ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2013-08-23

『読み書きが苦手な子どもへの<つまずき>支援ワーク』ふたたび

神奈川LD協会主催・村井敏宏先生によるセミナーに参加してきました。
奈良県の小学校教員で、放課後にディスレクシア・ADHD児の指導に取り組まれているそうです。
以下の本の著者でいらっしゃいます。
セミナーでは、この本の背景にある考え方や知見について説明されました。









『読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク』には、「ひらがな聴写テスト」が掲載されています。
小1で、普通学級で全員の生徒に行うことで、読み書きが苦手な子のスクリーニングとなることを意図しているとのこと。
もちろん、家庭や塾でも使えます。

「ひらがな聴写テスト」は、どのような間違いが多いかに応じて、子供の苦手な部分が分かるように作られています。
つまり、
拗音(きゃきゅきょなど)の間違いが多い→音韻認識(音韻に対する意識)が弱く、
長音(のばす音)や促音(っ)の間違いが多い→空間認知が弱い、ひいては時間感覚がわかりにくい
のだそうです。


さらに、弱い部分を補強できるプリントが収録されています。
たとえば、「っ」が抜けてしまう子のための、「っ」のつく言葉を穴埋めする練習問題。
モーラごとに一緒に手をたたきながら確認すると、より効果的だそうです。


うちの子は、小4で上の本の途中まで取り組みました。
特に「ひらがな聴写テスト」は、ディスレクシアの疑いがある子なら、一度は試してみる価値があると思います。
うちの場合も、小4でもひらがなの特殊音節を間違えていました。中学年になっても十分に有効だと感じます。

これらの本にうちでは直接書き込んでしまったのですが、本来はコピーして、一人の子が同じ問題を何度か解くようにしたほうがよいかもしれません。
村井先生は「引っかかりやすいところを重点的に抜き出して問題にしている」とおっしゃっていました。








このシリーズには4~6年生用の『読み書きが苦手な子どもへの<漢字>支援ワーク』もあります。

漢字をパーツに分け、場合によっては成り立ちを説明することで、理解を促すというアプローチです。

うちの場合は、漢字のパーツをパズルのように並べると混乱しそうなので、この方法は避けていましたが、有効なようなのでいずれ試してみたいと思います。


村井先生は、「ないなら自分で作ろうと」「いま試作中のものは…」とさらりと言ってしまうあたりに、大変な引き出しの多さを感じました。
現場の教師が生徒の顔を思い浮かべて自作する教材はホンモノです!教えながら教材を作るのは理想ですが、並大抵のことではありません。

2013-08-21

ディスレクシア児指導において、iPadよりも大切なこと


私の仕事もひと段落したので、1日1.5時間の家庭学習を再開です。
神戸のセミナーを受けてパワーアップしました(笑)!

①百マス計算
本人の自信のある分野から。
眼球運動にもなるのではないかと信じて。

②ブレインジム「PACE」
ブレインジムとは、ディスレクシアの子の感覚統合を助けるという簡単なアクティビティ(軽い運動)です。
現在ブレインジム101受講中(私が)で、子供に試しています。
いずれ詳しく書きたいと思いますが、これは面白いかも!
表面に表れる「字の書けなさ」への対症療法にとどまらず、子供の認知に働きかけているような気がします。

③視写
今週からは、先日訳した「ディスレクシアのインスピレーション」。
「ママはこれを読んで感動したから、あんたにも読んでほしいの」と押し売り気味にスタートです。

場数のせいか、ブレインジムのせいかは分かりませんが、前よりも量が書けるようになりました。



④漢字の復習
1学期の漢字の復習。できないものはブロックで作ります。
視写もあって疲れているので、鉛筆で書くのは15漢字、ブロックで作るのは5漢字が限界。


交差の場所から作っていこうとします。
やはり線の密度や交わりを見ているようです。


⑤ブレインジム「∞」
∞の字を書きながら眼球運動。これが意外とできない。
これが出来るようになるころには、図形をとらえる/書く能力がアップすることを期待して。

⑥社会の宿題

自力で解くとあてずっぽうに答えを書いてしまいますが、
読み聞かせれば答えられます。

本人にとっていま一番難しい課題。


⑦音読
「はれときどきぶた」シリーズから。
興味のある内容なら音読もできます。


☆  ☆  ☆

試行錯誤を1年半ほど続け、いろんな人にいろんなことを教えてもらって、私はようやく、ディスレクシア児用学習プログラムとはどうあるべきかをつかみかけてきた気がします。


  • 「字が苦手」の先を、注意深く観察すること。
単に「こんな字も書けないの?!」で止まるのはもちろん×ですが、「字が苦手なんだから字の練習をしようね」も、たぶん×です。
なぜ苦手なのか・・・どのように見えているのか。思い出すのがつらいのか。思い出せても手がそのように動かないのか。見る部分が弱いのか、聞く部分が弱いのか・・・を観察すること。


  • 教え方の引き出しをたくさん持つこと。
ディスレクシアの苦手さは個人差が大きい。加えて、同じ人でも日によって調子が大きく違うし、進歩もする。
「ひとつの方法に決めてそれでおしまい」ではなく、常に観察し続け、それにあわせて新しい教え方を試す。
iPadアプリ学習法に落とし穴があるとしたら、この点にあります。
引き出しのひとつとしてiPadを使うのは効果的でしょうが、「これさえやればディスレクシアを克服」のような魔法のアプリはないのです。


  • 得意(だと本人が思っている)能力を使って、苦手な能力にアプローチすること。
ディスレクシアの場合、発達に凹凸があるはずなので、凸の部分を使って凹にアプローチする。
うちの場合は、算数が得意だと自分で思っているので、百マス計算を使ってウォームアップをしてみました。漢字の書き取りばっかりだとへとへとになってしまいます。


  • 目の前の子供の能力を信じること。
文科省教育で期待されているよりも一見、発達が遅く見えますが、発達が遅いのではなく発達の順番が違うという見方もできます。ディスレクシアの子には年齢相応または年齢以上の自意識があるため、できない自分に劣等感も屈辱感も感じています。ミスは怒らずにさりげなく直し(または、なぜそうしてしまったのかを議論し)、こまめにほめる。


  • その問題を解くことの意義を教える。
ディスレクシアの子は「全体像」を知りたがります。この知識が全体にどうつながるか、この勉強が将来にどうつながるか、といったことを知ると安心して学べるようです。「いいからだまって覚えなさい」は最も学習効果を低めます。





iPadを与えるよりも大切なこと・・・
それは、その答案を書かせた心理状態に着目すること、生徒をよく見て半歩先の指摘をすること、常にポジティブに接し生徒が伸びることを疑わないこと、です。
予備校講師としては十分に知っていたつもりだったのに、実の子だからかディスレクシアだからか、そのことを忘れていました。

2013-08-20

「発達障害児への学習指導は、食育と同時並行であるべき」


  • 食育と発達障害児への学習指導は、両輪であるべき。
  • 食事を改善することで、発達障害による症状の改善が早くなる。


7月31日から8月1日まで参加した村上加代子先生主催の「まなび支援セミナー」での、講師の下津浦陽子先生の話です。

発達障害の子は微量ミネラルが足りていない、腸内環境を整えることが何より大事だと力説されていました。
雑穀米、または玄米(30回かまないと意味なし)、発酵食品、地産地消、旬の温野菜、小魚をとること、牛乳はヨーグルトとして摂るとなおよい、スナック菓子・ジャンクフード・化学調味料は禁止。
不妊治療・妊娠中に受けたストレス・帝王切開、幼児期の虐待やストレスフルな環境なども発達障害を助長するとも。
詳しくは、ギフテッドのサイトにも掲載されています。



食と思考の関係ですか・・・・・
それは私が翻訳者生活の中で、最も興味をもって追いかけてきたテーマのひとつです。
訳質や処理能力を高めるにはどうしたらよいか?と考え続けて、たどりついた答えのひとつが「食」でした。
とはいっても、コーヒーとチョコレートがやめられないので、厳格とはほど遠いのですが。。

食が思考に大いに影響することは、間違いありません。
未精白の穀物、味噌や納豆、旬の野菜を中心にした食生活を守ると、原文がクリアに見えますし、訳語が思いつきやすくなることは日々実感しています。
実は私のADHDにも効いているかも。気分の激しい上下も減る気がします。

そこから考えると、ディスレクシアの子にとって、食べ物が読み書き能力を大きく左右することは、私はすんなり納得できます。




そこで、子供の食生活を振り返ってみました。
改めて考えるに、子の食に対するこだわりが独特かもしれません。



□玄米
うちは10年前から夕食は玄米です。子供もずっと玄米です。
子は「うちのごはんは茶色い」と割り切って普通に食べてます。
(給食や外食、実家で白いごはんが出てくると喜んでおかわりしてますが)
ごめんよ・・・でも、玄米のほうが私は思考がクリアになるので、ここはゆずれません。

雑穀は、家族がいやがったので、続きませんでした。

幕内秀夫さんの本のほか、
マクロビや玄米菜食の本も
ずいぶん読みました。
□肉、魚

玄米菜食を1年ほど実践したこともありますが、巨大子宮筋腫ができて以来やめて、今は普通に肉も魚も食べています。ただし「ザ・肉!」みたいな料理は外食でしか食べません。

子は焼き魚が大好きです。塩を振らずに焼くと「味が薄い」と怒られます。






□野菜・果物
ずっと有機宅配をとっていましたが、最近、地産地消の店が近所に出来て、そちらにシフトしつつあります。
子は野菜全般、抵抗なく食べます。

子は野菜や果物の味の区別が非常に細かく、
「いちごは先端3mmが甘い」と言って、残りを残そうとしたり(もちろん叱って全部食べさせました)、
「すいかは種より上がおいしい」[以下同文]
「ほうれんそうは茎だけでいい」[以下同文]


□発酵食品
子が納豆好きなので、常備してあります。
あと、塩麹を使っています。

□化学調味料
「調味料だけはちゃんとしたものを」と読んで以来、塩・酒・醤油・油は自然食品の店で買っています。
マヨネーズ、ケチャップ、ドレッシングは夫も子も嫌いと言うので、うちにはありません。
子供は醤油も嫌いで、納豆もお刺身も醤油なしで食べます。

夫が「自分は味音痴だ」と言うので、子が生まれるまでは調味料に関してはかなりテキトーでした。
しかし子は、夫に分からない味の違いを言い当てるのはもちろん、作った私にも分からない違いをずばずば指摘します
(「このだしはこの前よりいまいちだね」など)。
子にダメ出しされて、ほんだしやコンソメキューブを撤去する羽目になりました。

□スナック菓子・ジャンクフード
私がつわりの時期に一生分のフライドポテトを食べたせいか、子はフライドポテトは好きです。
ハンバーガーは嫌いだそうで一切食べません。
好きなおやつはカップラーメン。最近えびせんの味も覚えました。
清涼飲料水は、サッカーの後のポカリ以外は飲みません。炭酸飲料は嫌いだと言います。
非常に乗り物酔いしやすく、ハイチュウのグレープ味を酔い止めにしています。

□甘い物
白砂糖はキレやすくなるので、避けたほうがいいと言いますが、私はチョコレートがどうしても欠かせません。
子供は、チョコレートをはじめ甘い物には執着しないですが、ガリガリ君が大好きで毎日食べてます。
もしかして、これをやめたら、ディスレクシア的に良いことが起きたりするのでしょうか?


□腸内環境

「腸は第二の脳。腸からはセロトニンが分泌されているので、腸内環境を整えることは更年期うつに効果的」
・・・と、槇村さとる『おとな養成所』で読んで以来、
コーヒーエネマや朝の果物も実践しています。
詳しくは書きませんが、前者は非常に効果的です!
精神的に軽やかでハッピーになるのがよくわかります。
でも、さすがに子供にはさせられないし、、、、
腸内環境整備については、まだ追求しなければなりません。




ディスレクシア改善のために、食べもの方面で改善できる余地があったら、ぜひ知りたいところです・・・。




「発達障害の子は偏食の傾向がある」について
さる方から、「発達障害の子は偏食の傾向があるらしい」という指摘を受けました。
予備校でみる生徒を思い返すに、これはあたっている気がします。
前に書いたR君は、びっくりするほど細い手首をしていました。
他にも、年齢の割にがりがりの子が、特にADHD気味の男子にちょくちょくいる気がします。

一方、若くして美食を覚えてしまったメタボ傾向の元生徒を何人か知っていますが、そんな彼らにおいて、ディスレクシア率が一般以上に高い気がします。偶然かもしれませんが。





2013-08-17

【翻訳】ディスレクシアのインスピレーション

ブレンダン・オ・キャロル「The Inspiration of Dyslexia」の翻訳です。

amazon.ukで買ったforgotten letters: an anthology of literature by dyslexic writers所収、ブレンダン・オ・キャロル「The Inspiration of Dyslexia」を訳してみました。
本に掲載された文章を勝手に訳してはいけないのかもしれないですが・・・うちの子に読ませてあげたい一心でつい訳してしまいました。



上の本について紹介しておきます。
著者のブレンダン・オ・キャロルはアイルランドのコメディアンで、ディスレクシアだそうです。以下の原文はネットでは見つけることはできませんでした。

この文章が収められた本は、ディスレクシア作家のアンソロジーです。
『天才たちは学校がきらいだった』の著者、トマス・G・ウェストが編纂に関わっています。
トマス・G・ウェストのブログは、このブログの左下でもフォローしていますが、この人は「ディスレクシアの持つ独創的性質はネット社会に最も不可欠な資質である」という観点に立った論考を進めています。ディスレクシアとクリエイティビティの関連性について語らせたら、この人の右に出る人はいないでしょう。ちなみにこの人自身はたぶんディスレクシアではありません。ディスレクシアだそうです。

同氏の『天才たちは学校がきらいだった(原題In the Mind's Eye)』は最近Second Editionが上梓されました。
ウェスト氏はほかに、Thinking Like Einsteinという本も出しています。


☆  ☆  ☆

ディスレクシアのインスピレーション



「昔ディスレクシアだったけど、あるいは今もディスレクシアだけど、偉大なことを成し遂げたり大成功を収めたりした。」
そんな人の話はたくさん転がっている。
最近そういう話が実に多いので、
「ディスレクシアでないと、人生で何かを成し遂げることはできない」
と思ってしまう人もいるかもしれない。

でも違うんだな!
僕が思うに、そういう人たちは、ディスレクシアであろうがなかろうが、成功していたはずだ。
ただ、ディスレクシアだったことで、人とは違う方法でいろんなことを学ぶ羽目になったはずで、その点ではディスレクシアはその人の人生を変えただろうとは思う。
幼い頃から人とは違う方法で物事を学んでいると、それが習慣というかクセになる。
そして、何でもかんでも「人とは違った」方法で見る人生になる。

アメリカ人はこういうことを表す
「thinking outside the box」(箱の外に出て考える、決まった考え方にとらわれない)
という表現まで作ってしまった。
「箱の外に出て考える」話はたくさんある。
正直に言うと僕もそういう話を読みあさった時期がある。
僕は深いところでそういう話の影響を受けている。

その中でも僕が一番好きな話は、読んだのではなく、ある人から聞いたものだ。
もしよかったらこの話につき合ってほしい。



アメリカのボストンという町の、半地下のアパートの部屋に、1人で暮らしている男の人がいた。
ジョニーと呼ぶことにしよう。
狭いけど安い部屋だった。
ジョニーは「都市廃棄物管理作業員」、つまりゴミを集める、市の係の人だった。

1960年代のボストンでは市の支出を減らせという運動が激しかったので、そのあおりを受けてジョニーはクビになってしまった。
ジョニーは収入がゼロになったので、アパートの家賃が払えなくなってしまった。

大家さんは親切な人だったけど、家賃をあてにしていた。
だから、クビになって2ヶ月たっても、まだジョニーが新しい仕事を見つけてないとなると、ジョニーの部屋まで様子を見にやってきた。
ジョニーは「一生懸命探しているけど見つからない」と答えた。
そこで大家さんはボストン・グローブという新聞の求人欄をチェックしてくれて、ジョニーに切り抜きをくれた。
そのなかで、ある大学の事務室が「掃除係募集中」という求人を出していた。
ジョニーは「これだ!」と思って、その日のうちに大学に電話した。
すぐ面接に呼ばれて、行ってみると事務の下っぱの人と面接をすることになった。

この人をデイブとしよう。
面接はうまくいって、ジョニーはあとちょっとで仕事がもらえることになった、その瞬間、デイブからこう言われた。
「では、この用紙に記入してもらえますか。
記入が終わったら呼んで下さい、仕事を始める日を決めましょう」。

ジョニーにとっては急にピンチが来た。
ジョニーは字が苦手だったのだ。

そのことをデイブに言ったところ、デイブはとても残念そうにこう言った。
「本当にお気の毒ですが、あなたを雇うことはできません。
この紙に記入して保険に入ってもらわないと、大学としては雇うことができないのです」。



ジョニーはがっくり落ち込んで、建物を後にした。
ところが、大学の中を歩きながら、ジョニーは気がついた。
ゴミ箱というゴミ箱にゴミがあふれていることに。しかも、そのほとんどはジュースの空き缶だった。

次の日、ジョニーはもう一度大学に出かけて、空き缶を拾いはじめた。

そうして……
もうお分かりだろうが、ジョニーは毎日毎日、大学に行っては空き缶を集め続けた。
そして10年後には、ボストンだけでなくアメリカの東海岸全体で一番大きな、金属ゴミ収集会社の社長になっていた。



運命は不思議ないたずらをするもので、これほど大成功を収めたジョニーを称えるため、ジョニーに名誉博士号が与えられることになった。
しかも、10年前に彼を雇ってくれなかったあの大学が、名誉博士号をくれるというのだ。

大きなパーティーが開かれた。
そして、いまや部長になったデイブから、名誉博士号の賞状が手渡された。



式典の後、ふと気がつくと、ジョニーはデイブと二人だけで、テーブルをさしはさんで座っていた。
そこでジョニーは
「10年前、あなたの面接を受けたんですよ」
と切り出した。

実はデイブはそう言われるまで、その日のことをすっかり忘れていた。
でも、たぶん話を合わせるために、
「ああ!覚えてますよ」
と答えた。

二人は乾杯した。
デイブはワインをひと口飲むと、ジョニーをまじまじと見ながら、感慨深そうにこう言った。

「ジョニーさん、あなたは本当にすばらしい偉業を成し遂げましたね。
字が読めないのにこれだけの成功を収めるなんて。
もしも字が読めたら、どれだけの大成功を収めたことでしょうね……」。

ジョニーはふっと笑ってこう言った。
「あのねデイブさん、もし字が読めていたら、僕は掃除係になって、あなたの下で働いてましたよ」



落ち込んだとき、物事がうまくいかないなと思うとき、僕はこの話を自分に言い聞かせる。




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追記 
子供にこの話を読んであげました。
「ジョニーはふっと笑ってこう言った」で止めて、「この後何て言ったと思う?」と聞いたら、
不敵な笑みを浮かべながら
「『字が読めないからって、どうってことないんだよ』かな」と言いました。

漢字の扌(てへん)を処理する際の脳の活性化について

Scientists study brain activation when processing Chinese hand-radicals

を訳してみました。原文はこちら

漢字の扌(てへん)を処理する際の脳の活性化について
2013/08/09


前頭葉運動前野(frontal pre-motor areas)に損傷のある患者を対象としたいくつかの研究によって、運動理解の欠陥が特定された。
また脳画像研究により、関連した意味論的意味を持つ複数の語の読みにまつわる作業の認識・行動に関連する脳部位が活性化することが明らかになった。
たとえば、「蹴る(kick)」「つまむ(pick)」、「なめる(lick)」といった動作動詞を受身的に読むだけで、感覚運動野のなかでもそれぞれ脚・手・顔に関連する部位を活性化させることが明らかになった。

漢字とその偏(へん)の意味論的処理を調べるため、Quig-Lin Wu率いる国立台湾師範大学のチームは、よく使われる72個の漢字を「扌(てへん)がつく、手の動作を表す漢字」「扌がつかない、手の動作を表す漢字」「扌がつく、手の動作を表さない漢字」「扌がつかない、手の動作を表さない漢字」に分類した。
21~30歳の健康な被験者28名にこれらの漢字を読んでもらいながらMRIを実施した。
扌のつかない漢字を読む最中より、扌がつく漢字を読む最中のほうが、右中前頭回が活性化された。


この発見は、身体運動意味論(embodied semantics theory)と合致しており、偏の神経情報表現が漢字の処理には不可欠であることを示唆している可能性がある。
Qing-Lin Wuのチームによるこの研究(Neural Regeneration Research (Vol. 8, No. 20, 2013)に発表)は、中国語の読み処理の根底にあるプロセスを理解する一助となるものであり、ディスレクシア治療法の開発に資するところがある可能性がある。

2013-08-11

VIPPERのみなさまようこそw

お暑うございます。

「書字障害」の俺が安価で漢字を書く
http://himasoku.com/archives/51795373.html

という2ちゃんねるのスレッドに
「ディスレクシアのプラス面」へのリンクを貼って下さった人がいて、
アクセスが普段の5倍くらいに増えました。。

リンク先の1さんは、典型的なディスレクシアですね。
この人の字の雰囲気は、うちの家庭教師君(弱いディスレクシア)にそっくりです。
1さんは、字は苦手であるが文字入力は問題ないこと、むしろ手書きさえしなければ文字によるコミュニケーション能力が高いあたりもディスレクシア的です。
単に絵がうまいだけでなく、構図がすごいあたりも、空間認識能力の高さを感じます。


1さんは、学校では本当に苦労したけれど、今は自分の居場所を見つけているとみました。
万が一ここを見ていたら、ぜひお友達になりたいですw


子にリンク先を見せたところ
「鳥取」「島根」を1さんとまったく同じように間違えました




>完全なうろ覚えっす。 書けている漢字は書ける漢字で、それ以外は「モザイク」と同じように、一文字を構成する線の密度と分布を思い出しつつ漢字の構成要素である「さんずい」とか「にんべん」とかそういうのを適当に当てはめて行ってる 






何となくふくざつって読める。やはりシルエットというか、モザイク的に線の密度で記憶してるのかもしれん。 

↑子に
「あんたも、
『なんとな~くこのへんが線がいっぱいあって、このへんはスカスカ』
みたいな感じで漢字を覚えてるの?」と聞いてみたところ、
「そういうことじゃない?」と同意してました。
この認知の仕方を踏まえた漢字の覚え方って、どうしたらよいのでしょう・・・。
文字を立体で作ってさわらせるとかでしょうか?

2013-07-29

視写を始めて2ヵ月/「こんな簡単な問題も分からないの?」

夏休みはディスレクシアの子にとってはsummer slide(「夏のすべり台」、それまでコツコツ積み上げてきた成果を忘れ去ってしまう時期(泣))らしいので、1日1時間と決めて算数・視写・書き取り・音読の勉強を続けています。




視写は6月から週1回10分続けています。
7月上旬には、間違いはあっても300字書けるようになりました。





遊びに行ったり合宿があったりで少し間があくと、あっという間に書けなくなりました。。
最後は同じ行を繰り返して書いてます。


視写は一応習慣化したのですが、いま最大の課題は別のところにあります。

子は終業式の日、しくしく泣きながら、社会の教科書を目の前に放り出して
「ここに書いてあることが全然わかんない。
読むのをあてられると「読み方が変」ってみんなに笑われるし。
読んでも全然意味がわかんない。ちんぷんかんぷん。」
と告白しました。
本当は社会的事象に関心のある子なだけに、社会の教科書が分からないのは本人にとって屈辱のようです。



試しに社会の教科書を1ページ読ませると、声には出せますが、内容がまったく頭に入っていないようです。


「サピに行ってる子に
『こんな簡単な問題も分からないの?』
ってバカにされて、笑ってごまかしてるけど、
本当は分からないのがくやしい(泣)。
ぼくはこのまま、ずっとバカなの・・・?」とも言います。

家では、自分がディスレクシアであることに納得して、こつこつ読み書きの勉強を続けています。
学校の担任も、完璧ではないものの、少なくとも子を精神的に追い詰めてはいないようです。
でも、ここへきて「クラスメートの言葉」という新たな難問が出てきました。



子の小学校は中学受験熱が高く、クラスの半分以上が受験します。
そんななか、本人の意志により友達にはディスレクシアだと一切言っていない子は、クラスメートにバカにされることも増えてきたようです。

子の名誉のために言うと、勉強以外の場では子は社交的でリーダータイプ、むしろ人気者です。
社交性と勉強のできなさのギャップが激しいことも、周囲の子から厳しい言葉が飛んでくる原因になるようです。
「『もっとがんばりなよ』『もっと字をきれいに書きなよ』とも言われる。でもこれは励ましだから」とも言っていました。
そのセリフは、ディスレクシアの子には最大の禁句のはず。
心の中では、どんなにか悔しい思いをしていることでしょう。



「こんな簡単な問題も分からないの?」は、中学受験組のクラスメートが家で親に言われているセリフに違いありません。
親に言われた言葉がストレスになり、それをそのまま自分よりできない人にぶつけているのでしょう。

実は私も中学受験経験者なので、中学受験がいかにストレスフルな経験かはよくわかります。
でも、だからこそ言いたい。
人を見下して「自分はできる側の人間」と選民意識にひたるための勉強なら、なんの意味もないと。



子は友達の言葉に相当へこんでいますが、字を忘れないための勉強を黙々と続けています。