、その流れを理解することが重要、と教えてくれた。これで日本史が好きになりました。
    (2) 高校受験勉強で、四字熟語がさっぱり分からなかったとき、父に本を勧められた。「四面楚歌」では、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」など。
    (3) それをきっかけに歴史小説を読むことで、日本史を覚えやすくなった。ただし、戦国時代に特化しすぎて、センターでは近代史が出たため点数はイマイチでした。それに世界史や地理は、カタカナが覚えられず、結局ダメでしたし、日本史の人物名の読み方もいい加減で、音読は人前で出来ませんでしたけど(笑)
    (4) 高校の夏休みの宿題で英語の短めの小説を読まされた。まじめに読んだら、思いの外、単語力がアップした。

    これに加えて、勉強方法をディスレクシアっぽい母に教えてもらったのが、勉強するときはノートにまとめて、そのノートのどこらへんに書いていたかを思い浮かべると、テスト中に思い出すことがある、というもの。
    そのノートには好きな絵を描いたりしましたが、それも記憶喚起になるものだと教えてくれました。
    そして私にとっては、ノートをまとめるときに好きな参考書を探すのが重要でした。
    見やすい、理解しやすいのを本屋さんで何時間でも探したものです。問題集もしかり。
    字の読みやすさが違っていて、それが理解に大きく影響していたようです。

    イメージわきました?

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  3. 匿名さんのコメント,とてもイメージわきました。ディスレクシアであろうとなかろうと,それぞれの子どもにあった学習方法をつかみ取れるかってとても大切ですね。

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  4. うお-、komariさん、実に貴重な情報をありがとうございます!
    これは広くディスレクシア関係者に読まれなければ!!次の記事にしますので詳しくはそちらで。ありがとうございます!

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