on dyslexia

ディスレクシア
(読字障害、読み書き障害、失読症、難読症、学習障害、読み書きのLD)について、調べて分かったこと/実践したこと/英語から訳した文章をアップしています。

ディスレクシアとは:
- 
知能は普通だが、読み書きが苦手(誤字が多い、読み書きが遅い、読み間違いが多い)
- 独創的で、対人能力が高い。空間把握力、全体像や物事の関係性を把握する能力に長ける。
- 音と文字の脳内での結びつきが弱いことから起こるらしい
- 読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい
- 細かい聞き間違いがみられるが、音声情報の処理能力は高い
- エピソード記憶が得意。固有名詞などの細かい丸暗記は苦手
- 適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される
- 10人に1人程度いるというのが通説

当ブログは、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能である、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要--という立場です。


2012-03-05

ディスレクシアが偉大な起業家になる理由


Why Dyslexics Make Great Entrepreneurs (20071212日、ビジネスウィーク)
(ディスレクシアが偉大な起業家になる理由)を訳してみました。ちょっと、いやかなりdyslexicsに肩入れした訳になってしまったかもしれません。強調は訳者によるものです。





  • Shaywitz博士「ディスレクシアは障害だけでなく財産でもある」。
  • Shaywitz博士「ディスレクシアの才能を生かさないのは社会的損失」
  • 米国の起業家のうち35%がディスレクシア、イギリスの起業家の20%がディスレクシア
  • ↑アメリカの数字が高いのは、ディスレクシアの子を支える人が学校にいることが大きい
  • 学校生活で失敗に慣れることで、失敗に強くなる(起業家に不可欠の資質)
  • 人に任せないと物事が進まないので、自然と人を巻き込むようになる(これも起業家に不可欠)


[翻訳]
Alan MecklerJupitermediaCEO)は1965年、コロンビア大学に入学した時、一部の科目で史上最低の点数だったと大学事務局から言われたという。
「名前を書けば400点取れる英語の試験で、自分は405410点。でも在学中は毎年、成績優秀者にノミネートされていたし、最終学年では米国史の授業でベストエッセイ賞を受賞した」。

Mecklerが自分がディスレクシアだと気がついたのは、ようやく58歳になってからだった。方向感覚(歩くのも運転するのも)が悪いほか、図表の読み取りが苦手だ。情報を得るには、黙読よりも人に説明してもらう方が好きだという。若い頃は自分は野球が得意だと気がつき、熱心に練習した。他の分野での苦手をカバーしたいという思いもあった。

Dr. Sally Shaywitz(イェール大学)によるとこれらはすべて、ディスレクシアの典型的な特徴だという。ディスレクシアは単にハンディキャップとしてだけではなく、財産としてもとらえるべき」と長く主張している同博士は、ディスレクシアと創造性の関連性を研究する、その名も「ディスレクシアと創造性に関するイェール研究所(Yale Center for Dyslexia & Creativity)」を共同設立した。
「私は人々に、『自分もディスレクシアだったらいいのに』と思ってもらいたい。教わることができず、一般に認識されていない----そんな特質は数多く存在する。ディスレクシアは社会制度を回り道しなければならないので、持てる能力を開花できずにいる。いつも言っているのだが、こうして人的資本が失われている」

ディスレクシアは障害を迂回して才能を開花させているのか、それとも障害を迂回すること自体がディスレクシアの生まれつきの特徴のひとつなのか。この点については、Shaywitzは今後の課題としている。あわせてShaywitzは、教育現場やビジネスの世界におけるディスレクシアの見方を変えようとしている。
同研究所では企業のエグゼクティブを対象にある研修プロジェクトを進める予定だ。その内容とは、「ペーパーテストの成績は悪いが、従来の枠にとらわれない考え方をする人」を見抜く訓練だという。

Shaywitzは最近、ある著名CEO(名前は教えてもらえなかった)がディスレクシアかどうか検査した。そのCEOは外部企業にお金まで払って、社内における将来のリーダーを選び出すよう依頼したと打ち明けた。だがその企業が取った方法は、読解力テストだった。「だから指摘して差し上げました。『その方法では、社長自身と同じ種類の人間をわざわざ排除しているようなものです。その人たちこそ今後独創性を発揮し、違いを生み出すかもしれないのに』」。

このように、ディスレクシアははじかれる。と同時に、ほうっておいても独創性を発揮する。そのため、実に数多くのディスレクシアが起業家になる道を選ぶのだ。
Julie Logan教授(ロンドンのCass Business Schoolで起業家学を研究)は、米国の起業家のうち35%がディスレクシア、イギリスでも同20%がディスレクシアであることを明らかにした。Loganは、イギリスの学校制度がより厳格であるのに対し、アメリカの教育制度はより柔軟性が高いこと、またアメリカの方がディスレクシアの識別・回復策が整備されていることをあげる。
「調査対象者の多くが、一部にとってメンターが非常に重要な役割を果たしたと述べている。自分の能力を信じてくれる人が学校にいるかどうかが重要だ」

さらに、人格形成期に、物事に対処するさまざまな方法を体得することが、起業家として成功するための基盤になっているとLoganは言う。
ディスレクシアの人は、子供の頃ペーパーテストでいつも悪い点数をとっているうちに、失敗が身にこたえなくなる。
また、読むのが遅いので、本当に重要な情報だけ抽出するようになり、常に物事の核心をつかむようになる
加えて、常に相手を信頼し、他人に頼らないと物事が進まない。これは事業を起こそうとする人には不可欠の資質なのだ。

「他人に物を任せられない人が本当に多いなか、ディスレクシアの人はそれを難なくやってしまう。また、瑣末なことにとらわれすぎていると、事業の大きな方向性を見失ってしまう」。

Paul OrfaleaKinko’s創業者)は、ディスレクシアとADDの両方を持っている。彼は、人ができることを自分はできなかったからこそ、自分は起業家としてここまで成功したと胸を張って言う。
「自分と同じ能力を持たない人だけを雇うようにしてきた。ポイントは、その人を邪魔しないようにして、仕事を任せること」。
また、失敗に慣れているという。「学生時代にCばかりとることの利点は、リスク対リターンという考え方が徹底されること。Aの学生はいつでも最大限に努力するが、Cの生徒は『それって本当に意味あるの?』と考える」

Cisco Systems (CSCO) CEO John ChambersCisco SystemsCEO)は、自分はディスレクシアであることで、一歩引いて物事を俯瞰することができるという。読みの困難は小3の時、担任が発見した。以来、従来とは異なる授業方法と両親の支援によって、早いうちから読みの困難に対処できるようになったという。
「ディスレクシアは単なるチェスの一手のようにではなく、物事を大局的に見ることを強いる。私はいつも、シナリオ全体を頭の中に描いてから、それをこなしていく。これまで数多くの会社を立ち上げてきたが、いつも全体像を心に描いた上で行ってきた」

MecklerIT起業家)もまた、全体像を常に思い描き、ディテールにはついて行けないという。
「ビジネスミーティングでは……たくさんの人がごちゃごちゃと、いろんなことを言っているのが聞こえるが、私はどうやら一瞬で核心をつかめるらしい。重要なポイントにぴたりと焦点を合わせるよう、心が訓練されている感じがする」

自分がディスレクシアであることを受け入れ、生かしている起業家のなかには、次世代のディスレクシアのサポートを個人的な使命だと考えている人も少なくない。Charles Schwabは「Charles & Helen Schwab Foundation」(子供とその親が学習障害・注意障害を克服するよう支援する基金)、Orfaleaは「Orfalia Family Foundation」(さまざまな学習スタイルを特定・支援し、また従来の学習スタイルに収まらない人に伴うスティグマを取り除く)をそれぞれ設立している。

Ben FossIntelDigital Health Group研究者、支援技術を研究)はNPOを立ち上げ、ディスレクシアによる従業員差別訴訟に勝った初のアメリカ人男性のドキュメンタリー映画を制作した。現在は、視覚障害者用の支援技術を学習障害者に応用する研究を進めている。

最近、ビジネス界のビッグネームがディスレクシアであることを相次いで表明している。だがFossは、ディスレクシアの人が企業内の組織の階段を上るのは依然として大変なことだろうと言う。
John ChambersCharles SchwabRichard Bransonのように自分で企業を興しているならこの問題はないかもしれないが、中間管理職は上から評価を受ける立場なので、自分がディスレクシアだとカミングアウトしたくないという気持ちが強く働く。矛盾しているようだが、自分の言葉でそのことが話せれば、成功への道が開ける」

むろん、不適応者であるということ自体が偉大な起業家への道を開くという側面もある。医療業界の起業家で、不動産王でもあるJames LeVoy Sorensonは、40件もの医学関連の特許を取得。心臓モニターに初めてコンピューターを導入したほか、手術用の使い捨てマスク、外傷・術中の回収式自己血輸血を発明した人物として知られる。そんな彼は18歳のときコミュニティーカレッジを落第し、小中学校の教師からは「頭の回転が遅いか、発達に障害があるか」のどちらかだと言われている。

現在Sorenson86歳、ディスレクシアを克服する過程は彼に粘り強さを与える訓練となった。また、それまでにない問題解決方法を探る訓練になったという。
「わたしの口癖は『まだ』を付け加えること。『できない』ではなく、『まだできない』というふうに」

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