ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2014-03-13

5年生のまとめ漢字テスト

今年も、まとめ漢字テストの時期がやってまいりました!

去年の担任の先生は、同じ問題を事前にくれたので、
それを何度も書いて覚えるという方式で臨みましたが、
今年はぶっつけ本番です。

ということは、道村式漢字カードの成果をはかる時がやってまいりました!


ドリルを使って、ひとりで書くと、鏡文字があちこちに。
本人は気づいていないようです。


3周目

まだひとりで漢字学習は難しいようです。
そこで、3日ほどかけて道村式漢字カードを1周し、
間違ったものをピックアップして2周目、
さらに間違ったものを3周目・・・という作戦に。

本人が「言うより書くほうが楽」と言うので、
つい書かせて確認を済ませそうになるのですが、
「言えなければ書けない」
逆に言えば、「言えるものは確実に覚えている」のです。
ここは頑張って、書こうとするのを止めて、あえて言わせます。
この多感覚法、30分もやるとクタクタのようで、目の上をおさえてぐったりしています。


散+解

3周目まで行ったあとは、ひさしぶりにiPadの「ゆびドリル」で書き取りのテストに取り組みました。


「構」を認識してくれず、iPadと勝負(笑)

「ゆびドリル」は、マス目に十字が切ってあり、
これを大きくはみだすと、文字を正しく認識してくれません。
「構」の字を20回書き直したりして、認識させるのに一苦労。
これが、ためになりました。




すみません、本人が出してほしいというから出します。。

右端のメダルがどうなるのかが見たい一心で、
4問×全67ドリルをほとんど1日で解き切りました。
2日目はテスト前日に、2時間かけて240問。
動機は不純ですが、やると決めたときの集中力は大したもんです。
全部解いた瞬間に金色になったのを見て大喜び(笑)
その後、ふぬけになってました。

当日は6時に起きて、道村式漢字カードの2周目で間違ったものを言って再確認。



「構」が鬼門らしいです(苦笑)


もちろん、非ディスレクシアの同級生に比べたらバランスの悪い字ですが、
それでも、3年生と4年生の頃に比べると、
字もそれなりにしっかりしてきたと思いますし、
何より定着率がかなり向上しました。

3年2学期のまとめテスト
4年生のまとめテスト

道村先生、ありがとうございます!
先生のカードはディスレクシアの子にも、非常に効果があります!
6年生も先生のカードで頑張ります。



道村式漢字カードについて、詳しくは→こちら

2014-03-12

オーランド・ブルーム、ディスレクシアを語る「自分をバカだと思ってはならない」

2/24深夜、当ブログは1時間1500アクセス(!)という瞬間最大風速を記録。
どうやら、ニュースZEROという夜の報道番組で、俳優オーランド・ブルームのインタビューが放映され、そこで彼が自身のディスレクシアについて語り、「ディスレクシア」を多くの人が検索したようです。このページの一番下にカウンターを設置してみましたのでご興味のある方はどうぞw

そのときの映像は検索しても出てこなかったたのですが、別の対談の映像が出てきました。

これが、とてもディスレクシア的な内容だったので、以下に訳してみました。

人の顔と名前がほんっと~に一致しない私は、オーランド・ブルームも今までよく分かっていなかったのですが、
話している様子を聞いていると、この方、思っていることをすごくストレートに出している印象を受けます。心がすごく近くに感じられると言うか・・・
個人的には、これこそがディスレクシア(芸術)最大の特徴だと思っています。




--7~8歳の頃の自分に何と声をかけたいですか?

夢を諦めるな、自分がバカだとは決して、決して思ってはならない。
他人に「バカだ」と言わせてはならない。
これは人格の問題でしょう。
この巨大な障害物を、大きなことを成し遂げるために越えなければならないハードルにするべきです。
このハードルを越えられれば、その分だけ人より遠くに行ける。より高い到達点に達するには、障害物が必要なのです。何というか・・・オールAで順風満帆な人生でも、麻薬に溺れることもあるし・・・とにかく、ディスレクシアという山を乗り越える挑戦は・・・(ちょっと感極まった感じで考え込んで)自分の人生の主導権を握り、自分を人生の勝者にしてくれるもの。


--宿題は大変でしたか?という質問が11歳の子から来ています。

悪夢でした。宿題はいつだって大変なことでした。エッセイ、論文、自分の考えを紙にまとめること、全部本当に大変で。でもとにかくベストを尽くすこと、そしてこの先の人生に何かが待っていると信じること、それが何かすぐに分からなくても。

オーディオブックは役に立つかも。あと自分はタイピングが今もできないけど、若い時に練習していたら役に立ったと思う。テクノロジーは役立つと思う。話しかければ文字にしてくれるコンピューターがあったらいいのにと昔から思っていたけど・・・

--ありますよ(会場からも口々に)

えっ本当に?どこに行けば買えるの?





--1年生の先生(first grade teacher)のことを覚えていますか?

初めて会った偉大な先生(first great teacher)?(会場大笑い)・・・1年生の先生、覚えてないです。
※gradeとgreatを聞き間違い!なんとディスレクシア的。

--学校は大変でしたか?

ずっと大変でした。一度通知表に「外を見るのとハムスターのケージを覗き込むのをやめさえすれば、おそらく賢い子だと思うのだが」と書かれたのを覚えていて。僕はとても気が散りやすくて・・・あととてもケガの多い子だった。事故がすごく多かった。

--どんな骨を折りましたか?

本当に多くて。頭蓋骨を数回、両足、背中、鼻、手の指、足の指、手首、腕(会場から笑い)などなど。4歳の頃、木から落ちて腕を折ったり、スツールから落ちて頭蓋骨にひびが入ったりで、僕があまりに入退院をくり返していたので、退院時に母は「息子さんのことを愛してますか?」と聞かれたほど(会場大笑い)。もちろん愛してくれてました。でもとにかくケガが多くて。


--いつも動いていた。

そうですね。

--ディスレクシアの他に、多動だと言われたことはありませんか?

いえ。ディスレクシアだって当時は知られてなかったですし。
7歳の時に初めてディスレクシアの診断を受けたとき、IQテストやパズルをたくさん受けて・・・7歳にとってはけっこう面白かったけどね・・・かなりIQは高かったらしい。そのことは大きくなって母から聞かされて嬉しかった。
でも読みと綴りは本当に大変だった。最初に行った学校はとても教育熱心(educationalを言えずに何度もつっかえる)母は僕のためにと思ってその学校に入れたが、合わずに喧嘩になってやめた。11歳の時。
そうして転校した学校はディスレクシア用のコースはなかったが、早退してディスレクシアの授業に出ることを許してくれた。その授業で筆記体を学んだ・・・いまでも最大の問題は、言葉よりも思考の方が早いので言葉が出づらいこと・・・話すのもそうだし、それ以上に書くのが思考に追いつかない
思いはたくさんあるんだけど、それを心にあるように紙に書くことができなくて・・・

--学校では良い子でしたか。

僕はイライラしていることの多い子だった。
学習障害だと、自分がバカだと感じる。僕は自分がバカじゃないと心のどこかで分かっていたけど、読み書きがつらくてそれが大きな足かせになっていた。
母が「ディスレクシアは才能(gift)でも、crust of bear?でもあるのよ」と言われたとき・・・

--つまり評価は良かった、それとも悪かった?

評価ではIQは高かった、だから母は「ディスレクシアは特別なこと」と思わせようとした。でも・・・それは隠したい種類のことだった。僕はディスレクシアをできるだけ級友から隠そうとした。

--友達からはバカだと思われていた?

何回か喧嘩はしたかも。僕は自分をバカだと思っていなかったし。
試験勉強はとても努力した。いわゆる、学校教育の次の段階に進むための試験では。でも教育をしっかり受けたとは思っていない。
偉大な文学を読んでいないことをとても残念に思う。
演劇学校ではじめて本当に教育を受けていると感じた。シェイクスピアやダンテなどの偉大な詩人に初めて接したから。それまでの学校は自分に合わなかった。投薬は受けたことはない。ただ筆記体を学べただけで。


※ディスレクシアには筆記体のほうが書きやすいとは、ジョリーでも聞いたことがあります。
※「思考に字を思い出すのが追いつかない」。これはディスレクシアからよく聞きます。
「思考に言葉が追いつかない」は初めて聞いたかも。

※うちも、止まっている自転車の列に走り込んで衝突したり(笑)、プールに初めて入った日に調子に乗って溺れたり(笑)小学校に上がる前は、ほんといろいろありました。




演劇学校時代からなぜかエージェントがいたんだけど・・・あるとき、舞台上でセリフがまったく出てこなくて固まってしまったことがあった。今思えばそれは緊張というより、ディスレクシアと関係があったんだろうけど。
それ以来、表から裏まで徹底的に準備してから、舞台に臨むようになった。
エージェントに「台本は3日前には欲しい」と強く言うようになった。台本を読みながら寝て、次の朝起きてすぐ読むと、自分の中に浸透していくのが分かった。それを2晩繰り返す必要があった。
映画業界は台本の変更が多いので、大変な部分がすごく多いんだけど・・・

--台本は読めますか?

演劇学校の3年間で、どうやってかは分からないが、音読ができるようになった。ミルトンの『失楽園』のように映像が鮮やかに浮かぶ小説なら、意図とつながることができる。ある先生の教えが特に役立った。英語が話せず通訳を介しての授業だったんだけど、演者の魂まで見透かすような人で、この先生から、字面ではなく意図を覚えることを学んだ。セリフ読みもさせてくれなかったほど。これは役に立った。


※字面ではなく、登場人物の思い(thoughts)を読むというのは、いかにも映像思考型なディスレクシアらしいエピソードです!

※前の話とあわせると、文豪の作品、それもイメージ喚起力の強い作品を朗読することで、きっと彼は読めるようになったのでしょう・・・




僕はコンピューターがとても下手で。幸運にも助手を雇える立場にあるけれど。助手のおかげで永遠に続くもぐら叩きのような一日を何とか終えることができる。気が散りやすく、やらなければならないことができないことがとても多い。

--趣味の読書はしますか?

寝る前にしようと努力している。台本を読むのにもすごく手間がかかるし・・・緑の紙だと読みやすいので、台本もそうしてもらうよう頼んでいる。白い紙だと紙の上で焦点が定まらない。

とっちらからないよう心がけていて、昔よりうまくなった。
役を与えられたら、徹底的に分解してから、スクリーン上でそれを再現するためにあらゆることをする。カメラの前でそれに命を吹き込むためにあらゆることをする。それが俳優業の面白いところ。


※字を読むために、字面の言わんとすることを徹底的に分析し、内容のほうから字を推測しているのでしょう。
恐ろしい回り道ですが、いかにもディスレクシア的な読み方だと思います。
その読み方が、演じるためにも役立っているのですね。。



2014-03-06

ディスレクシアをめぐる10の迷信

ごぶさたしてしまいました!
この1ヵ月は多くの勉強会に潜入しました。ターニングポイントとなる、いくつかの出会いもありました。
なのに、アベノミクスのせいか東京五輪のせいなのか、人類の限界に挑戦というレベルの翻訳量でして(ただし翻訳料ではない)、勉強してきたことをまとめる機会がないまま月日が流れてしまいました。。。
このレベルまで来ると、子のこともほったらかしで、するとやつはどんどんDSにはまり、誤字が増え(苦笑)まずいです。

ようやく仕事が一段落ついたので、この1ヵ月間に聞いた印象的な指摘を、「10の迷信」という形にしてみました。
以下も参考にしています:
http://dyslexia.yale.edu/Myths.html
http://www.prometheantrust.org/dyslexiamyths.htm


×迷信1「ディスレクシアは見え方の問題である」

「ディスレクシアは音⇔文字の結びつきが遅い」というのが最近の見解のようです。
視覚の問題だけでなく、音の問題(耳ではなく、音を脳のなかでどう処理しているか)も大きそうです。

・眼球運動がうまくできないために読みがつらい場合があるようですが、
眼球運動を改善することで読みが改善されるケースは、ディスレクシアとは言わないとのこと。

・ディスレクシアの表れ方は多彩です。
文字が飛び出て見える人、踊って見えるという人もいれば、普通に見えると言う(自己申告ですが)人もいます。

・幼い頃は(ディスレクシア、非ディスレクシアを問わず)語彙力、特に抽象語の語彙力が読解力を左右する。
このため、ディスレクシアであっても特に抽象語の語彙力をカバーすればキャッチアップできる
だが、小6を過ぎると、非語の理解・反復能力が読解力を左右する要素になってくる。
言い換えれば、音韻処理能力(脳の中で、未知の文字を音にすること)が重要になってくる。
ディスレクシアの子はこれが難しいので、特にサポートが必要。

個人的には、ディスレクシア的な「音」の認識が、最近の大きなテーマです。


×迷信2:「ディスレクシアは必ず悪筆だ」

ディスレクシアは「誤字が多い」and/or「字がめちゃくちゃ汚い」という形で表れることが多いですが、
「字は正確だし汚くないが、書くのがめちゃくちゃ遅い」という形でも表れます。

ディスレクシアの3タイプ:
・読み書きは速いが、間違いだらけ
・読み書きは正確だが、非常に遅い→→このタイプは特に見落とされがち
・その中間

日本語の場合、鉛筆は苦手だが筆なら得意というディスレクシアがいます。
こういうタイプの場合、毛筆の字は美麗というケースもあります。
(しかし、読むのが非常~に遅い)
こうなってくると、本当に見抜きづらいです。


×迷信3「女のディスレクシアはいない」

ディスレクシアは男女差はそれほどないというのが定説のようです。
男子のほうが多く見えるのは、男子のほうが”問題行動”が多い(女の子はおとなしい)からなのでしょう。

女の子は「正確だが非常に遅い」パターンが多いので、余計にディスレクシアだと気づかれにくいのが現状です。


×迷信4「ディスレクシアで学業優秀ということはあり得ない」

ディスレクシア=学力不振かというと、一概にそうともいえません。
有名大学・大学院修了、高度専門職など、いわゆる「学業優秀」でないと不可能な職についているディスレクシアの人はけっこういます。
隠れディスレクシア


IQが高い、努力家、モチベーションが高い、周囲から適切なサポートを受けられた・・・といった条件がそろっていることが多いようです。

周囲への適切なサポート。これについては「語彙が豊富な家庭環境だと、ディスレクシアの子はその後成功する可能性が高まる」とのことです。



×迷信5:「ディスレクシアはIQ(知能)が低い」
ディスレクシアとIQは関係ありません。
非ディスレクシアにもIQの高い人と低い人があるように、ディスレクシアにもIQが高い人と低い人がいる。それ以上でも以下でもありません。
ディスレクシアはIQとは無関係


×迷信6:「逆に、ディスレクシアなら非常に賢い」
5に同じ。ディスレクシアであっても、大半の人は普通の市民です。
身の回りにいるちょっと変わった面白い人として、普通に生息してます。

ディスレクシアの有名人もよく話題になります。
たいへん心励まされることですが、だからといってディスレクシアが全員有名人になるわけでもありません。あしからず・・・


×迷信7:「ディスレクシアだと全く読めない/書けない」
「読字障害」と言うと、まったく読み書きできない人を想像してしまいますが、実際にはディスレクシアの人は、まったくケアを受けていない場合でも、傍からみると下手なりに読み書きできる場合がほとんどだと思います。
「字が苦手」「字の間違いが多い」と言うほうが実態に近いです。


×迷信8:「ディスレクシアだと、一生読める/書けるようにならない」
・ディスレクシアでも、適切な訓練を受ければ、読み書きできるようになります!!
ただし、普通の子の何倍かの努力が必要です。
(その方法が当ブログの1大テーマなわけですが・・・。)

・ディスレクシアの人は、持ち前の創意工夫により、書かれていることの内容を理解するための戦略を独自に身に着けていくようです。


×迷信9:「小学校に入らないとディスレクシアだと分からない」
日本ではディスレクシアの存在も知られていないですし、対策も手探りのなか、気の早い話ですが。。
欧米では、脳を調べればディスレクシアの有無は就学前に分かる、とか、
親やきょうだいにディスレクシアがいる場合は、ディスレクシアかもと考えることができる、とされています。

就学前に「?」と思ったので医師に相談するも、「しばらく様子を見ましょう」と言われたので放置。
これは本当に残念なことです。
早くからディスレクシア対策をとればとるほど、あとあとの苦労も小さくて済みます。


×迷信10:「ディスレクシアは必ず不器用である」
ディスレクシアは、言語の他の側面、運動能力、暗算能力、集中力、整理整頓が苦手、という困難も併発するが、これらはディスレクシアの裏付けではない、とのことです。


2014-02-19

ディスレクシアは、音を聞いてから文字を見ると覚えやすい

2/14にオックスフォード大学が発表した小さな記事を訳しました。


・ディスレクシアは、目→耳、感覚→別の感覚へと注意力をシフトさせるのが困難
・音を聞いてから、対応する文字や単語を見ると、早く覚えられる
・アクションゲームは注意力を移動させ続ける必要があるため、読み書き能力を向上させる可能性がある
(具体的なゲーム名の記載はなし)


注意力を保持させるテレビゲームが、
ディスレクシアに役立つ可能性
原文→こちら


<ディスレクシアは、視覚から聴覚へと注意力をシフトさせるのが困難だ
オックスフォード大学の研究グループが発表した。>

アクションTVゲームは注意力の焦点を常に移動させ続ける必要があり、このことが読み書き能力を高める可能性があると、研究者たちが示唆している。ただし、まだ検証が必要だともしている。この研究結果はCurrent Biologyに発表された。

「誰かと会話をしていて、急に背後から名前を呼ばれたとする。この時、人の注意力は目の前の相手、つまり視覚から、後からする音へとシフトする。これが感覚間での注意力の移動だ。ディスレクシアの人は読み書き能力が高い人と比べて、視覚的刺激から聴覚的刺激へと注意力をシフトさせることが特に難しいことが分かった」と、オックスフォード大学実験心理学門、Vanessa Harrar博士は言う。
Harrar博士自身が子供の頃に読み書きに困難を抱えていたため、この研究には個人的に関心を持っているとも言う。「私自身はディスレクシアの診断を下されたことはなく、読み書きの困難は過去のものだ。昔は読むのが非常に遅く、スペルミスも大量にした。読むのが困難になればなるほど読むのを避けるようになり、そうしてクラスメートとの差が広がった。」

「今でもたいていの人より少し読むのが遅いが、それ以外の点では困難を克服した。今では毎日、一日中読み書きしなければならず、もう困難は感じない。私はラッキーだったと思うし、他の人も自身の困難の克服に必要な戦略やトレーニングを見つけ出せることを願っている」。


研究は、ディスレクシアの診断を正式に下された17人と、対照群として読み問題を抱えていない19人が参加して行われた。
参加者は、音が聞こえたとき、弱い光が点灯したとき、またはその両方を認識したときに、できるだけ素早くボタンを押すよう指示された。ボタンを押す速さを記録、分析した。
どの参加者も、同じ種類の刺激が繰り返された時(「点灯→点灯」「音→音」)が、反応が最も速かった。だが、ディスレクシアの人は「音→音」と比べて「点灯→音」の反応が0.35秒遅かった。なお対照群は同0.20秒遅くなるにとどまった。

博士は、さらに研究を進める必要があるとしているが、ディスレクシア用トレーニングプログラムはこの点を考慮に入れることを検討すべきだと提案する。
ディスレクシアが文字と音の関係を学ぶには、まず音を聞いてから、次に対応する文字や単語を見ると、より早く覚えられるかもしれないと考えている」(Harrar博士)。まず文字を見て、それから音を聞くという、従来の方法とは正反対だと博士は言う。

さらに同博士らは、読み書き能力を向上させる可能性のあるアプローチの一つとして、アクションTVゲームを提案する。
この考えには根拠がないわけではない。ディスレクシアは注意力、特に視覚的注意力を誘導する脳回路が関わっているとされる。2013年にはイタリアの研究グループが、注意力向上を念頭に選んだテレビゲームが、ディスレクシアの読み能力を高めた可能性があることを示した→※翻訳
今回のオックスフォード大学の結果はまた、ディスレクシアは注意の焦点を当てたり当て直したりする点に問題を抱えているとの仮説を支持するとともに、ディスレクシアは感覚間での注意力の移動に困難を抱えていると問題点を拡張している。

「先行研究で使われたテレビゲームに手を加えて多感覚的な要素を含めるようにして、メリットを比較するのも面白いかもしれない」(Dr. Harrar
「ディスレクシアのなかには、聴覚的欠陥がより明らかな人、視覚的欠陥が明らかな人、さらには多感覚的な問題が強い人もいる。長期的には、ディスレクシア用トレーニングプログラムを一人一人の子供に特有の感覚的欠陥にあわせてターゲット化できるようになりたい」。


~~~~

んであげながら目で追ってもらう」が有効だということですね。


2014-02-18

ジョリーフォニックスその5:非ディスレクシアとの習得の違いを目の当たりにする

今日は、ジョリーフォニックスの伝道師、山下かよこ先生が
直接子供にジョリーを教える様子を、見学することができました!
Yamatalk Englishさま、このような企画をほんとうにありがとうございます!

私が仕事で教えている生徒は大学受験生なので、
非ディスレクシア児童が英語を学ぶ様子を見るのは、今日が初めてでした。
ディスレクシアとはかなり違う・・・とても勉強になりました。


本日のセミナーに参加した子は未就学児が中心で、
そこに小5男子(うちの子)も、途中から混ぜていただきました。



①物語を読む、オトを教える
テキストは、←この本の教室用巨大バージョンを使っていました。
巨大というだけで引き込まれます。幼児にとっては等身大です。

このテキストは、1文字ずつ物語仕立てになっています。
この物語を日本語で話して聞かせ、
そのなかにletter soundを織り交ぜて、
さりげなくオトを教えてしまう山下先生。
例えば
「ヘビがあいさつしてるよ。でもちょっと恥ずかしがりやさんだから、sssとしか言えないんだって」というふうに。



日本語で教えているのですが、英語の音は正しく入れる、
その手腕にまず感動しました。



②セグメンティング
/s/というオトを教えたら、次に単語を言って聞かせ、
どこに/s/が入っているか言ってもらいます。
「snakeは最初、nestは中に、/s/の音があるね!」というふうに。
いわゆる「セグメンティング」ですね。

ディスレクシア的に、けっこう驚きました。
うちのやつは多分、これはそんなに簡単にはできません。
(初めての単語を読むときは、語や文全体の音のリズムをつかみ、
それから個々のオトへ、というような単語認識の仕方をしています)

しかし、年少さんで「nest」で/s/の音は2番目に来るよ!
jamで/a/の音は前にくっついてるよ!
とノリノリで即答していた子もいました。
ディスレクシアと非ディスレクシアではこうも違うのかと。。。
この差こそ、「ディスレクシアには音韻認識が欠けている」ということですね。

でもしかし、ジョリー歴半年だから言えます!
普通の子の何倍かの時間をかければ、
ディスレクシアでも「nestで/s/のオトは2番目に来る」と言えるようになる
(いま本人に来てもらい、できることを確認しました)

山下先生も「どこに/s/の音があるかを聞き分けられるようになるのが、
書けるようになるために、とっても重要なんです
とおっしゃってましたが、ほんとその通りです。
ディスレクシアである子が、オトの聞き分けにかなり苦労していることが、その証拠です。

では、ディスレクシアの子は、
オトを聞き分けられるようになれば、書けるようになるのでしょうか・・・?
そこはまだ、私には分かりません。



③文字を書く
山下先生は次にすぐ、文字を”書くこと”に移ります。
大きく空書き、小さく空書き、両手書きをしてから、
何人かに前に出てきてもらい、ホワイトボードに書いてもらっていました。
もちろん書けたら目一杯ほめます。
「読める・書けるのは楽しい!」という感情を、山下先生は巧みに引き出していきます。


書くことについては、
ディスレクシアと非ディスレクシアの違いがさらに多いと感じました。
うちの子は、かなり真面目にジョリーに取り組んでいると思いますが、
それでも、まだ鉛筆で文字は書きたがりません。

空書きはしています。
でも、最初のうちは、aなどに含まれる○(ループ)を円に書くのも難しく、
妙に縦長のものになっていました(斜め線がつらそうです)。

そろそろ鉛筆で字を書くことに移行しようかなと思うのですが、
タイミングが難しいです。


文字を書くのは難しいので、マグネットを使っています。
this iz a penはフォニックス綴りしてます。


対照的に、非ディスレクシアの子たちは、「書く!書く!!」とノリノリでした。
未就学児でも、大喜びでsやaを書いていました。
そういえば、知らない字が書けるようになるのは、大きな喜びだよね・・・
日々ディスレクシアの子だけを見ていると、忘れがちなことです。

でも。ディスレクシアであっても、
書けるようになるのは、非ディスレクシアと同じように嬉しいはず。
字が書ける喜びを前面に出す余裕はないとしても・・・
と信じたいです。



④ブレンディング
最後に、s・a・tのブレンディング指導のお手本も見ることができました。
s・a・tをだんだんくっつけ気味に言っていき(まさにブレンド)、誘導気味にsatと言わせていました。
これも、非ディスレクシアの未就学児はあっという間にブレンディングができていて、
ディスレクシアとの違いを感じさせました。
うちの場合、ブレンディングはかなり苦労しています。

でも、繰り返しになりますが、もう一度言いましょう。。
普通の子の何倍かの時間をかければ、
ディスレクシアでもブレンディングは少しずつできるようになると。


☆  ☆  ☆


子は、付属の本を一冊読み上げて(半分は暗誦して)、
山下先生にジョリー学習歴半年の成果を聞いて頂きました。
ゆっくりながら、文字を見て音を思い出すこともでき、
また、山下先生の前で「f・l・a・p」とブレンディングをしていました。


帰宅後、「緊張したよ~」と申してましたが、
母親以外の人の前でブレンディングが出来たことに、
シンセティック・フォニックス(ジョリー)の正しさを再確認できました!


今日感じたことのまとめ:
非ディスレクシアにジョリーで教えると、かなりあっという間に文字と音の対応を覚える。
(1回15分、週1回で定着するとのこと)
ディスレクシアだと、この何倍かの反復が必要。
(1回15分を何度も何度も復習して)
・非ディスレクシア、ディスレクシアとも、ジョリーで教えると、正確な発音で読める
授業のほとんどを日本語で行っても、英語の音も文字も正しく入る。
・非ディスレクシア/ディスレクシアの両方にとって、非常にスモールステップであり、かつポジティブ。「これを積み上げていけば、確かに未知の単語に遭遇しても、自力で発音できるだろうな」と予測できる。
・ブレンディングや空書きに困難を覚える時点で、ディスレクシアかも?と思ってその子を眺めることができるかもしれない。


関連記事
ジョリーフォニックスを試してみる・その1
ジョリーフォニックスその2・「音→動作→文字」の回路をつくる
口で言えればアルファベットも書ける?!
ジョリーフォニックスその4・例外を使って規則を定着させる





2014-02-13

里田まい「アメリか」と書いた理由…はきっとディスレクシアだから

コメントを書いて下さる方から、教えて頂きました!

里田まい「アメリか」と書いた理由

…過去には「田中将犬」も


 ・・・「田中と里田らを乗せたチャーター便は9日(日本時間10日)、米ニューヨークのケネディ国際空港に到着、これを紹介した日本のテレビの映像にチャーター機から大量の荷物が運び出され、その荷物には一つ一つ内容が記され「DVD」「NY帽子」などと書かれていた。そして「アメリか」と書かれていた箱があったことについて楽しくコメントした。

 「アメリか」と題したブログで「みんなからのコメントとか、友達からのメールで、引越しの段ボールが写ってたよー段ボールに『アメリか』って書いてあったーって聞いて」として「バレたwww」と明るく続けた。

 「なんか私、すぐ点をつける癖があって、結婚したすぐの頃、田中将大って書こうとしたら、田中将犬ってなっちゃってたことがあったな。ふと、その事を思い出しました」とほのぼのとつづった。」・・・


おお、これはまさに「野比のび犬」タイプの間違い(笑)




当ブログでは、のび太(と藤子・F・不二雄)はきっとディスレクシアと考えています。


里田まいさん、なんかいろいろ納得です。
おバカタレントで売っていたのに、料理でしっかり夫をサポートとか、
億万長者になったのに、ひょうひょうとしている天然ぶりとか。。

英語の文字では苦労するかもしれませんが、
きっと会話力はすぐに身につくことと思います!


関連記事

2014-02-10

「発達性ディスレクシア研究会」研修会にて、地道な訓練の必要性を再確認

「発達性ディスレクシア研究会」の研修会に行ってきました。

大雪で前夜出発の予定が狂い、朝4時半に家を出て始発ののぞみで大阪入りしました。何が私をそこまで突き動かすのか?!(笑)
でもそれよりはるかにすごいのは、何事もなかったかのように朝9時から充実した講義をされた宇野先生です(T T)。
聞けば土曜16時に市川から東京駅に向かったとのこと。
それは一番雪の激しい時間帯だったはず・・・。

今回は研修会なので、主に教員を対象に、ディスレクシアの定義・頻度・評価に関する、とても充実して良くまとまった講義と、「合理的配慮」に関する品川裕香さんによる講演が行われました。
品川さんは非常にパワフル、圧倒的情報量の機関銃トーク80分。途中からメモを取ることを諦めました(苦笑)。たくさん宿題をもらった気がします。本では各方面に気を配り、相当抑えて書いていらっしゃることを知りました。

以下、考えたことを書いてみます。


■ディスレクシアは音韻認知と視覚認知の障害である

日本語における発達性ディスレクシアの定義の説明がありました:
(宇野ら「小学生の読み書き計算スクリーニング検査」より)

「発達性ディスレクシアは、神経生物学的原因に起因する特異的障害である。
(↑生まれつきであり、育て方や環境ではない


その基本的特徴は、文字や単語の音読や書字に関する正確性や流暢性の困難さである。
(↑書字:綴り[オトを聞き、文字を思い浮かべる]+書くことを指す。
  流暢性:音読・書き始めるまでの所要時間と、書き終わるまでの時間の両方を指す。
  また、「流暢性の困難」には、「正確に書けるが時間がかかる」も含まれる)


こうした困難は、音韻認知や視覚認知などの障害により、全般的な知能水準から予測できないことがある。二次的に読む機会が少なくなる結果、語彙の発達や背景となる知識の増大を妨げることが少なくない。この障害は1999年に定義された文部科学省の学習障害の中核都考えられる。」
(↑欧米ではディスレクシアは音韻性障害とされるが、日本では音韻性+視覚認知性の困難の両方を持っているケースが90%を占め、一方のみは5%ずつに過ぎない。英語圏で言われていることをそのまま日本語世界に適用するのは無理がある。)

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欧米ではディスレクシアは音韻性障害とされるが、日本では音韻性+視覚認知性の困難の両方を持っているケースが90%を占める
→抽象的な話になってしまうのですが、
これは人種による身体機能の差(「日本人にはイギリス人やアメリカ人より視覚認知力が弱い人が多い」)の話ではないと思うのです。
ということは、これは
「ディスレクシアの人は人種問わず同じ困難を脳に抱えているが、日本語は、そのなかでも視覚認知性の困難を引き出しやすい」
もっと言うと「英語圏のディスレクシアも、視覚認知と音韻認知の両方に関係する問題である。音の問題のほうが前面に出てくるが」
ということだろうと思います。

見ることと聞くことって、意外なところでつながっている可能性はないのでしょうか?

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→もう一点。
傍で見ている親の感覚だと、日本語ディスレクシアはまず
「字が異常に苦手」という形で表れ、
音韻性の問題があることに意識が向きにくい気がします。
「うちの子は、問題を読んであげれば解けるので、聞くほうは問題ないです」
ということになりがちです。

実はうちの子も、かなり聞き間違いをしています。
実生活では単なる面白エピソードになってますが。
最近だと「アーメン」を「ラーメン?」、「あくびするとき手で押さえて」を「あくびすると千円あげる?」に。これを絶妙なタイミングで聞き返してくるので、ツボにはまったり激しくムカついたり(笑)

でも本当は、これらを単に面白い話として片付けずに、
「こういう聞き間違いを改善できれば読み書き能力にも良い影響がある」
と考えるべきなのかも・・・?






■地道な訓練は必要なのだ
1)
今回は、具体的な教え方の話はテーマ外だったのですが、
全体の話から、「少なくとも小学生のうちは、地道な読み書き訓練を徹底的に行うべきだ」というメッセージを私は受け取りました。
機器に逃げるのではなく(←厳しい言い方ですが)、毎日こつこつと基礎訓練を続けること。
もちろん、ディスレクシアに合った形であることが条件です。
そうすれば、仮に完璧に読み書きが流暢にならなくても、それなりに身につくはずで、
それこそが大人になって「あの頃頑張っておいてよかった」と思えることだろうと、そう信じます。

現実的には、これは家庭学習(+確保できるなら週1回程度の専門家による指導)になるでしょう。
全部外注しようとすると、通学の負担と金銭的負担が大変なことになりそうです。

2)
地道な訓練はいつ終わるのか?
知能の高い純粋ディスレクシアの場合、高校生の後半にもなれば、読み書きの苦手さをカバーする自分なりの読み方の方略を身につけつつあります(「隠れディスレクシア」)。
おそらく、中高時代のどこかで、「地道な訓練による読み書き能力の伸び」を、「読み書きの苦手さを文脈把握力でカバーすることでの読解力の伸び」が上回るのでしょう。
そのときが、地道な訓練の終わり時だと予想します。
現時点では、それがいつかはちょっとわかりません。
子(小5)と予備校で見る高3生の間であることだけは確かですが。


私の知る限り、「隠れディスレクシア」なら、大学受験の時点で、読み書きの苦手をカバーする方法を自分なりに身につけていることが多いです。
抜けが多かったり、雑だけど読むのがものすごく速かったり、逆にかなり遅かったり。文脈や予備知識を使って読みます。構文知識はしっかりしていることが多いです。
あまりに上手にカバーしていて、自分でも読み書きが苦手だという自覚がない場合もあります。

3)
大学受験を目の前に控えて、あるいは大学生になって、ようやく読み書きの苦手が明らかになった子に、どう対処すべきか?
まだまだ実践報告の少ない年代のようです。

「隠れディスレクシア」になれなかった子というのがいます。
高校生になって自分なりの読み方略を身につけていなかったり、読めないまま自信を失ったりしているケースです。読んだり書いたりするのが超絶に遅い(正確な場合も、正確でない場合もあります)、さらには書けないケースもあります。
「中堅高校や地方中堅国立大学にも、こういう子ってちょこちょこいるよね」という話も内輪で出ました。
「ディスレクシア」という言葉を使わずに、基本に戻ってたたき直すのが、遠回りに見えておそらくは一番本人のためになると思いますが、現実には本人に納得してもらうのがまず難しそうです・・・。


品川さんからは、字が読めないまま結婚・出産し、子供が小学校に入るも、電話でメモが取れずに連絡網が回せなかったり、学校からもらってくるお知らせが読めなかったりして、パニックに陥っている事例が紹介されました。
私は「大学入試さえクリアすれば、あとは直筆を封印し、性格や日々の行いを良くするとかして(笑)人にお願いする力を超絶に伸ばせばいい」と思っていたのですが、そうとも言い切れないようです。




#地道な訓練が必要とはいえ、先は長い・・・